特許第6348985号(P6348985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348985喫煙材を加熱するための装置および喫煙材物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348985
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置および喫煙材物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20180618BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A61M15/06 C
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-558049(P2016-558049)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-510270(P2017-510270A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】EP2015055972
(87)【国際公開番号】WO2015140312
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】61/968,780
(32)【優先日】2014年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン、デュアン アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、ジェシー ユージン
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−521124(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0182159(US,A1)
【文献】 特開2013−099396(JP,A)
【文献】 特開2002−007992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させることができる装置であって、
ハウジングと
使用時に喫煙材物品をハウジングへ導入した際の静電容量の変化を検知し、喫煙材物品の識別を可能にするよう配置された容量センサーと
静電容量の変化が少なくとも1つの所定の基準を満たす場合に使用時にハウジングに導入された喫煙材物品を加熱するためだけに作動させるように構成、配置された回路と
を含む装置。
【請求項2】
容量センサーは電極を含み、装置は使用時にハウジングに導入された喫煙材物品および電極の静電容量の変化を検知するよう構成、配置されたプロセッサーを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
容量センサーは少なくとも2つの電極を含み、装置は使用時に喫煙材物品がハウジングに導入された時に少なくとも2つの電極の静電容量の変化を検知するよう構成、配置されたプロセッサーを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも2つの電極は使用時にハウジングに導入された喫煙材物品の少なくとも一部が少なくとも2つの電極の間に位置できるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
装置は容量センサーへ充電電圧をかけて容量センサーが相対的に高い電圧になる充電と容量センサーが相対的に低い電圧になる放電とを繰り返しできるよう構成、配置された回路を含み、回路は所定時間における容量センサー上の相対的に高い電圧と相対的に低い電圧の間での遷移の回数が所定数未満である場合に使用時にハウジングに導入された喫煙材物品を加熱するためだけに装置を作動させるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記所定数とはハウジングに導入された喫煙材物品が存在しない時の所定時間における容量センサー上の相対的に高い電圧と相対的に低い電圧の間での遷移の回数であることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項7】
使用において喫煙材物品がハウジングに導入された際の電気抵抗の指標を供するように配置された抵抗センサーを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
装置は使用時にハウジング内に収容されている喫煙材物品を加熱するよう作動可能なヒーターを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させることができる装置であって、
ハウジングと
使用において喫煙材物品がハウジングに導入された際の電気抵抗の指標を供し、喫煙材物品の識別を可能にするように配置された抵抗センサーと
電気抵抗が少なくとも1つの所定の基準を満たす場合に使用時にハウジングに導入された喫煙材物品を加熱するためだけに装置を作動させるように構成、配置された回路と
を含む装置。
【請求項10】
抵抗センサーは少なくとも2つの電極を含み、装置は少なくとも2つの電極を用いて、使用において喫煙材物品がハウジングに導入された際の電気抵抗の指標を供するように構成、配置されたプロセッサーを含むことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも2つの電極は使用時にハウジングに導入された喫煙材物品の少なくとも一部が少なくとも2つの電極の間に位置してこれらと接触できるように、配置され、これら少なくとも2つの電極は使用時に前記した喫煙材物品の少なくとも一部の電気抵抗の指標を供することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
使用時にハウジング内に収容されている喫煙材物品を加熱するよう作動可能なヒーターを含むことを特徴とする請求項乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させることができる装置であって、
ハウジングと
少なくとも2つの異なる検知技術を利用して、使用においてハウジングと関連付けられる時の喫煙材物品を識別するよう構成、配置されたセンサー構造と
少なくとも2つの異なる検知技術の検知された値が少なくとも1つの所定の基準を満たす場合に使用時にハウジングに導入された喫煙材物品を加熱するためだけに作動させるように構成、配置された回路と
を含む装置。
【請求項14】
少なくとも2つの異なる検知技術の内の1つは容量検知を使用し、少なくとも2つの異なる検知技術のうちのもう一方は抵抗検知を使用することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも2つの異なる検知技術の内の1つは電気的検知を使用し、少なくとも2つの異なる検知技術の内のもう一方は光学的検知を使用することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
使用時にハウジング内に収容されている喫煙材物品を加熱するように作動可能なヒーターを含むことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置と共に使用するための喫煙材物品であって、前記装置のセンサーによって検知された静電容量の変化が少なくとも1つの所定の基準を満たす場合に使用時に喫煙材の加熱が生じるように配置された前記装置のセンサーによって検出されるための非金属導電性領域を有する喫煙材物品。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置と共に使用するための喫煙材物品であって、前記装置のセンサーによって検知された電気抵抗の変化が少なくとも1つの所定の基準を満たす場合に使用時に喫煙材の加熱が生じるように配置された前記装置のセンサーによって検出されるための非金属導電性領域を有する喫煙材物品。
【請求項19】
非金属導電性領域は、喫煙材物品を少なくとも部分的に囲む材料をバンド状にしたものであることを特徴とする請求項17または18に記載の喫煙材物品。
【請求項20】
非金属導電性領域は炭素を含むことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項に記載の喫煙材物品。
【請求項21】
非金属導電性領域は印刷インクであることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか1項に記載の喫煙材物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2014年3月21日に出願された米国仮出願第61/968,780号の利益を主張する。また当該出願の全文は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、喫煙材を加熱するために用意された装置と、喫煙材からなる物品とに関する。
【背景技術】
【0003】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼を伴わず化合物を放出する製品を創出することによって、タバコを燃焼させるこれら物品に対する代用品を提供しようとする試みが行われている。そのような製品の具体例としては、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出するいわゆる発熱するが燃焼しない(heat−not−burn)製品がある。その材料としては具体的にはタバコまたは他の非タバコ製品がある。これはニコチンを含んでも、含まなくてもよい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、喫煙可能材料の加熱を可能とし、喫煙可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させる装置であって、
ハウジングと
使用時に喫煙材物品をハウジングへ導入した際の静電容量の変化を検知し、喫煙材物品の識別を可能にするよう配置された容量センサーと
を含む装置が提供される。
【0005】
代表的な実施態様では、容量センサーは電極を含み、装置は使用時にハウジングに導入された喫煙材物品および電極の静電容量の変化を検知するよう構成、配置されたプロセッサーを含む。
【0006】
代表的な実施態様では、容量センサーは少なくとも2つの電極を含み、装置は使用時に喫煙材物品がハウジングに導入された時に少なくとも2つの電極の静電容量の変化を検知するよう構成、配置されたプロセッサーを含む。代表的な実施態様では、少なくとも2つの電極は使用時にハウジングに導入された喫煙材物品の少なくとも一部が少なくとも2つの電極の間に位置できるように配置される。
【0007】
代表的な実施態様では、装置は静電容量の変化が少なくとも1つの所定の基準を満たす場合に使用時にハウジングに導入された喫煙材物品を加熱するためだけに作動させるように構成、配置された回路を含む。
【0008】
代表的な実施態様では、装置は容量センサーへ充電電圧をかけて容量センサーが相対的に高い電圧になる充電と容量センサーが相対的に低い電圧になる放電とを繰り返しできるよう構成、配置された回路を含み、回路は所定時間における容量センサー上の相対的に高い電圧と相対的に低い電圧の間での遷移の回数が所定数未満である場合に使用時にハウジングに導入された喫煙材物品を加熱するためだけに装置を作動させるように配置されている。代表的な実施態様では、先の所定数とはハウジングに導入された喫煙材物品が存在しない時の所定時間における容量センサー上の相対的に高い電圧と相対的に低い電圧の間での遷移の回数である。
【0009】
代表的な実施態様では、装置は使用において喫煙材物品がハウジングに導入された際の電気抵抗の指標を供するように配置された抵抗センサーを含む。
【0010】
代表的な実施態様では、装置は使用時にハウジング内に収容されている喫煙材物品を加熱するよう作動可能なヒーターを含む。
【0011】
本発明の第2の態様では喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させることができる装置であって、
ハウジングと
使用において喫煙材物品がハウジングに導入された際の電気抵抗の指標を供し、喫煙材物品の識別を可能にするよう配列された抵抗センサーとを含む装置が提供される。
【0012】
代表的な実施態様では、抵抗センサーは少なくとも2つの電極を含み、装置は少なくとも2つの電極を用いて、使用において喫煙材物品がハウジングに導入された際の電気抵抗の指標を供するように構成、配置されたプロセッサーを含んでいる。代表的な実施態様では、少なくとも2つの電極は使用時にハウジングに導入された喫煙材物品の少なくとも一部が少なくとも2つの電極の間に位置してこれらと接触できるように配置され、これら少なくとも2つの電極は使用時に前記した喫煙材物品の少なくとも一部の電気抵抗の指標を供する。
【0013】
代表的な実施態様では、装置は電気抵抗が少なくとも1つの所定の基準を満たす場合に使用時にハウジングに導入された喫煙材物品を加熱するためだけに装置を作動させるように構成、配置された回路を含む。
【0014】
代表的な実施態様では、装置は使用時にハウジング内に収容されている喫煙材物品を加熱するよう作動可能なヒーターを含む。
【0015】
本発明の第3の態様では喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させることができる装置であって、
ハウジングと
少なくとも2つの異なる検知技術を利用して、使用においてハウジングと関連付けられる時の喫煙材物品を識別するよう構成、配置されたセンサー構造と
を含む装置が提供される。
【0016】
代表的な実施態様では、少なくとも2つの異なる検知技術の内の1つは容量検知を使用し、少なくとも2つの異なる検知技術のうちのもう一方は抵抗検知を使用する。
【0017】
代表的な実施態様では、少なくとも2つの異なる検知技術の内の1つは電気的検知を使用し、少なくとも2つの異なる検知技術のうちのもう一方は光学的検知を使用する。好適な光学的検知技術としては、例えば、1以上のLED(発光ダイオード)、レーザーなどの何らかの光学エミッタ−と対応する1つ以上検出装置とを用いてバーコード(従来の直線タイプでも、近年の2次元的タイプでもよい)を使用して、検出することが挙げられる。使用時の喫煙材上の印またはマーカーの性質などに応じて、可視光、非可視光のいずれも使用できる。
【0018】
代表的な実施態様では装置は、使用時にハウジング内に収容されている喫煙材物品を加熱するように作動可能なヒーターを含む。
【0019】
本発明の第4の態様では喫煙材物品が提供され、喫煙材の加熱が生じるように配置された装置のセンサーによって検出されるための非金属導電性領域を有する。
【0020】
代表的な実施態様では、非金属導電性領域は、喫煙材物品を少なくとも部分的に囲む材料をバンド状にしたものである。
【0021】
代表的な実施態様では、非金属導電性領域は炭素を含む。
【0022】
代表的な実施態様では、非金属導電性領域は印刷インク(printed ink)である。
【0023】
一部の例示的実施態様では、喫煙材物品がハウジング内(少なくともその一部)に収容されている場合がある。このような例示的実施態様では、使用時にハウジング内に収容されている喫煙材物品を加熱するよう作動可能なヒーターを装置自体が含んでもよい。別の一部の例示的実施態様では、喫煙材物品がヒーターと一緒に液状または他の形態の喫煙材を含んでもよい。このような例示実施態様では、不可欠なヒーターを備えた喫煙材物品は使用時に装置に接続される場合があり、このとき装置がヒーターの動力源を含んでいるのが一般的である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施態様を添付図面を参照し、あくまで例示を目的として説明する。
【0025】
図1】加熱用装置の一例の斜視図である。
図2】加熱用装置の一例の長手方向断面図である。
図3】喫煙材物品が間に挿入された電極の一例の斜視図である。
図4】電極と検知回路との接続の一例の模式図である。
図5】時間に対する電圧のグラフの一例を示す。
図6】喫煙材物品がない時とある時の時間に亘り検出される電圧の変化の一例を示す。
図7】電極と喫煙材物品の一例の斜視図である。
図8】加熱用装置の別の一例の長手方向断面図である。
図9】喫煙材物品が間に挿入された電極の別の一例の斜視図である。
図10】加熱用装置の別の一例の長手方向断面図である。
図11】喫煙材物品が間に挿入された電極の別の一例の斜視図である。
図12】電極と検知回路との接続の別の一例の模式図である。
図13】喫煙材物品の一例の長手方向模式断面図である。
図14】チッピング紙の一例を示す。
図15】チッピング紙の別の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で使用する「喫煙材」なる用語には、加熱されることで典型的にエアロゾルの形態の揮発成分を供給する材料が含まれる。「喫煙材」には、いずれのタバコ含有材料が含まれる。タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、またはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。また「喫煙材」にはニコチンを含有するか否かに拘わらず他の非タバコ製品を含む場合がある。
【0027】
図1を参照すると、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には吸入可能なエアロゾルを形成するため喫煙材を加熱するよう構成された装置1の一例の斜視図を示している。この装置1はいわゆる「ヒートノットバーン(heat−not−burn)」装置1である。この例における装置1は概ね長尺形状であり、円形断面の概ね長尺の円筒形の外方ハウジング2を備えている。外方ハウジング2は開口端3を有し、これは場合によっては吸い口端とも呼ばれる。外方ハウジング2は断熱材料から形成してもよい。特に好ましい材料はポリエチルエチルケトン(PEEK)であるが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの他のプラスチックや他の断熱材料も使用可能である。外方ハウジング2の最も外側の表面は、金属光沢仕上げ(metallic finish)などの装飾コーティングを含んでもよい。外方ハウジング2の最も内側の表面は、熱伝導性の高い材料によって一部または全部をコーティングしてもよい。一例として、この目的のため銅などの金属コーティングが使用される。
【0028】
図2は喫煙材加熱用装置1の一例の断面図である。装置1は加熱および揮発させる対象である喫煙材を使用時に収容する加熱チェンバー4を有する。喫煙材は、喫煙材から形成されるまたは喫煙材を含む物品5の形状であってもよく、これはユーザーによって取り外し可能な状態で挿入することが可能である。喫煙材物品5は概ね細長い円筒状であり、例えばカートリッジ、カセットまたはロッドであってもよい。喫煙材物品5は使用時にハウジング2へ挿入される。通常はフィルターなどに接続するため、喫煙材物品5の一端はハウジング2の開口端3を通じて装置1の外へ突出し、フィルターは別個のアイテムであってもよいし、喫煙材物品5が設けられてもよく、フィルターを介してユーザーは使用時に吸入を行う。
【0029】
装置1はさらに電子/電力チェンバー6を有する。この例においては、電子/電力チェンバー6は電子制御回路7および電力源8を含んでいる。この例においては、加熱用チェンバー4と電子/電力チェンバー6とは装置1の長手方向軸X−Xに沿って互いに隣接している。図示するこの例では、電子/電力チェンバー6は吸い口端3と離れているが、異なる配置も可能である。以下に説明するように電子制御回路7は喫煙材の加熱を制御し喫煙材物品5を認識または識別するように構成、配置されたマイクロプロセッサー構造などの制御装置を含んでもよい。電子制御回路7は使用時に例えばユーザーによる喫煙材物品5の吸引開始時に起こる圧力変化または空気流速変化に反応するパフ作動センサーなどからの信号などを受け取ってもよい。そして電子制御回路7は、必要な時に「オンデマンド」で喫煙材物品5を加熱を行うために作動することができる。パフ駆動センサーとしては様々な構成が利用可能である。例えば、センサーを基盤とするサーミスター、電子機械デバイス、機械デバイス、光学デバイス、光学機械デバイスおよび微小電子機械デバイス(MEMS)が挙げられる。あるいは装置は、パフを開始するためにユーザーが手動で操作可能なスイッチを備えてもよい。
【0030】
電力源8は電池でもよい。これは再充電可能なものでも再充電不可能なものでもよい。好ましい電池の例としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル電池(ニッケル−カドミウム電池など)、アルカリ電池等が挙げられる。特に好ましいタイプの電池はLiFePO4電池である。電力源8は加熱用チェンバー4の1以上の加熱エレメント(後述する)に電気的に連結し、(前記したように喫煙材を燃焼させることなく喫煙材を揮発させるため)喫煙材を加熱するための電子制御回路7の制御下において必要な時に電力を供給する。この例では、電池8は電子制御回路7のプリント回路基板の内部に含まれる。別の例では、電池8および電子制御回路7は異なる配置にしてもよい。例えば、電池8および電子制御回路7が装置1の長軸X−Xに沿って互いに隣接するよう配置してもよい。
【0031】
加熱用チェンバー4はヒーター支持スリーブ9の内部に含まれる。スリーブ9はハウジング2の内部に含まれる。この例では、ヒーター支持スリーブ9は円形断面を有する概ね長尺の円筒状である。1つの例ではヒーター支持スリーブ9は、端部では互いに接合し、僅かな距離dを置いて離れている外側の円筒壁および内側の円筒壁を備える2重壁スリーブまたは「真空」スリーブである。あくまで一例として、大きさに関する考えを記載すると、ヒーター支持スリーブ9は長さが約50mm、外径が約9mmであり、距離dは約0.1mm〜約0.12mmである。ある例においてヒーター支持スリーブ9の機能の1つは、外方ハウジング2が熱くならないように、少なくとも使用時に触ることが不可能な程度に熱くならないように加熱用チェンバー4からの外方ハウジング2の断熱を補助することである。ヒーター支持スリーブ9の外側および内側の円筒壁の間の空間には空気が含まれてもよい。しかし、ヒーター支持スリーブ9の断熱性を向上させるため、ヒーター支持スリーブ9の外側および内側の円筒壁の間の空間は脱気されていることが好ましい。あるいは、ヒーター支持スリーブ9の外側および内側の円筒壁の間の空間には、例えば発泡材料などの何らかの他の断熱材を充填してもよい。ヒーター支持スリーブ9の材料は、その内部にある要素に構造安定性を供与する程度にヒーター支持スリーブ9が硬くなるようなものが好ましい。そのような好ましい材料の一例としては例えばステンレスが挙げられる。その他の好ましい材料としては例えば、ポリエチルエチルケトン(PEEK)、セラミックス、ガラス、鉄、アルミニウムなどが挙げられる。
【0032】
装置1の一例として、ヒーター支持スリーブ9は少なくとも1つの加熱エレメント10を含み、場合によっては複数の加熱エレメントまたはヒーターセグメント10を含んでもよい。少なくとも2つのヒーターセグメント10があることが好ましいが、これ以外の数のヒーターセグメント10による構成も可能である。特に図示するこの例では、4つのヒーターセグメント10がある。この例では、ヒーターセグメント10はヒーター支持スリーブ9の長軸X−Xに沿って、またはこれに平行に一列に並んでいる。必要に応じて、例えば順番に(経時的に)または共同で(同時に)喫煙材物品5の選択区域を独立して加熱できるようにするため、少なくとも2つ以上、好ましくは全てのヒーターセグメント10が互いに独立して電力供給されるように、電子制御回路7およびヒーターセグメント10に対する電力接続が構成されることが好ましい。特にこの例では、ヒーターセグメント10は概ね環状または円筒形であり、使用時に喫煙材物品5を含む中空構造である。ある例では、ヒーターセグメント10はセラミック材料から形成される。アルミナ、窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素のセラミックスなどが挙げられ、これらはラミネート加工または焼結加工されてもよい。外方ハウジング2から突出し、ユーザーが操作可能なオン/オフスイッチ11を装置1は有している。
【0033】
ヒーターセグメント10について異なる形状および異なる構成が使用可能である。加えて異なる加熱構成も可能であり、例えば、赤外線を照射して加熱する赤外線ヒーターセグメント10またはヒーターセグメント10の周囲に設けられる抵抗性電気巻線などから形成される抵抗性加熱エレメントが挙げられる。さらに別の加熱構成も使用可能である。
【0034】
ユーザーにより装置1へ導入されている特定の喫煙材物品5を識別または認識できることが装置にとって好ましい場合がある。例えば、実際上、全体として特に加熱構造と電子制御回路7が供給する加熱制御とを含む装置1は、喫煙材物品5のある特定の構成(例えばサイズ、形状、特定の喫煙材などの内の1つまたはそれ以上)に対して最適化されることになり、(極めて)異なる特性を備える喫煙材または喫煙材物品5と使用されることは装置1にとって望ましくない。加えて、装置1に導入されている特定の喫煙材物品5または少なくとも一般的な種類の喫煙材物品5を装置1がもし識別または認識できるのであれば、模造品または他の非真正の喫煙材物品5が装置1に使用されるのを排除、少なくとも減少させることができる。装置1が認識する喫煙材物品5のみを加熱するように、また装置1が認識しない喫煙材物品5には作動しないように装置1を構成してもよい。喫煙材物品5が認識されていないことをユーザーに表示するように装置1を構成してもよい。この表示は視覚的(例えばフラッシュまたは一定時間連続的に光る照明などの警告灯)および/または聴覚的(例えば「ビー」という警告音)でもよい。これとは別にまたはこれに加えて、装置1が第1のタイプの喫煙材物品5を認識したら第1の加熱パターンに装置1が従い、装置1が第2のタイプの喫煙材物品5を認識したら第2の異なる加熱パターンに装置1が従うように(そして任意に、さらに別のタイプの喫煙材物品5用にさらなる加熱パターンを提供できるように)装置1を構成してもよい。喫煙材に対する熱伝達速度、種々の加熱サイクルのタイミング、喫煙材のどの部分を最初に加熱するか等々、多くの点において加熱パターンは異なっていてよい。こうすることで、ユーザーに求められる装置に対する作業を最小限にしつつ、異なる基本型の喫煙材物品5で同一の装置1を使用することが可能となる。
【0035】
ある実施態様のある例では、使用時に喫煙材物品5がハウジング2内に収容されている際の静電容量の変化を検知する容量検知を使用するように装置1は構成、配置されている。ある実施態様の別の例では、ハウジング2内に収容されている喫煙材物品5を検知する抵抗検知を使用するように装置1は構成、配置されている。ある実施態様のまた別の例では、ハウジング2内に収容されている喫煙材物品5を検知する容量検知および抵抗検知を組み合わせて使用するように装置1は構成、配置されている。ある実施態様のある例では、喫煙材物品5がハウジング2内に収容されている時の静電容量の変化を装置1が検知する。喫煙材物品5がハウジング2内に収容されている時の静電容量と喫煙材物品5がハウジング2内に存在しない時の静電容量を実質的に比較する。これらの例のいずれであっても、ハウジング内に収容されているある特定の喫煙材物品5の識別または認識が可能である。ある実施態様のある例では、本明細書で説明するように、装置1のセンサーによって検知されることが可能となる喫煙材物品5が提供される。ある実施態様のある特定の例では、喫煙材物品5には、本明細書で説明するように、装置1のセンサーによって検知され得るストリップ、バンド、その他のマーカーまたは1つ以上の印が設けられている。
【0036】
一般に本明細書で使用する容量検知は、喫煙材物品5が装置1内部に位置する時の静電容量変化を効果的に検知することで作動する。実質的にある実施態様では、静電容量の指標が得られる。もし静電容量が1つ以上の基準を満たす場合、喫煙材物品5は装置1で使用するのに適していると決定してよく、装置1は喫煙材を加熱するべく通常通り作動し続けることができる。逆にもし静電容量が1以上の基準を満たさない場合、喫煙材物品5は装置1で使用するのに適していないと決定してよく、そして装置1は喫煙材を加熱するべく機能はせず、および/または何らかの警告メッセージをユーザーに発してもよい。
【0037】
一般に本明細書で使用する静電検知は2つの方法のうち一方で機能すればよい。まず装置1には、実質的にコンデンサからなる1つの「プレート」を供する(少なくとも)1つの電極が設けられ、コンデンサの他の「プレート」は喫煙材物品5(または喫煙材物品5の少なくとも一部の特徴、例えば上述し、以下詳述するマーカーまたは印)によって供される。これの一例を図7において模式的に図示している。これは装置1の他の部品を省いた状態で、電極70と検知回路に接続している接続ワイヤー71の一部とを強調して示す斜視図である。喫煙材物品5が装置1に挿入されると、装置1の電極70と喫煙材物品5との組み合わせから形成される静電容量が測定され、そして装置1が喫煙材の加熱に進む否かを判断するための1つ以上の基準と比較される。
【0038】
これとは別に装置1には、実質的にコンデンサの1対の「プレート」を供する(少なくとも)2つの電極を設けてもよい。喫煙材物品5が装置1に挿入される時は2つの電極の間に挿入される。結果として、装置1の2つの電極の間に形成される静電容量が変化する。2つの電極によって形成される静電容量を測定することができ、そして装置1が喫煙材の加熱に進むか否かを判断するための1つ以上の基準と比較される。
【0039】
図2に示す例は、ハウジング2内に収容される喫煙材物品5を静電検知によって検知するために(少なくとも)2つの電極を使用している装置1の例である。この例では特に、装置1は外方ハウジング2の開口端3近くに位置する2つの電極12を有している。この2つの電極12は湾曲しており、喫煙材物品5がハウジング2に収容される際に通過するほぼ円形の開口部を画定するように各電極12はほぼ半円形の断面を有する。図示した例では、電極12はいくらか長軸方向にほぼ装置1の長軸と平行に延び、電極12が重なる領域の面積を広くして効果的な静電容量を増加させている。接続ワイヤー14を介して電極12は検知回路13に接続している。検知回路13は、電子制御回路7の一部、例えば上述したマイクロプロセッサーなどの制御装置の一部として設けられてもよく、あるいは別個の回路として設けられてもよい。あくまで例示を目的として図3は、間に喫煙材物品5が挿入された状態(かつ装置1の他の部品が省かれた状態の)の電極12と接続ワイヤー14の一部とを強調して示す斜視図である。図4は、電極12の検知回路13への接続を表す模式図である。当然のことながら、検知回路13は電子制御回路7とは別個のものでもよく、あるいはマイクロプロセッサーなどの制御装置の一部としてなど一体に形成されるものでもよい。また実際上、検知回路13の機能はマイクロプロセッサーなどの制御回路によって全て提供されてもよい。検知回路13の一例を図4において模式的に記すが、当然のことながら、マイクロプロセッサーなどの装置1の制御回路の一部として、あるいは別個の回路としての如何にかかわらず、検知回路13としては他の構成も可能である。
【0040】
この例では、電極12と検知回路13との組み合わせが容量センサー15を供する。この例では、検知回路13は、コンデンサ電極12の内の1つに電圧をかける工程と、そのコンデンサ電極12から電圧を逃す工程とを繰り返す。コンデンサ電極12の他方はアースされている(例えば装置1の外方ハウジング2に電気的に接続されている)。
【0041】
より詳しくは、ある例では非反転入力17と反転入力18とを有するオペアンプ(演算増幅器)または他の差動増幅器16を検知回路13は有する。オペアンプ16の出力19はインバーター20に接続されている。非反転入力17はコンデンサ電極12の1つに接続されている。また非反転入力17は抵抗器16を介してインバーター20の出力に接続されている。またインバーター20の出力は検知回路13の電圧制御部21に接続されている。電圧制御部21はインバーター20の出力を通って第1スイッチ22を制御し、そして第2インバーター23を介して第2スイッチ24を制御する。第1および第2のスイッチ22、24の出力はオペアンプ16の反転入力18に接続されている。第1スイッチ22の入力は相対的に高い電圧VDD_SCALEDにあり、第2スイッチ24の入力は相対的に低い電圧VDD/4にある。
【0042】
ある例では、装置1は以下の通りに作動する。まず、装置1に喫煙材物品5が挿入されていない状態に装置1はあって、装置1は検知回路13とコンデンサ電極12との組み合わせによって供される容量センサー15の較正を定期的に行い、その後の測定値を評価するベースライン値を確立する。特に、好ましくは装置1の電子制御回路7の制御装置の制御の下で、高い「励起」電圧が電極12の内の1つにかけられる。これによってその電圧がかけられた電極12において電荷ひいては電圧が上昇し、これは容量センサー15の関連部分の電気抵抗および静電容量によって規定される特有の割合で上昇する。また高い「励起」電圧は電圧制御部21にもかけられる。こうすることで、第1スイッチ22の入力電圧VDD_SCALEDをオペアンプ16の反転入力18にかけるため、第1スイッチ22が閉じ、第2スイッチ24が開く。
【0043】
電極12の内の1つの電圧、これはオペアンプ16の非反転入力17にかけられる、が所定の閾値(この例では第1スイッチ22の入力電圧VDD_SCALED)に到達すると、オペアンプ16の出力が切り替わる。これにより第2スイッチ24の入力電圧VDD/4をオペアンプ16の反転入力18にかけるため、第1スイッチ22が開き、第2スイッチ24が閉じる。同時に、電極12の内の1つの電荷が抵抗器21を通じで流され、電極12の内の1つの電圧が容量センサー15という関連部分の電気抵抗および静電容量によって規定される特有の割合で落ちる。そしてその電極12の電圧が第2の所定の閾値(この例では第2スイッチ24の入力電圧VDD/4)に到達すると、オペアンプ16の出力が元の状態に切り替わり、このプロセスが繰り返される。
【0044】
この効果を図5に示している。図5は時間に対する電圧を示すグラフである。太線は、電極12の内の1つに高い電圧をかけてその電極12を充電する工程とその電圧を除去してその電極12の電荷を流す工程とを繰り返す方形波型電圧を表す。(図示するこの例では、ACMPOUTが高い時、参照電圧としてVDD/4が選ばれ、そしてインバーター20の影響で、上記電圧がかけられた電極12は放電を開始する。コンデンサ電圧がVDD/4未満にまで下がると、ACMPOUTレベルは低い状態に切り替わり、そして参照電圧としてVDD_SCALEDが選ばれ、その電極12の電荷が増加し始める。コンデンサ電圧が再びVDD_SCALEDに到達すると、ACMPOUTが切り替わり(高くなり)、参照電圧として再びVDD/4が選ばれ、そしてこのサイクルが繰り返される)。上記電圧がかけられる電極12の充電と放電との繰り返しは薄いグレーの線で示している。その電極12の電荷または電圧の増減はそれぞれ特有の割合で生じていることがわかる。
【0045】
ユーザーによる始動において、つまりユーザーが喫煙材物品5を装置1に挿入し、(例えば何らかのアクチュエータースイッチによって、および/またはパフ駆動センサーの使用によって)ある1つのセッションを開始した時、装置1の制御装置は容量センサー15を同様の方法で読み取る。繰り返しになるが、好ましくは装置1の電子制御回路7の制御装置の制御の下で高い「励起」電圧が電極12の内の1つに印加される。これによって電極12の内の1つにおける電荷ひいては電圧が上昇し、これはは容量センサー15という関連部分の電気抵抗および静電容量によって規定される特有の割合で上昇する。またこの高い「励起」電圧は電圧制御部21にかけられ、そして第1スイッチ22の入力電圧VDD_SCALEDをオペアンプ16の反転入力18にかけるため、第1スイッチ22が閉じ、第2スイッチ24が開く。その電極12の電圧、これはオペアンプ16の非反転入力17にかけられる、が所定の閾値(この例では第1スイッチ22の入力電圧VDD_SCALED)に到達すると、オペアンプ16の出力が切り替わる。こうすることで第1スイッチ22が開き、第2スイッチ24が閉じ、第2スイッチ24の入力電圧VDD/4をオペアンプ16の反転入力18にかける。同時に、その電極12の電荷が抵抗器21を通じで流し出され、電極12の内の1つの電圧が容量センサー15という関連部分の電気抵抗および静電容量によって規定される特有の割合で落ちる。その電極12の電圧が第2の所定の閾値(この例では第2スイッチ24の入力電圧VDD/4)に到達すると、オペアンプ16の出力が元の状態に切り替わり、このプロセスが繰り返される。
【0046】
この場合、喫煙材物品5が電極12の間に存在しているので、容量センサー15の静電容量は異なる。つまり上記電圧がかけられた電極12の電圧の増減は異なる速度(そして異なる波形)で起こる。これは図6から明らかであり、この図において上側の軌跡は(図5と同様に)喫煙材物品5がない時のこの電極12の検出電圧の変化を表し、下側の軌跡は喫煙材物品5が電極12の間にある時の電極12の内の1つにおける検知電圧の変化を表している。これから明らかなように喫煙材物品5が電極12の間にあると今回の場合は静電容量が多くなるので、喫煙材物品5が電極12の間にある時は電圧の上昇割合そして同様に電圧の減少割合が小さくなる。
【0047】
電極12の間に喫煙材物品5がある時とない時の静電容量の差は、喫煙材物品5が存在するか否か、特に正確なまたは適切な喫煙材物品5が存在するか否かを判断する数多くの方法で検出可能である。例えば、図6の上下の模式図で示した電圧の軌跡の差は、喫煙材物品5が電極12の間にある時の静電容量の指標を得るために使用可能である。別の例では、装置1の電子制御回路7の制御装置は、規定時間内において起こる(高電圧から低電圧への)遷移の回数をカウントする。充電および放電の速度は容量センサー15における静電容量と相関するので、規定時間内において起こる遷移の回数はその時の静電容量と相関する。喫煙材物品5がある時などの比較的大きい静電容量では、規定時間内での遷移は少なくなる。装置1の電子制御回路7の制御装置は規定時間内において起こる遷移の回数と、較正プロセス(即ち喫煙材物品5がなかった時)の間に得る遷移の回数とを比較する。ある時間内における遷移回数が所定の閾値を下回ったり所定の範囲内に収まったりしたら、その喫煙材物品5は真正品であると認定し、そのセッションを完了させてその結果喫煙材物品5が加熱される。もし逆にある時間内における遷移回数が所定の閾値を上回ったり所定の範囲内を外れたりしたら、その喫煙材物品5は真正品であると認定せず、加熱セッションは開始されない。任意であるが、上述したようにユーザーに別個に通知することもできる。あるいは、喫煙材物品5が装置1に存在する時の遷移回数に対する閾値は、(高電圧から低電圧への)遷移回数に対してある絶対的な閾値を使用するのではなく、(上述した較正フェーズのような)喫煙材物品5が装置1に存在しない時の遷移回数に対するある特定の割合またはパーセンテージであってもよい。当然のことながら、ある特定の時間に亘る容量センサーにおける最大圧力と最低圧力との間の遷移回数は、容量センサー15の充電/放電の割合の指標となる。限定する意図はないが特定の例では、公称値はVDD_SCALEDが2.25V、VDD/4が0.56V、測定時間が0.1秒、測定時間当たりの遷移回数が1000である。試験中の実際の特定の例では、喫煙材物品5が装置1にない時の測定時間当たりの遷移回数は1100であり、喫煙材物品5が装置1にある時の測定時間当たりの遷移回数は1050であった。
【0048】
これとは別に喫煙材物品5を容量検知するための(少なくとも)2つの電極12を備える装置1は、上述したように、即ち1つの電極が実質的にコンデンサの「プレート」を供し、喫煙材物品5(または喫煙材物品5の少なくとも一部の特徴、例えば上述し、以下詳述するマーカーまたは印)によってコンデンサの他の「プレート」が供されるように作動してもよい(これは、2つの電極12の間の静電容量を検知するという上述の特定例とは相反する)。喫煙材物品5が装置1に挿入されると、装置1の電極12と喫煙材物品5との組み合わせによって形成される静電容量の指標が得られ、そして装置1が喫煙材を加熱し続けるか否かを判断するために1つ以上の基準と比較される。この目的のため装置1の開口端3周囲に位置する複数の電極12を備えることは、装置1における長軸X−X周りの喫煙材物品5の向きが重要でなくなる点で有利である。概して、電極12のうち少なくとも1つが静電容量を検知可能なほど喫煙材物品5の近くにあるはずだからである。
【0049】
図2〜4の特定例において、2つの電極12は概ねまたはほとんど半円形であり、外方ハウジング2の反対側において向き合っており、ハウジング2に収容される際に喫煙材物品5が通過するほぼ円形の開口を画定する。異なる形状または配置が電極12において使用可能である。
【0050】
例えば、図8および9は、ハウジング802内に収容された喫煙材物品805を容量検知で検知するため、外方ハウジング802の開口端803近くに配置される(少なくとも)2つの電極812を使用する別の例の装置801を示している。図2および3の例の対応部品と同一であるか、または少なくとも機能的に似ている構成要素および回路には「800」を加えて同様の参照番号を付している。従って図8および9で示すこの例の装置801は、加熱チェンバー804、電子制御回路807および電力源808を含む電子装置/動力チェンバー806、ヒーター支持スリーブ809、複数の加熱エレメントまたはヒーターセグメント810、およびオン/オフスイッチ811等を含む。これらは全て、図2〜4の模式図の対応構成要素と同一でもよく、または少なくとも機能的に似ているだけでもよい。異なる加熱構成も可能である。例えば、赤外線を照射して加熱する赤外線ヒーターセグメント810、またはヒーターセグメント810周囲にある抵抗性電気巻線などから形成される抵抗性加熱エレメントが挙げられる。さらに別の加熱配置も使用可能である。
【0051】
図8および9の例において、2つの電極812は互いにかみ合っている。図2および3の例と同様、電極812は接続ワイヤー814を介して検知回路813に接続されている。検知回路813は、電子制御回路807の一部、例えば上述したマイクロプロセッサーなどの制御装置の一部として設けられてもよく、あるいは別個の回路として設けられてもよい。あくまで例示を目的とし限定する意図はないが、図9は、間に喫煙材物品805が挿入された状態(かつ装置801の他の部品が省かれた状態の)の電極812を強調して示す斜視図である。上述の例では、電極812と検知回路813との組み合わせが容量センサーを供する。この例では、検知回路813は、コンデンサ電極812の内の1つに電圧をかける工程と、そのコンデンサ電極812から電圧を逃す工程とを繰り返す。もう一方のコンデンサ電極812はアースされている(具体的には、装置801の外方ハウジング802に電気的に接続されている)。喫煙材物品805が「真正」であるか否かを判断するため、電極812によって供される静電容量、およびハウジング802内部に喫煙材物品805を収容した時に静電容量がどのように変化するかをモニターする。これは上述した主要例と同様に実行されてもよい。即ち喫煙材物品805をハウジング802に収容する前の較正フェーズの間および喫煙材物品805をハウジング802に収容している時の双方においてコンデンサ電極812の内の1つを充電し、そのコンデンサ電極812から電圧を逃すことと規定時間内に起こる(高電圧から低電圧への)遷移の回数をカウントすることを交互に行う。ここでも他の方法も使用可能である。
【0052】
このように、図8および9の例において、2つの電極812は互いにかみ合っている。即ち、この例ではそれぞれの電極812はほぼ環状であり、装置801の長軸とほぼ平行に延びている複数のキャスタレーションまたは「指」820を備えている。電極812の重なる領域の面積が広くなるようにして効果的な静電容量を増加させるため、1つの電極812の指820が他の電極820の指820の間に位置するように、電極812は装置801の外方ハウジング802の中に配置される。この例では、各電極812の指820の間のかみ合いは滑り嵌めであり、これが好ましいが、隙間(接触しない)嵌めも可能である。
【0053】
図10〜12は、ハウジング内に収容された喫煙材物品を検知するための抵抗検知が使用される実施態様の例の模式図である。図2および3の例における対応部品と同一であるかまたは少なくとも機能的に似ている構成要素および回路には、「1000」を加えているが同様の参照番号を付している。従って図10〜12で示す例示装置1001は、開口端1003を備える外方ハウジング1002、使用時には喫煙材物品1005を収容する加熱チェンバー1004、電子制御回路1007および動力源1008を含む電子装置/動力チェンバー1006、ヒーター支持スリーブ1009、複数の加熱エレメントまたはヒーターセグメント1010、およびオン/オフスイッチ1011等を含む。これらは全て、図2〜4の模式図の対応構成部品と同一でもよくまたは少なくとも機能的に似ているだけでもよい。異なる加熱構成も可能である。例えば、赤外線を照射して加熱する赤外線ヒーターセグメント1010、またはヒーターセグメント1010周囲にある抵抗性電気巻線などから形成される抵抗性加熱エレメントが挙げられる。さらに別の加熱構成も使用可能である。
【0054】
図10〜12の例では、装置1001は外方ハウジング1002の開口端1003近くに位置する少なくとも2つの導電抵抗接点または電極1050を有する。この2つの電極1050は湾曲しており、ハウジング1002に収容される際に喫煙材物品1005が通過するほぼ円形の開口を画定するようそれぞれの電極1050はほぼ半円形の断面をしている。この2つの電極1050は柔軟性のあるまたは弾力のある材料から形成してもよく、互いに向かい合うように僅かに内向き方向に配置されてよい。こうすることで、喫煙材物品1005が装置1002に導入される際、喫煙材物品1005と物理的に接触し易くなる。
【0055】
電極1050は接続ワイヤー1014を介して検知回路1013に接続している。検知回路1013は、電子制御回路1007の一部、例えば上述したマイクロプロセッサーなどの制御装置の一部として設けられてもよく、あるいは別個の回路として設けられてもよい。あくまで例示を目的とし限定する意図はないが、図11は、間に喫煙材物品1005が挿入された状態(かつ装置1001の他の部品が省かれた状態の)の電極1050を強調して示す斜視図である。電極1050と検知回路1013との組み合わせが抵抗センサーを供する。
【0056】
電極1050によって効果的に測定される電気抵抗、およびハウジング1002内部に喫煙材物品1005を収容した時に電気抵抗がどのように変化するかをモニターして喫煙材物品1005が「真正」であるか否かの判断を下すことができる。例えば電極1050を通るように参照電圧Vddを加えて、出力電流を検出する電子制御回路1007によってこれを実行してもよい。高い電流は電気抵抗が小さいことを示し、小さい電流は電気抵抗が大きいことを示す。抵抗の絶対的指標が得られる。繰り返しになるが、他の方法も使用可能である。
【0057】
ある実施態様の別の例では、上述した例のいずれかの組み合わせを用いて、容量検知および抵抗検知を組み合わせて使用する。概して、こうすることで喫煙材物品に関してより多くの情報が得られる。これによって得られるべき喫煙材物品のより正確な識別が可能となり、および/または喫煙材物品の中により多くの情報を効果的に暗号化できる。ある特定の実施態様では、これによって、もし何らかの理由で容量検知および抵抗検知の一方がうまく機能しない場合、他方が装置に導入されている喫煙材物品を識別するよう使用され得るという点で、ある程度の重複性を供する。容量検知および抵抗検知は装置の同一の電極を使用して実行してもよく、容量検知および抵抗検知はそれぞれ専用の電極を使用してもよい。
【0058】
上述した電極は、容量検知用の容量パッドまたは抵抗検知用の抵抗接点などの形状に関係なく、概ね導電性である。容量検知用電極の場合、使用時に喫煙材物品が装置に収容されるまたは接続される時に喫煙材物品と電気的に絶縁されるよう、電極は装置またはハウジング本体中に機械的に配置されることが好ましい。抵抗検知用電極の場合、使用時に喫煙材物品が装置に収容されるまたは接続される時に喫煙材物品と物理的に接触するよう、電極は装置またはハウジング本体中に機械的に配置されることが好ましい。電極に用いられる好適な素材としては銅または銅を含む合金が挙げられる。この中でも容量検知の場合は銅ホイル、抵抗検知の場合はベリリウム−銅合金が好ましい。
【0059】
図13において、マーカーまたは印131が設けられたまた形成された喫煙材物品130の例を長軸方向に切断した断面の模式図で示している。マーカーまたは印131の例は後述する。喫煙材物品130は、少なくともいくつかの本明細書で説明する喫煙材の加熱用装置と併せて使用される。印131の配置は特定の加熱用装置において異なってもよく、また別々に最適化してもよい。
【0060】
喫煙材物品130は喫煙材ロッド132を有する。上述したように、喫煙材は如何なるタバコ含有材料を含んでもよく、例えばタバコ、タバコ誘導体、膨張タバコ、再構成タバコまたはタバコ代替物の内の1つまたはそれ以上を含んでもよい。また「喫煙材」にはニコチンを含む否かに拘わらず他の非タバコ製品を含んでもよい。喫煙材ロッド132は開口チューブフィルター133に隣接している。ロッド132およびフィルター133は組み合わされ、従来の方法でチッピング紙134に巻かれて一緒に保持される。
【0061】
図示の例では、マーカーまたは印131はチッピング紙134に設けられている。図示の例で印131は、組み立てられた喫煙材物品130において喫煙材物品130を完全に一周する材料からなるバンドの形体である。加熱用装置内における喫煙材物品130の特定の向きが重要ではないので、この構成では上述した加熱用装置の例による印131の性状の測定が簡単になる。他の構成も使用可能である。例えば、必ずしも全ての場合において印131が喫煙材物品130を完全に一周する必要もなく、代わりに印131は規則的もしくは不規則な市松模様または喫煙材物品130を囲む規則的もしくは不規則な間隔を置いて配置されるバンドもしくはストリップなどの別の非連続パターンとして形成されてもよい。図14は、喫煙材物品130を組み立てる前の1つのバンドの印131を有するチッピング紙134の一例を示している。図15は、喫煙材物品130を組み立てる前の実際上2倍幅であり対向縁部に1対のバンドの印131を有するチッピング紙134の一例を示している。製造段階で、対の喫煙材物品130が形成される際に、2倍幅のチッピング紙134は中央から切断される。
【0062】
大きさに関する考えを記載すると、ある特定の例では(喫煙材物品130の長さと平行方向で)喫煙材ロッド132は長さが約53mm、フィルター133は長さが30mm、チッピング紙は幅が35mmである。印131の幅は(再度喫煙材物品130の長さと平行方向で)約4mmである。喫煙材物品の製造工程を邪魔しないように、かつ、加熱用装置に喫煙材物品を挿入しにくくしないように、印131の厚さは薄い方が好ましい。具体的には、印131の厚さは約0.03〜約0.3mmの範囲内であり、より好ましくは約0.03〜約0.05mmの範囲内である。当然のことながら喫煙材物品の表面に印131を埋め込むのであれば、事実上厚さが全くない。他方、満足し得る良好な検知を達成し得るために最小限の厚さが好ましい特定の用途もあり得る。
【0063】
喫煙材物品130と共に使用されるのが意図された加熱用装置の特定の検知構成に応じて、マーカーまたは印131を数多くの異なる方法で形成してよく、数多くの異なる材料で形成してもよい。例えば、印131は喫煙材物品130の外面に付してもよく、喫煙材物品130の内面に付してもよく、喫煙材物品130の外面および内面の両方に付してもよく、および/またはチッピング紙134の材料中に埋め込んでもよい(限定する意図はなく図示する目的で、図13では印131を強調して示している)。抵抗検知を使用する場合(それのみであるか、容量検知などの他の検知との組み合わせであるかに拘わらず)、加熱用装置の抵抗検知用電極が印131と電気的に良好に接触するように喫煙材物品130の外側に印131が設けられることが好ましい。容量検知を使用する場合、印131を喫煙材物品130の外面および内面に設けてもよく、および/または別個の印131を喫煙材物品130の外面および内面に設けてもよい。マーカーまたは印131は、例えば印刷などによって喫煙材物品130上に文字通り「マーク」されてもよい。これとは別に製造時に喫煙材物品130と一体に形成するなどの別の技術によって、喫煙材物品130中にまたは喫煙材物品130上にマーカーまたは印131を設けてもよい。
【0064】
ある特定の例では、そして喫煙材物品130を検知、識別するため使用される検知方法の特性に応じて、印131は導電性材料で形成される。例えば印131は導電性インクであってもよい。例えばグラビア印刷方法、スクリーン印刷、インクジェット印刷または他の好適な方法で、このインクはチッピング紙134上に印刷されてもよい。
【0065】
使用時、喫煙材物品130が加熱用装置と関連付けられた際の静電容量の変化を検知するよう配置された容量センサーを使用する加熱用装置、そして特に、実質的にコンデンサの1対の「プレート」を供する(少なくとも)2つの電極を使用する加熱用装置について、以下の事項が関連する。導電性の印またはマーカー131を有する喫煙材物品130は、1つのセンサー電極をもう一方の電極に電気的に連結する独自の回路を形成する。この連結の効果および結果は喫煙材物品130および/または特に印131の生来の電気抵抗Riと静電容量Cによって影響される。一般的に電気抵抗Riは主として、例えば印131に選ばれるインクの種類および組成並びに印131の厚さおよび幅によって決定される。従って、印131のインクの選択は、適用する厚さと同様に、ある幅の範囲に亘りRi特性を制御する方法を供する。一般的に静電容量Cは主として、印131の軸幅および加熱用装置の電極と印131との距離によって決定される。次にこの距離は、電極同士の配置間隔および喫煙材物品130の厚さ(つまり直径)によって決定される。したがって、喫煙材物品130上の検出電極と印131との間の連結または「C」特徴的容量連結は、加熱用装置における喫煙材物品130の「嵌り方」を通して、例えば喫煙材物品130の厚さまたは直径の適切な設定および検出電極の軸幅および印131の軸幅の制御によって、決定または制御される。
【0066】
特に好適な材料は、非金属導電性インク、つまり電気的に伝導性であるが金属材料を全く含まないかまたは少なくとも金属材料を実質的に全く含まないインク、であることが判明している。このインクは例えば炭素を含んでもよく、この炭素は黒鉛の形体であってもよい。よってインクは炭素系非金属導電性インクであってもよい。ある特定の例におけるインクの重量電気抵抗は約30,000〜約300,000Ω・g/mの範囲内である。特に好ましいと判明している例の重量電気抵抗の特定値は、約38,000Ω・g/m、約150,000Ω・g/mおよび約290,000Ω・g/mである。
【0067】
ある特定の例では、インクは黒鉛粉末とバインダーとして機能する樹脂とを主成分として含んでもよいし、これらのみから構成されてもよい。インクは粒径の大きいものから小さいものまでの雑多な集合体である黒鉛を使用してもよい。この中で比較的大きな粒子が電気伝導の主要経路を形成して、比較的小さい粒子が大きい粒子の間の隙間を「充填する」。比較的粒径の大きい粒子を使用すると粒子間の個々の接触点の数を減らすことで通電性は向上する。別の例では、インクはカーボンナノチューブを用いる結晶構造を有している。
【0068】
この目的のため好適なインクには、アメリカ合衆国オハイオ州のEngineered Materials Systems Incが提供するCI−2001およびCI−2004通電性炭素インクが挙げられることが判明している。これらインクは、例えば接触域において物理的もしくは環境的な保護を供するため、または電気抵抗要件を調整するために、印刷回路基板やその類などの印刷電子装置で使用するためのものである。
【0069】
当該技術分野で周知な技術を含む他の技術と比較して、本発明の実施態様には数多くの優位性がある。本願の検知構成は良好なシグナル/ノイズ比を供する。これは特に容量検知の場合顕著である。信号処理における電気的動力の消費量が減り、より正確により迅速に決定が可能となるので、これは電池駆動装置における特有の利益である。加えて一般的に、喫煙材物品の製造において、喫煙材物品の外径はある範囲に亘り変化するという製造許容誤差がある。そのような変化は実際上例えば2%〜5%程度の場合がある。ある特定の場合では、喫煙材物品の外径は約5.3mm〜約5.45mmで変化する。その程度の変化は、特に本明細書で開示する種々の容量検知配置を含む本願の検知配置によって良く順応される。これは重要な事である。誤って発生し、真正の喫煙材物品が意図せず拒絶されることを招く「見逃し(false negative)」の数を最小限に留めることができるからである。本願の検知配置は、他の技術と比べて、入力/出力接続を減らして使用する電子構成要素を少なくし得るものである。
【0070】
様々な課題を解決し技術を発展させることを目的として、図示を含むこの開示全体は、請求項に係る発明を実施して喫煙材を燃焼させず加熱するよう配置された優れた装置を提供し得る種々の実施形態を示している。この開示の利点および特徴は、実施形態という典型的な例を示すことのみであって、包括的および/または排他的ではない。それらは理解を助けるため、および請求された特徴を教示するためだけに提出される。当然のことながら、開示の利点、実施態様、例示、機能、特徴、構造および/または他の側面は請求項または請求項の均等物の限定によって定義されるように、開示されたものに限定されず、また開示の範囲および/またはその意図から外れない限り他の実施態様を利用しても良く、変更を加えても良い。種々の実施態様は、説明した要素、成分、特徴、部品、工程、手法などの種々の組み合わせを適宜含んでも良いし、それらのみから構成されても良いし、またはそれらを主に構成されても良い。加えて、この開示は現在請求していないが将来請求し得る他の発明を含んでいる。
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