(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348992
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】TDIラインイメージセンサ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/378 20110101AFI20180618BHJP
H04N 5/372 20110101ALI20180618BHJP
【FI】
H04N5/378
H04N5/372 060
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-567850(P2016-567850)
(86)(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公表番号】特表2017-516413(P2017-516413A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】KR2015004855
(87)【国際公開番号】WO2015174761
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0058501
(32)【優先日】2014年5月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513303186
【氏名又は名称】ビューワークス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ジョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ギョン リョル
【審査官】
松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/021417(WO,A1)
【文献】
特開2013−098420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225−5/378
H04N 9/00−9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
M個のCCDが一列配列されたラインセンサーと、スキャン方向に並列にN個の前記ラインセンサーが配列されて、前記ラインセンサーのコラム別に蓄積された電荷を並行方向に移動させて蓄積する画素部;および
前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に並列入力を受けてAD変換して保存した後順次出力する出力部を含み、
前記出力部は、
前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に電荷保存ノードに並列入力を受けてそれぞれ増幅するためのM個の増幅器;
前記増幅器から出力される各信号をAD変換するM個のAD変換器;および
前記AD変換器の出力を保存して順次出力するメモリーバッファー;を含み、
前記増幅器は、前記画素部のN個の前記ラインセンサーのうち最後のラインセンサーから電荷が移動して蓄積された電荷保存ノードの電位によりターンオンされて電圧値を出力するソースフォロワ増幅器であることを特徴とする、TDIラインイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はTDIラインイメージセンサーに関するもので、より詳細にはCCD素子を通じてTDI(Time Delay Integration)方式で電荷を蓄積するように画素部を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラムの電荷をAD変換してメモリーバッファーに保存した後、順次出力するように構成することによってCCD素子とCMOS素子の特性による解像度と転送速度を向上させるだけでなく、消費電力とノイズを低減させることができるようにしたTDIラインイメージセンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、生産設備が大量化、自動化および精密化されるにつれて、人の肉眼または各種センサーに依存していた機能が次第にイメージセンサーを採用するビジョンマシン(vision machine)に代替されている傾向にある。このようなイメージセンサーに主に使用されている半導体素子が電荷結合素子(charge coupled devices;CCD)である。
【0003】
CCDは一つの素子から隣接した他の素子に電荷を転送できる素子を意味する。このようなCCDを採用したセンサーは光量による各セル(cell)内の自由電荷量の変化を電気的信号に変換する構造を有する。
【0004】
構造的に、CCDは大きく、実際の光量によって電荷が蓄積されるセル領域および蓄積された電荷を順に転送する通路の役割をするシフトレジスター(shift register)で構成される出力部を含む。
【0005】
CCDは各セルがどのようなアレイ(array)に配置されて映像を生成するかによって、領域スキャン(area scan)方式、ラインスキャン(line scan)方式、TDI(Time Delay Integration)ラインスキャン方式などに分かれる。
【0006】
ラインスキャン方式のイメージセンサ(以下「ラインセンサ」という)は、画像光を受光するピクセルがライン上に配列された1次元センサーである。2次元に広げられた画像を撮像する場合には、ラインセンサまたは被写体を移動させて被写体を一ラインずつ順に撮像する。
【0007】
すなわち、ラインスキャン方式は一度に一ラインずつ任意の速度で露出および転送する方式であり、領域スキャン方式に比べて低費用で高速および高分解能映像を得ることができるという長所を有する。例えば、2048*2048のフレームを得るために、領域スキャン方式は4Mのピクセル(pixel)数を必要とするのに反して、ラインスキャン方式は2Kのピクセルさえあれば2048*2048だけでなく2048*1000などの多様な大きさのフレームを得ることができる。
【0008】
しかし、高速で移動する被写体を撮影する場合や、ラインセンサーを高速に移動させて被写体を撮影するときのように、高速スキャンを遂行する場合、各ラインごとに高速で電荷の蓄積と転送を繰り返すことになるため、一ライン当たりに電荷を蓄積できる時間が短くなって画像の光量が不足する。このように、光量に対する要求が増加しても、照明装置の限界のために光量を無制限に増加させることができない。
【0009】
したがって、PPD(pinned−photodiode)、CMOSセンサなどの材料を改善して感度を高める研究が進められている一方、複数のラインセンサーを並べて光量を累積させて感度を高める方法も提案されている。
【0010】
TDIラインスキャン方式のイメージセンサ(以下、「TDIラインイメージセンサ」という)は、ラインセンサーがスキャン方向に複数段配列されたもので、各ラインのCCDで蓄積された電荷を画像の移動と同期させて次のラインのCCDに転送する。このような過程を最後のラインセンサーまで繰り返して電荷を重ねた後出力することによって、結果的に高速スキャンにおいても光量を十分に満足する画像を得ることができる。
【0011】
本発明の背景技術は、大韓民国公開特許公報第2009−0023573号(2009.03.05.公開、発明の名称:TDI−CCDイメージセンサーを制御するための方法)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このようなTDIラインイメージセンサーの場合、各ラインのCCDで蓄積された電荷を隣接した次のラインのCCDに並行移動により最後のラインまで移動させて蓄積した後、最後のラインに蓄積された電荷を垂直移動させて信号処理部に出力することによって、ライン単位で各セルに対して順次データを処理することができるようにする。
【0013】
前記において、CCDに蓄積された電荷を隣接したラインに並行移動させる時は画像の移動と同期して並列に移動されるが、蓄積された電荷を信号処理部に出力するために垂直移動させる時は停止した状態で一つずつ直列移動させて転送するため、垂直移動時に多くの時間が要されるという問題点がある。
【0014】
特に、TDIラインイメージセンサーの場合、スキャン方向に並列に配列されたラインの数よりは高い解像度のために、各ラインに沿って一列配列されたCCDの数が相対的に多いため、TDIラインイメージセンサーを通じてイメージをスキャンするために要される多くの時間が蓄積された電荷を垂直移動させて出力することに起因する問題点がある。
【0015】
本発明は前記のような問題点を改善するために創出されたもので、本発明の目的はCCD素子を通じてTDI(Time Delay Integration)方式で電荷を蓄積するように画素部を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラムの電荷をAD変換してメモリーバッファーに保存した後順次出力するように構成することによって、CCD素子とCMOS素子の特性による解像度と転送速度を向上させるだけでなく、消費電力とノイズを低減させることができるようにしたTDIラインイメージセンサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一側面に係るTDIラインイメージセンサーは、M個のCCDが一列配列されたラインセンサーと、スキャン方向に並列にN個のラインセンサーが配列されてラインセンサーのコラム別に蓄積された電荷を並行方向に移動させて蓄積する画素部;および画素部に蓄積された電荷をコラム別に並列入力を受けてAD変換して保存した後順次出力する出力部を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明において出力部は、画素部に蓄積された電荷をコラム別に電荷保存ノードに並列入力を受けてそれぞれ増幅するためのM個の増幅器;増幅器から出力される各信号をAD変換するM個のAD変換器;およびAD変換器の出力を保存して順次出力するメモリーバッファー;を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明において増幅器は、ソースフォロワ増幅器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るTDIラインイメージセンサーは、CCD素子を通じてTDI(Time Delay Integration)方式で電荷を蓄積するように画素部を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラムの電荷をAD変換してメモリーバッファーに保存した後順次出力するように構成することによって、CCD素子とCMOS素子の特性による解像度と転送速度を向上させるだけでなく消費電力とノイズを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーを示したブロック構成図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーの画素部の構造を示した図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーで電荷の移動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーを説明する。この説明過程で図面に示された線の太さや構成要素の大きさなどは説明の明瞭性と便宜上誇張して示されることもある。
【0022】
また、後述の用語は本発明での機能を考慮して使用された用語であって、これは使用者、運用者の意図または慣例により変更され得る。したがって、このような用語に対する定義は本明細書の全般にわたる内容に基づいて定められるべきである。
【0023】
図1は本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーを示したブロック構成図で、
図2は本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーの画素部の構造を示した図であり、
図3は本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーで電荷の移動を説明するための図である。
【0024】
図1と
図2に図示された通り、本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーは画素部10および出力部20を含む。
【0025】
画素部10はM個のCCD14が一列配列されたラインセンサ12と、スキャン方向に水平にN個のラインセンサ12が配列されて、TDI方式でラインセンサ12_1〜12_Nのコラム別に蓄積された電荷を水平方向に移動させて蓄積する。
【0026】
すなわち、
図3に図示された通り、各CCD14のV1、V2、V3電圧を順に制御することによって、CCD14に蓄積された電荷が隣接したCCD14に移動され、これによって電荷保存ノード(FD)に重ねて出力される。
【0027】
画素部10の構成は一般的なTDIラインイメージセンサーの画素部の構成と対応すれるため、本実施例ではその具体的な構成に対する説明は省略する。
【0028】
出力部20は画素部10に蓄積された電荷をコラム別に並列入力を受けてAD変換して保存した後順次出力するように、増幅器22、AD変換器24およびメモリーバッファー26を含む。
【0029】
増幅器22は画素部10で蓄積された電荷をコラム別に電荷保存ノード(FD)に並列入力を受けてそれぞれ増幅するために、一つのラインセンサ12に配列されたCCD14の個数に対応するようにM個を具備する。
【0030】
この時、増幅器22は画素部10の最後のラインセンサ12_Nから電荷が移動して蓄積された電荷保存ノード(FD)の電位によりターンオンされて電圧値を出力するソースフォロワ増幅器で構成することができる。
【0031】
AD変換器24はM個の増幅器22から出力される各信号をAD変換する。
【0032】
メモリーバッファー26はM個のAD変換器24でデジタル信号に変換された画像信号を保存した後順次出力して信号処理部(図示されず)でライン別に画像信号を処理することができるようにする。
【0033】
このように構成されたTDIラインイメージセンサーをスキャンして撮影すると、TDI方式で画素部10の各ラインセンサ12のCCD14に蓄積された電荷はスキャンと同期して隣接したラインセンサ12にコラム別に移動されて出力部20の電荷保存ノード(FD)に出力される。
【0034】
電荷保存ノード(FD)に蓄積された電荷は増幅器22を通じて増幅された後、AD変換されて信号(Signal)として出力される。以後、リセットゲート(RG)を通じて電荷保存ノード(FD)をリセットレイン(RD)に連結された電圧(VDD)にリセット(Reset)させて次のラインセンサ12の電荷の入力を受けることができるようにする。
【0035】
このように画素部10をCCD素子によるTDI方式で構成することによって光量を十分に満足する高分解能の映像を得ることができる。
【0036】
また、出力部20の電荷保存ノード(FD)に保存された電荷はCCD素子を通じて移動させるのではなく、増幅器22を通じて増幅した後AD変換器24でデジタル信号に変換してメモリーバッファー26に保存した後出力することによって、CMOS素子によって集積度を向上させることができるだけでなく、少ない電力で転送速度を向上させることができる。
【0037】
上述した通り、本発明の実施例によるTDIラインイメージセンサーによれば、CCD素子を通じてTDI(Time Delay Integration)方式で電荷を蓄積するように画素部を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラムの電荷をAD変換してメモリーバッファーに保存した後順次出力するように構成することによって、CCD素子とCMOS素子の特性による解像度と転送速度を向上させるだけでなく消費電力とノイズを低減させることができる。
【0038】
本発明は図面に示された実施例を参照して説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術が属する分野で通常の知識を有した者であればこれから多様な変形および均等な他の実施例を実施可能であることが理解できるであろう。
【0039】
したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲によって定められるべきである。