(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ライブ画像データと記憶画像データを合成して合成画像データを生成し、前記合成画像データの所定のポイントを起点に所定の閾値を超える輝度変化ポイントを接続してエッジ切り出し矩形画像データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【背景技術】
【0002】
従来の溶岩ドームの隆起監視は、カメラ映像を監視している監視者の感覚に頼る部分が殆どである。不定期での手動によるカメラ映像のスナップショット画像を印刷などで保存しておき、画像比較が必要となった場合に目視での比較を行い、両画像の僅かなズレを見つけ出さなければならない難しさがあった。また、画像からの溶岩ドームの検出、山の稜線検出は、太陽光の強弱による変化や時間帯、天候、季節により輝度が毎回変わるため、画像変化を見誤る問題があった。
【0003】
先行技術文献としては、例えば、特許文献1に、撮影位置の緯度、経度、標高を計測する工程と撮影位置より撮影対象領域および該撮影対象領域の特定点およびスカイラインを含む写真画像を得る工程と該写真画像より写真画像スカイラインを得る工程と既知の地形標高データより該特定点を利用して該撮影位置から該撮影対象を見た地図上の地図上スカイライン得る工程と該写真画像スカイラインを該地図上スカイラインにマッチングさせることによって座標変換式を得る工程と該座標変換式を用いて撮影位置から撮影された写真画像を鉛直上方からみた地図(正射画像)に変換する工程を行う発明が開示されている。
【0004】
他の先行技術文献としては、例えば、特許文献2に、山体監視用のテレビカメラと、該テレビカメラからの映像信号を基に所定の画像処理を行なう画像処理手段とを具備し、前記画像処理手段は、前記テレビカメラからの映像信号を用いて、山体の形の変化前と変化後の平面的な変化量を測定し、かつGIS機能を搭載した地図情報を記憶手段に持ち、該記憶手段に記憶されているディジタル地図に前記テレビカメラで撮影した映像をオーバラップすることにより、立体的な崩落量を測定する発明が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図9は本発明の一実施形態に係る監視システムを説明するための図である。
図9において、監視システム90は、監視装置91、ネットワーク92、記録装置93、撮像装置94で構成されている。
監視装置91は、画像処理が行えるPC(Personal Computer)等であり、画像データを記憶する記録装置93を内蔵していてもよい。
監視対象物95は、例えば、山、溶岩ドーム、稜線、岩盤、河川等の自然災害が発生する可能性のものである。
【0013】
記録装置93は、撮像装置94が撮影した監視対象物95の画像データをネットワーク92を介して取得し、取得した画像データを記憶する。
監視装置91は、撮像装置94が撮影したライブ画像データと記録装置93が記憶している画像データを比較処理する。または、記録装置93が記憶している画像データ同士を比較処理する。
【0014】
次に、画像データを比較処理する一実施例について
図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る監視装置の画像比較を説明するための図である。
図1(A)は監視装置91が撮影しているライブ画像データ11であり、
図1(B)は記録装置93が記憶している記憶画像データ12であり、
図1(C)は、ライブ画像データ11と記憶画像データ12の合成である合成画像データ13である。
【0015】
監視装置91は、監視者が容易に監視対象物95の変化を確認できるようにするため、記録装置93に記憶してある所定の同一画角で周期的に保存した監視対象物95の記憶画像データ12をスライドショーで表示した記憶画像データ12と、現在のライブ画像データ11を重ね合わせた合成画像13データを表示し、記憶画像データ12を徐々に透かせることでライブ画像データ11との重畳表示により差分画像データを生成する。または、ライブ画像データ11を徐々に透かせることで記憶画像データ12との重畳表示により差分画像データを生成する。
【0016】
次に、監視装置91が行う撮像装置94で撮影した撮影画像データまたは記録装置93に記憶した記憶画像データの画像処理について
図2〜
図6を用いて説明する。
図2は本発明の一実施形態に係る監視装置の輝度ポイントのエッジ切り出し画像を説明するための図である。
監視装置91は、入力した山の撮影画像データ21から輝度変化ポイントを基にエッジ切り出し矩形23を生成する。
なお、基準点22は、監視者が画像上の任意箇所に目印マーキングした点である。
【0017】
図3は本発明の一実施形態に係る監視装置の輝度ポイントのエッジ切り出し画像を説明するための図である。
監視装置91は、入力した溶岩ドームの撮影画像データ31から輝度変化ポイントを基にエッジ切り出し矩形33を生成する。
なお、基準点32は、監視者が画像上の任意箇所に目印マーキングした点である。
【0018】
図4は本発明の一実施形態に係る監視装置のトレーサビリティを説明するための図である。
監視装置91は、撮像装置94で撮影した撮影画像データまたは記録装置93に記憶した記憶画像データに撮影日時やコメント等をコメント入力欄43に付加情報として重畳させ、記録装置93に記憶させる。これらの付加情報は、後からの検索や災害の発生前から発生までのトレーサビリティを担保するのに役立つ。
【0019】
図5は本発明の一実施形態に係る監視装置の測定用スケールを説明するための図である。
監視装置91は、
図3の画像データと同じ溶岩ドームの画像データ51(
図3では31)に測定用スケール54を重畳させる。測定用スケール54は撮像装置94の画角やズーム倍率、被写体までの距離等から求めることができる。
監視装置91は、測定用スケール54を基にエッジ切り出し矩形53の大きさを測定することができる。
なお、基準点52は
図3の基準点52と同じものである。
【0020】
図6は本発明の一実施形態に係る監視装置の測定用スケールを説明するための図である。
図6において、山頂噴火画像61は撮像装置94で撮影した撮影画像データである。
監視装置91は、輝度変化ポイントを基に山頂噴火画像61から噴火に関係したエッジ切り出し矩形63を生成し、山頂噴火画像61にエッジ切り出し矩形63を重畳させ、さらに測定用スケール64を重畳させる。測定用スケール64は撮像装置94の画角やズーム倍率、被写体までの距離等から求めることができる。
監視装置91は、測定用スケール64を基にエッジ切り出し矩形63の大きさを測定することができる。
なお、基準点62は、監視者が画像上の任意箇所に目印マーキングした点である。
【0021】
監視装置91は、上記の画像処理における輝度変化ポイントを基にエッジ切り出し(
図2、
図3)では、監視者の意図しない箇所を切り出すことがある。例えば、撮影される対象は、太陽光の強弱による変化や時間帯、天候、季節により輝度に対する影響が毎回変わるため、輝度差を利用して自動的にエッジを切り出す場合には、毎回エッジ切り出し範囲が変わってしまう問題がある。
【0022】
次に、上記の問題を解決するための一実施例について
図7と
図8を用いて説明する。
図7は本発明の一実施形態に係る監視装置の輝度ポイントのエッジ切り出し処理を説明するための処理フロー図であり、
図8は本発明の一実施形態に係る監視装置の輝度ポイントのエッジ切り出し処理を画像上で説明するためのイメージ図である。
なお、
図7の処理フローは、PAD(Problem Analysis Diagram)で表記したものである。
【0023】
監視装置91は、監視者が指定した画像データの任意ポイントを基準点とし(701)、基準点を例えば、青色で表示する。
監視装置91は、基準点の輝度レベルを取得する(702)。
【0024】
次に、監視装置91は、710の処理において、基準点を起点として左水平方向へ1ドットずつ移動し、最左端に到達するか、又は基準点の輝度レベルが閾値を超えるまで繰り返す(711)。
監視装置91は、711の処理において、基準点の輝度レベルとの差が閾値を超えたと判定した場合(712)には超過した地点でドットのカラーを例えば、赤色に変更し、記録装置93に記憶させる(713)。なお、左水平方向への移動において、最左端に到達した場合にはドットのカラー色変更は行わない。
【0025】
次に、監視装置91は、720の処理において、基準点を起点として右水平方向へ1ドットずつ移動し、最右端に到達するか、又は基準点の輝度レベルが閾値を超えるまで繰り返す(721)。
監視装置91は、721の処理において、基準点の輝度レベルとの差が閾値を超えたと判定した場合(722)には超過した地点でドットのカラーを例えば、緑色に変更し、記録装置93に記憶させる(723)。なお、右水平方向への移動において、最右端に到達した場合にはドットのカラー色変更は行わない。
【0026】
次に、監視装置91は、基準点を起点として上方向へ1ドットずつ移動し、最上部に到達するまで繰り返す(730)。
監視装置91は、730の処理において、731の処理と732の処理を行う。
【0027】
監視装置91は、731の処理において、基準点を起点として左水平方向へ1ドットずつ移動し、最左端に到達するか、又は基準点の輝度レベルが閾値を超えるまで繰り返し(7311)、基準点の輝度レベルとの差が閾値を超えたと判定した場合(7312)には超過した地点でドットのカラーを例えば、マゼンタ色に変更し、記録装置93に記憶させる(7313)。なお、左水平方向への移動において、最左端に到達した場合にはドットのカラー色変更は行わない。
【0028】
監視装置91は、732の処理において、基準点を起点として右水平方向へ1ドットずつ移動し、最右端に到達するか、又は基準点の輝度レベルが閾値を超えるまで繰り返し(7321)、基準点の輝度レベルとの差が閾値を超えたと判定した場合(7322)には超過した地点でドットのカラーを例えば、シアン色に変更し、記録装置93に記憶させる(7323)。なお、右水平方向への移動において、最右端に到達した場合にはドットのカラー色変更は行わない。
【0029】
次に、監視装置91は、基準点を起点として下方向へ1ドットずつ移動し、最下部に到達するまで繰り返す(740)。
監視装置91は、740の処理において、741の処理と742の処理を行う。
【0030】
監視装置91は、741の処理において、基準点を起点として左水平方向へ1ドットずつ移動し、最左端に到達するか、又は基準点の輝度レベルが閾値を超えるまで繰り返し(7411)、基準点の輝度レベルとの差が閾値を超えたと判定した場合(7412)には超過した地点でドットのカラーを例えば、黄色に変更し、記録装置93に記憶させる(7413)。なお、左水平方向への移動において、最左端に到達した場合にはドットのカラー色変更は行わない。
【0031】
監視装置91は、742の処理において、基準点を起点として右水平方向へ1ドットずつ移動し、最右端に到達するか、又は基準点の輝度レベルが閾値を超えるまで繰り返し(7421)、基準点の輝度レベルとの差が閾値を超えたと判定した場合(7422)には超過した地点でドットのカラーを例えば、紫色に変更し、記録装置93に記憶させる(7423)。なお、右水平方向への移動において、最右端に到達した場合にはドットのカラー色変更は行わない。
次に、監視装置91は、記録装置93に記憶させた全てのカラーのドット位置を接続して1つの矩形として記録装置93に記憶させる。
【0032】
次に、監視装置91が、毎日同時刻に撮影した記憶画像データを用いて、画像比較、或いはエッジ切出し(面積比較)を行う他の一実施例について説明する。
監視装置91は、ステップ1として、撮影画角(パン、チルト、ズーム)、撮影時刻、及び、エッジ切出しを行う際の基準となる輝度値を与える基準点の指定を受け付ける。
監視装置91は、ステップ2として、指定された撮影時刻に高精細静止画を記録装置93に記憶させるため、記録装置93に記録スケジュールを入力する。
監視装置91は、ステップ3として、撮像装置94がスケジュール通り撮影し、記録装置93がスケジュール通り記憶することを監視する。このとき、監視装置91は、時間的に近接する複数の画像を用いた超解像や陽炎補正を行い、結果画像を記録装置93に記憶させてもよい。
【0033】
監視装置91は、ステップ4として、監視者により画像比較、或いはエッジ切出しの機能を起動させる。
監視装置91は、ステップ4−1として、記録装置93に記憶させた複数の高精細静止画の間で、高精度画角合わせを行う。撮像装置94がPTZ(Pan、Tilt、Zoom)カメラでは、操作後に同じポジションに戻しても精度の問題で位置ずれ、ズーム倍率ずれが生じうるので、1つの画像(例えば時刻の最も早い画像)を基準に、そのずれを補償する。平行移動と倍率のずれを検出する方法としては、公知の位相限定相関法、或いは画像特徴点(コーナー等)を検知しその位置を追跡する手法が利用でき、検出結果に基づく補正にはヘルマート変換が利用できる。
監視装置91は、ステップ4−2として、監視者の操作に従い、画像比較、或いはエッジ切出しを行う。処理の内容は上述の
図7と同じである。
【0034】
本発明の実施形態である監視システムは、撮像装置の撮像画像を周期的に記憶し、溶岩ドーム、稜線、岩盤などの形状変化を照合して、自然災害の兆候を検出することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。