(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、鋼管杭又はSC杭(外殻鋼管付コンクリート杭)等の基礎杭の杭頭部と、建築物の基礎コンクリート部分との接合部に用いられる杭頭接合構造としては、基礎杭の杭頭部の外周面に補強鉄筋を溶接するものがあった(特許文献1参照)。
【0003】
図11から
図13は、従来の杭頭接合構造2を説明するために参照する図である。
【0004】
従来の杭頭接合構造2は、
図11に示すように、その上端部に杭頭部4aを有する鋼管杭4と、複数本の補強鉄筋6と、これらの周囲に打設された基礎コンクリート8を備えて構成されていた。
【0005】
鋼管杭4は、図中上下方向に伸びる軸孔を有する円筒状(
図12参照)に形成され、その下端部は、基礎地盤3中の硬い所に当たるまで深く埋め込まれていた。また、鋼管杭4の上端部は、基礎地盤3の上面から上方に突出していて、この上端部が鋼管杭4の杭頭部4aとなっていた。
【0006】
この杭頭部4aの外周面4bには、鋼管杭4の長さ方向に伸びる丸棒状の、複数本の補強鉄筋6の下端部が、溶接部W(
図12参照)を溶接することにより一体的に接合されていた。また、複数本の補強鉄筋6は、
図12に示すように、その長さ方向が杭頭部4aの外周面4bの長さ方向に沿うように配置され、かつその断面が外周面4bの円周方向に間隔をおいて、その長さ方向が互いに平行に並んで配置されていた。
【0007】
そして、
図11に示すように、基礎コンクリート8は、基礎地盤3上において、その内部に鋼管杭4の杭頭部4aと補強鉄筋6を埋め込むように、これらの周囲に打設されて、補強鉄筋6の上端の高さ位置よりも高い位置に上面を有する略直方体状に形成されていた。
【0008】
このような従来の杭頭接合構造2は、地震等の外力により
図13に示すような地震力Fと曲げモーメントMが作用した場合には、鋼管杭4の杭頭部4aと、杭頭部4aの上端面4cに接する基礎コンクリート8と、補強鉄筋6及びこの補強鉄筋6に接する基礎コンクリート8に負担させるようになっていた。
【0009】
ここで、
図13においては説明の便宜上、従来の杭頭接合構造2の図中左右両外側に位置する補強鉄筋6以外の補強鉄筋6を省略して示している。
【0010】
また、
図13中における曲げモーメントM1は、上記曲げモーメントMに対して抵抗するように作用する曲げモーメントを表している。この曲げモーメントM1は、上記曲げモーメントMが作用した際に図中右側の補強鉄筋6に生じる引張力Tと、鋼管杭4の上端面4cに接する基礎コンクリート8が鋼管杭4の上端面4cの図中左側部分を上方から押す圧縮力Cにより発生するようになっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、鋼管杭4等の基礎杭の高支持力化及び高強度化が急速に進み、1本の柱の支持に必要な鋼管杭4の本数を減らすことが可能となり、1本の柱を1本の鋼管杭4により支持することも行なわれている。また、鋼管杭4の外径寸法を従来よりも小さくすることもできるようになっている。
【0013】
しかしながら、鋼管杭4の本数が少なくなると、その分1本の鋼管杭4が負担する地震等の水平力が増大するという問題があった。
【0014】
上記鋼管杭4が負担する水平力の増大への対策としては、鋼管杭4の杭頭部4aの外周面4bに接合される補強鉄筋6の本数を増やすことが考えられる。
【0015】
しかしながら、従来の杭頭接合構造2においては、基礎コンクリート8内、かつ鋼管杭4の杭頭部4aの上方に、不図示の互いに直交する基礎梁の梁鉄筋や、不図示の柱の主筋等が配筋されるようになっており、鋼管杭4の小径化、及び鋼管杭4に接合される補強鉄筋6の本数の増大により、これらの梁鉄筋や柱の主筋等と補強鉄筋6とが互いに干渉しあい、補強鉄筋6を一定本数以上配筋できないような状況、すなわち過密配筋を生じるという問題があった。
【0016】
また、従来の杭頭接合構造2においては、杭頭部4aの外周面4bに補強鉄筋6が溶接により接合されていたので、高強度であっても溶接性の悪い材料は補強鉄筋6の材料として用いることはできないという問題もあった。
【0017】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、基礎杭の杭頭部と基礎コンクリートの接合部を効果的に補強することができ、かつ溶接性の悪い材料からなる補強鉄筋を用いることもできると共に、補強鉄筋の本数を減らすことができ、かつ杭頭部の上方における過密配筋の解消を図ることができる杭頭接合構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
また、本発明による杭頭接合構造は、
基礎杭の杭頭部を基礎コンクリート内に埋設させて補強鉄筋を介して前記基礎杭と前記基礎コンクリートを一体的に接合させる杭頭接合構造において、
前記補強鉄筋の下端部が接合される複数の接合部材を備え、
前記複数の接合部材は、前記杭頭部の外周面に間隔をあけて接合されると共に、その前記杭頭部の円周方向に相当する方向の長さが、その前記杭頭部の径方向に相当する方向の長さよりも長く、
前記複数の接合部材のそれぞれは、前記杭頭部の上端面に略平行な上面と前記杭頭部の外周面に対向する側面とを有する単一の中実部材により形成され、
前記接合部材は、水平方向に伸びる水平板部と、前記水平板部の前記杭頭部側の端部から略鉛直方向に垂下する垂直板部と、前記水平板部の下側に、前記杭頭部側の端部から前記杭頭部と反対側の端部に近づくにつれて前記水平板部からの高さが低くなる側板部が形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明による杭頭接合構造は、
前記接合部材の前記杭頭部の軸方向に相当する方向の長さが、その前記杭頭部の径方向に相当する方向の長さより長いことを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明による杭頭接合構造は、
前記複数の接合部材と前記杭頭部との、前記杭頭部の円周方向の接合長さの和が、前記杭頭部の円周長さの50%以上の比率に設定されていることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明による杭頭接合構造は、
前記接合部材は、その上端面が前記杭頭部の上端面より下方に配置されて前記杭頭部の外周面に接合されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
このような本発明の杭頭接合構造によれば、
基礎杭の杭頭部を基礎コンクリート内に埋設させて補強鉄筋を介して前記基礎杭と前記基礎コンクリートを一体的に接合させる杭頭接合構造において、
前記補強鉄筋の下端部が接合される複数の接合部材を備え、
前記複数の接合部材は、前記杭頭部の外周面に間隔をあけて接合されると共に、その前記杭頭部の円周方向に相当する方向の長さが、その前記杭頭部の径方向に相当する方向の長さよりも長く、
前記複数の接合部材のそれぞれは、前記杭頭部の上端面に略平行な上面と前記杭頭部の外周面に対向する側面とを有する単一の中実部材により形成され、
前記接合部材は、水平方向に伸びる水平板部と、前記水平板部の前記杭頭部側の端部から略鉛直方向に垂下する垂直板部と、前記水平板部の下側に、前記杭頭部側の端部から前記杭頭部と反対側の端部に近づくにつれて前記水平板部からの高さが低くなる側板部が形成されたことにより、
基礎杭の杭頭部と基礎コンクリートの接合部を効果的に補強することができ、かつ溶接性の悪い材料からなる補強鉄筋を用いることもできると共に、補強鉄筋の本数を減らすことができ、かつ杭頭部の上方における過密配筋の解消を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る杭頭接合構造を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0025】
図1から
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40について説明するために参照する図である。
【0026】
本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、
図1に示すように、杭頭部44aを有する鋼管杭44(基礎杭)と、複数の接合部材42と、複数本の補強鉄筋46と、これらの周囲かつ基礎地盤3の上方に打設して形成された、略直方体状の基礎コンクリート48を備えて構成されている。
【0027】
鋼管杭44は、
図1中上下方向に伸びる軸孔を有する円筒状(
図2参照)に形成され、その下端部は、基礎地盤3中に深く岩盤に当たるまで埋め込まれている。また、鋼管杭44の上端部は、基礎地盤3から上方に突出していて、この鋼管杭44の基礎地盤3から上方に突出した上端部が杭頭部44aとなっている。
【0028】
図2に示すように、複数の接合部材42は、杭頭部44aの外周面44bの円周方向に沿うと共に、同方向に互いに間隔をおいて配置されている。そして、
図1に示すように、複数の接合部材42は杭頭部44aの外周面44bに溶接により一体的に接合されている。
【0029】
接合部材42は、
図3(a),(b)に示すように、内側円弧面42aと外側円弧面42bとを有する櫛形の板状に形成されており、補強鉄筋46の下端部に形成されたオネジ部46aを緩く挿通させる貫通孔42cが、互いに間隔を置いて2個形成されている。
【0030】
そして、接合部材42は、その杭頭部44aの円周方向に相当する方向の長さは、その杭頭部44aの径方向に相当する方向の長さよりも長く形成されている。換言すると、接合部材42の内側円弧面42aと外側円弧面42bの弧の長さは、内側円弧面42aと外側円弧面42bを繋ぐ直線の長さよりも長く形成されている。
【0031】
図4に示すように、接合部材42は、その杭頭部44aの軸方向(同図中上下方向)に相当する方向の長さは、その杭頭部44aの径方向(同図中左右方向)に相当する方向の長さよりも長く形成されている。
【0032】
そして、接合部材42は、その上面42dが、鋼管杭44の上端面44cに対して略平行に、かつ杭頭部44aの上端面44cの高さより下方に配置されている。
【0033】
接合部材42は、その内側円弧面42aを杭頭部44aの外周面44bに対向するように外周面44bとの間に間隔をあけて配置されて、その内側円弧面42aと杭頭部44aの外周面44bとを溶接部Wにおいて溶接することにより、杭頭部44aの外周面44bに一体的に接合されている。
【0034】
図4に示すように、複数本の補強鉄筋46のそれぞれは、その長さ方向(図中上下方向)の下端部に形成されたオネジ部46aが、接合部材42の貫通孔42cそれぞれに緩く挿通され、接合部材42の上面42d側及び下面42e側において、ナット部材50がその補強鉄筋46にネジ結合することにより、接合部材42に一体的に接合されている(ネジ締結)。
【0035】
接合部材42にその下端部が接合されることにより、互いの位置決めがなされた補強鉄筋46のそれぞれは、
図2に示すように、基礎コンクリート48内で鋼管杭44の杭頭部44aの周囲を囲むように互いに水平方向に間隔を置いて、かつ杭頭部44aの外周面44bより径方向外側に離れて配置されている。
【0036】
図4に示すように、補強鉄筋46の外周部には、その長さ方向に略平行方向及び略垂直方向に伸びるリブ46bが、外周部から外側に突出して形成されている。このリブ46bにより補強鉄筋46は、その周囲の基礎コンクリート48との定着を図ることができる。
【0037】
そして、
図1に示すように、基礎コンクリート48は、基礎地盤3上において、接合部材42と、鋼管杭44の杭頭部44aと、補強鉄筋46とをその内部に埋め込むように、これらの周囲に打設されて、補強鉄筋46の上端の高さ位置よりも高い位置に上面を有する略直方体状に形成されている。
【0038】
次に、
図5に基づいて、本実施の形態に係る杭頭接合構造40の作用や効果について説明する。
【0039】
本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、地震等の外力により
図5に示すような地震力Fと曲げモーメントMが作用した場合には、鋼管杭44の杭頭部44aと、杭頭部44aの上端面44cに接する基礎コンクリート48と、補強鉄筋46及びこの補強鉄筋46に接する基礎コンクリート48だけでなく、接合部材42と、接合部材42の上面42dに接する基礎コンクリート48にも負担させることができるようになっている。
【0040】
ここで、
図5においては説明の便宜上、本実施の形態に係る杭頭接合構造40の図中左右両外側に位置する接合部材42及び補強鉄筋46以外の接合部材42及び補強鉄筋46を省略して示している。
【0041】
また、
図5中における曲げモーメントM2は、上記曲げモーメントMに対して抵抗するように作用する曲げモーメントを表している。この曲げモーメントM2は、上記曲げモーメントMが作用した際に図中右側の補強鉄筋46に生じる引張力Tと、鋼管杭44の上端面44cに接する基礎コンクリート48が鋼管杭44の上端面44cの図中左側部分を上方から押す圧縮力Cだけでなく、接合部材42の上面42dに接する基礎コンクリート48が図中左側に位置する接合部材42の上面42dを上方から押す圧縮力C1によっても作用するようになっている。
【0042】
このような杭頭接合構造40においては、上記曲げモーメントMに対して抵抗するように作用する曲げモーメントM2を、前記従来の杭頭接合構造2において作用する曲げモーメントM1よりも大きくすることができるので、その分、接合部材42に接合される補強鉄筋46の本数を減らすことができる。これにより、杭頭部44aの上方における過密配筋の解消を図ることもできる。
【0043】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、接合部材42の上面42dの表面積を大きくすることにより、その分だけ上記圧縮力C1をより効果的に作用させることができ、かつその分だけ基礎杭44の杭頭部44aと基礎コンクリート48の接合部をより効果的に補強することができるようになっている。
【0044】
ただし、接合部材42の上面42dの表面積を大きくするために、接合部材42における杭頭部44aの径方向の長さ寸法を大きくしすぎると、杭頭部44aの外周面44b近傍の空間を有効に利用することができなくなると共に、鋼管杭44の杭頭部44aと基礎コンクリート48の接合作業の障害となるおそれがある。
【0045】
このため、接合部材の上面42dの表面積を大きくするためには、接合部材42における杭頭部44aの円周方向の長さ寸法を大きくするのが望ましい。具体的には、複数の接合部材42と杭頭部44aとの、杭頭部44aの円周方向の接合長さ寸法の総和が、杭頭部44aの外周面44bの円周長さ寸法の50%以上の比率に設定されていることが望ましい。
【0046】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、接合部材42は、その杭頭部44aの円周方向に相当する方向の長さが、その杭頭部44aの径方向に相当する方向の長さよりも長く形成されているため、その杭頭部44aの径方向に相当する方向の長さよりも短い形成された場合に比べて、圧縮力C1により接合部材42と杭頭部44aの溶接部に加えられるモーメントを小さくすることができるので、当該溶接部の溶接量を少なくすることができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、接合部材42の内側円弧面42aと杭頭部44aの外周面44bとを互いに間隔をあけて配置すると共に、それらを溶接により接合しているため、接合部材42の上面42dと下面42eのそれぞれと杭頭部44aの外周面44bとを溶接により接合する隅肉溶接に比べて、溶接作業が困難な接合部材42の下面42e側からの溶接を要しないので、その溶接作業を容易に行なうことができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、接合部材42は、その杭頭部44aの軸方向に相当する方向の長さが、その杭頭部44aの径方向に相当する方向の長さよりも長く形成されているため、その杭頭部44aの径方向に相当する方向の長さよりも短い形成された場合に比べて、接合部材42の内側円弧面42aと杭頭部44aの外周面44bを溶接した際の有効断面積を大きくすることができ、接合部材42と杭頭部44aの接合強度を向上させることができる。
【0049】
このため、接合部材42を介する、鋼管杭44の杭頭部44aと補強鉄筋46の応力伝達を円滑なものにすることができ、上記引張力Tを効果的に作用させることができるので、基礎杭44の杭頭部44aと基礎コンクリート48の接合部を効果的に補強することができる。
【0050】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、接合部材42の上面42dは杭頭部44aの上端面44cより下方に配置されているため、杭頭部44aの上端面44cと水平又は杭頭部44aの上端面44cより上方に配置した場合に比べて、杭頭部44aにおいて
図5中反時計回り方向に作用する曲げモーメントMに対して、上記圧縮力C1を効果的に作用させることができる。
【0051】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、接合部材42にその下端部が接合された補強鉄筋46は、杭頭部44aの外周面44bより径方向外側に離れて配置されているため、その分杭頭部44aの上方における過密配筋の解消を図ることができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40における補強鉄筋46は、その下端部が接合部材42にネジ締結により接合されるようになっているため、高強度であっても溶接性の悪い材料を補強鉄筋46の材料として用いることができる。
【0053】
したがって、以上に説明したように、本実施の形態に係る杭頭接合構造40によれば、基礎杭44の杭頭部44aと基礎コンクリート48の接合部を効果的に補強することができ、かつ溶接性の悪い材料からなる補強鉄筋46を用いることもできると共に、補強鉄筋46の本数を減らすことができ、かつ杭頭部44aの上方における過密配筋の解消を図ることができる。
【0054】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40における接合部材42は、2本の補強鉄筋46を接合するようになっているため、接合部材42の個数と共にその溶接箇所を減らすことができるので、作業性を向上させることができる。
【0055】
図6及び
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る杭頭接合構造60について説明するために参照する図である。
【0056】
本実施の形態に係る杭頭接合構造60は、
図6に示すように、前記第1の実施の形態における接合部材42及び補強鉄筋46の代わりに、接合部材62及び補強鉄筋64を備えるようになっている点において、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40とは異なるものである。
【0057】
接合部材62は、
図7に示すように、2つの内側面62aと2つの外側面62bとを有するくの字(略六角形)の板状に形成されている点において、前記第1の実施の形態における接合部材42とは異なるものである。
【0058】
補強鉄筋64は、
図6に示すように、その長さ方向の上端部にオネジ部64aが形成されている点において、前記第1の実施の形態における補強鉄筋46とは異なるものである。そして、補強鉄筋64は、そのオネジ部64aに2つのナット部材66(拡径部)それぞれのメネジ部がネジ結合されて、その上端部に2つのナット部材66が結合されている。
【0059】
このような本実施の形態に係る杭頭接合構造60によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造60は、補強鉄筋64の上端部に2つのナット部材66が結合されているため、容易に補強鉄筋64と基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。また、2つのナット部材66の間にナット部材66より大きな定着板を挟み込むことにより、補強鉄筋64に定着力を効果的に発揮させることもできる。
【0061】
図8から
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る杭頭接合構造70について説明するために参照する図である。
【0062】
本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、
図8に示すように、前記第2の実施の形態における接合部材62及び補強鉄筋64の代わりに、接合部材72及び補強鉄筋74を備えるようになっている点において、前記第2の実施の形態に係る杭頭接合構造60とは異なるものである。
【0063】
ここで、
図8においては説明の便宜上、補強鉄筋74の外周部から外側に突出して形成されたリブ74b(
図10参照)を省略して示している。
【0064】
図9に示すように、複数の接合部材72は、杭頭部44aの外周面44bの円周方向に沿うと共に、同方向に互いに間隔をおいて配置されている。そして、複数の接合部材42は杭頭部44aの外周面44bに溶接により一体的に接合されている。
【0065】
接合部材72は、
図10に示すように、水平方向(図中左右方向)に伸びる水平板部72aと、この水平板部72aの図中右端部から下方に突出する垂直板部72bと、垂直板部72bの下端部から水平板部72aの図中左端部に近づくにつれて徐々に水平板部72aからの高さが低くなるような三角形状に形成された2つの側板部72cとを有して構成されている。
【0066】
図9に示すように、接合部材72の2つの側板部72cは、互いに水平方向に間隔を置いて対向して配置されており、接合部材72の水平板部72aを下側から支持している。
【0067】
接合部材72の水平板部72aは、略五角形(
図9参照)の板状に形成されており、
図10に示すように、補強鉄筋74の下端部に形成されたオネジ部74cを緩く挿通させる貫通孔72dが1個形成されている。
【0068】
そして、接合部材72は、その杭頭部44aの円周方向に相当する方向の長さは、その杭頭部44aの径方向に相当する方向の長さよりも長く形成されている。このため、接合部材72の水平板部72aの杭頭部44aに接合される2辺の長さの和は、接合部材72の水平板部72aの杭頭部44aの径方向(
図10中左右方向)の長さよりも長く形成されている。
【0069】
図10に示すように、接合部材72は、その水平板部72a及び垂直板部72bの、杭頭部44aの軸方向(同図中上下方向)に相当する方向の長さの和は、その水平板部72aの、杭頭部44aの径方向(同図中左右方向)に相当する方向の長さよりも長く形成されている。
【0070】
そして、接合部材72は、その水平板部72aの上面が、鋼管杭44の上端面44cに対して略平行に、かつ杭頭部44aの上端面44cの高さより下方に配置されている。
【0071】
接合部材72は、その垂直板部72bの内側面(
図10中右側面)を杭頭部44aの外周面44bに対向するように外周面44bとの間に間隔をあけて配置されて、その内側面と杭頭部44aの外周面44bとを溶接部Wにおいて溶接することにより、杭頭部44aの外周面44bに一体的に接合されている。
【0072】
図10に示すように、複数本の補強鉄筋74のそれぞれは、その長さ方向(図中上下方向)の下端部に形成されたオネジ部74cが、接合部材72の水平板部72aに形成された貫通孔72dそれぞれに緩く挿通され、この水平板部72aの下面側において、ナット部材50がその補強鉄筋74にネジ結合することにより、接合部材72に一体的に接合されている(ネジ締結)。
【0073】
接合部材72にその下端部が接合されることにより、互いの位置決めがなされた補強鉄筋74のそれぞれは、
図9に示すように、基礎コンクリート48内で鋼管杭44の杭頭部44aの周囲を囲むように互いに水平方向に間隔を置いて、かつ杭頭部44aの外周面44bより径方向外側に離れて配置されている。
【0074】
そして、
図8及び
図9に示すように、補強鉄筋74は、その上端部において杭頭部44aの径方向外側に折り曲げられた、折曲端部74aが形成されている。
【0075】
このような本実施の形態に係る杭頭接合構造70によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、接合部材72が水平板部72aと垂直板部72bと2つの側板部72cとを有して構成されているため、前記第1、第2の実施の形態に係る杭頭接合構造40,60における接合部材42,62に比べて、接合部材72の重量を軽くすることができる。
【0077】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、補強鉄筋74の上端部に折曲端部74aが形成されているため、容易に補強鉄筋64と基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。
【0078】
なお、本発明は、前記実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の目的を達成することができる範囲内であれば、種々の変更が可能である。
【0079】
例えば、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、基礎杭として鋼管杭44が用いられていたが、本発明における基礎杭として、鋼管の中にコンクリートを注入して遠心締固めにより製造されたSC杭(外殻鋼管付コンクリート杭)等を用いても構わない。
【0080】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、
図2に示すように、杭頭部44aの外周面44bに8個の接合部材42が接合されていたが、杭頭部44aの外周面44bに2以上の複数個の接合部材42が接合されていればよい。なお、複数の接合部材42は、杭頭部44aの外周面44bの円周方向に沿って均等に配置されることが望ましい。
【0081】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、接合部材42は内側円弧面42aと外側円弧面42bとを有する櫛形の板状に形成されていたが、この形状に限定されるわけでなく、前記第2の実施の形態における接合部材62のように、複数の辺部を有する多角形状の板状に形成されていてもよい。また、接合部材は、前記第3の実施の形態における接合部材72のように、板状の外形形状に限定しなくてもよい。
【0082】
また、接合部材42は、その内側円弧面42aを杭頭部44aの外周面44bに対向するように外周面44bとの間に間隔をあけて配置されていたが、接合部材と杭頭部の互いの端面同士を溶接するための間隔が形成されるようになっていれば、接合部材の一部が杭頭部の一部に接触するようになっていてもよい。
【0083】
また、接合部材42と杭頭部44aの外周面44bの間に形成される隙間は、接合部材42と杭頭部44aの外周面44bとを溶接することにより、上記隙間の一部又は全部が埋められる場合には、この埋められる部分における杭頭部44aの外周面44bの円周方向の長さ寸法を、複数の接合部材42と杭頭部44aとの、杭頭部44aの円周方向の接合長さ寸法の総和に含むようになっていてもよい。
【0084】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、複数本の補強鉄筋46のそれぞれは、その下端部のオネジ部46aが、接合部材42の貫通孔42cそれぞれに緩く挿通され、一対のナット部材50がその補強鉄筋46にネジ結合することにより、接合部材42に一体的に接合されていたが、接合部材42と補強鉄筋46がネジ締結されていればよく、例えば、接合部材42の貫通孔42cの内周部にメネジ部を設けて、このメネジ部を用いて接合部材42に直接補強鉄筋46をネジ結合するようになっていてもよい。
【0085】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、1つの接合部材42に2つの貫通孔42cが形成されており、これらの貫通孔42cを用いて2本の補強鉄筋46を接合するようになっていたが、1つの接合部材42に1つ又は3つ以上の複数の貫通孔が形成され、これらの貫通孔を用いて1本又は3本以上の複数本の補強鉄筋を接合するようになっていてもよい。
【0086】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、接合部材42の内側円弧面42aと杭頭部44aの外周面44bとを溶接することにより一体的に接合していたが、接合部材と杭頭部は他の溶接方法により一体的に接合されてもよい。
【0087】
また、前記第2の実施の形態に係る杭頭接合構造60においては、補強鉄筋64の上端部に2つのナット部材66が結合されていたが、ナット部材66の数は2つでなくても良く、また、補強鉄筋64より拡径なものであれば良く、ナット部材に限定しなくてもよい。
【0088】
また、前記第3の実施の形態に係る杭頭接合構造70における補強鉄筋74は、その上端部が杭頭部44aの径方向外側に折り曲げられていたが、径方向内側又は他の方向に折り曲げられていてもよい。