(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体は、仕切板により少なくとも第1室と第2室に区画され、前記第1室に前記電子部品が収容され、前記第2室に外部接続ポートが設けられ、前記第2室の開口部にカバー部材が開閉自在に装着されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラント用計算機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
計測制御室が設けられた建屋を免震構造とすることが考えられるが、既設の建屋に対して適用することができない。また、特許文献に記載された技術では、原子力発電プラントで使用される計算機の耐震性を確保することが困難である。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、耐震性を向上して十分な信頼性を確保可能なプラント用計算機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明のプラント用計算機は、プラントの計測制御室に配置されて所定の設置部材に固定される計算機であって、複数のフレーム部材により形成される枠体と、前記枠体の外側に固定することで中空形状をなす筐体を形成する複数のパネル部材と、前記筐体の下部に互いに交差すると共に端部が前記フレーム部材に連結される複数の梁部材と、前記筐体の底板から所定隙間を空けて前記フレーム部材及び前記梁部材に固定されると共に上面に電子部品が固定される取付板と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、複数のフレーム部材により枠体を形成し、フレーム部材の下部に複数の梁部材を連結し、取付板を底板から所定隙間を空けてフレーム部材及び梁部材に固定し、上面に電子部品を固定しており、電子部品を筐体内に強固に固定することができ、耐震性を向上することができ、電子部品の十分な信頼性を確保することができる。
【0009】
本発明のプラント用計算機では、前記筐体の底板を形成するパネル部材に前記設置部材への取付部が形成されることを特徴としている。
【0010】
従って、筐体の底板を形成するパネル部材を設置部材に密着し、取付部により筐体を設置部材に固定することとなり、このとき、筐体の底板と取付板との間に所定隙間が設けられていることで、取付部材が取付板に干渉することがない。
【0011】
本発明のプラント用計算機では、前記取付板は、上面に複数の電子部品が上下に積層することなく平面的に配置されることを特徴としている。
【0012】
従って、取付板の上面に複数の電子部品を平面的に配置することで、筐体の高さを低くすることができ、筐体の安定性を向上することができる。
【0013】
本発明のプラント用計算機では、前記電子部品は、プラント運転データを記憶する記憶装置を有することを特徴としている。
【0014】
従って、取付板に記憶装置を固定することで、この記録装置の耐震性を向上することができる。
【0015】
本発明のプラント用計算機では、前記筐体は、仕切板により少なくとも第1室と第2室に区画され、前記第1室に前記電子部品が収容され、前記第2室に外部接続ポートが設けられ、前記第2室の開口部にカバー部材が開閉自在に装着されることを特徴としている。
【0016】
従って、筐体に設けられる外部接続ポートは、カバー部材により被覆され、カバー部材がロック装置により施錠されることから、第3者が外部接続ポートに容易に外部機器を接続することが困難となり、データの盗難を防止することで安全性を向上することができ、また、記録媒体を暗号化する必要もなく、操作性を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のプラント用計算機によれば、複数のフレーム部材により枠体を形成し、フレーム部材の下部に複数の梁部材を連結し、取付板を底板から所定隙間を空けてフレーム部材及び梁部材に固定し、上面に電子部品を固定するので、電子部品を筐体内に強固に固定することができ、耐震性を向上することができ、電子部品の十分な信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明のプラント用計算機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0020】
図8は、原子力発電プラントを表す概略図、
図9は、計測制御室を表す平面図、
図10は、計測制御室における制御盤を表す概略図である。
【0021】
本実施形態の原子力発電プラントにおいて、
図8に示すように、原子炉建屋101と原子炉補助建屋102とタービン建屋103が設置されている。原子炉建屋101は、原子炉格納容器111が設置され、内部に加圧水型原子炉112や蒸気発生器113などが格納されている。原子炉補助建屋102は、加圧水型原子炉112や蒸気発生器113などを制御する中央制御室114が設けられると共に、加圧水型原子炉112の運転データなどを計測して記録するための計測制御室115が設けられている。タービン建屋103は、蒸気発生器113で生成した蒸気により駆動する蒸気タービン116が配置されている。
【0022】
原子炉補助建屋102内の計測制御室115は、
図9に示すように、施錠可能な開閉ドア121が設けられ、内部に自立閉鎖式で施錠可能な複数の制御盤122と、壁掛け閉鎖式で施錠可能な複数の制御盤123と、複数の計算機124が所定の位置に設置されている。そして、制御盤122は、
図10に示すように、施錠式のドア131により開閉自在であり、内部に複数の制御装置132、モニタ133、複数の計算機134、ネットワーク135などが収容されている。本実施形態のプラント用計算機は、例えば、計算機134である。
【0023】
図1は、本実施形態のプラント用計算機を表す正面図、
図2は、プラント用計算機における外部インターフェースを表す正面図、
図3は、プラント用計算機の内部構造を表す平面図、
図4は、プラント用計算機における外部インターフェースを表す斜視図、
図5は、プラント用計算機の内部構造を表す斜視図、
図6は、プラント用計算機の筐体を表す平面図、
図7は、プラント用計算機の下部構造を表す要部縦断面図である。
【0024】
本実施形態の計算機134は、
図1から
図5に示すように、中空形状をなす筐体11と、この筐体11の内部に固定される取付板12と、筐体11内で取付板12に固定されることで、内部を第1室Aと第2室Bに区画する仕切板13と、第1室Aで取付板12上に固定される複数の電子部品14と、第2室Bで仕切板13に固定される複数の外部接続ポート15と、外部接続ポート15を被覆するように筐体11に着脱自在に固定されるカバー部材16とを有している。
【0025】
筐体11は、棒状(長尺部材)をなす複数のフレーム部材により形成される枠体の外側に複数のパネル部材が固定されることで中空形状をなして構成されている。即ち、4個の上フレーム部材21を矩形に組み立てることで上枠22が形成される。また、4個の下フレーム部材23を、同様に、矩形に組み立てることで下枠24が形成され、上枠22と下枠24を4個の縦フレーム部材25により連結することで、枠体26が形成される。そして、この枠体26の上側に天井パネル部材27を固定し、下側に底板パネル部材28を固定し、側方に側壁パネル部材29を固定し、後方に裏面パネル部材30を固定することで筐体11が構成される。なお、天井パネル部材27は、内面に水平方向に交差する方向に沿って複数のリブ(図示略)が固定されている。
【0026】
この場合、各フレーム部材21,23,25は、ねじブロック31が移動自在に設けられ、各パネル部材27,28,29,30は、外部から特殊ねじ32が貫通してねじブロック31に螺合することで、各フレーム部材21,23,25に固定されている。ここで、特殊ねじ32とは、頭部に専用の工具だけが掛止可能な掛止溝が形成されたものであり、一般的なドライバや硬貨などでは回転不能となっている。
【0027】
筐体11は、
図6に詳細に示すように、下部に互いに交差すると共に端部が下フレーム部材23に連結される複数(本実施形態では、2個)の梁部材33,34が設けられている。第1梁部材33は、水平方向に沿うと共に裏面パネル部材30に沿って配置され、各端部が下フレーム部材23に連結されている。第2梁部材34は、水平方向に沿うと共に側壁パネル部材29に沿って配置され、各端部が下フレーム部材23に連結されている。各梁部材33,34は、水平方向に直行して鉛直方向に段差なく連結されている。そして、各梁部材33,34は、互いの連結部及び下フレーム部材23との連結部に補強連結部材35が固定されている。
【0028】
筐体11は、下枠24(下フレーム部材23)の上部に取付板12が固定されている。この取付板12は、水平な板材からなり、角部が三角形状に切り欠かれており、複数のねじ36が貫通してねじブロック31に螺合することで、下枠24(下フレーム部材23)に固定されている。このとき、
図7に詳細に示すように、取付板12の下面と底板パネル部材28の上面との間に所定隙間Sが確保されている。
【0029】
筐体11は、取付板12と天井パネル部材27との間に仕切板13がねじ37により固定されることで、第1室Aと第2室Bに区画されている。そして、第1室Aに電子部品14が収容されている。ここで、電子部品14とは、プラント運転データを記憶する記憶装置としてのフラッシュメモリドライブ(SSD)14a、リレー14b、RAIDカード14c、マザーボード14d、AC/DC電源14e、ノイズフィルタ14f、ファン14gなどである。電子部品14は、取付板12の上面に上下に積層することなく平面的に配置されている。
【0030】
また、筐体11は、第2室Bにて、外部接続ポート15が仕切板13に固定されている。この外部接続ポート15とは、外部インターフェースであり、シリアルポート15a、ネットワークポート15b、USBポート15c、モニタ接続ポート15d、電源接続ポート15eなどである。また、仕切板13は、電源部41とブザー42が設けられている。
【0031】
筐体11は、この外部接続ポート15を被覆する着脱自在なカバー部材16が設けられている。筐体11は、第2室Bを開放する開口部43が設けられ、カバー部材16は、この開口部43を閉止するように筐体11に密着し、外部から特殊ねじ44が貫通してねじブロック31に螺合することで、筐体11に固定されている。この特殊ねじ44がカバー部材16を施錠するロック装置として機能する。なお、カバー部材16を筐体11に施錠するロック装置としては、特殊ねじ44に限らず、ダイヤルキー、南京錠などでもよい。
【0032】
また、筐体11にて、仕切板13と開口部43が対向して配置され、仕切板13に外部接続ポート15が装着されると共に、仕切板13と開口部43に装着されるカバー部材16が所定距離Lだけ離間して配置されている。カバー部材16は、外部から操作可能となるように外面部に電源スイッチ45が設けられており、電源スイッチ45は、電源ケーブル46により電源部41に接続されている。
【0033】
また、カバー部材16は、中央部にフィルタ付の通気孔47が形成されている。また、カバー部材16は、通気孔47の両側に位置して外部接続ポート15に接続する配線が挿通可能な挿通孔48,49が形成されている。この各挿通孔48,49は、目隠し蓋(図示略)が設けられ、外部接続ポート15に対向しない位置に形成されている。なお、カバー部材16は、不透明であるが、内部を監視できるように半透明または透明としてもよい。
【0034】
このように構成された計算機134は、
図7に示すように、制御盤122(
図10参照)に設けられた設置部材141に固定される。そして、筐体11の底板パネル部材28に設置部材141への取付部としての複数のねじ穴51が形成されている。そのため、計算機134(筐体11)は、設置部材141に載置された状態で、底板パネル部材28の下面が設置部材141の上面に密着し、下方から取付ねじ52が設置部材141を貫通して底板パネル部材28のねじ穴51に螺合することで、計算機134が設置部材141に固定されることとなる。このとき、取付板12と筐体11の底板パネル部材28との間に所定隙間Sが確保されていることで、取付ねじ52の先端部が取付板12に干渉することがない。
【0035】
このような計算機134にて、電子部品14は、下枠24(下フレーム部材23)及び梁部材33,34に固定された取付板12に固定され、筐体11は、下面が設置部材141に密着した状態で複数の取付ねじ52により固定されることとなる。そのため、地震が発生しても、電子部品14は、設置部材141、つまり、制御盤122(
図10参照)と一体に振動することとなり、単体で振動せずに耐震性が向上する。
【0036】
また、外部接続ポート15は、カバー部材16に被覆された状態で、このカバー部材16が特殊ねじ44により筐体11に固定されることとなる。そのため、第3者が接続機器を外部接続ポート15に接続することが困難となり、安全性が向上する。
【0037】
このように本実施形態のプラント用計算機にあっては、原子力発電プラントの計測制御室115に配置される計算機134であって、棒状をなす複数のフレーム部材21,23,25により形成される枠体26と、枠体26の外側に固定することで中空形状をなす筐体11を形成する複数のパネル部材27,28,29,30と、筐体11の下部に互いに交差すると共に端部が下フレーム部材23に連結される複数の梁部材33,34と、筐体11の底板パネル部材28から所定隙間Sを空けて下フレーム部材23及び梁部材33,34に固定されると共に上面に電子部品14が固定される取付板12とを設けている。
【0038】
従って、複数のフレーム部材21,23,25により枠体26を形成し、下フレーム部材23に複数の梁部材33,34を連結し、取付板12を底板パネル部材28から所定隙間Sを空けて下フレーム部材23及び梁部材33,34に固定し、上面に電子部品14を固定しており、電子部品14を筐体11内に強固に固定することができ、耐震性を向上することができ、電子部品14の十分な信頼性を確保することができる。
【0039】
本実施形態のプラント用計算機では、筐体11の底板パネル部材28に設置部材141への取付部としてのねじ穴51を形成している。従って、筐体11の底板パネル部材28を設置部材141に密着し、取付ねじ52が設置部材141を貫通して底板パネル部材28の取付ねじ穴51に螺合することで、筐体11を設置部材141に固定することができる。そのため、取付ねじ52の先端部が所定隙間Sに侵入することとなり、取付板12に干渉することがなく、筐体11を適正に設置部材141に固定することができる。
【0040】
本実施形態のプラント用計算機では、取付板12の上面に複数の電子部品14を上下に積層することなく平面的に配置している。従って、筐体11の高さを低くすることができ、筐体11の安定性を向上することができる。
【0041】
本実施形態のプラント用計算機では、取付板12にプラント運転データを記憶する記憶装置としてのフラッシュメモリドライブ(SSD)14aを固定している。このフラッシュメモリドライブ(SSD)14aを容易に配置することができると共に、フラッシュメモリドライブ(SSD)14aの耐震性を向上することができる。
【0042】
本実施形態のプラント用計算機では、中空形状をなす筐体11と、筐体11の少なくとも一面に設けられる外部接続ポート15と、外部接続ポート15を被覆する着脱自在なカバー部材16と、カバー部材16を施錠するロック装置としての特殊ねじ44とを設けている。従って、筐体11に設けられる外部接続ポート15は、カバー部材16により被覆され、カバー部材16が特殊ねじ44により筐体11に固定されることから、第3者が外部接続ポート15に容易に外部機器を接続することが困難となり、データの盗難を防止することで安全性を向上することができ、また、記録媒体を暗号化する必要もなく、操作性を向上することができる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、複数のフレーム部材21,23,25と複数のパネル部材27,28,29,30により筐体11を構成したが、この構成に限定されるものではない。また、2個の梁部材33,34を設けたが、梁部材の数や連結位置は実施形態に限定されるものではない。
【0044】
また、上述した実施形態では、筐体11内を仕切板13により第1室Aと第2室Bに区画し、第1室Aに電子部品14を収容し、第2室Bに外部接続ポート15を設け、第2室Bの開口部43にカバー部材16を装着したが、この構成に限定されるものではない。筐体11内を仕切板により区画せずに筐体の一方側に電子部品14を配置し、他方側に外部接続ポート15を配置してもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、外部接続ポート15が装着された仕切板13とカバー部材16とを所定距離Lだけ離間して配置したが、この構成に限定されるものではない。例えば、筐体の前面に外部接続ポートを設け、板形状をなすカバー部材により被覆するようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、計算機134を水平状態として下面を設置部材141に固定したが、計算機134を鉛直状態として下面(側面)を設置部材としての壁面に固定してもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、本発明のプラント用計算機134を加圧水型原子炉を有する原子炉発電プラントに適用して説明したが、原子炉は、沸騰水型原子炉であってもよい。また、プラントは、原子力発電プラントに限定されるものではなく、火力発電プラントや水力発電プラントなどに適用することもできる。