(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態(言い換えると、第1の実施形態)に係る出入口遮断装置は、
図1に示されている狭小住宅1の1階部分に設けられ、車両である自動車2を駐車するための駐車スペースである車庫(言い換えると、ガレージ)3の出入口4を遮断するためのものである。
【0054】
図2には、
図1で示されている自動車2が入庫した状態の車庫3の正面図が示されている。道路に面しているこの車庫3の側部(
図2では右側部)の奥側には、住宅1へ出入りするための玄関6が設けられており、この車庫3の側部のうち、出入口4から玄関6までは、階段を有する通路7となっている。
【0055】
図3は、
図2で示されている自動車2が車庫3から出庫し、この車庫3の出入口4が本実施形態に係る出入口遮断装置の遮断体11により遮断されているときを示す
図2と同様の図である。
【0056】
この
図3に示されているように、車庫3の出入口4を遮断するための本実施形態に係る遮断体11は、上端部が連結された具体的な構造を後述する巻取軸10によって繰り出され、巻き取られる左右2本の紐状部材12と、それぞれの紐状部材12の下端部が連結された横長部材13とを含んで構成されている。なお、左右2本の紐状部材12は、横長部材13の上面部13Aにおけるこの横長部材13の長さ方向の両端部近傍に配置されており、このため、これら2本の紐状部材12は、出入口4の幅方向に離間して配置されている。
【0057】
遮断体11を昇降させるための昇降手段となっている巻取軸10は、
図2に示されているように、車庫3の出入口4を形成する住宅1の1階部分の開口部4の上縁部4Aに取り付けられたケース部材9の内部に配置されている。
【0058】
中空の棒状部材となっている横長部材13は、車庫3の幅方向(左右方向)の寸法である幅寸法と略同じ長さ寸法を有している。すなわち、横長部材13は、左右方向である横方向に長い寸法を有している中空の棒状部材となっている。
【0059】
図4は、
図2の状態における本実施形態に係る出入口遮断装置の縦断面図であり、
図5は、
図3の状態における本実施形態に係る出入口遮断装置の縦断面図である。
【0060】
図4及び
図5に示されているように、左右2本の紐状部材12の上端部12Aは、巻取軸10に連結されており、下端部12Bは、横長部材13の上面部13Aに連結されている。このため、これら2本の紐状部材12のそれぞれは、巻取軸10から横長部材13まで上下方向に延びている。
【0061】
なお、
図4及び
図5から分かるように、巻取軸10から繰り出され、巻き取られる2本の紐状部材12は、巻取軸10が収納されているケース部材9の底面部9Aに形成されたスリット9Bを通過するようになっている。
【0062】
また、横長部材13の底面部13Bにおけるこの横長部材13の長さ方向中央部又は略中央部には、上端部15Aが連結された紐状部材15が垂下しており、この紐状部材15の下端部15Bは、円盤状の磁石14の上面部14Aに連結されている。このため、紐状部材15は、磁石14を横長部材13に連結するための連結部材となっている。
【0063】
前述したように、
図3は、車庫3の出入口4が本実施形態に係る出入口遮断装置の遮断体11により遮断されているときを示す図であるが、このときの遮断体11を構成する横長部材13は、駐車面である地面5に着地するものではない。すなわち、横長部材13の高さ位置は、車庫3へ車両や人の侵入を妨げる高さ位置(例えば、
図3で示されている本実施形態のように、成人の膝の高さ位置から腰の高さ位置ぐらいまでの範囲)となっている。
【0064】
地面5には、車庫3の出入口4が遮断体11により遮断されているときに磁石14が吸着する磁性体16が配置されている。この磁性体16の上面部16Aは、地面5と面一又は略面一状態となっている。すなわち、磁性体16は、上面部16Aが地面5に露出した状態で地中に埋設されている。地面5における磁性体16の配置位置は、車庫3の出入口4が遮断体11により遮断されているときにおける磁石14の位置と対応又は略対応する位置となっている。
【0065】
なお、磁性体16の上面部16Aの面積(表面積)は、磁石14の底面部14Bの面積(表面積)よりも大きくなっている。これは、前述したように、磁石14が紐状部材15を介して横長部材13に連結されているため、車庫3の出入口4が遮断体11により遮断されているとき、磁性体16に吸着している磁石14が風圧等で横移動し、磁石14が磁性体16から外れてしまうおそれがあることを考慮したものである。
【0066】
本実施形態では、
図2及び
図4で示されているように、自動車2が車庫3に入庫しているときには、横長部材13は、この横長部材13の上面部13Aが巻取軸10のケース部材9の底面部9Aに接触した状態で、車庫3の出入口4の上方に配置されるようになっている。
【0067】
図6は、
図4及び
図5で示されている巻取軸10の内部構造を示す図である。なお、この
図6では、巻取軸10から繰り出され、巻き取られる紐状部材12の表示は省略されている。
【0068】
この
図6に示されているように、中空部材からなる巻取軸10は、両端の第1及び第2中心軸17,18を中心に回転自在となっている。第1中心軸17は、住宅1の開口部4の上縁部4Aを形成する天井部材8に取り付けられた左右のブラケット21,22のうちの一方のブラケット21に結合されて回転しない軸となっており、この第1中心軸17は、巻取軸10の一方の開口端部に結合された軸受け部材19の内部に挿入されている。
【0069】
巻取軸10の内部には、この巻取軸10に結合されていて巻取軸10と一体に回転する回転部材51が組み込まれており、第2中心軸18は、回転部材51に結合されているために回転する軸となっており、この第2中心軸18は、他方のブラケット22に結合された軸受け部材20の内部に回転自在に挿入されている。
【0070】
また、巻取軸10の内部には、この巻取軸10に結合されていて巻取軸10と一体に回転する回転部材23が組み込まれ、この回転部材23と第1中心軸17とに戻しばね24の両端が連結されている。
【0071】
巻取軸10の内部に収納されているこの戻しばね24には、紐状部材12を下方へ繰り出すために巻取軸10が正回転したときには、戻しばね力が蓄圧されることになる。
【0072】
このように、巻取軸10の内部には、この巻取軸10から紐状部材12が繰り出される際に、回転する巻取軸10でばね力が蓄圧される戻しばね24が配置されている。
【0073】
そして、本実施形態では、戻しばね24のばね力は、常に遮断体11の自重(巻取軸10から繰り出されている紐状部材12の重量と、横長部材13の重量と、紐状部材15の重量と、磁石14の重量の合計)と同じ又はこれよりも大きいものとなっている。
【0074】
このため、巻取軸10には、紐状部材12を巻き取る方向の回転力(逆回転力)が常に作用している。すなわち、巻取軸10には、紐状部材12を巻き取るために逆回転しようとする力が常に作用している。
【0075】
次に、本実施形態に係る出入口遮断装置の動作について説明する。
【0076】
まず、車庫3の出入口4を遮断体11で遮断させる作業について説明する。
【0077】
本実施形態では、自動車2を車庫3から完全に出庫させた後、自動車2の運転者や同乗者あるいは自動車2で外出しない住宅1の住人等が、車庫3の出入口4を遮断体11で遮断する作業を行う。
【0078】
この遮断作業は、作業者が、円盤状の磁石14あるいは紐状部材15に手を掛け、この磁石14又は紐状部材15を下に引っ張ることにより行う。これにより、上面部13Aがケース部材9の底面部9Aに接触していた横長部材13が下降していくことになる。この引っ張り作業は、磁石14が磁性体16に接触して吸着するまで、すなわち、磁石14が地面5に接地するまで行う。なお、作業者が、引っ張り作業の途中で磁石14あるいは紐状部材15から手を離すと、巻取軸10の内部に配置されている戻しばね24に蓄圧されたばね力で巻取軸10が逆回転する。これにより、紐状部材12が巻取軸10に巻き取られるため、遮断体11は上昇して
図2や
図4で示された状態に戻る。
【0079】
磁石14が磁性体16に吸着する力は、巻取軸10の逆回転力よりも大きくなっている。このため、上述した引っ張り作業により磁石14が磁性体16に吸着することで、遮断体11は、
図3に示された状態が保持(維持)される。すなわち、遮断体11により出入口4が遮断された状態が保持される。
【0080】
このため、磁石14と磁性体16は、遮断体11による出入口4の遮断状態を保持するための遮断状態保持手段を構成している。そして、磁石14は、紐状部材15により横長部材13に連結された係止部材となっており、磁性体16は、駐車面である地面5に設けられ、磁石14が係止する被係止部材となっている。
【0081】
また、本実施形態では、磁石14や紐状部材15は、遮断体11を下降させるための操作部材となっている。
【0082】
なお、本実施形態において、磁石14と磁性体16を逆にしてよい。すなわち、円盤状の磁性体を横長部材13に紐状部材15を介して連結し、地面5には、磁石を配置するようにしてもよい。
【0083】
また、本実施形態において、磁石14をフック部材とし、磁性体16をフック部材が係止可能なピン部材又はリング部材等としてもよい。
【0084】
次に、遮断体11により車庫3の出入口4が遮断されている状態を解除する作業について説明する。
【0085】
この作業は、車庫3から出庫していた自動車2を再び車庫3に入庫させるときに行われるものであり、作業者(前述したように、自動車2の運転者や同乗者あるいは自動車2で外出しない住宅1の住人等)は、磁石14あるいは紐状部材15に手を掛けてこの磁石14又は紐状部材15を上に引っ張り、磁性体16に吸着している磁石14をこの磁性体16から切り離せばよい。この後、作業者は、磁石14あるいは紐状部材15から手を離せばよい。
【0086】
前述したように、巻取軸10には、紐状部材12を巻き取る方向の回転力(逆回転力)が常に作用している。このため、磁石14を磁性体16から切り離した後は、紐状部材12が巻取軸10により巻き取られ、これにより、横長部材13は、
図2及び
図4に示す状態となるまで上昇する。
【0087】
このように、本実施形態では、巻取軸10とこの巻取軸10の内部に配置されている戻しばね24は、遮断体11を昇降させるための昇降手段を構成している。
【0088】
なお、本実施形態では、
図2や
図4で示されているように車庫3に自動車2が入庫している状態において、
図3や
図5で示されているように、遮断体11を下降させて出入口4が遮断体11で遮断された状態とすることもできる。
【0089】
以上説明した本実施形態では、駐車スペースである車庫3の出入口4を遮断するための出入口遮断装置は、車庫3の駐車面である地面5の上方に配置されている。
【0090】
このため、本実施形態によると、地中に埋設されていた従来の出入口遮断装置と比較して、設置作業がより簡単に行えるようになる。
【0091】
なお、本実施形態において、自動車2が車庫3に入庫しているとき、出入口4を遮断体11により遮断させることもできる。ただし、自動車2の長さ寸法(前後方向の寸法)が、車庫3の長さ寸法よりも小さい場合に限る。すなわち、車庫3に入庫された状態の自動車2が出入口4からはみ出していない場合に限る。
【0092】
なお、本実施形態において、遮断体11を下降させる作業は、横長部材13に被係止部を設けるとともに、この被係止部に係止する係止部を有していて、持ち上げたときに被係止部に届く長さを有する棒状部材を用意し、横長部材13の被係止部に係止部を係止させた棒状部材を下に引っ張る(引っ張り降ろす)ことにより行うようにしてもよい。
【0093】
図7は、第2の実施形態に係る駐車スペースの出入口遮断装置を示す
図3と同様の図である。なお、以下で説明する各実施形態において、前述した第1の実施形態と同じ部材については、同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0094】
この
図7で示されているように、本実施形態に係る遮断体25では、巻取軸10によって繰り出され、巻き取られる被巻取部材である紐状部材12の本数は、前述した第1の実施形態と同様に、2本となっている。
【0095】
しかし、本実施形態に係る遮断体25では、2本の紐状部材12のうちの一方の紐状部材12の上端部は、巻取軸10の軸方向の両端部のうちの一方の端部近傍に取り付けられ、下端部は、横長部材13の上面部13Aにおけるこの横長部材13の長さ方向中央部近傍に取り付けられている。また、他方の紐状部材12の上端部は、巻取軸10の軸方向の両端部のうちの他方の端部近傍に取り付けられ、下端部は、横長部材13の上面部13Aにおけるこの横長部材13の長さ方向中央部近傍に取り付けられている。そして、これら2本の紐状部材12は互いに交差しないよう配置されている。
【0096】
すなわち、本実施形態では、それぞれの紐状部材12の上端部の配置位置と下端部の配置位置は、巻取軸10の軸方向(
図7では、左右方向)にずれている。また、巻取軸10における2本のうちの一方の紐状部材12が巻き取られる部分と、他方の紐状部材12が巻き取られる部分とは、巻取軸10の軸方向に離間している。
【0097】
これにより、これら2本の紐状部材12が巻取軸10に巻き取られるとき、これら2本の紐状部材12は、巻取軸10にこの巻取軸10の径方向に重ならずに螺旋状に巻き取られることになる。
【0098】
このため、本実施形態によると、2本の紐状部材12が巻取軸10に巻き取られるとき、これらの紐状部材12の巻き径を小さいものとすることができる。
【0099】
なお、本実施形態において、2本の紐状部材12のうちの一方の紐状部材12の上端部は、巻取軸10の軸方向の中央部近傍に取り付け、下端部は、横長部材13の上面部13Aにおけるこの横長部材13の長さ方向の両端部のうちの一方の端部近傍に取り付け、また、他方の紐状部材12の上端部は、巻取軸10の軸方向の中央部近傍に取り付け、下端部は、横長部材13の上面部13Aにおけるこの横長部材13の長さ方向の両端部のうちの他方の端部近傍に取り付け、これら2本の紐状部材12は互いに交差しないよう配置するようにしてもよい。
【0100】
図8は、第3の実施形態に係る駐車スペースの出入口遮断装置を示す
図3と同様の図である。
【0101】
この
図8で示されているように、本実施形態に係る遮断体26では、巻取軸10によって繰り出され、巻き取られる被巻取部材は、防水性、耐久性を有する1枚のシート状部材27となっている。
【0102】
本実施形態によると、前述した第1及び第2の実施形態と比較して、車庫3の内部を外部からより見えにくくさせることができるという効果も得られる。
【0103】
なお、本実施形態において、被巻取部材は、複数枚のシート状部材を車庫3の幅方向に並設したもので構成するようにしてもよい。
【0104】
図9は、第4の実施形態に係る駐車スペースの出入口遮断装置を示す
図3と同様の図である。
【0105】
本実施形態に係る遮断体29は、車庫3の出入口4と、この車庫3の側部に設けられた玄関6への通路7の出入口を遮断するものとなっている。
【0106】
このため、遮断体29は、車庫3の出入口4と通路7の出入口に跨る幅寸法を有している。
【0107】
すなわち、
図9に示されているように、遮断体29を構成する横長部材31は、車庫3の出入口4と通路7の出入口に跨る長さ寸法(左右方向の寸法)を有している。
【0108】
このため、横長部材31の上面部13Aに下端部が連結されている3本の紐状部材30を繰り出し、巻き取るための図示されない巻取軸の長さ寸法(左右方向の寸法)も、車庫3の出入口4と通路7の出入口に跨る長さ寸法を有しており、この巻取軸を収納するためのケース部材28も、
図9で示されているように、車庫3の出入口4と通路7の出入口に跨る長さ寸法を有している。そして、このケース部材28の底面部28Aに設けられているスリット28Bの長さ寸法も、車庫3の出入口4と通路7の出入口に跨る長さ寸法を有している。
【0109】
なお、3本の紐状部材30は、横長部材31の上面部31Aに車庫3の幅方向に離間して連結されており、この横長部材31の底面部31Bにおける長さ方向中央部又は略中央部には、磁石14を横長部材31に連結するための紐状部材15の上端部が連結されている。
【0110】
本実施形態によると、車庫3の出入口4と通路7の出入口に跨る幅寸法を有している遮断体29により、車庫3への車両や人の侵入を遮断することができるだけでなく、玄関6への人や車両(自動車ではなく、自動二輪車や自転車等)の侵入を遮断することができる。
【0111】
図10は、第5の実施形態(言い換えると、前述した第1の実施形態の変形例)に係る出入口遮断装置を示す
図3と同様の図である。
図11は、
図10で示されている出入口遮断装置の巻取軸10の内部構造を示す
図6と同様の図である。
【0112】
図11に示されているように、前述の第1〜第4の実施形態と同様に、巻取軸10の内部には、戻しばね24が配置されている。
【0113】
しかし、本実施形態では、この戻しばね24のばね力は、常に遮断体11の自重よりも小さくなっている。すなわち、本実施形態では、戻しばね24のばね力は、常に遮断体11の自重(巻取軸10から繰り出されている紐状部材12の重量と、横長部材13の重量と、具体的な構造を後述する被係止部材33の重量と、紐状部材15の重量と、磁石14の重量の合計)よりも小さくなっている。
【0114】
このため、巻取軸10には、紐状部材12を繰り出す方向の回転力(正回転力)が常に作用している。すなわち、巻取軸10には、紐状部材12を繰り出すために正回転しようとする力が常に作用している。
【0115】
図10で示されているとおり、横長部材13の上面部13Aにおけるこの横長部材13の長さ方向中央部には、上述した被係止部材33が取り付けられており、この被係止部材33には被係止孔33Aが形成されている。また、
図10及び
図11に示すように、ケース部材9の底面部9Aの上面(スリット9Bの部分を除く)であって、被係止部材33の略真上の位置には、具体的な構造を後述する係止装置34が配置されている。
【0116】
図12は、紐状部材12が巻取軸10から繰り出されて下降してきた遮断体11が出入口4を遮断している状態を示す
図5と同様の図である。また、
図13は、
図12の状態から、紐状部材12が巻取軸10に巻き取られて上昇してきた遮断体11の横長部材13の上面部13Aがケース部材9の底面部9Aの下面に当接している状態、すなわち、出入口4の非遮断状態が保持されている状態を示す
図4と同様の図である。
【0117】
係止装置34は、
図13に示されているように、遮断体11の紐状部材12が巻取軸10に巻き取られることによって横長部材13の上面部13Aがケース部材9の底面部9Aの下面に当接しているときに、被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止することによって遮断体11の下降を阻止するための係止部材60を備えている。
【0118】
上下に揺動自在となっている通常時の係止部材60は、係止装置34の内部に設けられている具体的な構造を後述するストップ機構70の作動によって被係止孔33Aに挿入係止した水平姿勢となっており、これにより、出入口4の非遮断状態が保持(維持)される。
【0119】
上述したように、巻取軸10には、紐状部材12を繰り出すために正回転しようとする力が常に作用しているため、遮断体11の紐状部材12が巻取軸10に巻き取られた状態となっているときには、この巻取軸10の正回転を阻止する必要がなる。
【0120】
このため、本実施形態では、遮断体11の紐状部材12が巻取軸10に巻き取られ、横長部材13の上面部13Aがケース部材9の底面部9Aの下面に当接している状態となっている非遮断状態を保持するための非遮断状態保持手段を備えており、この非遮断状態保持手段は、上述した被係止部材33と、係止部材60を有する係止装置34とを含んで構成されるものとなっている。
【0121】
図10で示されているように、車庫3の出入口4を形成している狭小住宅1の開口部4の側壁46の内部には、
図13で示されている状態の遮断体11を下降させるために上述したストップ機構70の作動を解除するための具体的な構造を後述する操作部材42が配置されている。この操作部材42には、紐状部材であるワイヤー35の一端が連結されており、このワイヤー35は、側壁46の内部に配置されている上下2個のローラ37,38で方向変換されて係止装置34まで延びている。
【0122】
操作部材42の回動操作によりワイヤー35が牽引動作することでストップ機構70の作動が解除されると、後述するように、係止部材60がばね力により下向きの揺動姿勢となり、遮断体11が下降可能な状態に切り換えられる。
【0123】
この結果、遮断体11は、この遮断体11の自重(巻取軸10から繰り出されている紐状部材12の重量と、横長部材13の重量と、被係止部材33の重量と、紐状部材15の重量と、磁石14の重量の合計)による下降を開始する。
【0124】
すなわち、操作部材42が操作されることより、非遮断状態保持手段による出入口4の非遮断状態の保持が解除され、巻取軸10から紐状部材12が繰り出されることにより、横長部材13は、
図10に示されている所定の高さ位置まで下降し、出入口4が遮断体11により遮断された状態となる。
【0125】
前述したように、本実施形態では、巻取軸10の内部に配置された戻しばね24のばね力は、常に遮断体11の自重よりも小さくなっている。また、本実施形態では、非遮断状態保持手段による出入口4の非遮断状態の保持が解除された後における巻取軸10の正回転を停止させるための手段は備えられていない。
【0126】
このため、本実施形態では、操作部材42が操作されることで非遮断状態保持手段による出入口4の非遮断状態の保持が解除された後、巻取軸10の正回転は、上端部12Aを除く紐状部材12の全部が繰り出されるまで継続することになる。
【0127】
この結果、
図12で示されている状態、すなわち、出入口4が遮断体11により遮断されている状態においては、上端部12Aを除く紐状部材12が巻取軸10の最下部から垂下した状態となる。
【0128】
図10及び
図12から分かるように、本実施形態では、紐状部材12の巻取軸10からの繰り出し量、言い換えると、巻取軸10から繰り出される紐状部材12の長さは、出入口4を遮断しているときの遮断体11の横長部材13の高さ位置が、前述した第1〜第4の各実施形態における横長部材13の高さ位置と同じ又は略同じとなるような繰り出し量となっている。
【0129】
図10及び
図12で示されている状態においては、紐状部材12には、少なくとも横長部材13の重量と被係止部材33の重量を合計した下向きの荷重が掛かることになり、このため、紐状部材12には下向きの緊張力が発生し、この紐状部材12は、上述したように、巻取軸10の最下部から垂下した状態(言い換えると、鉛直方向に真っ直ぐ延びた状態)となる。
【0130】
なお、
図10及び
図12で示されている状態においては、磁石14は、地面5に配置されている磁性体16の上面に載置されるとともに、この磁性体16に吸着しているため、紐状部材12には、磁石14の重量分の荷重は掛からない。
【0131】
図11に示されているように、本実施形態では、巻取軸10が紐状部材12を繰り出すために正回転するときには、この巻取軸10の回転速度を減速させるための減速装置32が、巻取軸10の回転する軸である第2中心軸18に取り付けられている。
【0132】
本実施形態では、減速装置32は、ロータリー式のダンパーであり、この減速装置32の内部には、図示しないワンウエイクラッチを介して第2中心軸18と連結されている複数のブレードが取り付けられている。
【0133】
巻取軸10が正回転した場合には、ワンウエイクラッチの接続作用により、それぞれのブレードが減速装置32の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により巻取軸10は低速で正回転することになる。
【0134】
一方、遮断体11を上昇させるために巻取軸10が逆回転した場合には、この巻取軸10の第2中心軸18の回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、巻取軸10は高速で逆回転することになる。
【0135】
本実施形態では、減速装置32は、遮断体11の下降速度(降下速度)を減速させるための減速手段となっている。すなわち、本実施形態では、昇降手段を構成する巻取軸10には、遮断体11の下降速度を減速させるための減速手段である減速装置32が備えられている。
【0136】
このため、本実施形態では、自動車2の運転者自らが操作部材42を操作して遮断体11の下降を開始させ、この後、運転者が自動車2に乗車してこの自動車2を車庫3から出庫させたとしても、遮断体11は、自動車2が出入口4から完全に出た後に、この出入口4を遮断するようになっている。
【0137】
すなわち、本実施形態では、自動車2の運転者自らが、操作部材42を操作して遮断体11の下降を開始させた後に、運転者が自動車2に乗車してこの自動車2を車庫3から出庫させたとしても、自動車2が出入口4から完全に出るまで、遮断体11が出入口4を遮断した状態にはならない。
【0138】
このように、本実施形態では、遮断体11は、減速装置32によって非常にゆっくりとした速度(低速度)で下降するようになっており、このため、自動車2の運転者は、遮断体11の下降を開始させた後、余裕を持って自動車2を車庫3から出庫させることが可能となる。
【0139】
前述したように、第1〜第5の実施形態と同様に、本実施形態においても、巻取軸10の内部には戻しばね24が配置されている。
【0140】
遮断体11が自重で下降するときには、この遮断体11の紐状部材12が巻取軸10から繰り出されるが、このとき、戻しばね24には、回転する巻取軸10でばね力が蓄圧される。このため、遮断体11の自重による下降は、戻しばね24が蓄圧される分だけ減速される。言い換えると、遮断体11の紐状部材12を繰り出すために巻取軸10が正回転するときのこの回転速度は、戻しばね24にばね力が蓄圧されることによっても減速されることになる。
【0141】
このように、本実施形態では、遮断体11の自重による下降速度(言い換えると、巻取軸10の正回転速度)は、前述した減速装置32により減速されるだけでなく、戻しばね24にばね力が蓄圧されることによっても減速されることになる。
【0142】
遮断体11による出入口4の遮断状態を解除するためには、この出入口4を遮断している状態の遮断体11を上昇させることになるが、このためには、本実施形態では、遮断体11の横長部材13に大きな押し上げ力を加えて遮断体11を勢いよく上昇させる。
【0143】
これにより、横長部材13に加えた押し上げ力と、戻しばね24に蓄圧されたばね力とにより、遮断体11は、
図13に示されているよう、紐状部材12が巻取軸10に巻き取られて横長部材13がケース部材9の底面部9Aの下面に当接した非遮断状態となる。
【0144】
なお、遮断体11の横長部材13を持ち上げて上昇させるときには、戻しばね24に蓄圧されたばね力が、遮断体11の紐状部材12を巻き取るための巻取軸10の回転(逆回転)に利用され、このばね力が補助力となるため、横長部材13を軽く持ち上げることができる。
【0145】
なお、後述するように、係止装置34の係止部材60は上下の二股部分を有していて、下向きの揺動姿勢となっていたこの係止部材60の二股部のうちの上片部が、上昇してきた遮断体11の横長部材13の上面部13Aに配置されている被係止部材33の上面で押し上げられ、これにより水平姿勢に復帰した係止部材60の二股部のうちの下片部が被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止する。このときのストップ機構70は、係止部材60が水平姿勢に戻ると同時にもとの状態に復帰しているため、遮断体11の状態は、上述したように、紐状部材12が巻取軸10に巻き取られて横長部材13がケース部材9の底面部9Aの下面に当接した非遮断状態が保持された状態となる。
【0146】
次に、遮断体11を非遮断状態に保持するための非遮断状態保持手段を構成する係止装置34の具体的な構造を説明する。
【0147】
前述したように、
図12は、係止装置34の内部に設けられているストップ機構70の作動の解除により、後述するように、係止部材60がばね力により下向きの揺動姿勢となり、これにより自重により下降した遮断体11が出入口4を遮断している状態を示す
図5と同様の本実施形態に係る出入口遮断装置の縦断面図である。また、
図13は、
図12において下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60の二股部61のうちの上片部61Aが、上昇してきた遮断体11の横長部材13の上面部13Aに配置されている被係止部材33の上面で押し上げられ、これにより水平姿勢に復帰した係止部材60のうちの下片部61Bが被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止しているときの状態を示すものである。
【0148】
図14は、
図12における係止装置34の拡大図であって、係止装置34の金属製のケース34Aにおける遮断体11の紐状部材12と対向する側面に形成されている開口部34Bから遮断体11側へ露出している上片部61Aと下片部61Bとを有する係止部材60が、下向きの揺動姿勢となっているときの状態を示すものである。また、
図15は、
図13における係止装置34の拡大図であって、係止装置34のケース34Aに形成されている開口部から露出している係止部材60が、水平姿勢を維持しているときの状態を示すものである。
【0149】
図16は、
図15のS16−S16線断面図であって、ストップ機構70の作動により係止部材60が水平姿勢を維持しているときの状態を示すものである。
図17は、
図15のS17−S17線断面図であって、
図16と同様に、ストップ機構70の作動により係止部材60が水平姿勢を維持しているときの状態を示すものである。また、
図18は、
図17の状態から、ストップ機構を手動で解除するための前述の操作部材42の操作により、ストップ機構70の作動が解除された直後の状態を示す図である。
図19は、
図16のS19−S19線拡大断面図であり、
図20は、
図16のS20−S20線拡大断面図であり、ともにストップ機構70の作動により係止部材60が水平姿勢を維持しているときの状態を示す図である。
【0150】
図16に示すように、係止装置34は、遮断体11の紐状部材12が巻取軸10に巻き取られた状態となっている非遮断状態であるときに被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止することによって、非遮断状態を保持するための係止部材60と、この係止部材60を水平姿勢に維持させるストップ機構70と、ストップ機構70の作動を解除させるストップ機構解除機構100を備えている。
【0151】
図16に示すように、係止部材60は、係止装置34において、車庫3の幅方向(左右方向)である係止装置34の長さ方向(左右方向)の略中央部に配置されており、この係止部材60の両側には、
図16に示すように、係止部材60を挟むように2個のブラケット76,77が並設されている。そして、これらの2個のブラケット76,77の間には、係止部材60を上下に揺動自在とするための揺動中心軸64(
図16及び
図19参照)が架設されている。
【0152】
図19に示すように、係止部材60には、上片部61Aと下片部61Bとからなる二股部61が形成されており、係止部材60における二股部61の突出方向とは反対方向の部分は、遮断体11から遠ざかるように延出する後方延出部62となっている。
【0153】
この後方延出部62は、係止部材60が水平姿勢を維持している状態において、遮断体11から遠ざかるように斜め下方に向かって延びる下方斜延辺62Aと、遮断体11から遠ざかるように水平に延びる水平辺62Bと、遮断体11へ近づくように斜め下方に向かって延びる後端辺62Cとを有して形成され、したがって、後方延出部62は、二股部61の突出方向とは反対方向へ先細るように延出する形状となっている。
【0154】
また、係止部材60の後方延出部62には、板材からなる係止部材60の厚さ方向に突出する円柱状のピン63が設けられている。一方、このピン63と同じ側に配置されているブラケット76には、斜め上下方向に湾曲した形状を有するピン案内孔76Aが形成されている。
【0155】
係止部材60は、2個のブラケット76,77の間に架設されている前記揺動中心軸64を中心に揺動自在となっており、係止部材60がこの揺動中心軸64を中心に上下方向に揺動するとともに、ピン63はピン案内孔76A内を移動する。
【0156】
図19に示すように、ストップ機構70は、係止部材60を係止させるための回転軸72Aを中心に回転自在なローラ72と、このローラ72の両側に配設され、このローラ72の回転軸72Aを回転自在に支持するためのアーム部材71及びローラ支持部材73と、アーム部材71を遮断体11側へ牽引するためのばね74とからなっている。
【0157】
アーム部材71は、
図19に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態において、略への字を時計回りに略90度回転した形状を有しており、遮断体11から遠ざかるように斜め上方に向かって延びる上方斜延部71Aと、遮断体11から遠ざかるように斜め下方に向かって延びる傾斜面71Cを有していて鉛直方向に真っ直ぐ延びる下方垂延部71Bとからなっている。
【0158】
アーム部材71におけるブラケット76側の面には、円形状の不貫通孔71Eが形成されており、この不貫通孔71Eにローラ72の回転軸72Aの先端部が挿入固着されており、同様に、ローラ支持部材73におけるブラケット77側の面には、円形状の不貫通孔73Aが形成されており、この不貫通孔73Aにローラ72の回転軸72Aの先端部が挿入固着されている。すなわち、アーム部材71は、ブラケット76側の面からローラ72の回転軸72Aを支持しており、一方、ローラ支持部材73は、ブラケット77側の面からローラ72の回転軸72Aを支持している。このため、ローラ72は、アーム部材71とローラ支持部材73とに挟持されながら、回転軸72Aを中心に回転自在となっている。
【0159】
アーム部材71の上部には貫通孔71Fが形成されており、これと同様に、ローラ支持部材73の上部には貫通孔73Bが形成されている。これらの2個の貫通孔71F,73Bには、ブラケット76とブラケット77との間に架設されている円柱状の揺動中心軸71Gが挿通されている。このため、アーム部材71とローラ支持部材73は、ローラ72を挟持しながら、揺動中心軸71Gを中心に揺動自在となっている。
【0160】
また、
図19に示すように、アーム部材71の下方垂延部71Bの傾斜面71Cには、両端が鉤状となっていてアーム部材71とはブラケット77を隔てて反対側に配置されているばね74の一端を係止するためのばね係止部71Dが、ブラケット77の左下方に形成されている横長の略長方形状の開口部77Aへ延出するように設けられている。このばね係止部71Dには、ばね74の一端を係止するためのアーム部材71の揺動方向に貫通している円形状の貫通孔71H(
図17及び
図18参照)が形成されている。
【0161】
一方、ブラケット77におけるアーム部材71側とは反対側の面には、ばね74の他端を係止させるためのビス等の止着具からなるばね係止部材75が固着されている。このため、揺動中心軸71Gを中心に揺動自在となっているアーム部材71には、ばね係止部材75方向へのばね力が働く。
【0162】
図20は、前述したように、
図16のS20−S20線拡大断面図であり、
図19におけるブラケット76の反対側を示すものである。
【0163】
図20に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態を解除するための係止解除ばね86が、ブラケット76における係止部材60とは反対側の面に設けられている。この係止解除ばね86は、ねじりばねとなっており、ばね中心部86Aは、ビス等の止着具からなる結合部材87によりブラケット76に止着されている。
【0164】
係止部材60が水平姿勢を維持している状態においては、ピン案内孔76A内を移動する係止部材60のピン63により、係止解除ばね86の両端部のうちの下端部86Cが、ビス等の止着具からなるばね係止部材88により係止されている。一方、上端部86Bは、係止部材60のピン63により上方から押し下げられているため、この係止解除ばね86には、斜め上方へのばね力が蓄圧されている。
【0165】
図16に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態を解除するための係止解除レバー82は、略四半円状の形状を有する四半円部82Aと、略半円状の形状を有する半円部82Bと、この半円部82Bからアーム部材71の下方垂延部71Bと直交するように突出する突出部82Cとからなっており、半円部82Bの揺動中心軸82Dを中心に揺動自在となっている。
【0166】
この係止解除レバー82は、係止装置34に配置されている具体的な構造、機能を後述するソレノイド81と連結部材83で連結されている。
【0167】
係止解除レバー82の四半円部82Aと連結部材83の右端部とは重なり合っており、係止解除レバー82の四半円部82Aには、連結部材83側へ突出する円柱状の突起部82Eが形成されており、連結部材83の右端部には、係止解除レバー82の四半円部82Aの突起部82Eよりも大きな面積を有する略正方形状の開口部83Aが形成されている。
【0168】
図16に示すように、係止解除レバー82の四半円部82Aの突起部82Eは、連結部材83の開口部83Aに挿通されているので、係止解除レバー82の四半円部82Aと連結部材83とは、この開口部83Aで連結された状態となっている。
【0169】
図20に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態を解除するための係止解除ばね86の上方には、レバー部材91と、このレバー部材91を下向きに付勢させるためのばね92が配置されている。
【0170】
図17及び
図20に示すように、レバー部材91は、上方へ開口する略コの字状の形状を有しており、ブラケット94に架設されている揺動中心軸91Aを中心に揺動自在となっている。ばね92の中心部92Aは、揺動中心軸91Aに係止されており、上端部92Bは、ブラケット94の上部94Aに係止されており、下端部92Cは、レバー部材91の底部91Bの上面に係止されている。
【0171】
図20に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態においては、レバー部材91は、ばね92のばね力により下向きの揺動姿勢となっており、このため、このレバー部材91の底部91Bの下面の先端部は、係止部材60のピン63に当接し、このピン63を押し下げた状態となっている。
【0172】
図17に示すように、ストップ機構70を解除するためのストップ機構解除機構100は、本実施形態のように、操作部材42を開口部4を形成する左側の側壁46(
図10参照)に設置した場合に、このストップ機構解除機構100を作動させるための第1操作レバー101と、操作部材42を開口部4を形成する右側の側壁49(
図10参照)に設置した場合にこのストップ機構解除機構100を作動させるための第2操作レバー102と、これらの2個の操作レバーのいずれかの機械的な動きを係止解除レバー82へ伝達させるための第1アーム部材103及び第2アーム部材104とからなっている。
【0173】
図17に示すように、第1操作レバー101の右端部は、第1アーム部材103の下部103Aにビス等の止着具で結合されており、
図16に示す矢印A方向(
図17では矢印S方向)及び矢印B方向へスライド自在となっている。また、この第1操作レバー101の左端部には略円形状の貫通孔101Aが形成されており、この貫通孔101Aには、一端が操作部材42に結合されている紐状部材であるワイヤー35の他端が係止されている。
【0174】
また、第2操作レバー102の左端部は、第1アーム部材103の上部103Bにビス等の止着具で結合されており、
図16に示す矢印C方向及び矢印D方向へスライド自在となっている。この第2操作レバー102の右端部には略円形状の貫通孔102Aが形成されているが、本実施形態では、操作部材42は、車庫3側である左側の側壁46に設置されているので、この貫通孔102Aにはワイヤーは係止されてはいない。
【0175】
図16に示すように、連結軸106の一端は第1アーム部材103の略中央部に溶接等で固着され、連結軸106の他端は第2アーム部材104の上部に溶接等で固着されており、このため、第1アーム部材103と第2アーム部材104同士は、円柱状の連結軸106を介して結合されている。
【0176】
第1アーム部材103と第2アーム部材104との間には、断面が略コ字状のブラケット105が設けられている。このブラケット105は、ケース34Aにビス等の止着具で結合される方形状の水平延出部105Aと、この水平延出部105Aの両端からそれぞれ垂直上方へ立ち上がった2個の立上り部105B,105Cとからなっている。
【0177】
第1アーム部材103側に配置されている立上り部105Bの上部には、
図17に示す円形状の貫通孔105Dが形成されており、これと同様に、第2アーム部材104側に配置されている立上り部105Cの上部には、
図17に示す円形状の貫通孔105Eが形成されており、これらの2個の貫通孔105D,105Eは同じ高さ位置に形成されている。
【0178】
第1アーム部材103と第2アーム部材104とを連結している連結軸106は、これらの2個の貫通孔105D,105Eに回転自在に挿通されており、ブラケット105に水平に架設されている状態となっている。
【0179】
このため、連結軸106に連結されている第1アーム部材103及び第2アーム部材104は、連結軸106を中心に、
図16に示す矢印E方向及び矢印F方向へ揺動自在となっており、第1アーム部材103が連結軸106を中心に揺動すると、これに連動して、第2アーム部材104も第1アーム部材103の揺動方向と同じ方向に揺動するようになっている。
【0180】
図17及び
図18に示すように、一端が操作部材42に結合され、この操作部材42と係止装置34とを連結する連結手段となっているワイヤー35が牽引されると、このワイヤー35の他端が貫通孔101Aに係止されている第1操作レバー101が、矢印S方向に牽引されることにより、第1アーム部材103は、連結軸106を中心に
図18に示す矢印U方向へ揺動するとともに、第2アーム部材104も連結軸106を中心に矢印U方向に揺動することになる。
【0181】
次に、ストップ機構70の作動により水平姿勢が維持されている係止部材60が、ストップ機構解除機構100の作動により下向きの揺動姿勢となるまでの動作について説明する。
【0182】
図19に示すように、係止部材60がストップ機構70の作動により水平姿勢を維持している状態では、アーム部材71とローラ支持部材73とにより挟持されているローラ72が、係止部材60の後方延出部62の下方斜延部62Aの先端に乗り上げるように載置している。
【0183】
なお、このとき、
図20に示すように、係止部材60のピン63は、係止解除ばね86の上端部86Bを上方から押し下げているので、この係止解除ばね86にはピン63を斜め上方へ押し上げるばね力が蓄圧されている。
【0184】
図17に示すように、一端が操作部材42に結合され、他端が貫通孔101Aに係止されたワイヤー35が牽引されることにより、第1アーム部材103の上部103Bに連結されている第1操作レバー101は矢印S方向(
図16では矢印A方向)へスライドする。これにより、第1アーム部材103は、
図18に示すように、連結軸106を中心に矢印U方向へ揺動する。このとき、第1アーム部材103の下部に連結している第2操作レバー102は、矢印T方向(
図16では矢印C方向)へスライドする。
【0185】
一方、ブラケット105に架設されている連結軸106を介してこの第1アーム部材103に連結している第2アーム部材104も、第1アーム部材103と同様に、連結軸106を中心に矢印U方向(
図16では矢印E方向)へ揺動する。
【0186】
このとき、一端が貫通孔104Aに係止され、他端が係止部材108に係止されているばね107は、
図16に示すように、矢印Q方向へ伸長するので、ばね107には矢印R方へのばね力が蓄圧される。
【0187】
図18に示すように、第2アーム部材104が矢印U方向(
図16では矢印E方向)へ揺動し続けることにより、この第2アーム部材104の上端部の角部が、係止解除レバー82の四半円部82Aを押し出すように当接することになる。これにより、係止解除レバー82は、
図16に示すように、揺動中心軸82Dを中心に揺動を開始し、この係止解除レバー82のうち、四半円部82Aは矢印G方向へ揺動し、半円部82Bは矢印J方向へ揺動し、突出部82Cは矢印K方向へ揺動する。すなわち、
図19に示すように、アーム部材71の下方垂延部71Bに当接している係止解除レバー82の突出部82Cは、矢印a方向へスライド(揺動)する。
【0188】
図21は、
図19の状態から、係止部材60を水平姿勢に維持していたストップ機構70の作動が解除されて、係止部材60が下向きの揺動姿勢へと変化した直後の状態を示すものである。同様に、
図22は、
図20の状態から、係止部材60を水平姿勢に維持していたストップ機構70の作動が解除されて、係止部材60が下向きの揺動姿勢へと変化した直後の状態を示すものである。
【0189】
前述したように、アーム部材71の下方垂延部71Bが係止解除レバー82の突出部82Cに押し出されると、
図21に示すように、アーム部材71は揺動中心軸71Gを中心に矢印b方向(
図16では矢印M方向)への揺動を開始する。これと同時に、係止部材60の下方斜延部62Aの先端部に乗り上げるように載置していたローラ72は、矢印d方向に回転するとともに、係止部材60の下方斜延部62Aから離れていく。
【0190】
このため、
図22に示すように、係止解除ばね86に蓄圧されていたばね力により、係止解除ばね86の上端部86Bが矢印i方向に反発するため、上端部86Bを上方から押し下げていた係止部材60のピン63は押し上げられ、ブラケット76のピン案内孔76A内を矢印e方向へ移動する。この結果、係止部材60は、揺動中心軸64を中心に矢印g方向への揺動を開始する。
【0191】
係止部材60が矢印g方向へ揺動することにより、被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止していた二股部61の下片部61Bは、被係止孔33Aから離脱する。これにより、被係止部材33は、
図21に示すように、矢印h方向へ下降するとともに、非遮断状態となっていた遮断体11は自重による下降を開始する。
【0192】
本実施形態では、遮断体11が自重による下降を開始したことを確認できたら、ワイヤー35を牽引させるための操作部材42の操作はやめてよい。すなわち、ワイヤー35を牽引させるための操作部材42の操作は、遮断体11が自重による下降を開始するまで行う。
【0193】
前述したように、第2アーム部材104には、
図16に示すように、矢印R方向へのばね107によるばね力が蓄圧されているので、遮断体11が自重による下降を開始した後、貫通孔101Aに係止されたワイヤー35の牽引動作をやめることにより、第1アーム部材103は、蓄圧されていたばね107のばね力により矢印F方向へ牽引されることにより揺動し、元の位置に戻る。これと同時に、第2アーム部材104も第1アーム部材103に連動して揺動し、元の位置に戻る。これに伴い、第1操作レバー101は矢印B方向へスライドし、第2操作レバー102は矢印D方向へスライドするので、それぞれ元の位置に戻ることになる。
【0194】
また、
図19で示されているように矢印a方向へスライド(揺動)することによりアーム部材71の下方垂延部71Bを押し出していた係止解除レバー82の突出部82Cも、ワイヤー35を牽引させるための操作部材42の操作をやめることにより、
図19や
図21で示されている元の位置に戻るようになっている(この機構については、後述する)。
【0195】
なお、
図21に示すように、アーム部材71が矢印b方向に揺動することにより、ばね係止部71Dの貫通孔71H(
図17参照)に係止されているばね74は矢印c方向に伸長する。このため、係止部材60の水平姿勢が解除された状態においては、ばね74には矢印c方向とは逆の方向のばね力が蓄圧されることになる。すなわち、係止部材60が下向きの揺動姿勢となっている間は、ばね74には矢印c方向とは逆の方向のばね力が蓄圧されることになる。
【0196】
次に、ストップ機構解除機構100の作動により水平姿勢を維持している状態が解除され、下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60が、上昇した遮断体11によりストップ機構70が再び作動し、この係止部材60が再び水平姿勢を維持する状態となるまでの動作を説明する。
【0197】
図23は、
図21の状態から、下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60のうちの二股部61の上片部61Aが、矢印l方向に上昇してきた遮断体11の横長部材13の上面部13Aに配置された被係止部材33の上面で押し上げられる直前の状態を示すものである。同様に、
図24は、
図22の状態から、下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60のうちの二股部61の上片部61Aが、矢印l方向に上昇してきた遮断体11の横長部材13の上面部13Aに配置された被係止部材33の上面で押し上げられる直前の状態を示すものである。
【0198】
被係止部材33の上部が二股部61の上片部61Aに当接すると、係止部材60は揺動中心軸64を中心として矢印m方向への揺動を開始する。また、このとき、係止部材60のピン63は、ピン案内孔76A内を矢印o方向へ移動する。
【0199】
一方、係止部材60の後方延出部62の後端辺62Cに接触していたアーム部材71のローラ72が矢印q方向へ回転するとともに、矢印r方向へのばね力が蓄圧されたばね74にアーム部材71のばね係止部71Dが矢印r方向へ引き寄せられるため、アーム部材71は、揺動中心軸71Gを中心とする矢印p方向(
図16では矢印N方向)への揺動を開始する。
【0200】
係止部材60の矢印m方向への揺動が進むにしたがって、係止部材60の二股部61の下片部61Bが、被係止部材33の被係止孔33Aに挿入されていく。
【0201】
一方、アーム部材71の矢印p方向への揺動が進むにしたがって、アーム部材71のローラ72は、矢印q方向へ回転しながら、係止部材60の後方延出部62の下方斜延部62Aの先端部に乗り上げるように載置していく。
【0202】
矢印m方向への揺動を行っていた係止部材60が水平姿勢の状態になると同時に、ばね74に引き寄せられて矢印p方向への揺動を行っていたアーム部材71の下方垂延部71Bが、係止解除レバー82の突出部82Cに当接するので、アーム部材71の矢印p方向への揺動は停止し、アーム部材71のローラ72の矢印q方向への回転も停止する。
【0203】
係止部材60が水平姿勢の状態になると同時に、アーム部材71のローラ72が係止部材60の後方延出部62の下方斜延部62Aの先端部に完全に乗り上げた状態、すなわち、係止部材60の後方延出部62の下方斜延部62Aに完全に係止した状態となるように、アーム部材71は揺動するようになっている。このため、これ以降の係止部材60は、
図19に示すにように、水平姿勢の状態を維持することになる。
【0204】
この結果、上昇した遮断体11は、この遮断体11の紐状部材12が巻取軸10に巻き取られて横長部材13の上面部13Aがケース部材9の底面部9Aの下面に当接した状態、すなわち、
図13で示されている非遮断状態が保持(維持)されることになる。
【0205】
なお、
図24に示すように、
図23におけるブラケット76の反対側では、矢印o方向へ移動しているピン63が、係止解除ばね86の上端部86Bを矢印s方向へ押し下げ、この係止解除ばね86には矢印s方向とは反対方向のばね力、すなわち、ピン63を斜め上方へ押し上げる方向のばね力が蓄圧されることになる。また、レバー部材91は、係止部材60のピン63が矢印o方向へ移動するにしたがって、ばね92に蓄圧されていた矢印u方向へのばね力により、ばね92の下端部92Cがレバー部材91の底部91Bの上面を押し下げる。
【0206】
図25は、
図10で示されている操作部材42の拡大断面図であり、
図26は、
図25の状態から、ストップ機構70を解除するために操作部材42を操作しているときの状態、すなわち、ワイヤー35を牽引しているときの状態を示すものである。
【0207】
操作部材42は、出入口4の左周縁部を形成する左側の側壁46に設けられた凹部47に収納されており、この凹部47の開口部は、通常時には、凹部47で垂直に架設された軸部材40を中心に回動自在(開閉自在)となっている蓋部材(カバー部材)39で閉じられている。
【0208】
操作部材42は、凹部47で水平に架設された軸部材43を中心に回動自在となっており、前述したように、一端が係止装置34の第1操作レバー101に連結されているワイヤー35の他端が、この操作部材42に連結されている。
【0209】
また、凹部47には、操作部材42に連結されたワイヤー35の他端を凹部47で垂直方向に案内する(言い換えると、方向変換する)ためのガイドローラ38(
図10も参照)が設けられている。ワイヤー35が掛け回されているこのガイドローラ38は、凹部47で水平に架設された軸部材44を中心に回転自在となっている。
【0210】
なお、
図10で示されているように、凹部47でガイドローラ38により垂直方向に方向変換されたワイヤー35は、側壁46における凹部47の上面部から形成された縦穴空間45(
図25参照)経由し、この縦穴空間45の最上部近傍に配置されていて図示しない軸部材を中心に回転自在となっているガイドローラ37に掛け回されて水平方向に方向変換された後、係止装置34の第1操作レバー101に連結されている。
【0211】
係止装置34のストップ機構70を解除するには、まず、通常時凹部47を閉じている蓋部材39の前面部に設けられた取手部材である摘み部材41を摘み、この蓋部材39を手前に開く。
【0212】
この後、凹部47の上部に手を差し入れ、操作部材42の上部を手のひら全体で押さえる。そして、
図26に示すように、手のひら全体で押さえた操作部材42を手前側へ引くことにより、操作部材42は、軸部材43を中心に出入口4側下方(矢印w方向)への回動を開始する。これにより、凹部47でガイドローラ38により案内されているワイヤー35も、矢印x,y方向へ引っ張られることになる。
【0213】
前述したように、ワイヤー35の一端は、係止装置34のストップ機構解除機構100の第1操作レバー101の貫通孔101Aに係止されているので、第1操作レバー101は、
図17に示すように、矢印S方向へ牽引されるとともに、
図18に示すように、第1アーム部材103と第2アーム部材104は共に矢印U方向へ揺動する。矢印U方向へ揺動した第2アーム部材104の上端部の角部は、係止解除レバー82の四半円部82Aに当接する。
【0214】
これにより、係止解除レバー82は、
図16に示すように、揺動中心軸82Dを中心に揺動を開始し、係止解除レバー82の突出部82Cは、
図19に示すように、矢印a方向へスライドし、アーム部材71の下方垂延部71Bに当接する。このため、ストップ機構70は解除され、この結果、非遮断状態に保持されていた遮断体11は、自重による下降を開始する。
【0215】
以上説明したように、本実施形態では、被係止部材33と、係止部材60とストップ機構70を有する係止装置34は、遮断体11の紐状部材12が巻取軸10に巻き取られた状態となっている非遮断状態に保持するための非遮断状態保持手段を構成するものとなっている。
【0216】
また、本実施形態では、操作部材42と、ワイヤー35と、第1及び第2操作レバー101,102と、ストップ機構解除機構100は、非遮断状態保持手段による非遮断状態の保持状態を解除するための非遮断状態保持状態解除手段を構成するものとなっている。
【0217】
そして、本実施形態では、非遮断状態保持状態解除手段によって非遮断状態保持手段による非遮断状態の保持状態が解除されたことにより遮断体11が自重による下降を開始するものとなっている。
【0218】
図27は、第6の実施形態(言い換えると、前述した第5の実施形態の変形例)に係る出入口遮断装置を示す
図3と同様の図である。
【0219】
前述した第5の実施形態では、操作部材42を操作することにより、係止装置34のストップ機構70の作動が解除されるものであった。すなわち、第5の実施形態では、係止装置34のストップ機構70の作動を機械式に解除するものであった。すなわち、第5の実施形態では、
図16〜
図18で示されているストップ機構解除機構100は、ストップ機構70の作動を手動により解除するストップ機構手動解除機構となっている。
【0220】
図16に示されているように、係止装置34には、電気信号によりストップ機構70の作動を自動的に解除させるストップ機構自動解除機構80も配置されている。
【0221】
すなわち、本実施形態は、このストップ機構自動解除機構80により、係止装置34のストップ機構70の作動を電気式に解除するものとなっている。
【0222】
図16に示すように、ストップ機構自動解除機構80は、ソレノイド81と、水平姿勢を維持している係止部材60の係止状態を解除させるための係止解除レバー82と、ソレノイド81とこの係止解除レバー82とを連結させるための連結部材83と、係止部材60が水平姿勢を維持している状態の解除を付勢するための係止解除ばね86とからなっている。
【0223】
図27に示すように、側壁46には、押しボタン方式の操作ボタン50が配置されており、この操作ボタン50は、リード線81Eを介してソレノイド81に接続されている。
【0224】
図16に示すように、ソレノイド81は、操作ボタン50が操作されることによりリード線81Eを通じて供給される電気信号(DC24V)により励磁されるコイル81Aと、このコイル81Aの内部に設けられ、略テーパ状の先端部を有するスライド自在なプランジャ81Cと、このプランジャ81Cの先端部が挿入されるように略テーパ状の窪み部を有するストッパ81Bとからなっている。
【0225】
操作ボタン50の操作によりリード線81Eを通じてDC24Vが供給されたソレノイド81のコイル81Aは励磁されるので、ストッパ81Bとはソレノイド81の内部で離間していたプランジャ81Cがストッパ81Bへ吸引され、矢印O方向へスライドする。これにより、プランジャ81Cの先端部は、ストッパ81Bの窪み部へ挿入される。
【0226】
このとき、プランジャ81Cに連結されている連結部材83も同時に矢印O方向へスライドするとともに、この連結部材83の開口部83Aで突出している突起部82Eが形成されている係止解除レバー82も連結部材83に引っ張られて、係止解除レバー82は揺動中心軸82Dを中心に揺動する。したがって、係止解除レバー82のうち、四半円部82Aは矢印G方向へ揺動し、半円部82Bは矢印J方向へ揺動し、突出部82Cは矢印K方向へ揺動する。
【0227】
すなわち、連結部材83を介してプランジャ81Cに連結されている係止解除レバー82は、半円部82Bの揺動中心軸82Dを中心に揺動を開始し、係止解除レバー82の突出部82Cは、
図19に示すように矢印a方向へスライドし、アーム部材71の下方垂延部71Bに当接する。
【0228】
このように、本実施形態では、操作ボタン50が操作されることにより、係止解除レバー82は、前述した第5の実施形態で第1操作レバー101が操作されたのと同様の動作を行う。
【0229】
これにより、ストップ機構70の作動は解除され、この結果、遮断体11は自重による下降を開始する。
【0230】
なお、
図16及び
図17で示されているように、ソレノイド81のプランジャ81Cの外周部分のうち、ソレノイド81のケースから露出している部分には、ばね81Dが装着されている。このばね81Dの左端はソレノイド81のケースに当接しており、右端は連結部材83の左端に当接している。
図16に示すようにプランジャ81Cが矢印O方向へスライドすることにより、ばね81Dには矢印P方向へのばね力が蓄圧されるようになっている(
図18も参照)。
【0231】
図20に示されているように、レバー部材91の下方には、マイクロスイッチ93が配置されており、係止部材60が水平姿勢を維持している間は、ばね92によるばね力により、下向きの揺動姿勢となっているレバー部材91の底部91Bの下面が、マイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの先端部93Cに当接している状態が維持されている。すなわち、マイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの先端部93Cは、ばね92によるばね力により、レバー部材91の底部91Bの下面に押し下げられて水平姿勢が維持された状態(言い換えると、マイクロスイッチ93が不作動状態)となっている。
【0232】
図22に示すように、ストップ機構70の作動が解除されるときには、レバー部材91の底部91Bの下面が、矢印e方向へ押し上げられた係止部材60のピン63により矢印j方向へ押し上げられるので、マイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの先端部93Cは、当接していたレバー部材91の底部91Bの下面から離れる。なお、このとき、ばね92の下端部92Cも矢印k方向へ押し上げられる。
【0233】
このため、マイクロスイッチ93が作動し、このマイクロスイッチ93は、ソレノイド81に供給されていたDC24Vを遮断する。この結果、ソレノイド81のコイル81A非励磁状態となる。これにより、
図18に示すように、先端部がストッパ81Bの窪み部へ挿入されたプランジャ81Cは、蓄圧されたばね81Dのばね力により、
図16に示す矢印P方向へスライドし、元の位置に戻るとともに、連結部材83を介してプランジャ81Cに連結している係止解除レバー82も元の位置に戻る。
【0234】
なお、本実施形態において、ストップ機構自動解除機構80により水平姿勢を維持している状態が解除され、下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60が、上昇した遮断体11によりストップ機構70が作動し、この係止部材60が再び水平姿勢を維持する状態となるまでの動作は、前述した第5の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0235】
なお、上昇した遮断体11によりストップ機構70が作動するとき、
図24に示すように、
図23におけるブラケット76の反対側では、矢印o方向へ移動しているピン63が、係止解除ばね86の上端部86Bを矢印s方向へ押し下げ、この係止解除ばね86には矢印s方向とは反対方向のばね力、すなわち、ピン63を斜め上方へ押し上げる方向のばね力が蓄圧されることになる。また、レバー部材91は、係止部材60のピン63が矢印o方向へ移動するにしたがって、ばね92に蓄圧されていた矢印u方向へのばね力により、ばね92の下端部92Cがレバー部材91の底部91Bの上面を押し下げる。これにより、前述した
図20に示すように、マイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの先端部93Cは、矢印t方向へ揺動したレバー部材91の底部91Bの下面に押し下げられて水平姿勢が維持された状態(言い換えると、マイクロスイッチ93が不作動状態)となる。
【0236】
以上説明したように、本実施形態では、操作ボタン50と、リード線81Eと、ストップ機構自動解除機構80は、非遮断状態保持手段による非遮断状態の保持状態を解除するための非遮断状態保持状態解除手段を構成するものとなっている。
【0237】
なお、前述した第5の実施形態において、操作部材42の回動操作によりワイヤー35が牽引されることで係止解除レバー82が揺動中心軸82Dを中心に揺動すると、連結部材83を介して連結しているソレノイド81のプランジャ81Cも
図16に示すように、連結部材83とともに矢印O方向(
図18では矢印V方向)へスライドし、プランジャ81Cの先端部がストッパ81Bの窪み部へ挿入される。
【0238】
しかし、この後、操作部材42の回動操作をやめることにより、プランジャ81Cは、蓄圧されたばね81Dの
図16に示す矢印P方向への反発力により元の位置に戻る。これと同時に、連結部材83を介してプランジャ81Cに連結している係止解除レバー82も元の位置に戻る。このとき、
図16に示すように、係止解除レバー82のうち、四半円部82Aは矢印H方向へ揺動し、半円部82Bは矢印I方向へ揺動し、突出部82Cは矢印L方向へ揺動し、元の位置に戻る。
【0239】
以上説明したように、第5及び第6の実施形態に係る出入口遮断方法、すなわち、遮断体11と、この遮断体11を昇降させるための昇降手段を構成する内部に戻しばね24を有する巻取軸10が、駐車面である地面5の上方に配置されている駐車スペースである車庫3の出入口4を遮断する方法は、自動車2が車庫3に入庫されているときには、遮断体11を自動車2よりも上方に配置し、自動車2が車庫3から出庫するときには、
図11で示されている減速手段である減速装置32で遮断体11を減速させながら下降させ、自動車2が出入口4を出た後、この出入口4が遮断体11により遮断された状態にするものとなっている。
【0240】
なお、以上説明した第5及び第6の実施形態では、横長部材13の両側面部のうちの道路側の側面部には、車庫3への侵入を禁ずる旨(本実施形態では「立入禁止」)のマーク48が付されている。すなわち、本実施形態では、遮断体11における出入口4側の部分には、駐車スペースへの侵入を禁ずる旨のマーク48が付されている。このマーク48は、前述した第1〜第4の実施形態に係る横長部材13,31にも付すようにしてもよい。
【0241】
なお、第1〜第4の実施形態と同様に、以上説明した第5及び第6の実施形態においても、自動車2が車庫3に入庫しているとき、出入口4を遮断体11により遮断させることもできる。ただし、自動車2の長さ寸法が、車庫3の長さ寸法よりも小さい場合に限る。すなわち、車庫3に入庫された状態の自動車2が出入口4からはみ出していない場合に限る。
【0242】
なお、以上説明した第5及び第6の実施形態において、車庫3に入庫されている自動車2が右ハンドルの自動車である場合には、操作部材42や操作ボタン50の操作は、車庫3から出庫させる自動車2の運転者が車内から手を伸ばして行ってもよい。
【0243】
なお、第5の実施形態と第6の実施形態を併用してもよい。すなわち、
図10で示されている操作部材42及びワイヤー35と、
図27で示されている操作ボタン50及びリード線81Eを側壁46の内部に並設し、操作部材42を操作することにより、係止装置34のストップ機構70の作動を機械式に解除することができるようにするとともに、操作ボタン50を操作することにより、係止装置34のストップ機構70の作動を電気式に解除することができるようにしてもよい。
【0244】
なお、一般的に、運転者等は、例えば出勤時の出庫の際には、時間的余裕が少なく急いでいることが多く、一方、帰宅時の入庫の際には、出庫と比較すれば時間的に余裕はあり、それほど急ぐ必要が無い場合が多い。このような事情を考慮すると、入庫時には若干手間や時間がかかる構成であっても許容される余地があるが、出庫時には手間や時間をそれほど要しない構成であることが好ましい。
【0245】
したがって、以上説明した第5及び第6の実施形態では、入庫の際には、運転者等が自動車2を降りる等して遮断体11を開放操作した後に、再度自動車2を車庫3に移動することを想定した構成としている。一方、出庫の際には、自動車2に乗る前に遮断体11の下降操作を行い、その後、自動車2に乗り込んでこの自動車を出庫させる。この間において、減速装置32の働きで遮断体11の下降は始まらないか又は下降量は少ないので、出庫時に遮断体11が邪魔になるのを避けることができる。その後、出庫が完了した所定時間経過後に遮断体11の下降が終了することになる。すなわち、出庫の際には、運転者等は、自動車2を発進させる前に遮断体11の下降操作をするだけでよいので、手間や時間を短縮できる。
【0246】
なお、以上説明した各実施形態では、駐車スペースである車庫3の側部には、玄関6への通路7が設けられているものであったが、以上説明した各実施形態は、側部に通路が設けられていない車庫にも適用できる。
【0247】
以上説明した各実施形態では、駐車スペースである車庫3は、自動車2を収納するものであったが、この車庫3は、自動車に限らず、自動二輪車、自転車(原動機付自転車を含む)等の各種の車両を駐車するものでもよい。
【0248】
また、以上説明した各実施形態では、駐車スペースである車庫3は、1台の自動車2を収納するものであったが、この車庫3は、複数台の車両を収納するもの(左右方向に並べて収納するものでもよく、前後方向に並べて収納するものでもよく、これらを複合したもの(左右方向及び前後方向に並べて収納するもの))でもよい。
【0249】
ここで、車庫が複数台の車両を収納するものである場合には、遮断体は、例えば、それぞれの車両の出入口を遮断するための複数個の遮断体で構成されるものであってもよく、全部の車両の出入口を遮断するための1個の遮断体で構成されるものであってもよい。
【0250】
また、以上説明した各実施形態では、駐車スペースは、住宅の内部に設置された車庫(ガレージ)であったが、この駐車スペースは、住宅の敷地に設置された車庫(ガレージ)、公共の有料駐車場(月極駐車場、コインパーキング等の契約駐車場)等でもよい。
【0251】
なお、駐車スペースが、公共の有料駐車場である場合には、遮断体とは、有料駐車場内の各車両の駐車スペースの出入口を遮断するものの他、有料駐車場自体の出入口(ゲート)を遮断するものも含む。
【0252】
なお、駐車スペースが建物の2階以上に設置されているものについては、駐車面は、以上説明した各実施形態のような地面ではなく、床面となる。
【0253】
なお、駐車スペースの出入口を遮断するための昇降自在な遮断体は、以上説明した各実施形態に限定されるものではない。例えば、横長部材13は、複数個の横長部材を上下方向に並設したものであってもよい。