(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349125
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20180618BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20180618BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
G06F3/041 420
G06F3/044 122
G06F3/045 G
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-72647(P2014-72647)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2014-219964(P2014-219964A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0048573
(32)【優先日】2013年4月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】キム,フィ ス
(72)【発明者】
【氏名】ホン,サン ス
【審査官】
加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−533877(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/121519(WO,A2)
【文献】
特開2013−069261(JP,A)
【文献】
特開2013−012016(JP,A)
【文献】
特表2012−519329(JP,A)
【文献】
特開2012−181815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G06F 3/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板上に形成された電極パターンと、を含み、
前記電極パターンはメッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターンを含
み、
前記電極パターンに含まれた少なくとも一つ以上の単位パターンの半径(r)を全体の単位パターンの平均半径で除した値をX軸とし、前記単位パターンの頻度数(frequency)をY軸とし、X軸をlog軸と設定し、標準偏差をσとしたときに、
で表され、
ここで、σ値は0超過1以下の値に形成されるように前記の関係式を満たす、タッチセンサ。
【請求項2】
前記電極パターンは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)またはこれらの組み合わせからなる、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
透明基板と、
前記透明基板の一面に一方向に互いに平行に形成される第1電極パターンと、
前記透明基板の他面に形成され、前記第1電極パターンと交差する方向に形成される第2電極パターンと、を含み、
前記第1電極パターンおよび第2電極パターンはメッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターンを含
み、
前記第1電極パターンまたは第2電極パターンに含まれた少なくとも一つ以上の単位パターンの半径(r)を全体の単位パターンの平均半径で除した値をX軸とし、前記単位パターンの頻度数(frequency)をY軸とし、X軸をlog軸と設定し、標準偏差をσとしたときに、
で表され、
ここで、σ値は0超過1以下の値に形成されるように前記の関係式を満たす、タッチセンサ。
【請求項4】
前記電極パターンは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)またはこれらの組み合わせからなる、請求項3に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
第1透明基板と、
前記第1透明基板の一面に一方向に互いに平行に形成される第1電極パターンと、
第2透明基板と、
前記第2透明基板の一面に前記第1電極パターンと交差する方向に互いに平行に形成される第2電極パターンと、を含み、
前記第1電極パターンおよび第2電極パターンはメッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターンに形成され、
前記第1透明基板の他面と前記第2透明基板の第2電極パターンとが対向するように前記第1透明基板と前記第2透明基板が接合さ
れ、
前記第1電極パターンまたは第2電極パターンに含まれた少なくとも一つ以上の単位パターンの半径(r)を全体の単位パターンの平均半径で除した値をX軸とし、前記単位パターンの頻度数(frequency)をY軸とし、X軸をlog軸と設定し、標準偏差をσとしたときに、
で表され、
ここで、σ値は0超過1以下の値に形成されるように前記の関係式を満たす、タッチセンサ。
【請求項6】
前記電極パターンは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)またはこれらの組み合わせからなる、請求項5に記載のタッチセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル技術を用いるコンピュータが発達するにつれて、コンピュータの補助装置もともに開発されており、パソコン、携帯用送信装置、その他の個人用の情報処理装置などは、キーボード、マウスなどの様々な入力装置(Input Device)を利用してテキスト及びグラフィック処理を行う。
【0003】
しかし、情報化社会の急速な進行により、コンピュータの用途が益々拡大する傾向にあるため、現在、入力装置の役割を担当しているキーボード及びマウスだけでは、効率的な製品の駆動が困難であるという問題点がある。従って、簡単で誤操作が少なく、誰でも簡単に情報を入力することができる機器の必要性が高まっている。
【0004】
また、入力装置に関する技術は、一般的な機能を満たす水準を越えて、高信頼性、耐久性、革新性、設計及び加工に関する技術などが注目されており、このような目的を達成するために、テキスト、グラフィックなどの情報入力が可能な入力装置として、タッチセンサ(touch sensor)が開発された。
【0005】
このようなタッチセンサは、電子手帳、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display Device)、PDP(Plasma Display Panel)、El(Electroluminescence)などの平板ディスプレイ装置及びCRT(Cathode Ray Tube)などの画像表示装置の表示面に設けられ、ユーザが画像表示装置を見ながら所望の情報を選択するようにするために利用される機器である。
【0006】
一方、タッチセンサの種類は、抵抗膜方式(Resistive Type)、静電容量方式(Capacitive Type)、電磁方式(Electro−Magnetic Type)、表面弾性波方式(SAW Type;Surface Acoustic Wave Type)及び赤外線方式(Infrared Type)に区分される。このような様々な方式のタッチセンサは、信号増幅の問題、解像度の差、設計及び加工技術の難易度、光学的特性、電気的特性、機械的特性、耐環境特性、入力特性、耐久性及び経済性を考慮して電子製品に採用されるが、現在、もっとも幅広い分野で用いられている方式は、抵抗膜方式タッチセンサ及び静電容量方式タッチセンサである。
【0007】
従来、特許文献1のように、メッシュパターンをタッチセンサの電極パターンとして使用する場合、規則正しいメッシュ形状によるモアレ現象が生じるという問題点があった。このようなモアレ現象は、タッチセンサの電極パターンをユーザに認識させてタッチセンサの全体の視認性を低減させるという問題点があった。また、メッシュパターンを形成する規則正しい金属パターンによって生じるモアレ現象は、タッチセンサの全体の視認性に影響を与えるため、ディスプレイから出力した映像およびその他の関連出力映像の画質の鮮明度やその他の映像の信頼度を低下させるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0062510号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、タッチセンサの電極パターンを不規則な多角形のメッシュパターンに形成することで、電極パターン間の交差またはディスプレイのブラックマトリックスとの関係で発生しうるモアレ現象を防止してタッチセンサの視認性を向上させるためのタッチセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、透明基板と、前記透明基板上に形成された電極パターンと、を含み、前記電極パターンはメッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターンを含むことができる。
【0011】
本発明の一実施例によるタッチセンサとして、前記電極パターンに含まれた少なくとも一つ以上の単位パターンの半径(r)を全体の単位パターンの平均半径で除した値をX軸とし、前記単位パターンの頻度数(frequency)をY軸とし、X軸をlog軸と設定し、標準偏差をσとしたときに、
【0012】
【数1】
【0013】
で表され、ここで、σ値は0超過1以下の値に形成されるように前記の関係式を満たすように形成されることができる。
【0014】
本発明の一実施例によるタッチセンサとして、前記電極パターンは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)またはこれらの組み合わせからなることができる。
【0015】
本発明の他の実施例によるタッチセンサは、透明基板と、前記透明基板の一面に一方向に互いに平行に形成される第1電極パターンと、前記透明基板の他面に形成され、前記第1電極パターンと交差する方向に形成される第2電極パターンと、を含み、前記第1電極パターンおよび第2電極パターンはメッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターンを含むことができる。
【0016】
本発明の他の実施例によるタッチセンサとして、前記第1電極パターンまたは第2電極パターンに含まれた少なくとも一つ以上の単位パターンの半径(r)を全体の単位パターンの平均半径で除した値をX軸とし、前記単位パターンの頻度数(frequency)をY軸とし、X軸をlog軸と設定し、標準偏差をσとしたときに、
【0017】
【数2】
【0018】
で表され、ここで、σ値は0超過1以下の値を満たすように定義することができる。
【0019】
本発明の他の実施例によるタッチセンサとして、前記電極パターンは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)またはこれらの組み合わせからなることができる。
【0020】
本発明のさらに他の実施例によるタッチセンサは、第1透明基板と、前記第1透明基板の一面に一方向に互いに平行に形成される第1電極パターンと、第2透明基板と、前記第2透明基板の一面に前記第1電極パターンと交差する方向に互いに平行に形成される第2電極パターンと、を含み、前記第1電極パターンおよび第2電極パターンはメッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターンに形成され、前記第1透明基板の他面と前記第2透明基板の第2電極パターンとが対向するように前記第1透明基板と前記第2透明基板が接合されることができる。
【0021】
本発明のさらに他の実施例によるタッチセンサとして、前記第1電極パターンまたは第2電極パターンに含まれた少なくとも一つ以上の単位パターンの半径(r)を全体の単位パターンの平均半径で除した値をX軸とし、前記単位パターンの頻度数(frequency)をY軸とし、X軸をlog軸と設定し、標準偏差をσとしたときに、
【0022】
【数3】
【0023】
で表され、ここで、σ値は0超過1以下の値を満たすように定義することができる。
【0024】
本発明のさらに他の実施例によるタッチセンサとして、前記電極パターンは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)またはこれらの組み合わせからなることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タッチセンサの電極パターンがユーザによって認識されることを軽減することで、タッチセンサの全体の視認性を向上させることができるという効果がある。
【0026】
また、金属メッシュパターン同士の間で発生しうるモアレ現象を防止することで、電極パターンの視認性を低減し、タッチセンサの全体の視認性を向上させることができるという効果がある。
【0027】
また、タッチセンサに結合されるディスプレイ部上のブラックマトリックスと電極パターンが重なることで発生しうるモアレ現象を予め防止することで、ディスプレイ部から出力される映像の画質をさらに改善させることができるという効果がある。
【0028】
また、タッチセンサの電極パターンを形成する単位パターンの形状および個数等の一連の関係を特定の関係式で定義することで、メッシュパターンの設計の容易性とともに実質的なメッシュパターンの量産性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例による不規則な単位パターンを含む電極パターンの模式図である。
【
図2】本発明の一実施例による関係式(1)を示すグラフである。
【
図3】本発明の一実施例によるタッチセンサの電極パターンをなす単位パターンに形成された頂点の数とその頻度数に関する関係を示すグラフである。
【
図4】本発明の一実施例によるパターンの比較例によるモアレ現象を示す参考図である。
【
図5】本発明の一実施例による電極パターンでモアレ現象が現れていない状態を示す参考図である。
【
図6】本発明の他の実施例によるタッチセンサの断面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施例によるタッチセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「一面」、「他面」、「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施例による不規則な単位パターン20aを含む電極パターンの模式図であり、
図2は、本発明の一実施例による関係式(1)を示すグラフであり、
図3は、本発明の一実施例によるタッチセンサの電極パターンをなす単位パターンに形成された頂点の数とその頻度数に関する関係を示すグラフであり、
図4は、本発明の一実施例によるパターンの比較例によるモアレ現象を示す参考図であり、
図5は、本発明の一実施例による電極パターンでモアレ現象が現れていない状態を示す参考図である。
【0033】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、透明基板と、前記透明基板上に形成された電極パターン20と、を含み、前記電極パターン20は、メッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターン20aを含むことを特徴とする。
【0034】
透明基板10は、所定強度以上の材質であれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、環状オレフィンコポリマー(COC)、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose;TAC)フィルム、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol;PVA)フィルム、ポリイミド(Polyimide;PI)フィルム、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、二軸延伸ポリスチレン(K樹脂含有biaxially oriented PS;BOPS)、ガラスまたは強化ガラスなどで形成することが好ましい(
図6参照)。また、透明基板10の一面には透明電極が形成されることができるため、透明基板10と透明電極との間の接着力を向上させるために、透明基板10の一面に高周波処理またはプライマ(primer)処理などを施して表面処理層を形成することができる。
【0035】
電極パターン20は、前記透明基板10上に形成されることができる。電極パターン20は、タッチの入力手段によって信号を発生させ、制御部(図示せず)からタッチ座標を認識するための役割を行う。静電容量方式の場合には電極パターン20によって静電容量の変化を検知することでタッチ点の座標値を認識してタッチ時の出力値を示すことができ、抵抗膜方式の場合にも電極パターン20は、所定圧力によって電極間の接触により発生する抵抗の変化に応じてタッチ点を認識し、その出力値を示すことができる。
【0036】
電極パターン20は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)またはこれらの組み合わせを用いてメッシュパターン(Mesh Pattern)に形成することができる。特に、メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の単位パターン20aが連続して配列されることで形成されることができる。ここで、単位パターン20aの形状は、四角形、三角形、ダイヤモンド型およびその他の様々な多角形の形状から選択されてもよく、その形状は特に制限されない。
【0037】
電極パターン20は、一つの透明基板10上に形成された単層構造の電極パターン20であってもよく、後述する他の実施例のように、第1電極パターン21と第2電極パターン22の二つの電極パターン層を組み合わせて形成してもよいことは言うまでもない。本発明では、特に、電極パターン20を、金属を用いたメッシュパターンに構成する際にメッシュパターンの視認性を低減させることで全体的なタッチセンサの視認性を向上させることができる。
【0038】
タッチセンサがディスプレイ部(図示せず)と結合する場合、従来は、ディスプレイ部に形成されるブラックマトリックスなどのパターンと組み合わされる際に発生しうるモアレ現象を防止するために、ブラックマトリックスの周期情報を利用してメッシュ設計を行うか、ディスプレイ部のピクセルやサブピクセルの周期およびRGB色素の配列方法(Stripe、Mosaic、Deltaなど)などの様々な変数を考慮してメッシュ設計を行わなければならないという不都合があった。
【0039】
しかし、本発明は、このようなパターン同士の間で発生しうるモアレ現象を防止するために、電極パターン20のメッシュ設計を少なくとも一つ以上の単位パターン20aを組み合わせて不規則に行うことでタッチセンサの視認性を向上させることを特徴とする。特に、不規則な単位パターン20aを組み合わせるために従来一般的に使用される不規則なメッシュパターンは、パターンの製作や生成が非常に複雑であったり、電気的特性および光学的特性の信頼性に劣っているなど、様々な問題点が存在したが、本発明は、
図1に図示されたように、不規則なパターンを具現するとともにこのような不規則なパターンを具現する過程で、パターン形成をより容易に行い、パターン形成時に光学的特性および電気的特性の均一性を維持するために、後述する特定の関係式を用いて電極パターン20を形成することで、より信頼性の高い電極パターン20の設計を行うことができる。
【0040】
本発明の一実施例による電極パターン20は、メッシュパターンに形成されることができ、メッシュパターンをなす各単位パターン20aは、
図1に図示されたように多角形の形状に形成されることができる。
【0041】
まず、
図2に図示されたように、不規則なメッシュパターンを形成するためには、メッシュパターンをなす各単位パターン20aの半径値の平均値で個別単位パターン20aの半径を除した値をX軸値とし、対応する単位パターン20aの頻度数(frequency)をY軸としたときに、
図2に図示されたようなグラフで表すことができる。
【0042】
四角形の点で形成された分布は、本発明の単位パターン20aの半径の大きさおよび単位パターン20aの頻度数に関する関係式で具体的に特定することができないが、四角形に形成されて示されている傾向は、X軸の単位パターン20aの半径をlog軸と設定し、標準偏差をσとしたときに、次の関係式(1)を満たすことができる。
【0044】
ただし、ここで、標準偏差σは、0より大きく、1より小さいか等しく形成されることができる。σは0を含まないものと定義される。
【0045】
すなわち、前記電極パターンが含まれた少なくとも一つ以上の単位パターンの半径(r)を全体の単位パターンの平均半径で除した値をX軸とし、前記単位パターンの頻度数(frequency)をY軸とし、X軸をlog軸と設定し、標準偏差をσとしたときに、
【0047】
で表され、ここで、σ値は0超過1以下の値に形成されてもよい。
【0048】
また、半径とは、多角形の形状を有する単位パターン20aを一つの円と仮定して計算した半径値を意味し、
図1に図示された様々な多角形の外側の周縁を連結して形成される略円状から算出される半径値と定義することができる。
【0049】
また、
図3に図示されたように、多角形に形成された単位パターン20aそれぞれに形成される頂点の個数と前記単位パターン20aの個数に関する関係式を用いて不規則なメッシュパターンを形成することができる。
図3に図示されたグラフは、X軸の単位パターン20aをなす頂点の数であり、Y軸をそれによる頻度数(r)とすると、この分布における分布の平均値は5〜8と定義することができる。
【0050】
このような関係式(1)とともに前記
図3に図示されたように、単位パターン20aの頂点の数とその頻度数に対する分布の平均値が5〜8を満たす単位パターン20aを設計することができる。
【0051】
図4および
図5は、本発明により設計されたメッシュパターンと従来の一般的なメッシュパターンを互いに重ねた時に視認されるモアレ現象に対する結果を示す模式図である。
【0052】
図4によれば、従来の一般的なメッシュパターンで規則正しい配列を有する二つのパターンを互いに傾斜するように形成したときに、視覚的にモアレ現象が現れることが分かる。モアレ現象は、所定の間隔を有する形状が繰り返して重なればどこでも波型模様が生ずるものであり、このようなモアレ現象がタッチセンサの電極パターン20上で発生すると、不透明な金属材質で形成されるメッシュパターンがユーザに強調して認識されることでタッチセンサの視認性が低下し、タッチセンサと結合するディスプレイ部から出力された映像の視認性にも影響を与える恐れがあるという問題点があった。
【0053】
しかし、
図5のように本発明の一実施例による不規則な電極パターン20を他のメッシュパターンと交差するように形成すると、モアレ現象による干渉がほとんど生じないことを一目で視覚的に認識することができる。タッチセンサの電極パターン20を単層で形成すると、タッチセンサの下部に結合するディスプレイ部のブラックマトリックスとの重なりにより発生しうるモアレ現象を軽減することができ、後述する二つの電極層で形成される電極パターン20間の重なりにより発生しうるモアレ現象もまた防止することができるという利点がある。
【0054】
図6は、本発明の他の実施例によるタッチセンサの断面図であり、
図7は、本発明のさらに他の実施例によるタッチセンサの断面図である。
【0055】
本発明の他の実施例によるタッチセンサは、透明基板10と、前記透明基板10の一面に一方向に互いに平行に形成される第1電極パターン21と、前記透明基板10の他面に形成され、前記第1電極パターン21と交差する方向に形成される第2電極パターン22と、を含み、前記第1電極パターン21および第2電極パターン22はメッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターン20aを含むことができる。
【0056】
本発明の他の実施例によるタッチセンサは、
図6に図示されたように、透明基板10の両面に第1電極パターン21と第2電極パターン22が互いと交差する方向に形成されるタッチセンサ構造の実施例である。この場合、第1電極パターン21と第2電極パターン22が互いに重なる部分におけるモアレ現象が問題になりうる。しかし、前記で説明したように、第1電極パターン21および第2電極パターン22を不規則なメッシュパターンに形成することで、電極パターン21,22同士の間で発生しうるモアレ現象を防止して、タッチセンサの視認性を向上させることができる。
【0057】
本発明の他の実施例によるタッチセンサは、第1透明基板11と、前記第1透明基板11の一面に一方向に互いに平行に形成される第1電極パターン21と、第2透明基板12と、前記第2透明基板12の一面に前記第1電極パターン21と交差する方向に互いに平行に形成される第2電極パターン22と、を含み、前記第1電極パターン21および第2電極パターン22はメッシュパターンに形成され、前記メッシュパターンは、少なくとも一つ以上の不規則な単位パターン20aに形成され、前記第1透明基板11の他面と前記第2透明基板12の第2電極パターン22とが対向するように前記第1透明基板11と前記第2透明基板12が接合されることができる。
【0058】
本発明の他の実施例によるタッチセンサは、第1電極パターン21および第2電極パターン22がそれぞれ第1透明基板11および第2透明基板12に形成されることを特徴とする。この場合にも、第1電極パターン21と第2電極パターン22がタッチセンサのユーザの視野範囲で互いに重なることでモアレ現象が問題になりうるため、第1電極パターン21と第2電極パターン22を本発明の一実施例で説明した不規則なメッシュパターンに形成することにより、モアレ現象による電極パターン21、22の視認性の問題を解決することができる。ここで、第1透明基板11と第2透明基板12は、透明接着剤30によって接着することができる。
【0059】
前記本発明の他の実施例とさらに他の実施例によるタッチセンサは、
図6および
図7に図示されたように、電極パターン21、22が露出した上部面にウィンドウ基板10aをさらに含むことができる。ここで、ウィンドウ基板10aは、タッチセンサの保護層の役割を行うものであり、名称上のウィンドウ基板10aに限定されず、様々な絶縁層を介して保護層が形成されることができることは言うまでもない。ウィンドウ基板10aの材質は、前記で説明した透明基板10と同等に選択適用されることができる。
【0060】
その他、透明基板、第1透明基板11、第2透明基板12、第1電極パターン21、および第2電極パターン22は、本発明の一実施例で説明した透明基板および電極パターン20とそれぞれその構成および作用効果などが同一であり、詳細な説明が重複するため省略する。
【0061】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0062】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、タッチセンサに適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 透明基板
10a ウィンドウ基板
11 第1透明基板
12 第2透明基板
20 電極パターン
21 第1電極パターン
22 第2電極パターン
20a 単位パターン
30 透明接着層