(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、特許文献2では、着脱容易性、並びに定常状態での取り付け中の荷重対策や、取り付け後の強度対策を主目的としており、運搬中の衝撃に対する表示装置の位置ずれに関しての対策について、示唆されていない。例えば、上下レールに沿って取り付けられている表示装置において、定常状態ではレール終端で保持されているが、運搬中の衝撃によってレール終端からずれる可能性がある。
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、表示装置を取付板に固定する場合に、着脱作業の容易性を損なうことがなく、固定状態の表示装置が取付板から脱落することを防止することができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
枠体に対して、ヒンジを介して片開き可能に取り付けられた遊技盤の背面側に取り付けられ、遊技球が移動する遊技領域に対応するように表示装置を取り付けるための枠部が形成された取付板と、前記表示装置を、前記取付板の枠部に仮支持した状態で移動させ、当該取付板に対して前記表示装置を位置決めする位置決め手段と、少なくとも2位置間を移動可能とされ、前記位置決め手段による位置決め状態で、当該2位置間の移動範囲の特定位置へ移動させることで前記表示装置を前記取付板の枠部へ固定する固定部材と、前記表示装置又は前記固定部材の少なくとも一方の変形を抑制する変形抑制手段と
を有し、前記固定部材及び前記変形抑制手段が、前記遊技盤の背面側において、前記ヒンジに近い側に設けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、遊技盤の表面(遊技者と対峙する側)から表示装置の画像を見ることができるように、遊技盤の背面側に表示装置を配置する。このとき、表示装置は、遊技盤の背面側に取り付けられた取付板に取り付けられる。
【0013】
取付板には、枠部が形成され、表示装置は、位置決め手段によって位置決めされる。すなわち、表示装置を取付板に仮支持して、当該表示装置の荷重を取付板にかけた状態で移動させることで位置決め完了する。
【0014】
固定部材は、位置決め手段による表示装置と枠部との位置決め状態で、移動範囲の特定位置へ移動させることで表示装置と枠体とを固定する。これにより、表示装置は、取付板に取り付けられる。
【0015】
ここで、仮支持状態において、当該仮支持された分の表示装置の荷重は、作業者の負担とならないため、着脱時の作業性が向上する(着脱容易性の確保)。
【0016】
ところで、表示装置が取付板に取り付けられた状態で、遊技盤を搬送するとき、搬送時に予期せぬ衝撃があると、表示装置又は固定部材が変形して、表示装置が取付板から脱落する可能性がある。特に表示装置がLCDやLEDの場合は、薄型傾向にあり、薄ければ薄いほど同じ衝撃を受けたときの変形量が増加する。
【0017】
また、固定部材の機能は、表示装置と枠部とがずれないように固定すればよく、軽量化、小型化の観点からも、予期せぬ衝撃による変形を考慮した材質にならない場合がある。すなわち、固定部材は、材質が軟質であればあるほど変形量が増加する。
【0018】
そこで、本発明では、変形抑制手段により、表示装置又は固定手段の少なくとも一方の変形を抑制するようにした。変形が抑制される分、予期せぬ衝撃に対して変形量が軽減されるため、固定部材による表示装置と枠体との固定を維持することができる(脱落防止構造の確立)。
【0019】
このような、本発明は、表示装置の着脱容易性を確保しつつ、例えば、運搬中の予期せぬ衝撃による取付板からの表示装置の脱落防止構造を確立することができる。
【0020】
本発明において、前記位置決め手段が、矩形状の枠体の対峙する両辺の一方の辺を中心として、前記表示装置を回転可能に仮支持し、回転によって前記表示装置が他方の辺に突き合わされて位置決めするヒンジ構造を備えることを特徴としている。
【0021】
取付板には、矩形状の枠部が形成され、表示装置は、枠部において対峙する両辺(例えば左右辺)の一方の辺を中心として、回転可能に仮支持される。
【0022】
また、表示装置が、仮支持状態で回転することで、表示装置が他方の辺に突き合わされ位置決め状態とすることができる。すなわち、位置決め手段は、仮支持、回転動作を介して位置決めされるため、枠部に対して直接表示装置を位置決めするよりも位置決め作業が容易となる。
【0023】
また、本発明において、前記固定部材が、前記枠部の周縁に沿って移動可能に予め取り付けられ、移動範囲の一端が退避位置とされ、移動範囲の他端が前記位置決め手段による位置決め状態の表示装置の周縁に形成された突出部を挟み込んで固定する固定位置とされ、前記変形抑制手段が、前記固定部材に設けられ、当該固定部材の移動方向に沿って形成されたスリット部と、前記表示装置の突出部から突出するように形成され、相対的に幅狭の首部及び当該首部からさらに突出され相対的に幅広の頭部で形成された突起部を備え、前記位置決め後の固定部材の固定動作である退避位置から固定位置への移動に伴って、前記首部が前記スリット部に収容されることを特徴としている。
【0024】
固定部材は、枠部の周縁に沿って、退避位置から固定位置へ移動する。この固定部材にはスリット部が形成され、表示装置が枠部に対して位置決めされた後、固定部材の固定動作、すなわち、退避位置から固定位置への移動に伴って、表示装置に設けられた突起部の首部がスリット部に収容される。この状態で突起部の頭部はスリット部からの抜け止めとしての役目を有し、例えば、表示装置が変形して、固定部材で挟み込んである突出部が抜け出ようとしても、突起部がこれを抑制し、表示装置の変形による枠部からの脱落を防止することができる。すなわち、首部がスリット部に収容されることで頭部が表示装置の脱落を防止する。
【0025】
なお、固定部材の変形においても同様に、表示装置の枠部からの脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した如く、本発明では、表示装置を取付板に固定する場合に、着脱作業の容易性を損なうことがなく、固定状態の表示装置が取付板から脱落することを防止することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(パチンコ機10の全体構成)
図1に示される如く、パチンコ機10は、矩形状の外枠11A及び内枠11Bを備えた本体枠10Aと、一体扉ユニット10Bとを備え、本体枠10A(外枠11A、内枠11B)、並びに一体扉ユニット10Bは、それぞれヒンジ10Cを介して取り付けられている。このため、内枠11Bは外枠11Aに対して、並びに、一体扉ユニット10Bは内枠11Bに対して、それぞれヒンジ10Cの軸部を中心に回転可能とされている。
【0029】
パチンコ機10の一体扉ユニット10Bの前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0030】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、ガラス板14を装着したガラス枠16が配置されている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18(詳細は省略)がセットされており、遊技盤18に設けられた遊技領域が、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0031】
ガラス枠16の上部角部には、スピーカ60L、60Rが内蔵され、当該スピーカ60L、60Rに対峙するように装飾部材(ルーバー)61L、61Rが設けられ、スピーカ60L、60Rからの音を通過させる通音孔とされている。
【0032】
ガラス枠16における左右の側部、並びに上部には、電飾装置51、52が取り付けられている。電飾装置51、52は、図示しないベース部に対して、立体的に突出したレンズカバーが取り付けられた構造となっている。
【0033】
電飾装置51のベース部には、図示しない電気配線基板が設けられ、当該電気配線基板には、電気部品としての光源が取り付けられている。このため、レンズカバーに閉塞された空間内で光源が点灯すると、レンズカバーによる光の屈折等により、遊技者に対して光の演出が実行されるようになっている。
【0034】
ガラス枠16の下部には、受け皿ユニット24が配置されている。受け皿ユニット24の
図1の右端部には、鍵穴27が設けられている。
【0035】
受け皿ユニット24には、上皿部28が設けられている。上皿部28には、球抜きボタン36Aが設けられ、この球抜きボタン36Aを操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部29へ案内することができるようになっている。また、上皿部28の
図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0036】
下皿部29には、球抜きレバー36Bが設けられ、この球抜きレバー36Bを操作することで、下皿部29に貯留された遊技球を外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0037】
受け皿ユニット24の
図1の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット26(「(発射ハンドル26」という場合がある)」が取り付けられている。
【0038】
また、受け皿ユニット24における上皿部28には、遊技者が押圧操作又は回転操作可能な操作部50が設けられている。この操作部50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0039】
図2は、遊技盤18が装着された状態での、パチンコ機10の背面側の正面図である。
【0040】
図2に示される如く、遊技盤18の背面には、制御系ユニットと、遊技球流路ユニットとが組み込まれている。
【0041】
(制御系ユニット)
制御系ユニットには、それぞれ複数の電子部品が取付られた基板ボード及びその周辺部品が透明の筐体に覆われた状態で取り付けられており、遊技盤18の中央部には、主基板100が配置され、パチンコ機10の制御系ユニットは、主基板100を中心として、遊技仕様に基づく制御プログラムが実行される。
【0042】
主基板100の上部には、取付板としてのセット板150が取り付けられている。
【0043】
セット板150は、基本的に裏ユニット(役物装置や遊技球通路等)を搭載する裏箱であり、その裏箱の裏面に液晶表示装置や中継基板を搭載するようになっている。
【0044】
なお、セット板150は、以下の(a)〜(c)に示す機能を備えてもよい。
【0045】
(a) 可動役物装置や電飾用基板を搭載する機能
(b) 入賞した遊技球を本体へ排出する機能
(c)センサを取り付けることによって、磁気、振動や電波を検出する機能
【0046】
前記セット板150のさらに上部(
図2の右上)には、外部端子基板104が配置されている。
【0047】
前記セット板150は、箱型で表示装置としての液晶表示装置152(
図3参照)収容されている。液晶表示装置152は、セット板150の背部に設けられた矩形状の開口部154(
図3参照)に対して着脱可能に取り付けられている(詳細後述)。さらに、前記液晶表示装置152の背部には、中継基板102が着脱可能に取り付けられている。中継基板102では、主基板100からの命令により液晶表示装置152に図柄変動演出を含む動画等を表示する制御、並びに、音声、ランプ等を用いた演出の制御を司る。
【0048】
セット板150に装着された状態での液晶表示装置152は、遊技盤18(
図1参照)が透明アクリル製の場合には、遊技盤18の遊技領域のほぼ全域から、液晶表示装置152に表示される画像が遊技者から視認可能となる。なお、遊技盤18が木製合板の場合は、遊技盤18に表示面露出用の貫通孔が設けられ、当該貫通孔を介して画像が視認可能となる。
【0049】
主基板100の下部には、払出制御基板106が配置されている。また、払出制御基板106の
図2の左側部には、電源ユニット108が配置されている。
【0050】
なお、液晶表示装置152が取り付けられたセット板150、主基板100、中継基板102、外部端子基板104、払出制御基板106、電源ユニット108を含む各主基板の相対配置位置は、上記に限定されるものではなく、必要に応じて変更してもよい。
【0051】
主基板100には、遊技仕様に基づく制御プログラムを中心とした複数の制御プログラムが記憶されており、この主基板100からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0052】
また、主基板100からは、外部端子基板104を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号等)が送信される。
【0053】
(接続デバイスの一例)
上記制御系ユニットに接続されるデバイスの一例を示す。
【0054】
主基板100には、入力系として、遊技盤18に設けられた通過ゲートの遊技球の通過や、入賞口への遊技球の入賞を検出するセンサ群が接続され、出力系として、遊技球の入賞に関わる機械的な動作の駆動源であるソレノイドやモータ等のデバイスが接続されている。
【0055】
また、中継基板102には、入力系として、前記操作部50が接続され、出力系として、演出等に用いられ機械的な動作の駆動源であるソレノイドやモータ等のデバイスや、前述したスピーカ60L、60R、電飾装置51、52が接続されている。
【0056】
さらに、払出制御基板106には、払出装置及び発射装置が接続されている。
【0057】
この払出制御基板106は、パチンコ機10内に設けられた払出装置を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、遊技者によるグリップユニット26(
図1参照)の操作により発射装置を作動させて、遊技球の発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射強度を制御する。
【0058】
(液晶表示装置152の取り付け構造)
図3は、本実施の形態に係るセット板150と、液晶表示装置152との取り付け構造を示すために、それぞれの外観形状を簡略化して示した斜視図である。
【0059】
液晶表示装置152は、液晶表示部156と、この液晶表示部156を支持するベース部158とを備えている。
【0060】
セット板150は、一面が開口された透過性を有する箱型とされ、四方の壁部150Aの先端に形成されたリブ150Bが遊技盤18(
図1参照)の背面側に突き当てられ、例えばねじ締めで締結されている。
【0061】
セット板150の底面(背部150C)には、矩形状の開口部154が形成され、液晶表示装置152が当該開口部154に対して着脱可能とされている。
【0062】
開口部154の縦横寸法は、液晶表示装置152のベース部158の外形寸法に対応して設定される。例えば、ベース部158の外形と相似形で予め定めた割合だけ縮小された縦横寸法とされている。このため、装着状態の液晶表示装置152のベース部158の周縁は、前記開口部154の周縁に突き当てられることになる。
【0063】
液晶表示装置152のベース部158の左右辺の一方(
図3に示す軸辺158A)には、一対の爪部160が形成されている。爪部160は平板状とされ、前記セット板150の背部150C(開口部154の
図3の左辺周縁)に形成された一対の掛止部162と対応している。
【0064】
掛止部162は、前記背部150Cから
図3の手前側に矩形状に突出しており、当該突出した分に応じてスリット状の溝部が形成されている。
【0065】
ここで、液晶表示装置152がセット板150に装着されるとき、液晶表示装置152のベース部158に形成された一対の爪部160を、それぞれ一対の掛止部162の溝部に収容させる(
図3(A)の(1)の点線矢印参照)。
【0066】
このとき、液晶表示装置152の軸辺158Aが、開口部154の
図3(A)の左辺の周縁に当てがわれ、「仮支持」状態となり得る。この「仮支持」状態の液晶表示装置152は、その荷重がセット板150にかかるようになっている。
【0067】
また、前記「仮支持」状態の液晶表示装置152は、セット板150の背部150Cに対して、所定の角度を持った状態(斜め状態)であり、この「仮支持」状態から、
図3(A)の軸辺158Aを中心に回転させる(
図3(A)の(2)の点線矢印参照)。この回転操作で、軸辺158Aと対峙する他方の辺が、開口部154の右辺の周縁に突き当てられるようになっている。すなわち、液晶表示装置152は、「仮支持」状態からの軸辺158Aを中心とする回転動作によって、セット板150に対して位置決めがなされるようになっている(
図3(B)の状態参照)。
【0068】
セット板150の背部150Cにおける、
図3(A)及び(B)の右辺の周縁には、前記液晶表示装置152を前記位置決め状態で固定する固定部材として、スライドレバー164が設けられている。
【0069】
スライドレバー164は、その底面(セット板150との対向面)に、ガイド部166(
図5(B)参照)が形成されている。また、セット板150には、このガイド部166を収容する収容部167が形成されている。このガイド部166と収容部167とにより、スライドレバー164は予め定めた2位置間(セット板150の開口部154の
図3(A)及び(B)の右辺に沿った直線の特定範囲)を移動するようになっている。
【0070】
スライドレバー164の移動範囲の一端部は退避位置とされ(
図3(A)の状態)、スライドレバー164が退避位置となっているときに、液晶表示装置152を「仮支持」状態から
図4(B)のように回転して位置決めすると、液晶表示装置152のベース部158に設けられた固定片170(突出部)が前記スライドレバー164の移動軌跡上に配置されるようになっている。
【0071】
スライドレバー164の移動軌跡上に配置された固定片170は、セット板150の背部150Cから突出する案内部168の一部に設けられた固定片受け部168Aに突き当てられた状態となる。なお、固定片170は、案内部168に直接突き当ててもよい。
【0072】
この状態で、スライドレバー164を移動範囲の他端部へ移動(
図3(A)及び
図4(A)の位置から下方へ移動)すると、スライドレバー164とセット板150の背部150Cに形成された案内部168との間に液晶表示装置152の固定片170を挟み込み、位置決め状態で固定することができる(
図5(B)参照)。このスライドレバー164の他端位置を、前記退避位置に対して固定位置(
図3(B)及び
図5(A)の状態)という。
【0073】
本実施の形態では、
図4に示される如く、前記ベース部158に形成した固定片170に、さらに、変形抑制手段としての突起部172が形成されている。突起部172は略T字型とされ、幅狭の首部172Aと幅広の頭部172Bを備えている。一方、
図5に示される如く、スライドレバー164には、スリット溝164Aが形成されている。
【0074】
ここで、液晶表示装置152が位置決めされた状態で、スライドレバー164が退避位置から固定位置へスライド移動するとき、突起部172の首部172Aは、スライドレバー164のスリット溝164Aの移動軌跡上に配置されており、そのまま固定位置までスライド移動すると、固定片170が固定されると共に、頭部172Bが固定片170の抜け止めとして作用する。
【0075】
このため、例えば、液晶表示装置152のベース部158が変形し、固定片170がスライドレバー164による固定位置から抜け出るような力が働いたとしても、突起部172の頭部172B(首部172A側の面)とスライドレバー164の側面とが干渉しあって、固定片170をスライドレバー164による固定位置に維持することができる。なお、突起部172は、スライドレバー164が変形することによる、固定片170の抜け出しも抑止可能である。
【0076】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0077】
遊技盤18の背面側には、予めセット板150が取り付けられており、液晶表示装置152が着脱可能に取付られる。
【0078】
セット板150に取り付けられ液晶表示装置152は、その表示面が遊技盤18の背面側に対峙する。このとき、遊技盤18が透明アクリル製の場合は、遊技者から見て遊技領域の後方に液晶表示装置152の表示面が重なり、遊技盤18面上の遊技球の動向と、液晶表示装置152に表示面に表示される演出画像を同一の視線で見ることができる。
【0079】
一方、遊技盤18が木製合板の場合には、予め遊技盤18に貫通孔が設けられており、遊技領域とは区画された領域で、液晶表示装置152の表示面に表示される演出画像を楽しむことができる。
【0080】
以下、液晶表示装置152をセット板150に取り付ける手順を説明する。
【0081】
液晶表示装置152をセット板150に装着するときは、まず、
図3の(1)の点線矢印で示すように、液晶表示装置152のベース部158に形成された一対の爪部160を、それぞれセット板150の背部150Cに形成された一対の掛止部162の溝部に収容させる。この状態が、「仮支持」状態である。「仮支持」状態の液晶表示装置152は、その荷重がセット板150にかかるため、組み付け作業者への負担が軽減される。
【0082】
次に、この「仮支持」状態から、
図3の(2)の点線矢印で示すように、液晶表示装置152を、ベース部158の軸辺158Aを中心に回転させる。この回転操作で、軸辺158Aと対峙する他方の辺が、開口部154の右辺の周縁に突き当てられる。これにより、液晶表示装置152は、セット板150に対して位置決め状態となる。
【0083】
液晶表示装置152が位置決め状態になると、退避位置にあるスライドレバー164(
図4参照)を固定位置へ移動させる(
図5の状態)。
【0084】
スライドレバー164が固定位置になると、液晶表示装置152の固定片170が、案内部168に形成された固定片受け部168A、或いは案内部168に直接突き当てられた状態で挟み込まれ、位置決め状態で固定することができる。
【0085】
このように、液晶表示装置152は、前記ベース部158に形成された一対の爪部160が、セット板150の背部150Cに形成された一対の掛止部162に掛け止めされ、かつスライドレバー164により、少なくとも固定片170を挟み込むことで、定常状態では固定することができる。
【0086】
ところで、遊技盤18は、セット板150に液晶表示装置152を固定した状態で、運搬する場合がある。この運搬中は、前記定常状態の振動よりも遥かに大きい振動が発生する場合がある。この定常では発生し得ない振動は、液晶表示装置152のベース部158を撓ませる、或いは、スライドレバー164を撓ませる要因になる。ベース部158及び/又はスライドレバー164が撓んで変形すると、スライドレバー164によるベース部158の固定片170の挟み込み状態を維持できない可能性がある。
【0087】
そこで、本実施の形態では、固定片170からさらに突出するように突起部172を設けた。
【0088】
突起部172は、首部172Aと頭部172Bを備える。その内の首部172Aは、液晶表示装置152が位置決めされた状態で、スライドレバー164が退避位置から固定位置へスライド移動するとき、スリット溝164Aに収容される。このとき、固定片170と頭部172Bとは、スリット溝164Aを境にスライドレバー164の内外に分離されるため、頭部172Bが固定片170の抜け止めとして作用する。
【0089】
このため、例えば、セット板150に液晶表示装置152を取り付けた状態で運搬する場合に発生する、定常状態では起こり得ない振動が発生し、液晶表示装置152のベース部158が変形し、固定片170がスライドレバー164による固定位置から抜け出るような力が働いたとしても、突起部172の頭部172B(首部172A側の面)とスライドレバー164の側面とが干渉しあって、固定片170をスライドレバー164による固定位置に維持することができる。
【0090】
一方、変形は、液晶表示装置152のベース部154に限らず、スライドレバー164が合成樹脂製である場合には、当該スライドレバー164が変形する可能性がある。しかし、突起部172は、スライドレバー164が変形したとしても、スリット溝164Aから脱落するようなことはなく、固定片170の抜け出しを抑止できる。
【0091】
本実施の形態では、スライドレバー164及びその案内部168は、
図1に示す一体扉10Bの裏面側に配置されるものであり、当該配置位置が、ヒンジ10C側となっている。
【0092】
ヒンジ10C側は、例えば、店員が一体扉10Bを開放して何らかの作業(球詰まり解消等を含む一般作業)をするときに、最も遠い側となる。一方、液晶表示装置152を交換するような特殊作業の頻度は、前記一般作業の頻度よりも極めて少ない。このため、通常時(一般作業のための一体扉10Bの開放)では、一般作業中の不注意でもスライドレバー164は簡単に操作することができず、液晶表示装置152が脱落するような最悪の結果を招くことはない。
【0093】
なお、本実施の形態では、液晶表示装置152のベース部158に形成した固定片170に対して、突起部172を設け、スライドレバー164の退避位置から固定位置へのスライド移動に連動して、突起部172の首部172Aを、スライドレバー164のスリット溝164Aに収容し、頭部172Bが抜けないような構造とすることで、ベース部158の変形とスライドレバー164の変形の両方に対応して、固定片170の抜け、すなわち、液晶表示装置152のセット板150からの脱落を防止するようにした。
【0094】
しかし、必要に応じて、スライドレバー164の変形による脱落防止に特化するようにしてもよい。言い換えれば、液晶表示装置152のベース部158の剛性が高い場合、スライドレバー164が先に変形するため、スライドレバー164の変形を防止すればよい。
【0095】
スライドレバー164に特化した変形抑制手段の変形例1としては、例えば、
図6に示される如く、スライドレバー164の外周の一部をリブ174を形成する。このリブ174によって、スライドレバー164を支えて変形を防止する。
【0096】
また、スライドレバー164に特化した変形抑制手段の変形例2としては、例えば、
図7に示される如く、スライドレバー164の一部を囲むように庇部176を形成してもよい。庇部176によって、スライドレバー164の変形を抑制することができる。