特許第6349250号(P6349250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349250
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】シールドプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20180618BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   H05K9/00 R
   H05K1/02 N
   H05K1/02 P
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-260315(P2014-260315)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-122687(P2016-122687A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2016年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春名 裕介
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−86907(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/132951(WO,A1)
【文献】 特開2009−99773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板と、前記プリント配線板の少なくとも一部の配線を覆う電磁波シールド層とを備え、
前記プリント配線板のグランド回路と電気的に直接接続すると共に、外部の接地部材と電気的に接続される外部グランド部材をさらに備え、
前記電磁波シールド層は、前記プリント配線板のグランド回路及び前記外部グランド部材と電気的に接続しており、
前記外部グランド部材の厚みは0.3μm以上40μm以下であり、
前記外部グランド部材の一部は、前記プリント配線板と前記電磁波シールド層との間に存しており、前記外部グランド部材の別の一部は、一方の面が前記プリント配線板上に載置されており、他方の面が露出している、シールドプリント配線板。
【請求項2】
前記外部グランド部材の前記一方の面には導電性接着剤層が設けられており、
前記外部グランド部材は、該導電性接着剤層によって前記プリント配線板のグランド回路と電気的に接続している、請求項1に記載されているシールドプリント配線板。
【請求項3】
前記外部グランド部材の前記一方の面には導電性バンプが設けられており、
前記外部グランド部材は、該導電性バンプによって前記プリント配線板のグランド回路と電気的に接続している、請求項1に記載されているシールドプリント配線板。
【請求項4】
前記外部グランド部材の前記一方の面には金属層により形成された導電性突起が設けられており、
前記外部グランド部材は、該導電性突起によって前記プリント配線板のグランド回路と電気的に接続している、請求項1に記載されているシールドプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドプリント配線板に関し、特にプリント配線板とプリント配線板の少なくとも一部の配線を覆う電磁波シールド層とグランド部材とを備えたシールドプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの電子機器において、機構の中に回路を組み込むために多用されている。また、プリンタヘッドのような可動部と制御部との接続にも利用されている。これらの電子機器では、電磁波シールド対策が必須となっており、装置内で使用されるプリント配線板においても、電磁波シールド対策を施したシールドプリント配線板が用いられている。
【0003】
そのようなシールドプリント配線板として例えば、セパレートフィルムの片面に耐熱性に優れた樹脂をコーティングしてカバーフィルムを形成し、そのカバーフィルムの表面に金属薄膜層と接着剤層とで構成されるシールド層を設けたシールドフィルムを形成し、さらに、プリント回路を含む基体フィルム上にシールド層が当接するようにシールドフィルムを載置し、加熱・加圧してシールドフィルムを基体フィルム上に接着し、その後セパレートフィルムを剥離して製造するシールドフレキシブルプリント配線板が開示されている(特許文献1)。さらに、外部のグランド部に接続するためにグランド部材を設けることも特許文献1に開示されている。このグランド部材は、外部のグランド部との接続を確実にして安定した接続抵抗とするため、一般的に表面を金めっきしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−95566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたシールドプリント配線板は電磁波シールド性に優れているが、グランド部材は薄く且つ金めっきの量をできるだけ少なくするために細長い短冊状であるため、グランド部材そのもののハンドリングが難しく、バンプ等による接続も不安定になって安定した接続抵抗を得ることが非常に困難になっていた。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プリント配線板のグランド回路と確実に接続しているとともに安定した接続抵抗とすることができるグランド部材を備えたシールドプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のシールドプリント配線板の一態様は、プリント配線板と、プリント配線板の少なくとも一部の配線を覆う電磁波シールド層とを備え、プリント配線板のグランド回路と電気的に接続すると共に、外部の接地部材と電気的に接続される外部グランド部材をさらに備え、電磁波シールド層は、プリント配線板のグランド回路及び外部グランド部材と電気的に接続しており、外部グランド部材の一部は、プリント配線板と電磁波シールド層との間に存しており、外部グランド部材の別の一部は、一方の面がプリント配線板上に載置されており、他方の面が露出している構成を有している。
【0008】
外部グランド部材の一方の面には導電性接着剤層が設けられており、外部グランド部材は、該導電性接着剤層によってプリント配線板のグランド回路と電気的に接続している構成としてもよい。導電性接着剤層に用いられる導電性接着剤は等方性の導電性接着剤であることが好ましい。
【0009】
外部グランド部材の一方の面には導電性バンプが設けられており、外部グランド部材は、該導電性バンプによってプリント配線板のグランド回路と電気的に接続している構成としてもよい。
【0010】
外部グランド部材の一方の面には金属層により形成された導電性突起が設けられており、外部グランド部材は、該導電性突起によってプリント配線板のグランド回路と電気的に接続している構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示のシールドプリント配線板によれば、外部グランド部材がプリント配線板のグランド回路及び電磁波シールド層と電気的に接続しているとともに、外部グランド部材が露出しているので、外部グランド部材を外部の接地部材と接続することによりプリント配線板のグランド回路が確実にかつ低い接続抵抗で外部の接地部材と接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係るシールドプリント配線板の模式的な断面図である。
図2】実施形態2に係るシールドプリント配線板の模式的な断面図である。
図3】実施形態3に係るシールドプリント配線板の模式的な断面図である。
図4】特許文献1に開示されたシールドプリント配線板の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
【0014】
(実施形態1)
実施形態1に係るシールドプリント配線板を図1に示す。本実施形態のシールドプリント配線板は、ベースフィルム2上に形成され、信号回路3aとグランド回路3bからなるプリント回路3のうちグランド回路3bの少なくとも一部3cを除いて絶縁フィルム4により被覆してなるプリント配線板5を備えている。プリント配線板5の絶縁フィルム4により被覆された表面の一部は電磁波シールド層8によって覆われている。また、プリント配線板5の当該表面の別の一部は外部グランド部材10によって覆われている。
【0015】
電磁波シールド層8は、第1の金属薄膜層8bを介して第1の接着剤層8aが形成されて提供される。第1の接着剤層8aは、導電性接着剤からなっている。本実施形態では、第1の接着剤層8aと第1の金属薄膜層8bとで電磁波シールド層8が形成されている。
【0016】
電磁波シールド層8は、プリント配線板5に貼り合わせられた後に加熱及び加圧されることにより第1の接着剤層8aが軟化して、絶縁フィルム4に被覆されていないグランド回路3cに接触するように、絶縁フィルム4の穴あき部分に流れ込み、電磁波シールド層8とプリント配線板5とが接着され、電磁波シールド層8がグランド回路3cと電気的に接続される。
【0017】
また、外部グランド部材10は、表面に第2の金属薄膜層12を備えた金属箔11と、金属箔11の第2の金属薄膜層12とは反対側の面に設けられた第2の接着剤層13とを有している。第2の接着剤層13は導電性接着剤からなっている。
【0018】
外部グランド部材10は、図1においてプリント配線板5の左側の一部の上に貼り合わせられている。第2の接着剤層13は加熱及び加圧により軟化して、絶縁フィルム4に被覆されていないグランド回路3cに接触するように、絶縁フィルム4の穴あき部分に流れ込み、金属箔11とグランド回路3cとを電気的に接続させる。
【0019】
外部グランド部材10の一部(図1における右側の部分)は、電磁波シールド層8によって覆われている。すなわち、外部グランド部材10の一部は、プリント配線板5と電磁波シールド層8との間に挟まれており、電磁波シールド層8の第1の接着剤層8aと外部グランド部材10の第2の金属薄膜層12とが貼り合わせられて電気的に接続されている。一方、外部グランド部材10の残りの部分は電磁波シールド層8によって覆われていないので、この部分は第2の金属薄膜層12が露出している。第2の金属薄膜層12は外部接続導電層であり、露出部分において外部の接地部材と電気的に接続される。
【0020】
ベースフィルム2、絶縁フィルム4はいずれもエンジニアリングプラスチックからなる。例えば、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンツイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂が挙げられる。あまり耐熱性を要求されない場合は、安価なポリエステルフィルムが好ましく、難燃性が要求される場合においては、ポリフェニレンサルファイドフィルム、さらに耐熱性が要求される場合にはポリイミドフィルムが好ましい。
【0021】
第1の接着剤層8a及び第2の接着剤層13は、接着性樹脂として、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂や、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキッド系などの熱硬化性樹脂を用い、この接着性樹脂に金属、カーボン等の導電性フィラーを混合し、導電性を持たせた導電性接着剤にして使用されている。また、第1の接着剤層8aは、等方導電性接着剤または異方導電性接着剤のいずれかであってもよい。
【0022】
第1の接着剤層8a及び第2の接着剤層13を構成する接着性樹脂、導電性フィラーは同じものを用いてもよいし、別種のものを併用してもよい。
【0023】
接着性樹脂は、熱プレス時のにじみ出し(レジンフロー)の小さいものが望ましいことはいうまでもない。
【0024】
導電性フィラーとしては、カーボン、銀、銅、ニッケル、ハンダ、アルミ及び銅粉に銀メッキを施した銀コート銅フィラー、さらには樹脂ボールやガラスビーズ等に金属メッキを施したフィラー又はこれらのフィラーの混合体が用いられる。これらの中で、比較的安価で優れた導電性を有する銀コート銅フィラー又はニッケルを用いるのが好ましい。
【0025】
金属フィラー等の導電性フィラーの接着性樹脂への配合割合は、特に限定されないが、接着性樹脂100重量部に対して10〜400重量部とするのが好ましく、さらに好ましくは20〜150重量部とするのがよい。400重量部を超えると、グランド回路(銅箔)への接着性が低下し、シールドプリント配線板の可撓性が悪くなる。また、10重量部を下回ると導電性が著しく低下する。金属フィラー等の導電性フィラーの形状は、球状、針状、繊維状、フレーク状、樹枝状のいずれであってもよい。
【0026】
第1の接着剤層8a及び第2の接着剤層13の厚さは、金属フィラー等の導電性フィラーを混合した場合は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0027】
電磁波シールド層8の第1の金属薄膜層8bを形成する金属材料としては、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、錫、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛、及びこれらのいずれか1つ以上を含む合金などを挙げることができる。金属材料の種類及び膜厚は、求められるシールド特性と可撓性に応じて適宜選択されるが、膜厚としては、一般に0.01〜10μmとするのが好ましい。0.01μmを下回るとシールド効果が不十分となり、逆に10μmを超えると可撓性が悪くなる。第1の金属薄膜層8bの形成方法としては、真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)、メッキなどがあるが、膜厚や量産性等を考慮して適宜選択される。
【0028】
外部グランド部材10の金属箔11を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、錫、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛、及びこれらのいずれか1つ以上を含む合金などを使用することができるが、中でも導電性、可撓性、経済性などの点で銅を用いることが好ましい。金属箔11の厚みは特に限定されないが、取り扱い性の点から、0.3μm以上40μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下である。0.3μmよりも薄いと機械的強度が不足するおそれがあり、40μmよりも厚いと絶縁フィルム4の孔の段差に追随することが困難になってくる。また、金属箔に代えて、導電性樹脂とすることもできるが安定した導電性の点で金属箔が好ましい。
【0029】
外部グランド部材10の第2の金属薄膜層12を形成する金属材料としては、金、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、及びこれらのいずれか1つ以上を含む合金などを使用することができるが、中でも金を用いると外部端子との接続が確実になり接続抵抗も小さくできるため好ましい。
【0030】
本実施形態のシールドプリント配線板は、外部グランド部材10がプリント配線板5のグランド回路3cと電気的に直接接続するので、プリント回路3の一部として幅の広いグランド線を設ける必要はなくなり、その分信号線の配線密度を高くすることができるとともに、信号線の設計の自由度を大きくできる。
【0031】
一方、特許文献1に開示された図4に示すシールドプリント配線板は、ベースフィルム32上にプリント回路33(信号回路33a及びグランド回路33b)が設けられ絶縁フィルム34で覆われたプリント配線板31と、カバーフィルム36とシールド層37(接着剤層37a及び金属薄膜層37b)とからなるシールドフィルム35と、金属箔41の片面から導電性バンプ42を突出させて接着剤層38を設けたグランド部材40を有している。絶縁フィルム34に開けられた絶縁除去部34aの部分のグランド回路の非絶縁部33cが導電性である接着剤層37aと接触し、その接着剤層37aに導電性バンプ42が突き刺さって電気的に接続される。そして、グランド部材40の金属箔41の一端にはんだ付けされた導体43が外部のグランド部へと接続される。
【0032】
特許文献1に開示されたシールドプリント配線板では、グランド回路の非絶縁部33cから接着剤層37a、導電性バンプ42、金属箔41、導体43という経路によって接地が行われるが、経由する部材が多いと共に導電性バンプ42がカバーフィルム36を突き破っていく必要があるため、接地の接続が不安定になるとともに接続抵抗も大きくなってしまう。さらには、グランド部材のサイズが小さくなるとグランド部材のハンドリングが難しくなり、安定した接続抵抗を得ることが困難になる。
【0033】
これに比べて、本実施形態のシールドプリント配線板は、外部グランド部材10がプリント配線板5のグランド回路3cと電気的に直接接続し、かつ外部グランド部材10は電磁波シールド層8を介してもグランド回路3cと電気的に接続しているので、接地の接続を安定させることができて、接地抵抗を小さくでき、かつ2重の接地接続により安定したグランド効果を得ることができる。また特許文献1に開示されたグランド部材40は幅の小さな短冊状であるためハンドリングが困難で所定の位置に設置、導電性バンプ42の正確な突き差しが難しいのに対し、本実施形態の外部グランド部材10は大きさや形状の自由度が大きいため、容易にハンドリングできる。
【0034】
さらには、本実施形態の外部グランド部材10では、接続抵抗を特許文献1のシールドプリント配線板のグランド部材40のそれに比べ小さくすることが容易である。また、本実施形態の外部グランド部材10は電磁波シールド効果も備えているので、プリント回路3において電磁波シールド層8と外部グランド部材10との両方が載っている部分は他の場所に比べてシールド性がより良好となる。従って、シールド性をより高くしたい回路部分の上に電磁波シールド層8と外部グランド部材10との両方が載るような設計を行うことで、シールド性が高いシールドプリント配線板とすることができる。
【0035】
(実施形態2)
実施形態2のシールドプリント配線板は、図2に示すように外部グランド部材10bの構成が実施形態1と異なっており、それ以外の構成は実施形態1と同じであるので実施形態1と異なっている点を以下に説明する。
【0036】
本実施形態の外部グランド部材10bは、表面に第2の金属薄膜層12を備えた金属箔11と、金属箔11の第2の金属薄膜層12とは反対側の面に設けられた第2の接着剤層13aと、第2の接着剤層13aを突き抜けている導電性バンプ18を有している。本実施形態においては第2の接着剤層13aは導電性を有していない。導電性バンプ18は導電性の突起からなる。
【0037】
第2の接着剤層13aが外部グランド部材10bとプリント配線板5とを接着しており、導電性バンプ18は金属箔11とグランド回路3cとを電気的に接続している。
【0038】
導電性バンプ18は、金属、導電性無機物、表面を金属めっきした有機物或いは無機物、などを用いることができ、例えば、金属箔11上へCu系ペースト若しくはAg系ペーストをスクリーン印刷すること等により形成されることができる。または、金属板を成型加工することにより、導電性バンプ18が一体化した外部グランド部材10bを形成してもよい。
【0039】
導電性バンプ18の形状及び大きさ並びに数は、金属箔11とグランド回路3cとを電気的に接続できるように決められる。本実施形態において、導電性バンプ18の形状は円錐形であるが、角錐状や円筒形、角柱形状等であっても構わない。
【0040】
実施形態2のシールドプリント配線板は、実施形態1のシールドプリント配線板と同じ効果を奏し、さらに第2の接着剤層13aに導電性フィラーを入れていないので、外部グランド部材10bを実施形態1のものよりも薄くすることができる。また、導電性バンプ18がグランド回路3cと金属箔11とを確実に電気的に接続するので、実施形態1のものよりも接地の接続をより安定させることができ、接地抵抗をより小さくできる。
【0041】
(実施形態3)
実施形態3のシールドプリント配線板は、図3に示すように外部グランド部材10cの構成が実施形態1と異なっており、それ以外の構成は実施形態1と同じであるので実施形態1と異なっている点を以下に説明する。
【0042】
本実施形態の外部グランド部材10cは、表面に第2の金属薄膜層12を備えた金属箔11と、金属箔11の第2の金属薄膜層12とは反対側の面に設けられた第2の接着剤層13aと、第2の接着剤層13aから突き抜けている導電性突起19を有している。本実施形態においては第2の接着剤層13aは導電性を有していない。導電性バンプ19は金属箔11の少なくとも一部を突出させて形成されている。
【0043】
第2の接着剤層13aが外部グランド部材10cとプリント配線板5とを接着しており、導電性突起19は金属箔11とグランド回路3cとを電気的に接続している。
【0044】
導電性突起19は、例えば金属箔11に対してエンボス加工を施すことによって形成できる。
【0045】
導電性突起19の形状及び大きさ並びに数は、金属箔11とグランド回路3cとを電気的に接続できるように決められる。
【0046】
実施形態3のシールドプリント配線板は、実施形態1のシールドプリント配線板と同じ効果を奏し、さらに第2の接着剤層13aに導電性フィラーを入れていないので、外部グランド部材10cを実施形態1のものよりも薄くすることができる。また、導電性突起19がグランド回路3cと金属箔11とを確実に電気的に接続するので、実施形態1のものよりも接地の接続をより安定させることができ、接地抵抗をより小さくできる。
【0047】
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
【0048】
例えば、実施形態1〜3において、第1の金属薄膜層を電気的または機械的ダメージから保護するために、第1の金属薄膜層の表面に保護層をさらに形成してもよい。保護層は、第1の金属膜層を保護できる所定の機械的強度、耐薬品性及び耐熱性などを満たしていればよく、例えば熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、又は活性エネルギー線硬化性組成物等を用いることができる。
【0049】
実施形態1〜3において、第1の接着剤層は絶縁性接着剤層、等方導電性接着剤層又は異方導電性接着剤層のいずれかであってもよい。第1の接着剤層が絶縁性接着剤層である場合には、電磁波シールド層を凹凸を有する形状とし、その凹凸における凸部が絶縁性接着剤層を突き抜けてプリント配線板のグランド回路と電気的に接続することができる。第1の接着剤層が等方導電性接着剤層である場合は、電磁波シールド層は、等方導電性接着剤層のみからなっていてもよい。また、第1の接着剤層が異方導電性接着剤層である場合は、異方導電性接着剤層に金属箔を貼り合わせて金属箔を電磁波シールド層としてもよい。さらにその金属箔にめっきや蒸着、スパッタ等で金属薄膜層を形成させてもよい。
【0050】
実施形態1〜3において、外部グランド部材の表面には外部接続導電層を有していなくてもよい。また、外部グランド部材の材質や形状は特に限定されず、導電性の物質で形成されていればよい。例えば、メッシュ状の金属箔、膜状に形成された導電性ペースト、表面に導電性塗料を塗布した樹脂フィルム等を使用することができる。
【0051】
実施形態2、3において外部グランド部材の第2の接着剤層は導電性接着剤からなっていてもよい。
【0052】
プリント配線板のグランド回路と電気的に接続する外部グランド部材の導電性の部材は、接着剤層の上に設けられた導電性部材層が、接着剤層に面している側に凹凸を有している部材であってもよく、この導電性部材層は金属膜又は導電性粒子からなる導電膜などからなることが好ましい。この凸の部分によりグランド回路と接触するようにすればよい。
【0053】
なお、片面シールドのものについて述べてきたが、プリント配線板の両面に電磁波シールド層が設けられた両面シールドのものも当然本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
3b、3c グランド回路
5 プリント配線板
8 電磁波シールド層
10 外部グランド部材
10b 外部グランド部材
10c 外部グランド部材
12 第2の金属薄膜層
13 第2の接着剤層(導電性接着剤層)
18 導電性バンプ
19 導電性突起
図1
図2
図3
図4