特許第6349303号(P6349303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6349303細菌性疾患の処置のためのピリミジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349303
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】細菌性疾患の処置のためのピリミジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20180618BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20180618BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20180618BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20180618BHJP
   C07D 405/14 20060101ALN20180618BHJP
   C07D 409/14 20060101ALN20180618BHJP
【FI】
   A61K31/506
   A61P31/04
   C07D401/04CSP
   C07D401/14
   !C07D405/14
   !C07D409/14
【請求項の数】6
【全頁数】97
(21)【出願番号】特願2015-509418(P2015-509418)
(86)(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公表番号】特表2015-515967(P2015-515967A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】EP2013058980
(87)【国際公開番号】WO2013164337
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】12166140.9
(32)【優先日】2012年4月30日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・ユーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ボンファンティ,ジャン−フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】デュブレ,フレデリック,マーク マウリース
(72)【発明者】
【氏名】フォルタン,ジェローム,マイケル,クロード
(72)【発明者】
【氏名】ルニ,ナセル
【審査官】 新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−536950(JP,A)
【文献】 特表2005−520821(JP,A)
【文献】 DATABASE REGISTRY [Online],Chemical Abstracts Service,Registry No. 1069673-21-7, 1069667-19-1,,1069581-80-1, 1069557-77-2, 1069484-50-9, 1066992-98-0, 1065635-06-4
【文献】 DATABASE REGISTRY [Online],Chemical Abstracts Service,Registry No. 1206793-33-0, 1185567-90-1,,1185479-09-7, 1185383-88-3, 1070761-21-5, 1070491-00-7, 1070464-42-4, 1070464-18-4, 1070456-25-5, 1070410-21-7, 1070361-37-3, 1070361-02-2, 1070357-11-7, 1070341-91-1, 1069949-30-9, 1069944-48-4, 1069925-90-1, 1069901-39-8, 1069900-50-0, 1069900-49-7, 1069845-99-3, 1069836-86-7, 1069799-91-2, 1069789-74-7, 1069788-76-6, 1069774-13-5, 1069773-66-5, 1069762-46-4, 1069758-76-4, 1069756-10-1, 1069753-56-5, 1069750-24-8, 1069738-47-1, 1069733-53-4, 1069731-54-9, 1069713-04-7, 1069694-85-4,
【文献】 European Journal of Medicinal Chemistry,2012年,Vol.47,pp.24-37, SUPPLEMENTALY MATERIALS
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬としての使用のための下記式の化合物
【化1】

またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物であって
前記使用が細菌感染症の処置におけるものである、薬学的組成物。
【請求項2】
前記細菌感染症が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus
aureus)により引き起こされるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
薬学的に受容可能なキャリアを含む、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
【化2】

である化合物またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項5】
(a)請求項1〜のいずれか一項に記載の薬学的組成物または請求項に記載の化合物と、(b)1種以上の他の抗菌剤との組み合わせ物。
【請求項6】
細菌感染症の処置における同時、別個または逐次的使用のための組み合わせ製剤として、(a)請求項1〜のいずれか一項に記載の薬学的組成物または請求項に記載の化合物と、(b)1種以上の他の抗菌剤とを含有する製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌性疾患、特に特定の非マイコバクテリウム属のスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)によって引き起こされる疾患の処置にとって有用な化合物に関する。当該化合物は、任意の哺乳動物(例えば、ヒトまたは動物)において有用であり得る。本発明はまた、新規の化合物、組成物、方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌感染症は世界中に広く認められ、細菌感染症を処置する化合物に対する大きな必要性が存在する。いくつかの知られている既存の細菌種/菌株が存在し、特定の細菌種/菌株に対して選択的に活性な化合物を見出すことが、医療分野における1つの特定の目標である。
【0003】
非マイコバクテリウム属に対する活性を有するいくつかの知られている薬物が既に存在するが、そのような化合物に対する必要性は存続している。というのは特に、細菌は、特定の化合物/薬物に対して耐性を獲得し得るからである。特定の細菌種/菌株に対して選択的活性を有する化合物は、明らかに有利であり、例えば、こうした化合物は、細菌が他の細菌菌株に対する耐性を築き得ないという利点を有し得る。
【0004】
実際に、本発明の目的は、特定の非マイコバクテリウム属、具体的にはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対して選択的活性を有する化合物を提供することである。
【0005】
特定のピリミジン化合物が、公に入手可能であるか、またはケミカル・アブストラクツ・サービス(Chemical Abstracts Service)を介して開示されているが、そのような化合物は、それらのものとされる特定の用途を何ら有していない。国際特許出願国際公開第2005/070899号パンフレットおよび米国特許出願公開第2005/182073号明細書の両方は、有害な生物(例えば、植物を攻撃する生物)を制御するのに有用であり得る特定のピリミジンを開示している。国際特許出願国際公開第2003/077656号パンフレットは、抗菌薬として有用であり得る特定のピリミジンを開示している。これらの文献は、特定の種類のピリミジンを開示しているにすぎない。
【0006】
米国特許第6,887,870B1号明細書は、ナトリウム/プロトン交換阻害剤として種々の化合物を開示しているが、細菌感染症の処置における使用のためのそのような化合物は開示していない。国際特許出願国際公開第2011/073378号パンフレット、国際公開第2011/060976号パンフレットおよび国際公開第2011/061214号パンフレットは、抗菌薬としての使用のための特定の化合物を明らかに開示しているが、これらの文献は、限られた範囲の化合物を開示しているにすぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
医薬/薬剤としての使用のための式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩が提供され、式Iは:
【化1】

[式中:
Yは:
(i)
【化2】

(ii)−CF
(iii)−N(C1〜6アルキル)(例えば、−N(CH);または
(iv)C3〜6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)
を表し;
、N、N、NおよびNは、独立して、−N=または−C(H)=(または−C(A)=)を表すが、但し、ここで、N、N、N、NおよびNのうちの最大3個のみが、−N=を表し得;
nは、0、1または2を表し(但し、好ましくは0を表す);
およびXは、独立して、−N−または−C(H)−を表し;
が−N−を表す場合は、Qは、直接結合、−C(O)−または−S(O)−を表し;
が−C(H)−を表す場合は、Qは、直接結合または−N(R)−を表し;
は、水素またはC1〜6アルキルを表し;
は、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、各々、それぞれAおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
、Ry1およびRy2は、独立して、水素、ハロ、−CN、−OR10、−N(R11)(R12)またはC1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表し;
、A、AおよびAは、独立して、ハロ、−CN、−OR、−S(O)0〜21〜3アルキル、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、ヘテロシクロアルキル(C1〜3アルキルおよびハロから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、それぞれBおよびBから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
各RおよびR10は、独立して、水素、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、ハロ、C1〜3アルキルおよび−O−C1〜3アルキルから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
11およびR12は、独立して、水素またはC1〜6アルキルを表し;
およびBは、独立して、ハロ(例えば、クロロまたはフルオロ)、−CN、C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)、−OHまたは−O−C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表す]を表す。
【0008】
(医薬として有用な)上述の式Iの化合物は、本明細書において、「本発明の化合物」と呼ばれ得る。
【0009】
言及され得る本発明の化合物には、上で定義されたとおりの化合物ではあるが:
(a)但し、当該化合物は:
【化3】

ではないことを条件とするもの;あるいは
(b)式中、Yが:
(i)
【化4】

(ii)−CF;または
(iii)C3〜6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)
を表すもの
が含まれる。
【0010】
薬学的に受容可能な塩には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。そのような塩は、従来の手段によって、例えば、遊離酸または遊離塩基形態の式Iの化合物と1当量以上の適切な酸または塩基との、任意選択で溶媒中での、または塩が溶解しない媒体中での反応、それに続く、標準的な技術を用いての(例えば、真空中での、または凍結乾燥による、または濾過による)前記溶媒または前記媒体の除去によって、形成され得る。塩はまた、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを、例えば好適なイオン交換樹脂を用いて、別の対イオンと交換することによっても調製され得る。
【0011】
本発明の目的のために、本発明の化合物の溶媒和物、プロドラッグ、N−酸化物および立体異性体もまた、本発明の範囲の範囲内に含まれる。
【0012】
本発明の関連化合物の「プロドラッグ」という用語は、経口または非経口投与に続いて、インビボで代謝されて、その化合物を、所定の時間内(例えば、6〜24時間の間(すなわち、1日1回〜4回)の投与間隔内)に実験的に検出可能な量で形成する、任意の化合物を包含する。疑義を回避するために述べると、「非経口」投与という用語は、経口投与以外のあらゆる投与形態を包含する。
【0013】
本発明の化合物のプロドラッグは、当該化合物上に存在する官能基を、かかるプロドラッグが哺乳動物被験体に投与された際にインビボで修飾が切断されるような形で修飾することによって調製され得る。この修飾は、典型的に、プロドラッグ置換基を有する親化合物を合成することによって達成される。プロドラッグには、本発明の化合物中のヒドロキシル基、アミノ基、スルフィドリル基、カルボキシ基またはカルボニル基が、それぞれ遊離のヒドロキシル基、アミノ基、スルフィドリル基、カルボキシ基またはカルボニル基を再生するようにインビボで切断され得る任意の基に結合している本発明の化合物が含まれる。
【0014】
プロドラッグの例としては、ヒドロキシ官能基のエステルおよびカルバメート、カルボキシル官能基のエステル基、N−アシル誘導体およびN−マンニッヒ塩基が挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグに関する一般的な情報は、例えばBundegaard,H.“Design of Prodrugs”p.1−92,Elesevier,New York−Oxford(1985)に見出され得る。
【0015】
本発明の化合物は、二重結合を含有し得、したがって、各個々の二重結合に関してE(entgegen)およびZ(zusammen)幾何異性体として存在し得る。位置異性体もまた、本発明の化合物に包含され得る。全てのそのような異性体(例えば、本発明の化合物が二重結合または縮合環を含む場合は、シス型およびトランス型が包含される)およびそれらの混合物が、本発明の範囲の範囲内に含まれる(例えば、単一の位置異性体および位置異性体の混合物が、本発明の範囲の範囲内に含まれ得る)。
【0016】
本発明の化合物はまた、互変異性を示し得る。全ての互変異性形態(または互変異性体)およびそれらの混合物が、本発明の範囲の範囲内に含まれる。「互変異性体」または「互変異性形態」という用語は、低エネルギー障壁を介して相互変換可能な、異なるエネルギーの構造異性体をいう。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)は、プロトンの移動を介した相互変換(例えば、ケト−エノールおよびイミン−エナミン異性化)を必然的に伴う。原子価互変異性体は、結合電子のうちのいくつかのものの再編成による相互変換を必然的に伴う。
【0017】
本発明の化合物はまた、1個以上の不斉炭素原子を含有し得、したがって、光学異性および/またはジステレオ異性を示し得る。ジアステレオ異性体は、従来の技術(例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶)を用いて分離され得る。種々の立体異性体が、従来の例えば分別結晶またはHPLC技術を用いての、化合物のラセミ混合物または他の混合物の分離により単離され得る。あるいは、所望の光学異性体は、ラセミ化もしくはエピマー化を引き起こさない条件下における適切な光学的に活性な出発物質の反応(すなわち、「キラルプール」法)により、または適切な出発物質と後に好適な段階で除去され得る「キラル補助剤」との反応により、または例えばホモキラル酸を用いた誘導体化(すなわち、動的分割を含む分割)、それに続く従来の手段(例えば、クロマトグラフィー)によるジアステレオマー誘導体の分離により、または適切なキラル試薬もしくはキラル触媒を用いた反応により、いずれも当業者に知られている条件下において、作製され得る。
【0018】
全ての立体異性体(ジアステレオ異性体、鏡像異性体およびアトロプ異性体が挙げられるが、これらに限定されない)およびそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)が、本発明の範囲の範囲内に含まれる。
【0019】
本明細書に示される構造において、任意の特定のキラル原子の立体化学が特定されていない場合、全ての立体異性体が企図されており、本発明の化合物として包含される。立体化学が特定の配置を示す実線の楔または破線で特定されている場合、その立体異性体はそのように特定され、定義される。
【0020】
本発明の化合物は非溶媒和形態および薬学的に受容可能な溶媒(例えば、水、エタノールなど)との溶媒和形態で存在し得、本発明が溶媒和形態および非溶媒和形態の両方を包含することが意図される。
【0021】
本発明はまた、自然界で通常見られる原子質量または質量数(または自然界で見られる最も豊富なもの)と異なる原子質量または質量数を有する原子により1個以上の原子が置換されていることを除いて本明細書に記載される化合物と同一の、同位体標識された本発明の化合物も包含する。本明細書で規定されるような任意の特定の原子または元素の全ての同位体が、本発明の化合物の範囲の範囲内で企図される。本発明の化合物に組み込まれ得る例示的な同位体には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体(例えば、H、H、11C、13C、14C、13N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I、および125I)が含まれる。本発明の特定の同位体標識化合物(例えば、Hおよび14Cで標識されたもの)は、化合物においておよび基質組織分布アッセイにとって有用である。トリチウム化同位体(H)および炭素−14同位体(14C)は、それらの調製容易性および検出可能性のために有用である。さらに、より重い同位体(例えば、重水素(すなわち、Hでの置換は、より大きな代謝安定性の結果としてもたらされる特定の治療的利点(例えば、インビボ半減期の増加または投薬必要量の減少)をもたらし得、したがって、好ましい場合があり得る。陽電子放出同位体(例えば、15O、13N、11Cおよび18F)は、基質受容体占有を調べるための陽電子放出断層撮影(PET)研究にとって有用である。本発明の同位体標識された化合物は、一般的に、非同位体標識試薬の代わりに同位体標識試薬を用いることによって、本明細書において下記のスキーム1および/または実施例で開示されているものと類似の手順に従うことにより調製され得る。
【0022】
特記しない限り、本明細書で定義されるC1〜qアルキル基(ここで、qは範囲の上限である)は、直鎖であるか、または十分な数(すなわち、適宜最低2個または3個)の炭素原子が存在する場合は、分岐鎖、および/もしくは環状(したがって、C3〜q−シクロアルキル基を形成している)であり得る。かかるシクロアルキル基は、単環式または二環式であり得、かつさらに架橋されているものであり得る。さらに、十分な数(すなわち、最低4個)の炭素原子が存在する場合は、かかる基はまた、部分環状であり得る。かかるアルキル基はまた、飽和であるか、または十分な数(すなわち、最低2個)の炭素原子が存在する場合は、不飽和(例えば、C2〜qアルケニル基またはC2〜qアルキニル基を形成している)であり得る。
【0023】
具体的に言及され得るC3〜qシクロアルキル基(ここで、qは範囲の上限である)は、単環式または二環式のアルキル基であり得、このシクロアルキル基は、さらに架橋されている(したがって、例えば、3個の縮合したシクロアルキル基などの縮合環系を形成している)ものであり得る。かかるシクロアルキル基は、飽和であるか、または不飽和で1個以上の二重結合を含有している(例えば、シクロアルケニル基を形成している)ものであり得る。置換基は、シクロアルキル基上の任意の点で結合され得る。さらに、十分な数(すなわち、最低4個)が存在する場合は、かかるシクロアルキル基はまた、部分環状であり得る。
【0024】
用語「ハロ」は、本明細書で使用される場合、好ましくは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを包含する。
【0025】
言及され得るヘテロシクロアルキル基には、環系中の原子のうちの少なくとも1個(例えば、1個〜4個)が炭素以外(すなわち、ヘテロ原子)であり、かつ環系中の原子の総数が3個〜20個の間(例えば、3個〜10個の間(例えば、3個〜8個の間(例えば、5個〜8個)))である、非芳香族の単環式および二環式のヘテロシクロアルキル基が含まれる。かかるヘテロシクロアルキル基はまた、架橋しているものであり得る。さらに、かかるヘテロシクロアルキル基は、飽和であるか、または不飽和で1個以上の二重結合および/または三重結合を含有し得、例えばC2〜qヘテロシクロアルケニル(ここで、qは範囲の上限である)基を形成している。言及され得るC2〜qヘテロシクロアルキル基には、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6−アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6−アザビシクロ[3.2.1]−オクタニル、8−アザビシクロ−[3.2.1]オクタニル、アジリジニル、アゼチジニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピロリル(2,5−ジヒドロピロリルを含む)、ジオキソラニル(1,3−ジオキソラニルを含む)、ジオキサニル(1,3−ジオキサニルおよび1,4−ジオキサニルを含む)、ジチアニル(1,4−ジチアニルを含む)、ジチオラニル(1,3−ジチオラニルを含む)、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル、オキセタニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、非芳香族ピラニル、ピラゾリジニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリニジニル、スルホラニル、3−スルホレニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピリジル(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロピリジルおよび1,2,3,6−テトラヒドロピリジル)、チエタニル、チイラニル、チオラニル、チオモルホリニル、トリチアニル(1,3,5−トリチアニルを含む)、トロパニルなどが含まれる。ヘテロシクロアルキル基上の置換基は、適切な場合は、環系中の任意の原子(ヘテロ原子を含む)上に位置し得る。ヘテロシクロアルキル基の結合点は、環系中の任意の原子((適切な場合は)ヘテロ原子(例えば、窒素原子)を含む)または環系の一部として存在し得る任意の縮合炭素環式環上の原子を介し得る。ヘテロシクロアルキル基はまた、NまたはS酸化形態であり得る。本明細書において言及されるヘテロシクロアルキルは、特に単環式または二環式であると明記され得る。
【0026】
言及され得るアリール基には、C6〜20(例えば、C6〜12(例えば、C6〜10))アリール基が含まれる。かかる基は、単環式、二環式または三環式であり、6個〜12個(例えば、6個〜10個)の間の環炭素原子を有し得、ここで、少なくとも1個の環は芳香族である。C6〜10アリール基には、フェニル、ナフチルなど(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)が含まれる。アリール基の結合点は、環系の任意の原子を介し得る。例えば、アリール基が多環式である場合、結合点は、非芳香族環の原子を含む原子を介し得る。しかしながら、アリール基が多環式(例えば、二環式または三環式)である場合、それらは、好ましくは、芳香族環を介して分子の残部に連結される。
【0027】
特記しない限り、用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、好ましくはN、OおよびSから選択される、1個以上のヘテロ原子(例えば、1個〜4個のヘテロ原子)を含有する芳香族基をいう。ヘテロアリール基は、5員〜20員の間(例えば、5員〜10員の間)を有するものを包含し、環のうちの少なくとも1個は芳香族である(したがって、例えば、単環式、二環式、または三環式のヘテロ芳香族基を形成している)という条件の下で、単環式、二環式または三環式であり得る。ヘテロアリール基が多環式である場合、結合点は、非芳香族環の原子を含む任意の原子を介し得る。しかしながら、ヘテロアリール基が多環式(例えば、二環式または三環式)である場合、それらは、好ましくは、芳香族環を介して分子の残部に連結される。言及され得るヘテロアリール基には、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリニル、1,3−ジヒドロイソインドリル、1,3−ジヒドロイソインドリル(例えば、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル、1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル、1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル;すなわち、非芳香族環を介して連結されるヘテロアリール基)、または、好ましくは、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾジオキソリル(1,3−ベンゾジオキソリルを含む)、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル(2,1,3−ベンゾチアジアゾリルを含む)、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリルを含む)、ベンゾオキサジニル(3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニルを含む)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾモルホリニル、ベンゾセレナジアゾリル(2,1,3−ベンゾセレナジアゾリルを含む)、ベンゾチエニル、カルバゾリル、クロマニル、シノリニル、フラニル、イミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、インダゾリル、インドリニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアジオリル、イソチオクロマニル、イソキサゾリル、ナフチリジニル(1,6−ナフチリジニル、または好ましくは、1,5−ナフチリジニルおよび1,8−ナフチリジニルを含む)、オキサジアゾリル(1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリルおよび1,3,4−オキサジアゾリルを含む)、オキサゾリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニルおよび5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルを含む)、テトラヒドロキノリニル(1,2,3,4−テトラヒドロキノリニルおよび5,6,7,8−テトラヒドロキノリニルを含む)、テトラゾリル、チアジアゾリル(1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリルおよび1,3,4−チアジアゾリルを含む)、チアゾリル、チオクロマニル、チオフェネチル、チエニル、チアゾリル(1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリルおよび1,3,4−トリアゾリルを含む)などが含まれる。ヘテロアリール基上の置換基は、適切な場合は、環系中の任意の原子(ヘテロ原子を含む)上に位置し得る。ヘテロアリール基の結合点は、環系中の任意の原子((適切な場合は)ヘテロ原子(例えば、窒素原子)を含む)、または環系の一部として存在し得る任意の縮合炭素環式環上の原子を介し得る。ヘテロアリール基はまた、NまたはS酸化形態であり得る。本明細書において言及されるヘテロアリール基は、特に単環式または二環式であると明記され得る。ヘテロアリール基が非芳香族環が存在する多環式である場合、その非芳香族環は、1個以上の=O基により置換されたものであり得る。
【0028】
ヘテロアリール基が単環式または二環式であることは、具体的に明記され得る。ヘテロアリールが二環式であることが特定されている場合においては、それは、別の5員、6員または7員の環(例えば、単環式のアリール環またはヘテロアリール環)と縮合した5員、6員または7員の単環式環(例えば、単環式ヘテロアリール環)からなり得る。
【0029】
言及され得るヘテロ原子には、リン、ケイ素、ホウ素、ならびに好ましくは、酸素、窒素および硫黄が含まれる。
【0030】
疑義を回避するために述べると、本明細書において、ある基(例えば、C1〜6アルキル基)が(例えば、Aから選択される)1個以上の置換基により置換されたものであり得ることが明記されている場合、(例えば、Aにより定義される)それらの置換基は、互いに独立している。すなわち、かかる基は、(例えば、Aにより定義される)同じ置換基または(Aにより定義される)異なる置換基で置換されたものであり得る。
【0031】
本明細書において言及される全ての個々の特徴(例えば、好ましい特徴)は、単独で、または本明細書において言及される任意の他の特徴(好ましい特徴を含む)と組み合わせて解釈され得る(したがって、好ましい特徴は、他の好ましい特徴に関連して、またはそれらから独立して解釈され得る)。
【0032】
当業者は、本発明の主題である本発明の化合物には安定なものが含まれることを理解するであろう。すなわち、本発明の化合物には、例えば反応混合物からの、有用な程度の純度への単離に耐えるのに十分に強固なものが含まれる。
【0033】
言及され得る本発明の化合物には、本明細書で定義されるとおりの式Iの化合物ではあるが:
Yが2−クロロ−フェニルを表し、Ry1が−OCHCHを表し、RおよびRy2が両方とも水素を表し、XおよびXが両方ともNを表し、Qが直接結合を表す場合、Rは−C(O)O−tert−ブチルを表さないことを条件とするものが提供される化合物が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の好ましい化合物について説明する。
【0035】
本発明の好ましい化合物には:
−Q−Rが−CHを表さず;
例えば、Xが−N−を表し、かつQが直接結合を表し、かつRがアルキルを表す場合、それは、好ましくはC2〜6(例えば、C3〜6)アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
Xが−N−を表し、かつQが直接結合を表す場合、Rは、好ましくは、C2〜6(例えば、C3〜6)アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、それぞれAおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
がアルキルを表す場合、それは、好ましくはC2〜6(例えば、C3〜6)アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表す
化合物が含まれる。
【0036】
本発明の好ましい化合物には:
式Iの以下の部分構造:
【化5】

が、好ましくは:
、N、N、NおよびNのうちの0個、1個または2個(好ましくは1個、NまたはN)が−N=を表しかつその他のものが−C(H)=を表すか、または、例えば上記の環がフェニルを表す場合において、N、N、N、NおよびNのうちの1個が−C(A)=を表し;
、N、N、NおよびNのうちの2個が−N=を表す場合、それは好ましくはNおよびNであり(したがって5−ピリミジニル基を形成している);
nが、0、1または2を表し(但し、好ましくは0を表す);
(これは、N/N/Nが−C(H)=を表す場合を含む芳香族環の炭素原子のいずれかの上に存在し得る)が、ハロ(例えば、フルオロまたはブロモ)、−CN、−OC1〜3アルキル(例えば、−OCH)、−S(O)1〜3アルキル、またはC1〜3アルキル(任意選択で不飽和を含有し、したがって例えば−C≡Cを形成している)を表すが、Aは、好ましくは存在せず;
より好ましくは、上記の部分構造が、Aから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている、ピリミジニルまたはピリジル(好ましくは、ピリジル)を表し;
最も好ましくは、上記の部分構造が、ピリジル(好ましくは非置換のピリジル、例えば、2−ピリジル、または好ましくは、3−ピリジルもしくは4−ピリジル)または置換フェニルを表す
ものである、
化合物が含まれる。
【0037】
本発明の1つの実施形態において:
Yは、本明細書で定義されるとおりのN〜N環(これが最も好ましい)を表す。
【0038】
本発明の別の実施形態において:
Yは、−N(C1〜6アルキル)(例えば、−N(CH)を表す。
【0039】
本発明の別の実施形態において:
Yは、C3〜6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)を表す。
【0040】
本発明の別の実施形態において:
Yは、−CFを表す。
【0041】
本発明のより好ましい化合物には:
が−N−を表す場合に、Qが直接結合を表すもの;
が−C(H)−を表し、かつXが−N−を表す(したがって4−ピペリジニル基を形成している)もの;
が−N−を表し、かつXが−C(H)−を表す(したがって、1−ピペリジニル基を形成している)もの;
およびXが−N−を表し、したがってピペラジニル基を形成しているもの
が含まれる。
【0042】
本発明のさらに好ましい化合物には、
がヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタニル)を表すか、またはより好ましくは、Aがハロ(例えば、フルオロ)、−CN、C1〜6アルキル(例えば、C3〜6シクロアルキル)、アリール(Bから選択される1個以上(例えば、1個)の置換基により任意選択で置換されている)、ヘテロアリール(Bから選択される1個以上(例えば、1個)の置換基により任意選択で置換されている)または−ORを表し;
がアリールを表す場合は、それは、好ましくは、Bから選択される1個以上(例えば、1個または2個)の置換基により任意選択で置換されているフェニルであり;
が1個以上(例えば、1個)のB置換基により置換されているアリールを表す場合は、フェニル基のメタ位に位置する少なくとも1個の置換基が存在し(合計して、好ましくは1個または2個のB置換基が存在する)、
が任意選択で置換されているヘテロアリールを表す場合は、それは、好ましくは、窒素、硫黄および酸素(例えば、硫黄および/または酸素)から好ましくは選択される1個、2個または3個(例えば、1個)のヘテロ原子を好ましくは含有する5員または6員のヘテロアリール基であり、したがって、例えばチエニル(例えば、2−チエニルまたは3−チエニル)基またはフラニル(例えば、2−フラニル)基を形成しており;
が任意選択で置換されているヘテロアリールを表す場合は、それはBから選択される1個または2個(例えば、1個)の置換基により任意選択で置換されており;
がC3〜6シクロアルキルを表す場合は、それは、好ましくはシクロヘキシルであり;
が、ハロ(例えば、フルオロまたはクロロ)、−CN、−OHまたはC1〜3アルキル(メチル;1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されており、したがって、例えば、−CF基を形成している)を表し;
が、好ましくは、C1〜4アルキル(例えば、C1〜2アルキル(例えば、メチル))を表し;
が、ハロ(例えば、フルオロ)、−CN、チエニル(例えば、2−または3−チエニル(例えば、3−メチル,2−チエニルまたは非置換3−チエニル))、フラニル(例えば、2−フラニル)、C3〜6シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)または−O−フェニルを表し;
が、アリール(例えば、非置換フェニル)を表し;
が−N(R)−を表す場合、Rは、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し、したがって、例えば、−C(O)−C(H)(CH)−O−フェニルを形成しており;
が、水素を表し;
が直接結合または−C(O)−を表す場合、Rは、好ましくは:
=Oおよび/またはAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されておりかつ1個以上(例えば、1個)の二重結合(したがってC2〜6アルケニル基を形成している)または三重結合(したがってC2〜6アルキニル基を形成している)を任意選択で含有しているC1〜6アルキル(例えば、非環式C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキル)を表し、したがって、例えば、−CH−C(CH、−CHCH(CH、シクロプロピル、−CH−CF、−CH−C(H)F、−CHC(CH−CN、−C(O)−C(CH、−CH−CFCH、−CH−[3−メチル,2−チエニル]、−CH−C(CH)=CHCH、−CH−[3−フルオロフェニル]、−CH−[3−チエニル]、−CH−[3−クロロ−6−OH−フェニル]、−CH−[3−ヒドロキシフェニル]、−CH−[2−ヒドロキシフェニル]、−CH−[2−ヒドロキシ−4−クロロ−フェニル]、−CH−[2−ヒドロキシ−5−クロロフェニル]、−CH−フェニル、−CH−シクロへキシル、−CH−[2−チエニル]、−CH−[2−フラニル]、−C(O)−C(H)(CH)−O−フェニル、−CH−C(H)(CH、−シクロプロピル、−CH−[4−フルオロフェニル]、−C(O)−C(CH、−CH−(3−トリフルオロメチル−フェニル)、−CH−(3−シアノフェニル)、−CH(4−シアノフェニル)、−CH−(2,4−ジフルオロフェニル)、−CH−(3−メチルフェニル)、−CH−(4−メチルフェニル)、−CH−(2−フルオロフェニル)、−CH−(2−シアノフェニル)、−CH−(3,4−ジフルオロフェニル)、−CH−(4−クロロフェニル)、−CH−(3−クロロフェニル)、−CH−(2−トリフルオロメチル−フェニル)、−CH−(2,6−ジフルオロフェニル)、−CH−(3,5−ジフルオロ−フェニル)、−CH−C≡CHもしくは−CH−C(CH)(3−オキセタニル)を形成している(最も好ましくは、Rは、−CH−C(CH、−CH−CF、−CH−C(H)F、−CHC(CH−CN、−C(O)−C(CHまたは−CH−CFCHを表す)か;または
は、Aから選択される1個以上(例えば、1個または2個)の置換基により任意選択で置換されているアリール(例えば、フェニル)を表し、したがって、例えば非置換フェニルのために形成しており;
10が、C1〜4アルキル(例えば、C1〜2アルキル(例えば、メチル))を表し;
11およびR12が、独立して、水素、または好ましくは、C1〜3アルキル(例えば、メチル)を表し;
、Ry1およびRy2の全てが水素を表すか、またはより好ましくは、R、Ry1およびRy2のうちの少なくとも1個(好ましくはR)が水素以外の置換基を表しかつその他のもの(好ましくはRy1およびRy2)が水素を表し(すなわち、好ましくは1個の置換基が、フェニル環上に、好ましくはメタ位で存在する);
、Ry1およびRy2のうちの1個(例えば、R)が置換基を表す場合は、それは、好ましくは、ハロ、−OCH、−N(CH、−CN、または1個以上のフルオロ原子により任意選択で置換されているC1〜3アルキルから選択され;
が、水素、または好ましくは、ハロ(例えば、フルオロ、または好ましくは、クロロ)、−OCH、−N(CH、−CN、またはC1〜3アルキル(例えば、−CH)であって1個以上のフルオロ原子により任意選択で置換されているもの(例えば、−CF)を表し、最も好ましくは、Rが、−OCHまたは−CNを表し;
y1が、水素を表すか、またはRが水素を表す場合は−OCHおよびC1〜3アルキル(例えば、メチル)から選択される置換基を表し得;
y2が、水素を表すか、またはRおよびRy1が水素を表す場合はハロ(例えば、フルオロ)およびC1〜3アルキル(例えば、メチル)から選択される置換基を表し得;
が、水素を表し;
およびAが、独立して、ハロ(例えば、クロロ)または−OR(例えば、−OH)を表す
化合物が含まれる。
【0043】
本明細書に開示される本発明の特定の化合物は、それ自体が新規であり得る。したがって、本発明のさらなる実施形態において、式Iの化合物:
【化6】

またはその薬学的に受容可能な塩であるが、式中:
Yは:
【化7】

を表し;
、N、N、NおよびNのうちの0個または1個(好ましくは1個、例えば、NまたはN)が−N=を表し、かつその他のものは−C(H)=を表し;
nは、0または1を表し;
およびXは、独立して、−N−または−C(H)を表し;
が−N−を表す場合は、Qは、直接結合を表し;
が−C(H)−を表す場合は、Qは、直接結合または−N(R)−を表し;
は、水素またはC1〜6アルキルを表し;
は、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、各々、それぞれAおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
、Ry1およびRy2は、独立して、水素、ハロ、−CN、−OR10、−N(R11)(R12)またはC1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表し;
、A、AおよびAは、独立して、ハロ、−CN、−OR、−S(O)0〜21〜3アルキル、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、ヘテロシクロアルキル(C1〜3アルキルおよびハロから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、それぞれBおよびBから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
各RおよびR10は、独立して、水素、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、ハロ、C1〜3アルキルおよび−O−C1〜3アルキルから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
11およびR12は、独立して、水素またはC1〜6アルキルを表し;
およびBは、独立して、ハロ(例えば、クロロまたはフルオロ)、−CN、C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)、−OHまたは−O−C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表し、
但し、当該化合物は、
【化8】

ではないことを条件とする
化合物またはその薬学的に受容可能な塩が提供される。
【0044】
本発明のこのさらなる態様に従う本発明の好ましい新規の化合物は、上で言及した化合物であるが:
が、−N−を表し;
が、−C(H)−を表し;
が、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
(これは、好ましくはフェニル環の炭素原子上に存在し、好ましくはパラ位にある)が、ハロ(例えば、フルオロ)、−CNまたは−OC1〜3アルキル(例えば、−OCH)を表し;
が、ハロ(例えば、フルオロ)、−CN、C1〜6アルキルまたは−ORを表し;
、Ry1およびRy2の全てが水素を表すか、またはより好ましくは、R、Ry1およびRy2のうちの少なくとも1個(好ましくはR)が水素以外の置換基を表しかつその他のもの(好ましくはRy1およびRy2)が水素を表し(すなわち、好ましくは1個の置換基が、フェニル環上に、好ましくはメタ位で存在する);
が水素以外である場合は、これは、好ましくは、ハロ(例えば、クロロ)、−OCHまたは−CNを表し;かつ/または
が、水素を表す
化合物であり得る。
【0045】
特に、本発明の好ましい新規の化合物は、下記のもの:
【化9】

またはその薬学的に受容可能な塩であり得る。
【0046】
薬理学
本発明に従う化合物は、驚くべきことに、特定の非マイコバクテリウム属感染症、具体的にはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の処置に好適であることが示された。したがって、当該化合物は、医薬/薬剤として有用である。
【0047】
さらに、本発明はまた、特定の非マイコバクテリウム属感染症、具体的にはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の処置のための医薬の製造のための、本発明の化合物、その薬学的に受容可能な塩またはそのN−酸化物形態、および後に説明されるようなその薬学的組成物のうちの任意のものの使用に関する。
【0048】
したがって、別の態様において、本発明は、特定の非マイコバクテリウム属感染症、具体的にはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)を患っている、またはその危険性のある患者を処置する方法であって、治療有効量の本発明に従う化合物または薬学的組成物をその患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0049】
本発明の化合物は、特定の非マイクロバクテリウム属のスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の処置に好適であることが示されただけでなく、それに対して選択的活性を有することもまた示された。したがって、本明細書において特定の非マイクロバクテリウム属の「処置」に言及される場合、それは、好ましくは「選択的処置」を意味し、例えば、それは、その細菌(スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))に対して活性を有するが、他の細菌に対しては何ら活性を有さないかまたは最小限の(またはそれより小さい)活性を有するものであり得る。これは有利であり得る。というのは、化合物/薬物がスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対してのみ選択的である場合、他の菌株に対する耐性は築かれ得ず、不要な抗菌作用が必要になることが防止される。
【0050】
本発明の化合物により処置され得る細菌感染症には、例えば、中枢神経系感染症、外耳感染症、中耳の感染症(例えば、急性中耳炎)、頭蓋洞の感染症、眼感染症、口腔の感染症(例えば、歯、歯肉および粘膜の感染症)、上気道感染症、下気道感染症、尿生殖器感染症、胃腸感染症、婦人科学的感染症、敗血症、骨および関節の感染症、皮膚および皮膚組織の感染症、細菌性心内膜炎、火傷、手術の抗菌予防、および免疫抑制患者(例えば、癌化学療法を受けている患者、または臓器移植患者)における抗菌予防が含まれる。
【0051】
以上または以下において使用されるときはいつも、化合物が細菌感染症を処置し得るとは、化合物が、特定の非マイコバクテリウム属感染症、具体的にはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)への感染症を処置し得ることを意味する。
【0052】
本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアと、有効成分として治療有効量の本発明に従う化合物とを含む組成物に関する。本発明に従う化合物は、投与目的のための種々の薬学的形態に製剤化され得る。適切な組成物として、全身投与薬物として通常使用される全ての組成物が挙げられ得る。本発明の薬学的組成物を調製するために、任意選択で付加塩形態の、有効量の特定の化合物が、有効成分として、薬学的に受容可能なキャリアと密に混合して組み合わされ、当該キャリアは、投与に望まれる調製物の形態により、多種多様な形態を取り得る。これらの薬学的組成物は、特に経口投与または非経口注射による投与に好適な、単位剤形のものが望ましい。例えば、経口剤形として組成物を調製する際、経口液体調製物(例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および水剤)の場合においては、例えば水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の薬学的媒体のうちの任意のもの、または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合においては、デンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体キャリアが使用され得る。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与容易性のため、最も有利な経口投薬単位形態であり、この場合においては明らかに固体薬学的キャリアが使用される。非経口組成物については、キャリアは、他の成分(例えば、溶解性を助けるもの)が含まれ得るが、通常、少なくとも大部分において滅菌水を含むであろう。キャリアが生理食塩水溶液、グルコース溶液または生理食塩水とグルコース溶液との混合物を含む、例えば注射可能溶液が、調製され得る。注射可能懸濁剤もまた調製され得、この場合においては、適切な液体キャリア、懸濁化剤などが使用され得る。使用の直前に液体形態調製物に変換されることが意図される固体形態調製物もまた包含される。
【0053】
投与方法により、薬学的組成物は、百分率は全て全組成物を基準として、好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、さらにより好ましくは0.1〜50重量%の有効成分と、1〜99.95重量%、より好ましくは30〜99.9重量%、さらにより好ましくは50〜99.9重量%の薬学的に受容可能なキャリアを含むであろう。
【0054】
薬学的組成物は、さらに、当該技術分野において知られている種々の他の成分(例えば、滑沢剤、安定剤、緩衝剤、乳化剤、粘度調整剤、界面活性剤、保存剤、着香料または着色料)を含有し得る。
【0055】
投与の容易性および投薬量の均一性のため、上述の薬学的組成物を単位剤形で製剤化することは特に有利である。単位剤形とは、本明細書で使用される場合、単位投薬量として好適な物理的に別個の単位をいい、各単位は、必要とされる薬学的キャリアと共に、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の有効成分を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(分割錠または被覆錠を含む)、カプセル剤、丸剤、散剤小包、ウェーファー、坐剤、注射可能水剤または懸濁剤など、および分けられたその複数のものである。本発明に従う化合物の1日投薬量は、当然、使用される化合物、投与方法、所望される処置、および示されるマイコバクテリウム属疾患によって変化するであろう。しかしながら、一般的に、満足のいく結果は、本発明に従う化合物が1グラムを超えない、例えば10〜50mg/kg体重の範囲内の1日投薬量で投与される場合に得られるであろう。
【0056】
本発明の化合物が細菌感染症(例えば、本明細書で定義されるとおりの特定の種類)に対して活性であるという事実を考慮すると、効果的に細菌感染症と戦うために、本発明の化合物は、他の抗菌剤と組み合わされ得る。
【0057】
したがって、本発明はまた、(a)本発明に従う化合物と、(b)1種以上の他の抗菌剤との組み合わせに関する。
【0058】
本発明はまた、医薬品としての使用のための、(a)本発明に従う化合物と、(b)1種以上の他の抗菌剤との組み合わせに関する。
【0059】
本発明はまた、細菌感染症(例えば、本明細書で定義されるとおりの特定の種類、すなわちスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))の処置(例えば、選択的処置)のための、すぐ上で定義されたとおりの組み合わせまたは薬学的組成物の使用に関する。
【0060】
薬学的に受容可能なキャリアと、有効成分として治療有効量の(a)本発明に従う化合物と、(b)1種以上の他の抗菌剤とを含む、特に本明細書で定義されるとおりの特定の細菌感染症の処置における使用のための、薬学的組成物もまた、本発明に含まれる。
【0061】
組み合わせとして与えられる場合の(a)本発明に従う化合物と(b)他の抗菌剤との重量比は、当業者により決定され得る。前記比ならびに正確な投薬量および投与頻度は、当業者によく知られているように、本発明に従う特定の化合物および使用される他の抗菌剤、処置される特定の状態、処置される状態の重篤度、特定の患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間および一般的な身体状態、投与方法、ならびに個体が摂取している可能性のある他の薬物によって決まる。さらに、処置される被験体の応答によりおよび/または本発明の化合物を処方する医師の評価により、有効1日量が低減または増大され得ることは明らかである。式(Ia)または(Ib)の本発明の化合物および別の抗菌剤についての特定の重量比は、1/10〜10/1、より特定的には1/5〜5/1、さらにより特定的には1/3〜3/1の範囲であり得る。
【0062】
本発明に従う化合物および1種以上の他の抗菌剤は、単一の調製物において組み合わされ得る、またはそれらは、それらが同時に、別個にまたは逐次的に投与され得るように、別個の調製物として製剤化され得る。したがって、本発明はまた、細菌感染症の処置における同時、別個または逐次的使用のための組み合わせ製剤として、(a)本発明に従う化合物と、(b)1種以上の他の抗菌剤とを含有する製品に関する。
【0063】
一般的調製
本発明に従う化合物は、一般的に一連の工程によって調製され得、その工程の各々は、当業者に知られている、かつ/または以下の一般的スキームにおいて下記に説明されている。
一般的スキーム1:
【化10】

一般的スキーム2:
【化11】

一般的スキーム3:
【化12】
【0064】
所望の化合物を得るために上記の反応を最適化しようとして適切な温度、希釈、および反応時間を調査することは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0065】
式Iの化合物は、三価窒素をそのN−酸化物形態に変換するための当該技術分野において知られている手順に従って、対応するN−酸化物形態に変換され得る。前記N酸化反応は、一般的に、式Iの出発物質を、適切な有機または無機過酸化物と反応させることにより行われ得る。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物(例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム)を含み;適切な有機過酸化物は、ペルオキシ酸(例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸(例えば、3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸)、ペルオキソアルカン酸(例えば、ペルオキソ酢酸)、アルキルヒドロペルオキシド(例えば、tert.ブチルヒドロ−ペルオキシド)など)を含み得る。好適な溶媒は、例えば、水、低級アルコール(例えば、エタノールなど)、炭化水素(例えば、トルエン)、ケトン(例えば、2−ブタノン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)、およびそのような溶媒の混合物である。
【0066】
例えば、YがN〜N含有環を表す式Iの化合物は、以下の方法によって調製され得る:
(i)Xが−N−を表す式Iの化合物については、式IIの化合物
【化13】

[式中、N、N、N、N、N、X、R、Ry1、Ry2、Aおよびnは、上で定義されたとおりである]と:
(a)式IIIの化合物
−Q−R III
[式中、Lは、好適な脱離基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨードまたはスルホネート基)を表す]との反応;
(b)Qが直接結合を表しかつRが−CH−Rxx部分(ここで、集合的に、この基はR部分を表す)を有するQに結合された基を表す式Iの化合物については、
O=C(H)(Rxx) IV
[式中、Rxxは、R部分の一部を表す(Rは上で定義されている)]
との反応(当該反応は、還元的アミノ化反応条件(例えば、当業者に知られている条件)下で、例えば「ワンポット」での反応として、例えば選択的還元剤(これはイミン中間体を還元するが、アルデヒド出発物質は還元しない)(例えば、ナトリウムシアノボロハイドライド、または好ましくはナトリウムトリアセトキシボロハイドライド)の存在下において、例えば緩酸(例えば、酢酸)の存在下、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中で行われる。代替的な条件、例えば、最初の縮合反応、それに続く還元剤(これは、「イミン」選択的である必要はなく、例えば、反応が2段階で行われる場合はナトリウムボロハイドライドが使用され得る)の存在下における反応もまた使用され得る);
(ii)Xが−N−を表すところのXに必須のピリミジンが結合されている式Iの化合物については、芳香族求核置換反応条件(例えば、当該技術分野において知られているものなど)下での、例えば塩基(例えば、有機塩基(例えば、ジアルキルアミン塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン)))の存在下における、式Vの化合物
【化14】

[式中、Lは、好適な脱離基(例えば、ハロ(例えば、クロロ))を表す]と、式VIの化合物
【化15】

[式中、X、QおよびRは、上で定義されたとおりである]との反応;
(iii)−CH−部分が存在する化合物については、好適な還元剤(例えば、LiAlH)の存在下における、−C(O)−部分が存在する対応する化合物の還元;
(iv)環化を促進する反応条件下での(例えば、塩基(例えば、無機塩基(例えば、tBuOK))および好適な溶媒(例えば、アルコール溶媒(例えば、エタノール))の存在下における)、式VIIの化合物
【化16】

[式中、Lは、好適な脱離基(好ましくはアミノ部分(例えば、−N(CH)))を表し、整数(integer)(例えば、R、Ry1、Ry2、Q、R、XおよびX)は、上で定義されたとおりである]と、式VIIIの化合物
【化17】

またはその誘導体(例えば、塩(例えば、HCl塩))[式中、整数(例えば、N、N、N、N、N、Aおよびn)は、上で定義されたとおりである)]との反応(この反応は高温で行われ得る);
(v)−C(F)−部分を含有する化合物については、適切な「フッ化物」試薬(例えば、三フッ化ジエチルアミノ硫黄;例えば、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下)との反応による、−C(O)−部分を含有する対応する化合物の反応。
【0067】
式IIの化合物は、式IXの化合物
【化18】

またはその誘導体(例えば、保護誘導体(例えば、−N(H)−部分上で例えばBoc基により保護されている))(ここで、整数(例えば、L、R、Ry1、Ry2、Q,RおよびX)は上で定義されたとおりである)と、上で定義されたとおりの式VIIIの化合物との反応によって調製され得る。
【0068】
式Vの化合物は、本明細書に記述される手順に従って調製され得る。
【0069】
VIIおよびIXの化合物は、式Xの対応する化合物
【化19】

[式中、X1aは、−X−Q−R(式VIIの化合物の調製の場合)または−N(H)−(式IXの化合物の調製の場合、またはその保護部分(例えば、−N(Boc)−))を表し、かつその他の整数(例えば、X、R、Ry1およびRy2)は上で定義されたとおりである]と、式XIの化合物
O=C(H)−L XI
[式中、Lは上で定義されたとおりである(特に、アミノ基(例えば、−N(CH)を表し、したがって例えばDMFを形成している)]との反応(例えば、好適な溶媒(例えば、芳香族溶媒(例えば、トルエン))の存在下での還流におけるDMF−DMAの反応)により調製され得る。
【0070】
式Xの化合物は、本明細書に記述される手順に従って調製され得る。
【0071】
前述の反応および以下の反応において、反応生成物が反応媒体から単離され、必要な場合、当該技術分野において一般に知られている方法(例えば、抽出、結晶化およびクロマトグラフィー)に従ってさらに精製され得ることは、明らかである。さらに、2種以上の鏡像異性形態で存在する反応生成物が、知られている技術、特に分取クロマトグラフィー(例えば、分取HPLC、キラルクロマトグラフィー)によりそれらの混合物から単離され得ることは、明らかである。個々のジアステレオ異性体または個々の鏡像異性体はまた、超臨界流体クロマトグラフィー(SCF)によっても得られ得る。
【0072】
出発物質および中間体は、市販されているか、または当該技術分野において一般に知られている従来の反応手順に従って調製され得るかのいずれかである化合物である。
【実施例】
【0073】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
実験の部
一般的スキーム1:
【化20】
【0075】
1.中間体B−1の合成:
【化21】

THF(1000mL)中のA−1(100g、0.64mol)およびEtN(64.37g、0.64mol)の溶液に、BocO(138.82g、0.64mol)を0℃で添加し、この混合物を、室温で16時間撹拌した。次いで、この反応混合物をHO(1000mL)に注入し、EtOAc(500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、中間体B−1(138.10g、収率:84%)を得た。
【0076】
2.中間体C−1の合成:
【化22】

1LのTHFおよび1LのHO中のB−1(138g、0.54mol)の溶液に、LiOH.HO(67.51g、1.61mol)を0℃で添加した。添加後、この混合物を、25℃で15時間撹拌した。減圧下において、有機溶媒を除去した。混合物をEtOAc(500mL×3)で抽出し、水層を分離し、0.5M HCl水で処理してpH=3に調整し、CHCl(1L×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濃縮して、中間体C−1(80g、65%)を白色固体として得た。
【0077】
3.中間体D−1の合成:
【化23】

1Lの無水CHCl中のC−1(80g、0.35mol)の撹拌溶液に、CDI(62.24g、0.38mol)をN下において0℃で添加した。添加後、この混合物を25℃で1時間撹拌し、ガスの形成を観察した。EtN(42.37g、42mol)を添加し、この混合物を25℃で30分間撹拌し、次いで、O,N−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(42.54g、0.44mol)を添加した。添加後、この混合物を、25℃で15時間撹拌した。混合物を、水、NaHCO水およびクエン酸一水和物水で洗浄した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥させ、濃縮して、中間体D−1(80g、95%)を白色固体として得た。
【0078】
4.中間体F−1の合成:
【化24】

500mLの無水THF中のD−1(20g、73.44mmol)の撹拌溶液に、E−1(350mL、88mmol)をN下において0℃で添加した。添加後、この混合物を、0℃で2時間および15℃で6時間撹拌した。次いで、混合物を濾過した。固体をNHCl(100mL)に溶解させ、EtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL×2)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、16.2gの中間体F−1を白色固体として得た。
【0079】
5.中間体G−1の合成:
【化25】

300mLの無水トルエン中のF−1(15g、45mmol)およびDMF−DMA(9mL、67.48mol)の撹拌溶液を、110℃でN下において4時間撹拌した。次いで、減圧下において溶媒を蒸発させて、12.15gの中間体G−1を得た。
【0080】
6.中間体I−1の合成:
【化26】

エタノール(24mL)中のG−1(2.5g、6.4mmol)の撹拌溶液に、室温でイソニコチンイミドアミド塩酸塩H−1(1.5g、9.65mmol)を添加し続いてカリウムtert−ブトキシド(1.44g、12.9mmol)を添加した。
【0081】
次いで、この反応混合物を、80℃で16時間加熱した。G−1の100%消費(LCMSによりモニタリングする)後に、反応混合物を室温まで冷却させ、真空中で濃縮した。次いで、残渣をジクロロメタン(150mL)で希釈し、水(150mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いで、粗化合物を、ジクロロメタン/酢酸エチル:50/50を用いてシリカゲル上で精製して、所望の中間体I−1を、淡白色固体(2.58g、90%収率)として得た。
【0082】
7.中間体J−1の合成:
【化27】

ジクロロメタン(31mL)中のI−1(2.8g、6.25mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(5.7mL)を室温で添加した。次いで、この反応混合物を、室温で3時間撹拌した。I−1の完全な消費(TLCによりモニタリングする)後に、反応混合物を真空中で濃縮して残渣を得、これをジクロロメタン(100mL)中に取り、炭酸カリウムの飽和水溶液(100mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、所望の中間体J−1をベージュ色固体(2g、92%)として得、これを何らのさらなる精製なしに次の工程で使用した。
【0083】
一般的スキーム2:
【化28】
【0084】
1.中間体L−1の合成:
【化29】

500mLの無水THF中のD−1(30g、104mmol)の撹拌溶液に、K−1(500mL、125mmol)をN下において0℃で添加した。この混合物を、15℃で18時間撹拌した。反応混合物を、NHCl(250mL)およびEtOAc(500mL)で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1)により精製して、15.12gの中間体L−1を得た。
【0085】
2.中間体M−1の合成:
【化30】

DMF(140mL)中のL−1(14.20g、37.14mmol)、Zn(CN)(6.54g、55.72mmol)およびPd(PPh(2.15g、1.86mmol)の混合物を、100℃で18時間撹拌した。混合物を室温まで冷却後、NaHCOの溶液(200mL)を添加した。結果として生じた混合物を、EtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、NaHCO(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)により精製して、中間体M−1(12.04g)を白色固体として得た。
【0086】
3.中間体N−1の合成:
【化31】

300mLの無水トルエン中のM−1(12.00g、36.54mmol)およびDMF−DMA(6.53g、58.81mmol)の撹拌溶液を、110℃で4時間N下において撹拌した。次いで、減圧下において溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)により精製して、中間体N−1(10.05g)を白色固体として得た。
【0087】
4.化合物P−1の合成
【化32】

室温のアセトニトリル(8mL)中のN−1(800mg、2.0mmol)の撹拌溶液に、イソニコチンイミドアミド塩酸塩H−1(657mg、4.1mmol)を添加し続いてDBU(0.93mL、6.2mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を、密封試験管中で110℃で16時間加熱した。N−1の完全な消費(LCMSによりモニタリングする)後に、反応混合物を室温まで冷却させ、水(30mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いで、粗化合物(1.3g)を、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム溶液(HO中33%):98/2/0.1を用いてシリカゲル上で精製して、所望の中間体O−1を、淡黄色固体(800mg、87%収率)として得た。
【0088】
5.中間体P−1の合成:
【化33】

ジクロロメタン(10mL)中のO−1(800mg、1.8mmol)の溶液に、室温で、トリフルオロ酢酸(2.15mL)を添加した。次いで、この反応混合物を、室温で2時間撹拌した。O−1の完全な消費(TLCによりモニタリングする)後に、反応混合物を炭酸ナトリウムの飽和水溶液(30mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、所望の中間体P−1を淡黄色固体(695mg、定量的収率)として得、これを何らのさらなる精製なしに次の工程で使用した。
【0089】
一般的スキーム3:
【化34】
【0090】
1.中間体R−1の合成:
【化35】

CHCl(2L)中のQ−1(150g、1.53mol)およびピリジニウムトリブロミド(635g、1.99mol)の混合物を、20℃で96時間撹拌した。次いで、この反応混合物をNaの水溶液(2×1L)およびブライン(1L)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、中間体R−1(380g、96%)を黄色液体として得た。
【0091】
2.中間体S−1の合成:
【化36】

2.5Lの無水MeOH中のR−1(170g、1.08mol)、H−1(334.00g、1.29mol)およびNaHCO(362.45g、4.31mol)の混合物に対して、80℃で12時間N下において撹拌した。次いで、この混合物を冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=10:1)により精製して、中間体S−1(170g)を褐色固体として得た。
【0092】
3.中間体U−1の合成:
【化37】

1500mLのEtOHおよび300mLのHO中のS−1(150g、595.08mmol)およびT−1(131.16g、892.62mmol)の撹拌混合物に、NaHCO(189.21g、1.79mol)およびPd(PPhCl(15g)をN下において添加した。この反応混合物を、60℃で8時間N下において撹拌した。次いで、混合物を濾過し、減圧下において溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAcで洗浄して、中間体U−1を得た。粗化合物を、直接次の工程で使用した。
【0093】
4.中間体V−1の合成:
【化38】

1500mLの無水CHCl中のU−1(100g、粗)の撹拌懸濁液に、二塩化オキサリル(462.77g、3.65mol)を0℃でN下において滴下した。次いで、DMF(53.30g、7.29mol)を添加し、この反応混合物を、15℃で4時間N下において撹拌した。次いで、減圧下において溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAc(1L)およびNaHCO水(1L)に溶解させた。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=20:1)により精製して、粗生成物を得た。この粗生成物をEtOHで洗浄して9.4gの中間体V−1を褐色固体として得、直接次の工程で使用した。
【0094】
最終化合物6の合成:
【化39】

ジクロロエタン(10mL)中のJ−1(250mg、0.722mmol)の溶液に、酢酸(0.124mL、2.17mmol)および2,2−ジメチルプロパナール(0.157mL、1.45mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を、室温で2時間撹拌した。次いで、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(428mg、2mmol)を添加し、この混合物を室温で3時間撹拌した。反応を完結するために、2,2−ジメチルプロパナール(0.157mL、1.45mmol)および酢酸(0.124mL、2.17mmol)を添加し、この混合物を室温で1時間撹拌した後に、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(428mg、2mmol)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、次いでジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で処理した。水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いで、粗化合物を、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム溶液(HO中33%):98/2/0.1を用いてシリカゲル上で精製して、所望の化合物6を、白色固体(156mg、52%収率)として得た。
【0095】
最終化合物9の合成:
【化40】

雰囲気下におけるジクロロメタン(4mL)中のJ−1(0.15g、0.433mmol)および4−クロロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(0.068g、0.433mmol)の溶液に、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(0.138g、0.649mmol)を一度に添加した。この反応混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、直ちに分取TLC上に負荷し、[ヘプタン(1):EtOAc(2)]で4回溶離した。主バンドを掻き取り、[EtOAc(9):MeOH(1)]でSiOから溶離した。溶離液(elute)を乾燥状態になるまで蒸発させて、0.139gの化合物9(66%)を得た。
【0096】
最終化合物12の合成:
【化41】

雰囲気下のメタノール(エクストラドライ)(3mL)および酢酸(0.1mL)中のJ−1(0.1g、0.289mmol)の溶液に、(1−エトキシシクロプロポキシ)トリメチルシラン(0.061mL、0.303mmol)を一度に添加した。この反応混合物を室温で0.5時間撹拌し、次いでナトリウムシアノボロハイドライド(0.027g、0.433mmol)を添加し、この反応混合物を一晩加熱還流し、次いで室温まで冷却させ、24時間撹拌した。反応混合物を、直ちに分取TLC上に負荷し、[CHCl(95):MeOH(5)]で溶離した。主バンドを掻き取り、[EtOAc(9):MeOH(1)]でSiOから溶離した。溶離液を乾燥状態になるまで蒸発させて、0.089gの最終化合物12(54%)を得た。
【0097】
最終化合物20の合成:
【化42】

CHCl(5mL)中のJ−1(100mg,0.289mmol)、2−フェノキシプロピオン酸(62.4mg、0.375mmol)、EDCI(83mg、0.433mmol)、HOBT(58.5mg、0.433mmol)およびNEt(61μL、0.433mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。水を添加し、層をデカントした。有機層を水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗化合物を、CHCl/MeOH/NHOH97.5/2.5/0.1を用いたシリカゲル(15〜40μm、30g)上でのクロマトグラフィーにより精製した。溶媒を蒸発させて、最終化合物20(64%)を得た。
【0098】
最終化合物21の合成:
【化43】

中間体W−1を、T−1の代わりに(3−メトキシフェニル)ボロン酸を用いて中間体V−1について記述された手順に従って合成した。
【0099】
THF(20mL)中のW−1(99mg、0.333mmol)、X−1(77mg、0.399mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.142mL、0.831mmol)の溶液を、還流にて一晩撹拌した。反応を完結するために、X−1(236mg、1.22mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.63mL、3.7mmol)を少しずつ2日間かけて添加し、この反応混合物を還流にて撹拌した。反応混合物を室温に至らせ、真空中で溶媒を除去した。残留した褐色油状物(およそ0.5g)をMeOH/CHClに溶解させ、固形分を濾別した。分取TLC(ヘプタン/ジエチルエーテル、4:1[3×]、9:1[3×])により、80mgの無色の油状物を得た。物質をDIPEに溶解させ、ヘプタンを添加した。真空中での溶媒の除去により、化合物21を無色の固体(70mg、56%)として得た。
【0100】
最終化合物25の合成:
【化44】

CHCl(4mL)中のJ−1(100mg、0.29mmol)、塩化トリメチルアセチル(35.5μL、0.29mmol)、NEt(40μL、0.29mmol)の溶液を、一晩室温で撹拌した。この混合物をNaHCOの水溶液に注入し、CHClで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して、120mgを得た。この粗物(crude)を、カラムクロマトグラフィー(安定シリカ(5μm 150×30.0mm)上での順相、0%NHOH、100%DCM、0%MeOHから0.6%NHOH、94%DCM、6%MeOHまでの移動相勾配)により精製した。固体をジイソプロピルエーテル中で結晶化し、真空圧下において70℃で乾燥させて、化合物25(81mg、65%)を得た。
【0101】
最終化合物26の合成:
【化45】

窒素下において、塩化オキサリル(0.22mL、2.55mmol)をCHCl(50mL)中のS−1の懸濁液に添加した。DMF(0.02mL)を滴下し(発熱)、この反応混合物を室温で3時間撹拌した。真空下において溶媒を除去した。粗物質Y−1を、直接次の工程で使用した。
【0102】
4−フェニルピペリジン(0.089g、0.549mmol)を、THF(8mL)中のY−1(0.099g、0.366mmol)の懸濁液に添加した。添加後、固形分は溶解し、色は褐黄色から紫色に変わった。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.188mL、1.098mmol)を添加し、反応混合物を還流にて一晩撹拌した。水およびEtOAcを添加した。水相を、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、真空下において溶媒を除去した。粗物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl、2%MeOH)により精製して、中間体Z−1を黄色油状物(66mg、46%)として得た。
【0103】
DME(8mL)/HO(2mL)中のZ−1(0.066g、0.167mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸(0.038g、0.25mmol)および炭酸ナトリウム(0.060g、0.566mmol)の懸濁液を、アルゴンで5分間フラッシュした。トランス−BIS(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物(6mg、8.6μmol)を添加し、懸濁液をアルゴンで5分間フラッシュした。反応混合物(懸濁液)を、60℃でアルゴン下において2時間撹拌した。HOおよびEtOAcを添加した。固形分を濾別した。層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。真空下において溶媒を除去した。物質を、CHClに溶解させた。水を添加し、混合物を一晩激しく撹拌した。層を分離した。水層をCHClで抽出した。合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥させた。真空下において溶媒を除去した。物質を、CHClと共蒸発させた。黄色油状物にEtOを添加した。物質が固化した。この懸濁液をEtO中で一晩撹拌した。固体を濾別し、EtOおよびHOで洗浄し、乾燥させて、最終化合物26(31%)を得た。
【0104】
最終化合物49の合成:
【化46】

CHCN(4mL)中のJ−1(100mg、0.289mmol)、KCO(80mg、0.57mmol)、プロパルギルブロミド(トルエン中80重量%溶液、39μL、0.35mmol)を、室温で一晩撹拌した。HOおよびCHClを添加し、有機相をデカントし、MgSO粉末上で完全に乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗化合物をシリカゲルカラム(15〜40μm、30g)上でのカラムクロマトグラフィーによりCHCl/MeOH/NHOH 97/3/0.5で精製して、CHCN/ジイソプロピルエーテル(18%)中での結晶化後に20mgの化合物49を得た。
【0105】
最終化合物55の合成:
【化47】

CHCl(4mL)中のJ−1(200mg、0.58mmol)、無水トリフルオロ酢酸(177μL、1.27mmol)、NEt(642μL、4.62mmol)を、室温で12時間撹拌した。この混合物をNaHCOの水溶液に注入し、CHClで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して、248mgの中間体Z−1を得た。粗化合物を、直接次の工程で使用した。
【0106】
流下、−70℃で、EtO(5mL)をAlCl(97mg、0.73mmol)に添加し、次いでこの混合物を0℃で10分間撹拌した。LiAlH(1.12mL、2.24mmol)を0℃で滴下し、この混合物を0℃で10分間撹拌した。THF(5mL)中のZ−1(248mg、0.56mmol)を滴下し、この混合物を0℃で1時間撹拌した。反応を氷でクエンチし、EtOAcを添加した。層をデカントした。有機層を水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗物を、シリカゲル(15〜40μm、30g)上でのカラムクロマトグラフィーによりCHCl/MeOH/NHOH 98/2/0.1で精製した。次いで、化合物を2−エチルピリジン 6μm 150×21.2mm上でのアキラル超臨界流体クロマトグラフィー(移動相92%CO、8%MeOH)により精製して、化合物55(45mg、19%)を得た。
【0107】
最終化合物56の合成:
【化48】

ジクロロメタン(3.6mL)中のJ−1(250mg、0.72mmol)の溶液に、室温で、2,2−ジフルオロエチルトリフレート(230mg、1.08mmol)を添加し続いてトリエチルアミン(0.36mL、2.16mmol、3当量)を添加した。次いで、この反応混合物を50℃で16時間撹拌し、水(5mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した(300mg)。次いで、粗化合物を、酢酸エチル(100%)を用いてシリカゲル上で精製して、所望の化合物56を、白色固体(200mg、67%収率)として得た。
【0108】
最終化合物57の合成:
【化49】

ジクロロメタン(3.6mL)中のJ−1(250mg、0.72mmol)の溶液に、室温で、A−2(247mg、1.08mmol)を添加し続いてトリエチルアミン(0.36mL、2.16mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を50℃で16時間撹拌し、水(5mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した(650mg)。次いで、粗化合物を、酢酸エチル/ジクロロメタン:70/30を用いてシリカゲル上で精製して、所望の化合物57を、白色固体(260mg、84%収率)として得た。
【0109】
最終化合物58の合成:
【化50】

ジクロロメタン(3mL)中のQ−1(200mg、0.58mmol)の溶液に、室温で、2,2,2−トリフルオロエチルトリフレート(0.13mL、0.88mmol)を添加し続いてトリエチルアミン(0.24mL、1.76mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を還流にて2時間撹拌した。Q−1の80%消費(LCMSによりモニタリングする)後に、反応混合物を水(5mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した(185mg)。次いで、粗化合物を、酢酸エチル/石油エーテル 50/50を用いてシリカゲル上で精製して、所望の化合物58を、白色固体(100mg、40%収率)として得た。
【0110】
最終化合物64の合成:
【化51】

アセトニトリル(8mL)中のN−1(800mg、2.0mmol)の撹拌溶液に、室温で2,2,2−トリフルオロアセトイミドアミド塩酸塩B−2(620mg、4.1mmol)を添加し続いてDBU(0.93mL、6.2mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を、密封試験管中で110℃で38時間加熱した。N−1の54%消費(LCMSによりモニタリングする)後に、反応混合物を室温まで冷却させ、ジクロロメタン(30mL)で希釈し、水(30mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いで、粗化合物を、石油エーテル/酢酸エチル 70/30を用いてシリカゲル上で精製して、所望の中間体C−2を、淡黄色固体(315mg、35%収率)として得た。
【0111】
ジクロロメタン(5mL)中のC−2(465mg、1.08mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1mL)を室温で添加した。次いで、この反応混合物を、室温で5時間撹拌した。C−2の完全な消費(TLCによりモニタリングする)後に、反応混合物を真空中で濃縮して残渣を得、これをジクロロメタン(30mL)中に取り、炭酸カリウムの飽和水溶液(30mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、所望の中間体D−2を淡黄色固体(340mg、94%収率)として得、これを何らのさらなる精製なしに次の工程で使用した。
【0112】
ジクロロエタン(13mL)中のD−2(340mg、1.02mmol)の溶液に、室温で、酢酸(0.19mL、4.59mmol)を添加し、続いて2,2−ジメチルプロパナール(0.33mL、3.07mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を室温で5時間撹拌した後に、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(867mg、4.08mmol)を添加した。反応混合物を、室温で48時間撹拌し、次いでジクロロメタン(30mL)で希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(30mL)で処理した。水層をジクロロメタン(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した(400mg)。次いで、粗化合物を、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム溶液(HO中33%):99/1/0.1を用いてシリカゲル上で精製して、所望の化合物64を、白色固体(260mg、63%収率)として得た。
【0113】
最終化合物70の合成:
【化52】

アセトニトリル(9.2mL)およびジクロロメタン(4.8mL)中のJ−1(800mg、2.3mmol)の撹拌溶液に、室温で、クロロアセトンE−2(0.27mL、3.45mmol)を添加し続いて炭酸カリウム(0.64g、4.6mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を、還流にて8時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、ジクロロメタン(30mL)で希釈し、水(30mL)で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、所望の中間体F−2を赤色油状物(930mg、100%収率)として得、これを何らのさらなる精製なしに次の工程で使用した。
【0114】
ジクロロメタン(115mL)中のF−2(930mg、2.3mmol)の溶液に、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)(0.57mL、6.9mmol)を−78℃で滴下した。次いで、この反応混合物を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、炭酸ナトリウムの飽和水溶液(50mL)で、0℃で処理した。この水性粗混合物を、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗化合物を、まずジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム溶液(HO中33%):99/1/0.1を用いてシリカゲル上で精製し、次いで別の精製を、ジクロロメタン/酢酸エチル:80/20を用いて行った。最後に残渣をペンタンで粉砕して、所望の化合物70を褐色のゴム状固体(60mg、6%)として得た。
【0115】
最終化合物89の合成:
【化53】

ジクロロメタン(20mL)中の中間体G−2(0.15g、0.38mmol)の混合物に、0℃でトリ−エチルアミン(0.12g、1.14mmol)を添加し続いて化合物I−2(0.053g、0.38mmol)を添加した。この反応混合物を、25℃でN下において15時間撹拌した。混合物を、ジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水で洗浄した。水層を、ジクロロメタンで逆抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させて、中間体I−2(0.16g、90%)を得た。
【0116】
ジクロロメタン(15mL)中の中間体I−2(0.16g、0.35mmol)の溶液に、m−CPBA(0.066g、0.38mmol)を0℃で少しずつ添加した。この混合物を、15℃で20時間撹拌した。固体を沈殿させ、セライトパッドを通して濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を高速液体クロマトグラフィーにより精製して、化合物89(16mg、12%)を得た。
【0117】
最終化合物91の合成:
【化54】

トリエチルシリルアセチレン(38mg、0.27mmol)を、マイクロ波容器中、DMF(3mL)中の化合物90(0.12g、0.18mmol)、Pd(PPh(21mg、0.018mmol)、トリ−エチルアミン(0.22g、2.16mmol)およびヨウ化銅(I)(3mg、0.011mmol)の溶液に、室温でN下において添加した。容器を蓋締めし、110℃で40分間照射した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(30mL)および水(10mL)で希釈した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、減圧下において溶媒を除去した。粗生成物を真空下で乾燥させ、直接次の工程で使用した。0.15gの粗中間体J−2を得た。
【0118】
乾燥THF(35mL)中の中間体J2(粗、0.18mmol)を、フッ化テトラブチルアンモニウムの溶液(THF中1M、7.5mL)に添加した。この混合物を、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、塩基性の分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:C18、溶離剤:CHCN/HO 97/3、0.05%NH.HO)により、粗生成物を直ちに精製した。所望の画分を回収し、減圧下において溶媒を除去した。真空下において生成物を乾燥させて、化合物91(10mg、13%)を得た。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
【表5】
【0124】
【表6】
【0125】
【表7】
【0126】
【表8】
【0127】
【表9】
【0128】
【表10】
【0129】
【表11】
【0130】
【表12】
【0131】
【表13】
【0132】
【表14】
【0133】
【表15】
【0134】
【表16】
【0135】
【表17】
【0136】
【表18】
【0137】
【表19】
【0138】
分析方法
全ての化合物をLC−MSにより特徴付けた。以下のLC−MS方法を使用した:
一般的手順NOVA(方法NOVAxについて)
HPLC測定を、脱気装置付きのクォータナリーポンプ、自動サンプル注入器、ダイオード−アレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるカラムを含む、HPLC 1100/1200(Agilent)システムを用いて実施した。カラムは室温で保持される。MS検出器(MS−Agilent単一四重極)は、エレクトロスプレー−APCIイオン化源を伴い構成された。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Chemstationデータシステムを用いて実施した。
【0139】
方法NOVA1:一般的手順NOVAに加えて:逆相HPLCを、0.42ml/分の流量で、Nucleosil C18カラム(3μm、3×150mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:水 TFA0.1%;移動相B:100%アセトニトリル)を使用して、98%Aを3分間、98%Aから12分で100%Bに至り、100%Bを5分間、次いで2分で98%Aに戻り、98%Aで6分間再平衡させる勾配条件を実施した。2μlの注入量を使用した。キャピラリー電圧を2kVとし、コロナ放電を1μAで保持し、源温度を250℃で維持した。フラグメンターには可変電圧を使用した。正モードでのエレクトロスプレーイオン化法およびAPCIで、100から1100amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0140】
方法NOVA2:一般的手順NOVAに加えて:逆相HPLCを、1ml/分の流量で、Agilent Eclipse C18カラム(5μm、4.6×150mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:水 TFA0.1%;移動相B:100%アセトニトリル)を使用して、98%Aを3分間、98%Aから12分で100%Bに至り、100%Bを5分間、次いで2分で98%Aに戻り、98%Aで6分間再平衡させる勾配条件を実施した。2μlの注入量を使用した。キャピラリー電圧を2kVとし、コロナ放電を1μAで保持し、源温度を250℃で維持した。フラグメンターには可変電圧を使用した。正モードでのエレクトロスプレーイオン化法およびAPCIで、80から1000amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0141】
方法NOVA3:一般的手順NOVAに加えて:逆相HPLCを、0.7ml/分の流量で、Phenomenex Gemini C18カラム(3μm、3×30mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:水 TFA0.1%;移動相B:100%アセトニトリル)を使用して、98%Aから2分で100%Bに至り、100%Bを0.5分間、次いで0.1分で98%Aに戻り、98%Aで2.4分間再平衡させる勾配条件を実施した。2μlの注入量を使用した。キャピラリー電圧を2kVとし、コロナ放電を1μAで保持し、源温度を250℃で維持した。フラグメンターには可変電圧を使用した。正モードでのエレクトロスプレーイオン化法およびAPCIで、80から1000amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0142】
一般的手順B(方法Bxxxxについて)
HPLC測定を、脱気装置付きのクォータナリーポンプ、自動サンプル注入器、ダイオード−アレイ検出器(DAD)、CLND検出器(Antek)および以下のそれぞれの方法において特定されるカラムを含む、HPLC Alliance 2695(Waters)システムを用いて実施した。カラムは40℃で保持される。MS検出器(ZQ−Waters単一四重極)は、エレクトロスプレーイオン化源を伴い構成された。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Masslynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0143】
方法B5301:一般的手順Bに加えて:逆相HPLCを、1.5ml/分の流量で、X−terra MS C18カラム(3.5μm、4.6×100mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:0.1%ギ酸を含む水:95/メタノール:5%;移動相B:100%メタノール)を使用して、100%Aから12分で5%A/95%Bに至り、1分で100%Aに戻る勾配条件を実施した。10μlの注入量を使用した。コーン電圧は、正および負の両方のイオン化について30Vとした。正モードでのエレクトロスプレーイオン化法およびAPCIで、100から1500amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0144】
方法B5501:一般的手順Bに加えて:逆相HPLCを、0.7ml/分の流量で、BEH C18カラム(1.7μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:メタノール、B:水中酢酸アンモニウム10mM:90%/アセトニトリル:10%)を使用して、5%A/95%Bから1.3分で95%A/5%Bに至り、0.2分間保持し、0.2分で5%A/95%Bに戻り、0.3分間保持する勾配条件を実施した。0.75mlの注入量を使用した。コーン電圧は、正および負の両方のイオン化について30Vとした。エレクトロスプレーイオン化法で、160から1000amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0145】
一般的手順VDR2(方法V300xV30xxについて)
LC測定を、脱気装置付きのバイナリ−ポンプ、自動サンプル注入器、ダイオード−アレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるカラムを含む、UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)Acquity(Waters)システムを用いて実施した。カラムは40℃の温度で保持される。カラムからの流れをMS検出器に導いた。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源を伴い構成された。キャピラリーニードル電圧を3kVとし、源温度をQuattro(Watersからのトリプル四重極質量分析器)上にて130℃で維持した。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0146】
方法V3007V3001:一般的手順VDR2に加えて:逆相UPLCを、0.35ml/分の流量で、Waters Acquity BEH(架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド)C18カラム(1.7μm、2.1×100mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:95%7mM酢酸アンモニウム/5%アセトニトリル;移動相B:100%アセトニトリル)を使用して、90%Aおよび10%B(0.5分間保持)から3.5分で8%Aおよび92%Bに至り、2分間保持し、0.5分で初期条件に戻り、1.5分間保持する勾配条件を実施した。2mlの注入量を使用した。コーン電圧は、正および負イオン化モードについて20Vとした。0.1秒のインタースキャンディレイを用いて、0.2秒で100から1000まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0147】
一般的手順Wuxi(方法WUXIxについて)
HPLC測定を、脱気装置付きのクォータナリーポンプ、自動サンプル注入器、ダイオード−アレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるカラムを含む、HPLC 1100/1200(Agilent)システムを用いて実施した。カラムは50℃で保持される。MS検出器(Agilent G1946Cまたは6110)は、エレクトロスプレーまたはAPCIイオン化源を伴い構成された。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Agilent Chemstationデータシステムを用いて実施した。
【0148】
方法WUXI1:一般的手順WUXIに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、YMC−PACK ODS−AQ C18カラム(5μm、2×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水;移動相B:0.05%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル)を使用して、100%Aから出発して、1分間保持し、4分で40%A/60%Bに至り、2.5分間保持し、次いで0.5分で100%Aに戻る勾配条件を実施した。2μlの注入量を使用した。キャピラリー電圧を正イオン化モードについては2.5kV、負イオン化モードについては3kVとし、APCIの場合はコロナ放電を4μAで保持し、源温度は200℃で維持した。フラグメンテーション電圧は、70Vとした。正モードでのエレクトロスプレーイオン化法またはAPCIで、100から1000amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0149】
方法WUXI2:一般的手順WUXIに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、YMC−PACK ODS−AQ C18カラム(5μm、2×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水;移動相B:0.05%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル)を使用して、90%A/10%Bから出発して、0.8分間保持し、3.7分で20%A/80%Bに至り、3分間保持し、次いで0.5分で初期条件に戻る勾配条件を実施した。キャピラリー電圧を正イオン化モードについては2.5kV、負イオン化モードについては3kVとし、APCIの場合はコロナ放電を4μAで保持し、源温度は200℃で維持した。フラグメンテーション電圧は、70Vとした。正モードでのエレクトロスプレーイオン化法またはAPCIで、100から1000amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0150】
方法WUXI3:一般的手順WUXIに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、YMC−PACK ODS−AQ C18カラム(5μm、2×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水;移動相B:0.05%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル)を使用して、70%A/30%Bから出発して、0.8分間保持し、3.2分で10%A/90%Bに至り、3.5分間保持し、次いで0.5分で初期条件に戻る勾配条件を実施した。キャピラリー電圧を正イオン化モードについては2.5kV、負イオン化モードについては3kVとし、APCIの場合はコロナ放電を4μAで保持し、源温度は200℃で維持した。フラグメンテーション電圧は、70Vとした。正モードでのエレクトロスプレーイオン化法またはAPCIで、100から1000amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0151】
方法WUXI4:一般的手順WUXIに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、Agilent TC−C18カラム(5μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水;移動相B:0.05%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル)を使用して、90%A/10%Bから出発して、0.8分間保持し、3.7分で20%A/80%Bに至り、3分間保持し、次いで2分で初期条件に戻る勾配条件を実施した。キャピラリー電圧を正イオン化モードについては2.5kV、負イオン化モードについては3kVとし、APCIの場合はコロナ放電を4μAで保持し、源温度は200℃で維持した。フラグメンテーション電圧は、70Vとした。正モードでのエレクトロスプレーイオン化法またはAPCIで、100から1000amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0152】
一般的手順Mercachem(方法MERCxについて)
HPLC測定を、脱気装置付きのクォータナリーポンプ、自動サンプル注入器、ダイオード−アレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるカラムを含む、HPLC 1100−SLまたは1200−SL(Agilent)システムを用いて実施した。MS検出器(Agilent MSD−SL)は、エレクトロスプレーイオン化源を伴い構成された。データ取得は、Agilent Chemstationデータシステムを用いて実施した。
【0153】
方法MERC20:一般的手順MERCに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、25℃で保持されたWaters X−Bridge C18カラム(3.5μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:10mMアンモニアを含むアセトニトリル;移動相B:10mMアンモニアを含む水)を使用して、2%Aから出発して、3.5分で98%A/2%Bに至り、2.5分間保持する勾配条件を実施した。正および負モードでのエレクトロスプレーイオン化法で、220から800amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0154】
方法MERC22:一般的手順MERCに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、25℃で保持されたWaters X−Bridge C18カラム(3.5μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:95%のメタノール/5%の水中10mM重炭酸アンモニウム;移動相B:水中10mM重炭酸アンモニウム)を使用して、10%Aから出発して、2.5分で98%A/2%Bに至り、3.5分間保持する勾配条件を実施した。正および負モードでのエレクトロスプレーイオン化法で、220から800amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0155】
方法MERC25:一般的手順MERCに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、25℃で保持されたGemini C18カラム(3μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:95%のアセトニトリル/5%の水中10mM重炭酸アンモニウム;移動相B:水中10mM重炭酸アンモニウム)を使用して、2%Aから出発して、3.5分で98%A/2%Bに至り、2.5分間保持する勾配条件を実施した。正および負モードでのエレクトロスプレーイオン化法で、100から800amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0156】
方法MERC26:一般的手順MERCに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、25℃で保持されたWaters X−Bridge C18カラム(3.5μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:アセトニトリル中0.1%ギ酸;移動相B:水中0.1%ギ酸)を使用して、2%Aから出発して、3.5分で98%A/2%Bに至り、2.5分間保持する勾配条件を実施した。正および負モードでのエレクトロスプレーイオン化法で、100から800amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0157】
方法MERC27:一般的手順MERCに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、25℃で保持されたWaters X−Bridge C18カラム(3.5μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:95%のアセトニトリル/5%の水中10mM重炭酸アンモニウム;移動相B:水中10mM重炭酸アンモニウム)を使用して、2%Aから出発して、3.5分で98%A/2%Bに至り、4.5分間保持する勾配条件を実施した。正および負モードでのエレクトロスプレーイオン化法で、100から800amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0158】
方法MERC28:一般的手順MERCに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、25℃で保持されたWaters X−Bridge C18カラム(3.5μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:95%のアセトニトリル/5%の水中10mM重炭酸アンモニウム;移動相B:水中10mM重炭酸アンモニウム)を使用して、2%Aから出発して、3.5分で98%A/2%Bに至り、2.5分間保持する勾配条件を実施した。正および負モードでのエレクトロスプレーイオン化法で、100から800amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0159】
方法MERC30:一般的手順MERCに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流量で、25℃で保持されたGemini C18カラム(3μm、2.1×50mm)で実施した。2つの移動相(移動相A:95%のアセトニトリル/5%の水中10mM重炭酸アンモニウム;移動相B:水中10mM重炭酸アンモニウム)を使用して、2%Aから出発して、3.5分で98%A/2%Bに至り、4.5分間保持する勾配条件を実施した。正および負モードでのエレクトロスプレーイオン化法で、100から800amuまで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0160】
最終化合物のHNMR分析
化合物6
H NMR(500MHz,DMSO−d)d 8.81(d,J=5.67Hz,2H),8.77(s,1H),8.31(d,J=5.67Hz,2H),7.46(t,J=7.88Hz,1H),7.07(d,J=7.88Hz,1H),6.98−7.04(m,2H),3.81(s,3H),2.79−2.89(m,3H),1.96−2.15(m,6H),1.66(d,J=11.98Hz,2H),0.86(s,9H)
【0161】
化合物55
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ8.74−8.85(m,3H),8.33(d,J=4.73Hz,2H),7.46(t,J=7.88Hz,1H),6.97−7.11(m,3H),3.82(s,3H),3.16(q,J=9.98Hz,2H),2.99(d,J=11.03Hz,2H),2.90(t,J=11.03Hz,1H),2.27(t,J=11.66Hz,2H),2.02(q,J=11.66Hz,2H),1.72(d,J=11.66Hz,2H)
【0162】
化合物58
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ8.86(d,J=5.31Hz,2H),8.67(s,1H),8.44(d,J=5.31Hz,2H),7.86(d,J=7.83Hz,1H),7.67−7.76(m,2H),7.64(d,J=7.83Hz,1H),3.02−3.17(m,4H),2.80(s,1H),2.37−2.47(m,2H),2.22−2.37(m,2H),1.75(d,J=13.39Hz,2H)
【0163】
化合物70
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ8.85(d,J=6.06Hz,2H),8.69(s,1H),8.41−8.46(m,2H),7.48(t,J=8.08Hz,1H),7.07(dd,J=2.02,8.08Hz,1H),6.96(d,J=7.33Hz,1H),6.90(s,1H),3.93(s,3H),3.03−3.14(m,2H),2.90−3.01(m,1H),2.73(t,J=13.64Hz,2H),2.18−2.32(m,4H),1.74(s,2H),1.62(br.s.,3H)
【0164】
化合物67
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ9.31(d,J=2.27Hz,1H),8.60(dd,J=2.27,8.59Hz,1H),8.43(s,1H),7.69(d,J=7.58Hz,1H),7.53−7.60(m,2H),7.45−7.52(m,1H),6.80(d,J=8.59Hz,1H),3.97(s,3H),2.80(d,J=6.82Hz,2H),2.57(br.s.,1H),2.01−2.16(m,4H),1.96(s,2H),1.49−1.58(m,2H),0.81(s,9H)
【0165】
化合物57
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.76−8.85(m,3H),8.29−8.37(m,2H),7.42−7.52(m,1H),6.97−7.12(m,3H),3.83(s,3H),3.02(d,J=11.12Hz,2H),2.89(t,J=11.10Hz,1H),2.44(s,2H),2.14−2.27(m,2H),1.94−2.12(m,2H),1.72(d,J=12.63Hz,2H),1.29(s,6H)
【0166】
化合物66
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ8.62(dd,J=5.81,8.84Hz,2H),8.57(s,1H),7.82(d,J=7.58Hz,1H),7.66−7.73(m,2H),7.61(s,1H),7.25(t,J=8.84Hz,2H),2.94(d,J=7.58Hz,2H),2.60−2.78(m,1H),2.13−2.31(m,4H),2.09(s,2H),1.64(d,J=8.34Hz,2H),0.95(s,9H)
【0167】
化合物65
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ8.73(d,J=8.34Hz,2H),8.63(s,1H),7.80−7.90(m,3H),7.66−7.74(m,2H),7.60−7.65(m,1H),2.94(d,J=6.57Hz,2H),2.65−2.79(m,1H),2.14−2.30(m,4H),2.09(s,2H),1.65(d,J=4.80Hz,2H),0.95(s,9H)
【0168】
化合物71
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ8.49−8.61(m,3H),7.41(t,J=8.03Hz,1H),7.17(t,J=8.03Hz,2H),7.00(dd,J=2.01,8.03Hz,1H),6.90(d,J=8.03Hz,1H),6.81−6.86(m,1H),3.87(s,3H),2.84−3.11(m,5H),2.16−2.42(m,4H),1.70(d,J=13.05Hz,2H)
【0169】
化合物39
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.73−8.90(m,3H),8.32(d,J=6.06Hz,2H),7.53−7.68(m,3H),7.40−7.50(m,1H),2.84(d,J=11.12Hz,2H),2.68−2.79(m,1H),1.92−2.17(m,6H),1.66(d,J=12.13Hz,2H),0.86(s,9H)
【0170】
化合物21
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.69−8.79(m,2H),8.36(s,1H),8.19−8.28(m,2H),7.34−7.48(m,1H),7.04−7.15(m,2H),6.97(dd,J=1.77,8.34Hz,1H),3.81(s,3H),3.36−3.40(m,3H),2.46(t,J=4.55Hz,3H),2.04(s,2H),1.23(br.s.,2H),0.83(s,9H)
【0171】
化合物40
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.75−8.96(m,3H),8.33(d,J=6.06Hz,2H),7.89(br.s.,2H),7.72−7.85(m,2H),2.84(d,J=9.35Hz,2H),2.63−2.77(m,1H),1.93−2.17(m,6H),1.56−1.78(m,2H),0.85(s,9H)
【0172】
以下の6つの化合物/実施例もまた、本明細書に記述される手順に従って調製した。
【化55】
【0173】
生物学的実施例
種々の細菌菌株に対する抗菌活性について化合物を試験するためのインビトロ方法
感受性試験のための細菌懸濁液の調製
以下の細菌、すなわち、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)ATCC 29213、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(MRSA)ATCC 700788およびエスケリキア・コリ(Escherichia coli)ATCC 35218を使用した。本調査で使用する細菌を、滅菌脱イオン水中の100mlのMueller−Hintonブロス(Difco カタログ番号0757−17)を含有するフラスコ中で、振盪しながら37℃で一晩培養した。ストックを、使用まで−70℃で保管した。
【0174】
細菌を、5%のヒツジ血液(Becton Dickinson カタログ番号254053)を含有するトリプシンダイズ寒天プレート上で、18〜24時間、35℃で、好気性条件においてインキュベートした(第1継代)。第2継代については、新しいMueller−Hintonブロスを、5〜10コロニーと共にインキュベートし、好気性条件での混濁(対数期に達している)に達するまで、35℃で一晩培養する。次いで、この細菌懸濁液を、0.5マクファーランド密度に調整し、Mueller Hintonブロス培地で1:100にさらに希釈する。これを接種材料として使用する。
【0175】
抗菌感受性試験:IC90測定
MICアッセイを、微量液体希釈法(broth microdilution method)により、化合物の2倍連続希釈物を含有し、かつ5×105CFU/mlの細菌(CLSIガイドラインに従う標準的な接種材料サイズ)が接種された、最終体積0.1mlのMueller Hintonブロスを含む96ウェルフォーマット(平底マイクロタイタープレート)において行った。阻害剤は、典型的に、63〜0.49μMの範囲にわたって変化させる。このアッセイにおける最終DMSO濃度は、1.25%(最大許容DMSO濃度=6%)であった。S.アウレウス(S.aureus)に対する化合物の活性に及ぼすヒト血清の影響を試験したこのアッセイにおいて、10%の最終濃度でヒト血清を添加した。プレートを、35℃で16〜20時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、細菌増殖を蛍光測定により定量化した。このために、全てのウェルにレサズリンを添加し、プレートを再度インキュベートした。インキュベーション時間は細菌の種類によって決まる。青色から桃色への色の変化により、細菌の増殖が示された。コンピュータ制御された蛍光光度計(Fluoroskan Ascent FL,Labsystems)で、励起波長540nmおよび放射波長590nmにおいて蛍光を読み取った。化合物により達成された%増殖阻害を、標準的な方法に従って計算した。IC90(μg/mlで表される)は、細菌増殖についての90%阻害濃度と定義した。QC承認のために、参照化合物の一団を同時に試験した。
【0176】
細胞毒性アッセイ
化合物の細胞毒性を、MTTアッセイを用いて評価した。96ウェルプレートで培養したヒトHelaM細胞を、試験化合物の連続希釈物(最終体積0.2ml)に曝露し、72時間、37℃および5%CO2でインキュベートした。阻害剤は、典型的に、25〜0.8μMの範囲にわたって変化させる。このアッセイにおける最終DMSO濃度は、0.5%である。MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド、テトラゾール)を添加すると、これは生細胞においてのみ紫色のホルマザンに還元された。100μlの2−プロパノールを添加することにより、ホルマザン結晶の可溶化を達成した。細胞生存能力を、紫色を呈している還元されたホルマザンの吸光度を540nmおよび690nmにおいて測定することにより決定した。非特異的吸収の影響を排除するために、690nmにおいて測定された吸光度が、540nmにおける吸光度から自動的に差し引かれた。化合物により達成されたパーセント細胞毒性を、標準的な方法に従って計算した。細胞毒性を、CC50、すなわち、細胞生存能力の50%減少を引き起こす濃度として報告する。
【0177】
マイクロプレート中でのECO/PAE/STAに対する化合物のMIC測定についてのプロトコル
・一晩培養したプレートの4〜5コロニーを5mlのMueller Hinton培地に添加する。
・3〜6時間、37℃にて、シェーカーインキュベーター(300rpm)中でインキュベートする。
・600nmにおいてODを測定する(OD600=1−→109CFU/ml)。
・細菌を105CFU/mlになるまで培地で希釈する。
・マイクロプレートにおいて100μlのMueller Hinton培地で2倍希釈物を調製する(最終濃度64〜0.125μg/ml)。
・100μlの細菌希釈物を各ウェルに添加する。
・18〜20時間37℃でインキュベートする。
・コントロールと比較して増殖を視覚的に調べる。
MICは、増殖なしの最低濃度(90%増殖阻害)である。
【0178】
生物学的結果
実施例/本発明の化合物が、上で説明された抗菌感受性アッセイおよび/または細胞毒性アッセイにおいて試験される/された。実施例/本発明の化合物は、50μg/mL未満(例えば、15μg/mL未満)のIC90値、50μg/mL未満(例えば、15μg/mL未満)のCC50値および/または10μg/mL未満(例えば、1μg/mL未満)のMIC90を、それぞれのアッセイにおいて示すことが見出される/された。特定の化合物は、10μg/mL未満(例えば、1μg/mL未満)のIC90値、または10μg/mL未満(例えば、5μg/mL未満)のCC50値および/または0.5μg/mL未満のMIC90値を、それぞれのアッセイにおいて示した。
【0179】
特定の化合物は、商業的に利用可能な供給元(例えば、CHEMBRIDGE)から入手可能であり得る。
【0180】
【表20】
【0181】
【表21】
【0182】
【表22】
【0183】
【表23】
【0184】
【表24】
【0185】
【表25】
【0186】
【表26】
【0187】
【表27】
【0188】
【表28】
【0189】
【表29】
【0190】
【表30】
【0191】
【表31】
【0192】
【表32】
【0193】
【表33】
【0194】
【表34】
【0195】
【表35】
【0196】
【表36】
【0197】
【表37】
【0198】
【表38】
【0199】
【表39】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
医薬としての使用のための式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、式Iは:
【化56】
[式中:
Yは:
(i)
【化57】
(ii)−CF
(iii)−N(C1〜6アルキル)(例えば、−N(CH);または
(iv)C3〜6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)
を表し;
、N、N、NおよびNは、独立して、−N=または−C(H)=を表すが、但し、ここで、N、N、N、NおよびNのうちの最大3個のみが、−N=を表し得;
nは、0、1または2を表し(但し、好ましくは0を表す);
およびXは、独立して、−N−または−C(H)−を表し;
が−N−を表す場合は、Qは、直接結合、−C(O)−または−S(O)−を表し;
が−C(H)−を表す場合は、Qは、直接結合または−N(R)−を表し;
は、水素またはC1〜6アルキルを表し;
は、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、各々、それぞれAおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
、Ry1およびRy2は、独立して、水素、ハロ、−CN、−OR10、−N(R11)(R12)またはC1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表し;
、A、AおよびAは、独立して、ハロ、−CN、−OR、−S(O)0〜21〜3アルキル、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、ヘテロシクロアルキル(C1〜3アルキルおよびハロから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、それぞれBおよびBから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
各RおよびR10は、独立して、水素、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、ハロ、C1〜3アルキルおよび−O−C1〜3アルキルから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
11およびR12は、独立して、水素またはC1〜6アルキルを表し;
およびBは、独立して、ハロ(例えば、クロロまたはフルオロ)、−CN、C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)、−OHまたは−O−C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表す]を表し、但し、前記化合物は、
【化58】
ではないことを条件とする、化合物またはその薬学的に受容可能な塩。
[2]
医薬としての使用のための式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、式Iは:
【化59】
[式中:
Yは:
(i)
【化60】
(ii)−CF;または
(iii)C3〜6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)
を表し;
、N、N、NおよびNは、独立して、−N=または−C(H)=を表すが、但し、ここで、N、N、N、NおよびNのうちの最大3個のみが、−N=を表し得;
nは、0、1または2を表し(但し、好ましくは0を表す);
およびXは、独立して、−N−または−C(H)−を表し;
が−N−を表す場合、Qは、直接結合、−C(O)−または−S(O)−を表し;
が−C(H)−を表す場合は、Qは、直接結合または−N(R)−を表し;
は、水素またはC1〜6アルキルを表し;
は、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、各々、それぞれAおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
、Ry1およびRy2は、独立して、水素、ハロ、−CN、−OR10、−N(R11)(R12)またはC1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表し;
、A、AおよびAは、独立して、ハロ、−CN、−OR、−S(O)0〜21〜3アルキル、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、ヘテロシクロアルキル(C1〜3アルキルおよびハロから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、それぞれBおよびBから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
各RおよびR10は、独立して、水素、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、ハロ、C1〜3アルキルおよび−O−C1〜3アルキルから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
11およびR12は、独立して、水素またはC1〜6アルキルを表し;
およびBは、独立して、ハロ(例えば、クロロまたはフルオロ)、−CN、C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)、−OHまたは−O−C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表す]を表す、化合物またはその薬学的に受容可能な塩。
[3]
[1]または[2]に記載の使用のための化合物であって、式Iの以下の部分構造:
【化61】
が、式中、好ましくは:
、N、N、NおよびNのうちの0個、1個または2個(好ましくは0個または1個、例えば、NもしくはN)が−N=を表し、かつその他のものが−C(H)=を表し;
、N、N、NおよびNのうちの2個が−N=を表す場合は、それは、好ましくは、NおよびNであり(したがって5−ピリミジニル基を形成している);
nが、0、1または2を表し(但し、好ましくは0または1を表す);
(これは、N/N/Nが−C(H)=を表す場合を含むフェニル環の炭素原子のうちの任意のものの上に存在し得る)が、ハロ(例えば、フルオロ)、−CN、−OC1〜3アルキル(例えば、−OCH)を表す
ものであり;
最も好ましくは、上記の部分構造が、Aから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている(例えば、非置換であるかまたは1個の置換基で置換されている)、ピリミジニル、または好ましくはフェニル、またはより好ましくはピリジル(好ましくは、3−または4−ピリジル)を表す、
化合物。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載の使用のための化合物であって:
が、ハロ(例えば、フルオロ)、−CN、C1〜6アルキル(例えば、C3〜6シクロアルキル)、アリール(Bから選択される1個以上(例えば、1個)の置換基により任意選択で置換されている)、ヘテロアリール(Bから選択される1個以上(例えば、1個)の置換基により任意選択で置換されている)または−ORを表し;
がアリールを表す場合は、それは、好ましくは、Bから選択される1個以上(例えば、1個)の置換基により任意選択で置換されているフェニルであり;
が1個以上(例えば、1個)のB置換基により置換されているアリールを表す場合は、フェニル基のメタ位に位置する少なくとも1個(例えば、1個)の置換基が存在し;
が任意選択で置換されているヘテロアリールを表す場合は、それは、好ましくは、窒素、硫黄および酸素(例えば、硫黄および/または酸素)から好ましくは選択される1個、2個または3個(例えば、1個)のヘテロ原子を好ましくは含有する5員または6員のヘテロアリール基であり、したがって、例えばチエニル(例えば、2−チエニルまたは3−チエニル)基またはフラニル(例えば、2−フラニル)基を形成しており;
が任意選択で置換されているヘテロアリールを表す場合は、それは、Bから選択される1個または2個(例えば、1個)の置換基により任意選択で置換されている、化合物。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の使用のための化合物であって:
が、ハロ(例えば、フルオロまたはクロロ)、−CN、−OHまたはC1〜3アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されており、したがって、例えば−CF基を形成している)を表し;
が、好ましくはC1〜4アルキル(例えば、C1〜2アルキル(例えば、メチル))を表し;
が、アリール(例えば、非置換フェニル)を表し;
が−N(R)−を表す場合、Rは、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し、したがって、例えば−C(O)−C(H)(CH)−O−フェニルを形成しており、
が、水素を表し;
が直接結合または−C(O)−を表す場合、Rは、好ましくは:
=Oおよび/またはAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されておりかつ1個以上(例えば、1個)の二重結合を任意選択で含有している(したがってC2〜6アルケニル基を形成している)C1〜6アルキル(例えば、非環式C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキル)を表すか;または
は、Aから選択される1個以上(例えば、1個または2個)の置換基により任意選択で置換されているアリール(例えば、フェニル)を表し、したがって、例えば非置換フェニルのために形成している、
化合物。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の使用のための化合物であって:
10が、C1〜4アルキル(例えば、C1〜2アルキル(例えば、メチル))を表し;
11およびR12が、独立して、水素、または好ましくはC1〜3アルキル(例えば、メチル)を表し;
、Ry1およびRy2の全てが水素を表すか、またはより好ましくは、R、Ry1およびRy2のうちの少なくとも1個(好ましくはR)が水素以外の置換基を表しかつその他のもの(好ましくはRy1およびRy2)が水素を表し(すなわち、好ましくは1個の置換基が、フェニル環上に、好ましくはメタ位で存在する);
が、水素、または好ましくは、ハロ(例えば、クロロ)、−OCH、−N(CH、−CN、またはC1〜3アルキル(例えば、−CH)であって1個以上のフルオロ原子により任意選択で置換されているもの(例えば、−CF)を表し、最も好ましくは、Rが、−OCHを表し;
y1が、水素を表すか、またはRが水素を表す場合は−OCHおよびC1〜3アルキル(例えば、メチル)から選択される置換基を表し得;
y2が、水素を表すか、またはRおよびRy1が水素を表す場合はハロ(例えば、フルオロ)およびC1〜3アルキル(例えば、メチル)から選択される置換基を表し得;
が、水素を表し;
が、ハロ(例えば、クロロ)または−OR(例えば、−OH)を表す、
化合物。
[7]
[1]または[2]に記載の使用のための化合物であって、Yが:
【化62】
である、化合物。
[8]
[1]、[2]または[7]のいずれかに記載の使用のための化合物であって:
が、−N−を表し、かつQが、直接結合を表す、
化合物。
[9]
[1]、[2]、[7]または[8]のいずれかに記載の使用のための化合物であって:
が、C1〜6アルキル(=OまたはAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表す、
化合物。
[10]
前記化合物が:
【化63】
またはその薬学的に受容可能な塩である、[1]または[2]に記載の使用のための化合物。
[11]
前記使用が、細菌感染症の処置(例えば、選択的処置)におけるものである、[1]〜[10]のいずれかに記載の使用のための化合物。
[12]
前記細菌感染症が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)により引き起こされるものである、[11]に記載の使用のための化合物。
[13]
薬学的に受容可能なキャリアと、有効成分として治療有効量の[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物とを含む薬学的組成物。
[14]
細菌感染症の処置(例えば、選択的処置)のための医薬の製造のための[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物の使用であって、例えば、前記細菌感染症がスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)により引き起こされるものである、使用。
[15]
細菌感染症の処置の方法であって、前記方法が、治療有効量の[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物の投与を含む、方法。
[16]
前記細菌感染症が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)により引き起こされるものである、[15]に記載の方法。
[17]
式Iの化合物:
【化64】
[但し、式中:
Yは:
【化65】
を表し;
、N、N、NおよびNのうちの0個または1個(好ましくは1個、例えば、NまたはN)が−N=を表し、かつその他のものは−C(H)=を表し;
nは、0または1を表し;
およびXは、独立して、−N−または−C(H)−を表し;
が−N−を表す場合は、Qは、直接結合を表し;
が−C(H)−を表す場合は、Qは、直接結合または−N(R)−を表し;
は、水素またはC1〜6アルキルを表し;
は、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、各々、それぞれAおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
、Ry1およびRy2は、独立して、水素、ハロ、−CN、−OR10、−N(R11)(R12)またはC1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表し;
、A、AおよびAは、独立して、ハロ、−CN、−OR、−S(O)0〜21〜3アルキル、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、ヘテロシクロアルキル(C1〜3アルキルおよびハロから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、それぞれBおよびBから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
各RおよびR10は、独立して、水素、C1〜6アルキル(1個以上のハロ置換基により任意選択で置換されている)、アリールまたはヘテロアリール(この後の2つの基は、ハロ、C1〜3アルキルおよび−O−C1〜3アルキルから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
11およびR12は、独立して、水素またはC1〜6アルキルを表し;
およびBは、独立して、ハロ(例えば、クロロまたはフルオロ)、−CN、C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)、−OHまたは−O−C1〜6アルキル(1個以上のハロ(例えば、フルオロ)原子により任意選択で置換されている)を表す]またはその薬学的に受容可能な塩であり、但し、前記化合物は、
【化66】
ではないことを条件とする、化合物またはその薬学的に受容可能な塩。
[18]
[17]に記載の化合物であって:
が、−N−を表し;
が、−C(H)−を表し;
が、C1〜6アルキル(=OおよびAから選択される1個以上の置換基により任意選択で置換されている)を表し;
(これは、好ましくはフェニル環の炭素原子上に存在し、好ましくはパラ位にある)が、ハロ(例えば、フルオロ)、−CNまたは−OC1〜3アルキル(例えば、−OCH)を表し;
が、ハロ(例えば、フルオロ)、−CN、C1〜6アルキルまたは−ORを表し;
、Ry1およびRy2の全てが水素を表すか、またはより好ましくは、R、Ry1およびRy2のうちの少なくとも1個(好ましくはR)が水素以外の置換基を表しかつその他のもの(好ましくはRy1およびRy2)が水素を表し(すなわち、好ましくは1個の置換基が、フェニル環上に、好ましくはメタ位で存在する);
が水素以外である場合は、これは、好ましくは、ハロ(例えば、クロロ)、−OCHまたは−CNを表し;かつ/または
が、水素を表す、
化合物。
[19]
[17]に記載の化合物であって、前記化合物が:
【化67】
またはその薬学的に受容可能な塩である、化合物。
[20]
(a)[1]〜[10]、[17]、[18]または[19]のいずれかに記載の化合物と、(b)1種以上の他の抗菌剤との組み合わせ。
[21]
細菌感染症の処置(例えば、選択的処置)における同時、別個または逐次的使用のための組み合わせ製剤として、(a)[1]〜[10]、[17]、[18]または[19]のいずれかに記載の化合物と、(b)1種以上の他の抗菌剤とを含有する製品。
[22]
(該当する場合に)Yが前記N〜N含有環を表す[1]、[2]、[17]、[18]または19]に記載の式Iの化合物の調製のための方法であって、前記方法は、
(i)Xが−N−を表す式Iの化合物については、式IIの化合物
【化68】
[式中、N、N、N、N、N、X、R、Ry1、Ry2、Aおよびnは、[1]で定義されたとおりである]と:
(a)式IIIの化合物
−Q−R III
[式中、Lは、好適な脱離基を表す]との反応;
(b)Qが直接結合を表しかつRが−CH−Rxx部分(ここで、集合的に、この基は前記R部分を表す)を有するQに結合された基を表す式Iの化合物については、式IVの化合物
O=C(H)(Rxx) IV
[式中、Rxxは、前記R部分の一部を表す(Rは[1]で定義されている)]
との反応;
(ii)Xが−N−を表すところのXに前記必須のピリミジンが結合されている式Iの化合物については、式Vの化合物
【化69】
[式中、Lは、好適な脱離基を表す]と、式VIの化合物
【化70】
[式中、X、QおよびRは、[1]で定義されたとおりである]との反応;
(iii)−CH−部分が存在する化合物については、−C(O)−部分が存在する対応する化合物の還元;
(iv)式VIIの化合物
【化71】
[式中、Lは、好適な脱離基を表し、整数R、Ry1、Ry2、Q、R、XおよびXは、[1]で定義されたとおりである]と、式VIIIの化合物
【化72】
またはその誘導体[式中、整数N、N、N、N、N、Aおよびnは、上で定義されたとおりである]との反応;
(v)−C(F)−部分を含有する化合物については、適切な「フッ化物」試薬との反応による、−C(O)−部分を含有する対応する化合物の反応
を含む、方法。