(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面にもとづいて説明する。まず、以下の3種の竪樋支持具1の基本構成について説明する。
【0012】
本実施形態に係る竪樋支持具1は、帯板を開閉自在に環状に加工してなる竪樋抱持用の樋支持具本体20と
、壁面に固定される取付足部10とを備えている。樋支持具本体20は、取付足部10の前端部11に揺動自在に連結されている。樋支持具本体20の平面視における相対向する部位について、その一方部では帯板の幅方向の上部に内向きの突部21aが形成され、他方部では帯板の幅方向の下部に内向きの突部25aが形成されている(
図1、
図4および
図5参照)。
【0013】
以下に、この竪樋支持具1の3実施形態について詳細に説明する。まず、
図1〜
図3に示した竪樋支持具1について説明する。
図1(a)(b)は竪樋支持具1の平面図であり、
図1(a)は樋支持具本体20が開いた状態、
図1(b)は閉じた状態の各平面図である。
図1(c)は、竪樋支持具1の側面図である。
図2(a)は
図1(b)の
B−B線に対応した拡大断面図、
図2(b)は同
A−A線に対応した拡大断面図である。
図3(a)(b)は、同竪樋支持具1の2使用態様例を示す側面図である。
【0014】
この竪樋支持具1は、円筒状の竪樋3を抱持して支持する樋支持具本体20と、
壁面5に固定される取付足部10とを連結して構成されている。取付足部10は後端に尖端部12を有した円柱棒状体とされ、壁面5に打ち込んで固定されるようになっている。なお、周面に記された複数の線は打込み深さの程度を測るための目印線13である。
【0015】
樋支持具本体20は、2つの円弧形状の湾曲帯板を、回動して閉じたときに竪樋3に対応した円形となるようにヒンジ結合してなる。一方の湾曲帯板は抱持基部21とされ、その中央部が取付足部10の前端部11に連結されている。抱持基部21の一端がヒンジ部21bとされ、他端が樋支持具本体20を閉止状態とするために他方の湾曲帯板と係止するための係止受部21cとされる。他方の湾曲帯板は蓋部25であり、蓋部25の一端がヒンジ部25bとされ、他端が抱持基部21の係止受部21cに係止する係止部25cとされる。なお、抱持基部21および蓋部25のいずれにもリブ21e、25eが形成されている。
【0016】
係止部25cは帯板の幅方向に並ぶ2つの開口25dを有しており、係止受部21cは開口25dに対応するように並ぶ2つの突起21dを有している。つまり、抱持基部21と蓋部25とを、
図1(a)に示すように開状態にして抱持基部21で竪樋3を抱持し、
図1(b)に示すように蓋部25を閉じ、その状態で係止部25c(開口25d)を係止受部21c(突起21d)に引っ掛けることで竪樋3は抱持固定された状態となる。なお、抱持固定の詳細な状態については
図3の説明において後述する。
【0017】
また樋支持具本体20には、抱持基部21の取付足部10との連結部22と、この連結部22の円中心を中心とする対向側に位置する蓋部25の円弧の略中央部とのそれぞれには、内側を向いた鋸刃状の突部21a、25aが形成されている。
【0018】
抱持基部21(連結部22)の突部21aは、
図2(a)に示すように帯板の幅方向の上部に形成され、蓋部25の突部25aは、
図2(b)に示すように帯板の幅方向の下部に形成されている。
【0019】
取付足部10と樋支持具本体20との連結はリベット30のかしめによりなされている。ただし、樋支持具本体20は取付足部10に対して固定状態ではなく、弛みのある連結状態であり、取付足部10の前端部11に対して揺動自在となっている。竪樋支持具1をたとえば
図1(c)のように壁面5に取りつければ、2点鎖線で示すように樋支持具本体20の前端部27が重力に従い下方に垂れて側面視で傾斜状態となる。なお、このような連結構造であるため、樋支持具本体20は前端部27側が上下に揺動するだけではなく、左右においても上下に揺動する。
【0020】
このように、樋支持具本体20の前端部27が垂れるので、
図3に示すように竪樋3を壁面5に平行に配設する場合、抱持される竪樋3の径によっては、たとえば
図3(a)のように樋支持具本体20が竪樋3の長手方向に直交する方向に配されることがあるが、竪樋3の径D2が
図3(a)に示した竪樋の径D1よりも小さい場合には、樋支持具本体20は前端部27が垂れて傾斜し、竪樋3の長手方向に直交する方向に配されないこともある。
【0021】
図3(a)(b)のいずれの場合も、前後の突部25a、21aは竪樋3の表面に当接するため、竪樋3が施工された後には樋支持具本体20は揺動することはない。竪樋支持具1は複数の高さ位置に配されるが、それらはいずれもこのような突部21a、25aが竪樋3に当接した状態となるため、樋支持具本体20は揺動することなく、竪樋3はそれらの竪樋支持具1にしっかりと支持される。また、竪樋3は通例では軒樋(不図示)、地面(不図示)間に上下にずれないように配設されているため、樋支持具本体20が竪樋3の上下のずれに起因して揺動するおそれもほとんどない。なお、樋支持具本体20のずれ動かないように、樋支持具本体20の前端部27の上方に開口した、帯板と竪樋3との間にできた隙間に詰め物を入れてもよい。
【0022】
このように、この竪樋支持具1によれば、竪樋3の寸法誤差を吸収できるとともに、誤差範囲内の寸法であればどのような寸法であっても取りつけ、取り外しがしにくくなることを防止することができる。
【0023】
なお、樋支持具本体20で竪樋3を抱持した後に、樋支持具本体20が揺れ動くことがないように、樋支持具本体20を取付足部10に対して種々の手段で固定(ロック)するようにしてもよい。
【0024】
また、本実施形態のものは連結部22の突部21aは上部に、前端部27の突部25aは下部に形成されているが、竪樋支持具1を天地の区別なく利用できるようにするために、突部21a、突部25aのそれぞれが上下両方に形成されたものとしてもよい。なお、天地を間違えないようにするために、樋支持具本体20の上方への揺動ができない構造としてもよい。
【0025】
つぎに、
図4に示した竪樋支持具1について説明する。
図4(a)は竪樋支持具1の閉じた状態の平面図、
図4(b)は、取付足部10と樋支持具本体20との連結構造の部分拡大斜視図である。
【0026】
この竪樋支持具1の樋支持具本体20は、
図1のものと同様、開閉自在とされるが、連結部22は、抱持基部21の一方の端部に設けた挟持片21fと、蓋部25の一方の端部に設けた挟持片25fとで、取付足部10の板状とされた前端部11を挟持してボルト31、ナット32止めする構造となっている。両挟持片21f、25fは後方に折曲されており、それぞれにボルト挿通孔21fa、25faが開設され、取付足部10の前端部11にもボルト挿通孔11aが開設されている。
【0027】
また、本竪樋支持具1における樋支持具本体20のヒンジ構造については
図1のものと同様である。ようするに、この竪樋支持具1は、抱持基部21に対する蓋部25の開閉・固定構造と、取付足部10に対する樋支持具本体20の連結構造とが共通化されている。
【0028】
この樋支持具本体20の前端部27には、
図1のものと同様、蓋部25の下部に突部25aが形成されている。一方、連結部22の上部には、抱持基部21と蓋部25とに分離された突部21a、25gが形成されている。これらの突部21a、21gは、両挟持片21f、25fが取付足部10の前端部11を挟持した状態で隣どうしに並び、1つの突部を構成する。なお、連結部22の突部を、分離された2つの突部21f、25fではなく、1つの突部で構成してもよい。
【0029】
この竪樋支持具1も
図1のものと同様、
図3に示したように、竪樋3の径によっては前端部27が垂れ下がり、前の突部25aと、後ろの突部21a、25gとで竪樋3を固定することができる。つまり、
図1と同様、前端部27が上下に揺動する構成となっているため、竪樋3の寸法誤差を吸収することができる。
【0030】
また、樋支持具本体20と取付足部10との連結構造がボルト31とナット32によるものであるため、竪樋3を取りつけるときにボルト31を弛めておけば作業しやすく、取りつけた後に、ボルト31、ナット32をしっかりと螺合、固定すればよい。
【0031】
なお、
図4に示した竪樋支持具1における
図1のものと同様の構造等については、同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0032】
ついで、
図5に示した竪樋支持具1について説明する。
図5(a)は竪樋支持具1の閉じた状態の平面図、
図5(b)はこの竪樋支持具1で竪樋3を支持した状態の正面図(
図5(a)の方向Cより見た図)である。
【0033】
この竪樋支持具1の樋支持具本体20も、
図1のものと同様、開閉自在とされるが、連結部22は抱持基部21の一方の端部側に形成されている。樋支持具本体20は、その連結部22で取付足部10に連結され、竪樋支持具1の(樋支持具本体20)の前端部27において、蓋部25の係止部25cと抱持基部21の係止受部21cとが係止する形状となっている。
【0034】
また、抱持基部21の中央部には鋸刃状の突部21aが帯板の幅方向の上部に形成され、蓋部25には、抱持基部21の突部21aに、円中心を中心として対向するように鋸刃状の突部25aが帯板の幅方向の下部に形成されている。つまり方向Cより見た場合、
図5(b)に示すように、抱持基部21の突部21aは右に、蓋部25の突部25aは左に位置する。
【0035】
樋支持具本体20の係止構造、ヒンジ構造、樋支持具本体20、取付足部10間の連結構造および取付足部10の形状については
図1のものと同様であり、同一の符号を付して、その説明は省略する。樋支持具本体20、取付足部10間の連結構造は
図1のものと同様であるから、樋支持具本体20の左右においても上下に揺動する。そのため、
図5(b)に示すように、蓋部25側(左)を下方に移動させ、抱持基部21側(右)を上方に移動させた状態で竪樋3を抱持すれば、それぞれの突部25a、21aが竪樋3の表面に当接し、竪樋3は竪樋支持具1により支持された状態となる。
【0036】
本実施形態の竪樋支持具1についても突部21a、25aを有しているため、
図1のものと同様の効果が奏せられる。また、この竪樋支持具1は天地を区別なく利用できるので、作業性がよい。
【0037】
なお、本竪樋支持具1は樋支持具本体20の左右の上下揺動を利用するものであるから、施工後でも不安定となるおそれがある。そのため、樋支持具本体20の蓋部25側にできた、上方に開口した隙間に詰め物を入れて揺動を禁止するようにしてもよい。また、樋支持具本体20を取付足部10に対して種々の手段で固定(ロック)するようにしてもよい。
【0038】
図1、
図5の実施形態のものは、樋支持具本体20の取付足部10との連結部22は弛みがあるようにリベット30をかしめて連結する構造となっているが、これに代えてユニバーサルジョイント構造の連結構造としてもよい。そのようにすれば、ある程度硬めの連結構造とすることができ、その結果、施工後に風や竪樋3への接触などにより樋支持具本体20が揺動することを防止することができる。特に、
図5に示した竪樋支持具1は施工後でも不安定となりやすいから、硬めの連結構造を採用することが望ましい。また、リベット30連結構造に代えて、
図4に示したボルト31、ナット32止めの構造としてもよい。
【0039】
なお、以上には丸樋を支持する竪樋支持具1を例示したが、角樋を支持する竪樋支持具についても、上記と同様の突部21a、25aで竪樋3を支持する構造を適用できることは言うまでもない。また以上には、取付足部10として、尖端部12で打ち込み固定するものを例示したが、これには限定されず、他の種々の固定構造のものであってもよい。