特許第6349375号(P6349375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349375
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】竪樋支持具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
   E04D13/08 311J
   E04D13/08 311C
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-231032(P2016-231032)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-87442(P2018-87442A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−134624(JP,U)
【文献】 特許第5990807(JP,B1)
【文献】 特開2011−006900(JP,A)
【文献】 実開昭57−147923(JP,U)
【文献】 実開昭52−086829(JP,U)
【文献】 特開平08−312081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/08
F16L 3/00−3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板を開閉自在に環状に加工してなる竪樋抱持用の樋支持具本体と、壁面に固定される取付足部とを備えた竪樋支持具において、
前記樋支持具本体は、前記取付足部の前端部に揺動自在に連結されており、
前記樋支持具本体の平面視における相対向する部位について、その一方部では前記帯板の幅方向の上部に内向きの突部が形成され、他方部では前記帯板の幅方向の下部に内向きの突部が形成されており、
前記一方部が前記樋支持具本体の取付足部との連結部とされ、前記他方部が該連結部の対向側とされ、
前記樋支持具本体は、側面視において、抱持する竪樋の長手方向に対する非直交方向に、前記他方部側が下方に垂れるように配され得ることを特徴とする竪樋支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯板を開閉自在に環状に加工してなる竪樋抱持用の樋支持具本体と、壁面に固定される取付足部とを備えた竪樋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
竪樋支持具は、抱持対象の竪樋の大きさ(丸樋であれば径)に合致した寸法の樋支持具本体を有している。通例では、メーカーによる竪樋の寸法誤差を吸収できるようにするために、樋支持具本体の内面に竪樋を押圧する凸部が形成してある(たとえば、特許文献1参照)。これにより、想定した寸法より少し小さめの径の竪樋でも、少し大きめの径の竪樋でも問題なく抱持することができる。特に凸部にばね性があれば、竪樋を押圧しすぎることなく、よって竪樋の一部に負荷がかかりすぎるおそれもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−270563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、小さめの径の竪樋でも樋支持具本体にずれなく抱持させなければならないから樋支持具本体はそれに応じた寸法となり、そのため大きめの径のものに取りつける場合、取りつけがしにくくなり、また窮屈な取りつけ状態となるから、その状態からの取り外しは当然にしにくくなる。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、竪樋の寸法誤差を吸収でき、かつ誤差範囲内であればどのような寸法であっても竪樋に対する取りつけ、取り外しをしやすくできる竪樋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の竪樋支持具は、帯板を開閉自在に環状に加工してなる竪樋抱持用の樋支持具本体と、壁面に固定される取付足部とを備えた竪樋支持具において、樋支持具本体は、取付足部の前端部に揺動自在に連結されており、樋支持具本体の平面視における相対向する部位について、その一方部では帯板の幅方向の上部に内向きの突部が形成され、他方部では帯板の幅方向の下部に内向きの突部が形成されており、一方部が樋支持具本体の取付足部との連結部とされ、他方部が連結部の対向側とされ、樋支持具本体は、側面視において、抱持する竪樋の長手方向に対する非直交方向に、他方部側が下方に垂れるように配され得ることを特徴とする。
【0007】
(削除)
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の竪樋支持具によれば、上述した構成となっているため、竪樋の寸法誤差を吸収できるとともに、誤差範囲内であればどのような寸法であっても取りつけ、取り外しがしにくくなることを防止できる。
【0009】
また、請求項1に記載の竪樋支持具によれば、上述した構成となっているため、樋支持具本体の前端部が重力で下方に移動しやすく、そのため樋支持具本体による竪樋の抱持固定作業がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)(b)は本発明の一実施形態に係る竪樋支持具の平面図、(c)は同竪樋支持具の側面図である。
図2】(a)は図1(b)のB−B線に対応した拡大断面図、(b)は同A−A線に対応した拡大断面図である。
図3】(a)(b)は、同竪樋支持具の2使用態様例を示す側面図である。
図4】(a)は本発明の他の実施形態に係る竪樋支持具の平面図、(b)は同竪樋支持具の部分拡大斜視図である。
図5】(a)は本発明のさらに他の実施形態に係る竪樋支持具の平面図、(b)は同竪樋支持具の使用態様例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面にもとづいて説明する。まず、以下の3種の竪樋支持具1の基本構成について説明する。
【0012】
本実施形態に係る竪樋支持具1は、帯板を開閉自在に環状に加工してなる竪樋抱持用の樋支持具本体20と、壁面に固定される取付足部10とを備えている。樋支持具本体20は、取付足部10の前端部11に揺動自在に連結されている。樋支持具本体20の平面視における相対向する部位について、その一方部では帯板の幅方向の上部に内向きの突部21aが形成され、他方部では帯板の幅方向の下部に内向きの突部25aが形成されている(図1図4および図5参照)。
【0013】
以下に、この竪樋支持具1の3実施形態について詳細に説明する。まず、図1図3に示した竪樋支持具1について説明する。図1(a)(b)は竪樋支持具1の平面図であり、図1(a)は樋支持具本体20が開いた状態、図1(b)は閉じた状態の各平面図である。図1(c)は、竪樋支持具1の側面図である。図2(a)は図1(b)のB−B線に対応した拡大断面図、図2(b)は同A−A線に対応した拡大断面図である。図3(a)(b)は、同竪樋支持具1の2使用態様例を示す側面図である。
【0014】
この竪樋支持具1は、円筒状の竪樋3を抱持して支持する樋支持具本体20と、壁面5に固定される取付足部10とを連結して構成されている。取付足部10は後端に尖端部12を有した円柱棒状体とされ、壁面5に打ち込んで固定されるようになっている。なお、周面に記された複数の線は打込み深さの程度を測るための目印線13である。
【0015】
樋支持具本体20は、2つの円弧形状の湾曲帯板を、回動して閉じたときに竪樋3に対応した円形となるようにヒンジ結合してなる。一方の湾曲帯板は抱持基部21とされ、その中央部が取付足部10の前端部11に連結されている。抱持基部21の一端がヒンジ部21bとされ、他端が樋支持具本体20を閉止状態とするために他方の湾曲帯板と係止するための係止受部21cとされる。他方の湾曲帯板は蓋部25であり、蓋部25の一端がヒンジ部25bとされ、他端が抱持基部21の係止受部21cに係止する係止部25cとされる。なお、抱持基部21および蓋部25のいずれにもリブ21e、25eが形成されている。
【0016】
係止部25cは帯板の幅方向に並ぶ2つの開口25dを有しており、係止受部21cは開口25dに対応するように並ぶ2つの突起21dを有している。つまり、抱持基部21と蓋部25とを、図1(a)に示すように開状態にして抱持基部21で竪樋3を抱持し、図1(b)に示すように蓋部25を閉じ、その状態で係止部25c(開口25d)を係止受部21c(突起21d)に引っ掛けることで竪樋3は抱持固定された状態となる。なお、抱持固定の詳細な状態については図3の説明において後述する。
【0017】
また樋支持具本体20には、抱持基部21の取付足部10との連結部22と、この連結部22の円中心を中心とする対向側に位置する蓋部25の円弧の略中央部とのそれぞれには、内側を向いた鋸刃状の突部21a、25aが形成されている。
【0018】
抱持基部21(連結部22)の突部21aは、図2(a)に示すように帯板の幅方向の上部に形成され、蓋部25の突部25aは、図2(b)に示すように帯板の幅方向の下部に形成されている。
【0019】
取付足部10と樋支持具本体20との連結はリベット30のかしめによりなされている。ただし、樋支持具本体20は取付足部10に対して固定状態ではなく、弛みのある連結状態であり、取付足部10の前端部11に対して揺動自在となっている。竪樋支持具1をたとえば図1(c)のように壁面5に取りつければ、2点鎖線で示すように樋支持具本体20の前端部27が重力に従い下方に垂れて側面視で傾斜状態となる。なお、このような連結構造であるため、樋支持具本体20は前端部27側が上下に揺動するだけではなく、左右においても上下に揺動する。
【0020】
このように、樋支持具本体20の前端部27が垂れるので、図3に示すように竪樋3を壁面5に平行に配設する場合、抱持される竪樋3の径によっては、たとえば図3(a)のように樋支持具本体20が竪樋3の長手方向に直交する方向に配されることがあるが、竪樋3の径D2が図3(a)に示した竪樋の径D1よりも小さい場合には、樋支持具本体20は前端部27が垂れて傾斜し、竪樋3の長手方向に直交する方向に配されないこともある。
【0021】
図3(a)(b)のいずれの場合も、前後の突部25a、21aは竪樋3の表面に当接するため、竪樋3が施工された後には樋支持具本体20は揺動することはない。竪樋支持具1は複数の高さ位置に配されるが、それらはいずれもこのような突部21a、25aが竪樋3に当接した状態となるため、樋支持具本体20は揺動することなく、竪樋3はそれらの竪樋支持具1にしっかりと支持される。また、竪樋3は通例では軒樋(不図示)、地面(不図示)間に上下にずれないように配設されているため、樋支持具本体20が竪樋3の上下のずれに起因して揺動するおそれもほとんどない。なお、樋支持具本体20のずれ動かないように、樋支持具本体20の前端部27の上方に開口した、帯板と竪樋3との間にできた隙間に詰め物を入れてもよい。
【0022】
このように、この竪樋支持具1によれば、竪樋3の寸法誤差を吸収できるとともに、誤差範囲内の寸法であればどのような寸法であっても取りつけ、取り外しがしにくくなることを防止することができる。
【0023】
なお、樋支持具本体20で竪樋3を抱持した後に、樋支持具本体20が揺れ動くことがないように、樋支持具本体20を取付足部10に対して種々の手段で固定(ロック)するようにしてもよい。
【0024】
また、本実施形態のものは連結部22の突部21aは上部に、前端部27の突部25aは下部に形成されているが、竪樋支持具1を天地の区別なく利用できるようにするために、突部21a、突部25aのそれぞれが上下両方に形成されたものとしてもよい。なお、天地を間違えないようにするために、樋支持具本体20の上方への揺動ができない構造としてもよい。
【0025】
つぎに、図4に示した竪樋支持具1について説明する。図4(a)は竪樋支持具1の閉じた状態の平面図、図4(b)は、取付足部10と樋支持具本体20との連結構造の部分拡大斜視図である。
【0026】
この竪樋支持具1の樋支持具本体20は、図1のものと同様、開閉自在とされるが、連結部22は、抱持基部21の一方の端部に設けた挟持片21fと、蓋部25の一方の端部に設けた挟持片25fとで、取付足部10の板状とされた前端部11を挟持してボルト31、ナット32止めする構造となっている。両挟持片21f、25fは後方に折曲されており、それぞれにボルト挿通孔21fa、25faが開設され、取付足部10の前端部11にもボルト挿通孔11aが開設されている。
【0027】
また、本竪樋支持具1における樋支持具本体20のヒンジ構造については図1のものと同様である。ようするに、この竪樋支持具1は、抱持基部21に対する蓋部25の開閉・固定構造と、取付足部10に対する樋支持具本体20の連結構造とが共通化されている。
【0028】
この樋支持具本体20の前端部27には、図1のものと同様、蓋部25の下部に突部25aが形成されている。一方、連結部22の上部には、抱持基部21と蓋部25とに分離された突部21a、25gが形成されている。これらの突部21a、21gは、両挟持片21f、25fが取付足部10の前端部11を挟持した状態で隣どうしに並び、1つの突部を構成する。なお、連結部22の突部を、分離された2つの突部21f、25fではなく、1つの突部で構成してもよい。
【0029】
この竪樋支持具1も図1のものと同様、図3に示したように、竪樋3の径によっては前端部27が垂れ下がり、前の突部25aと、後ろの突部21a、25gとで竪樋3を固定することができる。つまり、図1と同様、前端部27が上下に揺動する構成となっているため、竪樋3の寸法誤差を吸収することができる。
【0030】
また、樋支持具本体20と取付足部10との連結構造がボルト31とナット32によるものであるため、竪樋3を取りつけるときにボルト31を弛めておけば作業しやすく、取りつけた後に、ボルト31、ナット32をしっかりと螺合、固定すればよい。
【0031】
なお、図4に示した竪樋支持具1における図1のものと同様の構造等については、同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0032】
ついで、図5に示した竪樋支持具1について説明する。図5(a)は竪樋支持具1の閉じた状態の平面図、図5(b)はこの竪樋支持具1で竪樋3を支持した状態の正面図(図5(a)の方向Cより見た図)である。
【0033】
この竪樋支持具1の樋支持具本体20も、図1のものと同様、開閉自在とされるが、連結部22は抱持基部21の一方の端部側に形成されている。樋支持具本体20は、その連結部22で取付足部10に連結され、竪樋支持具1の(樋支持具本体20)の前端部27において、蓋部25の係止部25cと抱持基部21の係止受部21cとが係止する形状となっている。
【0034】
また、抱持基部21の中央部には鋸刃状の突部21aが帯板の幅方向の上部に形成され、蓋部25には、抱持基部21の突部21aに、円中心を中心として対向するように鋸刃状の突部25aが帯板の幅方向の下部に形成されている。つまり方向Cより見た場合、図5(b)に示すように、抱持基部21の突部21aは右に、蓋部25の突部25aは左に位置する。
【0035】
樋支持具本体20の係止構造、ヒンジ構造、樋支持具本体20、取付足部10間の連結構造および取付足部10の形状については図1のものと同様であり、同一の符号を付して、その説明は省略する。樋支持具本体20、取付足部10間の連結構造は図1のものと同様であるから、樋支持具本体20の左右においても上下に揺動する。そのため、図5(b)に示すように、蓋部25側(左)を下方に移動させ、抱持基部21側(右)を上方に移動させた状態で竪樋3を抱持すれば、それぞれの突部25a、21aが竪樋3の表面に当接し、竪樋3は竪樋支持具1により支持された状態となる。
【0036】
本実施形態の竪樋支持具1についても突部21a、25aを有しているため、図1のものと同様の効果が奏せられる。また、この竪樋支持具1は天地を区別なく利用できるので、作業性がよい。
【0037】
なお、本竪樋支持具1は樋支持具本体20の左右の上下揺動を利用するものであるから、施工後でも不安定となるおそれがある。そのため、樋支持具本体20の蓋部25側にできた、上方に開口した隙間に詰め物を入れて揺動を禁止するようにしてもよい。また、樋支持具本体20を取付足部10に対して種々の手段で固定(ロック)するようにしてもよい。
【0038】
図1図5の実施形態のものは、樋支持具本体20の取付足部10との連結部22は弛みがあるようにリベット30をかしめて連結する構造となっているが、これに代えてユニバーサルジョイント構造の連結構造としてもよい。そのようにすれば、ある程度硬めの連結構造とすることができ、その結果、施工後に風や竪樋3への接触などにより樋支持具本体20が揺動することを防止することができる。特に、図5に示した竪樋支持具1は施工後でも不安定となりやすいから、硬めの連結構造を採用することが望ましい。また、リベット30連結構造に代えて、図4に示したボルト31、ナット32止めの構造としてもよい。
【0039】
なお、以上には丸樋を支持する竪樋支持具1を例示したが、角樋を支持する竪樋支持具についても、上記と同様の突部21a、25aで竪樋3を支持する構造を適用できることは言うまでもない。また以上には、取付足部10として、尖端部12で打ち込み固定するものを例示したが、これには限定されず、他の種々の固定構造のものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 竪樋支持具
10 取付足部
11 前端部
11a ボルト挿通孔
12 尖端部
13 目印線
20 樋支持具本体
21 抱持基部
21a 突部
21b ヒンジ部
21c 係止受部
21d 突起
21e リブ
21f 挟持片
21fa ボルト挿通孔
22 連結部
25 蓋部
25a 突部
25b ヒンジ部
25c 係止部
25d 開口
25e リブ
25f 挟持片
25fa ボルト挿通孔
25g 突部
27 前端部
30 リベット
3 竪樋
5 壁面
図1
図2
図3
図4
図5