【実施例】
【0020】
(実施例1)
図4〜6を参照して、発光装置10の詳細について説明する。
前記実施形態と同様に、発光装置10は、
図4の分解斜視図に示すように、発光部100と、固定部材130,140とを備える。
【0021】
発光部100は、前記実施形態と同様、基板110と、この基板110上に設けられた発光素子120とを備える。
【0022】
基板110は、矩形の四隅が切りかかれた形状となっており、平面角形形状(本実施形態では矩形形状)の本体部110Aと、この本体部110Aの各辺に沿って設けられた縁部110Bとを備える。
【0023】
基板110は、
図5に示すように、基板部112と、この基板部112の表裏面に設けられた保護層111,113を備える。
基板部112は、樹脂フィルムであり、たとえば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)のいずれか1種以上の樹脂で構成することができる。
【0024】
保護層111,113は、それぞれ基板部112の表面を保護する。ただし、保護層111,113はなくてもよい。また、保護層111,113にかえて基板110表面を平坦化するための平坦化膜を設けてもよい。
【0025】
基板110は、発光素子120からの光を基板110側から取り出す場合には、基板110は透光性である必要がある。ただし、発光素子120からの光を基板110と反対側から取り出す場合には、基板110は透光性でなくてもよい。本実施形態では、発光素子120からの光を基板110側から取り出すため、基板110は透光性部材で構成されている。
【0026】
発光素子120は、
図5に示すように、第一電極124、有機機能層125、第二電極126を有する。
第一電極124は、たとえば、陽極である。第一電極124は、透明電極であり、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SnO
2等のいずれか1種以上の金属酸化物されていてもよく、また、ポリチオフェン誘導体などの導電性高分子材料で構成されていてもよい。
【0027】
有機機能層125は、図示しないが、第一電極124側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層をこの順に積層したものである。なお、正孔注入層及び正孔輸送層の代わりに、これら2つの層の機能を有する一つの層を設けてもよい。同様に、電子輸送層及び電子注入層の代わりに、これら2つの層の機能を有する一つの層を設けてもよい。
【0028】
第二電極126は、第一電極124とともに、有機機能層125を挟む。この第二電極126は、陰極であり、たとえば、AgあるいはAl等の金属膜を使用できる。
ここで、本実施例においては、発光素子120は、基板110のうち、本体部110A上に設けられており、縁部110B上には設けられていない。ただし、発光素子120の一部が縁部110B上にまで延在していてもよい。この場合には、発光素子120の縁部110B上の領域は、発光領域としては機能しない。
そして、発光素子120の第一電極124からは、縁部110Bに向けて配線129が延在している。同様に、発光素子120の第二電極126からは、縁部110Bに向けて配線127が延在している。
配線127,127は、第一電極124や第二電極126と同じ材料で構成することができる。
【0029】
ここで、発光素子120および配線129,127は、封止材128により被覆されている。封止材128としては、樹脂等の有機材料あるいは無機材料で構成することができる。ただし、絶縁性を有することが好ましい。この封止材128には、複数の開口部が形成されている。一の開口部から配線129の一部が露出し、他の開口部からは、配線127の一部が露出している。配線129、配線127のうち、前記開口部から露出した部分が、外部電源に接続される端子121として機能する。
なお、本実施例においては、封止材128のうち、開口部が形成された部分は、固定部材130の壁部131と、固定部材140の壁部141とで挟まれる部分である。
【0030】
次に、
図4、6を参照して、固定部材130,140について説明する。
図6は、固定部材130,140および発光部100の外周部の断面を示す図であり、端子150のバリエーションを示す図である。
固定部材130,140は、絶縁材料で構成されている。
固定部材130は、前記実施形態と同様の構造であり、角形の枠体である。
【0031】
固定部材140も角形の枠体であるが、角形の枠部143と、前記実施形態では図示していなかった突き当て部142とを備える。
枠部143の各辺は、壁部141で構成されている。突き当て部142は、枠部143の周縁から壁部141の高さ方向に直交するようにフランジ状に突出している。突き当て部142は、壁部141の側面と直交するように設けられており、環状となっている。
換言すると、固定部材140は、矩形等の多角形の外周を有し、この多角形の各辺に、壁部141および壁部141から張り出した張り出し部(環状の突き当て部142の一部に該当)を備えた壁体が配置されているといえる。
図6に示すように、固定部材130,140をはめ合わせた際に、突き当て部142は、壁部141から固定部材130側に突出することとなるので、固定部材130の壁部131の高さ方向の一端に当接することとなる。
【0032】
ここで、
図1に示すように、固定部材140には、外部電源に接続された端子150が設けられている。端子150は、端子121に接触し、電気的に接続される。端子150は、端子121とともに、固定部材140,130間に挟み込まれる。
ここで、
図6を参照して、端子150について説明する。
図6(a)には、端子150の第一のバリエーションである端子150Aが示されており、
図6(b)には、端子150の第二のバリエーションである端子150Bが示されている。
【0033】
図6(a)に示すように、固定部材140の壁部141に、凹部141Aが形成されている。凹部141Aは、固定部材130の壁部131に向けて開口している。この凹部141A内に端子150Aが固定されている。
端子150Aは、たとえば、導電性の板バネを屈曲させたものである。端子150Aは、凹部141Aの底部に固定される固定部151と、この固定部151から凹部141A開口側に向けて延在する延在部152と、部分152の先端から折り返された折り返し部154とを備える。そして、延在部152および折り返し部154で構成されるV字の頂点153が端子121との接点となっている。頂点153は、付勢手段となる延在部152により、端子121側に付勢されている。
【0034】
一方で、発光部100は、基板110の縁部110Bと本体部110Aとの境界で屈曲されており、基板110の縁部110B、縁部110B上の配線129(あるいは配線127)および封止材128が、壁部131と壁部141との間で挟持されている。封止材128の開口部は、凹部141Aと対向しており、封止材128の開口部から露出した端子121が、前述したように端子150Aの頂点153と接触している。これにより、端子121と、端子150Aとが電気的に接続される。
なお、
図6において、Aは、配線129(あるいは配線127)と、基板110との積層部分を示している。
【0035】
図6(b)では、端子150Bの構造が、
図6(a)と異なっている。他の点は、
図6(a)と同様である。
端子150Bは、凹部141Aの底面に立設されたピン部材157と、このピン部材157の周囲を取り囲むように配置されたコイルばね155と、コイルばね155の先端に設けられた導電性部材156とを備える。なお、導電性部材156に電流を流す観点からは、ピン部材157およびコイルばね155も導電性の部材で構成されることが好ましい。
導電性部材156は、付勢手段となるコイルばね155により、端子121側に付勢され、端子121に直接接触している。これにより、端子121と、端子150Bとが電気的に接続される。
【0036】
なお、端子150A,150Bと、外部電源とを接続する場合には、たとえば、壁部141に、凹部141A内部に連通する孔を形成する。この孔内に配線を通し、固定部材140の内側に外部電源や、外部電源に接続された駆動回路を配置する。一方で、孔内の配線と、端子150A,150Bとを接続する。これにより、端子150A(あるいは150B)と、端子121とを接触させることで、有機機能層125に電流を流すことができる。
【0037】
次に、
図4および
図7を参照して、発光装置10の製造方法について説明する。
図7は、基板110の基板面と直交する方向の断面図であり、固定部材130、140の一断面と発光部100の周縁部の断面とを模式的に示している。
【0038】
前記実施形態と同様に、発光部100および固定部材130,140を用意する。
その後、発光部100の周縁部を挟み、一方の側に固定部材130を配置するとともに、他方の側に固定部材140を配置する。
このとき、発光部100の基板面側から見て、固定部材130が固定部材140よりも外側となるように配置する。
また、発光部100の基板面側から見て、発光部100の基板110の本体部110Aと、縁部110Bとの境界線が、固定部材130の壁部131と、固定部材140の壁部141との間に位置するように、固定部材130および固定部材140を配置する。
【0039】
その後、固定部材130の壁部131に沿って、固定部材140の壁部141を相対的に移動させて、固定部材130の壁部131と、固定部材140の壁部141とを対向させる。これにより、壁部131、141間に、縁部110B、縁部110B上の配線129(あるいは配線127)および封止材128が挟みこまれることとなる。そして、固定部材130の壁部131を突き当て部142に当接させる。これにより、
図6で示したように、端子121と、端子150とが当接することとなる。
換言すると、固定部材130,140を、発光部100を介してはめ込むと同時に、端子121と、端子150とが接触することとなる。
【0040】
このような実施例によれば、実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
固定部材140は、突き当て部142を有しており、固定部材130と固定部材140とをはめあう際に、固定部材130の壁部131を突き当て部142に突き当てればよい。これにより、固定部材130,140を容易に位置決めすることができ、発光装置10の製造が容易となる。
【0041】
また、固定部材140に端子150を設けたことで、端子150を介して、発光部100への電流の供給を行なうことができる。
【0042】
さらに、端子150、端子121は、固定部材140の壁部141、固定部材130の壁部131間に挟みこまれているので、確実に導通させることができる。
また、固定部材130,140を、発光部100を介してはめ込むと同時に、端子121と、端子150とを接触させることができるので、発光部100の端子と外部電源とを端子150を介して容易に接続させることができる。
【0043】
本実施形態では、固定部材130,140をはめあう過程において、基板110の各縁部110Bが固定部材130,140により同時に外方へ向けて引っ張られることとなる。そのため、発光部100の表面が平坦化された状態で、発光部100が固定部材130,140に固定されることとなる。
【0044】
さらには、本実施形態では、固定部材130,140をいずれも枠状であり、壁部131で構成される枠体と、壁部141で構成される枠体とが相似形状となっている。そのため、固定部材130,140をはめあうことができ、かつ、これらの固定部材130,140をはめあうと同時に基板110の各縁部110Bを固定部材130,140で挟むことができる。これにより発光装置10の生産性を向上できる。
【0045】
また、端子150Aにおいては、頂点153が、付勢手段となる延在部152により、端子121側に付勢され、端子121と接触している。
また、端子150Bにおいては、導電性部材156は、付勢手段となるコイルばね155により、端子121側に付勢され、端子121と接触している。
このような本実施形態では、端子150Aあるいは150Bと、端子121とを確実に接触させることができる。
【0046】
(実施例2)
図8を参照して、本実施例について説明する。
本実施例の発光装置は、固定部材240の形状が固定部材140と異なっている。また、端子250の構造が前記実施例の端子150A,150Bとは異なっている。さらに、封止材128は、基板110の縁部110Bの外周縁を被覆しておらず、この部分から配線129(127)の端子121が露出している。他の点は、実施例1と同じである。
固定部材240は、壁部241と、突き当て部142とを備える。壁部241は、壁部141と異なり凹部141Aは形成されていない。他の点は、壁部141と同様である。
端子250は、導電性であり、突き当て部142のうち、固定部材130の壁部131と対向する位置に設けられている。
そして、端子250と、端子121とが接触している。
【0047】
このような実施例2によれば、前記実施形態および実施例1と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
本実施形態では、壁部241に凹部141Aが形成されていないため、固定部材240が簡単な構造となる。
【0048】
(実施例3)
図9を参照して、本実施例について説明する。
本実施例では、固定部材340の構造が実施例1の固定部材140の構造と異なっている。また、固定部材330の構造が実施例1の固定部材130の構造と異なっている。また、端子350の構造も、端子150とは異なっている。また、封止材128には、実施例1と同様に開口部が形成されているが、開口部は、基板110の本体部110Aと縁部110Bとの境界線よりも、内側(本体部110A側)に形成されている。他の点は、実施例1と同様である。
【0049】
固定部材340、330はいずれも、角形の枠状である。
固定部材340は、壁部241と、この壁部241の一端から突出した突出部343とを備える。
突出部343は、壁部241よりも、その幅が小さく、壁部241の上端部に沿って環状に設けられている。
換言すると、固定部材340は、矩形等の多角形の外周を有し、この多角形の各辺に、壁部241および壁部241から突出した部分(環状の突出部343の一部に該当)を備えた壁体が配置されているといえる。
【0050】
固定部材330は、壁部131と、壁部131の高さ方向の一方の端部に設けられた突き当て部332とを備える。突き当て部332は、壁部131側面に直交するように設けられている。そして、突き当て部332は、固定部材330内側に向けて延びている。本実施形態では、突き当て部332は環状に形成されている。
換言すると、固定部材330は、矩形等の多角形の外周を有し、この多角形の各辺に、壁部131および壁部131から張り出した張り出し部(環状の突き当て部332の一部に該当)を備えた壁体が配置されているといえる。
突き当て部332は、発光部100を介して突出部343に当接している。
【0051】
固定部材340の壁部241の上端部には、端子350が設けられている。端子350は、板ばねで構成されており、壁部241の内面に固定された固定部351と、固定部351から突出部343に向けて延在する延在部352と、この延在部352とともにV字を構成する折り返し部353とを備える。そして、延在部352と、折り返し部353とで構成されるV字の頂点354が、端子121との接点となる。この頂点354は、延在部352により、端子121側に付勢されている。なお、端子121は、突き当て部332と、頂点354とで挟まれており、頂点354と端子121とが確実に接触する構造となっている。
【0052】
次に、本実施例における発光装置の製造方法について説明する。
実施例1と同様に、発光部100の周縁部を挟み、一方の側に固定部材330を配置するとともに、他方の側に固定部材340を配置する。
このとき、発光部100の基板面側から見て、固定部材330が固定部材340よりも外側となるように配置する。また、固定部材330の突き当て部332と、突出部343とが発光部100を挟んで対向するように配置する。
また、発光部100の基板面側から見て、発光部100の基板110の本体部110Aと、縁部110Bとの境界線が、固定部材330の壁部131と、固定部材340の壁部241との間に位置するように、固定部材330および固定部材340を配置する。
【0053】
その後、固定部材330の壁部131に沿って、固定部材340の壁部241を相対的に移動させて、固定部材330の壁部131と、固定部材340の壁部241とを対向させる。これにより、壁部131、241間に、発光部100が挟みこまれることとなる。そして、固定部材340の突出部343を突き当て部332に発光部100を介して当接させる。これにより、端子121と、端子350とが当接することとなる。
【0054】
このような実施例3によれば、前記実施形態および実施例1と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
本実施例では、端子121が発光部100の屈曲部分よりも内側に位置している。発光部100をおりまげる際に、折り曲げた箇所において、配線127、129にクラックが発生する場合があるが、かりにクラックが発生しても、端子121および電極124,126間の導通に影響はなく、端子121を介して、有機機能層に電流を供給することができる。
【0055】
また、端子121が発光部100の屈曲部分よりも内側に位置しているので、実施例1,2に比べて、配線127、129の長さを短くすることが可能となる。これにより、電圧降下による発光性能低下を抑制することができる。
【0056】
本実施例では、端子350が固定部材340の壁部241の内面に固定されているので、凹部に端子を固定する場合に比べて、端子350の固定部材340への固定作業が容易である。また、固定部材340の内側から端子350の頂点354と端子121との接触状況も確認することができる。
【0057】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、
図10に示すように、実施例1の固定部材130に凹部132を形成してもよい。この凹部132は、壁部131の一端側(下端側)であり、壁部141と対向する位置に形成されている。ただし、この場合、凹部132は、端子150の頂点と対向しない位置に形成することが好ましい。このような凹部132を形成することで、固定部材130と固定部材140とをはめ合わせる際に、固定部材130,140間に隙間が形成され、はめ合わせが容易となる。
【0058】
さらには、
図11(a)に示すように、実施例1において固定部材140を壁部141から構成される固定部材440とし、実施例3で使用した固定部材330を使用してもよい。突き当て部332は、壁部141に当接する。
また、
図11(b)に示すように、実施例1において、固定部材140の角部141Bを面取りしてもよい。
なお、
図11は、発光装置を模式的に示す図であり、発光部の端子と、固定部材に設けられる端子との接触については図示していない。
【0059】
さらに、前記実施形態および前記各実施例においては、一対の固定部材はいずれも、枠体であったが、これに限らず、一方の固定部材を枠体としなくてもよい。
たとえば、実施例1において、固定部材130を構成する壁部131同士を切り離し、壁部131同士が独立した構成としてもよい。
また、前記実施形態および前記各実施例において、発光部100の出射側にガラス基板や、アクリル基板等の光透過性の基板を配置して、発光装置を補強してもよい。
さらには、前記実施形態および前記各実施例において、発光装置の1対の固定部材のうち、内側に配置される固定部材140、240,340に端子150、250、350を設けたが、これに限られるものではない。固定部材130、330に端子を設けてもよい。
【0060】
さらには、前記実施形態および前記各実施例において、固定部材同士をはめ合わせると同時に、基板110を屈曲させていたが、これに限られるものではない。
たとえば、予め基板110を屈曲させて、一方の固定部材にテープ等で仮止め(仮固定)しておき、その後、固定部材同士をはめ合わせ、本固定してもよい。
また、基板110の縁部110Bに孔を形成するとともに、固定部材に突起部を形成し、基板110の縁部110Bの孔に固定部材の突起部を挿入し、あらかじめ、予め基板110を屈曲させた状態で固定部材に発光部100を仮固定しておき、その後、固定部材同士をはめ合わせて本固定してもよい。
基板110が屈曲した形状を維持できないような材料で構成されていても、固定部材同士があらかじめ固定されていないので、基板110を一方の固定部材に仮固定することができる。従って、容易に発光装置を製造することができ、発光装置の生産性を向上させることができる。
また、実施例1、2、3においては、突き当て部142,332が壁部の全周にわたって環状に設けられていたが、これに限らず、端子150、250、350が設けられた部分のみに対応して、点在して設けられていてもよい。
さらに、実施例3においては、突出部343は環状であったが、これに限られず、突出部343は、端子350と対向する部分にのみ、点在して設けられていてもよい。