【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、水分含有有機溶剤から水分を除去する除去システムであって、
有機溶剤を貯留する溶剤容器と、
前記溶剤容器内に、キャリアガスを導入する導入部と、
前記溶剤容器から、前記有機溶剤から気化される気化ガスおよび前記キャリアガスを含む混合ガスを導出する導出部と、を有する。
【0009】
キャリアガスは、例えば、窒素、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン)等の不活性ガスが好ましい。
キャリアガスは、ドライガスであることが好ましい。含水率が0〜1ppm未満であることが好ましく、0〜0.1ppm未満がより好ましく、0〜0.01ppm未満がさらに好ましい。
導入されるキャリアガスは、有機溶剤よりも沸点が低く、好ましくはそれらの沸点差が20℃以上であり、より好ましくは30℃以上である。
導入されるキャリアガスは、1種または2種以上であってもよい。
導入されるキャリアガスは、常温であってもよく、例えば15℃〜25℃に設定されていてもよい。
キャリアガスを導入し導出させる時間(全体の処理時間)は、特に制限されないが、目標の水分含有量未満に達するまででもよく、容器(あるいはキャリアガスと有機溶剤液面との接触面積)のサイズに依存した予め設定された処理時間でもよく、溶剤容器内の有機溶剤の残量が閾値に達するまででもよい。
【0010】
有機溶剤は、各種プロセスガスを含め特に限定されず、広く工業的に用いられる溶剤、例えばオクタン等の有機溶剤、フロン系や塩素系の有機溶剤等を含む。一般に常温(20〜30℃)常圧(約0.1MPa)で液体であるが、ここでは、広く加圧条件下あるいは低温条件下において液化された溶剤をも含む。具体的には、半導体や太陽電池等の製造装置用の洗浄液として使用された後の有機溶剤、あるいはこれらの研究用設備において使用された有機溶剤や有機合成反応等の原料となる有機溶剤などを挙げることができる。飽和炭化水素(例えばn−ヘキサンやn−オクタン等)や環状飽和炭化水素(例えばシクロヘキサン等)、あるいはケトン(例えばアセトン等)やエステル(例えば酢酸エチル等)や芳香族化合物(例えばベンゼンやトルエン等)や環状エーテル化合物(例えばTHF等)や複素環式化合物(例えばピリジン等)を挙げることができる。
有機溶剤は、例えば、n−オクタン、n−ヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、ピリジン、ピペリジン、酢酸、テトラヒドロフラン(THF)などが挙げられる。
【0011】
上記除去システムは、前記溶剤容器に導入されるキャリアガスの流量を制御する流量制御部(例えば、マスフローコントローラー)および/またはキャリアガスの圧力を制御する圧力制御部を有してもよい。
前記流量制御部および/または圧力制御部は、溶剤容器内の圧力に基づいてキャリアガスの流量および/または圧力を制御してもよい。
前記溶剤容器は、その内部圧力を測定するための圧力計を有していてもよい。
溶剤容器内の圧力(絶対圧基準)は、0.1MPaAから0.5MPaAの範囲、好ましいのは0.1MPaAから0.4MPaAの範囲、より好ましいのは0.1MPaAから0.3MPaAの範囲、特に好ましくは0.1MPaAから0.2MPaAの範囲である。圧力が低い方が有機溶剤に溶存しているH
2Oを除去しやすく、圧力が低すぎると有機溶剤がキャリアガスに同伴される量が増加する傾向にある。
流量制御部は、溶剤容器内の空間体積中(気相)のガスが1分間当たり1回以上交換できる流量が好ましい。
【0012】
上記除去システムは、前記キャリアガスを貯留するガスボンベを有してもよい。
上記除去システムは、前記導出部から導出された混合ガスから水分を選択的に分離する水分分離部を有してもよい。
上記除去システムは、前記水分分離部を通過した水分除去された混合ガスの内、少なくともキャリアガス以外を液化して回収する回収容器を有してもよい。
【0013】
上記除去システムは、回収容器の上部から下部までの延びる混合ガス導入部を有していてもよい。
上記除去システムは、前記回収容器内の空間体積中(気相)(あるいは上部)から前記キャリアガスを排出するキャリアガス排出部を有してもよい。
上記除去システムは、前記回収容器内の液相から、液化された液化有機溶剤を排出する液化有機溶剤排出部を有してもよい。
上記除去システムは、前記液化有機溶剤から不純物を除去する除去部を有してもよい。不純物が金属成分である場合に、除去部がメタル除去フィルターであってもよい。
前記回収容器は、その気相圧力を測定する圧力計を有していてもよい。
回収容器内の圧力(絶対圧基準)は、0.1MPaAから0.5MPaAの範囲、好ましいのは0.1MPaAから0.4MPaAの範囲、より好ましいのは0.1MPaAから0.3MPaAの範囲、特に好ましいのは0.1MPaAから0.2MPaAの範囲である。圧力が高いほど有機溶剤を回収しやすくなるが、圧力が高すぎると、回収溶剤中にキャリアガスが溶け込んでしまい不純物となる。
前記回収容器および/または混合ガスが流れる配管において、混合ガスを冷却する冷却部を有していてもよい。
前記冷却部は、前記回収容器内の上記圧力に基づいて冷却温度を制御する温度制御部を有してもよい。
【0014】
前記水分分離部は、少なくとも1つで構成されていてもよく、2つ以上で構成されていてもよい。
前記水分分離部は、第一分離部と第二分離部を有し、それらの両方で分離処理を実行してもよく、それらの内一方で分離処理をし、その他で再生処理を実行するように配管構成されていてもよい。再生処理は、分離部の吸着剤に応じて加熱処理での再生でもよい。再生により生じた水分は排出されることが好ましい。再生に利用されるキャリアガスとして、前記キャリアガス排出部から排出されたキャリアガスを利用してもよい。
前記水分分離部は、吸着剤を有して構成されていてもよい。吸着剤としては、その細孔径が3Å〜4Åが好ましい。
吸着剤の種類としては、分子篩、ゼオライトなどが挙げられる。ゼオライトとして、例えば、合成ゼオライト(Na
2O−Al
2O
3−XSiO
2−YH
2O)、モレキュラーシーブ3A、4Aなどが挙げられる。
【0015】
他の発明は、水分含有有機溶剤から水分を除去する除去方法であって、
有機溶剤を貯留する溶剤容器の内に、キャリアガスを導入し、
前記溶剤容器から、前記有機溶剤から気化される気化ガスおよび前記キャリアガスを含む混合ガスを導出する。
上記除去方法は、前記混合ガスから水分を選択的に分離してもよい。
上記除去方法は、水分除去された混合ガスの内、少なくともキャリアガス以外を液化して回収してもよい。
上記除去方法は、液化されない前記キャリアガスを排出してもよい。
上記除去方法は、前記液化された液化有機溶剤を排出してもよい。
上記除去方法は、前記液化有機溶剤から不純物を除去してもよもよい。
上記除去方法は、前記水分を選択的に分離する工程において使用された吸着剤から水分脱離(再生処理)をしてもよい。
上記除去方法は、前記水分を選択的に分離する工程において、第一水分分離部で水分吸着処理をし、第二水分分離部で水分脱離(再生処理)をしてもよい。
上記除去方法は、排出された液化されないキャリアガスを、上記再生処理のキャリアガスに再使用してもよい。
上記除去方法は、排出された液化されないキャリアガスを、上記溶剤容器に導入されるキャリアガスとして再使用してもよい。