特許第6349568号(P6349568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349568
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】丁合装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 39/042 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   B65H39/042
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-109925(P2014-109925)
(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公開番号】特開2015-224107(P2015-224107A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 良之
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−286623(JP,A)
【文献】 特開2006−232521(JP,A)
【文献】 特開2004−189343(JP,A)
【文献】 特開2006−248704(JP,A)
【文献】 特開平11−106124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 39/00 − 39/16
B65H 7/00 − 7/20
B65H 43/00 − 43/08
B65H 1/00 − 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束を作成する丁合装置であって、
用紙を送り出す複数の給紙部と、
前記複数の給紙部のそれぞれから送り出された用紙を搬送する搬送部と、
前記複数の給紙部による用紙の送り出しを制御する制御部と、を備え、
前記複数の給紙部のそれぞれは、
積載された用紙を送り出す給紙機構と、
前記給紙機構によって送り出される用紙の通過を検知するセンサと、を含み、
前記制御部は、
当該丁合装置が単位時間あたりに作成するべき用紙束の部数に関する情報である処理速度を取得する取得部と、
処理速度に基づいて給紙開始タイミングを決定する決定部と、
給紙開始タイミングから各給紙部の位置に応じた時間だけ遅れたタイミングであって各給紙部から送り出される用紙が前記搬送部において重なるようなタイミングで、各給紙部の給紙機構が駆動を開始するよう各給紙部を制御する給紙制御部と、を含み、
前記給紙制御部は、
理速度が所定値以下である場合、各給紙部の給紙機構によって送り出される用紙がセンサで検知されたときに、その給紙機構による送り出しを一旦停止させ、各給紙部から送り出される用紙が前記搬送部において重なったときに先端が揃うようなタイミングでその給紙機構による送り出しを再開し、センサで検知された用紙を搬送部に送り出す第1の給紙制御を行い、
理速度が前記所定値を超えている場合、各給紙部から送り出される用紙が前記搬送部に送り出されるまで継続的に前記給紙機構を駆動させる第2の給紙制御を行うことを特徴とする丁合装置。
【請求項2】
前記制御部は、各給紙部について、給紙開始タイミングから、給紙部により送り出された用紙が他の給紙部から送り出された用紙と合流する前の所定位置に達するまでに要する時間を示す給紙時間を計測する計測部を備え、
前記給紙制御部は、各給紙部について、給紙時間と所定の目標時間との差が縮小する方向に補正されたタイミングで給紙機構が駆動を開始するよう各給紙部を制御することを特徴とする請求項1に記載の丁合装置。
【請求項3】
前記取得部は、処理速度が前記所定値を超えている場合に前記第2の給紙制御を行う第1モードと、処理速度が前記所定値を超えているか否かにかかわらず前記第1の給紙制御を行う第2モードと、のいずれが選択されたかを示す選択情報を取得し、
前記給紙制御部は、選択情報により特定されるモードにしたがって各給紙部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の丁合装置。
【請求項4】
前記取得部は、処理速度が前記所定値を超えている場合に前記第2の給紙制御を行う第1モードと、処理速度が前記所定値を超えている場合に前記取得部が前記所定値と同じまたは所定値以下の処理速度を取得したものとして前記第1の給紙制御を行う第3モードと、のいずれが選択されたかを示す選択情報を取得し、
前記給紙制御部は、選択情報により特定されるモードにしたがって各給紙部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の丁合装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記所定値に関する情報である所定値情報を取得し、
前記給紙制御部は、所定値情報により特定される値を前記所定値として、前記複数の給紙部による用紙の送り出しを制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の丁合装置。
【請求項6】
理速度が前記所定値を超えている場合、
前記給紙制御部は、各給紙部による最初の複数回の用紙の送り出しを、処理速度を前記所定値以下の値に設定して第1の給紙制御を行い、
前記計測部は、各給紙部による最初の複数回の用紙の送り出しにおける給紙時間を計測し、
前記給紙制御部は、前記複数回の用紙の送り出し後は、処理速度で、前記計測部により計測された前記最初の複数回の用紙の送り出しにおける給紙時間の平均と、所定の目標時間との差が縮小する方向に補正されたタイミングで第2の給紙制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の丁合装置。
【請求項7】
用紙束を作成する丁合装置であって、
用紙を送り出す複数の給紙部と、
前記複数の給紙部のそれぞれから送り出された用紙を搬送する搬送部と、
前記複数の給紙部による用紙の送り出しを制御する制御部と、を備え、
前記複数の給紙部のそれぞれは、
積載された用紙を送り出す給紙機構と、
前記給紙機構によって送り出される用紙の通過を検知するセンサと、を含み、
前記制御部は、
第1の給紙制御と第2の給紙制御のいずれが選択されたかを示す選択情報を取得する選択情報取得部と、
指定された当該丁合装置が単位時間あたりに作成するべき用紙束の部数に関する情報である処理速度を取得する処理速度情報取得部と、
処理速度情報に基づいて給紙開始タイミングを決定する決定部と、
選択情報により特定される給紙制御を行う給紙制御部と、を含み、
前記第1の給紙制御が選択された場合は所定値を超える処理速度の指定が制限され、前記第2の給紙制御が選択された場合は前記所定値以下の処理速度であっても前記所定値を超える処理速度であっても指定でき、
前記第1の給紙制御では、各給紙部の給紙機構によって送り出される用紙がセンサで検知されたときに、その給紙機構による送り出しを一旦停止させ、各給紙部から送り出される用紙が前記搬送部において重なったときに先端が揃うようなタイミングでその給紙機構による送り出しを再開し、センサで検知された用紙を搬送部に送り出し、
第2の給紙制御では、各給紙部から送り出される用紙が前記搬送部に送り出されるまで継続的に前記給紙機構を駆動させることを特徴とする丁合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丁合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上下に並べて配置された複数の給紙部のそれぞれから用紙を送り出し、下方に搬送しながらそれらを重ね合わせて用紙束を形成する丁合装置が知られている。この丁合装置では、用紙の先端がずれることなく重なるように、各給紙部が用紙を送り出すタイミングが制御されている。
【0003】
しかしながら、例えば給紙部にフリクション式の給紙機構を採用した場合、給紙ローラと用紙とのスリップ等によって用紙の送り出しタイミングがずれ、用紙が重なり合ったときに先端同士がずれることがある。また例えば給紙部にサクション式の給紙機構を採用する場合、エア吸着ベルトと用紙とのスリップ等によって用紙の送り出しタイミングがずれ、用紙が重なり合ったときに先端同士がずれることがある。
【0004】
この課題に対応するために、従来では、所定位置まで用紙を送り出してから給紙機構を一旦停止し、所定のタイミングでその給紙機構を再度稼働させるよう給紙制御して、スリップ等によるずれを低減する丁合装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−182517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
丁合装置の処理速度を上げると、各給紙部が単位時間に用紙を送り出す回数が増加し、各給紙機構が単位時間に停止と始動とを繰り返す回数が増加する。給紙機構を単位時間に始動する回数が増加すると、消費電力が大きくなる。特許文献1に記載の丁合装置では、各給紙部は用紙を1枚送り出すたびに停止状態にある給紙機構を2度も始動するよう給紙制御するため、その分消費電力も大きくなる。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理速度に適した給紙制御を行う丁合装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の丁合装置は、用紙束を作成する丁合装置であって、用紙を送り出す複数の給紙部と、複数の給紙部のそれぞれから送り出された用紙を搬送する搬送部と、複数の給紙部による用紙の送り出しを制御する制御部と、を備える。複数の給紙部のそれぞれは、積載された用紙を送り出す給紙機構と、給紙機構によって送り出される用紙の通過を検知するセンサと、を含む。制御部は、当該丁合装置の処理速度に関する情報である処理速度情報を取得する取得部と、処理速度情報に基づいて給紙開始タイミングを決定する決定部と、給紙開始タイミングから各給紙部の位置に応じた時間だけ遅れたタイミングであって各給紙部から送り出される用紙が搬送部において重なるようなタイミングで、各給紙部の給紙機構が駆動を開始するよう各給紙部を制御する給紙制御部と、を含む。給紙制御部は、処理速度情報により特定される処理速度が所定値以下である場合、各給紙部の給紙機構によって送り出される用紙がセンサで検知されたときに、その給紙機構による送り出しを一旦停止させ、各給紙部から送り出される用紙が搬送部において重なったときに先端が揃うようなタイミングでその給紙機構による送り出しを再開し、センサで検知された用紙を搬送部に送り出す第1の給紙制御を行い、処理速度情報により特定される処理速度が所定値を超えている場合、各給紙部から送り出される用紙が搬送部に送り出されるまで継続的に給紙機構を駆動させる第2の給紙制御を行う。
【0009】
この態様によると、処理速度が所定値以下の場合、給紙制御部は第1の給紙制御を行い、処理速度が所定値を超えている場合、給紙制御部は第2の給紙制御を行う。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、処理速度に適した給紙制御を行う丁合装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係る丁合装置を示す斜視図である。
図2】丁合装置の内部構造を示す模式図である。
図3】給紙部とその周辺を示す図である。
図4】制御部の機能および構成を示すブロック図である。
図5】メイン画面を示す図である。
図6】丁合装置の動作を示すフローチャートである。
図7】第2の実施の形態に係る丁合装置の給紙部とその周辺を示す図である。
図8】第2の実施の形態に係る丁合装置の制御部の機能および構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
実施の形態に係る丁合装置は、新聞広告の配達単位の束を作成するのに好適に用いられる。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る丁合装置10を示す斜視図である。図2は、丁合装置10の内部構造を示す模式図である。丁合装置10は、複数の用紙を重ね合わせて用紙束を作成する。丁合装置10は、筐体12と、給紙部14A〜14Tと、折り給紙部16と、搬送部18、折り部20と、排出部22と、積載部24と、制御部70と、操作部90と、を備える。
【0016】
給紙部14A〜14Jは、筐体12の左側面に、この順に下側から並んでいる。給紙部14K〜14Tは、筐体12の右側面に、この順に上側から並んでいる。以下、給紙部14A〜14Tをまとめていうときや、特に区別しないときには単に「給紙部14」とよぶ。
【0017】
給紙部14は、筐体12に取り外し可能に装着されている。具体的には、ユーザによって図示しないロック機構が解除されると、給紙部14と筐体12との係合が解除され、給紙部14を筐体12から取り外すことができる。このような係合方法は公知であるため説明は省略する。なお、図2では、給紙部14Tを取り外した状態を示している。
【0018】
各給紙部14はそれぞれ、給紙トレイ26と、給紙機構28と、を含む。給紙トレイ26には用紙が積載される。給紙トレイ26は、給紙機構28に近づくにしたがって下がるよう傾斜して配置される。給紙機構28は、制御部70からの信号に基づいて、給紙トレイ26に積載された用紙を搬送部18に送り出す。以下では、給紙トレイ26に積載された用紙のうちの最上位の用紙を順に送り出すことを「給紙」ともいう。給紙機構28は特に、他の給紙部14の給紙機構28から送り出された用紙とメイン搬送部36(後述)において重なり合うようなタイミングで用紙を送り出す。給紙部14の詳細な構成は、図3で後述する。
【0019】
折り給紙部16は、給紙部14Aの下方に配置される。折り給紙部16は、給紙トレイ30と、給紙機構32と、を含む。給紙トレイ30、給紙機構32はそれぞれ、給紙トレイ26、給紙機構28と同様の構成を有する。給紙トレイ30には、折り用紙が積載される。給紙機構32は、制御部70からの信号に基づいて、給紙トレイ30に積載された用紙を折り部20に送り出す。折り用紙は、後述するように、2つ折りにされるとともに、搬送部18によって搬送されてくる用紙束を挟む。
【0020】
搬送部18は、複数のサブ搬送部34と、メイン搬送部36と、を含む。複数のサブ搬送部34は、各給紙部14に対応して設けられ、対応する給紙部14から送り出された用紙をメイン搬送部36に搬送する。メイン搬送部36は、筐体12内を上下に延在するよう設けられる。メイン搬送部36は、各サブ搬送部34から搬送されてきた用紙を下方へ搬送する。各給紙部14から送り出された用紙は、このメイン搬送部36において重なり合う。つまり、メイン搬送部36において用紙束が形成される。
【0021】
折り部20は、折り板38と、ストッパ40と、折りナイフ42と、折りローラ44と、を含む。折り板38は、給紙部14Tの下方に設けられる。折り給紙部16から送り出された折り用紙は、折り板38上に搬送され、その先端がストッパ40に突き当たることによって停止する。折り用紙は特に、その中央が搬送部18の下方に位置した状態で停止する。メイン搬送部36を下降してきた用紙束は、この折り用紙に突き当たる。このタイミングで折りナイフ42が下降し、折り用紙の中央が折りローラ44に巻き込まれて2つに折りたたまれるとともに、搬送部18を下降してきた用紙束がその間に入り込む。
【0022】
排出部22は、搬送ベルト46と、排出ローラ48と、を含む。搬送ベルト46は、用紙束を排出ローラ48に向けて搬送する。排出ローラ48は、搬送ベルト46によって搬送されてきた用紙束を積載部24に排出する。
【0023】
筐体12の前面側には操作部90が設けられている。操作部90はタッチパネル式の表示部を有する。表示部には操作画面が表示され、ユーザはこの操作画面を介して、用紙束を作成する処理(以下、「丁合処理」とも呼ぶ)に関する情報を入力する。制御部70は、操作画面に対するユーザの入力にしたがって、給紙部14と、折り給紙部16と、搬送部18と、折り部20と、排出部22と、を制御し、用紙束を作成する。制御部70の詳細な機能および構成については、図4で後述する。
【0024】
図3は、給紙部14とその周辺を示す。給紙部14は、第1センサ50をさらに含む。
給紙機構28は、補助給紙ローラ54と、給紙ローラ56と、サバキ板58と、を有する。補助給紙ローラ54は、給紙トレイ26の端部上方に配置され、給紙トレイ26に積載された用紙の最上位の用紙に圧接して回転し、最上位の用紙を送り出す。
【0025】
給紙ローラ56は、補助給紙ローラ54の用紙搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)に配置される。サバキ板58は、給紙ローラ56と接するよう給紙ローラ56の下方に配置される。補助給紙ローラ54によって最上位の用紙が給紙ローラ56とサバキ板58との間に送り込まれると、給紙ローラ56がその用紙をさらに下流側に送り出す。
【0026】
給紙ローラ56はシリコンゴムにより形成され、サバキ板58はウレタンゴムにより形成されているため、給紙ローラ56と、サバキ板58と、用紙とには、(給紙ローラ56と用紙との間の摩擦係数)>(サバキ板58と用紙との間の摩擦係数)>(用紙間の摩擦係数)といった関係が成立する。複数枚の用紙が重なり合った状態で送り込まれた場合は、この摩擦力の大小関係によって次位以降の用紙の送り出しが阻止され、最上位の用紙だけが給紙ローラ56とサバキ板58の間を抜けてサブ搬送部34に送り出される。
【0027】
サブ搬送部34は、一対のサブ搬送ローラ62を有する。一対のサブ搬送ローラ62は、給紙部14によって送り出された用紙をメイン搬送部36に送り出す。メイン搬送部36は、複数対のメイン搬送ローラ66と、複数対のメインガイドプレート68と、を有する。図3では、一対のメイン搬送ローラ66と一対のメインガイドプレート68とを表示している。一対のメイン搬送ローラ66と一対のメインガイドプレート68は、左右2つの給紙部14に対応して配置される。一対のメイン搬送ローラ66は、サブ搬送部34を通じて送り込まれた用紙を下方に搬送する。一対のメインガイドプレート68は、用紙が鉛直下方に搬送されるよう案内する。
【0028】
第1センサ50は、給紙ローラ56とサブ搬送ローラ62との間に設けられる。第1センサ50は、ここでは光センサによって構成される。第1センサ50は、給紙部14から送り出される用紙の先端を検知する。この検知情報は、後述する「一時停止補正」で使用される。
【0029】
図4は、制御部70の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0030】
制御部70は、表示制御部72と、取得部74と、決定部76と、給紙制御部78と、搬送制御部80と、折り制御部82と、排出制御部84と、記憶部86と、を含む。
【0031】
表示制御部72は、操作画面を、操作部90の表示部に表示させる。図5は、操作画面のうちのメイン画面100を示す。表示制御部72は、丁合装置10の電源がオンされると、このメイン画面100を表示する。表示制御部72は、メイン画面タブ102がタッチされたときにも、このメイン画面100を表示する。メイン画面100は、装置模式図104と、処理条件設定欄106と、テンキー108と、処理速度設定欄110と、を含む。
【0032】
装置模式図104には、どの給紙部14から給紙されるかが表示される。「単」という表示は、その給紙部14が単独で給紙することを意味している。一方、「連」という表示は、その中の1つの給紙部14が給紙し、その給紙部14の用紙が無くなると、同じ連段として設定されている他の給紙部14が給紙することを意味している。これにより、給紙部14の用紙無しによって丁合装置10が非稼働となる時間が発生するのを抑止することができる。
【0033】
処理条件設定欄106は、地区表示欄112と、地区選択ボタン114と、部数表示欄116と、地区カウンタ118と、トータルカウンタ120と、丁合枚数表示欄122と、を含む。地区表示欄112には、設定対象となる地区が表示される。ユーザは、地区選択ボタン114をタッチすることにより、設定対象となる地区を変更する。部数表示欄116には、地区表示欄112に表示された地区において作成すべき用紙束の部数が表示される。ユーザは、部数表示欄116をタッチして選択した後、テンキー108をタッチして、地区表示欄112に表示された地区にて作成すべき用紙束の部数を入力する。
【0034】
地区カウンタ118には、ジョブ実行中において、その地区への用紙束の作成部数が表示される。トータルカウンタ120には、他の地区も含む用紙束のトータルの作成部数が表示される。丁合枚数表示欄122には、地区表示欄112に表示された地区での丁合枚数が表示される。
【0035】
処理速度設定欄110は、処理速度表示欄124と、処理速度選択ボタン126と、を含む。処理速度表示欄124には、丁合処理の処理速度が1〜10の10段階で表示される。丁合装置10は、処理速度が「1」のときに最低速で丁合処理を実行し、「10」のときに最高速で丁合処理を実行する。具体的には、丁合装置10は、各給紙部14が用紙を送り出す間隔を長くすることによって処理速度を遅くし、短くすることによって処理速度を速くする。処理速度が高いほど、単位時間あたりに作成される用紙束の部数は増加する。ユーザは、処理速度選択ボタン126をタッチすることにより、丁合処理の処理速度を変更する。なお、本実施の形態では、丁合装置10は、処理速度設定欄110に表示された処理速度に10を乗じた用紙束を、単位時間(1分)あたりに作成するものとして説明する。
【0036】
図4に戻り、取得部74は、操作部90の表示部に表示された操作画面を介して入力された情報を取得する。取得部74は、例えば、図5のメイン画面で示した各項目の値を取得する。取得部74は、例えば処理速度や作成すべき用紙束の部数を取得する。
【0037】
決定部76は、取得部74が取得した処理速度を参照して、給紙開始タイミングを決定する。決定部76は特に、処理速度に応じた部数の用紙束が作成されるように、給紙開始タイミングを決定する。具体的には、処理速度が「1」の場合(すなわち1分間に10部の用紙束を作成する場合)、単位時間(1分)に10回の給紙開始タイミングを含むことになる。また処理速度が「10」の場合(すなわち1分間に100部の用紙束を作成する場合)、単位時間(1分)に100回の給紙開始タイミングを含むことになる。
【0038】
給紙制御部78は、各給紙部14が用紙を送り出すよう制御する。給紙制御部78は、取得部74が取得した処理速度に応じて、「第1の給紙制御」または「第2の給紙制御」により各給紙部14による給紙を制御する。本実施の形態では、給紙制御部78は、処理速度が所定の閾値(ここでは「7」)以下の場合に「第1の給紙制御」を行い、処理速度が閾値より大きい場合に「第2の給紙制御」を行う。
【0039】
(第1の給紙制御)
給紙制御部78は、各給紙部14に信号を送り、その補助給紙ローラ54および給紙ローラ56を駆動させ、用紙を下流側に送り出す。給紙制御部78は特に、各給紙部14から送り出された用紙がメイン搬送部36において先端同士が揃った状態で重なるよう、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56の駆動を制御する。具体的には、給紙制御部78は、各給紙部14の高さ位置に応じた時間だけ給紙開始タイミングから遅れたタイミングで、その補助給紙ローラ54および給紙ローラ56が駆動を開始(以下、単に「始動」ともいう)するよう制御する。用紙束はメイン搬送部36によって下方に搬送されていくため、下側の給紙部14の補助給紙ローラ54および給紙ローラ56ほど、始動するタイミングは遅れることとなる。
【0040】
ここで、各給紙部14について、用紙が、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56に対してスリップすることなく給紙されれば、給紙された用紙がメイン搬送部36において合流したときに互いの下流側の先端が揃う。しかしながら、サブ搬送ローラ62に用紙の先端がくわえ込まれるまでは、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56と用紙とにスリップが生じる場合がある。この場合は、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56の回転量と用紙の搬送量とは比例せず、用紙束の各用紙の先端同士が揃わなくなる。
【0041】
そこで、本実施の形態では、用紙を一旦停止させることによる補正(以下、「一時停止補正」と呼ぶ)を実施する。具体的には、給紙制御部78は、各給紙部14について、送り出された用紙の先端を第1センサ50が検知すると、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56の回転を停止させる。これにより、用紙の先端を各給紙部14に渡ってセンサ位置より下流の位置に停止させることができる。続いて、給紙制御部78は、各給紙部14について、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56の回転を再開させ、用紙の送り出しを再開させる。
【0042】
ここで、給紙ローラ56の慣性のばらつき及び給紙ローラ56とサバキ板58との圧接力であるサバキ圧のばらつき等により、用紙の停止位置は給紙部14ごとにばらつく。そこで、給紙制御部78は、第1センサ50から検知信号を受けてから補助給紙ローラ54および給紙ローラ56が停止するまでのそれらの回転量を計測することにより、用紙の先端がセンサ位置から突出した距離(突出量)を算出する。給紙制御部78は、その後、所定の遅延基準信号から、突出量だけ遅らせた再始動信号により、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56を駆動させ、用紙を搬送部18に送り出す。所定の遅延基準信号のタイミングは、上側の給紙部14から下側の給紙部14に向かって、互いの高さ位置の差に応じた時間ずつ遅らせたタイミングである。従って、上記ばらつきがゼロであれば、所定の遅延基準信号のタイミングで補助給紙ローラ54および給紙ローラ56を駆動させれば、合流後に先端が揃うことになる。しかし、実際には突出量のばらつきにより揃わないことがあるため、その突出量を実測し、その分だけ遅らせて再始動信号を出すことにより、合流後に先端が揃うということである。
【0043】
(第2の給紙制御)
給紙制御部78は、第1の給紙制御の場合と同様に、各給紙部14の高さ位置に応じた時間だけ給紙開始タイミングから遅れたタイミングで、各給紙部14の補助給紙ローラ54および給紙ローラ56が始動するよう制御する。第2の給紙制御では、一時停止補正は行わずに、用紙をサブ搬送部34に送り出す。つまり、第2の給紙制御では、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56が駆動を初めてからサブ搬送ローラ62に用紙の先端がくわえ込まれるまで、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56を継続的に駆動させる。
【0044】
搬送制御部80は、サブ搬送部34およびメイン搬送部36による用紙の搬送を制御する。折り制御部82は、折り給紙部16による折り用紙の給紙と、折り部20による用紙の折り込みと、を制御する。具体的には、折り制御部82は、メイン搬送部36によって搬送される用紙束が折り部20に到達する前に、折り用紙がメイン搬送部36の下方に位置するよう折り給紙部16に給紙させる。また、折り制御部82は、メイン搬送部36によって搬送されてきた用紙束が折り用紙に突き当たるタイミングで折りナイフ42を下降させる。
【0045】
排出制御部84は、排出部22による用紙束の排出を制御して、作成された用紙束を積載部24に積載させる。記憶部86は、あらかじめ用意された各種の設定データや、取得部74が取得したデータを記憶する。記憶部86は、例えば、第1の給紙制御を行うか第2の給紙制御を行うかの判断に使用される閾値を記憶する。
【0046】
図6は、丁合装置10の動作を示すフローチャートである。図5のごとく入力されている状態で、ユーザによってスタートボタン(不図示)が押され、丁合処理が開始された場合を例に説明する。取得部74は、メイン画面100に入力された情報を取得する(S10)。取得部74は、例えば処理速度や作成すべき用紙束の部数を取得する。決定部76は、取得部74によって取得された処理速度に基づいて給紙開始タイミングを決定する(S12)。
【0047】
給紙制御部78は、決定部76によって決定された給紙開始タイミングに基づいて、各給紙部14に給紙させる。具体的には、処理速度が7以下である場合(S14のY)、給紙制御部78は第1の給紙制御を行う(S16)。つまり、給紙制御部78は、各給紙部14が一時停止補正を行いつつ給紙するよう制御する。処理速度が7より大きい場合(S14のN)、第2の給紙制御を行う(S18)。つまり、給紙制御部78は、各給紙部14が一時停止補正を行わずに給紙するよう制御する。
【0048】
各給紙部14から給紙された用紙は、メイン搬送部36において合流して重なり合い、用紙束が形成される。折り制御部82は、折り給紙部16に折り用紙を給紙させる(S20)。また、折り制御部82は、メイン搬送部36によって下方に搬送されてきた用紙束が折り用紙に突き当たるタイミングで折りナイフ42を下降させ、折り用紙を折り曲げるとともに、その折り用紙で用紙束を挟む(S22)。折り用紙で挟まれた用紙束は、排出部22によって排出され(S24)、積載部24に積載される。指定された部数の用紙束の作成が完了した場合は(S26のY)、処理を終了する。完了していない場合は(S26のN)、S14に戻る。
【0049】
本実施の形態に係る丁合装置10によれば、処理速度が所定の閾値以下の場合は、一時停止補正を行う第1の給紙制御により給紙される。これにより、用紙と補助給紙ローラ54および給紙ローラ56とのスリップによるずれが補正され、先端が揃った用紙束を作成することができる。一方、処理速度が閾値より大きい場合は、一時停止補正を行わない第2の給紙制御により給紙される。一時停止補正を行う場合は、停止している状態の補助給紙ローラ54および給紙ローラ56を始動させる回数が、一時停止補正を行わない場合と比べて2倍になる。そして、停止しているローラを始動させるには比較的大きい電力が必要となるため、一時停止補正を行うと消費電力が高くなる。ここで、処理速度を大きくすると、単位時間あたりに作成するべき用紙束の部数が増え、停止している状態の補助給紙ローラ54および給紙ローラ56を始動させる単位時間あたりの回数が増える。このため、一時停止補正による消費電力の増大が顕著になってくる。これに対し本実施の形態では、処理速度が所定の閾値より大きい場合は、一時停止を行わない第2の給紙制御により制御されるため、消費電力の増大を抑えることができる。
つまり、本実施の形態によれば、処理速度に適した給紙制御を行うことができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係る丁合装置10と、第2の実施の形態に係る丁合装置との主な違いは、第2センサの有無と、第2センサによる検知情報を用いた「始動タイミング補正」の実施の有無である。
【0051】
第2の実施の形態に係る丁合装置は、第1の実施の形態に係る丁合装置10と同様に、筐体12と、給紙部14A〜14Tと、折り給紙部16と、搬送部18、折り部20と、排出部22と、積載部24と、制御部70と、操作部90と、を備える。
【0052】
図7は、第2の実施の形態に係る丁合装置の給紙部14とその周辺を示す。第2の実施の形態では、給紙部14は、第2センサ52をさらに有する。第2センサ52は、サブ搬送部34とメイン搬送部36との間に設けられる。第2センサ52は、ここでは光センサによって構成される。第2センサ52は、給紙部14からサブ搬送部34に送り出された用紙の先端を検知する。
【0053】
図8は、第2の実施の形態に係る丁合装置の制御部70の機能および構成を示すブロック図である。制御部70は、計測部88をさらに備える。計測部88は、各給紙部14について、給紙開始タイミングから、給紙された用紙が第2センサ52に検知されるタイミングすなわち給紙された用紙が第2センサ52の位置に達するタイミングまで、に要する時間を示す給紙時間を計測し、これを記憶部86に登録する。
【0054】
給紙制御部78は、各給紙部14について、計測部88が計測した給紙時間を参照して、予め定められた目標時間と給紙時間との差を示す到達時間差を算出する。本実施の形態では、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56に対して用紙がスリップしなかった場合に、給紙開始タイミングから第2センサ52に用紙の先端が到達するタイミングまでに要する時間を目標時間とする。給紙制御部78は、この目標時間と給紙時間とを比較してその差を算出し、過去N回(例えば10回)分について平均したものを到達時間差とする。
【0055】
続いて、給紙制御部78は、各給紙部14に信号を送ってその補助給紙ローラ54および給紙ローラ56を駆動させ、用紙を下流側に送り出す。給紙制御部78は特に、各給紙部14から送り出された用紙が、メイン搬送部36において、先端が揃った状態で重なるよう、各給紙部14による給紙を制御する。具体的には、給紙制御部78は、各給紙部14の位置に応じた時間だけ給紙開始タイミングから遅れたタイミングから、到達時間差が縮小する方向に補正したタイミングで各給紙部14の補助給紙ローラ54および給紙ローラ56が始動するよう制御する。以下、このように補正することを「始動タイミング補正」と呼ぶ。
【0056】
第1の給紙制御を行う場合は、給紙制御部78はさらに一時停止補正を行う。つまり、給紙制御部78は、第1の給紙制御を行う場合は始動タイミング補正と一時停止補正の両方を行い、第2の給紙制御を行う場合は始動タイミング補正だけを行う。
【0057】
本実施の形態に係る丁合装置によれば、第1の給紙制御と第2の給紙制御のいずれの制御の場合でも、始動タイミング補正が行われる。例えば、給紙部14によっては補助給紙ローラ54および給紙ローラ56とスリップを生じやすい用紙が積載される場合がある。つまり、ずれを生じやすい給紙部14もある。これに対し、本実施の形態に係る丁合装置によれば、始動タイミング補正が行われるため、こうしたずれを低減することができる。そのため、給紙部14から給紙された用紙が重なったときの先端同士のずれを低減できる。
【0058】
以上、実施の形態に係る丁合装置や製本システムについて説明した。これらの実施の形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、実施の形態同士の組み合わせも可能である。
【0059】
(変形例1)
第1、2の実施の形態では特に言及しなかったが、所定の閾値より大きい処理速度が設定された場合に、一時停止補正が行われない旨の警告が表示されてもよい。例えば、取得部74が取得した処理速度が所定の閾値より大きい場合、表示制御部72は、一時停止補正を行わない旨の警告を操作部90の表示部に表示してもよい。また、表示制御部72は、警告を表示する際に、「OK」(一時停止補正を行わない制御を行う)と、「NG」(処理速度を閾値と同じ値に落として一時停止補正を行う制御を行う)とを表示してもよい。この場合、ユーザが「OK」か「NG」かを選択し、取得部74がこの選択情報を受け取る。そして、選択情報にしたがって給紙制御部78が各給紙部14を制御する。
【0060】
(変形例2)
第1、2の実施の形態では特に言及しなかったが、所定の閾値より大きい処理速度が設定された場合に、原則通りに第2給紙制御を行う第1のモードと、所定の閾値より大きい処理速度が設定された場合であっても第1の給紙制御を行う第2のモードと、をユーザが選択できるようにしてもよい。具体的には、取得部74は、ユーザが第1のモードと第2のモードとのいずれを選択したかを示す情報を取得する。そして給紙制御部78は、ユーザが選択したモードにしたがって各給紙部14を制御する。
【0061】
(変形例3)
第1、2の実施の形態では特に言及しなかったが、所定の閾値より大きい処理速度が設定された場合に、原則通りに第2給紙制御を行う第1のモードと、所定の閾値より大きい処理速度が設定された場合は、所定の閾値と同じまたは所定の閾値以下の処理速度が設定されたものとして第1の給紙制御を行う第3のモードと、をユーザが選択できるようにしてもよい。具体的には、取得部74は、ユーザが第1のモードと第3のモードとのいずれを選択したかを示す情報を取得する。そして給紙制御部78は、ユーザが選択したモードにしたがって各給紙部14を制御する。本変形例によれば、用紙束の各用紙の先端同士の揃いを若干犠牲にしてでも高速処理を行いたいユーザにも、処理速度よりも先端同士の揃いを優先したいユーザにも、使いやすい丁合装置を提供することができる。
【0062】
(変形例4)
第1、2の実施の形態では特に言及しなかったが、所定の閾値をユーザが設定できるようにしてもよい。例えば取得部74は、ユーザによって指定された閾値を取得し、記憶部86に記憶する。給紙制御部78は、取得部74が取得した閾値に基づいて、第1の給紙制御を行うか第2の給紙制御を行うかを判断し、各給紙部14を制御する。
【0063】
(変形例5)
第1、2の実施の形態では特に言及しなかったが、表示制御部72は、第1の給紙制御と第2の給紙制御のいずれによって給紙制御される処理速度であるか、すなわち一時停止補正が行われるか処理速度であるか否かが一目で把握できるように表示してもよい。例えば、メイン画面100の処理速度表示欄124において、一時停止補正が行われない処理速度が設定されている場合は処理速度が「赤色」で表示され、一時停止補正が行われる処理速度が設定されている場合は「緑色」で表示されるようにしてもよい。
【0064】
(変形例6)
第2の実施の形態では、給紙制御部78は、目標時間と給紙時間とを比較して、その差を算出して過去N回(例えば10回)分について平均する場合について説明したが、これに限られない。例えば、給紙制御部78は、前回、または前々回の給紙時間と目標時間との差を算出してもよい。
【0065】
(変形例7)
第2の実施の形態では、所定の閾値以上の処理速度が設定された場合は始動タイミング補正だけが行われる。ここで、計測部88による給紙時間の計測回数が少ない時点では精度の高い始動タイミング補正ができない場合がある。そのため、計測回数が少ない時点では、給紙部14から給紙された用紙が重なったときの先端同士のずれが比較的大きくなりうる。
【0066】
そこで、第2の実施の形態において所定の閾値以上の処理速度が設定された場合に、最初のN回の給紙は設定された処理速度ではなく閾値以下の処理速度(例えば閾値と同じ処理速度)で第1の給紙制御を行い、その後は設定された処理速度で第2の給紙制御を行うようにしてもよい。つまり、所定の閾値以上の処理速度が設定された場合であっても、最初のN回の給紙では始動タイミング補正に加えて一時停止補正を行うようにしてもよい。「N」には、精度の高い始動タイミング補正を実現するために必要な計測回数を設定すればよい。この場合、十分な計測回数を確保できるまで、すなわち精度の高い始動タイミング補正ができるようになるまでは始動タイミング補正に加えて一時停止補正も行われるため、それまでの用紙のずれを低減することができる。
【0067】
また、最初のN回において、給紙ローラ56の始動から、送り出された用紙の先端が第1センサ50に達するまでの時間について、スリップが無かった場合の理論値と、実際に計測された実測値とを比較して、一時停止前のスリップによるずれ量を計測し、N回分の計測データの平均値の分だけ、N+1回目の始動タイミングが早くなるように補正してもよい。そうすれば、最初のN回分で発生した一時停止前のずれと、一時停止後のずれの両方を考慮した補正を、N+1回目の給紙から行うことができるので、先端ずれをより抑制することができる。
【0068】
(変形例8)
第1、2の実施の形態では、給紙機構28が摩擦力を利用して用紙を送り出すいわゆるフリクション式の給紙機構である場合について説明したが、これに限られない。給紙機構28は、エアの吸着力を利用して用紙を送り出すいわゆるサクション式の給紙機構であってもよい。
【0069】
(変形例9)
第1、2の実施の形態では、第1センサ50が給紙ローラ56とサブ搬送ローラ62との間に設けられる場合について説明したが、これに限られない。第1センサ50は、サブ搬送ローラ62の下流側で、メイン搬送部36に合流するよりも手前に設けられてもよい。本変形例では、第1の給紙制御を行う場合、給紙制御部78は、各給紙部14について、送り出された用紙の先端を第1センサ50が検知すると、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56の回転を停止させるとともに、サブ搬送ローラ62の回転も停止させる。続いて、給紙制御部78は、各給紙部14について、サブ搬送ローラ62の回転を再開させ、用紙の送り出しを再開させる。給紙ローラ56および補助給紙ローラ54は、支持軸との間にワンウェイクラッチが介装されているので、送り出される用紙に従動して回転する。
【0070】
ここで第1、2の実施形態と同様に、第1センサ50から検知信号を受けてからサブ搬送ローラ62が停止するまでのサブ搬送ローラ62回転量を計測することにより、用紙の先端がセンサ位置から突出した距離を算出し、所定の遅延基準信号から、突出量だけ遅らせた再始動信号により、サブ搬送ローラ62を駆動させてもよいが、サブ搬送ローラ62は用紙を表裏両面からローラで挟持するから、サバキ板58との間で用紙を挟持する給紙ローラ56に比べると滑りが発生しにくく、ばらつく余地が少ない。したがって、所定の遅延基準信号から遅らせることなくサブ搬送ローラ62を駆動させてもよい。
【0071】
また本変形例では、第2の給紙制御を行う場合、一時停止補正は行わずに、用紙をメイン搬送部36に送り出す。つまり、第2の給紙制御では、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56が駆動を初めてから、用紙の先端がメイン搬送部36に合流して、メイン搬送ローラ66にくわえ込まれるまで、サブ搬送ローラ62を継続的に駆動させる。
【0072】
(変形例10)
第1、2の実施の形態では、給紙制御部78は、取得部74が取得した処理速度が所定の閾値以下の場合に第1の給紙制御を行い、所定の閾値を超える場合に第2の給紙制御を行う場合について説明したが、これに限られない。給紙制御部78が第1の給紙制御を行うかまたは第2の給紙制御を行うかをユーザが選択できるようにしてもよい。
【0073】
この場合、表示制御部72は、操作部90の表示部に、第1の給紙制御または第2の給紙制御のどちらの給紙制御を行うかを選択するための画面を表示する。取得部74は、この画面を介してユーザが第1給紙制御と第2給紙制御とのいずれを選択したかを示す情報を取得する。給紙制御部78は、ユーザが選択した給紙制御により各給紙部14を制御する。また、本変形例では、第1の給紙制御が選択された場合、メイン画面100の処理速度設定欄110に所定の閾値(例えば7)を超える処理速度が指定できないように制限され、その閾値以下の処理速度だけが指定できる。一方、第2の給紙制御が選択された場合は、その閾値以下の処理速度であっても、その閾値を超える処理速度であっても設定できる。
【0074】
本変形例によれば、第1の給紙制御で高速処理が行われることによる消費電力上昇を回避することができる。
【0075】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、第1、2の実施の形態およびそれらの変形例で示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。例えば、請求項に記載の搬送部は第1、2の実施の形態の搬送部18により実現され、請求項に記載の給紙機構は第1、2の実施の形態の給紙機構28により実現されてもよい。また例えば、請求項に記載の搬送部は変形例9のメイン搬送部36により実現され、請求項に記載の給紙機構は変形例9のサブ搬送ローラ62と給紙機構28との連携により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 丁合装置、 14 給紙部、 18 搬送部、 28 給紙機構、 70 制御部、 74 取得部、 78 給紙制御部、 70 制御部、 74 取得部、 76 決定部、 78 給紙制御部、 100 メイン画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8