特許第6349610号(P6349610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349610
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】欠陥検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   G01N21/892 A
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-210584(P2014-210584)
(22)【出願日】2014年10月15日
(65)【公開番号】特開2016-80462(P2016-80462A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】592180823
【氏名又は名称】株式会社メック
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】布施 正樹
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−195413(JP,A)
【文献】 特開2005−061955(JP,A)
【文献】 特開2002−310921(JP,A)
【文献】 特開2013−108878(JP,A)
【文献】 特開2006−282372(JP,A)
【文献】 特開2013−053006(JP,A)
【文献】 特開2009−143653(JP,A)
【文献】 特開2014−145660(JP,A)
【文献】 特開平11−189970(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/9280687(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0164430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の一方の主面側から照明するライン状照明装置と、
前記ライン状照明装置によって照明された前記検査対象を他方の主面側から撮像するラインセンサと、
前記検査対象の非検査領域を透過したライン状照明装置からの光を遮光する、前記検査対象の搬送方向とは垂直方向である幅方向のそれぞれの端部側に設けられた一対の遮光板と、
前記一対の遮光板それぞれに取り付けられ、前記検査対象の検査領域から非検査領域に向かって並び、前記ライン状照明装置からの受光量に応じて第1信号または前記第1信号とは異なる信号である第2信号のいずれかを検出結果として出力する第1センサ、第2センサ、第3センサと、
前記一対の遮光板それぞれに取り付けられた第1センサ、第2センサ、第3センサの出力の組合せに応じて、前記一対の遮光板それぞれを独立に前記検査対象の幅方向に移動させる遮光板移動制御装置と、
を備え、
前記遮光板移動制御装置は、
前記第2センサの出力が第1信号、前記第3センサの出力が第1信号の場合、前記遮光板を前記検査対象の非検査領域側から検査領域側に移動させ、
前記第1センサの出力が第2信号、前記第2センサの出力が第2信号、前記第3センサの出力が第1信号の場合、前記遮光板を移動させず、
前記第1センサの出力が第2信号、前記第2センサの出力が第2信号、前記第3センサの出力が第2信号の場合、前記遮光板を前記検査対象の検査領域側から非検査領域側に移動させる、
ことを特徴とする欠陥検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行するフィルムに含まれる欠陥を検出するための欠陥検査装置が知られている。また低透過率の検査対象の検査装置にCCD(Charge Coupled Device)カメラを使用した場合は、ブルーミングを防止するため、照明の光が直接、カメラに入力しないように遮光板を使用している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−61955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の欠陥検査装置では、検査対象の境界位置まで遮光板を移動させて、CCDカメラのブルーミングの防止ができている。しかしながら、検査対象がフィルムや樹脂板など、シート状の素材である場合、搬送方向と直角方向に部材の撓みが生じ、両側の端部が下方にカール(湾曲)することがある。この場合、検査領域と非検査領域との境界を誤検出してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、検査対象の端部がカールしていても、検査領域と非検査領域との境界を誤検出することなく、遮光板を移動させることが可能な欠陥検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の欠陥検査装置は、検査対象の一方の主面側から照明するライン状照明装置と、前記ライン状照明装置によって照明された前記検査対象を他方の主面側から撮像するラインセンサと、前記検査対象の非検査領域を透過したライン状照明装置からの光を遮光する、前記検査対象の搬送方向とは垂直方向である幅方向のそれぞれの端部側に設けられた一対の遮光板と、前記一対の遮光板それぞれに取り付けられ、前記検査対象の検査領域から非検査領域に向かって並び、前記ライン状照明装置からの受光量に応じて第1信号または前記第1信号とは異なる信号である第2信号のいずれかを検出結果として出力する第1センサ、第2センサ、第3センサと、前記一対の遮光板それぞれに取り付けられた第1センサ、第2センサ、第3センサの出力の組合せに応じて、前記一対の遮光板それぞれを独立に前記検査対象の幅方向に移動させる遮光板移動制御装置と、を備え、前記遮光板移動制御装置は、前記第2センサの出力が第1信号、前記第3センサの出力が第1信号の場合、前記遮光板を前記検査対象の非検査領域側から検査領域側に移動させ、前記第1センサの出力が第2信号、前記第2センサの出力が第2信号、前記第3センサの出力が第1信号の場合、前記遮光板を移動させず、前記第1センサの出力が第2信号、前記第2センサの出力が第2信号、前記第3センサの出力が第2信号の場合、前記遮光板を前記検査対象の検査領域側から非検査領域側に移動させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遮光板移動制御装置は、遮光板に取り付けられ、検査対象の検査領域から非検査領域に向かって並んでいる第1センサ、第2センサ、第3センサの出力に基づいて、遮光板を移動させる。これにより、検査対象がカールしている場合であっても、検査領域と非検査領域との境界を誤検出することなく、遮光板を移動させることが可能な欠陥検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の装置構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態の検査対象1を説明するための図である。
図3】センサの出力と遮光板移動制御装置11による判定結果と判定結果による遮光板の移動とについて説明するための図である。
図4】検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合のセンサの出力結果を示す図である。
図5】センサの出力と比較例の遮光板移動制御装置による判定結果と判定結果による遮光板の移動とについて説明するための図である。
図6】検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合のセンサの出力結果を示す図である。
図7】遮光板がない場合の検査対象周辺のカメラ波形を説明するための図である。
図8】遮光板がある場合の検査対象周辺のカメラ波形を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の装置構成の一例を示すブロック図である。欠陥検査装置100は、ライン状照明装置2、ラインセンサ3、自動遮光板4a、自動遮光板4b、ロータリエンコーダ5、シーケンサ6、画像処理装置7、画像処理PC8、操作PC9、出力装置10、センサA1、センサB1、センサC1、センサA2、センサB2、センサC2、及び遮光板移動制御装置11から構成される。
【0010】
欠陥検査装置100の検査対象である検査対象1は、フィルムや樹脂板など、シート状(またはフィルム状)の透光性を有する素材である。検査対象1は、一方向に一定速度で搬送される。図2は、本実施形態の検査対象1を説明するための図である。図2は、検査対象1を搬送方向に対して垂直に切断した場合の断面図を表している。図2(a)に示すように、検査対象1は、透明フィルム1−1(非検査領域)と、加工部1−2(検査領域)とから構成される。加工部1−2は、透明フィルム1−1の幅方向(図1、及び図2に示す左右方向であり、搬送方向とは水平面において垂直な方向)端部以外に透過率の低い材料が塗布された領域である。加工部1−2の幅方向の両側に透明フィルム1−1がある。
【0011】
本実施形態の欠陥検査装置100は、遮光板を検査対象1の蛇行に合わせて自動追従させ、低透過率の加工部1−2を検査する。特に、遮光板は、図2(a)に示したような検査対象1の加工部分の境界(透明フィルム1−1と加工部1−2との境界部分)を自動追従する。さらに、詳細は後述するが、遮光板は、図2(b)に示したような検査対象1の端部がカールした場合であっても、誤検出することなく加工部分の境界を自動追従することができる。
【0012】
ライン状照明装置2は、検査対象1の一面を、検査対象1の一方の主面側から照明するためのものであり、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明、石英ロッド照明装置、光ファイバ照明装置など、ライン状の発光領域を有する照明装置である。本実施形態では、検査対象1が低透過率のため、ライン状照明装置2として、高輝度なLED照明装置が用いられている。LED照明装置の長さは120mm単位で設定することが可能となっている。
【0013】
ラインセンサ3は、例えばCCDの5000素子ラインセンサであり、焦点距離fが50mmのレンズを採用している。このラインセンサ3は1台で、1画素あたり0.1mmの分解能の場合、検査対象1の約450mmの範囲の画像を読み取ることができる。ただし、この例に限定されず、ラインセンサ3として、例えば、2048素子、4096素子、8192素子等、各種の素子数のものを用いることができ、検査対象1と検出欠陥の種類に応じて適正な素子数のものを選択すればよい。また、図1ではラインセンサ3は1台しか記載していないが、検査対象1の幅と幅分解能により、必要な台数を使用することが望ましい。
ラインセンサ3は、検査対象1の背面側からライン状照明装置2によって照射され、加工部1−2を透過した光を受光することで、検査対象1を他方の主面側から撮像する。
【0014】
自動遮光板4a及び自動遮光板4b(一対の遮光板)は、ラインセンサ3が、検査対象1がない範囲、及び透明フィルム1−1の範囲からの高輝度な光を受光しないように遮光するために、検査対象1の上方に取り付けられている。なお、上下方向とは、検査対象1の搬送方向及び幅方向に垂直な方向である。自動遮光板4aは、図1では検査対象1の幅方向の右側、すなわち検査対象1の端部側に設置される。一方、自動遮光板4bは、幅方向の左側、すなわち検査対象1の端部側に設置される。
自動遮光板4a及び自動遮光板4bは、検査対象1の透明フィルム1−1と加工部1−2との境界を自動追従するように矢印の方向に独立に移動し、検査対象1がない範囲、及び透明フィルム1−1の範囲からの高輝度な光をラインセンサ3が受光しないようにする。
ここで、自動遮光板4a及び自動遮光板4bの検査対象1との幅方向の位置関係は、以下のように設定される。検査対象1と自動遮光板4a及び自動遮光板4bとの間の上下方向の距離を距離Lとする。また、ラインセンサの受光角を受光角θとする。ラインセンサ3の周辺部からの光もれがないように、(L×tan(θ/2)+α)分、自動遮光板4a及び自動遮光板4bのそれぞれの先端は、検査対象1の加工部1−2と透明フィルム1−1との境界よりも内側に設定される。ラインセンサ3として、焦点距離50mmのラインセンサ用レンズを採用する場合、θ=37°であり、例えば、L=10mm、α=2mmとすると、(10×tan(37°/2)+2)=6mm(小数点以下は切り上げ)となる。このようにして、自動遮光板4a及び自動遮光板4bのそれぞれの先端は、検査対象1の加工部1−2と透明フィルム1−1との境界よりも6mm内側に設定される。
【0015】
ロータリエンコーダ5は、検査対象1の走行量に応じたパルスを出力するものである。ロータリエンコーダ5は、分解能パルスを出力し、検査対象1の走行速度が変化しても、流れ分解能を一定にしている。シーケンサ6は、ロータリエンコーダ5から出力されるパルスをカウントすることにより、ラインセンサ3の読み出しのタイミングを制御するためのものである。
【0016】
画像処理装置7は、シーケンサ6から出力されるパルスに応じて、ラインセンサ3から出力される撮像データを読み取り、所定のライン単位でリアルタイムに欠陥検出処理を実施するものである。画像処理装置7として、例えばメック社製の画像処理装置(型名:LSC600)を用いることができる。画像処理装置7は、前処理部7−1、2値化部7−2、ランレングス符号化部7−3、連結性処理部7−4を備える。
【0017】
前処理部7−1は、ラインセンサ3から得られる撮像データの補正、強調などを実施するためのものである。前処理部7−1は、例えば、検査対象1の走行速度の変動を補正する速度補正、レンズの歪や照明斑等による画像のばらつきを補正するシェーディング補正等を実施する。
2値化部7−2は、前処理部7−1から出力された画像データを、予め指定された閾値で2値化するものである。2値化部7−2は、例えば明暗に応じて画像を2値化する。
ランレングス符号化部7−3は、2値化データをライン単位で圧縮するものである。
連結性処理部7−4は、圧縮された2値化データの連結性処理を行うものであり、これにより、欠陥の位置、サイズ、座標等の特徴量を抽出する。
【0018】
画像処理PC8は、リアルタイムOSで制御され、ライン状照明装置2、ラインセンサ3、シーケンサ6などを高速で制御するものである。また、画像処理PC8は、画像処理装置7から入力された画像データから、欠陥の座標、欠陥のサイズ、欠陥の分類名などを含む欠陥詳細データを生成して操作PC9に出力する。
【0019】
操作PC9は、検査条件の設定、検査中の画面表示、過去の検査結果の確認等を行うためのものであり、OS(オペレーティングシステム)を搭載したコンピュータである。操作PC9は、検査中の画面表示として、画像処理PC8から出力された欠陥詳細データ、リストやマップ、画像などを出力装置10に表示させる。
【0020】
出力装置10は、操作PC9の処理結果を提示する提示部として機能するものである。また、出力装置10は、欠陥を検出した場合、警報、表示などにより報知する。ただし、この例に限定されず、出力装置10による情報の提示形態は任意である。
【0021】
センサA1(第1センサ)、センサB1(第2センサ)、センサC1(第3センサ)は、幅方向において、検査対象1の加工部1−2から透明フィルム1−1への向きに並ぶように、自動遮光板4aに取り付けられている。センサA1、センサB1、センサC1は、それぞれファイバセンサであり、ライン状照明装置2からの受光量が所定の閾値を超えると出力を第2信号から第1信号へと変化させるセンサである。ここで、第1信号はON信号であり、第2信号は第1信号とは異なるOFF信号である。
センサA1、センサB1、センサC1は、幅方向に2mmの間隔で配置されている。また、センサA1、センサB1、センサC1は、センサの寸法が17×7mmであるため、搬送方向にはずらして配置されている。なお、このセンサの幅方向間隔は、追従精度により適宜選択できるように構成されている。
同様に、センサA2(第1センサ)、センサB2(第2センサ)、センサC2(第3センサ)は、幅方向において、検査対象1の加工部1−2から透明フィルム1−1への向きに並ぶように、自動遮光板4bに取り付けられている。
【0022】
遮光板移動制御装置11は、自動遮光板4aに取り付けられたセンサA1、センサB1、センサC1の出力の組合せに応じて、自動遮光板4aを、検査対象1の搬送方向とは垂直方向である幅方向に移動させる。また、遮光板移動制御装置11は、自動遮光板4bに取り付けられたセンサA2、センサB2、センサC2の出力の組合せに応じて、自動遮光板4bを、自動遮光板4aとは独立に、検査対象1の搬送方向とは垂直方向である幅方向に移動させる。
【0023】
続いて、遮光板移動制御装置11が、センサの出力によって、どのように自動遮光板を移動させるかについて図3を参照して説明する。図3は、センサの出力と遮光板移動制御装置11による判定結果と判定結果による遮光板の移動とについて説明するための図である。なお、ここでは、一対の自動遮光板のうちの自動遮光板4a、及び自動遮光板4aに取り付けられたセンサA1、センサB1、センサC1を、遮光板、センサA、センサB、センサCとして説明する。
遮光板移動制御装置11は、センサA、センサB、センサCの出力の組合せが、図3に示すNo−1〜No−4の4通りのいずれにあるかを判定する。
遮光板移動制御装置11は、センサAの出力がON、センサBの出力がON、センサCの出力がONの場合、判定結果(センサと検査対象1の位置関係)として、全センサが検査対象1の外側にあると判定する(No−1)。この場合、遮光板移動制御装置11は、遮光板を内側に移動させる。ここで、内側とは幅方向における透明フィルム1−1(非検査領域側)から加工部1−2(検査領域側)への向きであり、外側とは幅方向における加工部1−2から透明フィルム1−1への向きである。
遮光板移動制御装置11は、センサAの出力がOFF、センサBの出力がON、センサCの出力がONの場合、判定結果として、センサAが検査対象1のエッジにあると判定する(No−2)。この場合、遮光板移動制御装置11は、遮光板を内側に移動させる。
遮光板移動制御装置11は、センサAの出力がOFF、センサBの出力がOFF、センサCの出力がONの場合、判定結果として、センサBが加工部1−2内に、センサCが透明フィルム1−1内にあり、すなわち、センサB、及びセンサCが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にあると判定する(No−3)。この場合、遮光板移動制御装置11は、遮光板を移動させない。
遮光板移動制御装置11は、センサAの出力がOFF、センサBの出力がOFF、センサCの出力がOFFの場合、判定結果として、全センサが加工部1−2内にあると判定する(No−4)。この場合、遮光板移動制御装置11は、遮光板を外側に移動させる。
【0024】
遮光板移動制御装置11が、センサA,センサB,センサCの出力を以上説明したように判定するため、検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合であっても、遮光板が加工部1−2と透明フィルム1−1との境界を自動追従することができる。図4は、検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合のセンサの出力結果を示す図である。
図4(a)は、センサAが透明フィルム1−1のエッジにある場合を示しており、この場合、センサAの出力がOFF、センサBの出力がON、センサCの出力がONとなる。遮光板移動制御装置11は、判定結果として、センサAが検査対象1のエッジにあると判定する。遮光板移動制御装置11は、遮光板を内側に移動させる。すなわち、センサAの出力がON、センサBの出力がON、センサCの出力がONの場合と同様、遮光板を内側に移動させる。
図4(b)は、センサB、及びセンサCが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にある場合を示しており、この場合、センサAの出力がOFF、センサBの出力がOFF、センサCの出力がONとなる。遮光板移動制御装置11は、判定結果として、センサB、及びセンサCが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にあると判定する。遮光板移動制御装置11は、遮光板を移動させない。
【0025】
このように、図4(a)に示すセンサAが透明フィルム1−1のエッジにある場合、遮光板を内側に移動させることが可能となり、図4(b)に示すセンサB、及びセンサCが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にある場合の遮光板を移動させない状態にすることが可能となった。すなわち、検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合であっても、図4(b)に示すセンサB、及びセンサCが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にある場合の遮光板を移動させない状態になるように、遮光板を移動させることができる。これにより、遮光板が加工部1−2と透明フィルム1−1との境界を自動追従することができるようになった。
【0026】
この効果を明らかにするため、センサがセンサA、センサBの2つしかない場合の遮光板移動制御装置を比較例として説明する。図5は、センサの出力と比較例の遮光板移動制御装置による判定結果と判定結果による遮光板の移動とについて説明するための図である。なお、自動遮光板4a、センサA1、センサB1を遮光板、センサA、センサBとして説明する。
比較例の遮光板移動制御装置は、センサA、センサBの出力の組合せが、図5に示すNo−1〜No−3の3通りのいずれにあるかを判定する。
比較例の遮光板移動制御装置は、センサAの出力がON、センサBの出力がONの場合、判定結果として、全センサが検査対象1の外側にあると判定する(No−1)。この場合、比較例の遮光板移動制御装置は、遮光板を内側に移動させる。
比較例の遮光板移動制御装置は、センサAの出力がOFF、センサBの出力がONの場合、判定結果として、センサAが加工部1−2内に、センサBが透明フィルム1−1内にあり、すなわち、センサA、及びセンサBが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にあると判定する(No−2)。この場合、比較例の遮光板移動制御装置は、遮光板を移動させない。
比較例の遮光板移動制御装置は、センサAの出力がOFF、センサBの出力がOFFの場合、判定結果として、両センサが加工部1−2内にあると判定する(No−3)。この場合、比較例の遮光板移動制御装置は、遮光板を外側に移動させる。
【0027】
比較例の遮光板移動制御装置が、センサA,センサBの出力を以上説明したように判定するため、検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合、遮光板が加工部1−2と透明フィルム1−1との境界を自動追従することができなくなる。図6は、検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合のセンサの出力結果を示す図である。
図6は、センサAが透明フィルム1−1のエッジにある場合を示しており、この場合、センサAの出力がOFF、センサBの出力がONとなる。比較例の遮光板移動制御装置は、判定結果として、センサA、及びセンサBが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にあると判定する。比較例の遮光板移動制御装置は、遮光板を移動させない。
【0028】
このため、図6に示すセンサAが透明フィルム1−1のエッジにある場合、遮光板を内側に移動させることが不可能であり、センサA、及びセンサBが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にある場合の遮光板を移動させない状態にすることが不可能である。すなわち、検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合、センサA、及びセンサBが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にある場合の遮光板を移動させない状態になるように、遮光板を移動させることができない。そのため、遮光板が加工部1−2と透明フィルム1−1との境界を自動追従することができなかった。
一方、図3及び図4を用いて説明したように、センサA、センサB、センサCの出力により判定する場合、センサAが透明フィルム1−1のエッジにある場合、遮光板を内側に移動させることが可能となり、センサA、及びセンサBが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にある場合の遮光板を移動させない状態にすることが可能である。すなわち、センサA、センサB、センサCの出力により判定する場合、検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合であっても、センサB、及びセンサCが加工部1−2と透明フィルム1−1との境界にある場合の遮光板を移動させない状態になるように、遮光板を移動させることができる。これにより、欠陥検査装置100では、遮光板が加工部1−2と透明フィルム1−1との境界を自動追従することができるようになる効果がある。
【0029】
欠陥検査装置100を使用して、低透過率の検査対象を検査する場合の、ラインセンサ3(カメラ)の出力波形がどのような波形になるかを説明する。図7は、遮光板がない場合の検査対象周辺のカメラ波形を説明するための図である。図8は、遮光板がある場合の検査対象周辺のカメラ波形を説明するための図である。図7及び図8においては、縦軸にラインセンサ3が出力する画像データを、横軸は検査対象1のエッジ(周辺)からの幅方向の距離を示す。
図7に示す様に、遮光板がない場合は、ラインセンサ3の飽和レベルを超える輝度の光が入射し、周辺のカメラ出力が変化する。つまり、ラインセンサ3が出力する画像データによって表される画像のブルーミングを防止できない。一方、図8に示す様に、本発明の自動遮光板を使用した検査では、図7とは異なり安定したカメラ出力が得られる。すなわち、ラインセンサ3が出力する画像データによって表される画像のブルーミングを防止できる。なお、図8の矢印の位置が遮光板の先端の位置である。
このように、本実施形態の欠陥検査装置100は、検査対象1の透明フィルム1−1がカールした場合であっても、検査対象の境界位置まで遮光板を移動させて、CCDカメラのブルーミングの防止ができていることがわかる。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、自動遮光板4a及び自動遮光板4bの外側にリミットセンサを配置してもよい。リミットセンサは、検査対象1が誤って自動遮光板よりも外側に移動することを防止するためのセンサである。検査対象1が、リミットセンサが検出する位置まで移動してきた場合には、異常があるものと判定して自動遮光板を外側に退避して検査を終了する構成としてもよい。また、センサA1、センサB1、センサC1は、ライン状照明装置2からの受光量が所定の閾値を超えると出力を第2信号から第1信号へと変化させるセンサである。ここで、第1信号はON信号であり、第2信号は第1信号とは異なるOFF信号であると説明したが、第1信号がOFF信号であり、第2信号がON信号であってもよい。センサA1、センサB1、センサC1は、ライン状照明装置からの受光量に応じて第1信号または第1信号とは異なる信号である第2信号のいずれかを検出結果として出力する。
【符号の説明】
【0031】
1:検査対象、1−1:透明フィルム、1−2:加工部、2:ライン状照明装置、3:ラインセンサ、4a,4b:自動遮光板、5:ロータリエンコーダ、6:シーケンサ、7:画像処理装置、7−1:前処理部、7−2:2値化部、7−3:ランラングス符号化部、7−4:連結性処理部、8:画像処理PC、9:操作PC、10:出力装置、11:遮光板移動制御装置、100:欠陥検査装置、A,A1,A2,B,B1,B2,C,C1,C2…センサ
図1
図2
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図8