(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MRI装置を用いて猫や犬などの小動物の脊椎を撮影するときに、必要な撮影領域が一回の撮影のFOV(field of view)に納まらない場合には、複数回に分けて撮影する必要がある。
前記した従来の載置台では、高周波コイルをMRI装置の静磁場の中央に配置して撮影した後に、寝台部(被検体)に対して高周波コイルを移動させて撮影領域を変える。これにより、高周波コイルが静磁場の中央からずれるため、テーブルを移動させて、高周波コイルを静磁場の中央に配置し直した後に、次の撮影を行うことになる。
【0005】
このように、前記した載置台では、被検体の撮影領域を変える度に、高周波コイルを静磁場の中央に配置し直す必要があるため、被検体の各部を連続して撮影する作業が煩雑になるという問題がある。
また、被検体を撮像した後に、被検体の撮影領域が必要な撮影領域から僅かにずれていた場合にも、被検体に対して高周波コイルを移動させ、さらに、高周波コイルを静磁場の中央に配置し直す必要があるため、被検体の撮影領域を変える作業が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、被検体の撮影領域を容易に変えることができるとともに、被検体の各部を容易に連続して撮影することができる磁気共鳴イメージング装置用の載置台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、磁気共鳴イメージング装置用の載置台であって、テーブルと、前記テーブルの上に設けられた筒状の高周波コイルと、前記テーブルの上に設けられ、
小動物である被検体が載置される可動載置台と、を備えている。前記可動載置台は、前記高周波コイル内に挿通される寝台部と、前記寝台部が前記高周波コイルの内周面に接触しないように、前記寝台部を支持している脚部と、を備え、前記高周波コイルに対して、前記被検体の体軸方向に移動自在である。
前記寝台部の側面には、前記被検体の体軸方向に目盛が形成されたスケールが設けられており、前記目盛は、前記高周波コイルの所定部位に対峙している。
【0008】
本発明の載置台を用いて、MRI装置によって被検体の各部を撮影する場合には、高周波コイルをMRI装置の静磁場の中央に配置して、被検体を撮影した後に、可動載置台を被検体の体軸方向に移動させることで、被検体の撮影領域を変えて、次の撮影を行うことができる。
このように、本発明の載置台では、最初に高周波コイルを静磁場の中央に配置した後は、高周波コイルに対して可動載置台を移動させることで、被検体の撮影領域を容易に変えることができる。したがって、本発明の載置台では、撮影毎に高周波コイルの位置を調整する必要がないため、被検体の各部を容易に連続して撮影することができる。
【0009】
また、スケールの目盛に基づいて、可動載置台の移動量を容易に把握することができる。したがって、被検体を複数回に分けて撮影するときには、スケールの目盛を参照しつつ、磁気共鳴イメージング装置のFOVの幅に合わせて、可動載置台を移動させることで、連続した画像を精度良く撮影することができる。
【0010】
なお、連続して撮影した撮影領域の一部が重複するように、可動載置台を移動させることが好ましい。このように、連続した二枚の画像の一部をオーバーラップさせることで、撮影されない領域が生じるのを防ぐことができる。
【0011】
また、可動載置台を移動させるための駆動装置を設け、駆動装置への一回の入力で、可動載置台が磁気共鳴イメージング装置のFOVの幅に合わせて移動するように構成した場合には、連続した画像を容易かつ精度良く撮影することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の磁気共鳴イメージング装置用の載置台によれば、高周波コイルを静磁場の中央に配置した状態で、可動載置台を移動させて、被検体の撮影領域を容易に変えることができるため、被検体の各部を容易に連続して撮影することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、犬や猫などの小動物を撮影するためのMRI装置(磁気共鳴イメージング装置)に用いられる載置台について説明する。
【0015】
本実施形態のMRI装置1は、
図1(a)および(b)に示すように、前方および左右側方に開口した開口部1aが形成されており、側面視でC形状に形成されているガントリである。開口部1aの上部および下部には、上下一対の永久磁石1b,1bが設けられている。両永久磁石1b,1bによって、開口部1a内に静磁場が生じている。
【0016】
本実施形態の載置台10は、
図1(b)に示すように、被検体A(小動物)をMRI装置1の開口部1a内に配置するための台である。
載置台10は、テーブル20と、テーブル20の上面20aに設けられた高周波コイル30および可動載置台40と、を備えている。
【0017】
テーブル20は、長方形の天板21と、天板21を支持している前後左右の脚部22と、を備えている。
天板21の左右方向の長さは、MRI装置1の開口部1aの左右方向の長さよりも大きく形成されている。したがって、テーブル20の前後の脚部22を開口部1aの前後に配置し、天板21が左右方向の中央部を開口部1a内に配置することができる。
また、
図1(a)に示すように、天板21の前後方向の長さは、開口部1aの前後方向の長さよりも小さく形成されている。
また、テーブル20は、天板21の下面の高さが開口部1aの下面の高さよりも上方に配置されるように、各脚部22の高さが設定されている。
【0018】
前後左右の脚部22の下端部には、
図1(a)および(b)に示すように、それぞれ車輪23が取り付けられている。これにより、テーブル20は、前後方向に移動自在となっている。
そして、MRI装置1の前方に配置したテーブル20を、後方に向けて移動させることで、天板21の左右方向の中央部を開口部1a内に入れることができる。
【0019】
高周波コイル30(RFコイル)は、MRI装置1の静磁場中(開口部1a内)に置かれた被検体Aからの信号(MR信号)を受信する受信コイルである。
高周波コイル30は、
図2(b)に示すように、筒状に形成されており、円形断面の穴部31が左右方向に貫通している。
高周波コイル30の穴部31内には、
図1(b)に示すように、被検体Aが挿通される。そして、MRI装置1では、高周波コイル30内に配置されている部位の画像を撮影することができる。
【0020】
高周波コイル30の下面は、テーブル20の上面20aに着脱自在に取り付けられている。本実施形態では、天板21の左右方向の中央部に高周波コイル30が取り付けられている。
なお、穴部31の大きさが異なる複数の高周波コイル30が用意されており、被検体Aの大きさに合わせて、高周波コイル30を選択するように構成されている。
【0021】
可動載置台40は、被検体Aを載置する載置台であり、
図2(a)に示すように、左右方向に延びている寝台部41と、寝台部41を支持している前後左右の脚部42と、を備えている。
寝台部41の上面40aは、軸断面が略半円形状となるように凹形状に窪んでいる。このように、寝台部41の上面40aを窪ませることで、
図1(a)に示すように、寝台部41の上面40aに被検体Aを安定して載置することができる。
なお、寝台部41の形状や大きさが異なる複数の可動載置台40が用意されており、被検体Aの大きさに合わせて、可動載置台40を選択するように構成されている。
【0022】
前後左右の脚部42の下端部には、
図1(a)および(b)に示すように、それぞれ車輪43が取り付けられている。これにより、可動載置台40は、
図3に示すように、作業者が手で押し引きすることで、左右方向に移動自在となっている。
可動載置台40は、
図2(c)に示すように、高周波コイル30の穴部31に対して左右方向に挿通されている。
可動載置台40の寝台部41の外面が、高周波コイル30の穴部31の内周面に接触しないように、脚部42の高さが設定されている。
可動載置台40は、高周波コイル30の穴部31に挿通されている状態で、左右方向に移動自在である。
【0023】
寝台部41の前側の側面には、
図1(b)に示すように、被検体Aの体軸方向(左右方向)に目盛が形成されたスケール44が設けられている(
図2(a)参照)。
高周波コイル30の所定部位(例えば、前縁部または後縁部)に対応するスケール44の目盛を読み取ることで、高周波コイル30に対する可動載置台40の位置を把握することができる。
【0024】
次に、本実施形態の載置台10を用いたMRI装置1によって、被検体A(小動物)の脊椎を二回に分けて撮影する手順について説明する。
まず、
図1(a)に示すMRI装置1の前方に載置台10を配置し、可動載置台40の上面40aに被検体Aを仰向けに寝かせた状態で載置する。これにより、被検体Aは高周波コイル30に挿通された状態となる。
【0025】
続いて、テーブル20を後方に向けて移動させ、被検体Aおよび高周波コイル30をMRI装置1の開口部1a内に配置する。このとき、高周波コイル30を静磁場の中央に配置する。
また、可動載置台40を左右方向に移動させて、被検体Aを撮影する領域を高周波コイル30の穴部31内に配置して撮影を行う。
【0026】
最初の撮影が完了した後に、
図3に示すように、作業者は可動載置台40を手で左右方向に移動させることで、高周波コイル30に対して被検体Aを体軸方向に移動させ、被検体Aの撮影領域を変える。
このとき、スケール44の目盛を参照して、可動載置台40をMRI装置1のFOVの幅に合わせて移動させる。これにより、最初の撮影領域に隣接する領域を撮影することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、可動載置台40の移動距離をFOVの幅よりも僅かに短い距離に設定している。これにより、最初の撮影領域の一部と、二回目の撮影領域の一部とが重複する。このようにして、
図4に示すように、連続した二枚の画像P1,P2にそれぞれオーバーラップした領域R,Rを設けることで、撮影されない領域が生じるのを防ぐことができる。
【0028】
以上のような本実施形態の載置台10では、
図1(b)に示すように、高周波コイル30を静磁場の中央に配置して、被検体Aを撮影した後に、
図3に示すように、可動載置台40を被検体Aの体軸方向に移動させることで、被検体Aの撮影領域を変えることができる。したがって、本実施形態の載置台10では、撮影毎に高周波コイル30の位置を調整する必要がないため、被検体Aの各部を容易に連続して撮影することができる。
【0029】
また、本実施形態の載置台10では、可動載置台40の側面に設けられたスケール44の目盛に基づいて、可動載置台40の移動量を容易に把握することができる。つまり、スケール44の目盛に基づいて、被検体Aの移動量を容易に把握することができる。
したがって、スケール44の目盛を参照しつつ、MRI装置1のFOVの幅に合わせて、可動載置台40を移動させることで、連続した画像を精度良く撮影することができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である
。
【0031】
本実施形態の載置台10では、
図3に示すように、作業員が手で可動載置台40を移動させるように構成されているが、可動載置台40を移動させるための駆動装置を設けてもよい。
そして、駆動装置への一回の入力で、可動載置台40がMRI装置1のFOVの幅に合わせて移動するように構成することで、被検体Aの各部を効率良く連続して撮影することができる。
【0032】
なお、可動載置台40を移動させるための駆動装置としては、テーブル20と可動載置台40との間に歯車機構を設け、レバーやダイヤル等の操作手段によって、可動載置台40を移動させることができる。また、可動載置台40に駆動モータを設け、駆動モータの駆動力によって、可動載置台40を移動させることもできる。
【0033】
本実施形態では、
図3に示すように、可動載置台40の脚部42の下端部に車輪43を設けることで、可動載置台40が移動可能となっているが、可動載置台40を移動させるための構成は限定されるものではない。
例えば、脚部42の下端部に車輪43を設けることなく、脚部42の下端面がテーブル20の上面20aを滑るように構成することができる。この場合には、脚部42の下端面にフッ素樹脂などの滑り易い部材を設けることで、可動載置台40をスムーズに移動させることができる。さらに、テーブル20の上面20aにレールを設け、このレールに沿って可動載置台40が移動するように構成してもよい。
【0034】
本実施形態では、
図2(a)に示すように、可動載置台40の寝台部41の側面にスケール44が形成されているが、スケールの位置は限定されるものではなく、例えば、寝台部41の上面にスケールを形成してもよい。