(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349690
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】折り畳みパラソル
(51)【国際特許分類】
A45B 23/00 20060101AFI20180625BHJP
A45B 11/04 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
A45B23/00
A45B11/04
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-238700(P2013-238700)
(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-97617(P2015-97617A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷崎 美菜
(72)【発明者】
【氏名】井上 健弘
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭49−112425(JP,U)
【文献】
特開2004−027400(JP,A)
【文献】
特表平01−500324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 23/00
A45B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面形状を有する第1のパラソル片と、第2のパラソル片から構成される折り畳みパラソルであって、
各パラソル片は、中心角が150°以上175°以下の扇形形状を有し、
各パラソル片は、扇形の一方の辺に、第1のフラップが折罫線を介して延設されており、扇形の他方の辺に、前記第1のフラップよりも大きくて、組立用爪部を有する第2のフラップが折罫線を介して延設されており、
一方のパラソル片の第1のフラップと、他方のパラソル片の第2のフラップをそれぞれ折罫線で内側に折り曲げて互いに対向させ、
2つのパラソル片の扇形面が段差なくつながり、かつ前記組立用爪部が露出するように、対向した前記それぞれのフラップを、組立用爪部同士を噛み合せることで固着したことを特徴とする折り畳みパラソル。
【請求項2】
扇形の中心点から円弧に向って放射状に広がり、扇形の中心角を整数等分する複数の放射状折罫線を有することを特徴とする請求項1に記載の折り畳みパラソル。
【請求項3】
前記放射状折罫線または前記フラップの折罫線によって区画される各小円弧の、2辺を構成する折罫線が扇形の円弧と交わる2点を結び、中心点に向って湾曲した湾曲罫線を有することを特徴とする請求項2に記載の折り畳みパラソル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状に折り畳めるパラソルに関し、携帯用の雨傘としてだけでなく、店頭における装飾品としても用いることができる折畳式のパラソルに関する。
【背景技術】
【0002】
急な雨降りに対応できる携帯用の小型の笠として、特許文献1に記載された組立式簡易笠が知られている。この組立式簡易笠は、特許請求の範囲に記載の通り、「折り曲げ可能な板状体を少なくとも人の頭部を覆う大きさに形成した本体部と、前記本体部の外周部に設けられ、同外周部における一部および同一部とは異なる他の一部の少なくとも一方を他方に寄せることにより前記本体部の少なくとも一部を略錐状または略円蓋状に変形させるための折目、切れ目およびミシン目のうちの少なくとも1つからなる変形導引部とを備え、前記変形導引部は、前記外周部における前記一部および前記他の一部の少なくとも一方を他方に寄せたとき、前記本体部の内側にて把持可能な支持片を前記一部および前記他の一部の少なくとも一方を前記本体部の内側に突出させて形成することを特徴とする組立式簡易笠。」である。
【0003】
特許文献1に記載された組立式簡易笠は、円形の板状体を縦横に折ることによってコンパクトに持運びができ、使用する時には、広げて変形導引部を引寄せることで、笠状に形成されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4274386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された組立式簡易笠は、急な降雨に対応する目的で、作られたものであり、コンパクトな携帯性と組立ての簡易性を最重要視したものであるため、外観的には、必ずしも満足のいくものではない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、平面状の状態から簡単に組立てることができ、なおかつ外観的にも優れた折り畳みパラソルを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
同一平面形状を有する第1のパラソル片と、第2のパラソル片から構成される折り畳みパラソルであって、各パラソル片は、中心角が150°以上175°以下の扇形形状を有し、各パラソル片は、扇形の一方の辺に、第1のフラップが折罫線を介して延設されており、扇形の他方の辺に、前記第1のフラップよりも大きくて、組立用爪部を有する第2のフラップが折罫線を介して延設されており、一方のパラソル片の第1のフラップと、他方のパラソル片の第2のフラップをそれぞれ折罫線で内側に折り曲げて互いに対向させ、2つのパラソル片の扇形面が段差なくつながり、かつ前記組立用爪部が露出するように、対向した前記それぞれのフラップを、
組立用爪部同士を噛み合せることで固着したことを特徴とする折り畳みパラソルである。
【0008】
本発明に係る折り畳みパラソルは、中心角が150°以上175°以下の扇形形状のパラソル片を2枚、点対称に組合わせたので、平らに折り畳んで持運びが可能であり、使用する時には、簡単にパラソルとして最適な形状に組立てることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、扇形の中心点から円弧に向って放射状に広がり、扇形の中心角を整数等分する複数の放射状折罫線を有することを特徴とする請求項1に記載の折り畳みパラソルである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記放射状折罫線または前記フラップの折罫線によって区画される各小円弧の、2辺を構成する折罫線が扇形の円弧と交わる2点を結び、中心点に向って湾曲した湾曲罫線を有することを特徴とする請求項2に記載の折り畳みパラソルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る折り畳みパラソルは、互いに点対称の2つのパラソル片から構成されているので、一つの抜き型によって製造することができる。これは二つの抜き型を必要とする場合に較べて、抜き型のコストが半分になることを意味する。
【0012】
また、大きさの異なる2つのフラップを対向させて固着するようにしたので、大きいフラップに設けた組立用爪部を互いに噛合わせることによって、簡単に組立てることができる。
【0013】
また、それぞれのパラソル片は、中心角が150°以上175°以下であるため、パラソルに組立てた時に、尖りすぎず、また平らすぎず、パラソルとして最適な形状となる。
【0014】
請求項2に記載の発明のように、中心角を整数等分する複数の放射状折罫線を設けた場合には、パラソルの形状が、骨を持った実際の傘のような形状となり、デザイン的に優れたものとなる。
【0015】
請求項3に記載の発明のように、各小円弧の先端部分に、中心点に向って湾曲した湾曲罫線を設けた場合には、湾曲罫線よりも先端の部分が縁飾りになると共に、この罫線が湾曲していることにより、パラソルの形状が一意的に決定され、パラソル片が補強される効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る折り畳みパラソルの一実施例を示した平面模式図であり、パラソルを折り畳んだ状態を示したものである。
【
図2】
図2は、
図1に示した折り畳みパラソルを展開して組み立てた状態を示した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の折り畳みパラソルを裏側から見た状態を示した斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1〜3に示した折り畳みパラソルの平面ブランクを示した平面模式図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した折り畳みパラソルを展開して組み立てる手順を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、本発明に係る折り畳みパラソルについて詳細に説明する。
本発明に係る折り畳みパラソルは、
図4に示したように、互いに点対称な平面形状を有す
る第1のパラソル片(2)と、第2のパラソル片(3)とから構成される。なお
図4は、ブランクを表面側から見た状態を示している。
【0018】
ブランクの材質としては、厚紙やプラスチックシートを用いることができる。厚紙の場合には、表面に印刷、着色を施し、さらに防水性のコーティングまたはフィルムのラミネートを施してもよい。プラスチックシートの場合には、もともと防水性があるので、印刷、着色だけでも良い。なお、屋内で装飾用として用いる場合には、防水対策は不要である場合もある。
【0019】
各パラソル片(2、3)は、中心角(θ)が150°以上175°以下の扇形形状を有する。また、各パラソル片は、扇形の一方の辺に、第1のフラップ(4)が折罫線(7b、7d)を介して延設されている。扇形の他方の辺には、第1のフラップ(4)よりも大きくて、組立用爪部(6)を有する第2のフラップ(5)が折罫線(7a、7c)を介して延設されている。
【0020】
中心角(θ)が、150°未満であると、パラソルに組み立てた時に、形状が尖りすぎてしまい、パラソルとして覆う面積が小さくなってしまう。また中心角(θ)が175°より大きい場合には、形状が平坦になり、例えば雨の排出性が悪くなる。中心角がこの範囲であると、形状的にも、また機能的にもバランスのとれたものとすることができる。
【0021】
図1〜5に示した例では、それぞれのパラソル片に、扇形の中心点から円弧に向って放射状に広がり、扇形の中心角を4等分する3本の放射状折罫線(8a〜8f)が設けられている。また、放射状折罫線またはフラップの折罫線によって区画される各小円弧(10)の、2辺を構成する折罫線が扇形の円弧と交わる2点を結び、中心点に向って湾曲した湾曲罫線(9)が設けられている。湾曲罫線(9)の先端部分は、縁飾り(11)となっている。
【0022】
このように、放射状折罫線と、湾曲罫線を設けることにより、パラソルを組み立てた時に、パラソルの形状が自動的に一意的に決定されるため、パラソル全体がしっかりして丈夫になる。
【0023】
折り畳みパラソルを成形するには、第1のパラソル片(2)の第1のフラップ(4)と、第2のパラソル片(3)の第2のフラップ(5)をそれぞれ折罫線(7b、7c)で内側に折り曲げて互いに対向させ、同様に、第1のパラソル片(2)の第2のフラップ(5)と、第2のパラソル片(3)の第1のフラップ(4)をそれぞれ折罫線(7a、7d)で内側に折り曲げて互いに対向させ、それぞれ2つのパラソル片の扇形面が段差なくつながり、かつ組立用爪部(6)が露出するように、対向したそれぞれのフラップを、固着することにより、折り畳みパラソル(1)が完成する。
【0024】
完成した折り畳みパラソル(1)を展開して組み立てるには、
図5(1)に示したように、まず一方のパラソル片を開き、
図5(2)に示したように、それぞれのパラソル片の第2のフラップ同士を引き寄せ、組立用爪部(6)同士を噛み合せる。この例では最後に各湾曲罫線(9)を折り込んで、縁飾り(11)を立てることにより、折り畳みパラソルの組み立てが完了する。
【0025】
組み立てたパラソルは、第2のフラップが噛み合って重なった部分を例えばクリップのようなもので挟むことにより、さらに形状保持性が高まる。
【0026】
本発明に係る折り畳みパラソルは、
図1に示したように、平らに折り畳んで収納することができ、使用時には、簡単な操作で組み立てることができる。また、放射状折罫線や、
湾曲罫線を付加した場合には、形状的にも、強度的にもさらに優れたものとすることができる。
【符号の説明】
【0027】
1・・・折り畳みパラソル
2・・・第1のパラソル片
3・・・第2のパラソル片
4・・・第1のフラップ
5・・・第2のフラップ
6・・・組立用爪部
7a〜7d・・・折罫線
8a〜8f・・・放射状折罫線
9・・・湾曲罫線
10・・・小円弧
11・・・縁飾り
θ・・・中心角