(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
設計変数として少なくとも前記タイヤの形状を変化させる因子を含み、目的関数として少なくとも前記タイヤの物理特性を含み、前記解析工程で、前記接触解析後、前記設計変数を用いて前記タイヤの物理特性を目的関数とする最適化計算を実施し、前記タイヤの物理量を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
前記モデル作成部は、前記タイヤモデルとして2次元の軸対称のタイヤ断面モデルを作成し、さらに前記2次元の軸対称のタイヤ断面モデルを周方向に展開して得られる3次元タイヤモデルを作成するものであり、
前記設定部は、前記2次元の軸対称のタイヤ断面モデルに対して、前記路面モデルを設定するものであり、
前記解析部は、前記3次元タイヤモデルを用いて接触解析を行う請求項5または6に記載のタイヤのシミュレーション装置。
設計変数として少なくとも前記タイヤの形状を変化させる因子を含み、目的関数として少なくとも前記タイヤの物理特性を含み、前記解析部は、前記接触解析後、前記設計変数を用いて前記タイヤの物理特性を目的関数とする最適化計算を実施し、前記タイヤの物理量を算出する請求項5〜7のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1のタイヤの最適設計では、複数のタイヤについてシミュレーションを実施している。複数のシミュレーションをする際、
図7(a)に示すように、コンピュータが解析可能なタイヤモデル100が作成され、このタイヤモデル100に対向してコンピュータが解析可能な路面モデル110が作成される。このとき、タイヤモデル100と路面モデル110との相対位置が適正でない場合、タイヤに内圧を付与してインフレートしたり、外径や構造の変化を含むタイヤの形状パラメータを変えてシミュレーションすると、
図7(b)に示すタイヤモデル102のように、例えば、トレッド104の一部が路面モデル110に貫入する。このような場合、タイヤのシミュレーションの計算が破綻してしまう。これは、最適化計算または実験計画手法等の様々な形状について特性値を繰り返し計算する際に大きな問題となる。
【0006】
そこで、インフレートおよび形状パラメータの変更によるタイヤの形状の変化を考慮して、タイヤモデル100と路面モデル110との間の距離を大きくすることにより、上述のタイヤモデル102の路面モデル110への貫入を抑制し、上記計算の破綻を回避することができる。しかし、この場合、タイヤモデル102と路面モデル110とが接触する迄の計算時間が増大し、シミュレーションに要する計算時間が増大するという問題点がある。
【0007】
上述の方法以外にも、インフレートまたは形状パラメータの変更によるタイヤの形状変更の度に、タイヤモデル100と路面モデル110との間隔をオペレータが確認し、間隔に応じてタイヤモデル100と路面モデル110との相対位置を設定することにより、上述のタイヤモデル102のような路面モデル110への貫入(
図7(b)参照)を抑制することができる。この場合でも、1つのタイヤモデルだけを計算するのであればよいが、形状を変える等の複数のタイヤモデルを対象とした多数の解析モデルを取り扱う場合には、入力作業が増加して工数がかかり非効率的である。加えて、最終的にシミュレーションが終了する迄に要する時間も増大するという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、シミュレーションの計算の破綻を抑制して計算の安定化を図るとともに、計算の効率化を図ることができるタイヤのシミュレーション方法、その装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、タイヤについて、コンピュータで解析可能なタイヤモデルを作成する作成工程と、前記タイヤモデルに内圧充填処理を施し、前記タイヤモデルの径方向において最大となる位置の位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記タイヤが接触する路面について、コンピュータで解析可能な路面モデルを作成し、前記位置情報に基づいて前記タイヤモデルの最大の位置から前記径方向に所定の距離を与えた設定位置の設定位置情報を求め、この設定位置情報に基づき、前記設定位置に前記路面モデルを設定する設定工程と、前記タイヤモデルの回転軸および前記路面モデルのいずれか一方を拘束して接触解析を行う解析工程とを有することを特徴とするタイヤのシミュレーション方法を提供するものである。
【0010】
前記作成工程で、前記タイヤの形状または構造を変えた、前記タイヤモデルを少なくとも2つ作成し、前記位置情報取得工程で、各タイヤモデルについて、それぞれ設定位置情報を取得し、前記設定工程で、前記各設定位置情報に基づき、前記路面モデルを設定し、前記解析工程は、各タイヤモデルについて、それぞれ接触解析を行うことができる。
前記作成工程で、前記タイヤモデルとして2次元の軸対称のタイヤ断面モデルを作成し、前記設定工程で、前記2次元の軸対称のタイヤ断面モデルに対して、前記路面モデルを設定し、前記解析工程では、前記2次元の軸対称のタイヤ断面モデルを周方向に展開して得られる3次元タイヤモデルを用いて接触解析を行うことが好ましい。
【0011】
設計変数として少なくとも前記タイヤの形状を変化させる因子を含み、目的関数として少なくとも前記タイヤの物理特性を含み、前記解析工程で、前記接触解析後、前記設計変数を用いて前記タイヤの物理特性を目的関数とする最適化計算を実施し、前記タイヤの物理量を算出することもできる。
【0012】
本発明は、タイヤについて、コンピュータで解析可能なタイヤモデルと、前記タイヤが接触する路面について、コンピュータで解析可能な路面モデルを作成するモデル作成部と、前記タイヤモデルに所定の内圧を付与して、前記タイヤモデルの径方向において最大となる位置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて前記タイヤモデルの最大の位置から前記径方向に所定の距離を与えた設定位置の設定位置情報を求め、この設定位置情報に基づき、前記設定位置に前記路面モデルを設定する設定部と、前記タイヤモデルの回転軸および前記路面モデルのいずれか一方を拘束して接触解析を行う解析部とを有することを特徴とするタイヤのシミュレーション装置を提供するものである。
【0013】
前記モデル作成部は、前記タイヤの形状または構造を変えた、前記タイヤモデルを少なくとも2つ作成するものであり、前記位置情報取得部は、各タイヤモデルについて、それぞれ設定位置情報を取得するものであり、前記設定部は、前記各設定位置情報に基づき、前記路面モデルを設定するものであり、前記解析部は、各タイヤモデルについて、それぞれ接触解析を行うこともできる。
前記モデル作成部は、前記タイヤモデルとして2次元の軸対称のタイヤ断面モデルを作成し、さらに前記2次元の軸対称のタイヤ断面モデルを周方向に展開して得られる3次元タイヤモデルを作成するものであり、前記設定部は、前記2次元の軸対称のタイヤ断面モデルに対して、前記路面モデルを設定するものであり、前記解析部は、前記3次元タイヤモデルを用いて接触解析を行うことが好ましい。
【0014】
設計変数として少なくとも前記タイヤの形状を変化させる因子を含み、目的関数として少なくとも前記タイヤの物理特性を含み、前記解析部は、前記接触解析後、前記設計変数を用いて前記タイヤの物理特性を目的関数とする最適化計算を実施し、前記タイヤの物理量を算出することもできる。
【0015】
本発明のタイヤのシミュレーション方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シミュレーションの計算の破綻を抑制して計算の安定化を図るとともに、計算の効率化を図ることができるタイヤのシミュレーション方法およびシミュレーション装置ならびにタイヤのシミュレーション用のプログラムを提供することができる。
本発明では、タイヤサイズの変化に伴い発生する、路面モデルのタイヤモデルへの貫入を防ぐことが可能となり、路面モデル等との接触解析を含む形状最適化計算のような繰返し計算時には非常に好適である。また、タイヤサイズの変化に関わらず、コンピュータが自動で路面モデルの位置を設定することが可能となり、計算時間の短縮による効率化が見込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のシミュレーション方法、その装置およびプログラムを詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のシミュレーション方法に用いられるシミュレーション装置を示す模式図である。
【0019】
図1に示すシミュレーション装置10(以下、単に処理装置10という)は、本発明のタイヤのシミュレーション方法を実施する装置の一例である。処理装置10は、コンピュータ等のハードウェアを用いて構成される。本発明のタイヤのシミュレーション方法には、
図1に示す処理装置10が用いられるが、タイヤのシミュレーション方法をコンピュータ等のハードウェアおよびソフトウェアを用いて実行することができれば処理装置10に限定されるものではない。
【0020】
処理装置10は、処理部12と、入力部14と、表示部16とを有する。処理部12は、条件設定部20、モデル作成部22、解析部24、探索部26、メモリ28、表示制御部30および制御部32を有する。この他に図示はしないがROM等を有する。
処理部12は、制御部32により制御される。また、処理部12において条件設定部20、モデル作成部22、解析部24、探索部26および表示制御部30はメモリ28に接続されており、条件設定部20、モデル作成部22、解析部24、および探索部26のデータがメモリ28に記憶される。
【0021】
入力部14は、マウスおよびキーボード等の各種情報をオペレータの指示により入力するための各種の入力デバイスである。表示部16は、例えば、本発明のタイヤのシミュレーション方法で得られた結果等を表示するものであり、公知の各種のディスプレイが用いられる。また、表示部16には各種情報を出力媒体に表示するためのプリンタ等のデバイスも含まれる。
【0022】
処理装置10は、ROM等に記憶されたプログラム(コンピュータソフトウェア)を、制御部32を用いて実行することにより、条件設定部20、モデル作成部22、解析部24および探索部26の各部を機能的に形成する。処理装置10は、上述のように、プログラムが実行されることで各部位が機能するコンピュータによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよい。
【0023】
条件設定部20は、本実施形態のタイヤのシミュレーション方法において必要なタイヤのサイズ、タイヤを構成する各部材の大きさ、配置位置および弾性係数等の物理特性等の各種の条件および情報が入力され、設定するものである。各種の条件および情報は入力部14を介して入力される。条件設定部20で設定する各種の条件および情報はメモリ28に記憶される。
【0024】
また、本発明では、接触解析を行うが、接触の定義も設定される。接触とは、例えば、スキムタッチ(タイヤが接触するぎりぎりの荷重)で規定することができる。ここで、スキムタッチとはタイヤが路面と接触するぎりぎりの荷重負荷状態を示す(特許4160709号公報、特許4119585号公報参照)。接触解析では、例えば、スキムタッチの状態を求める。
これ以外も、接触は、荷重状態で定義することができ、接触荷重が、例えば、5Nまたは10Nであれば接触しているとすることができる。接触荷重は特に限定されるものではない。
静解析のような静的な力のつり合いを計算する場合、計算上はタイヤモデルまたは路面モデルに変位を与えて接触させている。そのため、たわみ量またはばね定数を算出する際、その基準となるスキムタッチ状態を容易に算出可能となる。
【0025】
条件設定部20には、タイヤおよびタイヤを構成する材料を規定するパラメータのうち設計変数として定めた複数のパラメータが設定される。なお、設計変数のパラメータには、荷重および境界条件等のばらつき因子、ならびに製品の場合には、大きさおよび質量等の制約条件を設定してもよい。
また、タイヤおよびタイヤを構成する材料を規定するパラメータのうち特性値(目的関数)として定めた複数のパラメータが設定される。特性値には、コスト等の物理的および化学的な特性値以外の、タイヤおよびタイヤを構成する材料を評価する指標を用いてもよい。タイヤおよびタイヤを構成する材料は、タイヤ単体ではなく、タイヤを構成するパーツ、タイヤのアッセンブリ形態等のタイヤを含むシステム全体、またはその一部を対象としてもよい。
【0026】
条件設定部20に設定される特性値は評価しようとする物理量である。目的関数は、評価しようとする物理量を求めるための関数である。
タイヤの場合、特性値はタイヤの特性値である。特性値としては、例えば、タイヤ性能として評価しようとする物理量であり、操縦安定性の指標となるスリップ角ゼロ近傍における横力であるCP(コーナリングパワー)、乗心地性の指標となるタイヤの1次固有振動数、低燃費性能の指標となる転がり抵抗、操縦安定性の指標となる横剛性、縦剛性、たわみ量、接地圧分布、コーナリングフォースおよび耐摩耗性の指標となるタイヤトレッド部材の摩耗エネルギ等が挙げられる。これ以外に、タイヤの物理量の例として、形状および寸法値がある。目的関数は、それらを求めるための関数である。目的関数は、性能として好ましい方向があり、値が大きくなる、小さくなる、または所定の値に近づく等がある。
【0027】
設計変数は、タイヤの材料挙動、タイヤの形状、タイヤの断面形状、タイヤの固有振動モードおよびタイヤの構造のうち、複数のパラメータである。設計変数としては、例えば、タイヤのトレッド部におけるクラウン形状を規定する曲率半径、タイヤ内部構造を規定するタイヤのベルト幅寸法等が挙げられる。これ以外にも、例えば、トレッド部における材料特性を規定するフィラー分散形状、およびフィラー体積率等が挙げられる。
制約条件は、目的関数の値を所定の範囲に制約したり、設計変数の値を所定の範囲に制約するための条件である。
また、タイヤの負荷荷重、タイヤの転動速度を初めとする走行条件、タイヤが走行する路面条件、例えば、凹凸形状、摩擦係数等、車両の走行シミュレーションに用いるための車両諸元の情報等が設定される。
【0028】
また、条件設定部20に、タイヤの設計変数のパラメータとタイヤの特性値のパラメータとの間の非線形応答関係を定めるための情報が設定される。この非線形応答関係には、例えば、FEM等の数値シミュレーション、理論式および近似式等が含まれる。
条件設定部20では、非線形応答関係により生成するタイヤモデル、そのタイヤモデルの境界条件、FEM等の数値シミュレーションする場合には、そのシミュレーション条件、シミュレーションにおける制約条件を設定する。
【0029】
最適化に用いられる最適解探索のための条件は、最適解を探索するための手法、最適解探索における各種条件である。本実施形態では、例えば、最適解を探索するための手法として、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いることができる。一般に、特性値(目的関数)の増大と共に、遺伝的アルゴリズムの探索能力が低下することが知られている。それを解決する方法の一つが、個体数を増加させる方法である。一方、個体数を増加させ、最適解を探索すると、多くの最適解が算出される。
これ以外に、条件設定部20に設計変数の定義域を設定する。設計変数の定義域は、連続的でも離散的な水準値でもよく、特定の設計変数だけに定義域を設定し、残りの設計変数を定数としてもよい。
【0030】
なお、複数の設計変数があるため、全ての設計変数に対して、それぞれに離散的な水準値を設定し、残りの設計変数について定義域を定数として、最適解の算出を行ってもよい。最適化計算に関しては、入力変数と出力変数の非線形関係(応答曲面)を用いて探索する手法および最適化アルゴリズムに従い入力変数を逐次的に変化させながら出力値を算出して探索する手法のどちらを用いてもよい。
【0031】
モデル作成部22は、タイヤについてコンピュータで解析可能なタイヤモデルと、タイヤが接触する路面についてコンピュータで解析可能な路面モデルを作成するものであり、路面はタイヤを転動させる対象である。
タイヤモデルとしては、タイヤが装着されるリム、ホイール、およびタイヤ回転軸を再現するものをタイヤモデルとしてもよい。また、必要に応じて、タイヤが装着される車両を再現するモデルをタイヤモデルに組み込んでもよい。この際、タイヤモデル、リムモデル、ホイールモデル、およびタイヤ回転軸モデルを、予め設定された境界条件に基づいて一体化したモデルを作成することもできる。
また、解析に用いるタイヤモデルの形態は、特に限定されるものではなく、溝のないスムースタイヤでも主溝のみのものでもパターン付きであってもよい。
【0032】
なお、モデル作成部22で作成されるタイヤモデルは、条件設定部20で設定された各種類の設計パラメータを用いて作成されるが、タイヤモデルの作成には公知の作成方法を用いることができる。
例えば、タイヤを複数の節点で構成される有限個の要素に分割して、タイヤモデル40を作成する。路面モデル42はタイヤモデル40と同様に作成してもよいし、弾性体として解析モデル化してもよいし、さらには剛体として解析モデル化してもよい。また、路面モデル42は、3次元離散化モデルでもよいし、サーフェスとして解析モデル化してもよい。
タイヤモデル40または路面モデル42を構成する要素は、例えば、2次元平面では四辺形要素、3次元体では四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素、三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等のコンピュータで解析可能な要素とする。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元モデルでは3次元座標を用いて、2次元モデルでは2次元座標を用いて逐一特定される。
【0033】
また、モデル作成部22では、設定された非線形応答関係に基づいて、各種の計算モデルを作成するものである。非線形応答関係は、上述のようにFEM等の数値シミュレーションが含まれており、この場合、モデル作成部22で、設計変数を表わす設計パラメータ、特性値を表わす特性値パラメータに応じたメッシュモデルが生成される。また、理論式および近似式等の場合にも、設計パラメータ、特性値パラメータに応じた理論式および近似式等が作成される。なお、構造体がタイヤの場合には、タイヤモデルが作成される。解析部24でタイヤモデルを用いてシミュレーション演算がなされる。
【0034】
これら各モデルは数値計算可能な離散化モデルであればよく、例えば、公知の有限要素法(FEM)に用いるための有限要素モデル等であればよい。なお、タイヤモデルを用いて、例えば、タイヤウエット性能を初めとするタイヤ性能を最適化するタイヤ設計案を求める場合等、路面モデルとタイヤモデルの他に、路面上に存在する介在物を再現するモデルを生成しておけばよい。例えば、介在物モデルとして、路面上の水、雪、泥、砂、砂利および氷等を再現する各種モデルを、数値計算可能な離散化モデルで生成しておけばよい。なお、路面モデルも、表面が平坦な路面を再現するモデルに限らず、必要に応じて、表面に凹凸を有する路面形状を再現するモデルであってもよい。
本実施形態では、シミュレーションに用いる数値計算の手法としては、有限要素法(FEM)に限定されるものではなく、境界要素法(BEM)および有限差分法(FDM)等も使用できる。また、境界条件等によって最も適当な数値計算の手法を選択するか、または複数の数値計算の手法を組み合わせることもできる。
【0035】
解析部24は、タイヤモデルに対して所定の内圧を付与して内圧充填処理(インフレート処理とも言う)を施し、内圧充填処理後のタイヤモデルの径方向において最大となる位置の位置情報を取得する。この位置情報に基づいてタイヤモデルの径方向における最大の位置から径方向に所定の距離を与えた位置を設定位置とし、この設定位置の設定位置情報を取得する。この設定位置情報に基づき、上記設定位置に路面モデルを設定する。解析部24は、最大となる位置の位置情報を取得する位置情報取得部と、設定位置情報を取得し、設定位置に路面モデルを設定する設定部を兼ねる。
具体的には、
図2に示すように、所定の内圧を付与して内圧充填処理を施したタイヤモデル40の径方向Dにおける最大の位置A、すなわち、径方向Dにおけるタイヤモデル40の最大径X(mm)となる位置の位置情報を取得する。位置Aに対して、所定の距離、
図2では距離Y(mm)離間した位置に路面モデル42を配置する。なお、
図2に示す内圧充填処理を施したタイヤモデル40は、図示を一部省略しているが回転軸Cを対称軸とする軸対称の2次元タイヤ断面モデルである。回転軸Cは車軸ともいう。符号44は、リムモデルを示す。
図2では、リムに嵌められたタイヤをコンピュータで解析可能なタイヤモデルを示している。なお、リムはなくてもよい。
【0036】
解析部24では、
図2に示す状態でタイヤモデル40の回転軸Cおよび路面モデル42のいずれか一方を拘束して接触解析を行う。また、解析部24では、モデル作成部22で作成された各種のモデルを用いて特性値を算出する。これにより、設計変数に対する特性値が得られる。得られた特性値は、メモリ28に記憶される。
解析部24では、例えば、路面上を転動するタイヤの転動を再現するシミュレーション条件を、モデル作成部22で生成したタイヤモデル、または路面モデル等に与えたときの、タイヤモデルの挙動、またはタイヤモデルに作用する力等の物理量を時系列に求める。解析部24は、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで機能するものである。
また、解析部24では、モデル作成部22で理論式および近似式等を作成した場合には、理論式および近似式等を解き、特性値を算出する。
解析部24では、接触解析後、接触圧、タイヤ剛性および転動特性等の物理量を解析することもできる。
【0037】
距離Yは、0<Y≦10(mm)程度が好ましい。距離Yはコンピュータまたはソフトウェア内における計算誤差、例えば、丸め誤差、打ち切り誤差、桁落ちおよび情報落ち等を考慮しつつゼロに近い値に設定することが好ましい。計算誤差によって、例えば、1mm未満でもタイヤモデル40が路面モデル42に接する虞がある。一方、距離Yが10mmを超えると計算時間が長くなる可能性がある。
【0038】
探索部26は、条件設定部20で設定された最適解探索の条件に応じて、解析部24で得られた特性値を基に、最適解を探索し、最適解を算出するものである。得られた最適解は、メモリ28に記憶される。
最適解については、以下に示す方法で探索することができる。例えば、解析部24で得られた特性値の中から最適解を探索する。得られた特性値を基に応答曲面を作成し最適解を探索する。得られた特性値を基に最適化アルゴリズムを用いて最適解を探索する。
ここで、最適解は、トレードオフの関係にある複数の特性値(目的関数)において、他の任意の解よりも優位にあるとはいえないが、より優れた解が他に存在しない解をいう。一般に最適解は集合として複数個存在する。
【0039】
探索部26は、例えば、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて最適解を探索する。
遺伝的アルゴリズムとしては、例えば、解集合を目的関数に沿って複数の領域に分割し、この分割した解集合毎に多目的GAを行うDRMOGA(Divided Range Multi-Objective GA)、NCGA(Neighborhood Cultivation GA),DCMOGA(Distributed Cooperation model of MOGA and SOGA)、NSGA(Non-dominated Sorting GA)、NSGA2(Non-dominated Sorting GA-II)、SPEAII(Strength Pareto Evolutionary Algorithm-II)法等の公知の方法を用いることができる。その際、解集合が解空間に幅広く分布し、精度の高い最適解の集合を求める必要がある。このため、探索部26では、例えば、ベクトル評価遺伝的アルゴリズム(Vector Evaluated Generic Algorithms:VEGA)、パレートランキング法、またはトーナメント法を用いた選択が行われる。遺伝的アルゴリズム(GA)以外に、例えば、焼きなまし法(SA)または粒子群最適化(PSO)等の進化的計算手法を用いても、効率よく解を探索することができる。
【0040】
本発明では、設計変数と特性値との間で定める非線形応答関係、すなわち、設計変数を用いて特性値を求める場合に利用されるものは、FEM等のシミュレーションに限定されるものではなく、上述のように理論式および近似式等を用いることもできる。例えば、シミュレーションモデルを用いた演算ではなく、シミュレーション近似式を用いて目的関数の値を算出してもよい。この場合、実験計画法に基づいて得られる実験結果から設計変数と目的関数との間の近似式、例えば、シミュレーション近似式を用いて最適解を得ることができる。このシミュレーション近似式としては、多項式またはニューラルネットワーク等により得られる公知の非線形関数を用いることができる。
ここで、例えば、非線形関係(応答曲面)を、2次多項式を用いて作成する場合、必要なサンプル数は入力変数の数をN個とすると、少なくともN(N+3)/2+1ケース必要となる。仮に入力変数を10個とするとサンプル数は66ケース、入力変数を30個とするとサンプル数は496ケース必要となる。このように、最適化をするには、多くのタイヤモデルが必要である。
【0041】
表示制御部30は、タイヤモデル、路面モデル、数値計算の結果、および最適解を表示部16に表示させるものであり、例えば、タイヤモデル、路面モデルをメモリ28から読み出し、表示部16に表示させる。
処理装置10では、形状を変化させる際の入力ファイルにおいて、境界条件および解析ステップ等の共通した部分と節点座標値、補強材の配置角度および初期張力などの個々の形状によって異なる部分を分割し、共通部分に取り込むようなファイル形式を用いて自動化すること、すなわち、個別の情報をインクルードファイル化することにより、多数のタイヤ形状について検討を行う場合であっても容易にタイヤ形状の検討が可能である。
【0042】
次に、本実施形態のタイヤのシミュレーション方法について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態のシミュレーション方法を示すフローチャートである。本実施形態では、サイズが215/55R17のタイヤをシミュレーションの対象とする。
シミュレーションの前に、タイヤの形状、タイヤのサイズ、タイヤのパターンを条件設定部20に設定する。設計変数として、例えば、タイヤの形状パラメータを設定する。特性値(目的関数)として、縦剛性、例えば、転がり抵抗および横剛性等を設定する。本実施形態では、入力がタイヤの形状パラメータであり、出力が縦剛性、転がり抵抗および横剛性等となる。タイヤの形状パラメータの値により、縦剛性、転がり抵抗および横剛性がどのように変化するかをシミュレーションする。タイヤの形状パラメータ、縦剛性、転がり抵抗および横剛性が条件設定部20に設定される。設計変数から特性値(目的関数)を求める際に用いる非線形応答を定める。
【0043】
シミュレーション方法では、
図3に示すように、条件設定部20に設定された情報を用いて、モデル作成部22でメッシュモデル等のタイヤモデル40(
図2参照)を作成する(ステップS10)。次に、解析部24で、タイヤモデル40(
図2参照)に対して内圧充填処理を施し、最大径の情報を取得する(ステップS12)。これにより、
図2に示す位置Aの位置情報を取得することができる。
次に、位置Aに対して径方向Dに所定の距離Y(mm)を与えた設定位置、すなわち、所定の距離離れた位置に路面モデル42(
図2参照)を配置する(ステップS14)。これにより、
図2に示すようにタイヤモデル40と路面モデル42とが所定の距離離して配置された状態となる。なお、路面モデル42は、モデル作成部22でタイヤモデル40と同時に作成しておいてもよく、位置Aの位置情報を取得する際に作成してもよい。
【0044】
次に、解析部24で、タイヤモデル40および路面モデル42のいずれか一方を拘束し、この状態で接触解析を行う(ステップS16)。接触解析では、例えば、スキムタッチの状態を求める。
なお、接触解析後、解析部24で、上述の設定した非線形応答関係に基づいて特性値を算出する。具体的には、タイヤの形状パラメータに対する転がり抵抗と横剛性が算出され、例えば、メモリ28に記憶される。
その後、探索部26にて、特性値の演算結果に対して、特性値を目的関数とする最適化を実施し、パレート解を得る。このパレート解の算出には、例えば、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法(SA)および粒子群最適化(PSO)等の進化的計算手法が用いられる。得られたパレート解は、メモリ28に記憶される。
【0045】
本実施形態においては、所定の内圧を付与して内圧充填処理を施したタイヤモデル40に対して、最大外径となる位置Aから所定の距離、例えば、0mmを超え10mm未満離間した位置に路面モデル42を設定する。これにより、タイヤモデル40が路面モデル42に貫入することを抑制することができ計算の破綻が生じることがない。このため、最適化計算等の様々な形状に対して特性値を算出するような多くの繰り返し計算が必要な場合に、特に有効である。しかも、内圧充填処理を施したタイヤモデル40に対して自動的に路面モデル42が設定されるため、オペレータが内圧充填処理したタイヤモデルのインフレート形状から路面モデルの位置を設定する必要がなくなり、タイヤのシミュレーションの効率化を図ることができる。
【0046】
本実施形態においては、
図2に示す2次元タイヤ断面モデルのタイヤモデル40を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、3次元タイヤモデルを用いることもできる。
図4(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態のシミュレーション方法の解析工程を示す模式図である。
図4(a)は、
図2に該当するものであり、リムもコンピュータで解析可能にモデル化されており、タイヤモデル40にはリムモデル44が嵌められている。
図4(a)に示す状態で、タイヤモデル40に対して路面モデル42の位置を設定し、その位置に路面モデル42を設置する。
【0047】
タイヤモデル40を、回転軸Cを対称軸として周方向に展開し、
図4(b)に示すタイヤモデル46を得る。このタイヤモデル46を3次元表示すると、
図4(c)に示す3次元タイヤモデル48となる。このとき、路面モデル43も3次元化する。これにより、
図4(c)に示すように3次元タイヤモデル48に対して、所定の距離を与えた設定位置、すなわち、所定の距離離れた位置に3次元の路面モデル43が配置される。タイヤモデル48と路面モデル43のいずれか一方を拘束し、その状態で接触処理を実施する。
【0048】
2次元タイヤモデルを用いて、路面モデルの設定位置を決定し、その後、3次元タイヤモデルとすることにより、最初から3次元タイヤモデルを用いて路面モデルの設定位置を算出するよりも計算量を少なくでき容易に、路面モデルの位置を決定することができる。また、軸対称な2次元タイヤモデルを周方向に展開して3次元タイヤモデルとするため、計算負荷を少なくすることができ、計算処理の効率化を図ることができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態のシミュレーション方法を示すフローチャートである。
本実施形態のシミュレーション方法は、
図3に示す第1の実施形態のシミュレーション方法に比して、接触解析の対象となるタイヤモデルが複数あり、全てのタイヤモデルについて接触処理する(ステップS18)点が異なり、それ以外の工程(ステップS10〜ステップS16)は、
図3に示す第1の実施形態のシミュレーション方法と同じであるため、その詳細な説明は省略する。なお、条件設定部20に予め複数のタイヤモデルのタイヤのサイズ、タイヤを構成する各部材の大きさ、配置位置および弾性係数等の物理特性等の各種の条件および情報が入力されてメモリ28に記憶される。
【0050】
具体的には、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータで解析可能なタイヤモデルを作成し(ステップS10)、それぞれのタイヤモデルに対して内圧充填処理を施した後、各タイヤモデルの径方向D(
図2参照)における最大の位置A(
図2参照)の位置情報を取得する(ステップS12)。最大位置の位置情報に基づいて、その最大位置から所定の距離を与えた設定位置、すなわち、所定の距離離れた位置に、コンピュータで解析可能な路面モデルを作成し(ステップS14)、接触解析を実行する(ステップS16)。上記ステップS10〜ステップS16を接触解析の対象となる全てのタイヤモデルに対して実施するまで繰り返し行う(ステップS18)。
【0051】
本実施形態では、形状および構造等の異なるタイヤモデルを少なくとも2つ、すなわち、複数作成して、各タイヤモデルの計算を行う場合、内圧充填処理したタイヤモデルのインフレート形状からオペレータが路面モデルの位置を調整することなく、自動設定されるため、計算の破綻を防ぎつつ、シミュレーションの効率化を図ることができる。このように複数のタイヤモデルについて計算を行う場合に本発明は、特に有効である。
【0052】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のシミュレーション方法、その装置およびプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【実施例】
【0053】
以下、本発明のシミュレーション方法の効果について具体的に説明する。
本実施例では、実施例1〜4および比較例1、ならびに基準例のシミュレーション方法でタイヤの縦剛性を計算し、そのときの計算の破綻および計算時を調べて、本発明のシミュレーション方法の効果を確認した。
【0054】
本実施例では、タイヤサイズ215/55R17のタイヤモデルを基準として、形状パラメータである外径の変化量および幅の変化量を設計変数として実験計画に従い作成した全ての解析対象タイヤモデルの縦剛性を、有限要素法(FEM)を用いて算出する解析を行い、計算が収束した数および計算に要する時間の比較を行った。
なお、実験計画手法として、ラテン超方格法を用いて計画行列、すなわち、設計変数の組合せを作成した。そして、各行列における設計変数の組合せに従い、それらの形状の線形和から50ケースのランダムなタイヤ形状を表現し、それらを解析対象タイヤモデルとして解析を行った。
外径の変化については、
図6(a)に示すように、基準となるタイヤサイズ215/55R17のタイヤモデル50を径方向Dに設計変数としてパラメトリックに外径を変化させたタイヤモデル52を用いる。また、幅の変化については、
図6(b)に示すように、基準となるタイヤサイズ215/55R17のタイヤモデル50を幅方向Wに設計変数としてパラメトリックに幅を変化させたタイヤモデル54を用いる。
【0055】
以下、実施例1〜4および比較例1、ならびに基準例について説明する。
基準例は、最初から3次元タイヤモデルおよび3次元の路面モデルを用いた。基準例のシミュレーション手順としては、まず、3次元タイヤモデルおよび3次元の路面モデルを作成し、その後、3次元の路面モデルの位置を設定して、3次元の路面モデルを設定位置に配置し、接地計算を実施した。その後、FEMで縦剛性を算出した。
以上の手順を上述の50ケースについて行った。なお、路面モデルの位置は、基準モデルの外径+1mmとし、ケース毎に変えることなく、50ケースで一律とした。
【0056】
比較例1は、最初から3次元タイヤモデルおよび3次元の路面モデルを用いた。比較例1のシミュレーション手順としては、まず、3次元タイヤモデルおよび3次元の路面モデルを作成し、その後、3次元の路面モデルの位置を予め大きく離れた位置に設定して、3次元の路面モデルを設定位置に配置し、接地計算を実施した。その後、FEMで縦剛性を算出した。
以上の手順を上述の50ケースについて行った。なお、路面モデルの位置は、基準モデルの外径+50mmとし、ケース毎に変えることなく、50ケースで一律とした。
【0057】
実施例1は、最初から3次元タイヤモデルおよび3次元の路面モデルを用いた。実施例1のシミュレーション手順としては、3次元タイヤモデルおよび3次元の路面モデルを作成し、3次元タイヤモデルに対して内圧充填処理を施してインフレート状態とし、路面モデルの位置をインフレート時外径+1mmに設定した。そして、3次元の路面モデルを設定位置に配置し、接地計算を実施し、その後、FEMで縦剛性を算出した。
【0058】
実施例2は、実施例1に比して、3次元の路面モデルの位置を、インフレート時外径+8mmに設定した点以外は、実施例1と同様にしてシミュレーションしたため、その詳細な説明は省略する。
実施例3は、実施例1に比して、3次元の路面モデルの位置を、インフレート時外径+15mmに設定した点以外は、実施例1と同様にしてシミュレーションしたため、その詳細な説明は省略する。
実施例4は、2次元軸対称タイヤモデルを用いた。実施例4のシミュレーション手順としては、2次元軸対称モデルを作成し、この2次元軸対称タイヤモデルに対して、内圧充填処理を施してインフレート状態とし、路面モデルの位置をインフレート時外径+1mmに設定した。そして、インフレート状態で2次元軸対称タイヤモデルを周方向に展開して3次元タイヤモデルを作成した。そして、接地計算を実施し、その後、FEMで縦剛性を算出した。
【0059】
実施例1〜4および比較例1、ならびに基準例におけるタイヤの縦剛性の計算の収束ケース数と、計算時間を下記表1に示す。
収束ケース数は、50ケースのうち、いくつ計算が破綻したかを示す。50ケースのうち、計算が破綻したものがなければ、50/50と表記する。なお、タイヤモデルの径方向の最大位置が路面モデルに貫入したものを計算が破綻したとした。具体的には、本実施例では、接触解析のプログラムに、最大位置が路面モデルに貫入した場合に計算を実行させないエラートラップを設けておき、このエラートラップが働いた場合を、計算が破綻したとし、収束ケース数には数えない。
計算時間は、全ての計算時間を収束ケース数で割った平均時間とした。基準例の計算時間を100とした指数で示した。なお、基準例では、43ケース、計算を実行しているので、43ケースの平均時間である。
【0060】
【表1】
【0061】
上記表1に示すように、実施例1〜4は、50ケースのタイヤモデルに対して縦剛性を計算したが、いずれも計算が破綻するものがなかった。また、計算時間についても基準例よりも短いか同程度であった。このように本発明のシミュレーション方法では、計算の破綻を防止することと計算時間の短縮を両立することができた。特に、実施例4のように、2次元軸対称タイヤモデルに対して、内圧充填処理を施して、路面モデルの位置を設定した後、2次元軸対称タイヤモデルを周方向に展開して3次元タイヤモデルを作成した場合には、計算時間をより一層短縮することができる。
一方、比較例1は、計算の破綻はないものの、計算時間が大幅に要した。なお、基準例は上述のようにタイヤモデルが路面モデルに貫入することによる計算の破綻が多い。