(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349746
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】洗米設備
(51)【国際特許分類】
A47J 43/24 20060101AFI20180625BHJP
B02B 1/06 20060101ALI20180625BHJP
B02B 5/02 20060101ALI20180625BHJP
B02B 7/02 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
A47J43/24
B02B1/06 D
B02B5/02 103
B02B7/02 101Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-14501(P2014-14501)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-139578(P2015-139578A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100096541
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義
(74)【代理人】
【識別番号】100133318
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 向日子
(74)【代理人】
【識別番号】100174953
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 豪
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉居 輝
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−277325(JP,A)
【文献】
特開2014−000518(JP,A)
【文献】
特開平07−313344(JP,A)
【文献】
特開平11−089714(JP,A)
【文献】
特開平05−000119(JP,A)
【文献】
特開平05−000247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 42/00 − 44/02
B02B 1/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗米タンク(5)と、
該洗米タンク(5)の下方に設けられ、家庭用の炊飯器(50)用の炊飯釜(6)が載置される容器受け部(14)と、
洗米タンク(5)の下部を覆い、給水管(9)と排水管(10)を側壁に並列配置した取付筒(12)と、
前記取付筒(12)の下部に工具なしで着脱自在に取り付け、且つ、該取付筒(12)の横断面積より広い横断開口面積を下端部側に有する排出米飛散防止カバー(13)と、
洗米タンク(5)における洗米を行うためのコントローラと、
を備え、
前記洗米タンク(5)の下端開放部は、円錐状の開閉弁(25a)を上下動することで洗米タンク(5)の下端部を開閉する構成とし、
前記取付筒(12)の左右一側に家庭用の炊飯器(50)を載置する載置台(16)を備え、
前記給水管(9)と前記排水管(10)はそれぞれ取付筒(12)の左右他側に給水管用継手(9a)および排水管用継手(10a)により工具なしで着脱自在に構成し、
前記排出米飛散防止カバー(13)の下端部は末広がり状に形成するとともに、前記家庭用の炊飯器(50)の径と略同一径に形成し、
前記コントローラと小売店舗用のレジスタ(60)を通信可能に構成し、
炊飯器(50)の載置台(16)に重量計を設け、該重量計により計測される減算重量から米飯の量の分の料金を演算し、前記レジスタ(60)に通信されて前記料金が表示されることを特徴とする洗米設備。
【請求項2】
洗米タンク(5)内に回転軸(81)の回転により回転する攪拌棒(80)を配置し、前記回転軸(81)の下端部に設けられたリードカム(81a)には、攪拌棒(80)と一体の支持筒(83)を連結し、該攪拌棒(80)を上下方向に往復動作可能な構成としたことを特徴とする請求項1に記載の洗米設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多量の米を自動で水洗する洗米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、貯米庫の米を洗米機に供給して洗米する洗米設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−78729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載された洗米設備は、洗米装置の下方に大型の炊飯器を常備した構成であり、家庭用の炊飯器を利用できる構成になっていない。
本発明の課題は、コンビニエンスストアなどの小売店舗で利用可能であって、家庭用の電気炊飯器を利用できる洗米設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、洗米タンク(5)と、該洗米タンク(5)の下方に設け
られ、家庭用の炊飯器(50)用の炊飯釜(6)が載置される容器受け部(14)と、洗米タンク(5)の下部を覆い、給水管(9)と排水管(10)を側壁に並列配置した取付筒(12)と、前記取付筒(12)の下部に
工具なしで着脱自在に取り付け、
且つ、該取付筒(12)の横断面積より広い横断開口面積を下端部側に有する排出米飛散防止カバー(13)
と、洗米タンク(5)における洗米を行うためのコントローラと、を備え
、前記洗米タンク(5)の下端開放部は、円錐状の開閉弁(25a)を上下動することで洗米タンク(5)の下端部を開閉する構成とし、前記取付筒(12)の左右一側に家庭用の炊飯器(50)を載置する載置台(16)を備え、前記給水管(9)と前記排水管(10)はそれぞれ取付筒(12)の左右他側に給水管用継手(9a)および排水管用継手(10a)により工具なしで着脱自在に構成し、前記排出米飛散防止カバー(13)の下端部は末広がり状に形成するとともに、前記家庭用の炊飯器(50)の径と略同一径に形成し、前記コントローラと小売店舗用のレジスタ(60)を通信可能に構成し、炊飯器(50)の載置台(16)に重量計を設け、該重量計により計測される減算重量から米飯の量の分の料金を演算し、前記レジスタ(60)に通信されて前記料金が表示されることを特徴とする洗米設備である。
【0008】
請求項2記載の発明は、洗米タンク(5)内に
回転軸(81)の回転により回転する攪拌棒(80)を配置し、
前記回転軸(81)の下端部に設けられたリードカム(81a)には、攪拌棒(80)と一体の支持筒(83)を連結し、該攪拌棒(80)を上下方向に往復動作可能な構成としたことを特徴とする請求項
1に記載の洗米設備である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、取付筒12の横断面積より広い横断開口面積を下端部側に有する排出米飛散防止カバー13があるため、取付筒12から排出する排出米が周囲に飛散することなく炊飯釜6内に排出することができる。また、様々なタイプの家庭用の電気炊飯器を利用できる。
【0010】
また、請求項1記載の発明によれば
、排出米飛散防止カバー13は取付筒12に着脱自在としたことにより、メンテナンスがし易い。
さらに、請求項1記載の発明によれば
、取付筒12の左右一側に給水管9と排水管10を接続し、取付筒12の左右他側に炊飯器50の載置台16を設けたことにより、給水管9と排水管10の着脱の際に、炊飯器50に水が掛かるのを防止できる。
また、請求項1記載の発明によれば、排出米飛散防止カバー13は、下端部が末広がり状に形成されるとともに、前記家庭用の炊飯器50の径と略同一径に形成されたことにより、円錐状の開閉弁25aが上下動して洗米タンク5の下端部が開閉されて、米が炊飯釜6に排出される際に、米が炊飯釜6全体に排出米飛散防止カバー13で良好に案内できる。
【0011】
さらに、請求項1記載の発明によれば
、重量計により計測される減算重量から米飯の
量の分の料金を演算し
、レジスタ60に料金が表示されるので利用者が炊飯器50から任意の量の米飯を取り出せる。また、管理者は米飯を取り出す手間を省ける。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項
1に記載の発明の効果に加えて、洗米タンク5内に攪拌棒80を配置し、該攪拌棒80を上下方向に往復動作可能な構成としたことにより、洗米タンク5内の米が洗米タンク5内の壁面に付着するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例の小型炊飯ユニットの全体正面図である。
【
図2】
図1の小型炊飯ユニットにある洗米タンクの下側部分の構成図である。
【
図3】
図1の洗米タンク内の洗米棒部分の一実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
小型炊飯ユニットの全体正面図を
図1に示す。
本実施例の小型炊飯ユニットは、正面に向かって左半分の上側に10〜20kgの米袋などを積み込むことができる米袋置き場1を配置し、下側に計量部2を設け、右半分には上から順に貯米庫3と洗米タンク5と炊飯器50用の炊飯釜6を載置できる容器受け部14を配置する。また、洗米タンク5の下端部に洗米タンク5の下部を覆い、給水管9と排水管10をそれぞれ一方の側面に取り付けた取付筒12を設け、該取付筒12の下端部には排出米飛散防止カバー13を接続し、排出米飛散防止カバー13の下方には前記容器受け部14を設ける。洗米タンク5の下部には開閉蓋25を設け、給水及び排水を可能としている。
【0015】
炊飯釜6を配置できる容器受け部14の基部には前後方向への引き出しが可能な引き出し15があるので、容器受け部14上の炊飯器50用の炊飯釜6等を容易に前後方向に移動できる。前記引き出し15を引き出すことで、メーカの違いに左右されずに、各種の市販炊飯器の炊飯釜6をセットできる。また前記引き出し15からなる炊飯器セット用の構成により、小スペースであっても、炊飯器50の取扱が容易となる。
【0016】
また、炊飯器50を搭載する計量部2にも前後移動自在の載置台16を設ける。計量部2にはロードセルを搭載し、炊飯器50の重量を検出できる構成である。
上記構成により洗米タンク5から炊飯釜6に洗米後の米を移動させやすく、また取付筒12の横断面積より広い横断開口面積を下端部側に有する排出米飛散防止カバー13があるため、取付筒12から排出する排出米を周囲に飛散することなく炊飯釜6内に排出することができる。
【0017】
排出米飛散防止カバー13の上端部は取付筒12の下端部と接続できるように取付筒12の下端部の径と同一径を有し、排出米飛散防止カバー13の下端部は末広がり状とし、該カバー13の下端部は上方が開放された家庭用の炊飯器の径とほぼ同一径とし、洗米タンク5の下部から炊飯釜6に向けて落下する排出米が炊飯釜6の外部に飛散しないような形状としている。なお、排出米飛散防止カバー13の上端部は取付筒12の下端部と着脱自在に接続できる。
【0018】
このように、排出米飛散防止カバー13の上端を取付筒12に着脱自在としたことにより、取付筒12から排出する排出米が炊飯釜6の周囲に飛散しないように、取付筒12と排出米飛散防止カバー13の取り付け位置を調整することができる。
【0019】
また、取付筒12の側面にある給水管9には水道水供給部(図示せず)から給水栓17及び給水量を調節する給水電磁弁90を経由して水が洗米タンク5内に供給され、また取付筒12の側面にある排水管10には洗米タンク5で排出された排水が排水量を調節する排水電磁弁91を経由して排出される。
【0020】
なお、給水管9及び排水管10はそれぞれ取付筒12の左右一側に給水管用継手9a及び排水管用継手10aによりワンタッチで着脱できる構成である。
貯米庫3の前側に、例えば「1合」、「2合」、「3合」と記したスイッチ21を設け、その下に洗米する米の合計量、又は水加減、更に洗米の仕方等を表示可能なタッチパネル23と電源スイッチ24を設けた。
【0021】
さらに、上記構成においては、貯米庫3の下の洗米タンク5、排出米飛散防止カバ−13、水供給管9、排水管10などを工具を使用しないでワンタッチで着脱できる構成にしているので、前記各部品の清掃が容易に行える。
【0022】
また、炊飯設備の炊飯器50の引き出し16の後ろ側に炊飯器用の電源に接続するコンセント(図示せず)を装着する。こうして炊飯器50から米飯を取り出す場合は、引き出し16を前に出して使用し、炊飯器50内の米飯を保温中は引き出し16を後ろに戻すことで、省スペース化と炊飯作業の効率化が図れる。
【0023】
炊飯器50は取付筒12の左右一側に配置し、給水管9及び排水管10は取付筒12の左右他側に設けることで、炊飯器50・給水管9・排水管10の取り扱いがそれぞれし易い。
【0024】
また、給水管9や排水管10の着脱の際に水が炊飯器50にかかりにくい。
図2には取付筒12と排出米飛散防止カバ−13の内部にある洗米タンク5の下側部分の構成図を示す。洗米タンク5の下端開放部は円錐状の開閉弁25aを下端部に有する開閉蓋25を上下動することで洗米タンク5の下端部を開閉する。開閉蓋25は図示しない駆動モータで、前記開閉弁25aと一体の上下動自在の開閉弁支持シャフト25bにより上下動する構成である。
【0025】
前記開閉弁25aと洗米タンク5の下端部にある弾性部材27が密着することで洗米タンク5の下側の開口部を密閉することが可能である。
次に、本実施の形態の炊飯ユニットを小売店舗に設けた場合の使用方法について説明する。
【0026】
小売店舗の管理者(店員)が洗米タンク5の上方にあるタッチパネル23を操作すると、所望の米量が貯米庫3から洗米タンク5に供給される。そして給水ホース19から水が所定量供給され、ついで、洗米棒80が回転駆動し洗米がなされる。洗米された水は配水管20から排水され、次いで、水加減用の水が給水ホース19から供給され、待機状態となる。管理者が操作パネルの排出スイッチ(図示せず)を操作すると、開閉蓋25が下降し、洗米タンク5から米と水加減用の水が炊飯釜6に供給される。管理者は米と水が収容された炊飯釜6を炊飯器50にセットし、炊飯をする。
【0027】
炊飯ユニットのコントローラ(図示せず)と小売店舗のレジスタ60は通信可能に構成されている。前記炊飯後、利用者が炊飯器50から所望の炊飯された米飯を取り出すと、計量部2で取り出された米飯の量の分が減算され、当該減算された情報が
図1の○枠内に図示したレジスタ60に通信され、料金がレジスタ60に表示される。利用者はレジスタで料金を支払う。
【0028】
あるいは、計量部2の情報がバーコード70aとして支払伝票70となって印刷され、利用者は支払伝票70をレジスタ60まで持参し、料金を支払う。
これにより、利用者は炊飯器50から所望の米飯を取り出すことができる。また、管理者(店員)は炊飯器50から自ら米飯を取り出す手間を省くことが出来る。また、バーコード70a付の支払伝票70で支払いを行うことで、米飯を取り出す利用者が連続しても円滑に料金を支払うことができる。
【0029】
炊飯器50と炊飯釜6を別の個所に配置することで、炊飯器50で米飯を保温している状態で次の炊飯釜6をセットして洗米作業を行うことが出来る。
図3の実施例で示すように、洗米タンク5内に収納された米をかき混ぜることができる洗米棒80を洗米タンク5内の中央部に設けている。洗米棒80は、フロアパネル31に支持された図示しない駆動装置により開閉弁支持シャフト25bを中心軸として洗米棒80を回転させる構成である。
【0030】
洗米撹拌棒80の駆動について、以下説明する。
洗米撹拌棒80は洗米タンク5の中心に位置する回転軸81の回転により回転することで洗米タンク5内の水と米の撹拌作業を行う。回転軸81の下端部に設けられたリードカム81aには洗米撹拌棒80と一体の支持筒83を連結する。回転軸81が回転すると支持筒83は縦軸芯に回転駆動すると共に、リードカム81aの作用で上下方向に往復移動する。支持筒83の回転駆動と共にリードカム81aの作用で洗米撹拌棒80も縦軸芯周りに回転駆動しながら上下方向に移動する。それにより、洗米撹拌棒80による洗米撹拌領域が広がり、洗米作業を良好に行える。また、洗米タンク5内の米飯が洗米タンク5内の壁面に付着するのを防止できる。
【0031】
開閉弁支持シャフト25bは支持筒83及び回転軸81の内部を貫通して設けられており、回転軸81及び支持筒83に対してフリーに構成することで洗米撹拌棒83の回転の際にも停止し、また開閉弁25aを上下動させることができる構成である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本実施の形態の炊飯ユニットはコンビニエンスストアや小売店舗で予め製造された惣菜を収容した弁当の米飯を盛り付けるときに利用できる。すなわち、利用者には温かい米飯を提供しながら、店舗の店員の米飯盛り付け作業を省くことが出来るものである。
【符号の説明】
【0033】
1 米袋置き場 2 計量部
3 貯米庫 5 洗米タンク
6 炊飯釜 9 給水管
10 排水管 12 取付筒
13 排出米飛散防止カバー 14 容器受け部
15 引き出し 16 載置台
17 給水栓 19 水供給管
20 排水配管 21 スイッチ
23 タッチパネル 24 電源スイッチ
25 開閉蓋 25a 開閉弁
25b 開閉弁支持シャフト 27 弾性部材
31 フロアパネル 50 炊飯器
60 レジスタ
70 伝票 80 攪拌棒
81 回転軸 83 支持筒
90 給水電磁弁 91 排水電磁弁