特許第6349758号(P6349758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349758
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】暖房便座装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/30 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A47K13/30 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-23410(P2014-23410)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-149998(P2015-149998A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺田 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】林田 猛
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−094624(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0191950(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰掛便器上面に設けられる暖房便座装置において、
使用者が着座する着座面を構成する便座上板と、
前記便座上板と接合され、前記腰掛便器に相対する便座底板と、
前記便座上板と前記便座底板との間に設けられ、前記便座底板と接触する台座部と、前記台座部の上面に設けられ、少なくとも前記着座面に荷重がかかった状態で前記便座上板の下面と接触して前記便座上板を支持する支持部と、を有する断熱材と、
前記便座上板と前記台座部との間に設けられ、前記断熱材と非接触となるように配設された加熱手段と、
を備え、
前記断熱材は、発泡樹脂であり、
前記支持部は、前記便座上板の周方向に沿って形成された第1支持部と、前記第1支持部に対し略垂直に形成された第2支持部と、を備え、
前記加熱手段は、前記第1支持部および前記第2支持部に沿って配設されていることを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記着座面に荷重がかかっていない状態で、前記支持部の上面が前記便座上板により押し潰されて配設されていることを特徴とする請求項1に記載の暖房便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、便器に付設される便座を暖めることができる暖房便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便座表面を形成する便座上板と、便座底面を形成する便座底板の2部材から構成される便座を有する暖房便座装置が知られている。一般的に、便座上板及び便座底板には、例えばPP(polypropylene:ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂を用いており、便座を暖めるために、便座上板の着座面の裏面に熱源となるヒータが貼り付けられている。便座上板と便座底板とは、振動溶着等を用いて一体化されている。
【0003】
このような暖房便座装置では、使用者が便座に着座することによる荷重に耐え得る強度を便座に持たせるように、便座上板及び便座底板の肉厚を設定する必要がある。すなわち、便座上板の肉厚は、薄すぎると使用者の着座による荷重に耐え得る強度を持たないため、ある程度の肉厚が必要である。一般的には、便座上板及び便座底板の肉厚は約3mm程度に設定されている。
【0004】
しかしながら、上記のような肉厚をもつ暖房便座装置では、ヒータの熱が便座上板の表面に伝達されるまでにかなりの時間がかかっていた。その結果、暖房便座装置への通電を常時行う必要があるため、暖房便座装置を使用していないときに無駄な電力を消費していた。そこで、ヒータの熱が便座上板の表面に伝達されるまでの時間を短縮するために、便座上板の肉厚を薄肉化することが考えられる。しかしながら、便座上板の肉厚を薄くすると、使用者の着座による荷重に対する便座の強度が低下してしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1に記載された暖房便座装置では、便座上板と便座底板との間に設けられ、便座上板の下面に1mmのクリアランスを有して相対する複数のリブを有する補強部材を備えている。これにより、便座上板の肉厚を従来よりも薄肉化し、例えば1mm程度としたとしても、補強部材に形成された複数のリブにより便座上板が支えられるため、着座による荷重に耐え得る強度を確保することができるとともに、即暖性能に優れた暖房便座装置を実現することができる。
【0006】
また、特許文献2に記載された暖房便座装置では、便座上板の着座面と対向する側にヒータを貼り付けており、その部分の肉厚は薄く設定されている。便座上板と便座底板との間に形成された空間は発泡樹脂が充填されている。そのため、便座上板において肉厚を薄く設定している部分における強度を発泡樹脂により補強することで、着座による荷重に耐え得る強度を確保することができるとともに、即暖性能に優れた暖房便座装置を実現することができる。また、発泡樹脂によってヒータの熱が放熱するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−152395号公報
【特許文献2】特開2002−65520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示すような暖房便座装置では、補強部材を通じてヒータの熱が便座上板以外へと逃げてしまう畏れがあった。よって、従来の暖房便座装置と比較すると無駄な電力の消費を抑えているものの未だ改善の余地が残っていた。
【0009】
また、特許文献2に示すような暖房便座装置では、ヒータと発泡樹脂とが接触するため、発泡樹脂を通して熱が便座上板以外へと逃げてしまう畏れがあった。よって、従来の暖房便座装置と比較すると無駄な電力の消費を抑えているものの未だ改善の余地が残っていた。さらに、特許文献2に示すような暖房便座装置では、ヒータと発泡樹脂とが接触するため、ヒータの断線等で生じる異常発熱が発生した場合、発泡樹脂が溶けてしまう畏れがあった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、使用者の着座に対する暖房便座装置の強度を確保しつつ便座上板を薄肉化することができるとともに、暖房性能を向上することができる暖房便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のうち第1の態様に係る暖房便座装置においては、腰掛便器上面に設けられる暖房便座装置において、使用者が着座する着座面を構成する便座上板と、前記便座上板と接合され、前記腰掛便器に相対する便座底板と、前記便座上板と前記便座底板との間に設けられ、前記便座底板と接触する台座部と、前記台座部の上面に設けられ、少なくとも前記着座面に荷重がかかった状態で前記便座上板の下面と接触して
前記便座上板を支持する支持部と、を有する断熱材と、前記便座上板と前記台座部との間に設けられ、前記断熱材と非接触となるように配設された加熱手段と、を備え、前記断熱材は、発泡樹脂であり、前記支持部は、前記便座上板の周方向に沿って形成された第1支持部と、前記第1支持部に対し略垂直に形成された第2支持部と、を備え、前記加熱手段は、前記第1支持部および前記第2支持部に沿って配設されていることを特徴とする。
【0012】
このような構成の暖房便座装置によれば、断熱材は発泡樹脂であり、加熱手段は、便座上板と台座部との間に設けられ、断熱材と非接触となるように配設されているため、加熱手段により発生した熱が便座底板側へと伝熱することを抑制することができる。また、断熱材は、便座底板と接触する台座部と、台座部の上面に設けられ、少なくとも着座面に荷重がかかった状態で便座上板の下面と接触して便座上板を支持する支持部と、を有している。これにより、使用者が便座上板の着座面に着座することで着座面に荷重がかかったとしても、着座面にかかる荷重は支持部へと分散される。そのため、使用者の着座に対する暖房便座装置の強度を確保しつつ便座上板を薄肉化することができる。よって、加熱手段により発生した熱が便座上板の表面に伝達されるまでの時間を短縮することができる。
従って、本発明のうち第1の態様に係る暖房便座装置によれば、使用者の着座に対する暖房便座装置の強度を確保しつつ便座上板を薄肉化することができるとともに、暖房性能を向上することができる。
このような構成の暖房便座装置によれば、便座上板の周方向に沿って形成された第1支持部を備えることにより、着座面に着座した使用者が座りなおす際に着座面に偏った荷重がかかることによる便座上板の撓みを防止することができる。また、第1支持部に対し略垂直に形成された第2支持部を備えることにより、着座面にかかる荷重を分散させることができる。さらに、加熱手段は、第1支持部および第2支持部に沿って配設されているため、加熱手段を便座上板と便座底板との間に形成された空洞部に万遍なく配設することができる。これにより、着座面の温度ムラを抑制することができる。よって、使用者が快適に暖房便座装置を使用することができる。
【0013】
本発明のうち第2の態様に係る暖房便座装置は、前記支持部は、前記着座面に荷重がかかっていない状態で、前記支持部の上面が前記便座上板により押し潰されて配設されていることを特徴とする。
【0014】
このような構成の暖房便座装置によれば、支持部は、着座面に荷重がかかっていない状態で、支持部の上面が便座上板により押し潰されて構成されている。これにより、使用者が繰り返し便座に着座することにより支持部の上面が磨耗し、支持部が便座上板を支える役目を果たさなくなってしまうことを防止することができる。すなわち、使用者の着座に対する暖房便座装置の強度を確実に確保しつつ便座上板を薄肉化することができるとともに、暖房性能を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用者の着座に対する暖房便座装置の強度を確保しつつ便座上板を薄肉化することができるとともに、暖房性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図。
図2】本発明の実施形態に係る暖房便座装置の便座を示す分解斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る暖房便座装置の便座の断面図。
図4】本発明の実施形態に係る暖房便座装置の断熱材の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る暖房便座装置は、腰掛便器上面に設けられる暖房便座装置において、使用者が着座する着座面を構成する便座上板と、前記便座上板と接合され、前記腰掛便器に相対する便座底板と、前記便座上板と前記便座底板との間に設けられ、前記便座底板と接触する台座部と、前記台座部の上面に設けられ、少なくとも前記着座面に荷重がかかった状態で前記便座上板の下面と接触して前記便座上板を支持する支持部と、を有する断熱材と、前記便座上板と前記台座部との間に設けられ、前記断熱材と非接触となるように配設された加熱手段と、を備え、前記断熱材は、発泡樹脂であるものである。これにより、使用者の着座に対する暖房便座装置の強度を確保しつつ便座上板を薄肉化することができるとともに、暖房性能を向上することができるものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する斜視
模式図である。
【0021】
図1に示すトイレ装置は、腰掛便器(以下、説明の便宜上、「便器」と称する)800と、その上面に設けられた暖房便座装置100と、を備える。暖房便座装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。便蓋300は、閉じた状態において便座200の上方を覆うことができる。
【0022】
次に、便座200の概要について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態に係る暖房便座装置の便座を示す分解斜視図である。また、図3は、本発明の実施形態に係る暖房便座装置の便座の断面図である。図3において右側は、便器800のボウル部側であり、左側は便器800の外側である。
【0023】
図2に示すように、便座200は、上から順に便座上板2、加熱手段としてのヒータ3(図3参照)、断熱材4、便座底板5の4部材で構成されている。便座200は、裏面2bにヒータ3が配置された便座上板2と、上面5aに断熱材4が戴置された便座底板5とを振動溶着などの溶着方法により接合することによって形成される。なお、便座200は、便座上板2と便座底板5とが互いに嵌合することで形成されてもよい。
【0024】
次に、便座200の各部材について説明する。便座上板2は、便器800のボウル部側へ向けて斜め下に傾斜した着座面2aを構成する上板である。便座上板2は、例えばPP(polypropylene:ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂によって形成される。便座上板2の後方部には、便座200をケーシング400に対して開閉自在に軸支するためのヒンジ係合部21が形成されている。このヒンジ係合部21とケーシング400の図示しない突起部とを係合することで、便座200は、ケーシング400に対して開閉自在に軸支される。
【0025】
便座上板2は、裏面2bに配置されるヒータ3の熱をより迅速に着座面2aまで伝えるために、便座上板2の着座面2a肉厚を一般的な便座上板よりも薄肉化(例えば、約1〜2mm)している。着座面2aの便器800のボウル部側及び便器800の外側のそれぞれから下に垂れ下がる部分の肉厚は、着座面2aの肉厚よりも厚い肉厚(例えば、約4〜5mm)としている。
【0026】
ヒータ3は、便座上板2を暖めるための暖房用のヒータ線である。このヒータ3は、断熱材4と非接触となるように便座上板2の裏面に配設され、アルミシート(図示なし)により便座上板2の裏面に貼り付けられる。なお、本実施形態では、ヒータ3により発生した熱を便座200全体に満遍なく分散させる(温度ムラをなくす)ためにアルミシートを使用している。ヒータ3の配置については詳細には後述する。
【0027】
断熱材4は、ヒータ3によって発生した熱が便座底板5に伝わるのを防ぐ断熱性機能を有する発泡樹脂(例えば、発泡ポリスチレン、発泡ウレタンなど)である。断熱材4は、便座底板5の上面5aに戴置した際に便座底板5の上面5aと接触する下面41bを有する台座部41と、台座部41の上面41aに設けられる支持部42と、を有する。便座上板2の裏面2bと接触して便座上板2を支持するものである。断熱材4が支持部42を有することにより、薄肉形状とした便座上板2に代わって使用者の荷重を受けることができる。断熱材4については詳細には後述する。
【0028】
便座底板5は、便座200の下面を構成する底板である。便座底板5は、便座上板2と同様に、例えばPP(polypropylene:ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂によって形成される。便座底板5の両側部には、便座クッションを取り付けるための取付け孔6がそれぞれ形成されている。また、便座底板5の前方部の上面5aには、上面5aから上方へ突出した突起8が形成されている。この突起部8は、便座底板5に対する断熱材4の位置決めを行うためのものである。
【0029】
次に、図4を用いて、断熱材4について詳細に説明する。図4は、本発明の実施形態に係る暖房便座装置の断熱材の上面図である。
【0030】
図4に示すように、断熱材4の台座部41は、便座底板5と同様に、外周縁の形状は、後方側の端部は略直線形状で且つ前方側へ向けて凸状に突出しており、内周縁の形状は略楕円形状を有している。台座部41の下面41bは、便座底板5の上面5aに沿うように形成されている。これにより、便座上板2と便座底板5との間に形成される水平方向における空間を埋めることができる。よって、便座底板5の上面5aに断熱材4を嵌め込むことができるとともに、断熱材4により、ヒータ3によって発生された熱が便座底板5に伝わるのを防ぐ断熱性機能が向上することができる。
【0031】
断熱材4の支持部42は、台座部41の上面41aに形成されており、便座上板2の周方向に沿って形成された第1支持部421と、第1支持部421に対し略垂直に形成された第2支持部422と、を備えている。
【0032】
図4に示すように第1支持部421は、台座部41の幅方向における略中央に形成されており、図4における一点鎖線で囲んだ領域B以外の周方向に沿って形成されている。第1支持部421は、便座上板2の周方向に沿って形成されているため、使用者が座ったまま着座位置を調整する際に着座面2aに偏った荷重がかかることによる便座上板2の撓みを抑えることができる。また、第2支持部422は、第1支持部421に対し略垂直に形成されているため、着座面2aにかかる荷重を分散させることができる。
【0033】
断熱材4の高さY(台座部41の下面41bから第1支持部421あるいは第2支持部422の上面までの垂直方向の長さ)は、便座200が組み立てられた状態における、便座底板5の上面5aから便座上板2の裏面2bまでの垂直方向の長さY´と等しい。そのため、第1支持部421および第2支持部422のそれぞれの上面が便座上板2の裏面2bと接触して便座上板2を支持することができる。
【0034】
次に、図3及び図4を用いて、ヒータ3の配設位置について詳細に説明する。
図3に示すように、ヒータ3は断熱材4と非接触となるように配設されている。これにより、ヒータ3の断線等で生じる異常発熱が発生した場合、断熱材4が燃えてしまうことを防止することができる。
【0035】
また、ヒータ3は、図4において点線示すように、第1支持部421および第2支持部422に沿って配設されている。具体的には、ヒータ3は、第1支持部421に沿って配設される部分、すなわち台座部41の周方向に沿って配設される部分と、第2支持部422に沿って配設される部分、すなわち第2支持部422を囲うように配設される部分とを有する。そのため、便座上板2と便座底板5との間に形成された空洞部10に万遍なくヒータ3を配設することができる。なお、ヒータ3は、図4の一点鎖線で示す領域Bにおいて、第1支持部421を便器800の外側からボウル部側、あるいは、ボウル部側から便器800の外側へ越えて配設されている。
【0036】
以上のように、本実施形態にかかる暖房便座装置100では、断熱材4は発泡樹脂であり、ヒータ3は、便座上板2と台座部41との間に設けられ、断熱材4と非接触となるように配設されている。そのため、ヒータ3により発生した熱が便座底板5側へと放熱することを抑制することができる。
【0037】
また、断熱材4は、便座底板5と接触する台座部41と、台座部41の上面41aに設けられ、少なくとも着座面2aに荷重がかかった状態で便座上板2の裏面2bと接触して便座上板2を支持すると、を有している。そのため、使用者が便座上板2の着座面2aに着座することで着座面2aに荷重がかかったとしても、着座面2aにかかる荷重は支持部42(第1支持部421および第2支持部422)へと分散される。そのため、使用者の着座に対する暖房便座装置800の強度を確保しつつ便座上板2を薄肉化することができる。よって、ヒータ2により発生した熱が便座上板の表面に伝達されるまでの時間を短縮することができる。
【0038】
従って、本実施形態にかかる暖房便座装置100によれば、使用者の着座に対する暖房便座装置800の強度を確保しつつ便座上板2を薄肉化することができるとともに、暖房性能を向上することができる。
【0039】
また、支持部42は、便座上板の周方向に沿って形成された第1支持部421を備えることにより、着座面2aに着座した使用者が座りなおす際に着座面2aに偏った荷重がかかることによる便座上板2の撓みを防止することができる。
【0040】
また、支持部42は、第1支持部421に対し略垂直に形成された第2支持部422と、を備えることにより、着座面かかる荷重を分散させることができる。
【0041】
また、ヒータ3は、第1支持部421および第2支持部422に沿って配設されていることにより、ヒータ3を便座上板2と便座底板5との間に形成された空洞部に万遍なく配設することができる。よって、着座面2aの温度ムラを抑制することができる。従って、使用者が快適に暖房便座装置800を使用することができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、断熱材4の高さY(台座部41の下面41bから第1支持部421あるいは第2支持部422の上面までの垂直方向の長さ)は、便座200が組み立てられた状態における、便座底板5の上面5aから便座上板2の裏面2bまでの垂直方向の長さY´と等しいが、それに限らない。少なくとも着座面2aに荷重がかかった状態で第1支持部421および第2支持部422が便座上板2の裏面2bと接触して便座上板2を支持するものであればよい。そのため、便座200が組み立てられた状態において、第1支持部421および第2支持部422のそれぞれ上面と、便座上板2の裏面2bとの間に隙間があってもよい。ただし、この隙間は着座面2aに荷重がかかることで便座上板2の裏面2bと第1支持部421および第2支持部422のそれぞれの上面が接触し、なくなる程度のものである必要がある。
【0043】
好ましくは、断熱材4の高さY(台座部41の下面41bから第1支持部421あるいは第2支持部422の上面までの垂直方向の長さ)は、便座200が組み立てられた状態における、便座底板5の上面5aから便座上板2の裏面2bまでの垂直方向の長さY´よりも長いことが好ましい。これにより、第1支持部421および第2支持部422は、着座面2aに荷重がかかっていない状態で、第1支持部421および第2支持部422のそれぞれの上面が便座上板2により押し潰されて構成される。そのため、使用者が繰り返し便座に着座することによりの第1支持部421および第2支持部422のそれぞれの上面が磨耗し、第1支持部421および第2支持部422が便座上板2を支える役目を果たさなくなってしまうことを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、第1支持部421は図3における一点鎖線で囲んだ領域B以外にわたって形成されているが、それに限らない。使用者座ったまま着座位置を調整する際には、左右方向に重心移動させながら着座位置を調整するため、第1支持部421は、少なくとも台座部41の左右両側部に形成されていればよい。
【0045】
また、本実施形態においては、ヒータ3が、第1支持部421を便器800の外側からボウル部側、あるいは、ボウル部側から便器800の外側へ越えて配設されている領域については、図4の一点鎖線で示す領域B、言い換えると台座部41の後方側の一部に限定されない。例えば、台座部41の前方側の一部であってもよい。ただし、上述したように、第1支持部421は少なくとも台座部41の左右両側部に形成されていればよいため、ヒータ3が、第1支持部421を便器800の外側からボウル部側、あるいは、ボウル部側から便器800の外側へ越えて配設されている領域については、台座部41の左右両側部以外の部分であることが好ましい。
【0046】
また、本実施形態では、ヒータ3からの熱が便座上板2へ最も伝わりやすい配置である便座上板2の裏面にヒータ3を配置した例を示したが、これに限らない。ヒータ3は、便座上板2と台座部41との間に設けられ、断熱材4と非接触となるように配設されていればよい。
【符号の説明】
【0047】
100 暖房便座装置
200 便座
300 便蓋
400 ケーシング
800 便器
2 便座上板
3 ヒータ(加熱手段)
4 断熱材
41 台座部
42 支持部
421 第1支持部
422 第2支持部
5 便座底板
図1
図2
図3
図4