特許第6349769号(P6349769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349769
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】固形製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/737 20060101AFI20180625BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20180625BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   A61K31/737
   A61K9/20
   A61K47/36
   A61K47/38
   A61P19/02
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-29300(P2014-29300)
(22)【出願日】2014年2月19日
(65)【公開番号】特開2014-193847(P2014-193847A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2017年2月6日
(31)【優先権主張番号】特願2013-36871(P2013-36871)
(32)【優先日】2013年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健太
(72)【発明者】
【氏名】唐木 美由紀
【審査官】 馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−024181(JP,A)
【文献】 特開平10−059865(JP,A)
【文献】 特開2006−182933(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0069889(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/129551(WO,A1)
【文献】 米国特許第05620873(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/737
A61K 9/20
A61K 47/36
A61K 47/38
A61P 19/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム1質量部に対して0.05〜0.6質量部のマルトデキストリン、及びヒドロキシプピルセルロースを含有する錠剤。
【請求項2】
コンドロイチン硫酸ナトリウムの50%粒子径が150μm以下である請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
50%粒子径が150μm以下のコンドロイチン硫酸ナトリウムをマルトデキストリンとともに造粒し、得られた造粒物にヒドロキシプロピルセルロースを含む成分を加えて混合し、打錠用顆粒とする工程を有する、錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンドロイチン硫酸ナトリウム含有錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ムコ多糖類であるコンドロイチン硫酸ナトリウムは高分子多糖類の一種であり、生体内の細胞間に存在し、水分及び栄養の細胞への補給や細胞の水分保持の働きをする。この働きにより、骨と骨をつなぐ細胞組織が潤滑になり、柔軟性が保持されることから、腰痛症や関節痛、肩関節周囲炎(五十肩)等の緩和に汎用されている。
コンドロイチン硫酸ナトリウムは吸湿性が高く、膨張する性質を有するため、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含有する錠剤は高湿度化に保存すると、ひび割れが起きるという問題がある。この問題を克服する技術として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む素錠にフィルムコーティングを行うことにより、割れを抑制する技術が開示されている(特許文献1、2)。しかしながら、これら文献で示されている方法は、フィルムコートに必要な添加剤が多種必要であり、作業時間が長く、コストが高いといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−91620号公報
【特許文献2】特開2010−13478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フィルムコーティングを施さなくても、ひび割れの生じないコンドロイチン硫酸ナトリウム含有錠剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含有する素錠について、フィルムコーティングを施すことなく錠剤のひび割れを抑制すべく鋭意検討を行った。その結果、コンドロイチン硫酸ナトリウムに対して特定量のマルトデキストリンを配合した錠剤は、吸湿時のひび割れが抑制されることを見出した。さらに、コンドロイチン硫酸ナトリウムの含量均一性も確保できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)コンドロイチン硫酸ナトリウム、及びコンドロイチン硫酸ナトリウム1質量部に対して0.05〜0.6質量部のマルトデキストリンを含有する錠剤、
(2)コンドロイチン硫酸ナトリウムの50%粒子径が150μm以下である(1)記載の錠剤、
(3)さらに、ヒドロキシプロピルセルロースを含む(1)又は(2)記載の錠剤、
(4)50%粒子径が150μm以下のコンドロイチン硫酸ナトリウムをマルトデキストリンとともに造粒し、得られた造粒物にヒドロキシプロピルセルロースを含む成分を加えて混合し、打錠用顆粒とする工程を有する、錠剤の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、吸湿時のひび割れが抑制されたコンドロイチン硫酸ナトリウム含有錠剤を提供することが可能となった。また、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む打錠用顆粒の流動性が良いため、コンドロイチン硫酸ナトリウムの含量均一性を確保した錠剤の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のコンドロイチン硫酸ナトリウムの含有量としては、錠剤全量に対して5〜80質量%、好ましくは20〜40質量%である。更に、吸湿時のひび割れの抑制を図るという効果の点から、微細化されていることが好ましい。また、本発明では、微細化されたコンドロイチン硫酸ナトリウムを使用すると、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含有する打錠用顆粒の流動性が向上するため、結果として錠剤の質量偏差が小さくなるという利点も有する。そのようなコンドロイチン硫酸ナトリウムの粒子径としては、体積比による50%粒子径は150μm以下が好ましく、さらに好ましくは10μm〜130μmである。また、90%粒子径を求めた場合は、300μm以下が好ましく、好ましくは20μm〜200μmが挙げられる。なお、本発明において「50%粒子径」は、レーザー回析・散乱法により、たとえば、日機装社製のレーザー回折・散乱式粒度径・粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX)等を用いて測定される粒子径の、体積換算として粒径が細かい方から累積して、50%となった際の粒子径であり、「90%粒子径」についても同様に90%となった際の粒子径である。
【0009】
本発明のマルトデキストリンとは、D.E.値が3〜20の直鎖上のデンプン分解物である。本発明において、マルトデキストリンの含有量は、本発明の効果の点から、コンドロイチン硫酸ナトリウムに対して0.05〜0.6質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.6質量部である。0.05質量部未満であるとひび割れを生じ、0.6質量部を超えるとコンドロイチン硫酸ナトリウムの含量均一性が保てなくなるからである。
【0010】
本発明のヒドロキシプロピルセルロースとは、セルロースエーテルの1つであり、セルロースに酸化プロピレンを反応させ、セルロースの無水グルコース単位当たり3個存在する水酸基の一部を2−ヒドロキシプロポキシル基で置換した部分エーテルである。医薬品及び食品分野において、顆粒剤、錠剤の結合剤、賦形剤として汎用される。ヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、吸湿時のひび割れの抑制を図るという点から、錠剤全量に対して1〜20質量%、好ましくは3〜9質量%である。
【0011】
本発明の錠剤は、コンドロイチン硫酸ナトリウムとマルトデキストリン及び必要に応じて内服用固形製剤に汎用される公知の添加剤を混合して造粒用粉末を調製し、常法により造粒して顆粒を得た後、打錠することにより得ることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有効成分及び公知の添加剤を配合することができる。公知の添加剤としては、日本医薬品添加剤協会編「医薬品添加物事典2007」(2007年、薬事日報社)に収載されている添加剤等が挙げられる。
【0012】
本発明の錠剤の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
コンドロイチン硫酸ナトリウムとマルトデキストリンを混合し、必要に応じて内服用固形製剤に汎用される公知の添加剤を混合し混合粉体を調製する。コンドロイチン硫酸ナトリウムを微細化する場合は、例えば、ピンミル、ジェットミル、ハンマーミル等の粉砕機などが使用できる。造粒方法は特に制限されず、例えば撹拌造粒、流動層造粒、押し出し造粒、転動流動造粒、乾式造粒などが挙げられるが、特に好ましいのは撹拌造粒である。湿式造粒を行う場合は、例えば水、エタノール、イソプロピルアルコールあるいはそれらの混合溶媒を調製し、前記混合粉体に噴霧して撹拌造粒等の湿式造粒を行ったのち、湿粒を乾燥すればよい。得られた造粒物にヒドロキシプロピルセルロース、及び必要に応じて内服用固形製剤に汎用される公知の添加剤を混合し(後末添加)、打錠用顆粒を調製する。後末添加するヒドロキシプロピルセルロースの添加量は、造粒物1質量部に対して2〜4.5質量%が好ましい。得られた打錠用顆粒を圧縮成形することにより、本発明の錠剤が得られる。
本発明では、直径9.0mmの2段R面等のR型の凸面を有する円形の打錠用杵を使って打錠した。打錠機でR型の凸面を有する錠径9.0mmの打錠圧は、錠剤の硬度や打錠用杵の耐圧許容度等を考慮して適宜に設定されるが、通常打錠用杵1本当たり約300〜5000kg/cm2であり、好ましくは打錠用杵1本当たり約500〜2000kg/cm2である。なお、本発明の錠剤は、フィルムコーティングを施してもよい。
【実施例】
【0013】
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
【0014】
実施例1
コンドロイチン硫酸ナトリウム 480.0g
(50%粒子径 58.65μm)
(90%粒子径 114.5μm)
マルトデキストリン 288.0g
結晶セルロース 215.0g
ヒドロキシプロピルセルロース 60.0g
カルメロースカルシウム 54.0g
コンドロイチン硫酸ナトリウムを常法にて粉砕した後、上記成分を秤量、混合し、撹拌混合造粒装置(商品名:バーチカルグラニュレーター;パウレック社製)に投入、水/エタノール(3:2)混液を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(商品名:FL−MINI;フロイント社製)にて乾燥した後、造粒物1097.0gを得た。この造粒物212.0gと、結晶セルロース128.6g、ヒドロキシプロピルセルロース11.8g、軽質無水ケイ酸10.5g、クロスカルメロースナトリウム35.0g、ステアリン酸マグネシウム2.3gとを混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの質量286mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0015】
実施例2
コンドロイチン硫酸ナトリウム 480.0g
(50%粒子径 58.65μm)
(90%粒子径 114.5μm)
マルトデキストリン 144.0g
結晶セルロース 363.3g
ヒドロキシプロピルセルロース 60.0g
カルメロースカルシウム 54.0g
コンドロイチン硫酸ナトリウムを常法にて粉砕した後、上記成分を秤量、混合し、撹拌混合造粒装置(商品名:バーチカルグラニュレーター;パウレック社製)に投入、水/エタノール(3:2)混液を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(商品名:FL−MINI;フロイント社製)にて乾燥した後、造粒物1101.3gを得た。この造粒物272.6gと、ヒドロキシプロピルセルロース15.0g、軽質無水ケイ酸13.5g、クロスカルメロースナトリウム45.0g、ステアリン酸マグネシウム3.0gと混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの質量290mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0016】
実施例3
実施例2の造粒物363.5g、結晶セルロース220.4g、ヒドロキシプロピルセルロース20.0g、軽質無水ケイ酸18.0g、クロスカルメロースナトリウム60.0g、ステアリン酸マグネシウム4.0gと混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの質量286mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0017】
実施例4
コンドロイチン硫酸ナトリウム 480.0g
(50%粒子径 128.2μm)
(90%粒子径 178.0μm)
マルトデキストリン 288.0g
結晶セルロース 215.0g
ヒドロキシプロピルセルロース 60.0g
カルメロースカルシウム 54.0g
上記成分を秤量、混合し、撹拌混合造粒装置(商品名:バーチカルグラニュレーター;パウレック社製)に投入、水/エタノール(3:2)混液を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(商品名:FL−MINI;フロイント社製)にて乾燥した後、造粒物1097.2gを得た。この造粒物227.2gと、結晶セルロース139.0g、ヒドロキシプロピルセルロース12.5g、軽質無水ケイ酸11.25g、クロスカルメロースナトリウム37.5g、ステアリン酸マグネシウム2.5gとを混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの重量287mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0018】
実施例5
コンドロイチン硫酸ナトリウム 480.0g
(50%粒子径 53.21μm)
(90%粒子径 180.5μm)
マルトデキストリン 288.0g
結晶セルロース 215.2g
ヒドロキシプロピルセルロース 60.0g
カルメロースカルシウム 54.0g
コンドロイチン硫酸ナトリウムを常法にて粉砕した後、上記成分を秤量、混合し、撹拌混合造粒装置(商品名:バーチカルグラニュレーター;パウレック社製)に投入、水/エタノール(3:2)混液を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(商品名:FL−MINI;フロイント社製)にて乾燥した後、造粒物1097.2gを得た。この造粒物227.2gと、結晶セルロース151.5g、軽質無水ケイ酸11.25g、クロスカルメロースナトリウム37.5g、ステアリン酸マグネシウム2.5gとを混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの重量287mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0019】
比較例1
コンドロイチン硫酸ナトリウム 533.3g
(50%粒子径 84.98μm)
(90%粒子径 257.7μm)
結晶セルロース 568.9g
ヒドロキシプロピルセルロース 66.7g
カルメロースカルシウム 60.0g
上記成分を秤量後、混合し、撹拌混合造粒装置(商品名:バーチカルグラニュレーター;パウレック社製)に投入、水/エタノール(3:2)混液を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(商品名:FL−MINI;フロイント社製)にて乾燥した後、造粒物1228.9gを得た。この造粒物363.6gと、軽質無水ケイ酸10.8g、クロスカルメロースナトリウム36.0g、ステアリン酸マグネシウム1.2gとを混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの質量343mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0020】
比較例2
コンドロイチン硫酸ナトリウム 533.3g
(50%粒子径 58.65μm)
(90%粒子径 114.5μm)
結晶セルロース 568.9g
ヒドロキシプロピルセルロース 66.7g
カルメロースカルシウム 60.0g
コンドロイチン硫酸ナトリウムを常法にて粉砕した後、上記成分を秤量後、混合し、撹拌混合造粒装置(商品名:バーチカルグラニュレーター;パウレック社製)に投入、水/エタノール(3:2)混液を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(商品名:FL−MINI;フロイント社製)にて乾燥した後、造粒物1106.0gを得た。この造粒物363.6gと、軽質無水ケイ酸10.8g、クロスカルメロースナトリウム36.0g、ステアリン酸マグネシウム1.2gとを混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの質量343mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0021】
比較例3
比較例2の造粒物197.5gとヒドロキシプロピルセルロース9.6g、結晶セルロース106.8g、軽質無水ケイ酸11.5g、クロスカルメロースナトリウム3.5g、ステアリン酸マグネシウム0.4gとを混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの質量343mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0022】
比較例4
コンドロイチン硫酸ナトリウム 480.0g
(50%粒子径 53.21μm)
(90%粒子径 180.5μm)
マルトデキストリン 14.4g
結晶セルロース 497.4g
ヒドロキシプロピルセルロース 60.0g
カルメロースカルシウム 54.0g
コンドロイチン硫酸ナトリウムを常法にて粉砕した後、上記成分を秤量後、混合し、撹拌混合造粒装置(商品名:バーチカルグラニュレーター;パウレック社製)に投入、水/エタノール(3:2)混液を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(商品名:FL−MINI;フロイント社製)にて乾燥した後、造粒物1090.0gを得た。この造粒物227.5gと、結晶セルロース139.0g、ヒドロキシプロピルセルロース12.5g、軽質無水ケイ酸11.2g、クロスカルメロースナトリウム37.6g、ステアリン酸マグネシウム2.5gとを混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの質量287mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0023】
比較例5
コンドロイチン硫酸ナトリウム 480.0g
(50%粒子径 53.21μm)
(90%粒子径 180.5μm)
マルトデキストリン 496.8g
ヒドロキシプロピルセルロース 60.1g
カルメロースカルシウム 54.0g
コンドロイチン硫酸ナトリウムを常法にて粉砕した後、上記成分を秤量後、混合し、撹拌混合造粒装置(商品名:バーチカルグラニュレーター;パウレック社製)に投入、水/エタノール(3:2)混液を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(商品名:FL−MINI;フロイント社製)にて乾燥した後、造粒物1070.3gを得た。この造粒物227.5gと、結晶セルロース139.0g、ヒドロキシプロピルセルロース12.5g、軽質無水ケイ酸11.2g、クロスカルメロースナトリウム37.6g、ステアリン酸マグネシウム2.5gとを混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機で直径9.0mm、1錠当たりの質量287mgとなるように製錠し、錠剤を得た。
【0024】
実施例1〜5及び比較例1〜5の処方を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
試験例1
(1)方法
実施例1〜5及び比較例1〜5で製造した錠剤20錠を、25℃、60%RHの条件下で5時間吸湿した。それぞれの割れた錠数及び錠剤硬度,錠剤の質量偏差を計測した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
(2)結果
表2より、マルトデキストリンを含有しない比較例1〜3及びマルトデキストリンの含有量が少ない比較例4の錠剤では、吸湿時にひび割れが発生した。また、マルトデキストリンの含有量が多い比較例5の錠剤は、ひび割れの発生こそないが、質量偏差が2%を超え、商品性が低いことが確認された。
一方、実施例1〜5の錠剤は、吸湿時のひび割れも確認されず、高湿度化においても安定に錠剤の形状を保つことができた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明により、ひび割れを抑制し、コンドロイチン硫酸ナトリウムの含量均一性を確保した、商品性の高いコンドロイチン硫酸ナトリウム含有錠剤の提供が可能となった。