(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の高容量化の要望に対応しようとすると発熱量が増大することになるため、金属よりも熱伝導率の低い樹脂によって筐体を形成した場合、発熱部品と直接に接している筐体部からは放熱するが、その周囲には熱が伝わらないため、放熱面積が小さく、十分に放熱し難いという課題がある。
また、電源装置の小型化を図ろうとすると、熱がこもりやすくなり、より放熱し難くなる。
【0006】
本発明の課題は、放熱性が良く、小型化を図ることが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る電子機器は、筐体と、発熱部品と、放熱部材と、伝熱部材とを備えている。筐体は、樹脂で形成されている。発熱部品は、筐体に収納されている。放熱部材は、筐体の外面に沿って配置され、筐体を形成する樹脂よりも熱伝導率の高く、板状である。伝熱部材は、互いに対向する第1面と第2面と有し、第1面において、放熱部材と直接または筐体を介して間接的に接触し、第2面において、発熱部品と接触する。放熱部材は、少なくとも、伝熱部材と発熱部品の接触面を覆う形状である。
【0008】
ここで、発熱部品は、電気的に駆動されることで熱を発する部品である。当該電子機器にアルミ電解コンデンサが用いられる場合、そのアルミ電解コンデンサよりも発熱量が大きい部品であってもよい。また、当該電子機器に用いられる部品のうち、発熱量の多い順にみたときに上位半数に含まれる部品であってもよい。トランス、半導体部品、及びコイルのいずれかのひとつを含む。また、伝熱部材は、空気などの筐体内部にある気体よりも熱伝導率が高い部材である。これにより、伝熱部材を配置せずに空間を設けるよりも熱を効率よく筐体に放熱することができるようになる。また、間接的に接触するとは、2つの部材の間に他の部材が介在し、これらの2つの部材は互いに直接接触していないが、いずれの部材も当該他の部材と直接接触している状態をいう。他の部材は複数の部材が順に直接接触しながら連なった部材であっても良い。他の部材は、空気などの筐体内部にある気体よりも熱伝導率が高い部材である。
【0009】
このように筐体を樹脂で形成することによって電子部品との絶縁距離を確保する必要がないため小型化を図ることが可能となり、筐体の外面に沿って板状の放熱部材を配置することによって、樹脂筐体のみの場合に比べて熱が放熱部材より広い周囲にまで広がって、良好な放熱性を得ることが出来る。
また、筐体を樹脂によって形成するため、低コスト化を図ることが出来る。
【0010】
第2の発明に係る電子機器は、第1の発明に係る電子機器であって、筐体は、気体が流入又は流出する通気孔を有している。
これにより、通気孔を通って筐体内を流通する空気によって発熱部品の放熱を更に行うことが出来る。
第3の発明に係る電子機器は、第1又は第2の発明に係る電子機器であって、伝熱部材は、筐体に接触しており、放熱部材は、筐体を挟んで伝熱部材の反対側に配置されている。
これにより、発熱部品によって発する熱を筐体を介して放熱部材へと伝達し、放熱を行うことが出来る。
【0011】
第4の発明に係る電子機器は、第1又は第2の発明に係る電子機器であって、筐体は、貫通孔を有し、伝熱部材は、貫通孔を介して放熱部材と直接接触している。
これにより、発熱部品によって発する熱を直接放熱部材へと伝達し、放熱を行うことが出来る。
【0012】
第5発明に係る電子機器は、第1又は第2の発明に係る電子機器であって、伝熱部材と筐体の間に、伝熱部材と接触して配置されたシート状部材を備えている。シート状部材は、筐体を挟んで放熱部材の反対側に配置されている。シート状部材の筐体側の面は、筐体の内面に対する摺動性が高い。シート状部材には、紙や樹脂シートなどを含む。絶縁性を有していてもよい。固体であって、筐体の内面と接触させながら筐体内に収納しても破れない程度の強度を有することが好ましい。
これにより、発熱部品によって発する熱をシート状部材及び筐体を介して放熱部材へと伝達し、放熱を行うことが出来る。
【0013】
第6の発明に係る電子機器は、第2の発明に係る電子機器であって、筐体は、互いに対向する第1面及び第2面を有している。通気孔は、第1面及び第2面のそれぞれに設けられている。
これにより、第1面の通気孔と第2面の通気孔を通過する空気の流れによって、電子部品の放熱を行うことが出来る。
【0014】
第7の発明に係る電子機器は、第6の発明に係る電子機器であって、筐体は、互いに対向する第3面及び第4面を有している。第3面及び第4面は、第1面及び第2面に垂直な方向に沿って配置されている。放熱部材は、第3面及び第4面の少なくとも一方に配置されている。
このように通気孔を有していない面に放熱部材を配置しているため、通気孔を塞ぐことを考慮することなく、面に合わせて出来るだけ大きな面積で放熱部材を形成することが出来、放熱効率をより向上させることができる。尚、本明細書における「垂直」との記載は、厳密な意味を示しているものではない。
【0015】
第8の発明に係る電子機器は、第6の発明に係る電子機器であって、発熱部品が配置された基板を含む、筐体内に配置された全ての基板は、その表面が第1面及び第2面に垂直な方向に沿って配置されている、
このように基板を配置することにより、第1面の通気孔と第2面の通気孔を通過する空気の流れを妨げることを出来るだけ低減でき、効率良く放熱を行うことが出来る。
【0016】
第9の発明に係る電子機器は、第6の発明に係る電子機器であって、筐体を支持レールに取り付けるための取付け部を更に備えている。筐体は、第1面及び第2面に垂直な方向に沿って配置された第5面を有している。取付け部は、第5面に配置されている。筐体が支持レールに取り付けられた状態において、第1面及び第2面は、それらの対向する方向が支持レールの長手方向に垂直な方向に沿って配置されている。
これにより、第1面と第2面の通気孔を塞ぐことなく、複数の電子機器を支持レールに取り付けることが出来る。
【0017】
第10の発明に係る電子機器は、第2の発明に係る電子機器であって、筐体は、少なくとも2つ以上の部材を締結、嵌合又は接着することによって形成されており、互いに対向する第3面及び第4面を有している。放熱部材は、第3面及び第4面の少なくとも一方に配置されている。第3面と第4面は、別々の部材に設けられている。
これにより、第3面と第4面のうち一方の面の内側に載置した発熱部品上に伝熱部材を配置し、第3面と第4面のうちの他方の面を伝熱部材上に被せるように配置して電子機器を製造することが出来るため、発熱部品と筐体の間に伝熱部材を配置し易くなる。
【0018】
第11の発明に係る電子機器は、第5の発明に係る電子機器であって、筐体は、外部に向かって開口した開口面を有する箱状部材と、開口面を塞ぐように配置された蓋状部材とを有する。
このように筐体が箱状部材と蓋状部材によって形成されていても、伝熱部材にシート状部材を接触して配置することにより、伝熱部材を載置した状態で発熱部品を箱状部材内にスライドさせて挿入することが出来るため、電子機器をより製造しやすくなる。
【0019】
第12の発明に係る電子機器は、第1又は第2の発明に係る電子機器であって、放熱部材は、両面テープによって筐体に接着されている。
これにより、放熱部材を容易に筐体に貼付けることが出来る。
【0020】
第13の発明に係る電子機器は、第1又は第2の発明に係る電子機器であって、放熱部材は、筐体を一体成形されている。
これによって、放熱部材を筐体に取り付けるための接着、締結等を行う必要がなく、製造が容易となる。
【0021】
第14の発明に係る電子機器は、第1又は第2の発明に係る電子機器であって、伝熱部材は、弾力性を有しており、発熱部品に密着している。
これによって、発熱部品の熱をより確実に直接又は筐体を介して放熱部材へと伝達することが出来る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電子機器によれば、放熱性が良く、小型化を図ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、適宜、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするために、例えば、既知の事項の詳細な説明や実質的に同一の構成に対する重複説明については省略する場合がある。
尚、出願人は、当業者が本発明の内容を十分に理解するために以下の説明及び図面を提供するのであって、これらの開示内容によって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0025】
(実施形態1)
<1.構成>
図1は、本実施形態1の電源装置100の正面側から視た斜視図である。
図2は、本実施形態1の電源装置100の背面側から視た斜視図である。
図3は、本実施形態1の電源装置100の分解斜視図である。
【0026】
本実施形態1の電源装置100は、スイッチング電源装置であって、入力された商用電源を半導体のスイッチング作用を利用して高周波電力に変換し、所定の直流を得ることが出来る。
図1、
図2、及び
図3に示すように、本実施形態1の電源装置100は、ケース1と、ケース1の両方の側面の外側に配置された放熱板2と、ケース1に収納された電源回路ユニット3と、電源回路ユニット3の所定の部品に配置された放熱ゲルシート4とを備えている。尚、
図1には、本実施形態1の電源装置100を取り付ける支持レール9が点線で示されている。
【0027】
(1−1.ケース1)
ケース1は、
図3に示すように、ケース本体10と、ケース前部11とを有している。
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)及び
図4(e)は、それぞれケース本体10の正面図、右側面図、左側面図、上面図、及び底面図である。又、
図4(f)は、
図4(c)のAA間の矢示断面図である。
【0028】
図3及び
図4(a)〜
図4(f)に示すように、ケース本体10は、前面側に開口を有する箱形状であり、右側面12、左側面13、上面14、底面15、及び背面16を有している。尚、本明細書では、支持レール9に取付けられた状態の電源装置100を基準として、上下左右及び前後を規定する。左右方向は、ケース前部11を正面に見た場合の左右方向を示している。また、前方はケース前部11側であり、後方は背面16側を示している。
【0029】
(1−1−1.ケース本体10)
(1−1−1−1.右側面12)
図4(b)に示すように、右側面12にはケース前部11の爪部11a、11b(後述する)が嵌合する嵌合孔12a、12bが形成されている。この嵌合孔12a、12bは、右側面12の前端12f側の上下2箇所に形成されている。
【0030】
(1−1−1−2.左側面13)
図4(c)に示すように、左側面13にはケース前部11の爪部11c、11d(後述する)が嵌合する嵌合孔13a、13bが形成されている。この嵌合孔13a、13bは、左側面13の前端13f側の上下2箇所に形成されている。左側面13には、
図4(c)及び
図4(d)に示すようにケース本体10の内側と外側を貫通した開口部13cが形成されている。この開口部13cは、左側面13の上端寄りに設けられており、電源回路ユニット3に設けられているトランス34と対向する位置に形成されている。
【0031】
(1−1−1−3.上面14)
図4(d)に示すように、上面14にはケース前部11の爪部11e(後述する)が嵌合する嵌合孔14aが形成されている。この嵌合孔14aは、上面14の前端14f側に形成されている。また、上面14には、
図1、
図3及び
図4(d)に示すように、電源回路ユニット3で発生した熱を外部に放出するための通気孔141が形成されている。通気孔141は、略六角形の通気孔141aと、線状の通気孔141bを有している。上面14の右側面12側の端を右端14cとし、上面14の左側面13側の端を左端14dとし、上面14の背面16側の端を後端14eとすると、通気孔141bは、右端14c寄りと左端14d寄りの位置に、右端14cと左端14dに沿って2つずつ設けられている。また、通気孔141aは、右端14cと左端14dに沿って形成された通気孔141bの間に、前後方向(前端14fから後端14e)に複数個がハニカム構造を形成するように設けられている。
【0032】
(1−1−1−4.底面15)
図4(e)に示すように、底面15にはケース前部11の爪部11f(後述する)が嵌合する嵌合孔15aが形成されている。この嵌合孔15aは、底面15の前端15f側に形成されている。また、底面15には、
図1、
図3及び
図4(e)に示すように、電源回路ユニット3で発生した熱を外部に放出するための通気孔151が形成されている。通気孔151は、略六角形の通気孔151aと、線状の通気孔151bを有している。底面15の右側面12側の端を右端15cとし、底面15の左側面13側の端を左端15dとし、底面15の背面16側の端を後端15eとすると、通気孔151bは、右端15c寄りと左端15d寄りの位置に、右端15cと左端15dに沿って2つずつ設けられている。また、通気孔151aは、右端15cと左端15dに沿って形成された通気孔151bの間に、前後方向(前端15fから後端15e)に複数個がハニカム構造を形成するように設けられている。
【0033】
(1−1−1−5.背面16)
背面16には、
図2に示すように支持レール9に取り付けるための取付け部160が設けられている。この取付け部160は、上下方向における略中央部分に左右方向に向かって凹状に形成されている。詳しく説明すると、背面16には、上下方向において上端側の面16aと、略中央の面16bと、下端側の面16cとを有している。面16bは、面16aの下端と、面16cの上端よりも前方側に位置している。面16aの下端には、下方に向かって突出するように形成された係止部16dが形成されている。また、面16aと面16bの段差部分には、上方に向かって窪むように形成された凹部16eが形成されている。
【0034】
一方、面16cの左右方向の中央上端部分には、上方向に向かって形成された係止部16fが設けられており、この係止部16fの先端の表面には傾斜面16gが形成されている。傾斜面16gは、その表面上の位置が上方に向かうにしたがって前方に位置するように傾斜している。また、係止部16fは、前後方向に撓むように弾性を有している。
支持レール9の上端部分9a(
図1参照)が凹部16eに嵌められ、下端部分9b(
図1参照)が係止部16fの傾斜面16gを乗り越えて嵌められることによって、上端部分9aが係止部16dによって係止され、下端部分9bが係止部16fによって係止される。これによって、電源装置100が支持レール9によって支持される。尚、支持レール9は、左右長く形成されており、
図1における左右方向が支持レール9の長手方向の一例となる。
【0035】
(1―1−2.ケース前部11)
ケース前部11は、
図3に示すように、ケース本体10の開口17を塞ぐような蓋状に形成されており、ケース本体10と嵌合する。ケース前部11は、
図1〜
図3に示すように、前面110、右面112、左面113、上面114、及び下面115を有している。ケース本体10にケース前部11を嵌合した状態では、ケース前部11の右面112、左面113、上面114、及び下面115が、それぞれケース本体10の右側面12、左側面13、上面14と、及び底面15と端面同士で隣接することになる。
【0036】
ケース前部11には、その後端の左側面13側の縁11kから後方に向かって突出した突出部11g、11hが形成されており、その先端に左側面13の嵌合孔13a、13b内に嵌合する爪部11c、11dが設けられている。この爪部11c、11dは、外側に傾斜面111c、111dを有し、後方に向かって左右方向の幅が狭くなるように形成されている。
【0037】
また、ケース前部11には、
図1及び
図2に示すように、その後端の右側面12側の縁11jから後方に向かって突出した突出部(図示せず)が形成されており、右側面12の嵌合孔12a、12b内に嵌合する爪部11a、11bが設けられている(
図2参照)。尚、爪部11a、11bが設けられている突出部の形状は、
図3に示す突出部11g、11hと同じ形状である。
【0038】
ケース前部11には、
図3に示すように、その後端の上面14側の縁11mから後方に向かって突出した板状の突出部11iが形成されており、この板状の突出部11iの外側の表面に、上面14の嵌合孔14a内に嵌合する爪部11eが設けられている。この爪部11eは、外側に傾斜面111eを有し、後方に向かって上下方向の厚みが小さくなるように形成されている。
【0039】
また、ケース前部11には、
図2に示すように、その後端の底面15側の縁11nから後方に向かって突出した板状の突出部(図示せず)が形成されており、底面15の嵌合孔15a内に嵌合する爪部11fが設けられている。尚、爪部11fが設けられている突出部の形状は、
図3に示す突出部11iと同じ形状である。
また、
図3に示すように、ケース前部11の内側の上端近傍には、電源回路ユニット3の第1の配線接続部39aが配置される。この第1の配置接続部39aのネジ390を締める又は緩めるための貫通孔11oが、ケース前部11の前面110に設けられている。更に、配線を差し込むための貫通孔11pが上面114に設けられている。
同様に、ケース前部11の内側の下端近傍には、電源回路ユニット3の第2の配線接続部39bが配置される。この第2配線接続部39bのネジ390を締める又は緩めるための貫通孔11qがケース前部11の前面110に設けられている。更に、配線を差し込むための貫通孔11r(
図3参照)が下面115(
図2参照)に設けられている。
【0040】
(1−2.放熱板2)
本実施形態では、放熱板2は、アルミニウムによって形成された板状の部材である。放熱板2は、ケース本体10の右側面12の外表面12s(
図4(b)参照、後述する
図8(b)参照)及び左側面13の外表面13s(
図4(c)参照、後述する
図8(b)参照)それぞれに接着剤によって貼り付けられており、右側面12側の放熱板を2a、左側面13側の放熱板を2bとする。
【0041】
放熱板2aは、ケース本体10の右側面12の全体を覆うように右側面12と略同じ外形になるように形成されている。また、放熱板2bは、ケース本体10の左側面13の全体を、開口部13cも含めて覆うように左側面13と略同じ外形に形成されている。
また、放熱板2aには、右側面12に形成された嵌合孔12a、12bを塞がないように切り欠き21、22が形成されており、放熱板2bにも、左側面13に形成された嵌合孔13a、13bを塞がないように切り欠き21、22が形成されている。
また、放熱板2a、2bを右側面12及び左側面13に取り付ける接着剤としては、両面テープ等が挙げられるが、接着硬化した後、ケース本体10よりも熱伝導率が高い方が好ましい。
【0042】
(1−3.電源回路ユニット3)
図5は、本実施形態1の電源装置100の電源回路ユニット3の斜視図である。
図6は、本実施形態1の電源装置100の内部構成を示す側面図である。
図6では、内部の構成を点線で示している。
図5及び
図6に示すように、電源回路ユニット3は、ケース1内に収納され、第1基板31aと第2基板31bを有している。
【0043】
(1−3−1.第1基板31a)
第1基板31aは、ケース本体10の右側面12に平行な方向に沿って、右側面12の内側全体を覆うように配置されている。第1基板31aは、後述する
図8(a)に示すように、上面14と下面15のそれぞれの内側の右側面12近傍に形成された溝状の支持部14m、15mにスライドして挿入され、支持されている。尚、本明細書における「平行」の記載は厳密な意味を示すものではない。
【0044】
第1基板31aには、主な部品として、スイッチング素子32、ヒートシンク33a、トランス34、アルミ電解コンデンサ35、整流ダイオード30、ヒートシンク33b、ブリッジダイオード36、アルミ電解コンデンサ37、及びコイル38等が配置されている。これらの部品は、第1基板31aの左側面13側の表面31asに配置されている。
尚、第1基板31aの表面31asの反対側の裏面が31abとして
図7に示されている。第1基板31aの表面31asが左側面13に対向し、裏面31abが右側面12に対向することになる。
【0045】
スイッチング素子32は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)等であって、第1基板31aの背面16側に配置されている。ヒートシンク33aは、板状であってスイッチング素子32が発する熱を放熱する。ヒートシンク33aは、その板状の表面33asが第1基板31aに垂直且つ、ケース本体10の上面14及び底面15に対して垂直な方向に沿って配置されている。
【0046】
トランス34及びアルミ電解コンデンサ35は、第1基板31aのヒートシンク33aの開口17側(前側)に配置されている。トランス34が上面14側に配置されており、トランス34の底面15側にアルミ電解コンデンサ35が配置されている。
図5及び
図8(a)に示すように、アルミ電解コンデンサ35は、円筒形状であり、側面35aと、端面35b、及び端面35cを有している。上面14側の端面35bには、図示しないリード線が設けられており、第1基板31aと電気的に接続されている。本実施形態では、アルミ電解コンデンサ35は、端面35bと端面35cが、上面14及び底面15と平行な方向に沿って配置されている。尚、アルミ電解コンデンサ35は、その端面35b、35cが第1基板31aに垂直な方向に沿って配置されているともいえ、更にアルミ電解コンデンサ35は、その側面35aの一部が第1基板31aと対向するように配置されているともいえる。
【0047】
ヒートシンク33bは、整流ダイオード30の放熱を行うために設けられている。ヒートシンク33bは、板状の部材をL字状に折り曲げた形状であり、トランス34の開口17側に配置されている。また、ヒートシンク33bは、その板状の表面33bsが第1基板31aに垂直且つ、ケース本体10の上面14及び底面15に垂直な方向に沿って配置されている。
【0048】
ブリッジダイオード36が、ヒートシンク33bの下側に配置されている。このブリッジダイオード36は、板状であり、その表面36a(
図6参照)がケース本体10の上面14及び底面15に垂直な方向に沿って配置されている。
アルミ電解コンデンサ37は、上下方向(上面14及び底面15の対向方向)に3つ並んで配置されている。アルミ電解コンデンサ37は、
図5及び
図6に示すように、円筒形状であり、側面37aと、対向する2つの端面(一方の端面37cのみ図示)を有している。端面37cは、左側面13側を向いて、第1基板31aと平行な方向に沿って設けられている。図示しない端面は、右側面12側を向いて、第1基板31aと平行な方向に沿って設けられている。また、右側面12側を向いた図示されていない端面には、リード線が設けられており、第1基板31aと電気的に接続されている。
これらアルミ電解コンデンサ37の底面15側にコイル38が配置されている。
【0049】
(1−3−2.第2基板31b)
第2基板31bは、3つのアルミ電解コンデンサ37及びコイル38よりも前側(
図5には図示していないが
図6には図示)に配置されており、
図3に示すようにケース本体10の開口17をほぼ塞ぐように配置される。また、第2基板31bは、第1基板31aの前側に第1基板31aに対して垂直且つ、ケース本体10の上面14及び底面15に対して垂直な方向に沿って配置されている。
【0050】
第2基板31bには、主に第1の配線接続部39aと第2の配線接続部39bが設けられている。第1の配線接続部39aと第2の配線接続部39bは、第2基板31bの前面110側の表面に設けられており、ケース本体10とケース前部11とを組み合わせると、ケース前部11内に配置される。第1の配線接続部39a及び第2の配線接続部39bはそれぞれ複数の配線を接続できるように区分けされている。
第1の配線接続部39aには、それぞれの区画ごとに配線を固定するためのネジ390が前面110側から挿入されており、上面114側には、ネジ390で固定する配線を挿入する配線挿入部391が設けられている。第2の配線接続部39bは、第1の配線接続部39aと同様の構造であるが、配線挿入部391は下面115側に設けられている。
【0051】
(1−4.放熱ゲルシート4)
図7は、本実施形態1の電源装置100のケース1を取り除いた状態を示す図である。
図8(a)は、
図6のBB間の矢示断面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のC部拡大図である。
【0052】
本実施形態1の放熱ゲルシート4は、絶縁性、伝熱性、弾力性及び粘着性を有している。
図7に示すように、本実施形態1の電源装置100では、発熱量の多いトランス34の表面に放熱ゲルシート4を密着配置させている。この表面とは、左側面13側のことであり、
図5に表面34aとして図示している。
図8(a)及び
図8(b)に示すように、この放熱ゲルシート4は、左側面13に形成されている開口部13cを介して放熱板2bに直接接触している。
【0053】
詳細には、放熱ゲルシート4は略直方体形状であり、互いに対向する第1面4aと第2面4bを有している。放熱ゲルシート4は、その第1面4aがトランス34の表面34aと接触し、その第2面4bが放熱板2bと接触している。
このような構成により、トランス34での発熱が、放熱ゲルシート4を介して放熱板2bへと伝達され、放熱板2bの面方向に広がり、外部へと放熱される。
【0054】
尚、放熱板2a、2bを右側面12及び左側面13に接着材によって貼り付けられているため、右側面12の外表面12sと放熱板2aの間、及び左側面13の外表面13sと放熱板2bの間には、実際には接着層が形成されることになるが、
図8(a)及び
図8(b)では省略している。以下の図においても同様に接着層は省略している。
【0055】
<2.電源装置100の製造方法>
図9は、本実施形態1の電源装置100の製造方法を説明するための分解図である。
はじめに、
図5に示す電源回路ユニット3が、ケース本体10にスライドさせて挿入される。
次に、開口部13cから放熱ゲルシート4が、トランス34の表面34aに載置される(矢印T参照)。この状態が、
図3に示す状態となる。ここで、放熱ゲルシート4は粘着性も有しているため、トランス34の表面34aに押し付けることによって、表面34aに密着し落下し難い。
【0056】
そして、右側面12に放熱板2aが接着によって取り付けられ、左側面13に放熱板2bが接着によって取り付けられる。
次に、ケース本体10の開口17を塞ぐようにケース前部11が取り付けられる。ケース前部11の各爪部11a、11b、11c、11d、11eが、それぞれ嵌合孔12a、12b、13a、13b、14a、15aに嵌ることによってケース本体10とケース前部11が連結され、ケース1が形成される。爪部11cを例に挙げて詳細に説明すると、ケース前部11をケース本体10に取り付ける際、爪部11cの傾斜面111cが左側面13の前端13fに当接する。更にケース前部11をケース本体10に向けて押すと、前端13fに対して傾斜面111cがスライドするとともに突出部11gが内側へと撓み、爪部11cが左側面13の内側へと入り込む。そして、更にケース前部11をケース本体10に向けて押し進めることによって、爪部11cは嵌合孔13aに嵌る。他の爪部11a、11b、11d、11e、11fも同様である。尚、ケース本体10に対するケース前部11の取りつけと、放熱板2a、2bの取り付けは、どちらを先に行なっても良い。
以上のように、ケース本体10に貫通孔として開口部13cを形成し、電源回路ユニット3をケース本体10に挿入した後に、開口部13cを介して放熱ゲルシート4を配置することによって、放熱ゲルシート4を直接放熱板2bと接触させることが出来る。
【0057】
<3.主な特徴>
以上のように、本実施形態1の電源装置100(電子機器の一例)は、
図3に示すように、ケース1(筐体の一例)と、トランス34(発熱部品の一例)と、放熱板2b(放熱部材の一例)と、放熱ゲルシート4(伝熱部材の一例)とを備えている。ケース1は、樹脂で形成されている。トランス34はケース1に収納されている。放熱板2bは、ケース1の左側面13の外表面13s(外面の一例)に沿って配置され、ケース1(詳細にはケース本体10)を形成する樹脂よりも熱伝導率の高い板状の部材である。
【0058】
伝熱部材は、
図8(b)に示すように、互いに対向する第1面4aと第2面4bとを有し、第2面4bにおいて、放熱板2bと直接接触し、第1面4aにおいてトランス34に接触している。放熱板2bは、少なくとも、放熱ゲルシート4とトランス34の第1面4a(接触面の一例)及び表面34a(接触面の一例)を覆う形状である。
すなわち、本実施形態1では、ケース本体10は、開口部13cを(貫通孔の一例)を有し、放熱ゲルシート4は、開口部13cを介して放熱板2bと直接接触している。
【0059】
このようにケース1を樹脂で形成することによって、トランス34、アルミ電解コンデンサ35、37、コイル38等の電子部品とケース1との間に絶縁距離を確保する必要がないため小型化を図ることが可能となる。また、ケース1の外面である左側面13と右側面12の外表面12s、13sに沿って放熱板2a、2bを配置することによって、良好な放熱性を得ることが出来る。
【0060】
また、筐体を樹脂によって形成するため、低コスト化を図ることが出来る。
本実施形態では、第1基板31a及び第2基板31bが、通気孔141が形成されている上面14及び、通気孔151が形成されている底面15に対して垂直に配置されている。このように基板を配置することによって、通気孔151から通気孔141への風の流れが遮られないため、効率よく冷却を行うことが出来る。また、右側面12及び左側面13には通気孔が形成されていないため、通気孔を塞ぐことなく放熱板2a、2bを出来るだけ大きい面積とすることが出来、効率よく放熱を行うことが出来る。
【0061】
(実施形態2)
以下に、本発明に係る実施形態2の電源装置200について説明する。本実施形態2の電源装置200は、実施形態1の電源装置100と基本的な構成は同じであるが、実施形態1と異なり、左側面に開口部が形成されておらず、製造の際には放熱ゲルシート4上にスライドシート5を載置して、電源回路ユニット3をケース内に挿入する。そのため、本実施形態2の実施形態1に対する相違点を中心に説明する。尚、本実施形態2において実施形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0062】
<1.構成>
図10(a)は、本実施形態2の電源装置200の放熱板2bを取外した状態を示す斜視図である。
図10(a)に示すように、本実施形態2の電源装置200のケース201のケース本体210は、実施形態1の左側面13と異なり、開口部13cが形成されていない左側面13´を有している。この点以外のケース201の構成は、実施形態1のケース1と同様である。尚、本実施形態2の電源装置200は、放熱板2a、2bをケース201に取り付けた状態では、その外観は
図1に示す電源装置100と同様である。
【0063】
図10(b)は、本実施形態2の電源装置200の内部を説明するための斜視図であり、放熱板2bは示しておらず、ケース本体210を点線で示している。
図11(a)は、本実施形態2の電源装置200の正断面図であり、トランス34及びアルミ電解コンデンサ35を通り前面110と平行な平面で切断した図である。又、
図11(a)に示す断面図は、
図6に示したCC間と同じ位置における本実施形態2の電源装置200の矢示断面図である。
図11(b)は、
図11(a)のD部拡大図である。
【0064】
図10(b)、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、本実施形態2の電源装置200では、内側から外側に向かって、トランス34、放熱ゲルシート4、スライドシート5、左側面13´、及び放熱板2bの順に配置されている。すなわち、放熱ゲルシート4は、その第1面4aでトランス34の表面34aと接触し、第1面4aと対向する第2面4bでスライドシート5と接触している。スライドシート5は、左側面13と接触している。
【0065】
ここで、スライドシート5は、樹脂等によって形成されており、本体ケース201の内面、特に左側面13´の内表面13i´に対する摺動性が高い方が好ましく、少なくとも放熱ゲルシート4の第2面4bの内表面13i´に対する摺動性よりも高い方が好ましい。
以上のような構成により、トランス34での発熱は、放熱ゲルシート4、スライドシート5、左側面13´を介して放熱板2bへと伝達され、放熱板2bにおいて、更に面方向に伝達されながら外部へと放出される。
【0066】
<2.電源装置200の製造方法>
図12は、本実施形態1の電源装置200の製造方法を説明するための分解図である。
図12の矢印Eに示すように、電源回路ユニット3のトランス34の表面34aに配置されている放熱ゲルシート4にスライドシート5が配置される。放熱ゲルシート4は粘着性を有しているため、スライドシート5を放熱ゲルシート4に押し付けることにより、スライドシート5は放熱ゲルシート4に密着し離れ難い状態となる。
【0067】
次に、スライドシート5及び放熱ゲルシート4が配置された状態の電源回路ユニット3をケース本体210内にスライドさせながら挿入する(矢印F参照)。
次に、ケース前部11がケース本体210に嵌合して装着される。
そして、放熱板2a、2bが、ケース本体210の右側面12の外表面12s及び左側面13´の外表面13s´にそれぞれ接着される。
以上のように、本実施形態の電源装置200を製造することが出来る。
【0068】
<3.主な特徴>
以上のように、本実施形態2の電源装置200(電子機器の一例)では、放熱ゲルシート4(伝熱部材の一例)は、第2面4bにおいて、ケース201及びスライドシート5を介して放熱板2b(放熱部材の一例)と接触し、第1面4aにおいてトランス34に接触している。スライドシート5は、放熱ゲルシート4とケース201の間に、放熱ゲルシート4と接触して配置されている。また、スライドシート5は、ケース201を挟んで放熱板2bの反対側に配置されており、スライドシート5のケース201側の面5a(
図10(b)及び
図11(b)参照)は、ケース201の内面(詳細には左側面13´の内面13i´(
図11(b)参照))に対する摺動性が高い。
【0069】
放熱ゲルシート4が、第2面4bにおいて、ケース201及びスライドシート5を介して放熱板2bと接触しているとは、
図11(a)、(b)に示すように、放熱ゲルシート4の第2面4bがスライドシート5に接触し、スライドシート5がケース301の左側面13´に接触し、左側面13´が放熱板2bに接触する構成のことである。これにより、トランス34からの熱が放熱ゲルシート4、スライドシート5及びケース301を介して放熱板2bへと伝達される。
【0070】
上述したように放熱ゲルシート4は粘着性を有しているため、スライドシート5を配置せず放熱ゲルシート4のみを配置して電源回路ユニット3をケース本体210内に挿入しようとすると、放熱ゲルシート4がケース本体210の内面と密着し、スライドさせることが困難である。
そこで、本実形態2では、放熱ゲルシート4の第2面4b側にスライドシート5を配置することによって、電源回路ユニット3のトランス34に放熱ゲルシート4を配置した状態で、ケース本体210に挿入することが出来るため、電源装置200を容易に製造することが出来る。
【0071】
(実施形態3)
以下に、本発明に係る実施形態3の電源装置300について説明する。本実施形態3の電源装置300は、実施形態1及び2と基本的な構成は同じであるが、実施形態2と異なり、スライドシート5が配置されておらず、ケース本体が2つの部材から形成されている。そのため、本実施形態3の実施形態2に対する相違点を中心に説明する。尚、本実施形態3において実施形態1、2と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0072】
<1.構成>
図13(a)は、本実施形態3の電源装置300の斜視図であり、放熱板2bを取り除いた状態を示す。
図13(b)は、本実施形態3の電源装置300の内部を説明するための斜視図であり、放熱板2bは示しておらず、ケース本体210を点線で示している。また、
図14(a)は、本実施形態3の電源装置300の正断面図であり、トランス34及びアルミ電解コンデンサ35を通る前面110に対して平行な切断面における図である。また、
図14(a)は、
図6に示したCC間と同じ位置における本実施形態3の電源装置300の矢示断面図ともいえる。
図14(b)は、
図14(a)のD部拡大図である。
図15は、本実施形態3の電源装置300の製造方法を説明するための分解図である。
【0073】
図13(a)及び
図15に示すように、本実施形態3のケース301のケース本体310は、右側面12を含む第1部材310aと、左側面13´を含む第2部材310bの2つの部材が接合されることによって形成される。いいかえると、本実施形態3のケース本体310は、実施形態2のケース本体210を2つに分割したものともいえる。
ケース本体310は、左側面13´及び右側面12と平行な平面で切断されている。この平面は、
図15に示すように、左側面13´側の通気孔141bと、六角形状の複数の通気孔141aの間を通る平面である。その切断面同士を接合した接合部Sが、
図13(a)及び
図14(a)に示されている。尚、本実施形態3の電源装置300は、放熱板2a、2bをケース201に取り付けた状態では、その外観は接合部Sを除いて
図1に示す電源装置100と同様である。
【0074】
<2.電源装置300の製造方法>
図15に示すように、放熱ゲルシート4をトランス34上に配置した状態で電源回路ユニット3が、第2部材310b内に収納される。その後、接着剤などによって第2部材310bに第1部材310aが接合され、ケース本体310が形成される。
続いて、ケース前部11がケース本体310に取り付けられる
その後、放熱板2a、2bが、それぞれ右側面12及び左側面13´に接着固定される。
以上のように、本実施形態の電源装置300を製造することが出来る。
【0075】
<3.主な特徴>
以上のように、本実施形態3の電源装置300(電子機器の一例)では、
図14に示すように、放熱ゲルシート4(伝熱部材の一例)は、第2面4bにおいて、ケース301を介して放熱板2b(放熱部材の一例)と接触し、第1面4aにおいてトランス34に接触している。
【0076】
放熱ゲルシート4が、第2面4bにおいて、ケース301を介して放熱板2bと接触し、第1面4aにおいてトランス34に接触しているとは、
図14に示すように、放熱ゲルシート4の第2面4bがケース301の左側面13´に接触し、左側面13´が放熱板2bに接触する構成のことである。これにより、トランス34からの熱が放熱ゲルシート4及びケース301を介して放熱板2bへと伝達される。
【0077】
また、ケース301は、ケース前部11、第1部材310a、及び第2部材310bを接着することによって形成されており、互いに対向する左側面13´と右側面12を有している。左側面13´と右側面12は、別々の部材である第1部材310a、第2部材310bに設けられており、放熱板2bは、左側面13´に配置されている。
これにより、
図15に示すように、右側面12に載置したトランス34の上に放熱ゲルシート4を配置し、左側面13´を放熱ゲルシート4上に被せるように配置して電源装置300を製造することが出来るため、トランス34とケース301の間に、それぞれと接触させた状態で放熱ゲルシート4を容易に配置することが出来る。
【0078】
<他の実施形態>
(A)
上記実施形態1〜3では、両面テープ等を用いて放熱板2a、2bを接着によって右側面12及び左側面13、13´に取り付けていたが接着に限らなくても良く、嵌合によって取り付けても良い。
【0079】
(A1)
図16は、上記実施形態2の変形例の電源装置400のケース401を示す左側面図である。
図17(a)は、
図16のHHの矢示断面図である。
図17(b)は、
図17(a)のJ部拡大図である。
図18(a)は、
図16のII間の矢示断面図であり、
図18(b)は、
図18(a)のk部拡大図である。
【0080】
図16及び
図17(a)に示すように、このケース401のケース本体410の左側面13´の下端には、外側に向かって正面視L字状に形成された下側支持部413aが設けられている。詳細には、下側支持部413aは、
図17(b)に示すように左側面13´の下端から左側面13´に対して垂直に突出した下側第1支持部413bと、下側第1支持部413bの先端から左側面13´と平行且つ上方に向かって形成された下側第2支持部413cとを有している。この左側面13´、下側第1支持部413b、及び下側第2支持部413cによって囲まれて溝状部413dが形成されている。この溝状部413dに、放熱板2bの下端201bが嵌められている。
【0081】
以上のように放熱板2bは、その下端側が支持されているが、その上端側は
図16に示すように、プッシュリベット7によって支持されている。すなわち、放熱板2b及び左側面13´には、その上端側であって前面110側と背面16側の2箇所に貫通孔が設けられている。そして、
図18(a)及び
図18(b)に示すように、放熱板2bの貫通孔203b及び左側面13´の貫通孔413eを通してプッシュリベット7が配置されている。
【0082】
つまり、放熱板2bを左側面13´に取り付ける際には、放熱板2bの下端201bを溝状部413dに差し込んだ後に、プッシュリベット7を放熱板2bの貫通孔203b及び左側面13´の貫通孔413eに差し込むことによって、放熱板2bを左側面13´に取り付けることが出来る。尚、
図17(a)及び
図18(a)に示すように、放熱板2aは右側面12に対して接着によって固定しているが、左側面13´と同様の構成としてもよい。尚、プッシュリベット7による放熱板2bの固定は、嵌合による固定の一例に対応する。また、下側支持部413aによる放熱板2bの固定も、嵌合による固定の一例に対応する。
【0083】
(A2)
また、上記(A1)では、放熱板2bの下側が下側支持部413aによって支持されているが下側支持部413aが設けられていなくてもよく、放熱板2bの下側もプッシュリベットによって左側面13に固定されていてもよい。
(A3)
また、上記(A1)では、放熱板2bの上側がプッシュリベット7によって左側面13´に固定されているが、プッシュリベット7に限られるものではない。例えば、
図19(a)、(b)に示すように、左側面13´の上端に上側支持部423aが形成されていてもよい。この上側支持部423aは、左側面13´の上端から左側面13´に対して垂直に突出した上側第1支持部423bと、上側第1支持部423bの先端から左側面13´と平行且つ下方に向かって形成された上側第2支持部423cとを有している。また、上側第2支持部423cは、下方に向かうに従って幅が狭くなるように、その下端の外側には、傾斜面423dが形成されている。
【0084】
放熱板2bの下端201bを
図17(a)及び
図17(b)に示す溝状部413dに挿入した後、放熱板2bを左側面13´に取り付けようとした場合、放熱板2bの上端202bが傾斜面423dに当接する。更に放熱板2bを左側面13´に向かって押し込むと、上側第2支持部423cが内側に撓み、
図19(b)に示すように放熱板2bの上端202bが上側第2支持部423cと左側面13の間に嵌り込む。以上のようにして放熱板2bを左側面13´に取り付けても良い。
【0085】
(B)
上記実施形態では、放熱板2の材料としてアルミニウムを用いているが、これに限らなくてもよく、さらに金属に限らず樹脂などであってもよい。要するに、ケース本体10の樹脂材料よりも熱伝導率が高い放熱板2が用いられれば良い。
(C)
上記実施形態2では、スライドシート5として樹脂によって形成されているものを用いたが、絶縁物であれば樹脂に限るものではない。スライドシートは、例えば、ガラス、紙等、他の材料によって形成されていてもよく、スライドシート5の左側面13´側の面5aの、左側面13´の内表面13i´に対する摺動性が高ければよい。
【0086】
更にいえば、スライドシート5の左側面13´側の面5aの、左側面13´の内表面13i´に対する摺動性が、放熱ゲルシート4の第2面4bの左側面13´の内表面13i´に対する摺動性よりも少なくとも高ければ、スライドシート5を貼り付けたほうが、貼り付けない状態よりも電源回路ユニット3をケース本体210に挿入しやすいためより好ましい。
【0087】
(D)
上記実施形態1〜3では、トランス34にのみ放熱ゲルシート4を配置しているが、トランス34に限らなくても良く、他の発熱する電子部品に配置してもよい。上記実施形態の電源装置では、例えばコイル38の左側面13、13´側に放熱ゲルシート4を配置してもよい。このように、複数の電子部品に対して伝熱部材を配置する場合、個々の電子部品に対して別々に実施形態1〜3のいずれかを適用することが出来る。すなわち、複数の電子部品に対して同じ実施形態の構成を適用しなくても良く、例えば、一部の電子部品に対しては、実施形態1〜3のいずれかの構成を適用し、それ以外の実施形態の構成を他の電子部品に対して適用しても良い。
【0088】
例えば、トランス34とコイル38の双方に放熱ゲルシート4を配置して、それぞれの発熱を放熱板2bより放熱する場合、トランス34上に対しては実施形態1の構成を適用し、コイル38に対しては実施形態2の構成を適用できる。すなわち、トランス34上の放熱ゲルシート4が、左側面13に形成された開口部13cを介して直接放熱板2bに接触し、コイル38上の放熱ゲルシート4は、その上に配置されたスライドシート5と左側面13を介して熱的に放熱板2bと接触するような構成の電源装置であってもよい。
【0089】
(E)
また、
図20に示すように、実施形態1で説明したケース本体10が実施形態3のように2つの部材から形成されていてもよい。この場合、発熱量が多く直接放熱板2bに接触させる必要がある電子部品については、その上に配置された放熱ゲルシート4を放熱板2bに直接接触させ、それ以外の発熱部品については、その上に配置された放熱ゲルシート4をケース本体10に接触させる構成することが出来る。
【0090】
図20を用いて具体的に説明すると、
図20に示すケース本体310´は、第1部材310a´と第2部材310bから形成されており、左側面13に開口部13cが形成されている。この第1部材310a´は、開口部13cが形成されている以外は、第1部材310aと同様の構成である。
例えば、トランス34に配置されている放熱ゲルシート4は、実施形態1と同様に開口部13cを介して放熱板2bと接触する。一方、コイル38に配置されている放熱ゲルシート4は、実施形態3と同様に左側面13の内表面に接触する。
図20に示すケース本体310´が、第1部材310a´と第2部材310b´に分かれているため、放熱ゲルシート4を配置した場合であってもスライドシート5を介さずにケース本体310´内に電源回路ユニット3を配置することが出来る。
【0091】
(F)
上記実施形態2では、
図10に示すように、放熱ゲルシート4を少なくとも覆う大きさのスライドシート5が用いられていたが、放熱ゲルシート4だけでなく他の電源回路ユニット3の部分も覆うようなスライドシートが用いられても良い。
図21(a)はそのようなスライドシート500を示す斜視図である。
図21(b)は、電源回路ユニット3を模式的に示した斜視図である。
図21(c)は、スライドシート5によって電源回路ユニット3を覆った状態を示す図である。
【0092】
図21(a)に示すスライドシート500は、前面部501、右側面部502、左側面部503、及び背面部504を有している。右側面部502は、電源回路ユニット3の右側面12に配置される側の全体を覆うように形成されている。他の前面部501、左側面部503及び背面部504は、電源回路ユニット3の前面110側、左側面13´側、背面16側の一部を覆っている。また、スライドシート500の背面部504には、
図21(a)に示すように前面部501側に向かって形成された差込爪504aが形成されており、
図21(b)に示すヒートシンク33a´に形成されている差込孔33a1´に差し込まれる。このように差し込み爪504aを差込穴33a1´に差し込むことによって、電源回路ユニット3をスライドシート500で覆った状態を保持しやすくなる。このようにスライドシート500で覆われた状態で電源回路ユニット3は、
図12に示すケース本体210にスライドしながら挿入される。尚、
図21(a)のような形状に限らず、例えば、電源回路ユニット3の左側面13´側の全体が覆われていても良い。
【0093】
(G)
上記実施形態1では、発熱部品の一例であるトランス34に伝熱部材の一例である放熱ゲルシート4が直接接触して配置されており、放熱ゲルシート4が放熱板2bに直接接触している構成について説明したが、発熱部品がトランス34に限られるものではなく、伝熱部材も放熱ゲルシート4aに限られるものではない。
【0094】
例えば、整流ダイオード30(発熱部品及び半導体部品の一例)を放熱するためのヒートシンク33b(伝熱部材の一例)が放熱板2bに直接的に接触している構成であってもよい。この構成は、発熱部品が、伝熱部材を介して間接的に放熱板と接触している一例に対応する。
図22は、このような構成の電源装置600の斜視図である。
図23は、
図22の電源装置600の内部構成を示す左側面図である。
図24(a)は
図23のJJ間の矢示断面図であり、
図24(b)は
図23のKK間の矢示断面図である。
【0095】
図22の電源装置600は、
図13に示す電源装置300と比較して、ヒートシンク33bが直接放熱板2bに接触するための開口部13gが左側面613に形成されている点が異なる。
図22、
図24(a)、及び
図24(b)に示すように、ヒートシンク33bは、板状の部材をL字状に曲げた形状であって、
図24(a)、(b)に示すように、第1基板31aに垂直な方向に沿って配置されている第1部分33baと第1部分33baの先端(左側面613側の端)から第1基板31aと平行な方向に沿って形成された第2部分33bcとを有している。そして、この第2部分33bcが、放熱板2bの第1放熱部24と直接接触している。
【0096】
尚、この電源装置600では、ヒートシンク33bを開口部13g内に挿入する必要があるため、ケース601のケース本体610は、
図13〜
図15で示した電源装置300のように第1部材610aと第2部材310bが接合されて構成されている。第1部材610aは、
図13〜
図15の第1部材310aと比較して開口部13g以外の構成が同じである。
【0097】
また、このように、ヒートシンク33bが直接放熱板2bに接触する場合は、ヒートシンク33bと整流ダイオード30の間が絶縁されているか、整流ダイオード30自体が絶縁されている必要がある。
尚、電源装置600では、ヒートシンク33bが放熱板2bに直接接触していたが、放熱ゲルシート4が、ヒートシンク33bと放熱板2bの間に、それぞれと直接的に接触して配置されていてもよい。
【0098】
また、左側面613に開口部13gが形成されておらず、ヒートシンク33bが、放熱ゲルシート4及び左側面613を介して放熱板2bに間接的に接触していてもよい。
更に、ヒートシンク33bが、放熱ゲルシート4を介さず左側面613に直接的に接触していてもよい。
尚、ヒートシンク33aも、上記ヒートシンク33bと同様に伝熱部材の一例として用いて放熱板2bに直接又はケースを介して間接的に接触していてもよい。
また、電子部品自体が絶縁されている場合には、ケースに開口部を形成して電子部品を直接放熱板2bに接触させてもよい。このような構成は、発熱部品が直接放熱板2bと接触している一例に対応する。
【0099】
(H)
尚、上記実施形態3では、スライドシート5を配置しなくても電源回路ユニット3をケース本体310に収納し易くするために、ケース本体310を2つの部材(第1部材310aと第2部材310b)に分割していたが、実施形態2のように箱形状のケース本体210が用いられてもよい。ただし、この場合、放熱ゲルシート4の粘着性によって電源回路ユニット3をケース本体210に挿入し難くなるため、製造の際に若干手間がかかることなる。また、このように箱形状のケース本体210を用いる場合、放熱ゲルシート4としては粘着性が弱いものを用いるほうが電源回路ユニット3を挿入しやすいため好ましい。
【0100】
(I)
また、上記実施形態3では、第1部材310aと第2部材310bを接着することによってケース本体10を形成すると説明したが、これに限らず、
図25(a)に示すように、例えばネジ50等を用いて、第1部材310aと第2部材310bを接合しても良い。
(J)
また、放熱板2a、2bを右側面12及び左側面13に取り付ける際に、上記実施形態で述べた接着や上記(A1)〜(A4)で述べた嵌合に限らず、ネジとナットを用いた締結によって放熱板2a、2bを右側面12、左側面13に取り付けても良い。
図25(b)に、
図1に示す電源装置においてネジ51を用いて放熱板2a、2bを右側面12及び左側面13に取り付けた状態を示す。
【0101】
(K)
更に、放熱板2a、2bをケース本体210、310と一体成形するようにしてもよい。尚、実施形態1の場合、左側面13の開口部13cから放熱ゲルシート4を挿入する必要があるため、放熱板2aのみケース本体10と一体成形することが出来る。
(L)
上記実施形態では、電子機器の一例としての電源装置について説明したが、電源装置に限られるものではなく、発熱部品を有している電子機器に対して上記説明した構造を適用することが出来る。