(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取得手段は、前記特定手段により特定された印刷指示が、前記記憶部に記憶された印刷指示に付与された固有の情報を含む場合に、当該特定された印刷指示が前記転送手段により転送された印刷指示であるとして、前記印刷装置での処理状況に関する情報を取得すること
を特徴とする請求項2に記載の印刷制御装置。
前記検知手段は、前記処理状況に関する情報において印刷指示が出力済みとされていない場合、または、当該処理状況に関する情報に含まれる出力済みのページ数と前記記憶部に記憶された印刷指示により出力することを指示されたページ数とが異なる場合、印刷処理に異常が発生したと検知すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
前記検知手段により印刷処理に異常が検知されなかった印刷指示を、前記記憶部の第1領域から第2領域へ移動させ、当該検知手段により印刷処理に異常が検知された印刷指示を、当該記憶部の当該第1領域から第3領域へ移動させる制御を行う移動制御手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
<システムの全体構成>
まず、印刷制御システム1の全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る印刷制御システム1の概略構成の一例を示す図である。本実施の形態に係る印刷制御システム1は、ネットワーク40に接続された、印刷制御装置10、印刷装置20、操作端末30を備えている。
【0010】
印刷制御装置10は、詳しくは後述するが、操作端末30から送信された印刷ジョブを、順次、印刷装置20に転送し、転送した印刷ジョブの処理状況を印刷装置20から取得する。そして、印刷制御装置10は、印刷装置20における処理状況をもとに印刷処理の異常を検知し、印刷装置20にて印刷が正常に完了した印刷ジョブと、印刷が正常に完了しなかった印刷ジョブとを分けて管理する。ここで、印刷ジョブとは、印刷対象となる画像データと、印刷処理における設定が記述された制御命令とを含み、印刷装置20で実行される印刷処理の単位となるデータである。本実施の形態では、印刷指示の一例として、印刷ジョブが用いられる。
【0011】
印刷装置20は、例えば、スキャン機能、プリント機能、コピー機能およびファクシミリ機能等を備えた装置であり、印刷制御装置10から転送された印刷ジョブに基づいて、用紙等の記録媒体に画像を形成して印刷処理を実行する。ここで、印刷装置20は、転送された印刷ジョブを印刷装置20内の第2スプーラ21(
図2参照)に一旦格納するスプール機能を有し、ユーザからの指示に応じて印刷ジョブを第2スプーラ21から出力して印刷処理を行うものとする。第2スプーラ21は、複数の印刷ジョブを格納することが可能な領域であるものとする。
【0012】
また、印刷装置20は、印刷制御装置10からの要求に応じて、印刷装置20が保持している印刷ジョブの情報や、各印刷ジョブの処理状況等を印刷制御装置10に通知する。ここで、印刷装置20が保持している印刷ジョブについては、例えば、印刷を行うためのプロトコルであるLPR(Line Printer daemon protocol)により印刷制御装置10に通知される。また、各印刷ジョブの処理状況等については、例えば、MIB情報として印刷制御装置10に通知される。MIB情報とは、一般に、装置を監視するためのプロトコルであるSNMP(Simple Network Management Protocol)により監視される対象の装置が、自装置の状態を外部に知らせるために公開する情報のことをいう。本実施の形態では、処理状況に関する情報の一例として、MIB情報が用いられる。
【0013】
操作端末30は、ユーザが画像や文書等のデータを印刷する際に操作する端末であり、例えば、PC(Personal Computer)である。操作端末30は、ユーザの操作に応じて印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを印刷制御装置10に送信する。
【0014】
通信回線の一例としてのネットワーク40は、印刷制御装置10、印刷装置20、操作端末30の間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、LAN(Local Area Network)である。ただし、本実施の形態では、印刷制御装置10、印刷装置20、操作端末30がネットワーク40に接続された構成とするが、このような構成に限られるものではない。例えば、印刷制御装置10と印刷装置20とを接続するネットワークと、印刷制御装置10と操作端末30とを接続するネットワークとが、別々のネットワークとして存在するような構成としても良い。
【0015】
このように、印刷制御システム1は、操作端末30から、直接、印刷ジョブを印刷装置20に送信するのではなく、印刷制御装置10を介して印刷ジョブを印刷装置20に送信し、印刷を行うシステムである。
【0016】
<印刷制御装置の機能構成>
次に、印刷制御装置10の機能構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係る印刷制御装置10の機能構成例を示したブロック図である。
印刷制御装置10は、印刷ジョブを受信する受信部11と、ユーザによる操作を受け付ける操作受付部12と、印刷ジョブをキューに格納して印刷ジョブを管理するジョブ管理部13と、印刷ジョブに関する情報等を表示する表示部14と、印刷ジョブを後述する第1スプーラ19に転送するジョブ転送部15とを備える。また、印刷制御装置10は、印刷装置20の第2スプーラ21に格納されている印刷ジョブの情報を取得するジョブ情報取得部16と、印刷ジョブにおける印刷処理の異常を検知する出力制御部17と、印刷装置20から印刷ジョブに関するMIB情報を取得するMIB取得部18と、印刷ジョブを一旦格納し、印刷装置20へ転送する第1スプーラ19とを備える。
【0017】
受信手段の一例としての受信部11は、操作端末30から送信された印刷ジョブを受信する。
操作受付部12は、印刷ジョブを印刷装置20に転送する操作等のユーザによる操作を受け付ける。
【0018】
転送手段、移動制御手段の一例としてのジョブ管理部13は、記憶部を有しており、受信部11が受信した印刷ジョブを取得して、取得した印刷ジョブをキューに格納する。キューとは、先に入力されたデータが先に出力されるという特徴を有するデータ構造を持つ領域である。ここで、ジョブ管理部13は、印刷ジョブを格納するためのキューとして、保留キュー、転送中キュー、第1領域の一例としての転送済みキュー、第2領域の一例としての印刷完了キュー、第3領域の一例としての障害発生キューの5つのキューを有している。そして、ジョブ管理部13は、印刷処理のために印刷装置20に転送される印刷ジョブとは別にキュー内で印刷ジョブを管理し、印刷ジョブが保留キュー、転送中キュー、転送済みキュー、印刷完了キュー(または障害発生キュー)の順に移動するように制御する。
【0019】
保留キューは、受信部11が受信した印刷ジョブが最初に格納される領域である。転送中キューは、第1スプーラ19から印刷装置20に転送中の印刷ジョブが格納される領域である。転送済みキューは、第1スプーラ19から印刷装置20への転送が完了した印刷ジョブが格納される領域である。印刷完了キューは、印刷装置20における印刷処理が正常に完了した印刷ジョブが格納される領域である。障害発生キューは、印刷装置20における印刷処理が正常に完了せず、出力異常となった印刷ジョブが格納される領域である。障害発生キューに格納された印刷ジョブは、例えば、再度印刷処理を実行する際に用いられる。
【0020】
ジョブ管理部13は、印刷ジョブを保留キューに格納する際、印刷ジョブを識別するために用いられるジョブID等の情報を印刷ジョブごとに付与する。ジョブIDは、例えば、受信部11が印刷ジョブを受信した順番を表す番号である。そして、保留キュー内の印刷ジョブを選択する操作を操作受付部12が受け付けると、ジョブ管理部13は、選択された印刷ジョブを保留キューから転送中キューへ移動させる。ただし、転送中キューに格納可能な印刷ジョブ数は決められており、転送中キューに空きがない場合、保留キューに格納された印刷ジョブは、転送中キューに空きが生じるまで待機することとなる。
【0021】
また、ジョブ管理部13は、印刷ジョブを転送中キューに移動させる際、移動させる印刷ジョブと同じ印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブをジョブ転送部15へ出力する。ここで、ジョブ転送部15へ出力される印刷ジョブには、転送中キューに移動させた印刷ジョブと同じジョブID等の情報が付与されている。そして、ジョブ転送部15へ出力された印刷ジョブは、ジョブ転送部15から第1スプーラ19へ転送され、さらに印刷装置20へ転送される。
【0022】
さらに、ジョブ管理部13は、例えば定期的に、第1スプーラ19から印刷ジョブの転送状況を取得する。そして、ジョブ管理部13は、第1スプーラ19から印刷装置20への転送が完了したと判定すると、転送が完了した印刷ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブを、転送中キューから転送済みキューに移動させる。
また、ジョブ管理部13は、転送済みキューに移動させた印刷ジョブの情報を出力制御部17へ通知する。ここで、印刷ジョブを転送済みキューに移動させたことで転送中キューに空きが生じるため、保留キューの印刷ジョブがユーザに選択されていれば、ジョブ管理部13は、続けて保留キューの印刷ジョブを転送中キューに移動させる処理を行う。
【0023】
さらに、ジョブ管理部13は、出力制御部17から、印刷装置20による印刷が正常に完了した印刷ジョブの通知を受けると、印刷が正常に完了した印刷ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブを、転送中キューから印刷完了キューに移動させる。一方、ジョブ管理部13は、出力制御部17から、印刷装置20による印刷が異常に終了した印刷ジョブの通知を受けると、印刷が異常に終了した印刷ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブを、転送済みキューから障害発生キューに移動させる。そして、ジョブ管理部13は、障害発生キューに移動させた印刷ジョブの情報を表示部14に表示する制御を行う。
【0024】
表示部14は、ジョブ管理部13による制御のもと、障害発生キューに移動した印刷ジョブの情報等を表示してユーザに報知する。
【0025】
転送手段の一例としてのジョブ転送部15は、ジョブ管理部13の保留キューに格納された印刷ジョブを取得し、取得した印刷ジョブを第1スプーラ19を介して印刷装置20に転送する。ここで、ジョブ転送部15は、取得した印刷ジョブに含まれる画像データを、印刷装置20にて出力できる形式(例えば、Enhanced Meta Fileの形式等)に変換して、第1スプーラ19に出力するものとする。
【0026】
情報取得手段の一例としてのジョブ情報取得部16は、例えば定期的に、印刷装置20から、印刷装置20の第2スプーラ21に格納されている印刷ジョブの情報(以下、スプールジョブ情報と称する)を取得する。そして、ジョブ情報取得部16は、取得したスプールジョブ情報と前回取得したスプールジョブ情報とを比較し、削除されている印刷ジョブ、即ち、前回のスプールジョブ情報には存在するが今回のスプールジョブ情報には存在しない印刷ジョブの情報を出力制御部17に通知する。ここで、削除されている印刷ジョブの情報のリストを削除リストと称することとすると、ジョブ情報取得部16は、削除されている全ての印刷ジョブの情報をまとめて削除リストとして出力制御部17に通知する。本実施の形態では、印刷装置20が保持している印刷指示を示す情報、第1情報、第2情報の一例として、スプールジョブ情報が用いられる。
【0027】
検知手段、特定手段の一例としての出力制御部17は、転送済みキュー内の印刷ジョブの情報を示すリスト(以下、転送済みリストと称する)を保持しており、転送済みキューに移動した印刷ジョブの情報がジョブ管理部13から通知されると、通知された情報をもとに転送済みリストを更新する。また、出力制御部17は、ジョブ情報取得部16から削除リストが通知されると、転送済みリストと削除リストとを比較して、削除リストの印刷ジョブについて、転送済みリストにも記録されているか否かを判定する。
【0028】
ここで、印刷装置20には、印刷制御装置10とは異なる他装置からも印刷ジョブが転送される場合がある。そのため、転送済みリスト及び削除リストの両方に記録されている印刷ジョブは、印刷装置20にて削除された印刷ジョブのうち印刷制御装置10から転送された印刷ジョブとして特定されることとなる。以下では、削除リストの印刷ジョブのうち転送済みリストにも記録されている印刷ジョブを、削除ジョブと称する。
【0029】
そして、出力制御部17は、削除ジョブを特定すると、特定した削除ジョブの情報をMIB取得部18に通知し、MIB取得部18を介して削除ジョブのMIB情報を取得する。さらに、出力制御部17は、取得したMIB情報をもとに、削除ジョブにおける印刷処理の異常を検知して、印刷装置20における印刷処理が正常に完了したか否かを判定する。そして、出力制御部17は、判定した結果をジョブ管理部13へ通知する。
【0030】
取得手段の一例としてのMIB取得部18は、出力制御部17から通知された削除ジョブの情報をもとに、印刷装置20から削除ジョブのMIB情報を取得し、取得したMIB情報を出力制御部17へ通知する。ここで取得されるMIB情報には、削除ジョブに対する印刷完了の有無や、印刷により出力されたページ数等の情報が含まれている。また、MIB取得部18は、取得したMIB情報を後述する出力済みリストとして出力制御部17へ通知するものとする。
【0031】
第1スプーラ19は、ジョブ転送部15から出力された印刷ジョブを一旦格納(スプール)し、順次、印刷装置20の第2スプーラ21へ転送する。第1スプーラ19は、印刷装置20を利用するために用いられるプリンタードライバ等により構成される。また、第1スプーラ19としては、例えば、一般的なWindows(登録商標)スプーラ等が用いられる。例えばWindows(登録商標)スプーラを用いた場合、ユーザは、Windows(登録商標)スプーラに対応している各種の装置を印刷装置20として用いることができる。
【0032】
<ジョブ管理部13の各キューの説明>
次に、ジョブ管理部13が有するキューについて説明する。
図3は、ジョブ管理部13が有するキューの一例を示す図である。上述したとおり、ジョブ管理部13は、保留キュー、転送中キュー、転送済みキュー、印刷完了キュー、障害発生キューを有する。
【0033】
まず、受信部11が受信した印刷ジョブは、ジョブID等の情報が付与されて保留キューに格納される。
図3に示す保留キューには、ジョブIDが8〜10を示す3つの印刷ジョブが格納されている。そして、保留キューに格納された印刷ジョブは、順次、転送中キューに移動するとともに、新たに生成された同じ印刷ジョブが印刷装置20に転送される。
図3に示す転送中キューにはジョブIDが7を示す印刷ジョブが格納されており、図示しないが、第1スプーラ19によりジョブIDが7を示す別の印刷ジョブが印刷装置20に転送されている。
【0034】
そして、印刷装置20への転送が完了すると、転送が完了した印刷ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブが、転送中キューから転送済みキューに移動する。
図3に示す転送済みキューには、ジョブIDが3〜6を示す4つの印刷ジョブが格納されている。また、図示しないが、印刷装置20は、ジョブIDが3〜6を示す別の印刷ジョブを保持しており、ユーザの操作等に応じて、順次、印刷処理を行う。さらに、転送済みリストには、これら4つの印刷ジョブの情報が記録される。
【0035】
また、印刷装置20にて印刷が正常に完了すると、印刷が正常に完了した印刷ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブが、転送済みキューから印刷完了キューに移動する。一方、印刷が異常に終了した場合、印刷が異常に終了した印刷ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブが、転送済みキューから障害発生キューに移動する。
図3に示す印刷完了キューには、ジョブIDが2を示す印刷ジョブが格納されており、印刷ジョブ(ジョブID=2)の印刷は正常に完了したこととなる。一方、
図3に示す障害発生キューには、ジョブIDが1を示す印刷ジョブが格納されており、印刷ジョブ(ジョブID=1)の印刷は異常に終了したこととなる。
【0036】
<各リストの説明>
次に、転送済みリスト、削除リスト、出力済みリストについて説明する。
図4(a)は、転送済みリストの一例を示す図である。
図4(b)は、削除リストの一例を示す図である。
図4(c)は、出力済みリストの一例を示す図である。そして、
図4(a)〜(c)の例では、3つの印刷ジョブ(ジョブID=1〜3)が印刷装置20にスプールされ、そのうちの印刷ジョブ(ジョブID=2)が印刷処理前に印刷装置20にて削除され、印刷ジョブ(ジョブID=3)が正常に印刷されたものとして説明する。
【0037】
まず、
図4(a)に示す転送済みリストには、3つの印刷ジョブ(ジョブID=1〜3)の情報が記録されている。即ち、印刷装置20は3つの印刷ジョブ(ジョブID=1〜3)を保持し、ジョブIDが1〜3を示す別の印刷ジョブが転送済みキューに格納されている。ここで、「ジョブ名」は、印刷ジョブに付与された名称を示す。また、「ジョブID」は、印刷ジョブに付与されたジョブIDを示す。「ドキュメント名」は、印刷制御装置10とは異なる他装置が出力する印刷ジョブとの識別が可能となるように、印刷ジョブに付与された固有の名称を示す。「指示ページ数」は、印刷ジョブにより出力することを指示されたページ数(以下、指示ページ数と称する)を示す。
【0038】
付言すると、ジョブ名は、例えば、印刷制御装置10において予め定められた規則に従って付与される名称であり、ジョブIDは、上述したように、例えば、受信部11が印刷ジョブを受信した順番を表す番号である。これらのジョブ名やジョブIDは、印刷制御装置10内において印刷ジョブを識別するために付与される。そのため、ジョブ名やジョブIDについては、印刷制御装置10内で同時期に重複しない限り再度使用される場合や、印刷制御装置10が付与するものと他装置が付与するものとで重複する場合がある。
【0039】
そこで、印刷制御装置10内での識別を可能とするとともに、他装置から印刷装置20に転送された印刷ジョブとの識別も可能となるように、印刷ジョブには、ジョブ名及びジョブIDとは別に、固有のドキュメント名が付与される。ドキュメント名は、例えば、印刷制御装置10独自の名称や、独自の名称に日付及び時刻の情報を組み合わせたものである。本実施の形態では、固有の情報の一例として、ドキュメント名が用いられる。
【0040】
次に、
図4(b)に示す削除リストには、2つの印刷ジョブの情報が記録されている。そして、
図4(b)に示す削除リストは、ドキュメント名が「ドキュメント2」、「ドキュメント3」である2つの印刷ジョブが印刷装置20にて削除されたことを示す。
出力制御部17は、削除ジョブを特定する際、例えば、
図4(a)に示す転送済みリストのドキュメント名と、
図4(b)に示す削除リストのドキュメント名とを比較し、削除リストの印刷ジョブについて、転送済みリストにも記録されているか否かを判定する。
図4に示す例では、2つの印刷ジョブ(ジョブID=2、3)が、転送済みリスト及び削除リストに記録されている削除ジョブとして特定される。
【0041】
次に、
図4(c)に示す出力済みリストには、2つの印刷ジョブの情報が記録されている。そして、
図4(c)に示す出力済みリストは、出力制御部17が
図4(a)に示す転送済みリストと
図4(b)に示す削除リストとに基づいて特定した2つの削除ジョブ(ジョブID=2、3)の情報を示す。付言すると、
図4(c)に示す出力済みリストは、MIB取得部18が出力制御部17より通知された削除ジョブのジョブID(=2、3)をもとに、印刷装置20から取得したMIB情報である。
ここで、「ジョブID」は、印刷ジョブに付与されたジョブIDを示す。また、「出力状態」は、印刷装置20における印刷ジョブの出力状態を示す。「出力ページ数」は、印刷ジョブに基づいて印刷装置20にて実際に出力された出力済みのページ数(以下、出力ページ数と称する)を示す。
【0042】
そして、出力制御部17は、出力済みリストをもとに、削除ジョブにおける印刷処理の異常を検知し、削除ジョブについて正常に印刷が完了したか否かを判定する。ここで、出力制御部17は、出力済みリストの「出力状態」を確認し、「出力未」となっている印刷ジョブについては異常が発生したと検知し、印刷されずに印刷装置20にて削除され、出力異常となった印刷ジョブであると判定する。
【0043】
また、出力制御部17は、出力済みリストの「出力状態」を確認し、「出力済み」となっている印刷ジョブについては、さらに、出力ページ数と指示ページ数とが一致するか否かを判定する。そして、出力ページ数と指示ページ数とが一致する場合、出力制御部17は、その印刷ジョブについて正常に印刷が完了したと判定する。一方、出力ページ数と指示ページ数とが異なる場合、出力制御部17は、その印刷ジョブについて異常が発生したと検知し、正常に印刷されず出力異常になったと判定する。
【0044】
図4(c)に示す例では、出力制御部17は、印刷ジョブ(ジョブID=2)について、「出力状態」が「出力未」であるため、正常に印刷されず出力異常となった印刷ジョブと判定する。また、出力制御部17は、印刷ジョブ(ジョブID=3)について、「出力状態」が「出力済み」であるため、さらに、指示ページ数と出力ページ数とを比較する。即ち、出力制御部17は、
図4(a)に示す転送済みリストの印刷ジョブ(ジョブID=3)の指示ページ数と、
図4(c)に示す出力済みリストの印刷ジョブ(ジョブID=3)の出力ページ数とを比較する。
図4に示す例では、指示ページ数と出力ページ数とはともに15ページで一致するため、出力制御部17は、印刷ジョブ(ジョブID=3)について、正常に印刷が完了したと判定する。
【0045】
<印刷ジョブを各キューへ格納する処理手順>
次に、ジョブ管理部13が印刷ジョブを各キューへ格納する処理について説明する。
図5は、1つの印刷ジョブが各キューへ順に格納される処理手順の一例を示したフローチャートである。
【0046】
まず、受信部11が操作端末30から送信された印刷ジョブを受信すると、ジョブ管理部13は、受信された印刷ジョブに対してジョブIDやドキュメント名等の情報を付与する(ステップ101)。
図5に示す例では、例えば、ジョブ管理部13は、ジョブID「1」を付与することとして説明する。そして、ジョブ管理部13は、印刷ジョブ(ジョブID=1)を保留キューへ格納する(ステップ102)。
【0047】
次に、ユーザにより印刷ジョブ(ジョブID=1)が選択されると、ジョブ管理部13は、転送中キューに空きがあるか否かを判定し(ステップ103)、空きがあれば(ステップ103でYes)、印刷ジョブ(ジョブID=1)を保留キューから転送中キューへ移動させる(ステップ104)。一方、空きがなければ(ステップ103でNo)、ジョブ管理部13は、転送中キューに空きが生じるまで待機する。また、印刷ジョブ(ジョブID=1)よりも先に保留キューへ格納されている印刷ジョブがあれば、先に格納されている印刷ジョブから順番に転送中キューへ移動することとなる。ジョブ管理部13は、印刷ジョブ(ジョブID=1)を転送中キューへ移動させると、新たに印刷ジョブ(ジョブID=1)を生成し、ジョブ転送部15へ出力する(ステップ105)。そして、印刷ジョブ(ジョブID=1)はジョブ転送部15から第1スプーラ19へ転送され、さらに印刷装置20へ転送される。
【0048】
次に、ジョブ管理部13は、印刷ジョブ(ジョブID=1)の印刷装置20への転送が完了したか否かを判定する(ステップ106)。ここで、ジョブ管理部13は、例えば定期的に第1スプーラ19から印刷ジョブ(ジョブID=1)の転送状況を取得し、第1スプーラ19から印刷装置20への転送が完了していなければ(ステップ106でNo)、転送が完了するまで待機する。一方、印刷ジョブ(ジョブID=1)について、第1スプーラ19から印刷装置20への転送が完了すると(ステップ106でYes)、ジョブ管理部13は転送中キューに格納された印刷ジョブ(ジョブID=1)を転送済みキューに移動させる(ステップ107)。また、ジョブ管理部13は、転送済みキューに移動させた印刷ジョブ(ジョブID=1)の情報を出力制御部17へ通知する(ステップ108)。
【0049】
次に、ジョブ管理部13は、出力制御部17より、印刷ジョブに関する印刷処理の通知を受けたか否かを判定する(ステップ109)。ここで、ジョブ管理部13は、印刷処理の通知を受けなければ(ステップ109でNo)、通知を受けるまで待機する。そして、ジョブ管理部13は、出力制御部17より印刷ジョブに関する印刷処理の通知を受けると(ステップ109でYes)、印刷装置20による印刷が正常に完了した旨の通知であるか否かを判定する(ステップ110)。印刷が正常に完了した旨の通知であれば(ステップ110でYes)、印刷が正常に完了した印刷ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブを、転送中キューから印刷完了キューに移動させて(ステップ111)、本処理フローは終了する。即ち、ジョブ管理部13は、印刷処理の通知が、印刷ジョブ(ジョブID=1)の印刷が正常に完了した旨の通知であれば、転送中キューの印刷ジョブ(ジョブID=1)を印刷完了キューに移動させる。
【0050】
一方、印刷が正常に完了した旨の通知でなければ(ステップ110でNo)、印刷装置20による印刷が異常に終了した旨の通知であり、ジョブ管理部13は、印刷が異常終了した印刷ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブを、転送済みキューから障害発生キューに移動させる(ステップ112)。そして、ジョブ管理部13は、障害発生キューに移動させた印刷ジョブの情報を表示部14に表示して(ステップ113)、本処理フローは終了する。即ち、ジョブ管理部13は、印刷処理の通知が、印刷ジョブ(ジョブID=1)の印刷が異常終了した旨の通知であれば、転送中キューの印刷ジョブ(ジョブID=1)を障害発生キューに移動させる。そして、ジョブ管理部13は、印刷ジョブ(ジョブID=1)の印刷が異常に終了したことを表示部14に表示して、ユーザに報知する。
【0051】
このようにして、ジョブ管理部13は、操作端末30から送信された印刷ジョブについて、各キューへ順に格納する処理を行う。また、
図5に示す手順として、ジョブ管理部13が1つの印刷ジョブを各キューへ格納する処理手順を説明したが、印刷ジョブを各キューへ格納する処理は並行に行われるものとする。例えば、ジョブ管理部13は、印刷ジョブ(ジョブID=1)を転送済みキューへ移動させる処理を行うのと並行して、印刷ジョブ(ジョブID=1)の後に保留キューへ格納した印刷ジョブ(ジョブID=2)を転送中キューへ移動させる処理を行う。即ち、ステップ101〜102、ステップ103〜105、ステップ106〜108、ステップ109〜113の4つの処理群は並行に実行され、操作端末30から送信された各印刷ジョブに応じた処理が行われる。
【0052】
<印刷処理の判定手順>
次に、出力制御部17が印刷装置20にて印刷が正常に完了したか否かを判定する処理について説明する。
図6は、出力制御部17が印刷装置20にて印刷が正常に完了したか否かを判定する手順の一例を示したフローチャートである。
図6に示す手順は、例えば、印刷制御装置10の電源断等により終了通知が検出されるまで、繰り返し実行されるものとする。
【0053】
まず、出力制御部17は、ジョブ管理部13から、転送済みキューに移動した印刷ジョブの情報が通知されたか否かを判定する(ステップ201)。ここで通知される情報には、
図4(a)に示す転送済みリストのように、ジョブID、ドキュメント名、指示ページ数等が含まれる。印刷ジョブの情報が通知されると(ステップ201でYes)、出力制御部17は、通知された情報をもとに転送済みリストを更新する(ステップ202)。
【0054】
ステップ202で転送済みリストを更新した後、または印刷ジョブの情報が通知されていない場合(ステップ201でNo)、出力制御部17は、ジョブ情報取得部16から削除リストが通知されたか否かを判定する(ステップ203)。削除リストが通知されていなければ(ステップ203でNo)、本処理フローは終了する。一方、削除リストが通知されると(ステップ203でYes)、出力制御部17は、転送済みリストと削除リストとを比較して、削除リストの印刷ジョブが転送済みリストにも記録されているか否かを判定する(ステップ204)。削除リストの印刷ジョブで転送済みリストにも記録されているものがなければ(ステップ204でNo)、本処理フローは終了する。
【0055】
一方、削除リストの印刷ジョブが転送済みリストにも記録されていれば(ステップ204でYes)、出力制御部17は、削除リストの印刷ジョブのうち転送済みリストにも記録されていると特定された印刷ジョブ、即ち、削除ジョブの情報をMIB取得部18に通知する(ステップ205)。次に、出力制御部17は、MIB取得部18が取得したMIB情報に基づく出力済みリストをもとに、削除ジョブの出力状態を確認し、「出力済み」であるか否かを判定する(ステップ206)。
【0056】
削除ジョブの出力状態が「出力済み」であれば(ステップ206でYes)、出力制御部17は、その削除ジョブについて、出力ページ数と指示ページ数とが一致しているか否かを判定する(ステップ207)。出力ページ数と指示ページ数とが一致する場合(ステップ207でYes)、出力制御部17は、その削除ジョブについて印刷装置20における印刷が正常に完了したと判定し、その旨をジョブ管理部13に通知して(ステップ208)、本処理フローは終了する。
【0057】
一方、削除ジョブの出力状態が「出力済み」ではない場合(ステップ206でNo)、または出力ページ数と指示ページ数とが一致しない場合(ステップ207でNo)、出力制御部17は、その削除ジョブについて異常が発生したと検知し、正常に印刷が完了せずに異常終了したと判定する。そして、出力制御部17は、異常終了した旨をジョブ管理部13に通知して(ステップ209)、本処理フローは終了する。
【0058】
このようにして、出力制御部17は、削除リストの印刷ジョブについて、印刷制御装置10から転送した印刷ジョブか否かを判定し、さらに、印刷処理の異常を検知する。
また、
図6に示す手順では、ステップ204〜ステップ209において、出力制御部17は、削除リストの印刷ジョブに対してまとめて処理を行うこととしたが、このような構成に限られるものではない。例えば、出力制御部17は、削除リストから一つの印刷ジョブを選択し、選択した印刷ジョブに対してステップ204〜ステップ209の処理を行い、印刷ジョブごとに順に処理を行うこととしても良い。
【0059】
<削除ジョブの通知手順>
次に、ジョブ情報取得部16がスプールジョブ情報をもとに、印刷装置20にて削除された印刷ジョブを通知する処理について説明する。
図7は、ジョブ情報取得部16が印刷装置20にて削除された印刷ジョブを通知する手順の一例を示したフローチャートである。初期状態として、ジョブ情報取得部16は、印刷制御装置10の起動後、予め定められた時間の経過を知らせるタイマーを生成しているものとする。また、
図7に示す手順は、
図6に示す手順と同様に、終了通知が検出されるまで繰り返し実行されるものとする。
【0060】
まず、ジョブ情報取得部16は、タイマーにより予め定められた時間が経過するまで待機する(ステップ301)。予め定められた時間が経過すると、ジョブ情報取得部16は、印刷装置20から、印刷装置20のスプールジョブ情報を取得する(ステップ302)。次に、ジョブ情報取得部16は、今回取得したスプールジョブ情報と、前回取得したスプールジョブ情報とを比較し、今回と前回とでスプールジョブ情報が異なるか否かを判定する(ステップ303)。
【0061】
スプールジョブ情報が異なる場合(ステップ303でYes)、ジョブ情報取得部16は、削除されている印刷ジョブ、即ち、前回取得したスプールジョブ情報には存在するが今回取得したスプールジョブ情報には存在しない印刷ジョブがあるか否かを判定する(ステップ304)。削除されている印刷ジョブがある場合(ステップ304でYes)、ジョブ情報取得部16は、削除されている印刷ジョブの情報を記録した削除リストを作成し、出力制御部17に通知する(ステップ305)。また、ジョブ情報取得部16は、スプールジョブ情報を前回取得したものからステップ302で取得したものへ更新して保存しておき(ステップ306)、本処理フローは終了する。
【0062】
一方、ステップ303においてスプールジョブ情報が同一の場合(ステップ303でNo)、またはステップ304において削除されている印刷ジョブがない場合(ステップ304でNo)、本処理フローは終了する。
また、本処理フロー終了後、終了通知が検出されるまで
図7の手順は繰り返し実行されるため、ジョブ情報取得部16は、タイマーをもとに、予め定められた時間ごとに定期的に印刷装置20からスプールジョブ情報を取得する。
【0063】
このようにして、ジョブ情報取得部16は、スプールジョブ情報をもとに削除リストの通知を行う。
また、ステップ303において、ジョブ情報取得部16は、初めて印刷装置20からスプールジョブ情報を取得する場合、前回取得したスプールジョブ情報が存在せず、削除されている印刷ジョブがあるか否かを判定できないため、本処理フローは終了するものとする。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態に係る印刷制御装置10は、操作端末30から送信された印刷ジョブを印刷装置20に転送し、転送した印刷ジョブの処理状況をスプールジョブ情報として印刷装置20から取得する。そして、印刷制御装置10は、スプールジョブ情報をもとに、印刷装置20にて削除された印刷ジョブを特定し、削除された印刷ジョブが自装置から転送した印刷ジョブであるか否かを判定する。また、印刷制御装置10は、自装置から転送した印刷ジョブが削除されていれば、印刷装置20からMIB情報を取得し、印刷ジョブにおける印刷処理の異常を検知する。
【0065】
印刷装置20のようにスプール機能を有し複数の印刷ジョブを保持する場合、印刷装置20に対するユーザの操作により任意のタイミングで印刷装置20にて印刷が実行されたり、ユーザの操作ミス等により印刷装置20の印刷ジョブが削除されたりする場合がある。また、印刷装置20のセキュリティ機能によりユーザの操作なく印刷装置20の印刷ジョブが削除される場合もある。
【0066】
そのため、印刷制御装置10を用いることにより、例えば、印刷装置20への転送が完了した印刷ジョブの情報を取得しないような構成と比較して、印刷装置20がスプール機能を有する場合であっても、各印刷ジョブにおける印刷処理の異常検知が容易に行われる。また、例えば、大量印刷を行う場合であっても、印刷制御装置10を用いることにより、全ての印刷ジョブについて漏れることなく異常検知が行われ、正常に印刷が完了しなかった印刷ジョブが存在するか否かが容易に把握される。
【0067】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態に係る印刷制御装置10は、実施の形態1に係る印刷制御装置10と同様の構成を有しているが、分割された印刷ジョブに対する処理を行う点で異なる。本実施の形態に係る印刷制御装置10は、印刷ジョブの指示ページ数が、例えば予め定められた閾値を超えるような大量のページ数である場合、印刷装置20を占有しないように印刷ジョブを分割して処理を行う。
【0068】
そして、分割された印刷ジョブのうちの一部の印刷ジョブが印刷装置20にて出力異常となると、印刷制御装置10は、分割された印刷ジョブのうちの残りの印刷ジョブを削除するように、印刷装置20に対して指示を行う。以下では、分割されてできた複数の印刷ジョブを、分割ジョブと称する。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施の形態に係る印刷制御装置10は、実施の形態1と同様に、受信部11、操作受付部12、ジョブ管理部13、表示部14、ジョブ転送部15、ジョブ情報取得部16、出力制御部17、MIB取得部18、第1スプーラ19を備える。そして、ジョブ管理部13、ジョブ情報取得部16、出力制御部17は、実施の形態1と同様の処理を行うとともに以下の処理を行う。
【0070】
ジョブ管理部13は、印刷ジョブの指示ページ数が予め定められた閾値を超える場合には、印刷ジョブを分割してジョブ転送部15に印刷ジョブを転送する。ここで、ジョブ管理部13は、分割した印刷ジョブのそれぞれに対して、ジョブIDやドキュメント名の情報を付与するものとする。また、ジョブ管理部13は、保留キューから転送中キューに移動させる印刷ジョブについても、分割に関する情報を付与するものとする。
【0071】
また、ジョブ管理部13は、出力制御部17から、削除ジョブが出力異常となり、さらに分割ジョブであることを通知されると、分割ジョブのうち印刷装置20にまだ残っているものを削除する旨のメッセージを表示部14に表示する。そして、操作受付部12が分割ジョブを削除することを指示する操作を受け付けると、ジョブ管理部13は、分割ジョブを削除する指示を出力制御部17へ出力する。
さらに、ジョブ管理部13は、出力制御部17から、削除対象の分割ジョブが削除されたことを通知されると、削除された分割ジョブと同じジョブIDを持つ印刷ジョブを、転送済みキューから削除済みキュー(不図示)に移動させる。
【0072】
出力制御部17は、MIB取得部18から取得した出力済みリストをもとに削除ジョブについて正常に印刷が完了したか否かを判定した後、さらに、正常に印刷が完了せずに出力異常となった削除ジョブが分割ジョブであるか否かを判定する。出力異常となった削除ジョブが分割ジョブである場合、出力制御部17は、削除ジョブが出力異常となり、さらに分割ジョブであることをジョブ管理部13に通知する。
【0073】
また、出力制御部17は、ジョブ管理部13より、分割ジョブを削除する指示を受けると、削除対象となる分割ジョブをジョブ情報取得部16に通知する。
さらに、出力制御部17は、ジョブ情報取得部16から通知された削除リストに、削除対象とした分割ジョブが含まれていれば、削除対象の分割ジョブが削除されたことをジョブ管理部13に通知する。
【0074】
指示手段の一例としてのジョブ情報取得部16は、出力制御部17より、削除対象の分割ジョブが通知されると、印刷装置20に対して、通知された分割ジョブを削除する指示を出力する。
【0075】
<分割ジョブが出力異常となった場合の処理>
次に、分割ジョブが出力異常となった場合の処理について説明する。
図8は、分割ジョブが出力異常となった場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。ここで、初期状態として、出力制御部17は、MIB取得部18から取得した出力済みリストをもとに、削除ジョブの印刷処理に異常を検知したものとして説明する。即ち、
図6に示す手順のステップ206またはステップ207で否定の判断(No)が行われたものとする。また、
図8に示す手順は、
図6や
図7に示す手順と同様に、終了通知が検出されるまで繰り返し実行されるものとする。
【0076】
まず、出力制御部17は、削除ジョブについて印刷装置20にて正常に印刷が完了せずに出力異常となったと判定する(ステップ401)。次に、出力制御部17は、出力異常になったと判定した削除ジョブが、分割ジョブであるか否かを判定する(ステップ402)。分割ジョブでない場合(ステップ402でNo)、
図6のステップ209のように、出力制御部17は削除ジョブの印刷が異常に終了したことをジョブ管理部13に通知する(ステップ403)。その後のステップ404、ステップ405の処理は、
図5のステップ112、ステップ113の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。そして、ステップ405の処理の後、本処理フローは終了する。
【0077】
一方、出力異常になった削除ジョブが分割ジョブである場合(ステップ402でYes)、出力制御部17は、削除ジョブが出力異常となり、さらに分割ジョブであることをジョブ管理部13に通知する(ステップ406)。次に、ジョブ管理部13は、削除ジョブが出力異常となり、さらに分割ジョブであることを通知されると、分割ジョブのうち印刷装置20にまだ残っているものを削除する旨のメッセージを表示部14に表示する(ステップ407)。
【0078】
次に、ユーザが表示部14に表示されたメッセージを確認し、残りの分割ジョブを削除する操作を行うと、ジョブ管理部13は、分割ジョブを削除する指示を出力制御部17へ出力する(ステップ408)。そして、出力制御部17は、分割ジョブを削除する指示を受けると、削除対象となる分割ジョブをジョブ情報取得部16に通知する(ステップ409)。ここで、削除対象となる分割ジョブは、分割される前には、ステップ401で出力異常と判定された分割ジョブと同じ一つの印刷ジョブだったものであり、印刷装置20にまだ残っている分割ジョブである。
【0079】
次に、ジョブ情報取得部16は、削除対象の分割ジョブが通知されると、印刷装置20に対して、通知された分割ジョブを削除する指示を出力する(ステップ410)。この後、出力制御部17は、ジョブ情報取得部16から、ステップ409で削除対象とした分割ジョブが含まれた削除リストを取得すると、削除対象の分割ジョブが削除されたことをジョブ管理部13に通知する(ステップ411)。
【0080】
そして、ジョブ管理部13は、出力制御部17から、削除対象の分割ジョブが削除されたことを通知されると、削除された分割ジョブと同じジョブIDを持つ分割ジョブを転送済みキューから削除済みキューへ移動させて(ステップ412)、本処理フローは終了する。また、ジョブ管理部13は、分割ジョブを削除済みキューへ移動させた後、ステップ405と同様に、削除済みキューへ移動させた印刷ジョブの情報を表示部14に表示することとしても良い。
【0081】
また、ステップ407において、ジョブ管理部13は、印刷装置20にまだ残っている分割ジョブを削除する旨のメッセージを表示することとしたが、さらに、ステップ401で出力異常とされた分割ジョブに対して、ステップ404及びステップ405の処理を行うこととしても良い。ここで、出力異常とされた分割ジョブについて、転送済みキューから障害発生キューへ移動させるとともに、残りの分割ジョブ(即ち、削除対象となる分割ジョブ)についても、転送済みキューから障害発生キューへ移動させることとしても良い。この場合、ステップ412において、分割ジョブは、障害発生キューから削除済みキューへ移動することとなる。
【0082】
また、分割ジョブを削除する旨のメッセージとしては、例えば、ポップアップにより分割ジョブを削除することをユーザに承認してもらうようなメッセージ等が挙げられる。そして、ユーザが削除することを承認すると、分割ジョブを削除する指示が行われる。ここで、削除する分割ジョブをユーザが選択できるようなメッセージを表示することとしても良い。さらに、例えば、分割ジョブを削除する旨のメッセージが表示部14に表示されるだけで、ユーザが操作することなく分割ジョブを削除する処理が印刷制御装置10及び印刷装置20にて行われることとしても良い。
【0083】
<分割ジョブが出力異常となった場合の処理の例>
次に、分割ジョブが出力異常となった場合の処理の例について説明する。
図9(a)〜(c)は、分割ジョブが出力異常となった際の各リストの一例を示す図である。
図9(a)は、転送済みリストの一例を示す図である。
図9(b)は、削除リストの一例を示す図である。
図9(c)は、出力済みリストの一例を示す図である。そして、
図9(a)〜(c)の例では、印刷ジョブ(ジョブ名=ジョブ2)が分割ジョブであり、その一部が印刷処理前に印刷装置20にて削除されたものとして説明する。
【0084】
まず、
図9(a)に示す転送済みリストには、5つの印刷ジョブの情報が記録されている。ここで、印刷ジョブ(ジョブ名=ジョブ2)は2つの印刷ジョブに分割されており、転送済みリストには、分割される前の印刷ジョブと、分割された後の2つの印刷ジョブ(分割ジョブ)とが含まれている。即ち、転送済みリストには、指示ページ数が100ページの印刷ジョブと、指示ページ数が50ページの2つの分割ジョブ(ジョブID=2、3)とが含まれる。また、他の2つの印刷ジョブ(ジョブID=1、4)は、分割されずに印刷装置20に転送された印刷ジョブである。
【0085】
次に、
図9(b)に示す削除リストには、1つの分割ジョブの情報が記録されている。
図9(b)に示す削除リストは、ドキュメント名が「ドキュメント2−1」である印刷ジョブが印刷装置20にて削除されたことを示す。そして、
図9に示す例では、印刷ジョブ(ドキュメント名=ドキュメント2−1)は転送済みリスト及び削除リストに記録されている削除ジョブとして特定される。
【0086】
次に、
図9(c)に示す出力済みリストには、1つの印刷ジョブの情報が記録されている。そして、
図9(c)に示す出力済みリストは、出力制御部17により特定された削除ジョブ(ジョブID=2)の情報を示す。付言すると、
図9(c)に示す出力済みリストは、MIB取得部18が出力制御部17より通知された削除ジョブのジョブID(=2)をもとに、印刷装置20から取得したMIB情報である。
【0087】
そして、出力制御部17は、出力済みリストをもとに、削除ジョブについて、正常に印刷が完了したか否かを判定する。
図9(c)に示す例では、印刷ジョブ(ジョブID=2)の「出力状態」は「出力未」であるため、出力制御部17は、印刷ジョブ(ジョブID=2)が印刷されずに印刷装置20にて削除され、出力異常となった印刷ジョブであると判定する。さらに、出力制御部17は、転送済みリストのドキュメント名等をもとに、出力異常となった印刷ジョブ(ジョブID=2)が分割ジョブであるか否かを判定する。
【0088】
ここで、分割ジョブであるか否かの判定は、例えば分割ジョブのドキュメント名をもとに行われる。ジョブ管理部13は、分割ジョブのドキュメント名を命名する際、例えば、分割した印刷ジョブに対して順番に番号を付与し、付与した番号と印刷制御装置10独自の名称とを合わせてドキュメント名とする。このようにドキュメント名の命名規則を定めることで、出力制御部17は、ドキュメント名をもとに分割ジョブであるか否かの判定が可能となる。
図9(a)に示す例では、分割ジョブ(ジョブID=2、3)について、印刷制御装置10独自の名称である「ドキュメント2」と番号(1、または2)とを合わせてドキュメント名(ドキュメント2−1、ドキュメント2−2)が命名されている。
【0089】
また、出力制御部17は、ジョブ名及びジョブIDをもとに分割ジョブの判定を行うこととしても良い。
図9(a)に示す例では、ジョブ管理部13は、分割ジョブのジョブ名を分割される前の印刷ジョブのジョブ名と同じにして、分割ジョブごとに異なるジョブIDを付与している。そのため、出力制御部17は、複数の印刷ジョブのうち、ジョブ名が同じでジョブIDが異なる印刷ジョブは分割ジョブであると判定可能となる。さらに、分割ジョブの判定手順は上記の構成に限られるものではなく、例えば、ジョブ管理部13は、分割ジョブに対して分割されたことを表すフラグを付与することとしても良い。
【0090】
そして、出力制御部17は、印刷ジョブ(ジョブID=2)が分割ジョブであると判定すると、印刷ジョブ(ジョブID=2)は出力異常となり、さらに分割ジョブであることをジョブ管理部13に通知する。次に、ジョブ管理部13は、分割ジョブのうち印刷装置20にまだ残っているものを削除する旨のメッセージを表示部14に表示する。
【0091】
そして、ユーザが残りの分割ジョブを削除する操作を行うと、出力制御部17は、削除対象となる分割ジョブをジョブ情報取得部16に通知する。ここで、出力制御部17は、例えばドキュメント名や、ジョブ名及びジョブID等に基づいて、削除対象となる分割ジョブを判断してジョブ情報取得部16に通知する。
図9に示す例で削除対象となる分割ジョブは、分割ジョブ(ジョブID=3)である。削除対象の分割ジョブが通知されると、ジョブ情報取得部16は、印刷装置20に対して分割ジョブ(ジョブID=3)を削除する指示を出力する。そして、印刷ジョブ(ジョブID=3)が削除されると、ジョブ管理部13は、転送済みキューの印刷ジョブ(ジョブID=3)を削除済みキューへ移動させる。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態に係る印刷制御装置10は、印刷ジョブを分割し、出力異常となった印刷ジョブが分割ジョブであるか否かを判定する。そして、分割ジョブであれば、印刷制御装置10は、印刷装置20の残りの分割ジョブを削除する旨のメッセージを表示し、印刷装置20に対して、削除対象の分割ジョブを削除する指示を行う。このようにして、印刷装置20が保持している印刷ジョブのうち、不要となったものが削除されることとなる。
【0093】
また、実施の形態1及び実施の形態2において、ジョブ情報取得部16は、定期的に印刷装置20からスプールジョブ情報を取得したが、このような構成に限られるものではない。例えば、印刷装置20の状態が変化した場合に印刷装置20が印刷制御装置10に通知を行い、ジョブ情報取得部16は、その通知をもとに印刷装置20からスプールジョブ情報を取得することとしても良い。
【0094】
さらに、実施の形態1及び実施の形態2において、ジョブ管理部13は、印刷ジョブを格納することとしたが、印刷ジョブの全てを格納するのではなく、例えば、転送済みリストの項目等の印刷ジョブの一部のデータを格納することとしても良い。
【0095】
そして、実施の形態1及び実施の形態2において、出力制御部17は、指示ページ数と出力ページ数とを比較して印刷ジョブの印刷処理が正常に完了したか否かを判定したが、このような構成に限られるものではない。出力制御部17は、印刷が正常に完了したか否かを判定できる情報であれば、どのような情報を用いても良い。
【0096】
また、実施の形態1及び実施の形態2において、ユーザに報知する情報を印刷制御装置10の表示部14に表示することとしたが、このような構成に限られるものではない。例えば、報知する情報を印刷制御装置10から操作端末30に送信し、操作端末30が有する表示画面に表示することとしても良い。
【0097】
さらに、実施の形態1及び実施の形態2において、印刷制御システム1は、1台の印刷装置20と1台の操作端末30とを備える構成としたが、印刷装置20および操作端末30を複数台備える構成としても良い。印刷装置20が複数台ある場合、操作端末30は、印刷ジョブの送信先となる印刷装置20を指定して、印刷ジョブを印刷制御装置10に送信する。また、ジョブ管理部13の各キューは印刷装置20ごとに存在し、転送済みリストも印刷装置20ごとに生成される。
【0098】
<印刷制御装置のハードウェア構成例>
次に、実施の形態1及び実施の形態2に係る印刷制御装置10のハードウェア構成について説明する。
図10は、本実施の形態に係る印刷制御装置10のハードウェア構成例を示す図である。図示するように、印刷制御装置10は、例えば、汎用のコンピュータの構成により実現され、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)51と、記憶手段であるROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、記憶装置54とを備える。
【0099】
ROM52には、各種プログラムが記憶されており、RAM53は、CPU51による各種プログラムの実行時における作業エリア等として用いられる。また、記憶装置54は、例えば、各種プログラムにおける入力データや出力データ等を記憶する領域である。そして、ROM52には、本実施の形態に係る印刷制御装置10の各機能を実現するためのプログラムが記憶されており、このプログラムがRAM53にロードされ、このプログラムに基づく処理がCPU51により実行されることで、印刷制御装置10の各機能が実現される。さらに、印刷制御装置10は、外部との通信を行うための通信I/F55、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等の表示デバイスである表示機構56、キーボードやマウス等の入力デバイス57を備える。
【0100】
具体的には、印刷制御装置10において、CPU51が行う指示により、受信部11、操作受付部12、ジョブ管理部13、表示部14、ジョブ転送部15、ジョブ情報取得部16、出力制御部17、MIB取得部18の機能が実現される。また、受信部11による印刷ジョブの受信、ジョブ情報取得部16によるスプールジョブ情報の取得、MIB取得部18によるMIB情報の取得等は、例えば、通信I/F55を介して行われる。さらに、ジョブ管理部13が有するキューは、例えば、記憶装置54により実現される。そして、表示部14は、例えば、表示機構56により実現される。
【0101】
<プログラムの説明>
以上説明を行った本実施の形態における印刷制御装置10が行う処理は、上述した通り、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
【0102】
よって、印刷制御装置10が行う処理は、コンピュータに、記録媒体への印刷を指示する印刷指示を受信する機能と、受信された印刷指示を記憶部に記憶させ、複数の印刷指示を格納可能な領域を有する印刷装置へ転送する機能と、印刷装置にて印刷指示が削除された場合、削除された印刷指示が転送する機能により転送された印刷指示であれば、削除された印刷指示について、印刷装置での処理状況に関する情報を取得する機能と、取得された処理状況に関する情報をもとに、削除された印刷指示における印刷処理の異常を検知する機能とを実現させるためのプログラム、として捉えることもできる。
【0103】
なお、本発明の実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0104】
また、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態には限定されない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々に変更したり代替態様を採用したりすることが可能なことは、当業者に明らかである。