特許第6349928号(P6349928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6349928光ファイバ用樹脂供給装置および光ファイバの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6349928
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】光ファイバ用樹脂供給装置および光ファイバの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 25/104 20180101AFI20180625BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   C03C25/104
   G02B6/44 301B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-93860(P2014-93860)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-209370(P2015-209370A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕司
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 竜太郎
【審査官】 山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−275450(JP,A)
【文献】 特開2013−188679(JP,A)
【文献】 特開2001−048597(JP,A)
【文献】 特開昭47−021437(JP,A)
【文献】 特開昭52−097749(JP,A)
【文献】 特開2003−206161(JP,A)
【文献】 特開平08−143338(JP,A)
【文献】 米国特許第04201151(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C25/00
C03B37/00
B05C 1/00− 3/20
G02B 6/02− 6/036
G02B 6/10
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ用の樹脂被覆ダイスへ樹脂供給配管を経て樹脂を供給する第1タンクと、前記第1タンクへ樹脂補給配管を経て樹脂を補給する第2タンクとを備えて、前記樹脂被覆ダイスへ樹脂を供給する光ファイバ用樹脂供給装置であって、
前記樹脂供給配管における前記樹脂被覆ダイスへの接続箇所から前記第2タンクに樹脂を戻す循環用樹脂配管が設けられ、
前記樹脂供給配管の途中に、樹脂の供給を制御するためのバルブが設けられ、
前記樹脂補給配管の途中に、樹脂の補給を制御するためのバルブが設けられた、
光ファイバ用樹脂供給装置。
【請求項2】
光ファイバ用樹脂供給装置から供給された光ファイバ用樹脂をガラスファイバに被覆し、被覆した前記光ファイバ用樹脂を硬化することにより、光ファイバを製造する光ファイバの製造方法であって、
前記光ファイバ用樹脂供給装置は、
光ファイバ用の樹脂被覆ダイスへ樹脂供給配管を経て樹脂を供給する第1タンクと、前記第1タンクへ樹脂補給配管を経て樹脂を補給する第2タンクと、前記樹脂被覆ダイスへの配管接続箇所から前記第2タンクに樹脂を戻す循環用樹脂配管と、を備えており、
光ファイバを製造する場合には、
前記第2タンクから前記樹脂補給配管を経て前記第1タンクへ樹脂を補給すると共に、前記第1タンクから前記樹脂供給配管を経て前記樹脂被覆ダイスへ樹脂を供給し、
光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合には、
前記第2タンクから前記樹脂補給配管を経て前記第1タンクへ樹脂を送ると共に、前記第1タンクから前記樹脂供給配管及び前記循環用樹脂配管を経て前記第2タンクに樹脂を戻して、樹脂を循環させる、光ファイバの製造方法。
【請求項3】
前記光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合には、
前記第2タンクから前記樹脂補給配管を経て前記第1タンクへ所定量の樹脂を送る第1送液ステップと、
前記第1タンクから前記樹脂供給配管及び前記循環用樹脂配管を経て前記第2タンクへ所定量の樹脂を送る第2送液ステップと、を順次繰り返す、請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
【請求項4】
前記第1送液ステップと前記第2送液ステップとの間、および、前記第2送液ステップと前記第1送液ステップとの間、の少なくとも一方に、樹脂の送液を所定時間停止する送液停止ステップを設ける、請求項3に記載の光ファイバの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ用樹脂供給装置および光ファイバの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを製造する際に、光ファイバの樹脂被覆ダイスへの供給を途切れさせること無く、樹脂を連続的に供給する樹脂連続供給装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−86433号公報
【特許文献2】特開平6−227846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
線引き工程における樹脂供給装置(例えば、上記特許文献1、2の樹脂供給装置)では、メインタンクにサブタンクを樹脂補給用の配管で接続し、メインタンクが空にならないようにサブタンクから樹脂を補給している。そして、メインタンクより樹脂供給配管を経てダイスに樹脂を供給することにより、一連の線引き中に樹脂が途切れることなく、連続して樹脂を供給している。
【0005】
ところが、光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合(例えば、連休等で長期停止する場合)は、樹脂供給を停止する(樹脂が配管内を流れなくなる)ため、各配管やタンク(メインタンク、サブタンク)内で樹脂が固まるおそれがある。また、固まらないにしても、各配管やタンク内などの各場所の温度が異なるため、各場所における樹脂の粘度が異なるものとなる。このため、このまま光ファイバの製造を再開すると、光ファイバ樹脂の被覆径の調整や偏肉の調整に時間が掛かり、また、廃却屑も増えて歩留まりを落としてしまう。
これを防ぐため、一般的に光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合には、配管およびタンクの樹脂抜きと洗浄を実施している。その場合、製造を再開する時には、樹脂タンクの準備、タンクへの樹脂の投入、樹脂のオーバーフロー等の作業が必要となる。また、このとき、配管内の気泡抜きが不十分であると、樹脂内気泡による品質不良が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合に、配管およびタンクの樹脂抜きや洗浄等の作業を実施しなくても、再稼動時に樹脂内気泡による品質不良の発生やオーバーフロー作業による樹脂廃却の増加を抑えることができる光ファイバ用樹脂供給装置および光ファイバの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の光ファイバ用樹脂供給装置は、光ファイバ用の樹脂被覆ダイスへ樹脂供給配管を経て樹脂を供給する第1タンクと、前記第1タンクへ樹脂補給配管を経て樹脂を補給する第2タンクとを備えて、前記樹脂被覆ダイスへ樹脂を供給する光ファイバ用樹脂供給装置であって、
前記樹脂供給配管における前記樹脂被覆ダイスへの接続箇所から前記第2タンクに樹脂を戻す循環用樹脂配管が設けられている。
【0008】
本発明の光ファイバの製造方法は、光ファイバ用樹脂供給装置から供給された光ファイバ用樹脂をガラスファイバに被覆し、被覆した前記光ファイバ用樹脂を硬化することにより、光ファイバを製造する光ファイバの製造方法であって、
前記光ファイバ用樹脂供給装置は、
光ファイバ用の樹脂被覆ダイスへ樹脂供給配管を経て樹脂を供給する第1タンクと、前記第1タンクへ樹脂補給配管を経て樹脂を補給する第2タンクと、前記樹脂被覆ダイスへの配管接続箇所から前記第2タンクに樹脂を戻す循環用樹脂配管と、を備えており、
光ファイバを製造する場合には、
前記第2タンクから前記樹脂補給配管を経て前記第1タンクへ樹脂を補給すると共に、前記第1タンクから前記樹脂供給配管を経て前記樹脂被覆ダイスへ樹脂を供給し、
光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合には、
前記第2タンクから前記樹脂補給配管を経て前記第1タンクへ樹脂を送ると共に、前記第1タンクから前記樹脂供給配管及び前記循環用樹脂配管を経て前記第2タンクに樹脂を戻して、樹脂を循環させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合に、配管およびタンクの樹脂抜きや洗浄等の作業を実施しなくても、再開時に樹脂内気泡による品質不良の発生やオーバーフロー作業による樹脂廃却の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】光ファイバの製造をする場合における、光ファイバ用樹脂供給装置の概略図である。
図2】光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合における、本発明の実施形態に係る光ファイバ用樹脂供給装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
本願発明の実施形態に係る光ファイバ用樹脂供給装置は、
(1) 光ファイバ用の樹脂被覆ダイスへ樹脂供給配管を経て樹脂を供給する第1タンクと、前記第1タンクへ樹脂補給配管を経て樹脂を補給する第2タンクとを備えて、前記樹脂被覆ダイスへ樹脂を供給する光ファイバ用樹脂供給装置であって、
前記樹脂供給配管における前記樹脂被覆ダイスへの接続箇所から前記第2タンクに樹脂を戻す循環用樹脂配管が設けられている。
樹脂被覆ダイスへの配管接続箇所から第2タンクに樹脂を戻す循環用樹脂配管が設けられているので、光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合であっても、各タンクおよび配管内に樹脂を流し続けることができる。これにより、光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合に、各配管およびタンクの樹脂抜きや洗浄等の作業を実施する必要が無い。また、光ファイバの製造の再開時に樹脂内気泡による品質不良の発生やオーバーフロー作業による樹脂廃却の増加を抑えることができる。
【0012】
本願発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法は、
(2) 光ファイバ用樹脂供給装置から供給された光ファイバ用樹脂をガラスファイバに被覆し、被覆した前記光ファイバ用樹脂を硬化することにより、光ファイバを製造する光ファイバの製造方法であって、
前記光ファイバ用樹脂供給装置は、
光ファイバ用の樹脂被覆ダイスへ樹脂供給配管を経て樹脂を供給する第1タンクと、前記第1タンクへ樹脂補給配管を経て樹脂を補給する第2タンクと、前記樹脂被覆ダイスへの配管接続箇所から前記第2タンクに樹脂を戻す循環用樹脂配管と、を備えており、
光ファイバを製造する場合には、
前記第2タンクから前記樹脂補給配管を経て前記第1タンクへ樹脂を補給すると共に、前記第1タンクから前記樹脂供給配管を経て前記樹脂被覆ダイスへ樹脂を供給し、
光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合には、
前記第2タンクから前記樹脂補給配管を経て前記第1タンクへ樹脂を送ると共に、前記第1タンクから前記樹脂供給配管及び前記循環用樹脂配管を経て前記第2タンクに樹脂を戻して、樹脂を循環させる。
光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合に、各配管およびタンクに樹脂を流し続けることにより、各配管およびタンクの樹脂抜きや洗浄等の作業を実施する必要が無く、また、光ファイバの製造の再開時に樹脂内気泡による品質不良の発生やオーバーフロー作業による樹脂廃却の増加を抑えることができる。
【0013】
(3) 前記光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合には、
前記第2タンクから前記樹脂補給配管を経て前記第1タンクへ所定量の樹脂を送る第1送液ステップと、
前記第1タンクから前記樹脂供給配管及び前記循環用樹脂配管を経て前記第2タンクへ所定量の樹脂を送る第2送液ステップと、を順次繰り返す。
樹脂を循環させ続けていると各タンクの樹脂が無くなる可能性がある。このため、例えば樹脂は配管内に樹脂が満たされる程度の所定量の樹脂を送るステップを繰り返すことで、各タンクの樹脂が無くなることを防ぐことができる。
【0014】
(4) 前記第1送液ステップと前記第2送液ステップとの間、および、前記第2送液ステップと前記第1送液ステップとの間、の少なくとも一方に樹脂の送液を所定時間停止する送液停止ステップを設ける。
樹脂の送液を所定時間停止する送液停止ステップを設けることにより、樹脂を流し続ける場合に比べ、コスト的に有利になる。
【0015】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光ファイバ用樹脂供給装置および光ファイバの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
図1および図2は、本発明の実施形態に係る光ファイバ用樹脂供給装置の概略図であり、図1は光ファイバの製造をする場合、図2は光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合を示す。
図1および図2に示すように、光ファイバ用樹脂供給装置1は、樹脂被覆ダイス2へ樹脂供給配管3を経て樹脂を供給する第1タンク4と、第1タンク4へ樹脂補給配管5を経て樹脂を補給する第2タンク6と、樹脂供給配管3における樹脂被覆ダイス2への接続箇所から第2タンク6に樹脂を戻す循環用樹脂配管7と、を備えている。
【0017】
第1タンク4は、樹脂被覆ダイス2へ樹脂を供給するメインタンクとして機能するタンクであり、第2タンク6はメインタンクの樹脂を補給するサブタンクとして機能するタンクである。そして、第1タンク4および第2タンク6の内部には液状の樹脂が貯蔵され、例えば高圧窒素ガス等によりタンク内を加圧することにより、各タンクに接続された配管(樹脂供給配管3、樹脂補給配管5、循環用樹脂配管7)を経て樹脂を送液することができる。
【0018】
そして、樹脂供給配管3の先端部にはカプラ3cが設けられている。また、樹脂被覆ダイス2は、配管(樹脂供給配管3)への接続箇所にカプラ2aが設けられている。また、循環用樹脂配管7の先端部にもカプラ7bが設けられている。
上記のカプラ3cは、樹脂被覆ダイス2のカプラ2aまたは循環用樹脂配管7のカプラ7bと接続可能である。
なお、各配管の接続手段はカプラ以外の手段で接続するものであってもよい。
【0019】
光ファイバを製造する場合は、図1に示すようにカプラ3cとカプラ2aとが接続される。これにより、第1タンク4から樹脂供給配管3を経て樹脂被覆ダイス2へ樹脂を供給可能となる。樹脂被覆ダイス2は、内部の樹脂を固化しにくくする、等のため、加温容器8の中に入れられている。樹脂被覆ダイス2に充填された樹脂は、ガラス母材9から線引きされたガラスファイバ10に被覆され、被覆された光ファイバ11が製造される。
【0020】
一方、光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合は、図2に示すようにカプラ3cとカプラ7bとが接続される。これにより、第1タンク4から樹脂供給配管3及び循環用樹脂配管7を経て第2タンク6に樹脂を戻すことが可能となる。
【0021】
また、樹脂供給配管3、樹脂補給配管5、循環用樹脂配管7の各配管は、樹脂を各配管内で固化しにくくする、等のため、それぞれテープヒータ3a、5a、7aが巻かれて加温されている。そして、樹脂供給配管3の途中には、樹脂の供給を制御するためのバルブ3bが設けられている。また、樹脂補給配管5の途中には、樹脂の補給を制御するためのバルブ5bが設けられている。
【0022】
次に、本実施形態に係る光ファイバの製造方法について説明する。
図1に示すように、樹脂供給配管3のカプラ3cと樹脂被覆ダイス2のカプラ2aとを接続する。第1タンク4に圧力をかけて、第1タンク4から樹脂供給配管3を経て樹脂被覆ダイス2へ樹脂を供給する。樹脂被覆ダイス2に充填された樹脂は、ガラス母材9から線引きされたガラスファイバ10に被覆され、被覆された光ファイバ11が製造される。なお、第1タンク4の樹脂が少なくなった場合は、適宜第2タンク6から樹脂補給配管5を経て第1タンク4へ樹脂を補給する。
【0023】
次に、光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合について説明する。所定期間以上停止する場合とは、例えば、連休等で製造ライン等を長期停止する場合などである。
上記の場合は、樹脂供給配管3のカプラ3cと循環用樹脂配管7のカプラ7bとを接続して、図2に示す状態とし、以下のように各配管内に樹脂を循環させる。
[第1送液ステップ]
(手順1) 第1タンク4の圧力を抜き、高圧窒素ガス等により第2タンク6内に圧力をかける。
(手順2) 樹脂補給配管5のバルブ5bを開けて、第2タンク6から樹脂補給配管5を経て第1タンク4へ所定量の樹脂を送液する。
(手順3) 樹脂補給配管5のバルブ5bを閉じて、第2タンク6から第1タンク4への送液を終了する。
[第2送液ステップ]
(手順4) 第2タンク6の圧力を抜き、高圧窒素ガス等により第1タンク4に圧力をかける。
(手順5) 樹脂供給配管3のバルブ3bを開けて、第1タンク4から樹脂供給配管3および循環用樹脂配管7を経て第2タンク6へ所定量の樹脂を送液する。
(手順6) 樹脂供給配管3のバルブ3bを閉じて、第1タンク4から第2タンク6への送液を終了する。
上記手順6が終了したら、第1送液ステップの手順1に戻り、手順1から手順6を繰り返す。
なお、上記所定量の樹脂とは、各配管内に樹脂が満たされる程度の量とすることが好ましい。
【0024】
本実施形態によれば、光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合に、上記のように、各配管(樹脂供給配管3、樹脂補給配管5、循環用樹脂配管7)および各タンク(第1タンク4、第2タンク6)に樹脂を流し続ける。
これにより、各配管(樹脂供給配管3、樹脂補給配管5、循環用樹脂配管7)および各タンク(第1タンク4、第2タンク6)の樹脂抜きや洗浄等の作業を実施する必要が無く、また、光ファイバの製造の再開時に樹脂内気泡による品質不良の発生やオーバーフロー作業による樹脂廃却の増加を抑えることができる。
また、配管内に樹脂が満たされる程度の所定量の樹脂を送るステップを繰り返すことで、各タンクの樹脂が無くなることを防ぐことができる。
【0025】
なお、上記実施形態の光ファイバの製造を所定期間以上停止する場合において、第1送液ステップと第2送液ステップとの間、および、第2送液ステップと第1送液ステップとの間、の少なくとも一方に樹脂の送液を所定時間停止する送液停止ステップを設けてもよい。
このように、樹脂の送液を所定時間(例えば、樹脂が固化しない程度の時間)停止する送液停止ステップを設けることにより、樹脂を流し続ける場合に比べ、コスト的に有利になる。
【0026】
[実施例]
光ファイバの製造を5日間停止したときに、図2の状態で樹脂1kgを第2タンク6から第1タンク4、及び第1タンク4から第2タンク6へと循環させるように、実施形態の手順1から手順6を繰り返した。このとき、手順6から手順1の間に8時間の送液停止ステップを設けた。
なお、樹脂被覆ダイス2も線引き装置から取り外さずに加温容器8で加温した。そして、光ファイバの製造の再開時には、各配管(樹脂供給配管3、樹脂補給配管5、循環用樹脂配管7)および各タンク(第1タンク4、第2タンク6)の樹脂抜きと洗浄を実施せずに、線引きを行って光ファイバ製品を製造した。
【0027】
[比較例]
比較例では、光ファイバの製造を5日間停止したときに、図1の状態とし、樹脂の循環を行わなかった。そして、光ファイバの製造の再開時には、各配管(樹脂供給配管3、樹脂補給配管5、循環用樹脂配管7)および各タンク(第1タンク4、第2タンク6)の樹脂抜きと洗浄を実施せずに、線引きを行って光ファイバ製品を製造した。
【0028】
比較例においては、光ファイバ製造の稼動再開時に、製品(光ファイバ)の被覆に、品質不良(気泡および偏肉不良)が発生した。
これに対して実施例では、光ファイバの製造の再開時に製品(光ファイバ)の被覆に品質不良は発生しなかった。また実施例では、各配管(樹脂供給配管3、樹脂補給配管5、循環用樹脂配管7)および各タンク(第1タンク4、第2タンク6)の樹脂抜きと洗浄を実施する必要がなかったので作業費を削減できた。
【符号の説明】
【0029】
1 光ファイバ用樹脂供給装置
2 樹脂被覆ダイス
3 樹脂供給配管
4 第1タンク
5 樹脂補給配管
6 第2タンク
7 循環用樹脂配管
8 加温容器
9 ガラス母材
10 ガラスファイバ
11 被覆された光ファイバ
図1
図2