(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長手方向に沿って複数の発光点が配列された長尺状の基板を筐体に固定し長手方向一端部の発光点を最大画像形成領域の端部に対応させる露光装置では、長手方向一端部の発光点が最大画像形成領域の端部に対応するように、長尺状の基板を筐体に固定する。
【0005】
本発明は、筐体に対する基板の位置精度を低くしても、最大画像形成領域の端部に対する最大露光領域の端部のずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1
態様の露光装置は、長尺状の基板と、該基板の長手方向に沿って複数個配置され、該長手方向に沿って複数の発光点が配列された発光素子と、該発光点と光学素子とが対向するように該基板及び該光学素子が固定された筐体と、該基板に複数個配置された該発光素子における全発光点のうち該基板の長手方向の両端の該発光点を、非発光に制御する制御部と、を備えている。
【0007】
第2
態様の露光装置は、長尺状の基板と、光学素子と該基板と該光学素子とが対向するように該基板及び該光学素子が固定された筐体と、複数の発光点が直線状に配列された発光素子を、該光学素子の配列方向を該基板の長手方向に沿わせて該基板に配置して構成され、該基板の長手方向両端の発光点が非発光の発光部と、を備えた露光装置を備えている。
【0008】
第3
態様の画像形成装置は、
第1
態様又は
第2
態様に記載の露光装置と、前記露光装置によって露光されて潜像が形成される像保持体と、前記像保持体に形成された潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記現像装置によって現像されたトナー像を被転写体に転写する転写装置と、を備えている。
【0009】
請求項
1に記載の露光装置の製造方法は、複数の発光点が直線状に配列された発光素子を、該発光素子の配列方向を
基板の長手方向に沿わせて、該基板に複数個配置する工程と、該基板における該長手方向の一端を
、筐体
の長尺状の貫通穴で形成される内壁のうち、該長手方向の一端側の内壁に突き当てた状態で、該発光点と光学素子とが対向するように該基板及び該光学素子を該筐体に固定する工程と、該筐体における該基板を突き当てた側にある
外壁から該長手方向に沿って予め定められた距離となる部位よりも該
外壁側にある該発光点を非発光にする工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
第1
態様の露光装置は、基板の長手方向に沿って配列された全発光点のうち長手方向一端の発光点を発光する露光装置に比べて、筐体に対する基板の位置精度を低くしても、最大画像形成領域の端部に対する最大露光領域の端部のずれを抑制することができる。
【0011】
第2
態様の露光装置は、基板の長手方向一端の発光点が発光する発光部を備えた露光装置に比べて、筐体に対する基板の位置精度を低くしても、最大画像形成領域の端部に対する最大露光領域の端部のずれを抑制することができる。
【0012】
第3
態様の画像形成装置は、基板の長手方向に沿って配列された全発光点のうち、長手方向一端の発光点を発光する露光装置を備えた画像形成装置に比べて、最大画像形成領域の端部に対する最大露光領域の端部のずれに起因する画像形成不良が抑制される。
【0013】
請求項
1に記載の露光装置の製造方法は、基板の長手方向に沿って配列された全発光点のうち長手方向の一端の発光点を発光にする工程を含む露光装置の製造方法に比べて、露光装置の生産性が向上される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について、図面に基づき説明する。まず、画像形成装置の全体構成及び動作を説明する。次いで、本実施形態の要部である露光装置及び露光装置の製造方法について説明する。次いで、本実施形態の作用について説明する。次いで、本実施形態の変形例について説明する。以下の説明では、
図1に矢印Hで示す方向を装置高さ方向、矢印Wで示す方向の装置幅方向とする。また、装置高さ方向及び装置幅方向のそれぞれに直交する方向(適宜矢印Dで示す)を装置奥行き方向とする。
【0016】
≪画像形成装置の全体構成≫
画像形成装置10は、画像形成部8と、制御装置24と、を含んで構成されている。以下、
図1を参照しつつ説明する。
【0017】
[画像形成部]
画像形成部8は、媒体収容部12と、トナー像形成部14と、搬送部16と、定着装置18と、排出部20と、を備えている。画像形成部8は、媒体Pに画像を形成するようになっている。制御装置24は、画像形成装置10の各部の動作を制御するようになっている。
【0018】
〔トナー像形成部〕
トナー像形成部14は、画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kと、転写ユニット50と、を備えている。ここで、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)は、トナー色の一例である。転写ユニット50は、転写装置の一例である。
【0019】
画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kにおいて、用いられるトナー以外はほぼ同様の構成である。
図1では、画像形成ユニット40M、40C、40Kを構成する各部の符号が省略されている。
【0020】
〈画像形成ユニット〉
画像形成ユニット40Yは、感光体42Yと、帯電装置44Yと、露光装置100Yと、現像装置46Yと、を備えている。同様に、画像形成ユニット40M、40C、40Kは、各色に対応するように、感光体42M、42C、42Kと、帯電装置44M、44C、44Kと、露光装置100M、100C、100Kと、現像装置46M、46C、46Kと、を備えている。以下の説明では、画像形成ユニット40Y、40M、40C、40K及びこれらを構成する各部材について、色毎の区別が不要な場合は添字を省略する。
【0021】
(感光体)
感光体42は、自軸周りに回転しながら、現像装置46によって現像されたトナー像を保持する機能を有する。ここで、感光体42は、像保持体の一例である。
【0022】
(帯電装置)
帯電装置44は、感光体42を帯電させる機能を有する。
【0023】
(露光装置)
露光装置100は、帯電された感光体42に潜像を形成する機能を有する。露光装置100ついては、本実施形態の要部であるため後述する。
【0024】
(現像装置)
現像装置46は、感光体42に形成された潜像をトナー像として現像する機能を有する。
【0025】
〈転写ユニット〉
転写ユニット50は、各感光体42に現像された各色のトナー像が1次転写された後、当該トナー像を媒体Pに2次転写させる機能を有する。転写ユニット50は、転写ベルト52と、複数の1次転写ロール54と、駆動ロール56と、2次転写ロール58と、を備えている。ここで、転写ベルト52は、被転写体の一例である。
【0026】
〔搬送部及び排出部〕
搬送部16は、媒体収容部12に収容された媒体Pを、搬送路16Cを搬送させて排出部20に排出させる機能を有する。搬送部16は、送出ロール16Aと、複数の搬送ロール対16Bと、を備えている。
【0027】
〔定着装置〕
定着装置18は、媒体Pに2次転写されたトナー像を、加熱しながら加圧して、媒体Pに定着させる機能を有する。
【0028】
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置10における動作について、
図1を参照しつつ説明する。
【0029】
外部装置(一例としてPC)から送信された画像信号は、制御装置24により各色の画像データに変換されて、各露光装置100に出力される。
【0030】
続いて、各露光装置100から出射された露光光は、各帯電装置44により帯電された各感光体42に入射されて潜像が形成される。続いて、各潜像は、各現像装置46により各色のトナー像として現像される。続いて、各色のトナー像は、各1次転写ロール54により転写ベルト52に1次転写される。
【0031】
一方、媒体Pは、転写ベルト52におけるトナー像が1次転写された部位がニップ部Tに到達するタイミングに合わせて搬送され、2次転写される。
【0032】
続いて、トナー像が2次転写された媒体Pは定着装置18に向かって搬送され、トナー像は媒体Pに定着される。
【0033】
そして、トナー像が定着された媒体Pは排出部20に排出され、画像形成動作が終了する。
【0034】
≪要部(露光装置)の構成≫
次に、本実施形態の要部である露光装置100について、図面を参照しつつ説明する。露光装置100は、
図2及び
図3に示されるように、発光基板60と、レンズアレイ80と、筐体90と、を含んで構成されている。ここで、レンズアレイ80とは、光学素子の一例である。なお、露光装置100は、画像形成装置本体10Aに取り外し可能に取り付けられている。
【0035】
[発光基板]
発光基板60は、制御装置24により変換された画像データに基づき、後述する複数のLED(発光ダイオードアレイ)74からレンズアレイ80に向けて光を発光する機能を有する。ここで、LED74とは、発光点の一例である。
【0036】
発光基板60は、
図2及び図3に示されるように、プリント配線基板61(以下、基板61という。)と、発光部65
(複数個のLEDアレイ62)と、制御部64と、を含んで構成されている。ここで、LEDアレイ62とは、発光素子の一例である。
【0037】
〔プリント配線基板及び発光部〕
基板61は、長尺の板とされている。ここで、基板61は、長尺状の基板の一例である。基板61の上面(感光体42に向く面)には、発光部65が設けられている。発光部65は、複数個のLEDアレイ62で構成されている。そして、複数個のLEDアレイ62は、基板61の上面に、基板61の長手方向に沿って千鳥状に配置されている。また、各LEDアレイ62には、基板61の長手方向に沿って、複数個のLED74が直線状に(複数個のLED74の配列方向に沿って)配列されている。なお、本実施形態では、複数個のLEDアレイ62の個数は一例として20個、各LEDアレイ62に配置されている複数個のLED74の個数は一例として508個とされている。
【0038】
各LEDアレイ62は、
図4において、基板61の長手方向一端側(装置奥行き方向手前側、以下、手前側という。)からSLED1、SLED2、SLED3、SLED4、・・・SLED20と示されている。各LEDアレイ62は、隣に配置された別のLEDアレイ62に対し、基板61の短手方向において2個のLED74が重なっている。そして、SLED20を除くLEDアレイ62を構成するLED74のうち、基板61の長手方向他端側(装置奥行き方向奥側、以下、奥側という。)の端部から2個のLED74(
図4中の黒色とされているLED74)は、非発光にされるように設定されている。
【0039】
手前側端部のLED74は、感光体42の最大画像形成領域Lにおける手前側端部よりも手前側に配置されている。また、奥側端部のLED74は、感光体42の最大画像形成領域Lにおける奥側端部よりも奥側に配置されている。そして、本実施形態では、最大画像形成領域Lの両端よりも外側(手前側及び奥側)に配置されたLED74は、画像形成時において非発光にされるように設定されている。ここで、感光体42の最大画像形成領域Lとは、感光体42の自軸方向において、感光体42にトナー像が形成可能な範囲のことをいう。そのため、露光装置100の最大露光領域(露光装置100が、感光体42の自軸方向において、実際に感光体42に光を結像可能な範囲)は、感光体42の最大画像形成領域Lに対し、誤差範囲内
で一致する必要がある。なお、最大画像形成領域Lの両端よりも外側に配置されたLED74を非発光にする設定(以下、非発光LEDの設定という。)の方法については後述する。
【0040】
〔制御部〕
制御部64は、以下に説明する2つの機能を有する。
【0041】
1つ目の機能は、基板61に複数個配置されたLEDアレイ62における全LED74のうち、基板61の長手方向両端のLED74を非発光に制御することである。具体的には、制御部64は、SLED1における基板61の手前側の端部から1個以上のLED74を画像形成時において非発光に制御する。さらに、制御部64は、SLED20における基板61の奥側の端部から1個以上のLED74を画像形成時において非発光に制御する。
【0042】
2つの目の機能は、前述のとおり、SLED20を除く各LEDアレイ62を構成する複数のLED74のうち、基板61の奥側の端部から2個のLED74を非発光にする。
【0043】
制御部64は、
図3に示されるように、ROM(不揮発性メモリ)64Aと、ドライバIC64Bと、を含んで構成されている。ROM64A及びドライバIC64Bは、基板61の下面に配置されている。なお、本実施形態のROM64Aは、一例としてEPROMとされている。ROM64Aには画像形成時に非発光とされるLED74の位置情報(アドレス)が書き込まれる。そして、ドライバIC64Bは、ROM64Aの位置情報に基づいて、最大画像形成領域Lの両端よりも外側に配置されたLED74の入力端子(図示省略)に対し画像形成時に電圧を印加しないようされている。なお、ドライバIC64Bには電圧を出力する複数の出力端子(図示省略)が備えられており、ドライバIC64Bの複数の出力端子は、LED74の入力端子と、配線(図示省略)で結ばれている。
【0044】
〔発光基板についての補足〕
以上、発光基板60の構成について説明したが、本実施形態の発光基板60は、プリント配線基板を多層に貼り合わせたいわゆる多層基板とされている。そして、基板61の下面には、前述したROM64Aのほか、コネクタ(図示省略)等が配置されている。また、
図4に示されるように、基板61の上面における手前側には、一対のマーク63が付されている。一対のマーク63は、基板61の上面にLEDアレイ62を配置する際の位置決め用のマークとして用いられる。
【0045】
[レンズアレイ]
レンズアレイ80は、複数のLED74から発光された光を感光体42で結像させる機能を有する。
【0046】
レンズアレイ80は、長尺であって、複数のロッドレンズの集合体であるセルフォック(登録商標)レンズアレイとされている。レンズアレイ80は、
図3に示されるように、画像形成装置10において、基板61と感光体42との間に配置されている。
【0047】
[筐体]
筐体90は、
図2及び
図3に示されるように、発光基板60における複数のLED74とレンズアレイ80とが対向するように、発光基板60(基板61)及びレンズアレイ80を固定する機能を有する。
【0048】
筐体90は、長尺であって、その長手方向が感光体42の軸方向に沿うように、配置されている。また、筐体90には、感光体42の軸方向に沿って感光体42に向く長尺の貫通穴が形成されている。
【0049】
筐体90は、レンズアレイ80の長手方向が画像形成装置10の装置奥行き方向に沿うように、長尺状の貫通穴における感光体42側の開口部周縁でレンズアレイ80を固定している。また、筐体
90は、
図3及び図
2に示されるように、発光基板60の長手方向がレンズアレイ
80の長手方向に沿って、発光基板60が感光体42側の開口部と反対側の開口部を塞いだ状態で、発光基板60を固定している。この場合、筐体90の長尺状の貫通穴で形成される内壁のうち、手前側の内壁(以下、内壁92という。)には、発光基板60の長手方向の端面61Aが突き当てられている。そして、筐体90は、発光基板60及びレンズアレイ80を、定められた精度で固定している。
【0050】
なお、筐体90は、画像形成装置本体10Aに対し筐体90における手前側の外壁94を基準として位置決めされている。そのため、露光装置100が画像形成装置本体10Aに取り付けられていない状態であっても、外壁94から基板61の長手方向に沿った各LED74と最大画像形成領域Lとの位置関係は、把握される。ここで、外壁94とは、筐体90における基板61を突き当てた側にある基準の一例である。
【0051】
≪露光装置の製造方法≫
次に、露光装置100の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。露光装置100の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、を含んでいる。
【0052】
[第1工程]
第1工程では、LEDアレイ62が、LEDアレイ62の長手方向が基板61の長手方向に沿うようにして、基板61に複数個配置される。
【0053】
具体的に第1工程では、
図2及び
図4に示されるように、LEDアレイ62が、LEDアレイ62の長手方向が基板61の長手方向に沿うようにして、基板61の上面に複数個、千鳥状に配置される。この際、複数個のLEDアレイ62は、
図4に示されるように、各LEDアレイ62が、隣に配置された別のLEDアレイ62に対し、基板61の短手方向において2個のLED74が重なっている。さらに、基板61の手前側端部及び奥側端部のLED74同士の間隔は、最大画像形成領域Lの幅よりも広くされる。
【0054】
また、第1工程では、ROM64A、ドライバIC64B、コネクタ等が、基板61の下面に配置される。そして、第1工程が終了すると、発光基板60の組み立てが完了する。
【0055】
[第2工程]
第2工程では、
図2に示されるように、発光基板60における長手方向の一端を筐体90に突き当てた状態で、複数のLED74とレンズアレイ80とが対向するように、発光基板60及びレンズアレイ80が、筐体90に固定される。
【0056】
具体的に第2工程では、基板61の端面61Aが筐体90の内壁92に突き当てられ、発光基板60が筐体90に固定される。そして、第2工程が終了すると、発光基板60及びレンズアレイ80が筐体90に固定された集合体(以下、集合体という。)の組み立てが完了する。
【0057】
[第3工程]
第3工程では、制御部64に対し、筐体90にある基板61を突き当てた側にある基準から基板61の長手方向に沿って予め定められた距離Mとなる部位よりも基準側にあるLED74を非発光にする設定(非発光LEDの設定)が行われる。ここで、基準から基板61の長手方向に沿って予め定められた距離とは、外壁94から最大画像形成領域Lの手前側の端部までの距離をいう。
【0058】
具体的に第3工程では、集合体に対し、各LED74の発光位置の測定が行われる。発光位置の測定は、集合体を、発光位置を測定する装置(図示省略)に取り付けて行われる。ここで、測定装置は、集合体を画像形成装置本体10Aに取り付けたと仮定した場合、筐体90の外壁94から感光体42で結像される光を発光する各LED74までの距離(以下、各LED距離という。)を測定できるようになっている。
【0059】
発光位置の測定により、最大画像形成領域Lの手前側端部の誤差範囲内で結像する光を発光するLED74が、SLED1を構成するLED74のうち基板61の端面61A側からn(nは1以上の整数)番目(n番目の位置情報)のLED74であることが特定される(SLED1のL位置の測定)。そして、SLED1のL位置の測定の結果に基づいて、ROM64Aに対し、基板61の端面61A側からn−1番目までのLED74を非発光にするように書き込まれる。
【0060】
また、SLED1のL位置の測定に伴い、最大画像形成領域Lの奥側端部で結像する光を発光するLED74が、SLED20を構成するLED74のうち基板61の端面61A側と反対側からm(mは1以上の整数)番目のLED74であることが導かれる(SLED20のL位置の導出)。そして、SLED20のL位置の導出の結果に基づいて、ROM64Aに対し、基板61の端面61A側と反対側からm−1番目までのLED74を非発光にするように書き込まれる。
【0061】
以上のとおり、ROM64Aに対し非発光にするLED74の位置情報が書き込まれて、ドライバIC64Bが非発光にするLED74の入力端子に電圧を印加しないようになるため、制御部64は、最大画像形成領域Lの両端よりも外側に配置されたLED74を非発光となるように設定される。第3工程が終了すると、露光装置100が完成する。
【0062】
≪作用≫
次に、本実施形態の露光装置100及び画像形成装置10並びに露光装置100の製造方法の作用について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、本実施形態と、以下に想定する比較形態とを比較して行う。なお、以下の比較形態において、本実施形態で用いた部品等を用いる場合、その部品等の符号をそのまま用いて説明する。また、以下の比較形態の構成の説明では、本実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0063】
比較形態の露光装置は、発光基板60に配置された複数個のLED74のうち手前側の端部のLED74が、最大画像形成領域Lにおける手前側の端部の誤差範囲内に位置するように、発光基板60が筐体90に固定されている。そして、比較形態の画像形成装置は、比較形態の露光装置を備えている。
【0064】
また、比較形態の露光装置の製造方法は、発光基板60を筐体90に固定する工程において、基板61の上面に付されたマーク63を利用して、発光基板60と筐体90との位置決めがなされ、集合体が組み立てられる。そして、比較形態の露光装置の製造方法では、その後第3工程に替えて、発光基板60に配置された複数個のLED74のうち手前側の端部のLED74が、最大画像形成領域Lにおける手前側の端部の誤差範囲内に位置するか否かを検査する検査工程が行われる。その検査の結果、比較形態の検査工程で対応するとされた集合体が、露光装置とされる。
【0065】
比較形態の露光装置では、前述のとおり、発光基板60に配置された複数個のLED74のうち手前側の端部のLED74が、最大画像形成領域Lにおける手前側の端部の誤差範囲内に位置するように、発光基板60が筐体90に固定されている。別言すれば、発光基板60は、手前側の端部のLED74が最大画像形成領域Lにおける手前側の端部の誤差範囲内に位置するように、筐体90に固定されなければならない。
【0066】
これに対して、本実施形態の露光装置100では、最大画像形成領域Lの両端部よりも外側に配置されたLED74は、画像形成時において非発光に制御される。なお、非発光とされるLED74は、第3工程でROM64Aに書き込まれる。そのため、本実施形態の露光装置100では、発光基板60に配置された手前側の端部のLED74が、最大画像形成領域Lにおける手前側の端部の誤差範囲内に位置するように、発光基板60が筐体90に固定されている必要がない。
【0067】
したがって、本実施形態の露光装置100は、比較形態の露光装置に比べて、筐体90に対する基板61の位置精度を低くしても、最大画像形成領域Lの端部に対する最大露光領域の端部のずれを抑制することができる。
これに伴い、本実施形態の露光装置100を備えた画像形成装置10は、比較形態の画像形成装置に比べて、最大画像形成領域Lの端部に対する最大露光領域の端部のずれに起因する画像形成不良が抑制される。
【0068】
なお、画像形成装置本体10Aから取り外された露光装置100に対して、別の画像形成装置の最大画像形成領域Lに合うように、非発光にするLED74を再設定すれば、再設定された露光装置100は、別の画像形成装置で再利用が可能とされる。
【0069】
また、比較形態の露光装置の製造方法では、前述のとおり、発光基板60を筐体90に固定する工程において、基板61の上面に付されたマーク63を利用して、発光基板60と筐体90との位置決めがなされ、集合体が組み立てられる。そのため、比較形態の集合体では、筐体90に対する発光基板60の固定位置は、マーク63の位置の公差によりばらつく。そして、発光基板60を筐体90に固定する工程において、発光基板60の手前側の端部のLED74が最大画像形成領域Lにおける手前側の端部の誤差範囲内に位置していない場合、その集合体は不良品となり、露光装置として使用できない。
【0070】
これに対して、本実施形態の露光装置100の製造方法では、前述した第2工程と第3工程とを含む。第2工程では、基板61の端面61Aが筐体90の内壁92に突き当てられ、基板61の長手方向一端と他端とに配置されたLED74の位置が最大画像形成領域Lよりも外側とされて、発光基板60が筐体90に固定される。その後、第3工程では、最大画像形成領域Lの両端部よりも外側に配置されたLED74が画像形成時に非発光となるように、ROM64Aに書き込まれる。
【0071】
そのため、本実施形態の露光装置100の製造方法では、比較形態の発光基板60を筐体90に固定する工程に比べて、筐体90に対する発光基板60の位置精度が低くても、最大画像形成領域Lの両端で発光するLED74を調整することができる。換言すれば、本実施形態の露光装置100の製造方法では、集合体は不良品となり難い。
【0072】
したがって、本実施形態の露光装置100の製造方法は、比較形態の露光装置の製造方法に比べて、露光装置100の生産性が向上される。
【0073】
以上のとおり、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内にて他の実施形態が可能である。
【0074】
例えば、本実施形態では、複数個のLEDアレイ62が、基板61の上面に基板61の長手方向に沿って千鳥状に配置されているとして説明した。しかしながら、複数個のLEDアレイ62が基板61の長手方向に沿って配置されていれば、千鳥状に配置されていなくてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、各LEDアレイ62が、隣に配置された別のLEDアレイ62に対し、基板61の短手方向において2個のLED74が重なった状態となっているとして説明した。しかしながら、複数個のLEDアレイ62が基板61の長手方向に沿って配置されていれば、基板61の短手方向において2個のLED74が重なって配置されていなくてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、基板61に配置されている複数個のLEDアレイ62の個数は一例として20個、各LEDアレイ62に配置されている複数個のLED74の個数は一例として508個とされているとして説明した。しかしながら、基板61の長手方向両端に配置されているLED74同士間隔が最大画像形成領域Lの幅より広ければ、LEDアレイ62の個数は20個でなくても、各LEDアレイ62に配置されているLED74の個数は508個でなくてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、第1工程において、ROM64A、ドライバIC64B、コネクタ等(以下、下面部品等という。)が基板61の下面に配置されるとして説明した。しかしながら、第2工程の前に、下面部品等が基板61の下面に配置されれば、下面部品等が基板61の下面に配置される工程は、第1工程の前又は後の工程で行われてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、第3工程において、筐体90の基準を筐体90における外壁94として説明した。しかしながら、筐体90の基準は外壁94である必要はなく、例えば、筐体90の別の部位であってもよい。また、筐体90を画像形成装置本体10Aに取り付ける場合、筐体90をピン等の位置決め部材を有する板材に固定したものを筐体と捉え、ピン等の位置決め部材を、筐体90の基準としてもよい。