(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置の場合、大気中に浮遊している塵埃等の異物が、ケース体に形成された放熱孔から、ケース体の内部に侵入することが懸念される。そして、ケース体の内部に侵入した異物は前記空所、並びに前記間隙部を通って、液晶表示パネル(表示素子)の表示面まで侵入する虞がある。特に外形サイズが大型の液晶表示パネルの場合、液晶表示パネルの表示面に異物が侵入してしまう確率は、一般的な外形サイズが比較的小型の液晶表示パネルの場合より、かなり大きくなり表示品質に与える影響も少なくないと考えられる。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、表示素子の表示面への異物の侵入を防止し、表示品位を向上させることが可能な表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、所定情報を表示する表示部を備えた表示素子と前記表示素子に照明光を供給する光源とを少なくとも有する表示手段と、前記表示手段の前方に配置され、前記表示手段の可視領域を定めるための開口部を有する覆い部材と、前記表示手段との間に空所が形成されるように前記表示手段を収容するケース体とを備え、前記ケース体には、前記光源の発光時に前記光源から発せられる熱を外部に放散させる第1放熱孔が形成されている表示装置において、前記表示手段と前記覆い部材との間には隙間部が形成され、前記ケース体には、
前記第1放熱孔を囲むように前記表示手段と当接する突出部が設けられていることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記ケース体は、前記表示手段の側方を包囲する側壁部と、前記側壁部の周囲に延在する鍔部とを備え、前記ケース体を包囲するように設けられるカバー部材には、前記ケース体を収容する空洞部と、前記第1放熱孔を通じて前記空洞部へと至る前記熱を外部に放散させる第2放熱孔と、前記側壁部の外側に位置する周壁部とが設けられ、前記覆い部材は、前記周壁部及び前記鍔部との間にクリアランスが形成されるように、前記周壁部及び前記鍔部を覆う覆い部を備え、前記周壁部には、前記鍔部と当接する当接部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記表示手段と前記覆い部材との間には、前記表示手段との間に空気層が介在するように前面パネルが配置され、前記表示手段と前記前面パネルとが重ならない前記前面パネルの非重合部には粘着部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、表示素子の表示面への異物の侵入を防止し、表示品位を向上させることが可能な表示装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1から
図3に基づいて、本発明の表示装置を車両に搭載される車両用計器に適用した一実施形態を説明する。
【0011】
図1において、本実施形態による表示装置としての車両用計器Dは、表示手段10と、この表示手段10の前方に配置された覆い部材20と、表示手段10と覆い部材20との間に配置され、指針Pによって指示される後述する指標部を有する前面パネル30と、覆い部材20の前方に配設された透視パネル40と、表示手段10を収容するケース体50と、このケース体50を包囲するように設けられるカバー部材60と、ケース体50とカバー部材60との間に位置する回路基板70とを備えている。
【0012】
表示手段10は、
図2、
図3に示すように表示素子11と、この表示素子11のソース線(信号線)を駆動するソース線駆動回路(図示せず)と、表示素子11のゲート線(走査線)を駆動するゲート線駆動回路(図示せず)と、導光体12aや光源12b、フレキシブル配線板12c等から構成され、表示素子11に照明光を導くための照明手段12と、表示素子11及び導光体12aを保持する略平板状の白色樹脂からなる樹脂ケース13と、前面フレーム14と背面フレーム15とでなり、表示手段10の外装ケースを構成する導電性材料からなるフレーム体16と、前記ソース線駆動回路並びに前記ゲート線駆動回路のタイミングを制御する各種タイミング信号を生成するタイミングコントローラ(図示せず)等が搭載されたプリント基板17とを備えている。
【0013】
そして、この場合、前面フレーム14とこの前面フレーム14と対をなす背面フレーム15とから構成されるフレーム体16は、その内部に表示素子11や導光体12a、光源12b、樹脂ケース13等を収納し、またプリント基板17は、背面フレーム15の後述する第2の本体部の背面に適宜固定手段を用いて固定されている。
【0014】
なお、必要に応じて、表示素子11を略均一にバックライト照明するための光学部材(例えば拡散シートやプリズムシート)を表示素子11と導光体12aとの間に1つ以上配置してもよい。
【0015】
表示素子11は、例えば複数の画素を有するTFT型の液晶表示パネルからなり、車両に搭載された各種センサからの検出信号に基づいて、車速情報や残燃料情報、燃費情報等の車両情報(所定情報)を表示する表示部11aを備えている(
図1参照)。この表示部11は、表示素子11の表示領域(図示せず)に表示される。
【0016】
導光体12aは、略平板状の透光性合成樹脂からなり、表示素子11の背面に沿うように配置される。別の言い方をすれば、導光体12aは、光源12bから表示素子11へと至る照明光路中に配置されていることになる。
【0017】
光源12bは、適宜色を発するチップ型発光ダイオードからなり、
図2中、導光体12aの上側に位置する一側面12dに沿うように列状に複数個配置され、表示素子11に照明光を供給する発光体からなる。
【0018】
前面フレーム14は、導電性材料からなり、略枠状にプレス成形され、その主要部をなす第1の本体部14aと、この第1の本体部14aの周縁から下方に向けて垂下形成された第1の周壁部14bとが一体形成された構成となっている。そして、第1の本体部14aの略中央部には、表示部11aに対応するように略矩形状の開口窓からなる表示窓部14cが形成されている。
【0019】
背面フレーム15は、前面フレーム14と同様に導電性材料からなり、断面略凹部形状にて形成され、その主要部をなす第2の本体部15aと、この第2の本体部15aの周縁から第1の周壁部14b側に向けて突出形成された第2の周壁部15bとが一体形成された構成となっている。
【0020】
そして、
図2中、右方に位置する第2の周壁部15bの内壁面15cには、フレキシブル配線板12cが適宜固定手段を用いて固定され、各光源12bは、導光体12aの一側面12dと対向するようにフレキシブル配線板12cに設けられる導電路(図示せず)に実装される。なお、プリント基板17と回路基板60とはフレキシブル配線板等を用いて導通接続されているものとする。
【0021】
覆い部材20は、例えば黒色の合成樹脂材料によって形成された見返し板からなり、表示手段10の可視領域を定めるための開口部21を有する基部22と、この基部22の下端側から外側に向けて延在する覆い部23とを備えている。
【0022】
覆い部23は、ケース体50に備えられる後述する鍔部及びカバー部材60に備えられる後述する周壁部との間に空洞領域からなるクリアランス24が形成されるように、前記鍔部及び前記周壁部を覆うように構成される。なお、この場合、表示手段10と覆い部材20との間には微少なクリアランスからなる間隙部25が形成されているものとする。
【0023】
前面パネル30は、光透過性の基板(図示せず)の表面にエンジン回転数表示用の目盛等からなる白色の指標部31と、この指標部31の背景を形成する黒色の背景部32とが形成された意匠パネルからなり、例えば指標部31は白色の透光性インクを用いて前記基板の表面に印刷形成され、背景部32は黒色の遮光性インクを用いて前記基板の表面に印刷形成される。指標部31や背景部32は、前記基板の表面ではなく前記基板32の背面に形成してもよい。
【0024】
また、この場合、前面パネル30は、表示手段10との間に空気層33が介在するように、表示手段10と覆い部材20との間(つまり間隙部25)に配置され、前面パネル30には、表示素子11の前記表示領域を露出すべく、表示窓部14cと略同一の開口形状を有する窓部34が設けられている。ここで、表示手段10や覆い部材20、前面パネル30における各部の寸法には寸法公差が存在するため、間隙部25が微少なクリアランスとして形成される。
【0025】
なお、35は、表示手段10と前面パネル30とが重ならない前面パネル30の非重合部36に設けられた粘着層(粘着部)であり、粘着層35は、のり印刷等の手段を用いて非重合部36に対応する背景部32の背面箇所に形成され、塵埃等の異物の空気層33への侵入を防止可能な異物侵入防止部としての機能を有している。なお、ここでの非重合部36とは、表示手段10の外側にはみ出るように設けられた前面パネル30の領域を意味している。
【0026】
透視パネル40、透明または半透明の合成樹脂材料にて形成され、覆い部材20の上端側開口を塞ぐように配置され、適宜固定手段を用いて覆い部材20と固定される。
【0027】
ケース体50は、例えば白色の合成樹脂材料にて形成され、表示手段10との間に空洞部分からなる空所51が形成されるように表示手段10を収容する筐体からなるものである。このケース体50は、表示手段10の側方を包囲する側壁部52と、表示手段10の背後側を覆う底壁部53と、側壁51部の周囲に延在するフランジ形状からなる鍔部54とを備えている。
【0028】
また、この場合、ケース体50における底壁部53には、光源12bの発光時に光源12bから発せられる熱を外部(ケース体50外部)に放散させるための貫通孔形状からなる第1放熱孔(放熱孔)53aが複数個形成されている。
【0029】
そして、ケース体50において、側壁部52に隣接する底壁部53箇所には、第1放熱孔53aを通じて空所51に侵入する塵埃等の異物の隙間部25への通過を防止するための侵入防止部(突出部)53bが設けられている。
【0030】
すなわち、侵入防止部53bは、側壁部52に隣接する底壁部53箇所から背面フレーム15の第2の本体部15aに向けて突出形成された略枠形状の障壁部(突出部)からなり、その先端側は表示手段10(第2の本体部15aの背面)と当接しており、第1放熱孔53aを通じて空所51に侵入する異物の隙間部25側への移動を遮る(阻止する)機能を有している。なお、侵入防止部53bの形状は、上記の立壁部に限定されることはなく、空所51に侵入する異物の隙間部25側への移動を阻止する形状であれば、あらゆる形状を採用することができることは言うまでもない。
【0031】
カバー部材60は、合成樹脂材料にて形成され、ケース体50を包囲するように設けられた筐体からなるものである。このカバー部材60には、その内部空間にてケース体50を収容する空洞部61と、ケース体50における側壁部52の外側に位置する周壁部62と、ケース体50における底壁部53の背後側を覆う底部63とが設けられている。
【0032】
そして、カバー部材60における底部63には、第1放熱孔53aを通じて空洞部61へと至る熱を外部(カバー部材60外部)に放散させるための第2放熱孔63aが設けられて、またカバー部材60における周壁部62には、その先端部分がケース体50の側壁部52に設けられた鍔部54と当接する当接部62aが設けられている。
【0033】
回路基板70は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターンが施された硬質の配線基板からなり、ここでの詳細図示は省略するが、例えば表示素子11及び光源12bを動作させる制御手段と、指針Pを駆動させる指針駆動手段と、抵抗、コンデンサ等の回路部品とが前記配線パターンに導通接続されている。
【0034】
以上の各部により、車両用計器Dが構成されている。このような構成において、光源12bの発光時に光源12bから発せられる熱は、ケース体50の空所51、当該空所に連通しているケース体50の第1放熱孔53a、当該第1放熱孔53aに連通しているカバー部材60の空洞部61、当該空洞部61に連通しているカバー部材60の第2放熱孔63aへと順次至る放熱経路を経て、車両用計器Dの外部へと放散される。
【0035】
一方、車両用計器Dの外部となる大気中に浮遊している塵埃等の異物が、従来の場合、(カバー部材60の第2放熱孔63a、空洞部61を通った後)、ケース体の第1放熱孔53aからケース体50の内部へと侵入し、このケース体50の内部へと侵入した異物は、その後、空所51並びに間隙部25を通って基部22の内部となる表示素子11の表示面まで侵入し、表示部11aに前記車両情報を表示させるにあたって表示品位の低下を招く虞がある。
【0036】
これに対し、本実施形態によれば、ケース体50には、第1放熱孔53aを通じて空所51に侵入する異物の隙間部25への通過を防止する侵入防止部が設けられていることにより、第2放熱孔63a、空洞部61、第1放熱孔53aを順次経て空所51に侵入する異物は、
図3中、矢印Xで示すように、障壁部からなる侵入防止部53bによって隙間部25側への通過が阻止され、(表示素子11の外形サイズが大型化した場合であっても)表示素子11の表示面まで侵入する虞がなくなるため、表示部11aに前記車両情報を表示させるにあたって、表示品位を向上させることが可能な車両用計器Dを提供することができる。
【0037】
以上のように本実施形態では、前記車両情報を表示する表示部11aを備えた表示素子11と表示素子11に照明光を供給する光源12bとを有する表示手段10と、この表示手段10の前方に配置され、表示手段10の可視領域を定めるための開口部21を有する覆い部材20と、表示手段10との間に空所51が形成されるように表示手段10を収容するケース体50とを備え、ケース体50には、光源12bの発光時に光源12bから発せられる熱を外部(車両用計器D外部)に放散させる第1放熱孔53aが形成されている車両用計器Dにおいて、表示手段10と覆い部材20との間には隙間部25が形成され、ケース体50には、表示手段10(第2の本体部15aの背面)と当接する突出部としての侵入防止部53bが設けられているものである。
【0038】
従って、第1放熱孔53aから空所51に侵入する異物は、
図3中、矢印Xで示すように、突出部である侵入防止部53bによって隙間部25側への通過が阻止され、表示素子11の表示面まで侵入する虞がなくなるため、表示部11aに前記車両情報を表示させるにあたって表示品位を向上させることが可能な車両用計器Dを提供することができる。
【0039】
また本実施形態では、ケース体50は、表示手段10の側方を包囲する側壁部52と、この側壁部52の周囲に延在する鍔部54とを備え、ケース体50を包囲するように設けられるカバー部材60には、ケース体50を収容する空洞部61と、第1放熱孔53aを通じて空洞部61へと至る熱を外部に放散させる第2放熱孔63aと、側壁部52の外側に位置する周壁部62とが設けられ、覆い部材20は、周壁部62及び鍔部54との間にクリアランス24が形成されるように、周壁部62及び鍔部54を覆う覆い部23を備え、周壁部62には、鍔部54と当接する当接部62aが設けられていることにより、第2放熱孔63aを通じて空洞部61に侵入する異物は、当接部62aと鍔部54との間の隙間部分が塞がれていることで、
図3中、矢印Yに示すようにクリアランス24側(つまり隙間部25側)への通過が遮られ、表示素子11の表示面まで侵入する虞がなくなるため、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
また本実施形態では、表示手段10と覆い部材20との間には、表示手段10との間に空気層33が介在するように前面パネル30が配置され、表示手段10と前面パネル30とが重ならない前面パネル30の非重合部36には粘着部35が設けられていることにより、光源12bの発光時に光源12bから発せられる熱の影響を受けて侵入防止部53bが熱変形し、侵入防止部53bと表示手段10との間から異物が侵入した場合であっても、浮遊する異物が粘着部35に付着するため、空気層33側(間隙部25側)への異物の通過が遮られ、前面パネル30と表示手段10との間に異物が侵入する虞がなくなるというメリットがある。
【0041】
また本実施形態では、前面パネル30の非重合部36に粘着部35を設けた例について説明したが、例えば表示手段10と前面パネル30との間に空気層33が介在せず、表示手段10の周縁部分と前面パネル30とが密着しているような構成の場合、粘着部35を廃止してもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、カバー部材60が周壁部62と、底部63とを備え、底部63に第2放熱孔63aが設けられている例について説明したが、例えば第2放熱孔63aが形成された底部63自体を廃止したカバー部材60を採用してもよい。この場合、光源12bの発光時に光源12bから発せられる熱は、第2放熱孔63aや空洞部61を介することなく、第1放熱孔53aを通じて外部(車両用計器D外部)へと放散され、また塵埃等の異物は、第2放熱孔63aや空洞部61を介することなく、第1放熱孔53aを介して空所51に侵入した後、障壁部からなる侵入防止部53bによって隙間部25側への通過が遮られる構成となり、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。