【実施例】
【0042】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。(表1反応結果一覧 参照)
フェノールの水素化反応で生成する各成分の収率及びフェノールの転化率は、得られた反応液を冷却し捕集した後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製「GC‐2014」又は「GC−14A」、GCカラム:TC−WAX、GC検出器:FID)を用いて分析を行った。内部標準としてジエチレングリコールモノエチルエーテルを用い各成分の含有量を求めることにより算出した。
以下の実施例において、パラジウムと銀との「存在比」は重量比を表し、各実施例において示された存在比(重量比)になるように触媒を調製した。
【0043】
[実施例1]
(触媒A−1:1.5wt%Pd−0.015wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3の製造)
触媒A(比較例1参照)に対し銀金属として0.015wt%(パラジウムと銀との存在比が99:1)となるように硝酸銀水溶液を含浸担持させ、110℃で12h(時間)以上乾燥した後、450℃で3h焼成し触媒A−1(1.5wt%Pd−0.015wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3)を得た。
【0044】
[実施例2]
(触媒A−2:1.5wt%Pd−0.030wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3の製造)
触媒Aに対し銀金属として0.030wt%(パラジウムと銀との存在比が98:2)となるように硝酸銀水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、450℃で3h焼成し触媒A−2(1.5wt%Pd−0.030wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3)を得た。
【0045】
[実施例3]
(触媒A−3:1.5wt%Pd−0.075wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3の製造)
触媒Aに対し銀金属として0.075wt%(パラジウムと銀との存在比が95:5)となるように硝酸銀水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、450℃で3h焼成し触媒A−3(1.5wt%Pd−0.075wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3)を得た。
【0046】
[実施例4]
(触媒B−1:0.20wt%Pd−0.010wt%Ag/Ca−P−SiO
2の製造)
触媒B(比較例3参照)に対し銀金属として0.010wt%(パラジウムと銀との存在比が95:5)となるように硝酸銀水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、450℃で3h焼成し触媒B−1(0.20wt%Pd−0.010wt%Ag/Ca−P−SiO
2)を得た。
【0047】
[実施例5]
(触媒A−1:1.5wt%Pd−0.015wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3によるフェノールの水素化反応)
触媒A−1:1.5wt%Pd−0.015wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3 0.040gと2wt% Na−Al
2O
3 0.46gの混合物を1/2インチの石英製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160 ℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで供給した。
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.4%であり、シクロヘキサノンの収率は97.8%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は1.3%であった。
【0048】
[実施例6]
(触媒A−2:1.5wt%Pd−0.030wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3によるフェノールの水素化反応)
触媒A−2:1.5wt%Pd−0.030wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3 0.040gと2wt% Na−Al
2O
3 0.46gの混合物を1/2インチの石英製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで供給した。
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.7%であり、シクロヘキサノンの収率は97.5%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は1.9%であった。
【0049】
[実施例7]
(触媒A−3:1.5wt%Pd−0.075wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3によるフェノールの水素化反応)
触媒A−3:1.5wt%Pd−0.075wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3 0.040gと2wt% Na−Al
2O
3 0.46gの混合物を1/2インチの石英製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで供給した。
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は97.3%であり、シクロヘキサノンの収率は95.4%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は1.6%であった。
【0050】
[実施例8]
(触媒B−1:0.20wt%Pd−0.010wt%Ag/Ca−P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒B−1:0.20wt%Pd−0.010wt%Ag/Ca−P−SiO
2 1.0gを1/2インチのSUS製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(10 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで供給した。
反応開始から50hの捕集液を切り捨て、その後2hの捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.8%であり、シクロヘキサノンの収率は97.7%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は2.0%であった。
【0051】
[比較例1]
(触媒A:1.5wt%Pd/2wt%Na−Al
2O
3の製造)
酸化アルミニウム(Al
2O
3:エヌ・イーケムキャット製、円柱状)を破砕し粉体としたものに対し、ナトリウム金属として2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、500℃で3h焼成し、2wt% Na−Al
2O
3を得た。その後、2wt% Na−Al
2O
3に対し、パラジウム金属として1.5wt%となるように硝酸パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた後、450℃で3h加熱した。次に石英管に充填し、上部より水素ガス(50cc/min)を流通させ200℃で2h還元処理を行い、触媒A(1.5wt%Pd/2wt% Na−Al
2O
3)を得た。
【0052】
(触媒A:1.5wt%Pd/2wt% Na−Al
2O
3によるフェノールの水素化反応)
触媒A:1.5wt%Pd/2wt% Na−Al
2O
3 0.040gと2wt% Na−Al
2O
3 0.46gの混合物を1/2インチの石英製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで供給した。
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は92.9%であり、シクロヘキサノンの収率は90.9%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は1.8%であった。
【0053】
[比較例2]
(触媒A−4:1.5wt%Pd−0.15wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3の製造)
触媒Aに対し0.15wt%(パラジウムと銀との存在比が90:10)となるように硝酸銀水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、450℃で3h焼成し触媒A−4(1.5wt%Pd−0.15wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3)を得た。
【0054】
(触媒A−4:1.5wt%Pd−0.15wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3によるフェノールの水素化反応)
触媒A−4:1.5wt%Pd−0.15wt%Ag/2wt% Na−Al
2O
3 0.040gをと2wt% Na−Al
2O
3 0.46gの混合物を1/2インチの石英製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで供給した。
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は84.0%であり、シクロヘキサノンの収率は83.0%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は0.8%であった。
【0055】
[比較例3]
(触媒B:0.20wt%Pd/Ca−P−SiO
2の製造)
SiO
2(富士シリシア製、Q−50、球状 1.18−2.36mm)に対し、Ca/Si mol比=0.1、P/Si mol比=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液、リン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600 ℃で3h焼成し触媒B前駆体を得た。
触媒B前駆体に、パラジウム金属として0.2wt%となるように硝酸パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させ、その後石英製の管に充填し、200℃で上部より水素ガスを50cc/minで供給し触媒の還元を行い、触媒B:0.20wt%Pd/Ca−P−SiO
2を得た。
【0056】
(触媒B:0.20wt%Pd/Ca−P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒B:0.20wt%Pd/Ca−P−SiO
2 1.0gを1/2インチのSUS製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(10cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで供給した。
反応開始から50hの捕集液を切り捨て、その後4hの捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は88.5%であり、シクロヘキサノンの収率は87.8%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は0.6%であった。
【0057】
【表1】