(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、竜頭等の操作部材を回転操作及び押込操作自在に設けた時計が種々開発されて実用化に至っている。
【0003】
この種の時計としては、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1の時計は、ケースと、ケースの内部に鉛直軸周りに回転可能に設けられた内転リングと、ケースの側部の貫通孔に固定され一端部がケースの外部へ突出したガイド部材と、ガイド部材に対して回転操作及び押込操作自在な操作部材とを備えている。
【0004】
操作部材は、ガイド部材の内部に挿入される操作軸部と、ガイド部材の外部に露出してガイド部材の一端部が挿入される操作頭部と、操作軸部の内端に設けられ内転リングに噛合する歯車とを有している。これにより、操作頭部を回転操作すると、操作軸部及び歯車が回転し、歯車の回転に連動して内転リングも回転する構造となっている。
【0005】
ところで、特許文献1の発明において、操作部材の回転トルクに主に寄与しているのは、ガイド部材の内周面と操作軸部の外周面との間に配置された気密用Oリングの圧縮反力である。そのため、操作部材の回転トルクが小さく、操作頭部に軽い衝撃が加わっただけで操作部材が回転し、内転リングに表示された方位等が勝手にずれてしまう虞がある。
【0006】
また、適度に重い操作感は時計の高級感を演出する重要な要素の一つであるが、特許文献1のように回転トルクが小さいと適度に重い操作感を与えることできないため、高級感に欠けることになる。
【0007】
そこで、特許文献2のように回転トルクの増大を目的としたOリングを配置する方法が考えられる。特許文献2の技術を特許文献1の発明に適用した場合には、操作頭部の内周面とガイド部材の外周面との間にトルク用Oリングを配置することで、トルク用Oリングの圧縮反力により回転トルクを増大させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、本発明のスイッチ装置を腕時計に適用した場合を例示する。なお、説明における上下は図中の矢印に従う。また、ケースの内部方向を「ケース内部側」と称し、ケースの外部方向を「ケース外部側」と称する場合がある。
【0016】
図1に示すように、腕時計Wは、ケース1と、内転リング2と、スイッチ装置3とを備えている。
【0017】
<ケース>
ケース1は、
図2(a)に示すように、内転リング2やモジュール4等の各種部品を収容する筐体である。ケース1は、上下方向に延びる円筒状の胴体部11と、胴体部11の上部に取り付けられた透明なガラス12と、胴体部11の下部に取り付けられた裏蓋13とで構成されている。胴体部11において2時側に対応する部位には、ケース1の内外を貫通する貫通孔15が形成されている。貫通孔15は、断面視円形状を呈している。図示は省略するが、モジュール4は、時刻等を表示する表示部や時計機能に必要な各種部品を含んで構成されている。
図1に示すように、胴体部11において12時と6時に対応する部位には、ケース外部側へ突出したバンド取付部14が形成されている。バンド取付部14には、バンド5の端部が取り付けられている。
【0018】
<内転リング>
内転リング2は、金属製の円環状部材であり、鉛直軸を中心に回転可能になっている。内転リング2は、
図2(a)に示すように、ガラス12の直下であって、胴体部11の内周面に沿って配置されている。内転リング2は、例えば回転見切板や回転目盛板等で構成されている。内転リング2の上面には、例えば方位や目盛等の各種情報が表示されている。内転リング2の下面は、環状のラック歯車形状に形成されており、周方向に沿って等角度離間する複数の歯部21を有している。
【0019】
<スイッチ装置>
スイッチ装置3は、
図2(a)に示すように、貫通孔15を介してケース1に取り付けられている。スイッチ装置3は、ガイド部材31と、操作部材32と、気密用Oリング33と、トルク用Oリング34とを備えている。
【0020】
ガイド部材31は、金属製の円筒状部材であり、操作部材32を軸方向に沿って案内する機能を備えている。ガイド部材31の内部には、ケース内部側に位置するストレート状の第1挿入孔31aと、第1挿入孔31aの外端からケース外部側へ徐々に拡径するテーパ状の第2挿入孔31bと、第2挿入孔31bの外端に連続し第2挿入孔31bよりも拡径されたストレート状の第3挿入孔31cとが形成されている。
【0021】
ガイド部材31は、貫通孔15の内部に挿入されるガイド挿入部31dと、ガイド挿入部31dの外端に連続し貫通孔15の外部に突出するガイド拡径部31eとを有している。なお、
図2(a)に示す形態においては、第1挿入孔31aは、ガイド挿入部31dとガイド拡径部31eとに跨って形成されており、第2挿入孔31b及び第3挿入孔31cは、ガイド拡径部31eの内部に形成されている。
【0022】
ガイド挿入部31dは、貫通孔15に対して圧入や接着等により固定される部位である。ガイド挿入部31dの内端側は、貫通孔15の内端からケース1の内部へ突出している。
【0023】
ガイド拡径部31eは、ガイド挿入部31d及び貫通孔15よりも拡径された部位である。ガイド拡径部31eは、貫通孔15の外端からケース1の外部へ突出しており、胴体部11の外周面に当接している。ガイド拡径部31eは、操作部材32のケース内部側への所定量以上のスライド移動を規制する機能を備えている(
図3参照)。
【0024】
図4に示すように、ガイド拡径部31eの外周面には、周方向に沿って延びる第1溝31fと、軸方向に沿って延びる第2溝31gとが形成されている。第1溝31fは、トルク用Oリング34を保持する環状の凹溝である。
図2(b)に示すように、第1溝31fの深さDは、圧接状態のトルク用Oリング34の厚さTの半分よりも大きく形成されている。
【0025】
図4に示すように、第2溝31gは、ガイド拡径部31eの一部を切り欠いて形成されており、本実施形態では1つ設けられている。第2溝31gは、第1溝31fに交差している。第2溝31gは、第1溝31fよりも深く形成されている。換言すると、第2溝31gの底面は、第1溝31fやトルク用Oリング34よりもガイド部材31の中心軸側に位置している。第2溝31gは、第1溝31fよりも大きな溝幅に形成されている。
【0026】
第2溝31gは、ガイド拡径部31eの外端から第1溝31fよりもケース内部側まで延びており、スイッチ装置3の内外を連通している。このように、ガイド部材31の外周面の軸方向に沿って第2溝31gを形成することにより、操作部材32が押し込まれたときに、ガイド部材31と操作部材32との間に存在する空気を、第2溝31gを通じてスイッチ装置3の外部へと排出することができる(
図2(b)の矢印参照)。そのため、ガイド部材31と操作部材32との間の空気によって操作部材32の押込抵抗が生じることがなく、良好な押込操作性を確保することができる。
【0027】
操作部材32は、
図2(a)に示すように、ガイド部材31と同軸状に配置された金属製の部材である。操作部材32は、ガイド部材31に対して回転操作自在かつ押込操作自在に配置されている。本実施形態において、操作部材32の回転操作は、内転リング2に表示された方位等を変えるときに実行される。また、操作部材32の押込操作は、モジュール4のスイッチ板(図示省略)を作動させて各種機能モードを切り替えるときに実行される。
【0028】
操作部材32は、ガイド部材31の内部に挿入される操作軸部32aと、操作軸部32aの外端に連続しガイド部材31の外部に露出する操作頭部32bとを有している。なお、本実施形態では、操作軸部32aに操作頭部32bを一体に形成したが、操作頭部32bを操作軸部32aと別体で形成し、操作軸部32aに固定するようにしてもよい。
【0029】
操作軸部32aは、第1挿入孔31a−第3挿入孔31c内に挿入される円柱状の部位である。操作軸部32aの外径は、第1挿入孔31aの内径よりも若干小さく形成されている。操作軸部32aの軸方向の略中央部には、第3溝32cが周方向に沿って形成されている。第3溝32cは、気密用Oリング33を保持する環状の凹溝である。第3溝32cは、軸方向に沿って相互に間隔を空けて2つ設けられている。
【0030】
操作軸部32aの内端側は、ガイド挿入部31dの内端からケース1の内部へ突出している。かかる突出部位の外周面には、ケース外部側から順に、駆動歯車35と抜止部材36が装着されている。駆動歯車35の外周部は、環状のピニオン歯車形状に形成されており、周方向に沿って等角度離間する複数の歯部35aを有している。歯部35aは、内転リング2の歯部21に噛合している。抜止部材36は、環状の取付溝32dに保持された状態で操作軸部32aに装着されており、例えばEリング等で構成されている。抜止部材36は、駆動歯車35が操作軸部32aからケース内部側へ抜脱することを防止している。
【0031】
操作軸部32aは、モジュール4のスイッチ板に対して接触乃至離間可能に設けられている(
図2(a),
図3参照)。操作軸部32aの内端は、ケース内部側へ凸となる断面視曲面状(円弧状)に形成されている。これにより、押込操作時に操作軸部32aとモジュール4のスイッチ板との接触を和らげることができる。
【0032】
操作頭部32bは、有底円筒状の部位である。操作頭部32bは、操作軸部32aの外端に連続して操作軸部32aよりも大径な基部32eと、基部32eの外周縁からケース1側へ延出して操作軸部32aよりも大径な延出部32fとで構成されている。基部32eは、ガイド拡径部31eの外端に対面する円板状の部位である。基部32eは、ガイド拡径部31eに対して接触乃至離間可能に設けられている(
図2(a),
図3参照)。基部32eの内端面と第3挿入孔31cの底面との間には、軸方向に伸縮自在なコイルバネ37が配置されている。コイルバネ37は、操作部材32をケース外部側へ付勢している。コイルバネ37は、操作軸部32aの外周側に配置されている。
【0033】
延出部32fは、ガイド拡径部31eが挿入される円筒状の部位である。延出部32fは、ガイド拡径部31eの外周側に隙間を空けて配置されている。延出部32fの内周面には、半径内方向へ突出する凸部32gが全周に亘って形成されている。凸部32gは、押込操作時にトルク用Oリング34に接触する部位であり、断面視曲面状を呈している。凸部32gは、押込操作前の初期位置において、トルク用Oリング34よりもケース外部側に位置している。凸部32gは、
図3に示すように、押込操作後の終端位置において、トルク用Oリング34のケース内部側に位置している。つまり、凸部32gは、押込操作時にトルク用Oリング34を乗り越えるように構成されている。
【0034】
図2(a)に示すように、気密用Oリング33は、第3溝32cに保持された状態で、操作軸部32aの外周面に装着されている。気密用Oリング33は、操作軸部32aの外周面とガイド部材31の内周面とに圧接しており、主としてこれらの部材同士の間を気密及び液密にシールする機能を備えている。これにより、ケース1の内部が気密及び液密状態に保持される。なお、気密用Oリング33は、他の環状の弾性部材に適宜変更してもよい。
【0035】
トルク用Oリング34は、第1溝31fに保持された状態で、ガイド拡径部31eの外周面に装着されている。トルク用Oリング34は、ガイド拡径部31eの外周面と操作頭部32bの内周面とに圧接しており、主として圧縮反力により操作部材32の回転トルクを高める機能を備えている。なお、トルク用Oリング34は、他の環状の弾性部材に適宜変更してもよい。
【0036】
本実施形態に係る腕時計Wは、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、
図2及び
図3を参照してスイッチ装置3の動作について説明する。
【0037】
まず、スイッチ装置3の回転動作について説明する。
操作頭部32bを摘んで回転操作すると、操作軸部32a及び駆動歯車35が水平軸周りに回転する。
このとき、操作頭部32bとトルク用Oリング34が擦れ合って、これらの部材同士の間に摩擦力が発生する。
【0038】
そして、駆動歯車35の回転に伴い、歯部35a,21を介して、操作部材32の回転が内転リング2に伝達される。この結果、駆動歯車35の回転に連動して、内転リング2が鉛直軸周りに回転し、内転リング2に表示された方位や目盛等を変えることができる。
【0039】
次に、スイッチ装置3の押込操作について説明する。
図3に示すように、コイルバネ37の付勢力に抗して操作頭部32bを押圧すると、操作部材32がケース内部側へスライド移動する。
このとき、ガイド部材31と操作部材32との間に存在する空気は、第2溝31gを通じてスイッチ装置3の外部へと排出される。
また、操作頭部32bの凸部32gは、トルク用Oリング34に接触しながらトルク用Oリング34を乗り越える。
【0040】
そして、操作頭部32bの基部32eがガイド拡径部31eに当接して終端位置となる。この結果、操作軸部32aの内端がモジュール4のスイッチ板に接触し、スイッチ板を作動させて各種機能モードを切り替えることができる。
一方、操作頭部32bへの押圧を解除すると、
図2に示すように、コイルバネ37の付勢力により操作部材32がケース外部側へスライド移動する。この結果、操作頭部32bの基部32eがガイド拡径部31eから離間し、操作部材32が初期位置に復帰する。
【0041】
以上説明した本実施形態によれば、
図2(a)に示すように、ガイド拡径部31eの外周面と操作頭部32bの内周面とに圧接するトルク用Oリング34を備えるため、トルク用Oリング34の圧縮反力により操作部材32の回転トルクが増大する。これにより、操作部材32及び内転リング2の誤回転を防止することができるとともに、回転操作時に適度に重い操作感を与えて高級感を演出することができる。
また、本実施形態によれば、
図2(a)(b)及び
図3に示すように、ガイド拡径部31eの外周面の軸方向に沿って第2溝31gを形成することにより、操作部材32が押し込まれたときに、ガイド部材31と操作部材32との間に存在する空気を、第2溝31gを通じてスイッチ装置3の外部へと排出することができる。そのため、ガイド部材31と操作部材32との間の空気によって操作部材32の押込抵抗が生じることがなく、良好な押込操作性を確保することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、
図2(a)(b)及び
図3に示すように、ガイド拡径部31eの外周面にトルク用Oリング34を装着し、かつ、第2溝31gを形成する構造であるため、既存のスイッチ装置3と同等サイズを維持しながら、回転トルクの増大と良好な押込操作性の確保の両立を実現することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、
図2(a)及び
図3に示すように、操作部材32が押込操作されたときに、操作頭部32bの内周面の凸部32gがトルク用Oリング34を乗り越えることにより、使用者にクリック感を与えることができるため、使用性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、
図2(b)に示すように、第1溝31fの深さDが圧接状態のトルク用Oリング34の厚さTの半分よりも大きいため、回転操作や押込操作によりトルク用Oリング34に負荷が加わったときにおいても、トルク用Oリング34の抜脱や位置ずれを防止することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、スイッチ装置3を腕時計Wに適用した場合を例示したが、例えばトラベルウォッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計等に対して本発明を適用することもできる。また、時計以外に、例えばメータや計器類等の各種機器に対して本発明を適用することもできる。
【0046】
また、本実施形態では、ケース1の側部において2時側に対応する部位にスイッチ装置3を取り付けたが、他の部位にスイッチ装置3を取り付けてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、ガイド部材31を円筒状にしたが、角筒状にしてもよい。また、ガイド部材31の内周面及び外周面のいずれか一方を円筒面状にし、いずれか他方を角筒面状にしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、比較的大きな第2溝31gを1つ設けたが、微細なスリット状の第2溝31gを周方向に沿って複数設けてもよい。
【0049】
また、スイッチ装置3は、
図5−
図7に示すように、案内手段として案内溝31j及び案内突起32iをさらに備える構成にしてもよい。なお、
図7は、変形例に係るガイド部材31及び操作部材32を組み付け、
図5(b)及び
図6(b)に示す軸線P1,P2に沿う方向から見た断面図である。
【0050】
図5(a)(b)に示す変形例においては、ガイド拡径部31eの第2溝31gは、周方向に沿って等角度離間して設けられており、本変形例では90度間隔で4つ設けられている。ガイド部材31の内部には、ケース内部側に位置する小径挿入孔31hと、小径挿入孔31hの外端に連続し小径挿入孔31hよりも拡径された大径挿入孔31iとが形成されている。大径挿入孔31iの内周には、案内溝31jが半径外方向へ凹設されている。案内溝31jは、周方向に沿って等角度離間して設けられており、本変形例では90度間隔で4つ設けられている。案内溝31jと第2溝31gは、45度ずつずらして配置されている。
図5(a)に示すように、案内溝31jは、ガイド拡径部31eの外端から第1溝31f付近まで延びている。
【0051】
図6(a)(b)に示す変形例においては、操作頭部32bの凸部32gは、周方向に沿って等角度離間して設けられており、本変形例では90度間隔で4つ設けられている。操作頭部32bは、操作軸部32aと基部32eとの間に円柱状の案内支持部32hを有している。案内支持部32hは、大径挿入孔31i(
図5(b)参照)の内径よりも若干小さく形成されており、大径挿入孔31i内に挿入可能に構成されている。
【0052】
案内支持部32hの外周面には、案内突起32iが半径外方向へ突出している。案内突起32iの突出量は、案内溝31jの凹み量と同等に形成されている。案内突起32iは、案内溝31jに対して挿脱可能に構成されている。案内突起32iは、等角度離間して設けられており、本変形例では90度間隔で4つ設けられている。案内突起32iと凸部32gは、45度ずつずらして配置されている。案内突起32iは、大径挿入孔31iよりも半径外方向に位置している。
図6(b)に示すように、案内突起32iは、案内支持部32hの外端から内端付近まで延びている。なお、本変形例では、第2溝31g、案内溝31j、凸部32g及び案内突起32iを4つずつ設けたが、適宜増減してよい。
【0053】
図7(a)に示すように、操作部材32の押込操作前の初期位置において、案内突起32iは案内溝31jから離脱している。かかる状態においては、操作部材32の回転操作が可能となる。また、案内溝31jと案内突起32iの周方向位置が一致した場合には、操作部材32の押込操作が可能となる。押込操作を行うと、第2溝31gと凸部32gの周方向位置が一致するため、凸部32gがトルク用Oリング34の第2溝31gに対応する部位を乗り越えることになる。
【0054】
一方、案内溝31jと案内突起32iの周方向位置がずれた場合には、操作部材32の押込操作が不可能となる。つまり、本変形例では、案内突起32iが大径挿入孔31iよりも半径外方向に位置しているため、前記周方向位置がずれた場合に、操作部材32をケース内部側へ押し込むと、案内突起32iがガイド拡径部31eの外端に当接し、操作部材32のケース内部側へのスライド移動が規制される構造になっている。これにより、押込操作を行うには、案内溝31jと案内突起32iの周方向位置を一致させる必要があるため、押込操作時には、第2溝31gと凸部32gの周方向位置が必ず一致することになる。そのため、凸部32gは、押込操作時に、トルク用Oリング34の第2溝31gに対応する部位を常に乗り越えるように構成されている。
【0055】
なお、
図7(b)に示すように、操作部材32が押込操作されたときに、案内突起32iは案内溝31j内に挿入(嵌入)されている。かかる状態においては、操作部材32の回転操作が不可能となる。
【0056】
以上説明した本変形例によれば、操作部材32が押込操作されたときに、案内突起32iと案内溝31jにより、凸部32gと第2溝31gの周方向位置を確実かつ円滑に一致させることができる。これにより、凸部32gがトルク用Oリング34の第2溝31gに対応する部位を確実に乗り越えることができる。また、かかる部位を凸部32gによって半径内方向に押し込めるため、凸部32gがトルク用Oリング34をスムーズに乗り越えることができる。
【0057】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
ケースの貫通孔に固定され、一端部が前記ケースの外部へ突出する筒状のガイド部材と、
前記ガイド部材の内部に挿入される操作軸部及び前記ガイド部材の外部に露出して前記一端部が挿入される操作頭部を有し、前記ガイド部材に対して回転操作及び押込操作自在な操作部材と、
前記操作頭部の内周面と前記ガイド部材の外周面とに圧接する弾性部材と、を備え、
前記ガイド部材は、
外周面において周方向に沿って形成され、前記弾性部材を保持する第1溝と、
外周面において前記第1溝と交差するように形成され、前記第1溝よりも深い第2溝とを有していることを特徴とするスイッチ装置。
<請求項2>
前記操作頭部の内周面には、半径内方向へ突出する凸部が形成されており、
前記凸部は、前記操作部材が押込操作されたときに、前記弾性部材の前記第2溝に対応する部位を乗り越えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
<請求項3>
前記操作部材が押込操作されたときに、前記凸部と前記第2溝の周方向位置を一致させる案内手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ装置。
<請求項4>
前記第1溝の深さは、圧接状態の前記弾性部材の厚さの半分よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
<請求項5>
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスイッチ装置を備えることを特徴とする時計。