(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記最低荷重量は、前記ケースの内圧の閾値をP、前記配列体における前記電池セルと隣接部材との接触面積をA、荷重量P×Aが付加されたときの前記弾性体の前記配列方向の厚さをB0、前記電池セル当たりの前記ケースの膨張許容量をB1、前記配列体における前記電池セルの配列数以下の正の値をNとした場合に、前記弾性体の前記配列方向の厚さBがB0+(B1×N)となる荷重量である請求項1記載の電池モジュール。
前記最低荷重量は、前記ケースの内圧の閾値をP、前記配列体における前記電池セルと隣接部材との接触面積をAとした場合に、P×Aで表される荷重量である請求項3記載の電池モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池モジュールに組み込まれる電池セルには、過充電などの異常に起因して電池セルのケース内でガスが発生した場合に電池セルの電流経路を遮断する電流遮断装置(CID:Current Interrupt Device)が内蔵される。電流遮断装置は、ガスの発生によってケースの内圧が予め設定された閾値に到達した場合に電池セルの電流経路を物理的に遮断するように作動する。
【0006】
一方、電池モジュールでは、拘束荷重による電池セルの破損を防止する目的で、配列体と拘束部材との間或いは電池セル間にゴムなどの弾性体を介在させる場合がある。この場合、弾性体が容易に変形することで、ガス発生時に電池セルのケースも容易に膨張するため、ケースの内圧の上昇が設定値に対して緩やかとなり、電流遮断装置が適切なタイミングで作動しなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、弾性体が介在する配列体に拘束荷重を付加する場合であっても電流遮断装置を適切なタイミングで作動させることができる電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決のため、本発明の一側面に係る電池モジュールは、電極組立体がケース内に収容された電池セルを複数配列してなる配列体と、配列体に対して電池セルの配列方向に拘束荷重を付加する拘束部材と、配列体と拘束部材との間又は電池セル間に介在する弾性体と、を備え、電池セルは、ケースの内圧が閾値以上に上昇した場合に充電電流を遮断する電流遮断装置を有し、拘束部材による配列体への拘束荷重の下限値は、ケースの内圧が閾値となったときに電池セルにおけるケースの膨張量が予め設定された膨張許容量を超えない最低荷重量以上に設定されている。
【0009】
この電池モジュールでは、拘束部材による配列体への拘束荷重の下限値が、ケースの内圧が閾値となったときに電池セルにおけるケースの膨張量が予め設定された膨張許容量を超えない最低荷重量以上に設定されている。これにより、電池セルのケース内でガスが発生した場合に、少なくとも電流遮断装置が作動する閾値にケースの内圧が到達するまでは、ケースの膨張量が予め設定された膨張許容量以下に保たれる。したがって、ガス発生時におけるケースの内圧を設定値通りに上昇させることが可能となり、電流遮断装置を適切なタイミングで作動させることができる。
【0010】
また、最低荷重量は、ケースの内圧の閾値をP、配列体における電池セルと隣接部材との接触面積をA、荷重量P×Aが付加されたときの弾性体の配列方向の厚さをB
0、電池セル当たりのケースの膨張許容量をB
1、配列体における電池セルの配列数以下の正の値をNとした場合に、弾性体の配列方向の厚さBがB
0+(B
1×N)となる荷重量であってもよい。このような荷重量を拘束部材による配列体への拘束荷重の下限値として設定することにより、ケースに膨張が生じた場合に弾性体の配列方向の厚さが減少して配列体への拘束荷重が上昇し、少なくとも電流遮断装置が作動する閾値にケースの内圧が到達するまで電流遮断装置の作動に必要な拘束荷重が維持される。したがって、ケースの膨張許容量を設定した場合において、電流遮断装置を適切なタイミングで作動させることができる。また、電池セルの許容膨張量を加味しない場合に比べて、最低荷重量を低くできる。このため、拘束部材に掛かる負荷を低く設定できる。
【0011】
また、本発明の一側面に係る電池モジュールは、電極組立体がケース内に収容された電池セルを複数配列してなる配列体と、配列体に対して電池セルの配列方向に拘束荷重を付加する拘束部材と、配列体と拘束部材との間又は電池セル間に介在する弾性体と、を備え、電池セルは、ケースの内圧が閾値以上に上昇した場合に充電電流を遮断する電流遮断装置を有し、拘束部材による配列体への拘束荷重の下限値は、ケースの内圧が閾値となったときに電池セルにおけるケースに膨張を生じさせない最低荷重量以上に設定されている。
【0012】
この電池モジュールでは、拘束部材による配列体への拘束荷重の下限値が、ケースの内圧が閾値となったときに電池セルにおけるケースに膨張を生じさせない最低荷重量以上に設定されている。したがって、ガス発生時におけるケースの内圧を設定値通りに上昇させることが可能となり、電流遮断装置を適切なタイミングで作動させることができる。
【0013】
また、最低荷重量は、ケースの内圧の閾値をP、配列体における電池セルと隣接部材との接触面積をAとした場合に、P×Aで表される荷重量であってもよい。このような荷重量を拘束部材による配列体への拘束荷重の下限値として設定することにより、少なくとも電流遮断装置が作動する閾値にケースの内圧が到達するまで電流遮断装置の作動に必要な拘束荷重が維持される。したがって、電流遮断装置を適切なタイミングで作動させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弾性体が介在する配列体に拘束荷重を付加する場合であっても電流遮断装置を適切なタイミングで作動させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電池モジュールの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る電池モジュールの一実施形態を示す図である。同図に示すように、電池モジュール1は、複数の電池セル11を配列してなる配列体2と、配列体2に対して電池セル11の配列方向に拘束荷重を付加する拘束部材3と、配列体2と拘束部材3との間に介在する弾性体4とを備えている。
【0018】
配列体2では、例えば伝熱プレート5を介し、複数の電池セル11が配列されている。電池セル11は、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。弾性体4は、
図1に示すように、例えばウレタン製のゴムスポンジによって矩形の板状に形成されている。弾性体4の面積は、例えば電池セル11のケース12における配列方向の側面12aの面積よりも小さくなっており、配列体2における電池セル11の配列方向の一端に配置されている。
【0019】
弾性体4の形成材料としては、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。また、弾性体4は、ゴムに限られず、バネ材などであってもよい。弾性体4は、拘束荷重による電池セル11の破損を防止する目的で用いられる部材であり、電池セル11の配列方向の両端に配置されていてもよく、電池セル11,11間に配置されていてもよい。
【0020】
拘束部材3は、例えば一対のエンドプレート31と、エンドプレート31同士を締結する締結部材32とを備えている。エンドプレート31は、例えば電池セル11を配列方向から見た場合の面積よりも大きい面積を有する略矩形の板状をなしており、エンドプレート31の外縁部分が電池セル11の外縁部分よりも外側に張り出した状態で、配列体2及び弾性体4の配列方向の両端にそれぞれ配置されている。
【0021】
締結部材32は、例えば長尺のボルト33と、ボルト33に螺合されるナット34とによって構成されている。ボルト33は、例えばエンドプレート31の外縁部分において、配列体2の四隅に対応する位置でエンドプレート31に挿通されている。各ボルト33の両端にエンドプレート31の外側からナット34が螺合されることで、電池セル11、弾性体4、及び伝熱プレート5が挟持されてユニット化されると共に拘束荷重が付加される。
【0022】
電池セル11は、例えば
図2及び
図3に示すように、例えば略直方体形状をなす中空のケース12と、ケース12内に収容された電極組立体13とを備えている。ケース12は、例えばアルミニウム等の金属によって形成され、ケース12の内部には、例えば有機溶媒系又は非水系の電解液が注入されている。ケース12の頂面には、
図2に示すように、正極端子15と負極端子16とが互いに離間して配置されている。正極端子15は、絶縁部材17を介してケース12の頂面における幅方向の一方側に固定され、負極端子16は、絶縁部材18を介してケース12の頂面における幅方向の他方側に固定されている。
【0023】
電極組立体13は、
図3に示すように、例えば正極21と、負極22と、正極21と負極22との間に配置された袋状のセパレータ23とによって構成されている。電極組立体13では、セパレータ23内に正極21が収容されており、この状態で正極21と負極22とがセパレータ23を介して交互に積層された状態となっている。
【0024】
正極21は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔21aと、金属箔21aの両面に形成された正極活物質層21bとを有している。正極活物質層21bは、正極活物質とバインダとを含んで形成されている。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。また、正極21の上縁部には、正極端子15の位置に対応してタブ21cが形成されている。タブ21cは、正極21の上縁部から上方に延び、導電部材24を介して正極端子15に接続されている。
【0025】
一方、負極22は、例えば銅箔からなる金属箔22aと、金属箔22aの両面に形成された負極活物質層22bとを有している。負極活物質層22bは、負極活物質とバインダとを含んで形成されている。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。また、負極22の上縁部には、負極端子16の位置に対応してタブ22cが形成されている。タブ22cは、負極22の上縁部から上方に延び、導電部材25を介して負極端子16に接続されている。
【0026】
セパレータ23は、例えば袋状に形成され、内部に正極21のみを収容している。セパレータ23の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。なお、セパレータ23は、袋状に限られず、シート状のものを用いてもよい。
【0027】
また、
図2に示すように、電池セル11のケース12内には、過充電などの異常に起因して電池セル11のケース12内でガスが発生し、ケース12の内圧が閾値以上に上昇した場合に充電電流を遮断する電流遮断装置26が設けられている。電流遮断装置26は、負極端子16と導電部材25との間に設けられている。電流遮断装置26は、不図示の通電経路を有し、当該通電経路によって負極端子16と導電部材25とを直列に接続している。
【0028】
電流遮断装置26は、ケース12の内圧が予め設定された閾値を超えて上昇した場合に、通電経路を遮断して電極組立体13と負極端子16との通電を遮断する。電流遮断装置26で設定されるケース12の内圧の閾値は、電池セル11が過充電状態となったときのケース12の内圧を意味する。この閾値は、例えば電池セル11の容量や出力電圧といった条件に基づいて適宜設定されている。
【0029】
通常、電池モジュールでは、配列体に対して拘束部材による拘束荷重が付加されているため、過充電などの異常に起因して電池セルのケース内でガスが発生した場合でもケースの膨張が抑えられる。したがって、ガスの発生に伴ってケースの内圧が上昇し、内圧が閾値以上となったときに電流遮断装置が作動する。
【0030】
一方、電池モジュール1では、上述したように、配列体2と拘束部材3との間に弾性体4が介在している。このため、過充電などの異常に起因して電池セル11のケース12内でガスが発生した場合、弾性体4が容易に変形することで、ケース12が配列方向に膨張してしまうことが考えられる。このため、ケース12の内圧の上昇が設定値に対して緩やかとなり、電流遮断装置26が適切なタイミングで作動しなくなるおそれがある。
【0031】
そこで、電池モジュール1では、弾性体4の変形によるケース12の膨張を考慮し、拘束部材3による配列体2への初期の拘束荷重が設定されている。以下、当該拘束荷重の設定について詳細に説明する。
【0032】
拘束部材3による配列体2への初期の拘束荷重を設定するにあたっては、配列体2に配置する弾性体4についての厚さと拘束荷重との関係(圧縮特性)を用いる。
図4は、弾性体4がウレタン製のゴムスポンジである場合の圧縮特性の一例を示す図である。同図に示す例では、横軸が弾性体4の厚さ、縦軸が拘束部材3による拘束荷重となっており、弾性体4の圧縮特性曲線がプロットされている(グラフA)。弾性体4の厚さが大きい領域(圧縮量が小さい領域)では、厚さの減少と共に荷重量が増加する(グラフAのA1部分)。弾性体4の厚さの減少が進むと、厚さの減少に対する荷重量の増加が緩やかとなり(グラフAのA2部分)、更に弾性体4の厚さの減少が進むと、荷重量の増加に対して弾性体4の厚さが殆ど減少しなくなる(グラフAのA3部分)。
【0033】
ここで、ケース12の内圧の閾値をP、配列体2における電池セル11と隣接部材との接触面積をAとした場合、まず、P×Aで表される荷重量K
0を求め、荷重量K
0と圧縮特性曲線との交点から、荷重量P×Aが付加されたときの弾性体4の配列方向の厚さB
0を求める。閾値Pは、電流遮断装置26において予め設定される。接触面積Aは、電池セル11における配列方向の側面12aに接している隣接部材との接触面積のうちの大きい方の面積である。
【0034】
図1に示した例では、配列体2の配列方向の中間に位置する電池セル11には、側面12aと同面積の伝熱プレート5が隣接部材として側面12a,12aにそれぞれ接している。また、配列体2の配列方向の一方の端部に位置する電池セル11には、側面12aよりも小さい面積の弾性体4が隣接部材として側面12aの一方に接し、側面12aと同面積の伝熱プレート5が隣接部材として側面12aの他方に接している。配列体2の配列方向の他方の端部に位置する電池セル11には、側面12aと同面積の伝熱プレート5が隣接部材として側面12a,12aにそれぞれ接している。したがって、いずれの電池セル11についても、接触面積Aは、側面12aの面積と一致することとなる。
【0035】
荷重量P×Aが付加されたときの弾性体4の配列方向の厚さB
0を求めた後、電池セル11当たりのケース12の膨張許容量をB
1、配列体2における電池セル11の配列数以下の正の値をNとした場合に、弾性体4の配列方向の厚さBがB
0+(B
1×N)となる荷重量K
1を、厚さB
0+(B
1×N)と圧縮特性曲線との交点から求める。この荷重量K
1は、ケース12の内圧が閾値Pとなったときに電池セル11におけるケース12の膨張量が予め設定された膨張許容量B1を超えないようにするために必要な最低荷重量である。拘束部材3による配列体2への初期の拘束荷重の下限値は、荷重量K
1以上となるように設定される。
【0036】
膨張許容量B
1は、電池セル11の配列方向へのケース12の膨張許容量であり、電流遮断装置26の閾値Pを考慮して適宜設定される。正の値Nは、各電池セル11が均一に膨張する理想的なモデルでは電池セル11の配列数と一致させればよいが、配列体2に含まれる電池セル11のうちの一部のみが膨張し、電池セル11間の膨張量にばらつきが生じることも考えられる。このような電池セル11間の膨張量のばらつきを考慮する場合には、0より大きくN未満となる範囲から適宜設定される。正の値Nは、整数に限られず、小数(純小数及び帯小数)であってもよい。
【0037】
以上説明したように、この電池モジュール1では、拘束部材3による配列体2への拘束荷重の下限値が、ケース12の内圧が閾値となったときに電池セル11におけるケース12の膨張量が予め設定された膨張許容量を超えない最低荷重量以上に設定されている。これにより、電池セル11のケース12内でガスが発生した場合に、少なくとも電流遮断装置26が作動する閾値にケース12の内圧が到達するまでは、ケース12の膨張量が予め設定された膨張許容量以下に保たれる。したがって、ガス発生時におけるケース12の内圧を設定値通りに上昇させることが可能となり、電流遮断装置26を適切なタイミングで作動させることができる。
【0038】
また、電池モジュール1では、最低荷重量は、ケース12の内圧の閾値をP、配列体2における電池セル11と隣接部材との接触面積をA、荷重量P×Aが付加されたときの弾性体4の配列方向の厚さをB
0、電池セル11当たりのケース12の膨張許容量をB
1、配列体2における電池セル11の配列数以下の正の値をNとした場合に、弾性体4の配列方向の厚さBがB
0+(B
1×N)となる荷重量となっている。
【0039】
このような荷重量を拘束部材3による配列体2への拘束荷重の下限値として設定することにより、ケース12に膨張が生じた場合に弾性体4の配列方向の厚さが減少して配列体2への拘束荷重が上昇し、少なくとも電流遮断装置26が作動する閾値にケース12の内圧が到達するまで電流遮断装置26の作動に必要な拘束荷重が維持される。したがって、ケース12の膨張許容量を設定した場合において、電流遮断装置26を適切なタイミングで作動させることができる。また、電池セル11の許容膨張量を加味しない場合に比べて、最低荷重量を低くできる。このため、拘束部材3に掛かる負荷を低く設定できる。
【0040】
正の値Nを0より大きくN未満となる範囲から設定した場合、例えば電池セル11間の劣化状態の相違や温度の相違などに起因する電池セル11間の膨張量のばらつきに対応することが可能となる。正の値Nを電池セル11の配列数と一致させた場合には、弾性体4の厚さB
0+(B
1×N)に対応する荷重量K
1が最も小さくなる。これに対し、正の値Nを0より大きくN未満となる範囲から設定することで、各電池セル11が均一に膨張する理想的なモデルの場合に比べて荷重量K
1(すなわち、拘束荷重の下限値)が大きくなる。したがって、電池セル11間の膨張量のばらつきがあったとしても、ケース12の膨張によって弾性体4の厚さが減少した場合に配列体2に付加される拘束荷重が電流遮断装置26の作動に必要な拘束荷重以上に維持される。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、電池セル11の膨張許容量を考慮して拘束部材3による配列体2への拘束荷重の下限値を設定しているが、電池セル11の膨張許容量を考慮せず、拘束部材3による配列体2への拘束荷重の下限値を、ケース12の内圧が閾値となったときに電池セル11におけるケース12に膨張を生じさせないようにするために必要な最低荷重量以上となるように設定してもよい。この場合、最低荷重量は、ケース12の内圧の閾値をP、配列体2における電池セル11と隣接部材との接触面積をAとした場合に、P×Aで表される荷重量となる。
【0042】
このような荷重量を拘束部材3による配列体2への拘束荷重の下限値として設定する場合においても、少なくとも電流遮断装置26が作動する閾値にケース12の内圧が到達するまで電流遮断装置26の作動に必要な拘束荷重が維持される。したがって、ガス発生時におけるケース12の内圧を設定値通りに上昇させることが可能となり、電流遮断装置26を適切なタイミングで作動させることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、配列体2の配列方向の一方の端部に位置する電池セル11には、側面12aよりも小さい面積の弾性体4が隣接部材として側面12aの一方に接しているが、弾性体4の面積を側面12aの面積と同等以上としてもよい。この場合も、電池セル11の接触面積Aは、いずれも側面12aの面積と一致する。なお、伝熱プレート5及び弾性体4の面積を変更し、接触面積Aが電池セル11間で異なる場合には、各電池セル11における電流遮断装置26の閾値Pを調整することで、P×Aで表される荷重量を各電池セル11間で一定にすることが好適である。
【0044】
また、上記実施形態では、電流遮断装置26が負極端子16と導電部材25との間に設けられているが、電流遮断装置26は、この位置に限定されるものではなく、電流遮断装置26を介して電極組立体13と負極端子16とを電気的に直列に接続できる構成であればよい。なお、上述したように、弾性体4は、電池セル11の配列方向の両端に配置されていてもよく、電池セル11,11間に配置されていてもよい。このように弾性体4が複数配置されている場合には、各弾性体4の厚さの合計が上記関係式を満たせばよい。