特許第6351010号(P6351010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351010
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/32 20060101AFI20180625BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20180625BHJP
   G21C 13/00 20060101ALI20180625BHJP
   E04H 5/02 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   E04B1/32 101A
   E04H9/14 Z
   G21C13/00 N
   E04H5/02 E
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-187720(P2014-187720)
(22)【出願日】2014年9月16日
(65)【公開番号】特開2016-61031(P2016-61031A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】新田 康男
(72)【発明者】
【氏名】津嘉田 敬章
(72)【発明者】
【氏名】三浦 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】光井 滋也
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−297854(JP,A)
【文献】 特開2011−043439(JP,A)
【文献】 特開平07−259191(JP,A)
【文献】 特公昭49−047490(JP,B1)
【文献】 米国特許第04851184(US,A)
【文献】 米国特許第02245690(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/32
E04H 5/02
E04H 9/14
G21C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の壁部を有する建屋本体と、
該建屋本体の上部を覆う建屋屋根と、を備え、
前記建屋屋根は、
対向する前記一対の壁部間に架け渡され鉄骨で構成された下弦材と、該下弦材の端部側同士をアーチ状に連結し鉄骨で構成された上弦材と、前記下弦材と前記上弦材とを連結し鉄骨で構成された連結材と、を有し、前記建屋本体の上部に配置された屋根支持部と、
前記壁部側から前記一対の壁部間の中心側に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜しつつ前記屋根支持部を覆うように配置され鉄筋コンクリートからなる外屋根部と、を有することを特徴とする建築物。
【請求項2】
前記外屋根部は、アーチ型に構築されていることを特徴とする請求項1に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、原子力発電施設等では、航空機の衝突等といった不測の事態にも耐え得る構造物が要求されつつある。そこで、外部飛来物の衝突による衝撃に耐えうる壁厚に構築された建屋構造物と、建屋構造物の上方に構築された屋根構造物とを有し、建屋構造物と屋根構造物とが分離構成されるとともに互いに独立した基礎構造部を備えた原子炉建屋が提案されている(下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−252800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、約100mm程度のスラブ厚の屋根が設けられ、約40mの大スパンの建築物において、航空機の衝突等の不測の事態を想定して屋根を支持するスラブ厚を厚くすると、スラブを支持する柱・梁等の構造体の負担が大きくなるという問題点がある。
【0005】
また、特許文献1に記載の原子炉建屋では、外部飛来物の衝突を建屋構造物のみで負担するため、建屋構造物の外壁、構造体を強固にする必要があり、建屋構造物の構造体の負担が大きくなるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、構造体の負担を抑えつつ、安全性の高い建築物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る建築物は、対向する一対の壁部を有する建屋本体と、該建屋本体の上部を覆う建屋屋根と、を備え、前記建屋屋根は、対向する前記一対の壁部間に架け渡され鉄骨で構成された下弦材と、該下弦材の端部同士をアーチ状に連結し鉄骨で構成された上弦材と、前記下弦材と前記上弦材とを連結し鉄骨で構成された連結材と、を有し、前記建屋本体の上部に配置された屋根支持部と、前記壁部側から前記一対の壁部間の中心側に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜しつつ前記屋根支持部を覆うように配置され鉄筋コンクリートからなる外屋根部と、を有することを特徴とする。
【0008】
このように構成された建築物は、万が一航空機が衝突した場合には、外屋根部に生じる曲げ応力を外屋根部自体及び外屋根部に覆われた屋根支持部の上弦材で負担することができる。また、建屋屋根の両端を支持する脚部等が互いに開く方向へと変形しようとするが、これを屋根支持部の下弦材が拘束するため、建屋屋根の高さを抑えつつ強固な構成とすることができるとともに、支持する柱等への負担が軽減されるため構造物量を低減することができる。したがって、構造体の負担を抑えつつ、安全性を高くすることができる。
【0009】
また、本発明に係る建築物は、外屋根部は、アーチ型に構築されていることが好ましい。
【0010】
このように構成された建築物は、アーチ型に構築された外屋根部は、外屋根部自体の立体的な剛性で自重や外力に抗することができるため、外屋根部の構造物量を低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る建築物によれば、構造体の負担を抑えつつ、安全性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る建築物の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る建築物の立断面図である。
図3】本発明の一実施形態の変形例1に係る建築物の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態の変形例2に係る建築物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る建築物の一例として、原子炉建屋について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る原子炉建屋の斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る原子炉建屋の立断面図である。
図1,2に示すように、原子炉建屋5は、内部に原子炉格納容器(不図示)等が配置された建屋本体2と、建屋本体2の上部を覆うアーチ屋根部50(建屋屋根)と、を備えている。
【0014】
建屋本体2は、例えば鉄筋コンクリート等により構築されている。建屋本体2は、平面視矩形に形成された床部11と、床部11の対向する二辺11A,11Cそれぞれから立設された第一壁部12,12と、各第一壁部12の上部から略水平に形成された段部13と、段部13の端部から立設された第二壁部(壁部)14とを有している。
これら第一壁部12、段部13及び第二壁部14は、それぞれ一方向且つ鉛直方向に向かって延びている。この一方向をX方向とする。
【0015】
さらに、建屋本体2は、床部11の対向する他の二辺11B,11Dそれぞれから立設された側壁部15,15を有している。
この側壁部15は、X方向と直交する方向且つ鉛直方向に向かって延びている。このX方向と直交する方向をY方向とする。
【0016】
段部13には、鉛直方向に向かって延びる排気部21が設けられている。排気部21は、建屋本体2の内部に連通され上方に延びる排気塔22と、該排気塔22の外側に配置された支持鉄塔23と、を有している。なお、排気部21は、建屋本体2とは独立して設けられていてもよい。
【0017】
建屋本体2の側壁部15の上部15Aには、上壁部16が側壁部15と一体に設けられている。上壁部16の上部16Aは、第二壁部14から第二壁部14,14間の中心に向かうにしたがって上方に向かうように、湾曲形成されている。
【0018】
図2に示すように、建屋本体2の内部において、複数の柱18がX方向及びY方向に間隔を有して複数立設されている。柱18は、後述するアーチ屋根部50の下部にまで達している。この柱18間には、梁17が配置されている。なお、柱18は、第二壁部14のY方向中央側に第二壁部14に沿って配置され、第二壁部14と構造的に一体とされている。
【0019】
図1,2に示すように、アーチ屋根部50は、鉄骨で構成された屋根支持部60と、屋根支持部60を覆い鉄筋コンクリートで構成された外屋根部69と、を有している。
【0020】
屋根支持部60は、タイドアーチ状に形成され、建屋本体2の第一壁部12の長手方向に間隔を有して複数配置されたタイドアーチ部61を有している。隣り合うタイドアーチ部61,61同士は、連結部材68により連結されている。
【0021】
タイドアーチ部61は、Y方向に離間して配置された柱18,18に架け渡されるように配置された下弦材62と、下弦材62の両端部62A,62B同士をアーチ状に連結する上弦材63と、下弦材62と上弦材63とを連結する複数の連結材64と、を有している。これら下弦材62、上弦材63及び連結材64は、それぞれ鉄骨で構成されている。
【0022】
下弦材62は、Y方向に延びるように略水平に配置されている。下弦材62の両端部62A,62Bは、柱18,18の上部に接合されている。つまり、下弦材62は、第二壁部14と構造的に一体された柱18に支持されている。
【0023】
上弦材63は、下弦材62のY方向の両端部62A,62Bから中心に向かうにしたがって次第に上方に向かうように円弧状に構成されている。
【0024】
連結材64は、下弦材62と上弦材63との間を略鉛直方向に連結している。この連結材64は、下弦材62の延在方向(Y方向)に離間して、複数配置されている。
【0025】
外屋根部69は、鉄筋コンクリートでアーチ型に構築されている。換言すると、外屋根部69は、第二壁部14から第二壁部14,14間の中心に向かうにしたがって、上方に向かって膨らむように湾曲形成されている。なお、本実施形態では、外屋根部69は、例えば厚さ1.3mの鉄筋コンクリートを採用することにより、局部損傷を最小限に抑えることができる。
【0026】
外屋根部69のY方向の両端部69A,69Cは、それぞれ第二壁部14,14の上部14A,14Aに接合されている。また、外屋根部69のX方向の両端部69B,69Dは、それぞれ上壁部16,16の上部16A,16Aに接合されている。
なお、屋根支持部60と外屋根部69とは、図示しないスタッドボルトやボルト・ナット等により接合されている。
【0027】
このように構成された原子炉建屋5では、万が一航空機が衝突した場合には、外屋根部69に生じる曲げ応力を鉄筋コンクリートで構成された外屋根部69自体及び外屋根部69に覆われた屋根支持部60の上弦材63で負担することができる。また、アーチ屋根部50の両端を支持する柱18,18等が開く方向へと変形しようとするが、これを屋根支持部60の下弦材62が拘束するため、アーチ屋根部50の高さを抑えつつ強固な構成とすることができるとともに、支持する柱18等への負担が軽減されるため構造物量を低減することができる。したがって、構造体の負担を抑えつつ、安全性を高くすることができる。
【0028】
また、アーチ型に構築された外屋根部69は、外屋根部69自体の立体的な剛性で自重や外力に抗することができるため、外屋根部69の構造物量を低減することができる。
【0029】
また、アーチ屋根部50の施工において、鉄骨で屋根支持部60を構築した後に、鉄筋コンクリートで外屋根部69を構築する。よって、外屋根部69を構築する際に、屋根支持部60が外屋根部69を構成する鉄筋コンクリートを支持する役割を担うため、支保工等の鉄筋コンクリートを支持する部材を設ける必要がない。
【0030】
(変形例1)
上記に示す実施形態の変形例1について、主に図3を用いて説明する。
図3は、本発明の一実施形態の変形例1に係る建築物の斜視図である。
以下の変形例において、前述した実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0031】
図3に示すように、原子炉建屋7は、上記に示す実施形態とは屋根の形状が異なり、建屋本体2と、切妻屋根部150(建屋屋根)と、を備えている。
【0032】
建屋本体2の側壁部15の上部15Aには、上壁部116が設けられている。上壁部116の上部116Aは、第二壁部14から第二壁部14,14間の中心に向かうにしたがって次第に上方に向かうように傾斜している。
【0033】
切妻屋根部150は、鉄骨で構成された屋根支持部60(図2参照)と、屋根支持部60を覆い鉄筋コンクリートで構成された外屋根部169と、を有している。
【0034】
外屋根部169は、パネル状の一対の屋根パネル171,172を有している。屋根パネル171は、一方の第二壁部14から第二壁部14,14間の中心に向かうにしたがって次第に上方に向かうように配置されている。屋根パネル172は、他方の第二壁部14から第二壁部14,14間の中心に向かうにしたがって次第に上方に向かうように配置されている。
【0035】
これら屋根パネル171,172における第二壁部14,14間の中心側の端部171A,172A同士は、互いに接合されている。また、屋根パネル171,172における第二壁部14側の端部171B,172Bは、それぞれ第二壁部14,14の上部14A,14Aに接合されている。屋根パネル171における第二壁部14の長手方向(X方向)の両端部171C,171Cは、上壁部116,116の上部116A,116Aに接合されている。屋根パネル172における第二壁部14の長手方向(X方向)の両端部172C,172Cは、上壁部116,116の上部116A,116Aに接合されている。このようにして、一対の屋根パネル171,172により切妻形状の屋根が構築されている。
【0036】
(変形例2)
上記に示す実施形態の変形例2について、主に図4を用いて説明する。
図4は、本発明の一実施形態の変形例2に係る建築物の斜視図である。
図4に示すように、原子炉建屋8は、上記に示す実施形態、変形例1とは屋根の形状が異なり、建屋本体202と、傾斜屋根部250(建屋屋根)と、を備えている。
【0037】
建屋本体202は、平面視矩形に形成された床部211と、床部211の四辺211A,211B,211C,211Dから立設された四枚の壁部212,212,212,212と、を有している。
【0038】
傾斜屋根部250は、鉄骨で構成された屋根支持部(不図示)と、屋根支持部を覆い鉄筋コンクリートで構成された外屋根部269と、を有している。
【0039】
外屋根部269は、壁部212側から対向する壁部212,212間の中心側に向かうにしたがって上方に向かうように形成されている。外屋根部269は、パネル状に形成された中央パネル271、傾斜パネル272、三角パネル273及び角パネル274を有している。
【0040】
中央パネル271は、平面視矩形をなし、平面視で四枚の壁部212,212,212,212で囲まれた空間の中心に配置されている。
【0041】
傾斜パネル272は、平面視矩形をなし、中央パネル部の四辺271A,271B,271C,271Dからそれぞれに対応する壁部212に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜配置されている。
【0042】
三角パネル273は、平面視三角形をなし、傾斜パネル272における中央パネル271から離間するにしたがって次第に下方に向かうように傾斜する辺272Aに接合されている。つまり、三角パネル273は、隣接する傾斜パネル272,272同士を連結するように配置されている。三角パネル273は、中央パネル271側から壁部212側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜配置されている。
【0043】
角パネル274は、平面視三角形をなし、三角パネル273と隣接する壁部212,212の上部212A,212Aとを連結するように、水平に配置されている。
【0044】
Y方向に向かって傾斜パネル272、中央パネル271、傾斜パネル272が配置されている部分では、屋根支持部は上記に示す実施形態のように配置されている。つまり、上弦材は、その端部が下弦材の端部に接合されて、アーチ状に形成されている。
一方、Y方向に向かって角パネル274、三角パネル273、傾斜パネル272、三角パネル273、角パネル274が配置されている部分では、屋根支持部の下弦材62(図1参照)は、Y方向に対向する壁部212,212に架け渡されている。屋根支持部の上弦材は、三角パネル273、傾斜パネル274の下側に沿って配置されている。つまり、上弦材は、その端部が下弦材のY方向の途中部分(下弦材の端部側)に接合されて、アーチ状に形成されている。
【0045】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0046】
上記に示す実施形態においては、新築の原子炉建屋5について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、第二壁部14及び側壁部15の上部に陸屋根が設けられた既存の原子炉建屋において、陸屋根を取り除き、新たにアーチ屋根部50を設ける補修の場合にも適用可能である。
この場合には、アーチ屋根部50の端部は、第二壁部14,14の上部14A,14A、上壁部16,16の上部16A,16Aと接合されているため、アーチ屋根部50が第二壁部14及び側壁部15から張り出すことがない。よって、既存の原子炉建屋における段部13に排気部21等の既存設備が設けられていても、その位置を変更せずに、補修を行うことができる。
【0047】
また、既存の原子炉建屋の第二壁部14及び側壁部15をそのまま利用して補修することができるため、躯体変更に伴う建築容積の増加を抑えることができる。
【符号の説明】
【0048】
2…建屋本体
5…原子炉建屋(建築物)
14…第二壁部(壁部)
50…アーチ屋根部(建屋屋根)
60…屋根支持部
62…下弦材
63…上弦材
64…連結材
69…外屋根部
図1
図2
図3
図4