特許第6351019号(P6351019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351019
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】食欲抑制組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/746 20060101AFI20180625BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20180625BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20180625BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20180625BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20180625BHJP
   A61K 131/00 20060101ALN20180625BHJP
【FI】
   A61K36/746
   A61K31/198
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K9/16
   A61K9/14
   A61K9/08
   A61K9/06
   A61P25/00 101
   A61P3/04
   A23L33/105
   A61K131:00
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-547682(P2016-547682)
(86)(22)【出願日】2015年8月28日
(86)【国際出願番号】JP2015004373
(87)【国際公開番号】WO2016038841
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2017年7月21日
(31)【優先権主張番号】特願2014-184432(P2014-184432)
(32)【優先日】2014年9月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518165992
【氏名又は名称】代謝肥満サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091247
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 雅人
(72)【発明者】
【氏名】森 昌朋
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−062301(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101057700(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A23L 33/105
A61K 9/00−9/72
A61K 31/00−31/80
A61P 3/04
A61P 25/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
八重山青木(Morinda citrifolia)に由来する成分を有効成分とすることを特徴とする食欲抑制組成物。
【請求項2】
八重山青木(Morinda citrifolia)の果実に由来する液体成分であることを特徴とする食欲抑制組成物。
【請求項3】
八重山青木の果実に由来する液体成分が、八重山青木の果実から搾汁された食材液成分である請求項2に記載の食欲抑制組成物。
【請求項4】
八重山青木の果実に由来する液体成分が、八重山青木の発酵果実から搾汁された食材液成分である請求項2又は請求項3に記載の食欲抑制組成物。
【請求項5】
八重山青木の果実に由来する液体成分が、八重山青木の発酵果実から搾汁された食材液成分の上清である請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の食欲抑制組成物。
【請求項6】
八重山青木の果実に由来する液体成分中の構成成分の分子量が、3,000ダルトン以上である請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の食欲抑制組成物。
【請求項7】
八重山青木の果実に由来する液体成分中の構成成分の分子量が、3,000ダルトン以下である請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の食欲抑制組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食欲抑制組成物に関するものであり、更に詳しくは、特定の植物・果物に由来する食欲抑制組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肥満は過体重により規定され、肥満に伴い高血糖や高血圧、高脂血症などの生活習慣病の発症が高まることが知られている。又、我国においてはボディマスインデックス(body mass index:BMI)が25以上を示す際に肥満と定義され、加えてBMIが25以上で、且つ、高血糖、高脂血症、高血圧、脂肪肝、睡眠時無呼吸、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳血管障害、月経異常、整形外科的疾患、肥満関連腎症からなる健康障害の内の1つ以上を示す際、又は、BMIが25以上で内蔵脂肪面積が一定以上を示す際、肥満症と診断される(非特許文献1)。又、肥満(内臓脂肪増大)を基盤としてメタボリック・シンドロームも発症して、脳心血管系障害が高率で起こる。即ち、肥満症やメタボリック・シンドロームの基盤となる肥満に付け加えて、これらの健康障害を発症する前の肥満を抑制することが、生活習慣病を中心とする健康障害発症の防止と改善にとり重要となる。
【0003】
体重は、エネルギーホメオスターシス機構により一定に維持されており、その機構は食欲とエネルギー消費から構成される。肥満は、長期間にわたり食欲亢進(過食)がエネルギー消費を上回る、エネルギーホメオスターシス制御機構の破綻により生じる。又、食欲は中枢の脳視床下部で主として調節され、更に近年、末梢の脂肪細胞から合成・分泌される活性物質が脳視床下部に作用して、食欲を調節することも明らかにされている。
【0004】
本発明の発明者は、肥満を惹起する食欲の調節に関連し、脳視床下部と脂肪細胞に局在して食欲を抑制し、エネルギー消費を高める分子であるネスファチン―1(以下、Nesfatin-1は同意とする。)をすでに発見しており、その後の研究から、このNesfatin-1は脂肪細胞の分化増殖を抑制することも明らかにされている(非特許文献2)。
【0005】
一方、現在、臨床的に使用されている薬剤の内、約30%の薬剤は植物由来であることが知られている。そのため、特に食材や飲用として販売されている植物・果物中にNesfatin-1のような作用を示す成分が含まれているならば、食材や飲用として有用である上に、上記の食欲抑制作用による肥満抑制作用を示す可能性があるといえる。しかし、従来はこのような食材液、或いはその加工品は知られていなかった。
【0006】
更に、食物・果物に由来する液体成分が食欲抑制作用を示す場合でも、その液体成分を分子量で選別して、その作用効果や作用時間の増強について検討・証明することは、これまでなされていない。事実、八重山青木(Morinda citrifolia)の果実に由来する液体成分については、小分子量成分を含むことが示されているが、食欲抑制作用を惹起するか否かについては不明であり、又、高分子量の成分の含有については検討されておらず、その食欲抑制作用についても証明されていない(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】最新肥満症学,肥満症診断基準の概要:日本臨72:13-18, 2014.
【非特許文献2】Identification of nesfatin-1 as a satiety molecule in the hypothalamus: Nature 443: 709-712, 2006.
【非特許文献3】Morinda citrifolia L.(Noni): a review of the scientific validation for its nutritional and therapeutic properties. Journal Diabetes and Endocrinology 3: 77-91, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記のような従来技術の現状に鑑みてなされたもので、特定の植物・果物に由来する食欲抑制組成物の提供とその効果判定を目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明は、以下の[1]乃至[7]に関するものである。
【0010】
[1]八重山青木(Morinda citrifolia)に由来する成分を有効成分とすることを特徴とする食欲抑制組成物。
【0011】
[2]八重山青木(Morinda citrifolia)の果実に由来する液体成分であることを特徴とする食欲抑制組成物。
【0012】
[3]八重山青木の果実に由来する液体成分が、八重山青木の果実から搾汁された食材液成分である[2]に記載の食欲抑制組成物。
【0013】
[4]八重山青木の果実に由来する液体成分が、八重山青木の発酵果実から搾汁された食材液成分である[2]又は[3]に記載の食欲抑制組成物。
【0014】
[5]八重山青木の果実に由来する液体成分が、八重山青木の発酵果実から搾汁された食材液成分の上清である[2]乃至[4]のいずれかに記載の食欲抑制組成物。
【0015】
[6]八重山青木の果実に由来する液体成分中の構成成分の分子量が、3,000ダルトン以上である[2]乃至[5]のいずれかに記載の食欲抑制組成物。
【0016】
[7]八重山青木の果実に由来する液体成分中の構成成分の分子量が、3,000ダルトン以下である[2]乃至[5]のいずれかに記載の食欲抑制組成物。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、八重山青木の例えば果実に由来する液体成分を有効成分とするか、或いは、当該液体成分よりなる、効果に優れた食欲抑制組成物が提供される。従って、本発明の食欲抑制組成物の利用により、過食を回避することができ、肥満症やメタボリック・シンドロームをはじめとする肥満に関連する健康障害の予防又は改善が可能となる。又、本発明の食欲抑制組成物を摂取することにより、ダイエットの遂行が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、八重山青木の果実の食材液原液で測定したNesfatin-1の濃度希釈曲線を示すグラフである。
【0019】
図2図2は、八重山青木の果実の食材液原液及びそれを種々の濃度に希釈した液を投与する前における、マウスの摂食量を示すグラフである。
【0020】
図3図3は、八重山青木の果実の食材液原液及びそれを種々の濃度に希釈した液を投与した後における、マウスの経時的累積摂食量の変化を示すグラフである。
【0021】
図4図4は、八重山青木の果実の食材液原液及びそれを種々の濃度に希釈した液を投与し、6〜48時間経過した後における、マウスの経時的累積摂食量の変化を示すグラフである。
【0022】
図5図5は、八重山青木の果実の食材液原液及び分子量分画フイルター装置で処理した八重山青木の果実の食材液残留液を投与する前における、マウスの摂食量を示すグラフである。
【0023】
図6図6は、八重山青木の果実の食材液原液及び分子量分画フイルター装置で処理した分子量3,000ダルトン以上の成分を含む八重山青木の果実の食材液残留液を投与した後における、マウスの経時的累積摂食量の変化を示すグラフである。
【0024】
図7図7は、八重山青木の果実の食材液原液及び分子量分画フイルター装置で処理した分子量3,000ダルトン以上の成分を含む八重山青木の果実の食材液残留液を投与し、12〜48時間経過した後における、マウスの経時的累積摂食量の変化を示すグラフである。
【0025】
図8図8は、八重山青木の果実の食材液原液を分子量分画フイルター装置で処理した八重山青木の果実の食材液残留液の、マウスへの投与前における摂食量を示すグラフである。
【0026】
図9図9は、分子量分画フイルター装置で処理した分子量3,000ダルトン以上の成分を含む八重山青木の果実の食材液残留液を、種々の濃度に希釈した液をマウスに投与した後における経時的累積摂食量の変化を示すグラフである。
【0027】
図10図10は、分子量分画フイルター装置で処理した分子量3,000ダルトン以上の成分を含む八重山青木の果実の食材液残留液を、種々の濃度に希釈した液をマウスに投与し、12〜24時間経過後のマウスの経時的累積摂食量の変化を示すグラフである。
【0028】
図11図11は、八重山青木の果実の食材液原液及び分子量分画フイルター装置で処理した八重山青木果実の食材液濾過液の、マウスへの投与前における摂食量を示すグラフである。
【0029】
図12図12は、八重山青木の果実の食材液原液及び分子量分画フイルター装置で処理した分子量3,000ダルトン以下の成分を含む八重山青木果実の食材液濾過液の、マウスへの投与後における経時的累積摂食量の変化を示すグラフである。
【0030】
図13図13は、八重山青木の果実の食材液原液及び分子量分画フイルター装置で処理した分子量3,000ダルトン以下の成分を含む八重山青木果実の食材液濾過液を投与し、12〜24時間経過後のマウスの経時的累積摂食量の変化を示すグラフである。
【0031】
図14図14は、八重山青木果実の食材液原液、分子量分画フイルター装置で処理した分子量3,000ダルトン以上の成分残留液、並びに分子量3,000ダルトン以下の成分濾過液を、条件付けされたマウスへ投与した後の、サッカリン溶液摂水の嗜好性比率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の発明者は、上記の通り脳視床下部と脂肪細胞に発現して、代謝のマスターレギュレーターであるパーオキシゾーム・プロリフェレーター・活性受容体 (peroxisome proliferator-activated receptor)γで活性化される分泌蛋白として発見された新規の分子を、Nesfatinと命名したものであり(非特許文献2)、NesfatinからプロセッシングされてNesfatin-1とNesfatin-2/3が生成される。Nesfatin-1はラット髄液中とヒト血中に存在する。Nesfatin-1をラットの脳室に中枢性に投与すると食欲が抑制され、その結果体重が減少し、逆に脳内Nesfatinの発現が低下すると食欲が促進されて、体重が増加する。又、Nesfatin-1の脳内投与はエネルギー消費を高める。一方、Nesfatin-2/3には食欲抑制や体重減少作用などは認められない。その後の研究からNesfatinは脂肪細胞の増殖を抑制することや、Nesfatin-1をマウスの腹腔内に末梢性に投与しても、その濃度依存的に食欲を抑制することが明らかになっている。
【0033】
一方、本発明の発明者は、Nesfatin-1のような作用を示す成分が含まれている植物や果物を見出すために、国内で販売されている植物・果物或いはそれに由来する食材液や飲用水などを入手し、高感度で特異性の高いELISAを用いて成分を分析した。その結果、八重山青木(やえやまあおき、学名:Morinda citrifolia、通称:ノニ)、特にその果実搾汁に由来する食材液中に、Nesfatin-1及びNesfatin-1のような作用を示す成分が含有されていること、及びこの食材液或いはこれを有効成分とする食欲抑制組成物が、マウスを使用した実験により、優れた食欲抑制効果を有し、その食欲抑制効果は非特異的な効果ではないことを見出したものである。
【0034】
又、八重山青木の果実搾汁に由来する食材液を、分子量分画フイルター装置を用いて分子量3,000ダルトン以上の成分に分画して得た成分は、Nesfatin-1を高量含有し、食欲抑制の作用効果と作用時間が増強されること、更には、八重山青木の果実搾汁に由来する食材液を、分子量分画フイルター装置を用いて分子量3,000ダルトン以下の成分に分画して得た小分子量成分は、Nesfatin-1を殆ど含有していないものの、食材液原液と同様に食欲抑制の作用効果を有することを見出した。
【0035】
尚、八重山青木は、アカネ科の常緑小高木で、日本では琉球列島と小笠原諸島の一部に自生しているものとして知られている。
【0036】
本発明における八重山青木に由来する成分としては、液体成分を挙げることができ、例えば、八重山青木の果実から搾汁された食材液成分、とりわけ、その果実を適宜期間、例えば3か月間程度に亘って熟成発酵させてから搾汁されたものであることが好ましい。
【0037】
本発明の食欲抑制組成物は、このようにして得られた八重山青木に由来する、例えば上記食材液成分を有効成分とするものであるが、この食材液成分を、遠心分離等の手段により上清としたり、例えば分子量分画フイルター装置を用いて分子量を3,000ダルトン以上或いは3,000ダルトン以下に分画したり、生理食塩水や緩衝液などで濃度を調整しても良い。又、本発明の食欲抑制組成物の投与形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、腸溶剤、トローチ剤、ドリンク剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、経皮吸収剤、外用剤等による非経口剤が挙げられる。
【0038】
又、このような種々の剤形は、本発明の食欲抑制組成物を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤(ソルビトール、グルコース、乳糖、デキストリン、澱粉等の糖類、炭酸カルシウム等の無機物、結晶セルロース、生理食塩水、蒸留水、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、菜種油、アミノ酸混合物等)、結合剤、潤滑剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤、抗酸化剤等を適宜組み合わせて調製することができる。
【0039】
本発明の食欲抑制組成物の投与形態はいずれも使用できるが、その中でも、好ましい形態は腸溶剤による経口投与であり、その投与量は、効果が得られる量であれば特に限定されない。又、その摂取・投与量は、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因によって変動し得るが、成人ヒトでは経口投与用製剤中の本発明は、一般的に液体成分量として(体重kgあたり)600 mg〜3,600 mg重量を単位として投与するのが好ましい。尚、当食欲抑制組成物は、任意の摂取・投与計画に従って摂取・投与されるが、1日1回〜数回に分けて、数週間〜数ヶ月継続して摂取・投与することが好ましい。
【0040】
又、本発明の食欲抑制組成物の摂取対象者としては、それを必要としている肥満者であれば特に限定されないが、肥満症並びにメタボリック・シンドロームを示す肥満者や、健康障害を来す前の肥満者、又は生活習慣病の予防又は改善を目的とするヒトやヒト以外の哺乳動物、或いは身体のスリム化のために食事や運動療法を行っているヒトが好ましい。
【0041】
上記のように構成される本発明の食欲抑制組成物を、マウスに投与したところ、明らかな食欲抑制効果が認められ、特に、分子量3,000ダルトン以上の成分に分画するとその作用効果が増強され、長時間作用することが明らかになった。従って、本発明の食欲抑制組成物は、これを加工食品や、いわゆる特定保健用食品等の健康食品或いは飲料等の食品に添加することも有用である。即ち、本発明の食欲抑制組成物を混合する素材として、パン、麺類等に代表される小麦粉加工食品、お粥、炊き込みご飯等の米加工食品、ビスケット、ケーキ、ゼリー、チョコレート、せんべい、アイスクリーム等の菓子類、豆腐、その加工食品等の大豆加工食品、清涼飲料水、果汁飲料、野菜飲料、混合果物搾汁液、混合野菜搾汁液、乳飲料、炭酸飲料等の飲料類、ヨーグルト、チーズ、バター、牛乳等の乳製品、醤油、ソース、味噌、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、ハム、ベーコン、ソーセージ等の畜肉、畜肉加工品、はんぺん、ちくわ、魚の缶詰等の水産加工食品、調味料並びにフライ用油等が挙げられる。又、この他、本発明の食欲抑制組成物を配合して、カプセル等の錠剤食、濃厚流動食、自然流動食、半消化態栄養食、成分栄養食、ドリンク栄養食等の経口・経腸栄養食品、機能性食品等の形態とすることもできる。
【0042】
又、飼料としては兎、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、犬、猫、小鳥、リス等に用いるペットフード等の飼料が挙げられる。
【0043】
種々の形態の飼料や食品は、本発明の食欲抑制組成物を単独で、又は他の食品材料や溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香料、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて調製することが出来る。
【実施例】
【0044】
方法:
1.対象食材や飲用:主として沖縄県国際通りの公設市場で食材又は飲用として販売されている、以下に示す22種類の植物・果物由来の食材液等を求めた。各食材液等を1,500 rpm、15分間遠沈して上清を得た(以下、この上清を食材液原液と記載する。)。
1. うっちん(ウコン)茶 2. マンゴー搾汁 3. ドラゴンフルーツ搾汁
4. シークワーサー搾汁 5. タンカン搾汁 6. サンピン茶
7. トマト搾汁 8. よもぎ茶 9. 朝鮮人参搾汁
10. ウーロン茶 11. 緑茶 12. アセロラ搾汁 13. レンプ搾汁
14. ハブ酒 15. 島バナナ搾汁 16. パッションフルーツ搾汁
17. スナックパイン搾汁 18. パパイヤ搾汁 19. グワバ搾汁
20. リンゴ搾汁 21.ピーチパイン搾汁 22. 八重山青木搾汁
【0045】
2.測定:Nesfatin-1に高感度で特異性の高いサンドウイッチタイプのNesfatin-1 ELISA(ヒトネスファチン-1 ELISA キット、シバヤギ社製)を用いて上記食材液原液を測定した。Nesfatin-1が測定可能な食材液原液では、脳視床下部で食欲調節に関与し、脂肪細胞に発現してヒト血中に存在するレプチン及びアデイポネクチンの各濃度を、各々の成分を特異的に測定するELISAキット(Mercodia社製)を用いて更に測定した。
【0046】
3.食欲抑制効果−1:食材液原液の食欲抑制作用を検討するために、体重約25gの雄マウスを用いた。上記方法1で得られた食材液原液、及び、これを生理食塩水で1/4、1/16に希釈した希釈液の各々0.5 mlずつを、マウス(n=4)の腹腔内に暗期(19:30消灯、12時間サイクル、室温25℃)直前に投与して、マウスの摂食量を経時的に測定した。対照は生理食塩水投与群とした。データは棒グラフ(平均値±標準誤差)で示した。各群の有意差検定はOne-way analysis of variance (ANOVA)により求めた。
【0047】
4.食材液原液の構成成分の分子量による分画・分取:通常、残留する成分の分子量の少なくとも1/2以下の分画分子量膜が使用されるので、Nesfatin-1の推定分子量(ヒトNesfatin-1の分子量9,695ダルトン)を基に、分子量分画3,000ダルトン膜材質である、分子量分画フイルター装置(centrifugal filter devise)のCentriprep 3K (Merck Millipore社製)を用いた。上記方法1で得られた食材液原液中に含まれる構成成分を、Nesfatin-1を含む分子量3,000ダルトン以上の成分(以下、>3,000成分は同意とする。)からなる残留液と、分子量3,000ダルトン以下の小分子量成分(以下、<3,000成分は同意とする。)からなる濾過液に分画するために、上記、分子量分画フイルター装置を用いて、食材液原液を3,600 rpmで120分間遠沈して、更に3,600 rpmで60分間遠心後、残る残留液と、フイルターを透過した濾過液に分画・分取した。分子量分画フイルター装置で得られた>3,000成分残留液と、食材液原液の蛋白濃度を、紫外吸収法(波長280 nm)で吸光度計により測定した。食材液原液、及び分子量分画フイルター装置で分画して得られた>3,000成分残留液と<3,000成分濾過液のカリウム(分子量39ダルトン)濃度をイオン電極選択法で測定し、Nesfatin-1濃度を上記方法2に記載したNesfatin-1 ELISAで測定した。又、食材液原液のアミノ酸をアミノ酸自動分析法により測定した。
【0048】
5.食欲抑制効果−2:八重山青木果実の食材液原液より得られた>3,000成分液(残留液)の投与は、食材液原液の投与で認められる食欲抑制作用より、長時間作用するか否かについて検討した。上記方法4で得られた>3,000成分を含む残留液、及び、上記方法1で得られた食材液原液を、上記方法3と同様に0.5 mlずつ、マウス(n=4)の腹腔内に投与して、マウスの摂食量を経時的に測定した。対照は生理食塩水投与群とした。データは棒グラフ(平均値±標準誤差)で示した。各群の有意差検定はOne-way analysis of variance (ANOVA)により求めた。
【0049】
6.食欲抑制効果−3:八重山青木果実の食材液原液より得られた>3,000成分液(残留液)の投与は、食材液原液の投与で認められる食欲抑制作用より、強い効果を示すか否かについて検討した。上記方法4で得られた>3,000成分を含む残留液、及び、これを生理食塩水で1/4、1/16に希釈した希釈液の各々0.5 mlずつを、上記方法3と同様にマウス(n=4)の腹腔内に投与して、マウスの摂食量を経時的に測定した。対照は生理食塩水投与群とした。データは棒グラフ(平均値±標準誤差)で示した。各群の有意差検定はOne-way analysis of variance (ANOVA)により求めた。
【0050】
7.食欲抑制効果−4:八重山青木果実の食材液原液より得られた小分子量の<3,000成分液(濾過液)が食欲抑制作用を示すか否かについて検討した。上記方法4で得られた、八重山青木果実の食材液原液の<3,000成分を含む濾過液、及び、上記方法1で得られた食材液原液を、上記方法3と同様に0.5 mlずつマウス(n=4)の腹腔内に投与して、マウスの摂食量を経時的に測定した。対照は生理食塩水投与群とした。データは棒グラフ(平均値±標準誤差)で示した。各群の有意差検定はOne-way analysis of variance (ANOVA)により求めた。
【0051】
8.条件付け味覚嫌悪感嗜好効果:嘔気や嘔吐、嫌悪感、味覚障害等を誘導する物質でも、食欲は非特異的に抑制される。食材液原液、>3,000成分を含む残留液、並びに<3,000成分を含む濾過液による食欲抑制効果が、非特異的作用か否かについてconditioned taste aversive test(条件付け味覚嫌悪感嗜好性試験)法を用いて検討した。水の入った2つのボトルで、1日2時間(午前10:00〜12:00)だけの摂水スケジュールへの順化を5日間行ったマウスを、実験6日目にサッカリ(0.15%)の入った2つのボトルを設置して30分間摂水させた。その後、各食材成分、生理食塩水、又は塩化リチウム(分子量 42.4ダルトン)液の0.5 mlずつをマウス(n=5)の腹腔内に投与して、サッカリン溶液味覚に対する嫌悪感学習の条件付けを形成した。その後は、90分間水の入った2つのボトルで摂水させた。実験7日目は水の入った2つのボトルで2時間の摂水を行った。実験8日目は水又はサッカリン溶液の入った2つのボトルを設置して、30分間摂水させ、サッカリン溶液摂水の嗜好性比率(サッカリン摂水量÷2ボトル全体の摂水量)を測定した。各食材液成分の投与量は、摂食量を1/2に抑制する量として、上記方法1で得られた食材液原液の1/4生理食塩水希釈液、並びに上記方法4で得られた>3,000成分を含む残留液の1/16生理食塩水希釈液と<3,000成分を含む濾過液原液を用いた。又、非特異的に摂食量を抑制して、サッカリン嗜好性摂水量を抑制する成分として塩化リチウム液を投与(3 nmo/体重kg)した。対照は生理食塩水投与群とした。データは棒グラフ(平均値±標準誤差)で示した。各群の有意差検定はOne-way analysis of variance (ANOVA)により求めた。
【0052】
結果:
1.食材液原液のNesfatin-1測定 1:食材液原液の各々についてNesfatin-1 ELISAで測定した結果、八重山青木の果実の食材液原液だけがNesfatin-1を比較的高濃度に含有することが初めて発見された。一方、他の食材液原液はNesfatin-1を殆ど含有していなかった。尚、八重山青木の果実は約3ヶ月間に亘り熟成発酵したものであった。図1に八重山青木の果実の食材液原液でNesfatin-1を測定した濃度希釈曲線を示す。その食材液原液の各希釈濃度とNesfatin-1実測濃度値は強い正の相関(r2=0.98257)にあり、当該食材液原液はNesfatin-1を含むことを示す。尚、図1の縦軸はNesfatin-1濃度(ng/ml)を、横軸は八重山青木の果実の食材液原液の希釈倍率を示す。一方、八重山青木の果実の食材液原液では、レプチンならびにアデイポネクチンの測定はできなかった。
【0053】
2.食材液原液のNesfatin-1測定 2:製造元の異なる6種類の八重山青木の果実の食材液原液について測定したところ、全ての八重山青木の果実の食材液原液においてNesfatin-1の測定が可能であり、その濃度は1.04〜61.30 ng/ml(平均12.8 ng/ml)であった。上記の結果から、食欲抑制効果等の測定は、八重山青木の果実の食材液原液について行った。
【0054】
3.食欲抑制効果−1:八重山青木の果実の食材液原液並びにこれを生理食塩水で1/4、1/16に希釈した液をマウスの腹腔内に投与して、摂食量を測定したところ、図3図4に示す様に、八重山青木の果実の食材液原液は、その濃度依存性に摂食量を抑制した。食材液の投与後1〜2時間における、摂食量を1/2に抑制する希釈濃度は1/4であった。又、図4に示す様に、八重山青木の果実の食材液原液投与群は、投与12時間以上経過しても摂食量を抑制していたが、投与24〜48時間経つと、その抑制効果は認められなかった。これらの成績は、八重山青木の果実の食材液は濃度依存性に食欲を抑制し、その抑制効果は24時間以上経過すると、消失することを示す。投与前の体重(BW)と24時間摂食量の結果を図2に、投与後の摂食量の経時的変化量を図3図4に示す。尚、図3図4において、縦軸は累積摂食量(g)を、横軸は投与後の経過時間(h)を示し、白抜きの棒グラフは生理食塩水投与群を、斜線の棒グラフは八重山青木の果実の食材液原液の1/16希釈液投与群を、網掛けの棒グラフは1/4希釈液投与群を、黒色の棒グラフは食材液原液投与群を、それぞれ示す。又、図3図4における*、**は、棒グラフで示す相対群の作用に対する各有意差検定P<0.05、P<0.01を示す。
【0055】
4.分子量による分画・分取:八重山青木の果実の食材液原液を、分子量分画フイルター装置で分画して得た、>3,000成分を含む残留液の蛋白濃度は189〜219 mg/mlであり、食材液原液の蛋白濃度は50〜58 mg/mlであった。又、食材液原液中のカリウム含有濃度は46.6 mgであり、分子量分画フイルター装置で得た>3,000成分を含む残留液中のカリウム含有濃度は4.1 mgで、その残存率は平均8.8 %であった。一方、<3,000成分を含む濾過液中のカリウム含有濃度は44.2 mgで、その回収率は平均94.8 %と計算され、カリウム(分子量39ダルトン)などの小分子量成分は<3,000成分を含む濾過液中に含まれていた。又、使用した食材液原液のNesfatin-1濃度は46〜61(平均55)ng/mlで、分子量分画フイルター装置で得た>3,000成分を含む残留液のNesfatin-1濃度は1.372〜1.691(平均1.504)ng/mlであり、>3,000成分を含む残留液のNesfatin-1濃度は、食材液原液の濃度に比較して27倍に残留されていた。一方、<3,000成分を含む濾過液のNesfatin-1濃度は0.5〜10.3(平均3.1)ng/mlであり、食材液原液の濃度の5.6 %にすぎず、Nesfatin-1は>3,000成分を含む残留液中に残存していた。又、食材液原液のアミノ酸で、1 mg/ml濃度以上含有しているアミノ酸として、グルタミン酸(分子量 147ダルトン)、アスパラギン酸(分子量 133ダルトン)、アルギニン(分子量 174ダルトン)とアラニン(分子量 89ダルトン)があり、各々1.89 mg/ml、1.37 mg/ml、1.07 mg/ml、1.02 mg/mlが食材液原液に含有されており、これらの小分子量成分の殆どは、<3,000成分を含む濾過液中に存在することが計算された。
【0056】
5.食欲抑制効果−2(長時間作用):八重山青木の果実の食材液原液を、分子量分画フイルター装置で得た、>3,000成分を含む残留液の投与群は、図6図7に示す様に、著明な食欲抑制作用を示した。又、図7に示す様に、食材液原液の投与群の食欲抑制作用は、投与24時間後には認められなくなったが、>3,000成分を含む残留液の投与群による食欲抑制作用は、更に長時間(投与後24時間〜48時間)持続した。これらの成績は、>3,000成分を含む残留液は食欲抑制の長時間作用効果を有することを示す。投与前の体重(BW)と24時間摂食量の結果を図5に、投与後の摂食量の経時的変化量を図6図7に示す。尚、図6図7において、縦軸は累積摂食量(g)を、横軸は投与後の経過時間(h)を示し、白抜きの棒グラフは生理食塩水の投与群を、黒色の棒グラフは八重山青木の果実の食材液原液の投与群を、網掛けの棒グラフは>3,000成分を含む残留液の投与群を、それぞれ示す。**は生理食塩水投与群の作用(図6)又は棒グラフで示す相対群の作用(図7)に対する有意差検定P<0.01を示す。
【0057】
6.食欲抑制効果−3(増強作用):八重山青木の果実の食材液原液を分子量分画フイルター装置で分画して得た、>3,000成分を含む残留液並びにこれを生理食塩水で1/4、1/16に希釈した液をマウスの腹腔内に投与して、摂食量を測定した。図9図10に示す様に、>3,000成分を含む残留液は、その濃度依存性に摂食量を抑制した。>3,000成分を含む残留液の投与後1〜2時間の摂食量を1/2に抑制する希釈濃度は1/16であり、その食欲抑制効果は食材液原液の約4倍強いことが判明した。又、その食欲抑制効果は、投与後24時間経過しても持続していた。これらの成績は、>3,000成分を含む残留液は食欲抑制の増強作用効果も有することを示す。投与前の体重(BW)と24時間摂食量の結果を図8に、投与後の摂食量の経時的変化量を図9図10に示す。尚、図9図10において、縦軸は累積摂食量(g)を、横軸は投与後の経過時間(h)を、白抜きの棒グラフは生理食塩水投与群を、斜線の棒グラフは>3,000成分を含む残留液の1/16希釈液投与群を、網掛けの棒グラフは1/4希釈液投与群を、黒色の棒グラフは残留液原液投与群を、それぞれ示す。図9図10における*、**は生理食塩水投与群の作用に対する各有意差検定P<0.05、P<0.01を示す。
【0058】
7.食欲抑制効果−4(小分子量成分):八重山青木果実の食材液原液を、分子量分画フイルター装置で分画して得た、小分子量の<3,000成分を含む濾過液の投与群は、図12図13に示す様に、食欲を抑制し、その抑制作用は食材液原液の投与群で認められる作用と同等であった。カリウムやアミノ酸などの小分子量成分はこの濾過液に含まれる。しかし、図13に示す様に、<3,000成分を含む濾過液投与群による食欲抑制作用は、食材液原液投与群の作用と同様、投与24時間後には認められなくなった。これらの成績は、小分子量<3,000成分液は食欲抑制効果を有するが、増強作用や長時間作用を有さないことを示す。投与前の体重(BW)と24時間摂食量の結果を図11に、投与後の摂食量の経時的変化量を図12図13に示す。尚、図12図13において、縦軸は累積摂食量(g)を、横軸は投与後の経過時間(h)を、白抜きの棒グラフは生理食塩水の投与群を、黒色の棒グラフは八重山青木果実の食材液原液の投与群を、網掛けの棒グラフは<3,000成分を含む濾過液の投与群を、それぞれ示す。図12図13における*、**は生理食塩水投与群の作用に対する各有意差検定P<0.05、P<0.01を示す。
【0059】
8.条件付け味覚嫌悪感嗜好効果:塩化リチウムの投与は、図14に示す様にサッカリン嗜好性摂水量を著しく抑制したが、食材液原液、>3,000成分を含む残留液、並びに<3,000成分を含む濾過液の投与は、サッカリン嗜好性摂水量を抑制しなかった。これらの成績は、八重山青木果実の食材液原液、>3,000成分を含む残留液、並びに<3,000成分を含む濾過液による食欲抑制効果は、非特異的作用でないことを示す。各液投与後のサッカリン嗜好性摂水量の変化を図14に示す。尚、図14において、縦軸はサッカリン溶液摂水の嗜好性比率を、白抜きの棒グラフ(A)は生理食塩水の投与群を、黒色の棒グラフ(B)は八重山青木果実の食材液原液投与群を、斜線の棒グラフ(C)は>3,000成分を含む残留液投与群を、網掛けの棒グラフ(D)は<3,000成分を含む濾過液投与群を、灰色の棒グラフ(E)は塩化リチウム投与群を、それぞれ示す。**は生理食塩水投与群の作用に対する有意差検定P<0.01を示す。
【0060】
これまで、長年にわたり市場等で販売されている多くの食材液等の中で、八重山青木に由来する食材液成分、例えばその果実の搾汁液における食欲抑制作用について検討した実験データや、実際に八重山青木の果実の食材液を用いて食欲抑制作用を検討した実験データはない。これに対し本発明は、八重山青木の果実の食材液が食欲抑制分子Nesfatin-1を含有していることを初めて証明すると共に、八重山青木に由来する成分、例えばその果実の搾汁液に含有される食欲抑制組成物は、その濃度依存性に食欲抑制作用を示すことを見出した。
【0061】
加えて、分子量分画フイルター装置で処理して>3,000成分を含む残留液とした八重山青木の果実に由来する食材液成分の食欲抑制組成物は、未処理の食材液成分の食欲抑制組成物による食欲抑制の増強作用効果及び長時間作用効果を有し、その食欲抑制効果は非特異的作用でないことを初めて証明した。
【0062】
又、分子量分画フイルター装置で処理して小分子量の<3,000成分を含む濾過液とした食材液成分についても、食欲抑制の増強作用効果や長時間作用効果は認められないが、食欲抑制効果が認められており、八重山青木に由来する複数のアミノ酸などの小分子量成分、例えばその果実の搾汁液を含有する食欲抑制組成物は食欲抑制効果を示し、その食欲抑制効果は非特異的作用でないことを初めて証明した。
【0063】
従って、本発明は食欲抑制組成物として極めて優れている。
図1
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