特許第6351025号(P6351025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351025
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】容器入り食品とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/00 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A23L3/00 101A
   A23L3/00 101C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-28970(P2013-28970)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-155473(P2014-155473A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年7月22日
【審判番号】不服2016-18186(P2016-18186/J1)
【審判請求日】2016年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品グループ本社株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中山 陽佑
【合議体】
【審判長】 山崎 勝司
【審判官】 田村 嘉章
【審判官】 佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−181700(JP,A)
【文献】 特開2003−304817(JP,A)
【文献】 特開平10−14506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂と、親水性乳化剤である第1乳化剤と、親油性乳化剤である第2乳化剤と、加熱によりゲル化する蛋白質と、耐熱性を有するゲル化剤とを水に分散させた形態の食品を、ヘッドスペースが存在する状態で底壁内面に油を付着した皿状容器に密封し、該皿状容器を天地を逆転させた状態で加熱処理を施して、食品を固形に調製ことを特徴とする容器入り食品の製造方法。
【請求項2】
第1乳化剤がHLB値8以上のもので、かつ第2乳化剤がHLB値7以下のものである、請求項1記載の容器入り食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器入り食品とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第3792599号公報(特許文献1)には、皿状容器の底壁の内面に油を付着した後、蛋白質を含む材料のペースト及びゲル化剤を含む流動性の、加熱処理及び/又は冷却処理によりゲル化する性状の食品材料を容器に充填し、ヘッドスペースが存在するように蓋材を容器の周壁の上縁にヒートシールして容器を密封し、容器を天地を逆転させた状態(蓋が底になる状態)で加熱処理することを特徴とする容器入り食品の製造方法が記載されている。
粘性のある流動性の食品材料を皿状容器に充填し、蓋材を容器の周壁の上縁にヒートシールして容器を密封する場合には、シール面に食品材料が噛むと重大なシール不良となるため、ヘッドスペースが存在する状態、つまり、充填した食品材料の表面が容器の周壁の上縁よりも下方に位置する状態でシールする必要がある。さらに、蓋材を開封した際、食品の上面に褐変及び凹凸が生じるのを防ぐ目的で、容器の天地を逆転させ、この状態下で加熱処理を施すことが行われている。
特許文献1に記載された発明では、前記の容器入り食品を逆転状態で加熱処理した場合に、容器の底壁の内面に原料の濃縮乾燥物が固着する問題を解消することを目的として、皿状容器の底壁の内面に油を付着した後、特定のゲル状食品の材料を容器に充填して密封し、天地を逆転させた状態で加熱処理する構成を採用している。
【0003】
一方、特開昭57−174078号公報(特許文献2)には、レトルト食品の風味劣化及び褐変の発生を防止するための技術として、特定の原料を含有するレトルト食品に蔗糖脂肪酸エステルを0.05〜3重量%添加することを特徴とするレトルト食品の風味劣化防止法が開示されている。
【0004】
前記の特許文献1に記載された発明において、食品として蛋白質を含むペースト乃至液状物を材料とするゲル状食品が挙げられているが(段落0009)、油脂を水に分散させた形態の食品、例えば油脂を水に分散させたペースト乃至液状物を材料とするゲル状食品の場合は、加熱処理する際にヘッドスペースが存在する部分(ヘッドスペースに接する食品の表面部分)において、食品が変色する等の品質低下をまねく問題が発生した。
【0005】
さらに、ゲル状食品の加熱処理(レトルト加熱等)を施した場合のゲル安定性を向上する目的から、食品に耐熱性を有するゲル化剤を含む場合には、皿状容器の底壁内面に油を付着した場合でも、容器入り食品を逆転状態で加熱処理する際に、耐熱性ゲル化剤の強固な付着性によって容器の底壁内面に原料が固着する問題が発生した。特に油脂を水に分散させた形態の食品が容器の壁面に固着した場合には、加熱処理により固着した食品の変色等の品質低下が著しいという問題があった。容器入り食品を逆転状態ではなく、通常の状態で加熱処理する場合でも、加熱処理工程以前に振動等によって食品が蓋内面に付着すると、同様の問題が発生した。
【0006】
前記の容器入り食品を加熱処理する際に食品の品質低下をまねく問題は、特許文献1に記載された発明により、容器の底壁内面に油を付着することによっても、また、特許文献2に記載された発明により、食品に蔗糖脂肪酸エステルを特定量添加することによっても解消することはできなかった。つまり、前記の問題は、油脂を水に分散させた形態の食品を、ヘッドスペースが存在するように収容した容器入り食品を加熱処理する際に発生する特有の課題である。また、加熱処理する際に容器の壁面に食品が固着し品質低下をまねく問題は、食品が耐熱性ゲル化剤を含有する場合に発生する特有の課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3792599号公報
【特許文献2】特開昭57−174078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、油脂を水に分散させた形態の食品をヘッドスペースが存在する状態で容器に密封した容器入り食品を加熱処理する際に、ヘッドスペースが存在する部分において食品が変色する等の品質低下をまねく点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、油脂と、親水性乳化剤である第1乳化剤と、該第1乳化剤よりもHLB値が低い第2乳化剤と、必要により他の食品材料とを水に分散させた形態の食品を、ヘッドスペースが存在する状態で容器に密封して加熱処理を施したことを特徴とする容器入り食品、を最も主要な特徴とする。
【0010】
本発明は、油脂と、親水性乳化剤である第1乳化剤と、該第1乳化剤よりもHLB値が低い第2乳化剤と、必要により他の食品材料とを水に分散させた形態の食品を、ヘッドスペースが存在する状態で容器に密封して加熱処理を施すことを特徴とする容器入り食品の製造方法、を別の主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器入り食品は、油脂を水に分散させた形態の食品をヘッドスペースが存在する状態で容器に密封し、加熱処理する際に、ヘッドスペースが存在する部分において食品が変色する等の品質低下を低減することができるという利点がある。また、前記の容器入り食品を加熱処理する際に、容器の壁面に固着した食品の品質低下を低減することができるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(食品)
食品は、油脂と必要により他の食品材料とを水に分散させた形態の食品であればいずれでもよい。油脂と必要により他の食品材料とを水に分散させるための手段や装置は任意である。水に油脂、他の食品材料を混合するか、均質化する等の手段をとればよく、各種混合装置やホモゲナイザー等の各種均質器を用いればよい。
【0013】
食品は水分を50質量%以上、好ましくは60〜80質量%含むものが望ましい。また食品は油脂を3質量%以上、好ましくは5〜10質量%含むことが望ましい。これらの食品には、下記する乳化剤を均一に分散することができる。なお、本発明において、食品とは、前記の水に油脂、他の食品材料を分散させた形態の食品(分散系)を指し、上記食品に適宜加えられる具材等は含まない。本明細書中で上記食品とは別の具材、別の分散系(すなわち本発明の食品(分散系)とは別に設けられる所期の乳化剤を含まない分散系等)等を「他の系」と称する場合がある。本明細書中で特段の説明がない限り、各成分の含有量は、他の系を除く本発明の食品(分散系)全量に対する割合を指す。
【0014】
食品の性状は、固形、ペースト状及び液状等任意である。固形、ペースト状等の食品は容器内で移動しにくいため、加熱処理する際に容器内のヘッドスペースに接する表面部分だけが気体と接した状態で加熱され、その部分が品質低下をまねきやすく本発明が有用となる。特に固形食品、高粘度のペースト状食品が該当する。固形食品、ペースト状食品には、液状乃至ペースト状等の食品材料にゲル化剤等を含み、適宜ゲル状や高粘性の物性に調製されたものが含まれる。
【0015】
食品の具体例としては、固形食品としてはゼリー、プリン、茶碗蒸し等のゲル状食品が、ペースト状食品としてはジャム、フィリングが、液状食品としてはソース、シチュー、カレーが挙げられる。食品の味質は任意である。
【0016】
(乳化剤)
親水性乳化剤である第1乳化剤と該第1乳化剤よりもHLB値が低い第2乳化剤とを用いる。
第1乳化剤は、HLB値が8以上、好ましくは13〜16の親水性乳化剤である。第2乳化剤は、第1乳化剤との相対的な関係で第1乳化剤よりもHLB値が低いものであればいずれでもよく、第1乳化剤よりもHLB値が3〜15低いものが望ましい。第2乳化剤は、HLB値が7以下、好ましくは3〜7の親油性乳化剤であることが望ましい。第1乳化剤と第2乳化剤のいずれも、乳化剤の種類としては食品用に認められた乳化剤であれば任意に用いることができ、具体的には蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンが挙げられる。
【0017】
第1乳化剤と第2乳化剤のいずれの場合も、各々食品に0.05〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%含むのが望ましい。両者をこれらの範囲で含むことで、食品の風味等を損なわずに、容器内のヘッドスペースが存在する部分において食品が変色する等の品質低下をまねく問題を効果的に低減することができる。
【0018】
(耐熱性を有するゲル化剤)
ゲル状食品や粘性のペースト状食品等の加熱処理(レトルト加熱等)を施した場合のゲルや粘性の安定性を向上する目的で、食品に耐熱性を有するゲル化剤を含むことができる。耐熱性ゲル化剤は、求める耐熱性に応じて適宜選択して用いることができ、ジェランガム、耐熱性寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン及びグルコマンナン等を好適に用い得る。耐熱性ゲル化剤は、食品に0.01〜4質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%含むのが望ましい。これにより特に耐熱ゲル安定性の高いゲル状食品が得られる。
【0019】
(他の食品材料)
本発明の食品(分散系)に任意に分散させる他の食品材料として蛋白質及び/又は糖質が挙げられる。これらを含む食品では、加熱処理する際に容器内のヘッドスペースが存在する部分において変色等の品質低下をまねきやすく、本発明が有用となる。他の食品材料として、これ以外のものも食品の味質に応じて適宜用い得、肉や野菜のペースト、エキス・調味料類、香料等を含むことができる。他の食品材料は本発明の主旨を逸脱しなり限り、任意のものを任意の量用いることができる。
【0020】
なお、本発明の食品(分散系)に米飯や肉、野菜の具材等の他の系を含むことができる。本発明の食品(分散系)と他の系とは、両者を層状に重ねたり、他の系に本発明の食品をトッピングした形態で用いることができる。これらの場合も他の系は本発明の主旨を逸脱しなり限り、任意のものを任意の量用いることができる。
【0021】
(容器入り食品の製造)
前記の本発明の食品を、ヘッドスペースが存在する状態で容器に密封して加熱処理を施して容器入り食品を製造する。
上記容器としては、皿状容器、パウチ、テトラパック等を任意に用い得、特許文献1に開示された皿状容器に蓋体をヒートシールした形態のものが挙げられる。なお特許文献1に開示された事項は本明細書に包含されるものとする。容器は、求める耐熱性、利用性等に応じて、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂、アルミ等の金属、紙、ガラス、あるいはこれらの複合素材を任意の材料より任意の形状にしたものを用いることができる。
【0022】
食品を容器に充填密封する方法は、常法により行うことができ、特に制限されない。容器の容量に合わせて適宜の量の食品を充填し、ヘッドスペースが存在する状態で容器を密封すればよい。密封した容器入り食品を、常法によりレトルト等を用いて加熱処理すればよい。加熱処理の条件は殺菌の目的等に応じて設定し得るが、例えば80℃〜122℃で行うことができる。
皿状容器の底壁内面に油を付着した後、容器入り食品を逆転状態で加熱処理することができ、この場合は容器の底壁内面に原料が固着する問題を有効に低減することができる。
【0023】
なお、食品に第1乳化剤と第2乳化剤とを分散させる場合には、各々の乳化剤を同時あるいは別々に水乃至油に分散(均質化を含む)させた乳化原料とした上で分散させることが望ましい。これにより各々の乳化剤を食品中に均一に分散させることができ、加熱処理の際に食品の品質低下を低減する所望の効果を良好に達成することができる。
本発明の食品(分散系)と他の系とを層状に重ねたり、他の系に本発明の食品をトッピングした形態とする場合は、常法により行うことができ、層状ゲル状食品の製造技術を用いたり、本発明の食品と他の系とを順次容器に充填密封する手段等を用いればよい。液体等の場合には比重分離等の手段を用いてもよい。
【0024】
例としてゲル状食品は以下の手順で製造することができる。
油脂、第1乳化剤、第2乳化剤、ゲル化剤及び必要により他の食品材料を水に分散させた食品材料を、ヘッドスペースが存在する状態で容器に密封する。上記の容器入り食品を冷却処理してゲル化した後加熱処理し、冷却処理する。上記の場合に、食品材料に耐熱性を有するゲル化剤や、加熱によりゲル化する蛋白質等を含むことで、より耐熱性の高いゲル状食品が得られる。
【実施例】
【0025】
実施例1
(食品材料)
水25質量部にHLB16の蔗糖脂肪酸エステル(親水性乳化剤)0.3質量部を加えて混合し分散させた。植物油脂4質量部にHLB5の蔗糖脂肪酸エステル(親油性乳化剤)0.1質量部を加えて混合し分散させた。上記各々の分散液をホモゲナイザーに投入して合せ、均質化して乳化原料を製造した。
さらに、ホモゲナイザーに鶏肉のすり身のペースト5質量部、野菜ペースト2質量部、水30質量部に分散させたジェランガム0.3質量部、糖質5質量部、エキス・調味料類7質量部及び粉体原料21.3質量部を投入して合せ、均質化して油脂分約7質量%、水分77質量%のペースト状の食品材料を得た。上記の食品材料は本発明の食品(分散系)に相当する。
【0026】
(容器入り食品の製造)
充填装置を用いて容量約84mlの耐熱樹脂製の皿状容器に、前記ペースト状の食品材料約70gをその上面が容器の周壁の上縁よりも約3mm下方に位置するように充填した。蓋材を皿状容器の周壁上縁のフランジに被せ、ヒートシールした。
ヒートシールした皿状容器をレトルトに格納し、原料をゲル化するために冷却処理した後、122℃(圧力:0.25MPa)で加熱処理(兼殺菌処理)し、続けて冷却処理した。以上の操作により容器入り食品を製造した。食品はテリーヌ様のゲル状食品であった。
【0027】
容器入り食品は連続式製造装置を用いて2000個製造した。いずれの製品においても、蓋材を取ったところ、食品の表面に変色は見られず、本来の品質が保持されていた。
【0028】
実施例2
食品材料を充填する前に皿状容器の底壁内面に加工油脂を均一に噴霧し、ヒートシールした皿状容器を、天地を逆転させた状態としてレトルトに格納した点以外は実施例1と同様にして容器入り食品を製造した。
いずれの製品においても、蓋材を取ったときの性状は実施例1の場合と同様であった。さらに食品を容器から取出した場合は、食品の底面に変色は見られず、また容器の底壁内面に原料が付着した場合でも付着部分に変色は見られず、本来の品質が保持されていた。
【0029】
実施例3
常法によって製造したクリームシチューに、HLB13の蔗糖脂肪酸エステル(親水性乳化剤)0.2質量%及びをHLB7のグリセリン脂肪酸エステル(親油性乳化剤)0.1質量%を加えてホモゲナイザーで均質化した。上記のクリームシチューには油脂が約7質量%含まれる。
【0030】
上記のクリームシチュー約70gを実施例1と同様に皿状容器に収容してレトルトに格納し、122℃(圧力:0.25MPa)で加熱処理(兼殺菌処理)し、続けて冷却処理した。
容器入り食品は連続式製造装置を用いて2000個製造した。また、いずれの製品においても、蓋材を取ったところ、クリームシチューの表面に変色は見られず、本来の品質が保持されていた。
【0031】
実施例4
実施例1と同様の皿状容器に炊飯米約35gを充填した。その上から実施例1と同様にして得たペースト状の食品材料約35gを、その上面が容器の周壁の上縁よりも約3mm下方に位置するように充填した。蓋材のヒートシール以降は実施例1と同様の操作により加熱殺菌処理済の容器入り食品を製造した。食品は米飯の上にテリーヌ様のゲル状食品がトッピングされたものであった。いずれの製品においても、蓋材を取ったときの性状は実施例1の場合と同様であった。本例で炊飯米は他の系に相当する。
【比較例】
【0032】
比較例1
乳化原料として水25質量部にHLB16の蔗糖脂肪酸エステル(親水性乳化剤)0.4質量部を加えて混合し、ホモゲナイザーに投入して均質化した乳化原料を用い、かつホモゲナイザーに投入する乳化原料以外の原料として、水30質量部に分散させたジェランガム0.3質量部に代えて植物油脂4質量部及び水30質量部に分散させたジェランガム0.3質量部を用いた以外は実施例1と同様にして容器入り食品を製造した。容器入り食品は、蓋材を取ったところ、多くのもので食品の表面に褐色の変色が見られた。
【0033】
比較例2
食品材料を充填する前に皿状容器の底壁内面に加工油脂を均一に噴霧し、ヒートシールした皿状容器を、天地を逆転させた状態としてレトルトに格納した点以外は比較例1と同様にして容器入り食品を製造した。
【0034】
容器入り食品は、蓋材を取ったところ、多くのもので食品の表面に褐色の変色が見られた。さらに食品を容器から取出した場合は、食品の底面にも同様の変色が見られ、また容器の底壁内面に付着した原料にも同様の変色が見られた。
【0035】
比較例3
ジェランガム0.3質量部に代えてκ−カラギーナン0.3質量部を用いた以外は実施例2と同様にして容器入り食品を製造した。
容器入り食品は、蓋材を取ったところ、食品の表面に変色が見られるものは殆どなかった。さらに食品を容器から取出した場合は、食品の底面に変色が見られるものは殆どなく、また容器の底壁内面に原料の付着が認められるものは少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
油脂を水に分散させた形態の食品をヘッドスペースが存在する状態で容器に密封した容器入り食品を加熱処理する用途に適用できる。