(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、CVアンプのオペアンプ116の動作速度が上がると、ADC6の初段が参照電圧VREFを基準としたキャパシタ107の容量サンプリングであるため、キャパシタ107がオペアンプ116の出力端子から正入力端子(+)への正帰還経路上に存在すると、発振の原因となってしまう。
これは、外部から参照電圧VREFが供給される箇所の入力インピーダンスが低いが0ではないので、正帰還経路のライン電圧の上下によって参照電圧VREFが変動するためである。そのため、コンデンサC107を含む正帰還経路によってCVアンプが発振する可能性がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、積分回路のオペアンプの出力端子から正入力端子への正帰還経路が存在する場合において、発振を回避することができる信号処理回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明の信号処理回路は、被測定キャパシタに蓄積された電荷に応じた電荷信号を入力して積分し、前記電荷信号を電圧信号に変換する積分回路と、前記積分回路に参照電圧を供給する電圧供給回路とを有し、前記積分回路は、前記電荷信号を入力する負入力端子と、前記参照電圧が供給される正入力端子と、出力端子とを備えたオペアンプと、前記オペアンプの第1の負帰還経路に設けられた第1のキャパシタと、前記第1の負帰還経路と並列に設けられた第2の負帰還経路に設けられた第1のスイッチとを有し、前記電圧供給回路は、前記オペアンプの前記正入力端子に接続され、前記参照電圧を保持する第2のキャパシタと、前記オペアンプの前記出力端子と前記正入力端子との間の正帰還経路に設けられ、前記第1のスイッチがオフのときにオフになり、前記第1のスイッチがオンのときにオンとなる第2のスイッチと、前記正帰還経路において前記第2のスイッチを介して前記第2のキャパシタに前記参照電圧を供給する参照電圧供給点とを有する。
【0006】
第1の発明の信号処理回路では、第1のスイッチがオフとなる積分モードにおいて、第2のスイッチがオフになるため、オペアンプの出力端子から正入力端子への正帰還経路が遮断される。そのため、参照電圧供給点のインピーダンスが0ではないことに起因して参照電圧供給点付近の電圧が変動しても、発振することを回避できる。このときは、オペアンプの正力端子には、第2のキャパシタの蓄積電荷に応じた参照電圧が供給されるので、オペアンプは適切に動作する。
また、当該信号処理回路は、第1のスイッチがオンとなるリセットモードにおいて、第2のスイッチがオンになり、参照電圧供給点から第2のキャパシタに電荷が蓄積される。そのため、第2のキャパシタの蓄積電荷が減少しても、再度、チャージすることができる。このとき、オペアンプは負帰還によってゲインが1になっているため、正帰還経路が形成されても、発振することはない。
【0007】
好適には、第1の発明の信号処理回路は、前記第1のスイッチがオフのとき、前記オペアンプの前記出力端子と前記参照電圧供給点との間の電圧を保持する第3のキャパシタを備えたサンプルホールド回路を有する。
第3のキャパシタには、第1のスイッチがオフのときに、第1のキャパシタと第3のキャパシタとの静電容量と、前記オペアンプの前記出力端子と前記参照電圧供給点との間の電圧とに応じた電荷が蓄積されて保持される。
【0008】
好適には、第1の発明の信号処理回路は、前記第1のスイッチがオンのときに、前記第3のキャパシタに蓄積された電荷を後段回路に供給する第3のスイッチを有する。
第3のスイッチをオンにすることで、第3のキャパシタに蓄積された電荷を後段回路に供給できる。
【0009】
好適には、第1の発明の信号処理回路の前記サンプルホールド回路は、前記第3のキャパシタと前記オペアンプの出力端子との接続をオン/オフし、前記第1のスイッチがオンのときにオフとなる第4のスイッチと、前記第3のキャパシタの前記後段回路側と、前記参照電圧供給点との間の接続をオン/オフし、前記第1のスイッチがオンのときにオフとなる第5のスイッチと、前記第3のキャパシタの前記オペアンプの出力端子側と、前記参照電圧供給点との間の接続をオン/オフし、前記第1のスイッチがオンのときにオンとなる第6のスイッチとをさらに有する。
【0010】
好適には、第1の発明の信号処理回路の前記電圧供給回路は、前記正帰還経路上の前記第2のスイッチと前記参照電圧供給点との間に位置する抵抗をさらに有する。
積分モードにおいて、正帰還経路の抵抗と第2のキャパシタがノイズフィルタとして機能し、オペアンプの正入力端子に供給される参照電圧がノイズの影響を受けることを抑制できる。その結果、ノイズがサンプリングされることを回避し、高性能を実現できる。
【0011】
好適には、第1の発明の信号処理回路の前記被測定キャパシタは、被測定対象の状態によって電極間容量を変化させるセンサ電極である。
【0012】
第2の発明の信号処理回路は、被測定キャパシタに蓄積された電荷に応じた電荷信号を入力して積分し、前記電荷信号を電圧信号に変換する積分回路と、前記積分回路に参照電圧を供給する電圧供給回路とを有し、前記積分回路は、前記電荷信号を入力する負入力端子と、前記参照電圧が供給される正入力端子と、出力端子とを備えたオペアンプと、前記オペアンプの第1の負帰還経路に設けられた第1のキャパシタと、前記第1の負帰還経路と並列に設けられた第2の負帰還経路に設けられた第1のスイッチとを有し、前記電圧供給回路は、前記オペアンプの前記正入力端子に前記参照電圧を供給する参照電圧供給点と、前記オペアンプの前記出力端子と前記正入力端子との間の正帰還経路に設けられ、前記第1のスイッチがオフのときにオフになり、前記第1のスイッチがオンのときにオンとなる第2のスイッチと、前記第2のスイッチを介して前記参照電圧供給点に接続され、前記参照電圧を保持する第2のキャパシタとを有する。
【0013】
第2の発明の信号処理回路では、第1のスイッチがオフとなる積分モードにおいて、第2のスイッチがオフになるため、オペアンプの出力端子から正入力端子への正帰還経路が遮断される。そのため、参照電圧供給点のインピーダンスが0ではないことに起因して参照電圧供給点付近の電圧が変動しても、発振することを回避できる。このときは、参照電圧供給点は、第2のキャパシタによって参照電圧が保持されるため、当該参照電圧を基準としてオペアンプは動作する。
また、当該信号処理回路は、第1のスイッチがオンとなるリセットモードにおいて、第2のスイッチがオンになり、参照電圧供給点から第2のキャパシタに電荷が蓄積される。そのため、第2のキャパシタの蓄積電荷が減少しても、再度、チャージすることができる。このとき、オペアンプは負帰還によってゲインが1になっているため、正帰還経路が形成されても、発振することはない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の信号処理回路は、積分回路のオペアンプの出力端子から正入力端子への正帰還経路が存在する場合において、発振を回避することができる静電容量検出回路を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る信号処理回路を説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る信号処理回路1の構成図である。
信号処理回路1は、静電容量検出回路2、サンプルホールド回路4、ADC6および制御回路30等を有する
信号処理回路1では、静電容量検出回路2の積分回路20が積分モードで動作しているときに、スイッチSW2をオフにして正帰還経路が形成されないようにすることで、静電容量検出回路1が発振することを回避する。
【0017】
図1において、キャパシタC101が被測定キャパシタの一例であり、積分回路20が本発明の積分回路の一例であり、電圧供給回路22が本発明の電圧供給回路の一例であり、オペアンプ16が本発明のオペアンプの一例である。
また、キャパシタC1,C2,c3が、それぞれ本発明の第1,第2,第3のキャパシタの一例である。
また、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6が、それぞれ本発明の第1,第2,第3,第4,第5,第6のスイッチの一例である。
また、参照電圧供給点53が本発明の参照電圧供給点の一例である。また、参照電圧VREF1が本発明の参照電圧の一例である。
【0018】
静電容量検出回路2は、例えば、駆動回路10,12、センサ14、積分回路20および電圧供給回路22を有する。
駆動回路10および駆動回路12には、例えば、信号処理回路1の外部からパルス信号S1が入力される。
駆動回路10は、パルス信号S1がハイレベルおよびローレベルのときにそれぞれハイレベルおよびローレベルでキャパシタC101を駆動する駆動信号S10を生成し、これをキャパシタC101に供給する
【0019】
駆動回路12は、パルス信号S1がハイレベルおよびローレベルのときにそれぞれローレベルおよびハイレベルでキャパシタC103を駆動する駆動信号S12を生成し、これをキャパシタC103に供給する。すなわち駆動信号S10とS12とは逆位相になる。
【0020】
センサ14は、キャパシタC101とC103とを有する。
キャパシタC101は、容量センサ素子であり、例えば、湿度や加速度、ユーザの指等の接触に応じて静電容量が変化する。キャパシタC101は、駆動信号S10のレベルと、湿度や加速度、指等の接触に応じた静電容量とに応じた電荷を蓄積する。
キャパシタC103は、その静電容量と駆動信号S12のレベルに応じた電荷を蓄積する。
【0021】
キャパシタC101とC103は、湿度や加速度、ユーザの指等の接触に応じて静電容量が一定の条件で変化するように設置されている。
キャパシタC101とC103には、相互に逆相の駆動信号S10,S12が供給されるため、キャパシタC101の静電容量とキャパシタC103の静電容量(参照用)との差分に応じた電荷信号S14がオペアンプの負入力端子(−)に入力される。
【0022】
積分回路20は、オペアンプ16、積分キャパシタC1およびスイッチSW1を有する。
積分回路20は、スイッチSW1がオフの状態で電荷信号S14を入力してキャパシタC1に電荷を蓄積する。
一方、積分回路20は、スイッチSW1がオンの状態で、積分キャパシタC1の蓄積電荷をリセットする。
これにより、オペアンプ16の出力端子から出力される電圧信号S6は、
図2Dに示すようになる。
【0023】
オペアンプ16は、センサ14からの電荷信号S14が供給される負入力端子(−)と、正入力端子(+)と、出力端子とを有する。
オペアンプ16の出力端子は、第1の負帰還経路により、積分キャパシタC1を介して負入力端子(−)に接続されている。
また、オペアンプ16の出力端子は、第1の負帰還経路と並列に設けられた第2の負帰還経路により、スイッチSW1を介して負入力端子(−)に接続されている。
オペアンプ16の正入力端子(+)には、電圧供給回路22によって参照電圧VREF1となる。
【0024】
電圧供給回路22は、オペアンプ16の正入力端子(+)に参照電圧VREF1を供給する。
電圧供給回路22は、一方の極がVSS(グラウンド)となり、他方の極がオペアンプ16の正入力端子に接続されたキャパシタC2を有する。すなわち、キャパシタC2の上記他方の極は参照電圧VREF1となる。
また、電圧供給回路22は、キャパシタC2の上記他方の極と、参照電圧供給点53との間に位置するスイッチSW2と、スイッチSW2と参照電圧供給点53との間に位置する抵抗40とを有する。
【0025】
参照電圧供給点53は、外部からの電圧供給により、参照電圧VREF2となる。参照電圧VREF2を供給する電圧供給回路(図示せず)のインピーダンスは理想的には0であるが、実際には0ではないため、参照電圧供給点53に接続される信号線の電圧が変動すると、参照電圧VREF2も変動し、オペアンプ16の出力信号が正入力端子(+)へと正帰還されて発振を起こす可能性がある。
信号処理回路1では、後述するように積分回路20が積分モードで動作しているときに、スイッチSW2をオフにして正帰還経路が形成されないようにすることで、上述したような発振の発生を回避する。
【0026】
サンプルホールド回路4は、キャパシタC3及びスイッチSW4,SW5,SW6を有する。
【0027】
サンプルホールド回路4では、オペアンプ16の出力端子と参照電圧供給点53との間の経路上に、スイッチSW4、キャパシタC3およびスイッチSW5が順に配置されている。
スイッチSW4とキャパシタC3との間の点と参照電圧供給点53との間には、スイッチSW6が設けられている。
また、キャパシタC3とスイッチSW5との間の点は、スイッチSW3を介してADC6に接続されている。
【0028】
サンプルホールド回路4は、オペアンプ16の出力端子からの電圧信号S16に応じた電荷をキャパシタC3に一定期間蓄積してADC6に供給する。ADC6は、キャパシタC3の蓄積電荷に応じた電圧をデジタル信号に変換する。
【0029】
制御回路30は、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5のオン/オフを制御する。
制御回路30は、スイッチSW1がオフの期間(積分モードの期間)に、
図1に示すようにスイッチSW2,SW3,SW6をオフにし、スイッチSW4,SW5をオンにするように制御する。
一方、制御回路30は、スイッチSW1がオンの期間(リセットモードの期間)に、
図2に示すようにスイッチSW1,SW3,SW6をオンにし、スイッチSW4,SW5をオフにするように制御する。
【0030】
以下、信号処理回路1の動作例を説明する。
パルス信号S1が駆動回路10,12に供給される。
駆動回路10が、パルス信号S1に応じて、
図3Aに示す駆動信号S10をキャパシタC101に供給する。
それと並行して、駆動回路12が、パルス信号S1に応じて、駆動信号S10と逆相の
図3Bに示す駆動信号S12をキャパシタC103に供給する。
【0031】
そして、キャパシタC101は、駆動信号S10のレベルと、静電容量とに応じた電荷を蓄積する。当該静電容量は、湿度や加速度、ユーザの指等の接触に応じた値を示す。
また、キャパシタC103は、その静電容量と駆動信号S12のレベルに応じた電荷を蓄積する。
キャパシタC101とC103には、相互に逆相の駆動信号S10,S12が供給されるため、キャパシタC101の静電容量とキャパシタC103の静電容量との差分に応じた電荷信号S14がオペアンプの負入力端子(−)に入力される。
【0032】
電界信号S14が積分回路20で積分されてオペアンプ16の出力端子に
図3Dに示す電圧信号S16が生じる。
図3A,
図3Cに示すように、制御回路30は、駆動信号S10がハイレベルの期間の前半にスイッチSW1をオフにし、後半にスイッチSW1をオンにするように制御する。
積分回路20は、スイッチSW1がオフの状態で電荷信号S14に応じた電荷を積分キャパシタC1に蓄積する積分モードとなる。
【0033】
一方、積分回路20は、スイッチSW1がオンの状態で、積分キャパシタC1の蓄積電荷をリセットするリセットモードとなる。
スイッチSW1のオン/オフに応じて、
図2Dに示す電圧信号S6が、オペアンプ16の出力端子に発生する。
【0034】
以下、上述した積分モードとリセットモードにおける動作を説明する。
[積分モード]
静電容量検出回路2は、積分モードにおいて、
図1に示すように、スイッチSW1,SW2,SW3,SW6をオフにし、スイッチSW4、SW5をオンにする。
オペアンプ16は、負入力端子(−)の電圧が、キャパシタC2の蓄積電荷に応じた参照電圧VREF1となるように電圧信号S16を出力する。
信号処理回路1では、積分モードにおいて、スイッチSW2がオフになるため、オペアンプ16の出力端子から正入力端子(+)への正帰還経路が遮断される。このときは、オペアンプ16の正入力端子(+)には、キャパシタC2の蓄積電荷に応じた参照電圧VREF1が供給される。このように正帰還経路が遮断されているため、参照電圧供給点53に接続される信号線の電圧が変動しても、オペアンプ16が発振することない。
【0035】
[リセットモード]
静電容量検出回路2は、リセットモードにおいて、
図2に示すように、スイッチSW1,SW2,SW3,SW6をオンにし、スイッチSW4、SW5をオフにする。
オペアンプ16は、負入力端子(−)の電圧が、キャパシタC2の蓄積電荷に応じた参照電圧VREF1となるように電圧信号S16を出力する。
リセットモードでは、スイッチSW4がオフになり、スイッチSW3,SW6がオンになるため、キャパシタC3に蓄積された電荷に応じた電圧がADC6によってデジタルに変換される。
信号処理回路1では、リセットモードにおいて、スイッチSW2がオンになり、参照電圧供給点53の参照電圧VREF2に応じてキャパシタC2に電荷が蓄積される。
このとき、オペアンプ16の増幅率は1であるため、正帰還経路が形成されても、発振することはない。
【0036】
図3に示す駆動信号S10,S12の電圧レベル、スイッチSW1のオン/オフ、電圧信号S16の電圧レベルを参照して信号処理回路1の動作を説明する。
図2に示すタイミングt1で、電圧信号S16が0Vの状態で、スイッチSW1がオンになりリセット状態になると、スイッチSW2がオンになり、オペアンプ16の電圧信号S16と負入力端子(−)との電圧が一致する。
このとき、スイッチSW2がオンであるので、参照電圧点51(正入力端子(+))の電圧は参照電圧VREF2になる。
そのため、電圧信号S16も参照電圧VREF2になる。
【0037】
次に、
図2に示すタイミングt2で、スイッチSW1がオフになり積分モードになると参照電圧VREF2を基準として、電荷信号S14に応じた電荷が積分キャパシタC1に蓄積され、それに応じて電圧信号S16のレベルが、積分キャパシタC1が飽和状態になるまで上昇する。このとき、駆動信号S10がハイレベルで駆動信号S12がローレベルのであり、それに応じた電荷信号S14がオペアンプ16の負入力端子(−)に供給されている。
また、スイッチSW2はオフであるため、参照電圧点51はキャパシタC2の蓄積電荷に応じた電圧となる。
また、キャパシタC3には、オペアンプ16の負入力端子(−)と参照電圧供給点53との間の電圧を、キャパシタC1とキャパシタC3の容量で分圧した電圧に応じた電荷が蓄積される。
【0038】
次に、
図2に示すタイミングt3で、スイッチSW1がオンになりリセットモードになると、電圧信号S16は、負入力端子(−)のレベル、すなわち参照電圧VREF2となる。
また、スイッチSW4はオフ、スイッチSW7,SW9がオンになる。そして、ADC6が、キャパシタC3の蓄積電荷に応じた電圧をデジタル変換する。
また、スイッチSW2がオンになるため、参照電圧供給点53の参照電圧VREF2に応じた電荷がキャパシタC2に蓄積される。
【0039】
次に、
図2に示すタイミングt4で、スイッチSW1がオフになり積分モードになると参照電圧VREF2を基準とて、電荷信号S14に応じた電荷がキャパシタC1に蓄積され、それに応じて電圧信号S16のレベルが、キャパシタC1が飽和状態になるまで下降する。このとき、駆動信号S10がローレベルで駆動信号S12がハイレベルであり、前述したタイミングt2の場合と逆になる。そのため、キャパシタC1に蓄積される電荷の極性がタイミングt2の場合と逆になり、電圧信号S16のレベルは下降する。
【0040】
以上説明したように、信号処理回路1によれば、積分モードにおいて、スイッチSW2がオフになるため、オペアンプ16の出力端子から正入力端子(+)への正帰還経路が遮断される。そのため、参照電圧供給点53のインピーダンスが0ではないことに起因して参照電圧供給点53に接続される信号線の電圧が変動しても、静電容量検出回路2が発振することを回避できる。このときは、オペアンプ16の正入力端子(+)には、キャパシタC2の蓄積電荷に応じた参照電圧VREF1が供給されるので、オペアンプ16は適切に動作する。
【0041】
また、信号処理回路1によれば、積分モードにおいて、抵抗40とキャパシタC2がノイズフィルタとして機能し、オペアンプ16の正入力端子(+)に供給される参照電圧VREF1がノイズの影響を受けることを抑制できる。その結果、ノイズがサンプリングされることを回避し、高性能を実現できる。
【0042】
また、信号処理回路1では、リセットモードにおいて、スイッチSW2がオンになり、参照電圧供給点53の参照電圧VREF2に応じてキャパシタC2に電荷が蓄積される。そのため、キャパシタC2の蓄積電荷が減少しても、再度、チャージすることができる。また、オペアンプ16は負帰還によってゲインが1になっているため、正帰還経路が形成されても、発振することはない。
【0043】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る信号処理回路101の構成図である。
信号処理回路101は、静電容量検出回路102、サンプルホールド回路4、ADC6および制御回路30等を有する
図4において、
図1と同じ構成要素については同じ符号を付し、説明は省略する。
以下、信号処理回路101について、信号処理回路1との相違点を中心に説明する。
図4に示すように、電圧供給回路122は、オペアンプ16の正入力端子(+)に外部の電圧供給回路(図示せず)から参照電圧VREF2を供給する。
オペアンプ16の出力端子とオペアンプ16の正入力端子(+)との間には、正帰還経路が形成されている。
【0044】
当該正帰還経路上には、オペアンプ16の正入力端子(+)から出力端子に向けて、スイッチSW2、抵抗40が設けられ、抵抗40がスイッチSW5,SW6に接続されている。
抵抗40とスイッチSW5,SW6との間の点53は、キャパシタC2を介してVSSに接続されている。
【0045】
信号処理回路101では、積分モードにおいて、第1実施形態と同様にスイッチSW2がオフになる。発振が回避される。また、オペアンプ16の正入力端子(+)には外部の電圧供給回路から参照電圧VREF2が供給される。
ここで、参照電圧VREF2を供給する電圧供給回路のインピーダンスは理想的には無現大であるが、実際には0ではないため、参照電圧VREF2も変動するが、正帰還経路が遮断されているため、信号処理回路101は発振しない。
また、点53は、キャパシタC2の蓄積電荷に応じた電圧となるため、サンプルホールド回路4は第1実施形態と同様に適切に動作する。
また、リセットモードでは、スイッチSW2がオンになり、参照電圧VREF2に応じてキャパシタC2に電荷が蓄積される。
【0046】
以上説明したように、信号処理回路101によれば、積分モードにおいて、スイッチSW2がオフになるため、第1実施形態と同様に、回路が発振することを効果的に回避できる。
【0047】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、
図1および
図4に示す構成において、抵抗40を設けない場合においても、本発明は適用可能である。
また、センサ14、積分回路20、電圧供給回路22、サンプルホールド回路4等の構成についても特に限定されるものではない。