(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
例証のため、例となる幾つかの応用例を参照して幾つかの側面を説明する。ことを理解されたい。多数の特定の詳細、関係、及び方法が、例示の実施例の充分な理解を提供するために記載されている。しかし、当業者であれば、例示の実施例は、1つ又は複数の特定の詳細なしに又は他の方法で実施され得ることが容易に認識できるだろう。他の例では、これらの実施例を曖昧にすること避けるため、周知の構造又はオペレーションは詳細には示していない。例示の実施例は、例示する順序又は事象により限定されなず、例示の実施例は、図示した行為又は事象の順序に限定されず、幾つかの行為は、異なる順序で及び/又はその他の行為/事象と同時に成されてもよい。また、全ての図示した行為又は事象が、これらの例示の実施例に従った手法を実装する必要はない。
【0009】
トランジスタの閾値電圧(Vt)は概して、基板(ボディ)とゲート誘電体との間のインタフェースにおいて反転層が形成される、ゲート電圧として定義される。しかし、基板とゲート誘電体との間に位置するインタフェース状態は、トランジスタ閾値電圧に寄与するインタフェース電荷(Qit)を生成し得る。従って、Qitの変動はVtを変動させ得る。このインタフェース電荷をパッシベートするための一つの方法は、通常は集積回路プロセスフローの最終工程の一つである、水素雰囲気中で約400℃の温度のアニールである。
【0010】
集積回路プロセスフローのこれ以前の工程が、CMOSトランジスタのゲート誘電体の形成である。この工程は典型的に、基板の単結晶シリコン表面の酸化で始まる。酸化物がシリコン表面上に成長されるにつれて、シリコン原子は、単結晶シリコン表面から取り除かれて、二酸化シリコンのアモルファス層を形成する。酸化が停止すると、何らかのイオン性シリコン及び何らかの不完全なシリコン結合がインタフェース領域に残り、それにより、インタフェーストラップ電荷又はQitと呼ばれる正の電荷のシートを形成する。ゲート誘電体(これは、純二酸化シリコン、窒化された二酸化シリコン、又は高k誘電体から構成され得る)が薄い二酸化シリコン層上に堆積される。
【0011】
集積回路製造フローにおける他のプロセス(プラズマ蒸着及びプラズマエッチングなど)は、インタフェースにおいて弱い結合破断させ得、それにより、付加的なQitを形成させる。この電荷は、基板にわたって変動し得、不安定であり得る。この電荷はトランジスタのVtに寄与し得るため、基板にわたるQitの任意の変動性もVt変動性を生じさせ得、トランジスタ不安定性につながる。
【0012】
また、集積回路製造プロセスは、基板表面近辺で結晶欠陥も生じさせ得る。トランジスタのPN接合のデプリーション領域における結晶欠陥が、ダイオードリークを増大させ得る。
【0013】
インタフェース電荷の大きさ及び不安定性を低減するため(及び結晶欠陥をパッシベートするため)の1つの方法は、製造フローの後の方で約400℃での形成ガス(H2+N2)アニールを実行することである。水素は、シリコンイオン及び不完全なシリコン結合と反応してSi‐H結合を形成し得、そのため、インタフェース電荷を低減及び安定化させる。トランジスタのVt分布のスプレッドは典型的に、インタフェース状態のパッシベーションでタイトになり、時間に対するVt分布の安定性は著しく増大され得る。また、ダイオードリーク及び集積回路スタンバイ電流は、水素が、結晶欠陥に沿って不完全なシリコン結合と反応してシリコン水素結合を形成するとき低減され得る。
【0014】
集積回路の水素パッシベーションは、新しい技術と共にますます困難になってきている。例えば、相互接続層を形成するために用いられるTaNなどの材料は、水素のインタフェースへの拡散を阻止し得る。相互接続層の増加する数も拡散経路を長くし、それにより、水素をインタフェースに到達させるために一層長い拡散時間を必要とする。また、幾つかの集積回路プロセスフロー(例えば、強誘電体メモリのための)は、水素障壁フィルム(例えば、水素が強誘電性キャパシタの電気的特性を劣化させないようにするため)の形成に関与する。しかし、これらの水素障壁フィルムは、形成ガスアニールにおいて用いられる水素がインタフェースに到達することも防止する。
【0015】
また、高度なプロセスフローにおいて用いられている幾つかの材料(金属ゲート及び超低k誘電性材料など)は、1時間又はそれ以上の400℃での水素アニールにより劣化され得る。形成ガスアニールが省かれる場合、幾つかのデジタル集積回路は増加するトランジスタ異形でも機能することが可能であり得るが、アナログプロセスフローからアニールを省くこと(これは、密に制御されたトランジスタ及び構成要素マッチングを必要とし得る)ができない可能性がある。
【0016】
「パッシベーション」という用語は、Qitの低減及び水素又は重水素を含むアニールの間生じ得るダイオードリークの低減を指す。水素又は重水素の不完全なシリコン結合及びシリコンイオンとの化学反応は、単結晶シリコン基板とアモルファス層二酸化シリコンとの間のインタフェースにおいて生じ得、また、シリコン水素(Si−H)又はシリコン重水素(Si−D)結合を形成する基板表面近辺の結晶欠陥においても生じ、それにより、インタフェース電荷を低減及び安定化させる。形成ガスアニール前、Qit密度は、1011cm−2eV−1範囲の低さであり得る。形成ガスアニール後、Qit密度は、1010cm−2eV−1範囲の低さまで低減され得る。Si−D結合(これは、Si‐H結合より一層安定であり得る)を形成するパッシベーションのため水素の代わりに水素の重水素アイソトープを用いることができる。
【0017】
図1は、一実施例に従った集積回路を形成するための処理工程のフローチャートである。トランジスタが基板に形成された1000後、この集積回路はアニールでパッシベーションされ1002、パッシベーショントラッピング層が堆積される1004。このトラッピング層は概して、水素又は重水素パッシベーションが、後続の熱処理工程の間トランジスタ及びインタフェース領域から離れて拡散することを防ぐ。パッシベーショントラッピング層の頂部上に任意選択のキャッピング層が堆積され得る1006。例示の一実施例において、シリコンナイトライドパッシベーショントラッピング層(NH3で形成される)が、基板(トランジスタを含む)の頂部上に堆積される。その後、 酸化物キャップ層がシリコンナイトライドパッシベーショントラッピング層の頂部上に堆積される。シリコンナイトライドパッシベーショントラッピング層及び酸化物キャップ層は、NH3が、後続のフォトレジストパターニング工程(トランジスタの上に位置するプレメタル誘電体層のエッチングなど)に用いられるフォトレジストを損なわせることを防止し得る。更に、トランジスタへのコンタクトを形成すること、及び金属相互接続層を形成するバックエンド工程などの、処理が成され、集積回路を完成する。
【0018】
トランジスタゲート、ソース、及びドレインのシリサイド化の後であるが、水素により悪影響を受け得る任意のバックエンド(ポストコンタクト形成)処理工程前にパッシベーション工程1002が実行され得る。例えば、強誘電性キャパシタ(FeCap)がコンタクト形成の後に製造されるべき場合、コンタクト形成後及びFeCap形成前にパッシベーション工程及びパッシベーショントラッピング層が形成され得る。FeCapが第1の相互接続層の形成の後形成されるべき場合、パッシベーション工程及びパッシベーショントラッピング層は、FeCap形成前に第1の相互接続層の頂部上に形成され得る。例示の一実施例のパッシベーション工程1002は、350℃又はそれ以上で水素又は重水素を含む高密度プラズマで実行される水素又は重水素アニールであり得、又はパッシベーション工程1002は、水素又は重水素放出フィルムを堆積することにより達成され得る。水素放出フィルムは、例えば、高濃度のシリコン水素結合を備えたシリコンナイトライドフィルムであり得る。工程1004において形成されるパッシベーショントラッピング層 は、AlOx、AlONx、SiNx、SiNxHy、A1N、又はBNなどのフィルムであり得る。また、工程1004において形成されるパッシベーショントラッピング層は、低濃度のSi‐H結合を備えたシリコンナイトライドフィルムであり得る。また、シリコンナイトライドパッシベーショントラッピング層は、かなりの濃度のN−H結合を含み得る。
【0019】
図2A〜
図2Eは、別の実施例の主な処理工程を図示する。この実施例を図示するために水素パッシベーションが用いられるが、重水素パッシベーションが代わりに用いられてもよい。
【0020】
図2Aは、部分的に処理されるがコンタクトフォトレジストパターニングを含まない、集積回路2000を示す。集積回路は基板2002上に形成され、シャロートレンチアイソレーション領域2004、トランジスタ2010(トランジスタゲート誘電体2006及びトランジスタゲート2008を有する)、及びプレメタル誘電体(PMD)2012を含む。水素放出層2014も例示の実施例のパッシベーション工程のため集積回路の上に堆積されている。この例示の実施例において、水素放出フィルムは、高密度プラズマ(HDP)プロセス(ただし、このようなフィルムは低密度プラズマを用いても形成され得る)を用いて形成される高濃度のSi‐H結合を備えるSiNxHyフィルムである。SiNxHyフィルムは典型的に、Si‐H及びN−H結合の形式の水素を含む。Si‐H結合は、N−H結合(例えば、約4.05eV)より結合エネルギー(例えば、約3.34eV)が低い。SiNxHyフィルムを含む高いSi‐H結合における水素は、バックエンド(例えば、ポストコンタクト形成)熱処理工程(銅アニールなど)の間解離し得、その後パッシベーションのため利用可能となる。SiNxHy水素放出フィルムを形成するための例示の8インチHDPプロセスが下記表1に示されている。当業者であればPECVDなど異なるプロセスを用いて等価の水素放出フィルムを用意し得る。
【表1】
【0021】
図2Bに図示するように、水素拡散障壁層2116が、パッシベーショントラッピング層として機能するため集積回路2100の水素放出層2014の頂部上に形成される。更に具体的には、水素拡散障壁層2116は概して、後続の熱処理(脱気となる)の間、水素がインタフェース及びシリコン結晶欠陥から離れて拡散しないようにする。水素拡散障壁層2116は、それがインタフェース状態及び結晶欠陥をパッシベートし得る、トランジスタ2010に近接する高い水素濃度の保持を助ける。水素障壁層は、AlOx、AlONx、SiNx、SiNxHy、A1N、又はBNなど、1つ又は複数の誘電性薄いフィルムで形成され得る。例示の実施例において、水素障壁層は、N−H結合の形式の水素の殆どを備えたSiNxHyフィルムである。8インチプラズマ化学気相成長(PECVD)プロセスを用いてこのようなSiNxHy水素障壁フィルムを形成するための例示のプロセスが下記表2に示されている。SiNxHy水素障壁フィルムは、代替として、HDPなどの他のプロセスを用いて当業者により準備されてもよい。
【表2】
【0022】
図2Cに示すように、酸化物フィルム2218の任意選択のキャッピング層が集積回路2200上に形成される。次に、コンタクトフォトレジストパターン 2217が、酸化物フィルム2218の頂部上に形成される。この実施例において、酸化物フィルム2218は、PECVD SiNxHy水素障壁フィルム2116及びコンタクトフォトレジストパターン2217に存在し得る残存NH3間の逆の反応(例えば、レジスト汚染)を防止し得る。逆の反応は、フォトレジストのパターニング及び成長と干渉し得、フォトレジスト除去プロセスとも干渉し得る。
【0023】
図2Dは、従来の処理を用いてコンタクト2320が形成された後の集積回路2300を示す。コンタクトエッチングは、水素放出2014及び水素障壁2116SiNxHyフィルムをエッチングするように改変されてもよいことに留意されたい。
【0024】
図2Eに示すように、第1レベル相互接続2424を付加するため付加的なバックエンド処理が実行され得る。第1の金属間誘電体層(IMD−1)2422は、第1レベル相互接続(metal−1)2424を電気的に絶縁する。IMD−12422は、PECVD酸化物又は低k誘電体など、任意の適切な誘電体であり得る。第1レベル相互接続2424は、銅又はアルミニウム銅合金などの金属であり得る。集積回路を完成させるために誘電体及び相互接続の付加的なレベルを付加するための付加的な処理工程が実行され得る。この例示の実施例では、CMOSプロセスフローにおける最終処理工程の一つとして現在一般的に用いられているバックエンドパッシベーションアニールは省かれてもよい。
【0025】
実施例を図示するため
図2A〜
図2Eにトランジスタを示すが、メモリセル(SRAM、DRAM、FLASH、FRAMなど)、レジスタ、キャパシタ、アナログ構成要素、及び高電圧構成要素などの、他の構成要素もこの実施例を用いることにより利点を受け得ることに注意されたい。また、例示の実施例の基板2002はバルクシリコン基板であるが、シリコンオンインシュレータなどの他の基板が代替として用いられてもよい。
【0026】
図2A〜
図2Eを参照して上述した例示の実施例は、水素放出フィルム2014を用いる。更に別の実施例において、水素放出フィルムが省かれるが、水素又は重水素アニール、又は水素又は重水素を含む形成ガスアニールは、パッシベーショントラッピング層2116の堆積前に集積回路をパッシベートするために用いられる。この実施例を用いれば、CMOSプロセスフローにおける最終処理工程の一つとして現在一般的に用いられているパッシベーションアニールは省かれてもよい。
【0027】
上述の実施例において、水素放出フィルムは、トランジスタ形成の後及びコンタクトフォトレジストパターニング前に、平坦化されたPMD誘電体層の上に堆積される。しかし、パッシベーション工程及び任意選択の上にある水素障壁フィルムの堆積は、
図3A及び
図3Bに図示するように、プロセスフローにおける他の時点で生じてもよい。
図3Aにおいて、水素放出フィルム3014及び水素障壁フィルム3016(及び酸化物フィルム(図示せず)、用いられる場合)は、コンタクト3020が形成された後集積回路3000の上に堆積される。この実施例において、(パッシベート工程)水素放出フィルム3014及び(パッシベーショントラッピング)水素障壁フィルム3016は、metal−1 3024のためのエッチストップ層としても機能し得るエッチングプロセス。また、metal−1誘電性材料3022は、TiN又はTaNなど、水素障壁材料TiN又はTaNなど、。metal−1相互接続3024のための開口を介して水素障壁層3016を介してエッチングされる場合でも、metal−1 3024がコンタクト3020との所望の電気的接続をつくることができるようにし、metal−1誘電性材料3022及び水素障壁層3016の組み合わせは、それでも、集積回路3000上の実質的に連続的な水素障壁として機能し得る。
【0028】
図3Bにおいて、水素放出層3114は、ソース及びドレイン3111及びトランジスタゲート3108の形成の後、及びソース及びドレイン3111の任意選択のシリサイド化3113の後、集積回路3100の上に堆積される。水素放出層3114は、をパッシベートし得る集積回路3100。水素放出層3114は、この実施例において、コンタクトエッチストップ層としても機能し得る。PMD層3112の堆積及び平坦化の後、水素拡散障壁層3116が(用いられる場合、任意選択の酸化物キャップ層(図示せず)と共に)堆積される。水素拡散障壁層3116として機能するパッシベーショントラッピング層。次に、コンタクト3120が形成され、相互接続の第1レベル、metal−1 3124、がコンタクト3120の上に形成される。代替として、
図3Bに示す実施例において水素拡散障壁層3116が水素放出層3114の頂部直上に堆積され得る、又はコンタクト3120形成後に堆積され得、その後metal−1 3124エッチングのためのエッチストップとして用いられ得る。
【0029】
水素放出フィルム3114及び水素障壁フィルム3116が集積回路製造フローにおける他の時点で堆積され得ることも本発明の特許請求の範囲内にある。これらの他の実施例の幾つかを
図4A、
図4B、及び
図4Cに図示する。これらの実施例において、4000、4100、及び4200は、水素放出層が省かれる場合。従って、
図4A、
図4B、及び
図4Cに示す実施例において、集積回路は、パッシベーショントラッピング層4016の堆積前にパッシベートされてもされなくてもよい。パッシベーショントラッピング層4016の堆積前に集積回路がパッシベートされる実施例では、集積回路は、水素又は重水素を含む高密度プラズマ(HDP)への露出、又は代替として350℃又はそれ以上での水素又は重水素アニールを通じて、パッシベートされ得る。水素又は重水素を含むHDPプラズマは、HDPプラズマは通常、インタフェース状態及び結晶欠陥をパッシベートする工程で特に有効である、反応性H及びDラジカルを生成するため、例示の実施例のベストモードにおいて用いられる。
【0030】
図4Aにおいて、ソース及びドレインシリサイド4013及びゲートシリサイド4015の形成の後であるがパッシベーショントラッピング層4016の堆積前にHDPパッシベーションが実行される。この実施例において、コンタクト4020パターニング工程前にパッシベーショントラッピング層4016が堆積される。パッシベーショントラッピング層4016がSiNxHyである場合、任意選択の酸化物キャップ層(図示せず)は、コンタクトパターニング(SiNxHyにおける残存NH3に起因するフォトレジスト汚染を避けるため)前にパッシベーショントラッピング層4016の頂部上に堆積され得る。この例示の実施例において、FeCap4016及び第2のコンタクト4038は、パッシベーショントラッピング層4016の上に形成される。
【0031】
図4Bにおいて、ソース及びドレインシリサイド4013及びゲートシリサイド4015の形成の後であるが、パッシベーショントラッピング層4116の堆積前にパッシベーション工程も実行される。この実施例において、コンタクト4020の形成の後であるがmetal−1相互接続4124の形成の前に、パッシベーショントラッピング層が堆積される。
【0032】
図4Cにおいて、パッシベーション阻止層4216の堆積前後にパッシベーション工程も実行される。しかし、この実施例において、PMD誘電体4212の堆積前にパッシベーショントラッピング層が堆積される。この実施例においてパッシベーショントラッピング層は、コンタクト4020エッチング工程のためのエッチストップ層としても機能し得る。
【0033】
図4A〜4Cに示され説明される実施例において、350℃(それより高い)アニールからの、又はHDPプラズマからの水素又は重水素がインタフェース及び結晶欠陥をパッシベートした後、パッシベーショントラッピング層が集積回路の上に堆積される。水素又は重水素が、後続の熱処理工程の間、トランジスタインタフェースから離れて拡散しないようにするためパッシベーション障壁フィルムが堆積される。
【0034】
図5は、スプレッド閾値電圧(Vt)、例えば、水素パッシベーションアニールなしで処理されたNチャネル3.3ボルトのトランジスタ5002、従来のエンドオブプロセス400℃水素パッシベーションアニールで処理されたNチャネル3.3ボルトのトランジスタ5004、及び水素放出フィルム及びパッシベーショントラッピング層(コンタクトパターニング前に堆積されるHDP)で処理されたNチャネル3.3ボルトのトランジスタ5006、を図示する。
図5に示すように、約0.68ボルトの水素放出フィルム及びパッシベーショントラッピング層で形成されるトランジスタ5006のVtに比べ、パッシベーションアニールなしで形成されるトランジスタ5002のVtは、約0.75ボルトである。従って、水素放出フィルム及びパッシベーショントラッピング層でトランジスタを形成するプロセスは、インタフェース変化(Qit)の有意な部分をパッシベーションし得、それにより、Vtの低下を生じさせる。
【0035】
図5に示す電気的データは、パッシベーションアニール5002なしで形成されるトランジスタに対するVtのスプレッドが、水素放出フィルム及びパッシベーショントラッピング層5006で形成されるトランジスタに対するVtのスプレッド(即ち、〜.03ボルト)より大きい(即ち、〜.12ボルト)ことを更に示す。従って、トランジスタVtの均一性は、トランジスタ及びパッシベーショントラッピング層で形成される水素放出フィルムに対し著しく改善されている。また、水素放出フィルム及びパッシベーショントラッピング層5006で形成されるトランジスタのVt(〜.68ボルト)及びVtスプレッド(.03ボルト)の、Vt(〜.69ボルト)及びVtスプレッド(.05ボルト)での、従来のエンドオブプロセス400℃水素パッシベーションアニール5004で処理されるトランジスタのベースラインシンタープロセスとの比較は、水素放出フィルム及びパッシベーショントラッピング層5006で形成されるトランジスタは、ベースラインシンタープロセス5004より改善され得ることを示す。
【0036】
上述のように、開示される実施例のパッシベーション工程に対する水素の代わりに重水素も用いられ得る。例えば、水素放出フィルムの形成においてSiH4の代わりにSiD4を用いることができる。代替として、水素放出フィルムの形成の間、重水素含有ガスがHDPに付加されてもよい。重水素は、通常、水素より安定なシリコンとの結合を形成し、従って、重水素は、時間にわたるVt安定性(例えば、Vt分布)を改善し得る。開示される実施例の水素の代わりの重水素の利用は、従来のファーネス重水素アニールより一層コスト効率のよいパッシベーション方法を提供し得る。というのは、チャンバの大きさがずっと小さく、反応圧力がずっと低く、重水素濃度がずっと低く、プロセス時間は単一ウエハプラズマプロセス(バッチファーネス重水素アニールプロセスと比較して)においてずっと短縮されるためである。
【0037】
例示のプロセス堆積条件は、8インチ堆積装置に対し与えられる。当業者であれば、等価のプロセスを開発するためのガイドとして12インチ(又はそれ以上の直径)ツールに対しこれらの8インチ手法を用い得る。
【0038】
種々の実施例をこれまで説明してきたが、これらの実施例は単に例示のためであり、これらに制限するものではないことを理解されたい。本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、開示された実施例に変形が成され得ること、及び本発明の特許請求の範囲内で他の実施例を実装し得ることが分かるであろう。