(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
既知の光源から出射された光を照射し、互いに異なる複数の視点から被写体における反射光を撮影した複数の画像信号において、所定の閾値より高い輝度の領域である高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出部と、
該高輝度領域抽出部において抽出された複数の前記高輝度領域を用いて、前記被写体の各部において合焦している局所領域を抽出する局所領域抽出部と、
該局所領域抽出部において抽出された各局所領域において、前記高輝度領域の光源特性を用いて前記被写体の反射特性を推定する反射特性推定部とを備える画像処理装置。
前記反射特性推定部により推定された前記反射特性と、仮想光源の画像とに基づいて、前記被写体を前記仮想光源下で観察した際の再現画像を生成する再現画像生成部を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
既知の光源から出射された光を照射し、互いに異なる複数の視点から被写体における反射光を撮影した複数の画像信号を取得された各画像信号において、所定の閾値より高い輝度の領域である高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出ステップと、
該高輝度領域抽出ステップにおいて抽出された複数の前記高輝度領域を用いて、前記被写体の各部において合焦している局所領域を抽出する局所領域抽出ステップと、
該局所領域抽出ステップにおいて抽出された各局所領域において、前記高輝度領域の光源特性を用いて前記被写体の反射特性を推定する反射特性推定ステップとを含む画像処理方法。
前記反射特性推定ステップにより推定された前記反射特性と、仮想光源の画像とに基づいて、前記被写体を前記仮想光源下で観察した際の再現画像を生成する再現画像生成ステップを含む請求項11に記載の画像処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的な撮影シーンにおいては、被写体に奥行きがあるため、ある領域に焦点を合わせると他の領域においては焦点が合わなくなるので、非特許文献1の手法では、焦点の合っていない領域に配置されている物体の反射特性を正しく算出することができないという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、奥行きのある被写体の撮影に際しても、被写体各部の反射特性を精度よく求めることができる画像処理装置、撮像装置および画像処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、既知の光源から出射された光を照射し、互いに異なる複数の視点から被写体における反射光を撮影した複数の画像信号において、所定の閾値より高い輝度の領域である高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出部と、該高輝度領域抽出部において抽出された複数の前記高輝度領域を用いて、前記被写体の各部において最も合焦している局所領域を抽出する局所領域抽出部と、該局所領域抽出部において抽出された各局所領域において、前記高輝度領域の光源特性を用いて前記被写体の反射特性を推定する反射特性推定部とを備える画像処理装置を提供する。
【0006】
本態様によれば、既知の光源から出射された光が被写体に対して照射され、被写体の各部における反射光の像を、互いに異なる複数の視点から撮影した複数の画像信号が、高輝度領域抽出部において閾値と比較され、閾値より高い輝度の高輝度領域が抽出される。抽出された高輝度領域は局所領域抽出部において各画像信号間において比較され、被写体の各部において最も合焦している局所領域が抽出される。
【0007】
すなわち、異なる複数の視点から撮影した複数の画像信号には奥行きの異なる位置に配置されている被写体の各部からの反射光の信号が含まれており、これを比較して最も合焦している局所領域を抽出することで、いずれかの画像信号内に、奥行きの異なる各部において合焦している局所領域を抽出することができる。したがって、これらの局所領域において、反射特性推定部が、高輝度領域の光源特性を用いることにより、焦点ぼけである光学系の点拡がり関数をデルタ関数とみなすことができて、被写体各部の反射特性を精度よく推定することができる。
【0008】
上記態様においては、前記反射特性推定部が、前記高輝度領域の光源特性として、前記光源のエッジ勾配を使用してもよい。
このようにすることで、表現しやすい光源特性として光源のエッジ勾配を用いることにより、簡易に被写体各部の反射特性を精度よく推定することができる。
【0009】
また、上記態様においては、前記反射特性推定部が、前記反射特性として鏡面反射点拡がり関数を推定してもよい。
このようにすることで、反射特性推定部は、反射特性としての表面反射点拡がり関数を、取得された画像信号と、光学系の点拡がり関数と、光源特性とによって計算することができる。合焦した局所領域の画像信号を用いることにより、光学系の点拡がり関数をデルタ関数とみなすことができ、反射特性を簡易に計算することができる。
【0010】
また、上記態様においては、前記反射特性推定部により推定された前記反射特性と、仮想光源の画像とに基づいて、前記被写体を前記仮想光源下で観察した際の再現画像を生成する再現画像生成部を備えていてもよい。
このようにすることで、再現画像生成部により、反射特性を推定するために使用した光源とは異なる仮想光源を用いて撮影を行うことなく、当該仮想光源を用いて観察したときに得られる再現画像を生成することができる。
【0011】
また、上記態様においては、前記再現画像生成部が、前記被写体の各点における焦点からの距離に基づいて前記再現画像を生成してもよい。
このようにすることで、被写体の各点における焦点からの距離により光学系の点拡がり関数を計算することができ、焦点位置の異なる再現画像を生成することができる。
【0012】
また、本発明の他の態様は、既知の光源から出射された光を照射し、互いに異なる複数の視点から被写体における反射光を撮影した複数の画像信号を取得する画像信号取得部と、該画像信号取得部により取得された複数の画像信号から被写体の反射特性を推定する上記いずれかの画像処理装置とを備える撮像装置を提供する。
【0013】
本態様によれば、既知の光源から出射され、被写体の各部において反射された反射光が、画像信号取得部により、互いに異なる複数の視点から撮影した複数の画像信号として取得され、これら複数の画像信号に基づいて、被写体の各部の反射特性が画像処理装置において推定される。これにより、奥行きのある被写体を撮影する撮影シーンにおいても被写体各部の反射特性を精度よく推定することができる。
【0014】
上記態様においては、前記画像信号取得部が、主光線が互いに異なる複数の光学系の組み合わせによって得られる像に基づく画像信号を取得してもよい。
このようにすることで、互いに異なる複数の視点からの被写体における反射光を撮影した複数の画像信号として、視差の異なる複数の画像から、異なる複数の視点から撮影した複数の画像信号を容易に得ることができる。
【0015】
また、上記態様においては、前記被写体からの光を集光する撮像光学系を備え、前記複数の光学系が、前記撮像光学系の射出瞳を分割してもよい。
このようにすることで、複数の光学系によって射出瞳が分割されて、視差を有する複数の画像をワンショットで取得することができ、この視差を有する画像を用いて、異なる複数の視点から撮影した複数の画像信号を容易に得ることができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記複数の光学系が、互いに異なる光軸を有していてもよい。
このようにすることで、被写体からの反射光が複数の光学系を通過させられることにより、撮像光学系の入射瞳を容易に分割して、視差を有する複数の画像をワンショットで取得することができる。
【0017】
また、上記態様においては、前記画像信号取得部が、前記撮像光学系の焦点距離を変更しながら複数回撮像することにより、複数の前記画像信号を取得してもよい。
このようにすることで、視差を有する画像を経由することなく、異なる焦点位置において合焦した複数の画像信号を容易に得ることができる。
【0018】
また、本発明の他の態様は、既知の光源から出射された光を照射し、互いに異なる複数の視点から被写体における反射光を撮影した複数の画像信号において、所定の閾値より高い輝度の領域である高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出ステップと、該高輝度領域抽出ステップにおいて抽出された複数の前記高輝度領域を用いて、前記被写体の各部において合焦している局所領域を抽出する局所領域抽出ステップと、該局所領域抽出ステップにおいて抽出された各局所領域において、前記高輝度領域の光源特性を用いて前記被写体の反射特性を推定する反射特性推定ステップとを含む画像処理方法を提供する。
【0019】
上記態様においては、前記反射特性推定ステップにより推定された前記反射特性と、仮想光源の画像とに基づいて、前記被写体を前記仮想光源下で観察した際の再現画像を生成する再現画像生成ステップを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、奥行きのある被写体の撮影に際しても、被写体各部の反射特性を精度よく求めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る撮像装置1、画像処理装置2および画像処理方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る撮像装置1は、
図1に示されるように、カメラであって、画像取得部(画像信号取得部)3と、画像処理装置2と、これらを制御する制御部4と、外部入力を受け付ける外部I/F部5とを備えている。
【0023】
画像取得部3は、光源Sから発せられ、被写体Pにおいて反射した光を集光する撮像光学系(例えば、撮像レンズ)6と、絞り7と、撮像光学系6によって集光された光を撮影する撮像素子8と、該撮像素子8と撮像光学系6との間に配置され、撮像光学系6の光軸に交差する方向に複数のマイクロレンズを2次元的に配列してなるマイクロレンズアレイ9と、撮像光学系6を光軸方向に移動させるAFモータ10と、絞り7の開口径を変化させる絞り用モータ11と、撮像素子8により取得された画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換部12と、デジタル信号に変換された画像信号を格納するバッファ13と、撮像制御部14とを備えている。
【0024】
外部I/F部5を介して、ISO感度や露出などの撮影条件を設定し、図示しないシャッタボタンを半押しにすることで、プリ撮影モードに入り、撮像素子8によりプリ撮影が行われるようになっている。プリ撮影により取得されたプリ撮影画像信号は、A/D変換部12によりデジタル信号に変換されてバッファ13に格納され、撮像制御部14に転送される。
撮像素子8は、例えば、RGB原色系の単板CCDである。撮像素子8としては、CMOSを採用してもよい。
【0025】
撮像制御部14は、プリ撮影画像信号に基づいて焦点距離を算出し、AFモータ10を駆動して撮像光学系6を光軸方向に移動させて被写体Pに合焦させるようになっている。また、撮像制御部14は、プリ撮影画像信号中の輝度レベルや図示しない輝度センサを用いて取得された輝度レベルに応じて、入射光量の調整のための絞り7の開口寸法や撮像素子8の電子シャッタ速度を算出するようになっている。
【0026】
そして、外部I/F部5を介してシャッタボタンが全押しされることにより本撮影が行われるようになっている。この際に、撮像制御部14において求められた焦点距離や露光条件に基づいてAFモータ10、絞り用モータ11および撮像素子8が制御されるとともに、これらの撮像時の情報は制御部4に転送されるようになっている。
【0027】
マイクロレンズアレイ9は、被写体Pの実像が結像される位置に配置されている。そしてマイクロレンズアレイ9において結像された実像は、さらに撮像素子8に投影されるようになっている。これにより、撮像素子8によって、複数の視差画像がアレイ状に並べられた画像を取得することができる。撮像素子8によって取得された画像は、A/D変換部12によってデジタル信号に変換された後に、画像処理装置2に送られるようになっている。
【0028】
前処理装置2は、A/D変換部12においてデジタル信号に変換された画像を適切な位置で切り出すことにより、画像に含まれている複数の視差画像を生成するとともに、生成された視差画像を用いて公知のリフォーカス処理を行うことにより焦点位置の異なる複数の画像信号を生成するようになっている。
【0029】
画像処理装置2は、信号処理部15と、高輝度領域抽出部16と、局所領域抽出部17と、反射特性推定部18とを備えている。
信号処理部15は、A/D変換部12においてデジタル信号に変換された画像を適切な位置で切り出すことにより、画像に含まれている複数の視差画像を生成するとともに、生成された視差画像を用いて公知のリフォーカス処理を行うことにより焦点位置の異なる複数の画像信号を生成するようになっている。また、信号処理部15は、生成された複数の単板状態の画像信号を読み込んで、公知のデモザイキング処理およびホワイトバランス処理を行って、各画素においてRGBの三板状態の画像信号を生成するようになっている。
【0030】
高輝度領域抽出部16は、信号処理部15で処理された複数の画像信号のうち、まず、1枚の基準画像信号を用いて高輝度領域を抽出するようになっている。次いで、高輝度領域抽出部16は、基準画像信号とは焦点位置の異なる他の画像信号について、基準画像信号について抽出された高輝度領域と同一位置の領域を高輝度領域として抽出するようになっている。
高輝度信号を抽出するには、式1に示されるようにYCbCr信号に変換したY信号を用いてもよいし、G信号をそのまま用いてもよい。
【0032】
高輝度領域抽出部16による高輝度領域の抽出は、各画素の画像信号を閾値と比較することにより行われる。例えば、画像信号がnビットの場合には、r×2
nを閾値として用い、閾値以上の画像信号を有する画素を高輝度領域として抽出する。ここで、係数rは0<r<1の実数を表す。例えば、n=8、r=0.9の場合には、230以上の信号値を有する場合に、その画素が高輝度領域として抽出される。
【0033】
図2(a)に基準画像信号について抽出された高輝度領域を示す。図に示す例では、3つの高輝度領域Hr1a,Hr2a,Hr3aが抽出されている。
図2(b),(c)はそれぞれ、焦点位置の異なる他の2つの画像信号に対して、基準画像信号について抽出された高輝度領域Hr1a,Hr2a,Hr3aと同一位置に抽出された高輝度領域Hr1b,Hr2b,Hr3b,Hr1c,Hr2c,Hr3cを示している。
【0034】
局所領域抽出部17は、高輝度領域抽出部16において抽出された全ての高輝度領域について、式2に従ってコントラスト値を算出し、対応する高輝度領域間でコントラスト値を比較するようになっている。
【0036】
ここで、gi(x,y∈ω)maxおよびgi(x,y∈ω)minは、それぞれ、画像信号iの高輝度領域ωにおける画像信号の最大値および最小値を示し、x,yは画像信号の座標値を示している。
局所領域抽出部17は、コントラスト値を比較して最もコントラスト値が高い領域を合焦している局所領域として抽出し、その領域の情報を反射特性推定部18に転送するようになっている。
【0037】
反射特性推定部18は、局所領域抽出部17から送られてきた局所領域の情報を元に、被写体Pの各部の反射特性の推定を行うようになっている。
ここでは、反射特性推定部18は、反射特性として、鏡面反射点拡がり関数(以下、SR−PSFともいう。)を推定するようになっている。
【0038】
具体的には、反射特性推定部18は、既知の光源Sの光源特性と、局所領域抽出部17から送られてきた局所領域の画像信号と、光学系の点拡がり関数(以下、単にPSFともいう。)とに基づいて、SR−PSFを算出するようになっている。
図3は、反射特性推定部18においてSR−PSFの算出に用いられるモデルを示している。簡単のため、信号を1次元としている。
【0039】
図1に示されるように、既知の光源Sから出射された光が被写体Pの各部において反射され撮像装置1によって撮影される場合において、被写体Pの反射特性は、
図4に示されるように被写体Pに写る光源Sの像と、
図5に示されるような既知の光源Sの光源特性との対比により求めることができる。すなわち、
図3のモデルにおいて、画像信号は、光源特性と、SR−PSFと、PSFとの積として表すことができる。したがって、反射特性推定部18は、このモデルを用いてSR−PSFを式3により推定するようになっている。
【0041】
ここで、「PSF
SR」はSR−PSF、「PSF」は光学系のPSFを示している。
また、e(x)は式4のようなエッジを含んだ光源特性を示している。
【0043】
光源特性として式4を用いることができる場合、式3は式5のようになる。
【0045】
ここで、x″=x′−xである。したがって、式6のように変形でき、信号値g(x)の1次微分によってxの関数であるSR−PSF(x)を算出することができる。
【0047】
すなわち、
図3のモデルにおいては、
図4に示された被写体Pに写る光源Sの像および
図5に示される既知の光源Sの光源特性のうち、それぞれのエッジ部分の領域Aの特性を用いている。
図5(a)電球、(b)蛍光灯、(c)蛍光源のような既知の光源Sでは、そのエッジ部分において輝度がステップ状に変化する光源特性を有しているのに対し、被写体Pにおいて反射される光源Sの像のエッジ部分は、被写体Pの反射特性に応じた鈍り方でステップ形状が鈍った輝度分布を有する。このため、エッジ部分の領域Aの特性を用いることにより、被写体Pの反射特性を精度よく抽出することができるようになっている。
【0048】
本実施形態の画像処理方法は、
図6に示されるように、画像取得部3において取得された焦点位置の異なる複数の画像信号から高輝度領域を抽出し(高輝度領域抽出ステップS1)、抽出された高輝度領域を比較して、コントラスト値の最も高い局所領域を抽出し(局所領域抽出ステップS2)、抽出された局所領域を用いて
図3のモデルにより被写体Pの反射特性を推定する(反射特性推定ステップS3)ものである。
【0049】
すなわち、この画像処理方法によれば、焦点位置の異なる複数の画像信号間で、同一の領域に存在する高輝度領域を比較して局所領域を抽出するので、被写体Pの各部の奥行きが異なっても、各部において合焦している局所領域を抽出することができる。
PSFは光学系による焦点ぼけの成分であるため、
図3(b)に示されるように、合焦していない場合には、未知の関数となるため、精度のよい推定が困難になるが、合焦している場合には、
図3(a)に示されるようにデルタ関数とみなすことができる。
【0050】
このように、本実施形態に係る画像処理方法によれば、被写体Pの各部において合焦している局所領域を抽出するので、PSFとしてデルタ関数を用いて、
図3(a)のモデルによってSR−PSFを簡易にかつ精度よく推定することができるという利点がある。
【0051】
また、本実施形態に係る撮像装置1によれば、画像取得部3が、マイクロレンズアレイ9を用いて、公知のライトフィールドカメラのように視差の異なる複数の画像信号をワンショットで取得することができる。したがって、本実施形態にかかる撮像装置1によれば、取得された複数の視差画像を用いて、互いに焦点位置の異なる複数の画像信号を生成するので、操作が簡単であり、奥行きを有する被写体P各部の反射特性を簡易かつ短時間に推定することができるという利点がある。
【0052】
なお、本実施形態においては、被写体Pの実像をマイクロレンズアレイ9に結像させる場合について説明したが、これに代えて、
図7に示されるように、実像から光軸方向に離れた位置にマイクロレンズアレイ9を配置した構成を採用してもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、画像取得部3がマイクロレンズアレイ9を有するものを例示したが、これに代えて、被写界深度の大きな単一の撮像光学系6を光軸方向に交差する方向に移動させながら複数回撮影することにより、複数の視差画像を取得してもよい。
また、被写界深度の比較的小さい単一の撮像光学系6の焦点位置を変化させながら複数回取得することにより焦点位置の異なる複数の画像信号を取得することにしてもよい。
また、画像取得部3として、被写界深度の大きな複数の撮像光学系6および撮像素子8を光軸に交差する方向に並べて、複数の視差画像を一度に取得することにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態においては、高輝度領域抽出部16における閾値として、r2
nを用いたが、これに代えて、複数の画像信号の最大値Mに係数rを乗算したrMを閾値として使用してもよい。また、抽出された高輝度領域の画像信号に対して公知の膨張・収縮処理を行って、小さな画像信号の領域を除外してもよい。
【0055】
また、本実施形態においては、局所領域抽出部17において複数の画像信号の中から被写体Pの各部において合焦している局所領域を抽出することとしたが、撮影時に光学系のFナンバーを変化させること等により、被写界深度の大きな基準画像信号が取得できた場合には、局所領域抽出部17による処理を行うことなく、基準画像信号の高輝度領域のみを用いて、SR−PSFを推定することにしてもよい。また、マイクロレンズアレイ9を用いた撮影によって取得された各視差画像も大きな被写界深度を有しているので、同様に、いずれかの視差画像の高輝度領域のみを用いてSR−PSFを推定することにしてもよい。
【0056】
次に、本発明の第2の実施形態に係る撮像装置19、画像処理装置20および画像処理方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の説明において、上述した第1の実施形態に係る撮像装置1、画像処理装置2および画像処理方法と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
本実施形態に係る撮像装置19は、
図8および
図9に示されるように、画像処理装置20に光沢再現部(再現画像生成部)21を備えている点において第1の実施形態に係る撮像装置1と相違している。
光沢再現部21は、
図9に示されるように、反射特性推定部18により推定された被写体Pの反射特性を用いて、信号処理部15から送られてきた画像信号に対して撮影時とは異なる光源下で観察した場合の画像信号を生成するようになっている。
【0058】
具体的には、光沢再現部21は、予め用意された1以上の光源(仮想光源)Sの画像を光源画像記憶部22に記憶しており、
図9に示されるように、外部I/F部5から選択された光源Sの画像と、反射特性推定部18により推定された被写体Pの反射特性とを用いて、被写体P上の光源分布を作成する光源分布画像作成部23を備えている。
光源分布画像作成部23は、
図10に示されるように、推定された反射特性と選択された光源画像とを乗算して光源分布を作成するようになっている。
【0059】
また、光沢再現部21は、
図9に示されるように、信号処理部15から送られてきた画像信号に対し公知のイメージインペインティング法等により、光沢部分を除去した撮影画像を生成する光沢除去部24を備えている。光沢除去部24は、
図11に示されるように、画像信号に含まれる光沢部分を除去し、光沢のない撮影画像を生成するようになっている。
【0060】
そして、光沢再現部21は、
図9および
図12に示されるように、光沢除去部24において生成された撮影画像に、光源分布画像作成部23において作成された光源分布を合成して再現画像を生成する合成部25を備えている。
【0061】
本実施形態に係る画像処理装置20を用いた画像処理方法は、反射特性推定部18において推定された反射特性と、光源画像記憶部22に記憶された中から選択された光源画像とを乗算して光源分布を作成し(光源画像作成ステップ)、光沢除去部24において光沢のない撮影画像を生成し(光沢除去ステップ)、生成された撮影画像と光源分布とを合成する(合成ステップ)。これにより、本実施形態に係る撮像装置19、画像処理装置20および画像処理方法によれば、撮影時とは異なる仮想光源下で観察したかのような再現画像を簡易に精度よく取得することができるという利点がある。
【0062】
なお、上記においては、記憶している光源Sの画像と反射特性とから光源分布を作成するので、被写体Pに焦点が合った再現画像が生成されるが、
図3(b)に示されるように合焦していない場合のPSFをさらに積算した光源分布を作成することにより、焦点位置のことなる再現画像を作成することにしてもよい。すなわち、被写体Pの各部の焦点位置からの距離を考慮することにより、光学系のPSFを算出することができ、算出されたデルタ関数以外のPSFを用いて合焦していない場合の再現画像を生成することができる。