(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351131
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】流体ライン
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20180625BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20180625BHJP
F16L 53/00 20180101ALI20180625BHJP
【FI】
F01N3/08 B
F01N3/24 L
F16L53/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-570323(P2016-570323)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-525882(P2017-525882A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】EP2015063464
(87)【国際公開番号】WO2015193304
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】102014108494.2
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516345406
【氏名又は名称】ノーマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グルチッチ、ドラゴン
(72)【発明者】
【氏名】マン、ステファン
【審査官】
首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−241901(JP,A)
【文献】
特開2009−030771(JP,A)
【文献】
米国特許第3407837(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102008018658(DE,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第2478161(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F01N 3/24
F16L 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタを有する入口側端部分、及び第2コネクタを有する出口側端部分とを有する管を有し、
少なくとも1つの補助要素により半径方向に区切られるキャビティが前記管に形成され、
容積縮小要素が、前記キャビティに、少なくとも前記出口側端部分の領域において、配置され、
前記容積縮小要素は、前記管の全体の長さにわたって延在する、
流体ライン。
【請求項2】
第1コネクタを有する入口側端部分、及び第2コネクタを有する出口側端部分とを有する管を有し、
少なくとも1つの補助要素により半径方向に区切られるキャビティが前記管に形成され、
容積縮小要素が、前記キャビティに、少なくとも前記出口側端部分の領域において、配置され、
前記容積縮小要素は、前記管の長さに沿って延在する凹部を有する、
流体ライン。
【請求項3】
第1コネクタを有する入口側端部分、及び第2コネクタを有する出口側端部分とを有する管を有し、
少なくとも1つの補助要素により半径方向に区切られるキャビティが前記管に形成され、
容積縮小要素が、前記キャビティに、少なくとも前記出口側端部分の領域において、配置され、
前記補助要素は、少なくとも前記第2コネクタに入り込み、前記第2コネクタの接続スタブでリングギャップを形成し、
前記リングギャップが、前記容積縮小要素に備えられる前記キャビティの断面積の0.7から1.3倍に相当する断面積を有する、
流体ライン。
【請求項4】
前記容積縮小要素は、前記入口側端部分の方向において、前記出口側端部分を超えて延在する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の流体ライン。
【請求項5】
前記容積縮小要素は、複数の部分を有し、
ギャップが、少なくとも2つの部分の間に設けられる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の流体ライン。
【請求項6】
前記管は、湾曲部分を有し、
前記ギャップは、前記湾曲部分に配置される、
請求項5に記載の流体ライン。
【請求項7】
前記容積縮小要素は、前記キャビティの半径方向の内側、及び半径方向の外側のうち少なくとも1つに接触して存在する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の流体ライン。
【請求項8】
前記容積縮小要素は、張力下で、前記キャビティの前記半径方向の内側、及び前記半径方向の外側のうち少なくとも1つに接触して存在する、
請求項7に記載の流体ライン。
【請求項9】
前記容積縮小要素は、前記キャビティの前記半径方向の内側、及び前記半径方向の外側のうち少なくとも1つに接続される、
請求項7又は8に記載の流体ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、第1コネクタを有する入口側端部分、及び第2コネクタを有する出口側端部分を有する管を有し、少なくとも1つの補助要素により半径方向に内向きに区切られるキャビティが管に形成される、流体ラインに関する。
【0002】
発明は、格納容器から注入デバイスに尿素溶液を運ぶのに使用される流体管に関連して、以下に説明される。尿素は、亜酸化窒素を低減すべく、注入デバイスを使用して、ディーゼルエンジンの排気管内に注入される。
【0003】
低温で、尿素は凍結する。尿素が凍結するとき、注入デバイスに留まる尿素の量が注入デバイスを損傷するであろうという恐れがある。
【0004】
凍結する尿素による注入デバイスへの損傷のリスクを回避すべく、エンジンのスイッチをオフした後で、少なくとも注入デバイスに尿素がないように、尿素溶液は、ラインから引き戻され得る。抽出に関して、理想的には、格納容器から注入デバイスに尿素を供給するためにも使用されるポンプと同一のものが使用される。しかしながら、このポンプは主に、管の入口側端部分から出口側端部分に、すなわち特定の圧力で尿素を供給する供給ポンプである。そのようなポンプの吸引力は通常、著しく劣っている。
【0005】
発明は、ポンプの吸引力に関する要件を、低いレベルに維持するという目的に基づく。
【0006】
この目的は、容積縮小要素がキャビティに、少なくとも出口側端部分の領域に配置されるという発明に従って達成される。
【0007】
尿素ラインにおいて、しばしば、加熱素子はすでにキャビティに配置され、キャビティを半径方向に内向きに区切る。簡単に言うと、この場合、キャビティは環状のキャビティとして構成される。しかしながら、加熱素子はまた、いくつかの要素により形成され得、又は、更なる要素が、管の内側に配置され得、そのため、「環状」という用語は全ての場合において正しいものではない。しかしながら、簡潔さのために、それが説明において、以下で使用される。補助要素は実際、管の内側における自由容積を低減する。それにもかかわらず、留まる容積は相対的に大きく、ポンプの吸引力にさらなる要件を課す。そこで、補助要素に加えて、容積縮小要素がキャビティに配置される場合、キャビティの残留容積は、更に低減する。従って、管の内側に留まり得、抽出されなければならない可能性のある流体の量は、低減される。この流体の量がより小さいほど、ポンプの吸引力に関する要件は低くなる。意外にも、多くの場合において、それは、容積縮小要素を単に出口側端部分に配置するのに十分である。ポンプが次に、入口側端部分で管の内側から流体を抽出する場合、出口側端部分の領域における自由容積の減少に起因して、注入デバイスを空にすべく、十分な吸引圧力が形成される。加えて、このことは、容積縮小要素を含む管の複数の領域が相対的に迅速に空にされ得、そのため、相対的に低い抵抗力でポンプの吸引に対向するエアのみがこれらの領域に留まるという利点を有する。従って、全体として、注入デバイス、及びおそらく流体ラインの全体もが、より迅速に空にされ得る。
【0008】
好ましくは、容積縮小要素は、入口側端部分の方向において、出口側端部分を超えて延在する。原則として、管内の自由容積を小さく抑えるべく、管全体に容積縮小要素が備えられ得る。従って、より大きな流動抵抗が生じ、入口側端部から出口側端部への流体の流通に対向する。しかしながら、尿素をディーゼルエンジンに運ぶのに流体ラインが使用されるとき、ここでは迅速に移送されるべき大量の尿素がないので、このことは重大ではない。
【0009】
好ましくは、容積縮小要素は、複数の部分を有し、少なくとも2つの部分の間にギャップが設けられる。いくつかの部分が設けられる場合、ラインのアセンブリはより容易である。容積縮小要素の複数の部分が個々に取り付けられ得、特により長いラインにおいてある利点を構成する。
【0010】
管が湾曲部分を有し、ギャップが湾曲部分に配置されることが好ましい。多くの場合において、補助要素及び容積縮小要素が、まっすぐ延びた管に挿入されるように、ラインが製造される。管は次に、湾曲部分を作るべく、曲げられる。管を加熱することを必要とし得る。湾曲部分の領域において、ギャップが容積縮小要素の2つの部分の間に設けられる場合、容積縮小要素は、湾曲の形成を妨げない。特に、このことは、湾曲部分の領域において管の内側の閉塞を妨げる。
【0011】
好ましくは、容積縮小要素は、管の全体の長さにわたって延在する。このように、容積は管の全体の長さにわたって小さく保たれる。容積縮小要素の複数の部分の間のギャップは、排出されなければならない流体に利用可能な容積を不相応に拡大しないので、それらは実際には分裂効果を有しない。
【0012】
好ましくは、容積縮小要素は、管の長さに沿って延在する凹部を有する。容積縮小要素は、実際には、入口側端部から出口側端部に流れる流体のフリーフローの断面を低減する。しかしながら、それは接液面積を増やし、そのため、さらなる流動抵抗が生じ、その後で、特に流体の抽出について、ポンプに関するより高い要件を課し得る。この場合において、凹部は、相対的に小さな接液面積を有する連続フローチャネルを、及び、故に相対的に低い流動抵抗をも提供する。流体に関して利用可能な容積は、凹部により不相応に拡大されることはない。
【0013】
好ましくは、容積縮小要素は、キャビティの半径方向の内側、及び/又は半径方向の外側に接触して存在する。従って、容積縮小要素の画定された位置が達成される。通常、容積縮小要素は、キャビティの半径方向の内側のみに接触して、又はキャビティの半径方向の外側のみに接触して存在する。しかしながら、容積縮小要素が、いくつかの部分に分割される場合、それらの部分のいくつかをキャビティの半径方向の内側に接触して存在させ、他の部分をキャビティの半径方向の外側に接触して存在させることが可能である。
【0014】
ここでは、容積縮小要素が、張力下で、キャビティの半径方向の内側、及び/又はキャビティの半径方向の外側に接触して存在することが好ましい。このように、容積縮小要素とキャビティの半径方向の内側との間、又は、容積縮小要素とキャビティの半径方向の外側との間の摩擦は、相対的に大きくなり、そのため、容積縮小要素は、流れる流体により移動することができない。容積縮小要素は、効率的にキャビティに固定されるようになる。
【0015】
加えて、又は代替として、容積縮小要素が、キャビティの半径方向の内側、及び/又は半径方向の外側に接続されることを条件とし得る。そのような接続は、例えば、接着、溶接または類似のものにより達成され得る。従って、容積縮小要素は、キャビティにおいて移動不能に維持される。
【0016】
それはまた、補助要素が少なくとも第2コネクタ内に入り込み、第2コネクタの接続スタブでリングギャップを形成し、リングギャップが、容積縮小要素に備えられるキャビティの断面積の0.7から1.3倍に相当する断面積を有している場合に有利である。いずれの場合においても、相対的に少ない、流体量は、ポンプにより容易に抽出され得るコネクタに留まり得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
発明は、図面に関連して好ましい例示的な実施形態を参照して、以下で説明される。図面は以下を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
流体ライン1は、入口側端部分3、及び出口側端部分4を有する管2を有する。
【0019】
第1コネクタ5は、入口側端部分3に配置される。第1コネクタ5は、スタブ6を有し、そこに管2が押し付けられている。第1コネクタ5は更に、ポンプ8に接続された接続形状7を有する(線で示される)。両方向の矢印9で示されるようなポンプ8は、可逆的な供給方向を有し、すなわち、ポンプ8は流体をライン1に供給し得、又は、ライン1から流体を抽出し得る。
【0020】
第2コネクタ10は、出口側端部分4に配置される。第2コネクタ10はまた、スタブ11を有し、そこに管2が押し付けられている。第2コネクタ10は、注入デバイス13に接続された接続形状12を有する。注入デバイス13は、ノズル14を有する(線で示される)。複数のノズルがまた、設けられ得る。電気的に作動可能なバルブ15は、ノズル14の上流に接続され、そのため、流体は、目標とするやり方において、注入デバイス13を介してライン1から供給され得る。
【0021】
補助デバイス16は管2に配置され、本件においては、加熱ロッドとして形成される。補助デバイス16は、第1コネクタ5のスタブ6、及び第2コネクタ10のスタブ11の両方に挿入される。補助デバイス16は、側面で、第1コネクタ5、及び第2コネクタ10を離れ、すなわち、図面の平面が外に出て、そのため、加熱力を生成すべく、少なくともコネクタ5、10のうち1つにおいて、電気エネルギーが補助要素16内に導入され得る。
【0022】
キャビティ17は、管2と補助要素16との間に配置される。たった1つの補助要素16が管2の内側に配置される場合、キャビティ17は、「環状」と説明され得る。しかしながら、この名称は、簡潔さのために保たれていて、1つの補助要素16の代わりに、例えば、2つまたはそれより多くの補助要素16が設けられる場合、例えば、2つの加熱導線が並列して走る場合にも適用する。
【0023】
キャビティ17は、管2により半径方向に外向きに、及び補助要素16により半径方向に内向きに区切られる容積を有する。補助要素16はまた、コネクタ5、10のスタブ6、11を通過しなければならず、管2がスタブ6、11に押し付けられ、従って、スタブ6、11よりより大きな内径を有するので、キャビティ17は必ず、相対的に大きな半径方向の延伸を有し、故に、相対的に大きな容積も有する。大きな容積は、ポンプ8の吸引力に、かなりの要件を課す。
【0024】
これらの要件を低く抑えるべく、容積縮小要素18がキャビティ17に配置され、容積縮小要素18は複数の部分18a、18b、18cから形成される。ギャップ19aは、部分18aと18bとの間に形成される。ギャップ19bは、部分18bと18cとの間に配置される。ギャップ19a及び19bはそれぞれ、管2の湾曲部分20、21にある。
【0025】
流体ライン1の製造について、管2はまずまっすぐ延ばされる。補助要素16はまた、まっすぐ延ばして形成され、従って、まっすぐな管2内に容易に挿入され得る。この状態において、容積縮小要素18の部分18aから18cは、管2の内側へと難なく導入され得る。通常、コネクタ5、10は、管2の端部分3、4に挿入される。次に、管2は形作られ、熱固定され得る。ギャップ19a、19bは、管2の湾曲部分20、21の形成を妨害しない。
【0026】
容積縮小要素18は、示された3つの部分18a、18b、18cより多く有してもよい。管2の湾曲部分20、21以外に、著しいギャップが生じないように、複数の部分が互いに隣接し得る。ギャップ19a、19bは、明確性の理由で、ここでは過剰に大きく示される。
【0027】
部分18a、18cは、それらの半径方向の内側を補助要素16に接触して存在する。
図2から分かり得るように、容積縮小要素の部分18aは、管2の長さに沿って延在する凹部22を有する。
【0028】
容積縮小要素18の部分18aと管2との間に、流体に利用可能な容積が大いに縮小されるギャップ23が形成される。図面は、縮尺通りに解釈されるべきではない。しかしながら、ギャップ23において流体の流動抵抗を増す、相対的に大きな接液面積がある。この流動抵抗は、ある状況下において、ポンプ8による流体の抽出に関する問題につながり得る。しかしながら、凹部22は、はるかにより小さな接液面積が利用可能であるフローチャネルを提供し、従って相対的に低い流動抵抗を有し、流体が管2から抽出されることを可能にする。
【0029】
部分18aは従って、Cの形をしたクリップとして形成され得、それはただ長手方向に穴が開けられた管部分からなり、その内径は、補助要素16の外径より小さい。容積縮小要素18の部分18aは次に、補助要素16が管2内に押し付けられる前に、補助要素16上に留められ得る。部分18aは次に、ある張力で補助要素16に付着する。
【0030】
必然的に、部分18aはまた、必要であれば、補助要素16に、接着又は溶接され得る。
【0031】
容積縮小要素の部分18cは、それにしたがって構成され、補助要素16に留められる。しかしながら、部分18bは、管2の半径方向の内側に対して、その半径方向の外側が位置する。ここでも、部分18bには、半径方向に外向きのプレテンションが備えられ得、そのため、管2の内側に対してある張力をもって位置する。ここでは再び、有利なことに、フローチャネルを形成する凹部22が設けられる。
【0032】
通常、全ての部分18aから18cは、補助要素16に固定され、又は管2の内側に接触して存在するかのいずれかである。部分18aから18cをキャビティ17に配置する様々な方法があることを示すべく、
図1における描写が選択された。
【0033】
図面における描写は縮尺通りではない。
【0034】
補助要素16が第2コネクタ10に入り、接続スタブ11でリングギャップ24を形成することは明らかである。このリング24は、ギャップ23の断面積の70%から130%に相当する断面積を有する。言い換えると、リングギャップ24の断面積は、ギャップ23の断面積とおおよそ同一の寸法である。