特許第6351135号(P6351135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6351135船舶上の推進装置のトリム位置を制御するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351135
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】船舶上の推進装置のトリム位置を制御するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/08 20060101AFI20180625BHJP
   B63H 20/00 20060101ALI20180625BHJP
   B63H 21/21 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B63H20/08 500
   B63H20/00 840
   B63H21/21
【請求項の数】26
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-136252(P2017-136252)
(22)【出願日】2017年7月12日
(65)【公開番号】特開2018-30573(P2018-30573A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2017年9月12日
(31)【優先権主張番号】15/243,285
(32)【優先日】2016年8月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399031067
【氏名又は名称】ブランスウィック コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】BRUNSWICK CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スティヴン エム. アンシューツ
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第7416456(US,B1)
【文献】 特開2011−183902(JP,A)
【文献】 特開昭63−301196(JP,A)
【文献】 特開2001−152898(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/209767(WO,A1)
【文献】 片山徹,西原祥貴,佐藤卓弥,"船外機付き高速滑走艇の推進性能評価法の構築",日本船舶海洋工学会論文集,日本,日本船舶海洋工学会,2012年 6月,Vol.15,pp.1-9,ISSN:1880-3717
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/00,20/08
B63H 21/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶上の推進装置のトリム位置を制御する方法であって、
前記推進装置に関する稼働中のトリム位置を受信する段階と、
操舵入力値または前記船舶のロール角度のうち少なくとも一方を受信する段階と、
前記操舵入力値の大きさまたは前記船舶の前記ロール角度の大きさを決定する段階と、
前記操舵入力値の前記大きさまたは前記船舶の前記ロール角度の前記大きさに基づいて、調節されたトリム位置を決定する段階と、
エンジン速度または船速が上限速度閾値より低い場合、前記船舶のターン中に、前記推進装置のトリム角度を前記稼働中のトリム位置未満に減少させるよう、前記調節されたトリム位置に基づいてトリムアクチュエータを動作させる段階と、
前記エンジン速度または前記船速が前記上限速度閾値に等しい又は超える場合、前記稼働中のトリム位置を維持する段階と、
を備える、方法。
【請求項2】
前記エンジン速度および前記船速のうちの少なくとも一方にさらに基づいて前記調節されたトリム位置を決定する段階をさらに備え、
所与のエンジン速度で、前記操舵入力値の前記大きさまたは前記ロール角度の前記大きさが増加するにつれて、前記トリム角度を徐々に減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターンが完了するときに前記推進装置が前記稼働中のトリム位置にあるよう、前記操舵入力値の前記大きさまたは前記ロール角度の前記大きさが減少するにつれて、トリム角度を徐々に増加させる段階をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記操舵入力値が中心位置に対する操舵輪の角度位置である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記調節されたトリム位置を決定する段階は、前記操舵入力値の前記大きさが操舵入力閾値よりも大きい、または、前記ロール角度の前記大きさがロール角度閾値よりも大きい場合に前記調節されたトリム位置を決定する段階を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記稼働中のトリム位置が、前記船速および前記エンジン速度のうち少なくとも一方に基づいてコントローラによって決定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記調節されたトリム位置を決定する段階は、前記操舵入力値または前記ロール角度のいずれかと前記稼働中のトリム位置とに基づいて、調節されたトリム位置のルックアップテーブルにアクセスする段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記稼働中のトリム位置がトリム位置センサからの入力に基づいて決定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記稼働中のトリム位置がユーザによって設定される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記調節されたトリム位置を決定する段階は、前記操舵入力値または前記ロール角度のいずれか一方と、前記船速または前記エンジン速度のいずれか一方とに基づいてルックアップテーブルにアクセスする段階を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
船舶上の推進装置のトリム位置を制御するシステムであって、
前記推進装置のトリム位置を調節するトリムアクチュエータと、
操舵入力値または前記船舶のロール角度を受信し、
前記操舵入力値の大きさまたは前記船舶の前記ロール角度の大きさを決定し、
前記操舵入力値の前記大きさまたは前記船舶の前記ロール角度の前記大きさに基づいて、前記推進装置の調節されたトリム位置を決定し、
エンジン速度または船速が上限速度閾値より低い場合、前記船舶のターン中に前記推進装置のトリム角度を稼働中のトリム位置未満に減少させるべく、前記調節されたトリム位置に基づいて前記トリムアクチュエータを制御し、
前記エンジン速度または前記船速が前記上限速度閾値に等しい又は超える場合、前記稼働中のトリム位置を維持する
コントローラと、
を備える、システム。
【請求項12】
前記コントローラが、前記操舵入力値を受信し、前記操舵入力値が、操舵位置センサによって測定される中心位置に対する操舵輪の角度位置である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラが、前記ロール角度を受信し、前記ロール角度が、ロール角度センサによって測定される水平に対する前記船舶の角度位置である、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記エンジン速度および前記船速のうちの少なくとも一方にさらに基づいて前記調節されたトリム位置を決定し、
所与のエンジン速度で、前記操舵入力値の前記大きさまたは前記ロール角度の前記大きさが増加するにつれて、前記トリム角度が徐々に減少する、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記ターンが完了するときに前記推進装置が前記稼働中のトリム位置にあるよう、前記操舵入力値の前記大きさまたは前記ロール角度の前記大きさが減少するにつれて、前記トリム角度が徐々に増加する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記操舵入力値の前記大きさが操舵入力閾値より大きい、または、前記ロール角度の大きさがロール角度閾値より大きい場合に前記調節されたトリム位置を決定する、請求項11から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記調節されたトリム位置を決定するために前記コントローラによってアクセス可能なルックアップテーブルをさらに備え、前記ルックアップテーブルは、前記操舵入力値または前記ロール角度のいずれか一方と、前記稼働中のトリム位置とに基づいて、トリム調節値をリスト化する、請求項11から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラがさらに、前記エンジン速度および前記船速のうち少なくとも一方を受信し、前記船速および前記エンジン速度のうち少なくとも一方に基づいて前記稼働中のトリム位置を決定する、請求項11から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記調節されたトリム位置を決定するために前記コントローラによってアクセス可能なルックアップテーブルをさらに備え、前記ルックアップテーブルは、前記操舵入力値または前記ロール角度のいずれかと、前記船速または前記エンジン速度のいずれかとに基づいて、トリム調節値をリスト化する、請求項11から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記エンジン速度または前記船速が下限速度閾値より低い場合、前記稼働中のトリム位置を維持する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記エンジン速度または前記船速が前記下限速度閾値から前記上限速度閾値に増加するにつれて、トリム調節量を最大トリム調節量に徐々に増加し、前記エンジン速度または前記船速が前記上限速度閾値に接近するにつれて前記トリム調節量をゼロに徐々に減少する段階をさらに備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記エンジン速度または前記船速に基づいてトリム調節乗算値を決定する段階をさらに備え、
前記トリム調節乗算値は、前記エンジン速度または前記船速が前記上限速度閾値より上の場合、ゼロであり、
前記推進装置の前記調節されたトリム位置は、前記トリム調節乗算値にさらに基づいて決定される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記エンジン速度または前記船速に基づいてトリム調節量を決定する段階をさらに含み、
前記調節されたトリム位置は、前記トリム調節量だけ調節された前記稼働中のトリム位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記コントローラは、さらに、前記エンジン速度または前記船速が下限速度閾値より低い場合、前記稼働中のトリム位置を維持する、請求項11に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、さらに、前記エンジン速度または前記船速が前記下限速度閾値から前記上限速度閾値に増加するにつれて、トリム調節量を最大トリム調節量に徐々に増加し、前記エンジン速度または前記船速が前記上限速度閾値に接近するにつれて前記トリム調節量をゼロに徐々に減少する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラは、さらに、前記エンジン速度または前記船速に基づいてトリム調節乗算値を決定し、
前記トリム調節乗算値は、前記エンジン速度または前記船速が前記上限速度閾値より上の場合、ゼロであり、
前記推進装置の前記調節されたトリム位置は、前記トリム調節乗算値にさらに基づいて決定される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶のトランサムに対するトリム可能な推進装置のトリム位置を制御するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,322,404号明細書は、ホール効果回転位置センサが船舶用推進システムの枢動可能部材に装着されることと、回転位置センサの回転可能部分が船舶用推進システムの駆動構造に取り付けられることと、を開示する。ジンバルリングなどの枢動可能部材と、船舶用推進システムの船外駆動部分などの駆動構造との間の相対的な動きが、回転位置センサの回転可能部分と固定部分との間に相対的な動きを生じさせる。結果として、駆動構造と枢動可能部材との間の角度位置を表す信号が提供され得る。
【0003】
参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,156,709号明細書は、較正手順により、船舶用推進装置を現在の特定の指標によってオペレータが船舶に対して回転させるときに、傾斜の最大上限の自動的な決定および格納が可能になることを開示する。その指標は、較正手順がトリム上限との関連で行われている旨をマイクロプロセッサに知らせる、接地された回路点となり得る。接地ワイヤが回路点から除去された、または切り離されたとき、マイクロプロセッサは、較正プロセスが完了したことを知る。船外モータまたは船舶用推進装置の上方向への回転中に、船外モータの角度位置と、トリムセンサからの信号の変化の方向と、の両方が格納される。
【0004】
参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,416,456号明細書は、水中で動作する自動トリム制御システムが、その水に対する船舶の速度の関数として、船舶用推進装置のトリム角度を変化させることを開示する。トリム角度の変更は、最小および最大の速度閾値として用いられる第1および第2の速度の大きさの間で生ずる。
【0005】
参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,011,982号明細書は、船外モータのための支持システムが、船外モータの底部に取り付けられる被制限部材と、支持構造に取り付けられる制限部材であって、支持構造は次に船舶のトランサムに取り付けられる、制限部材と、を提供することを開示する。船外モータにかかる力が、右舷または左舷方向のいずれかへの予め定められた制限よりも大きい大きさで、船外モータの下部を動かすとき、被制限部材は、互いに接触するよう動く制限面と被制限面との間の間隙によって画定される、予め選択された大きさよりも大きい大きさで左舷または右舷方向に動くことを防止される。高速での動作中の過剰な横方向の動きを制限しながら、低い動作速度での船外モータのわずかな振動を可能にするよう、制限面と被制限面との間に予め選択された間隙の寸法が定められる。
【0006】
参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8,457,820号明細書は、ポーポイジングにさらされる船舶の動作を制御することによる方法が提供されることを開示する。方法は、船舶のポーポイジングを示す船舶の動作特性を感知する段階と、船舶のポーポイジングを示す船舶の動作特性を表す応答によって、動作特性の感知に応答する段階と、を含む。
【0007】
参照によって本明細書に組み込まれる、2015年10月2日に出願され、本願の出願人に譲渡された未公開米国特許出願第14/873,803号明細書は、本明細書に開示された、船舶に対するトリム可能なドライブユニットの位置を制御するシステムおよび方法を開示する。コントローラは、船またはエンジン速度の関数として目標トリム位置を決定する。実際のトリム位置が測定されて、目標トリム位置と比較される。実際のトリム位置が目標トリム位置に等しくなく、以下のうち少なくとも1つが真である場合、コントローラはトリムアクチュエータに制御信号を送り、目標トリム位置に向けてドライブユニットをトリムする。ドライブユニットをトリムするよう前の制御信号がトリムアクチュエータに送られて以来、所定の滞留時間が経過した。目標トリム位置に到達する試みにおいて、所与の数の前の制御信号が上回らなかった。目標トリム位置と実際のトリム位置との間の差が所与のデッドバンドを外れている。
【0008】
参照によって本明細書に組み込まれる、2016年1月21日に出願され、本願の出願人に譲渡された未公開米国特許出願第15/003,326号明細書は、船舶上のトリムシステムを制御する方法が、トリム可能な船舶装置の実際のトリム位置をコントローラにおいて受信する段階と、コントローラを用いて実際のトリム位置を目標トリム位置と比較することによってトリム位置誤差を決定する段階と、を含むことを開示する。方法は、船舶の加速度を決定する段階を、また含む。トリム位置誤差が第1の誤差閾値を超え、加速度の大きさが所与の加速度閾値を超える旨の決定に応答して、コントローラは船舶装置に目標トリム位置へ向かうよう指示する。トリム位置誤差が第1の誤差閾値を超え、加速度が所与の加速度閾値を超えない旨の決定に応答して、コントローラは船舶装置に、目標トリム位置とは異なる設定トリム位置へ向かうよう指示する。関連するシステムがまた開示される。
【0009】
参照によって本明細書に組み込まれる、2016年1月21日に出願され、本願の出願人に譲渡された未公開米国特許出願第15/003,335号明細書は、船舶上のトリムシステムを制御する方法が、トリム可能な船舶装置の実際のトリム位置をコントローラにおいて受信する段階と、実際のトリム位置をコントローラによる目標トリム位置と比較することによってトリム位置誤差の大きさを決定する段階と、を含むことを開示する。方法は、船舶の加速度の大きさを決定する段階をまた含む。コントローラは、船舶装置に結合され、および、トリム位置誤差の大きさと加速度の大きさとに基づいて船舶に対して船舶装置を回転させる、トリムアクチュエータの起動時間を決定する。コントローラは、目標トリム位置に向けて船舶装置を回転させるようトリムアクチュエータを起動する制御信号を、次に送る。方法は、起動時間が一旦過ぎると制御信号を中断してトリムアクチュエータを停止する段階を含む。対応するシステムがまた開示される。
【発明の概要】
【0010】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の、抜粋を紹介するよう提供される。この概要は、特許請求される主題に重要な、または不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定することの助けとしての使用を意図するものでもない。
【0011】
一実施形態では、船舶上の推進装置に関するトリム位置を制御する方法は、推進装置に関する稼働中のトリム位置を受信することと、操舵入力値または船舶のロール角度のうち少なくとも一方を受信することと、操舵入力値の大きさまたは船舶のロール角度の大きさを決定することと、を含む。方法は、操舵入力値の大きさまたは船舶のロール角度の大きさに基づいて、調節されたトリム位置を決定することと、船舶のターン中に、推進装置のトリム角度を稼働中のトリム位置未満に減少させるよう、調節されたトリム位置に基づいてトリムアクチュエータを動作させることと、をさらに含む。
【0012】
船舶上の推進装置のトリム位置を制御するシステムの一実施形態は、推進装置のトリム位置を調節するよう構成されるトリムアクチュエータと、トリムアクチュエータを制御するよう構成されるコントローラと、を含む。コントローラは、操舵入力値または船舶のロール角度を受信し、操舵入力値の大きさまたは船舶のロール角度の大きさを決定し、操舵入力値の大きさまたは船舶のロール角度の大きさに基づいて推進装置に関する調節されたトリム位置を決定するよう、さらに構成される。コントローラは、船舶がターン中に推進装置のトリム角度を稼働中のトリム位置未満に減少させるべく、調節されたトリム位置に基づいてトリムアクチュエータを次に制御する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は以下の図を参照して説明される。同様の特徴および同様のコンポーネントを参照するよう、全図にわたって同じ番号が使用される。
【0014】
図1】推進装置のトリム位置を制御するシステムを有する船舶の概略図である。
【0015】
図2】本開示による、トリム可能な推進装置の一実施形態の図である。
【0016】
図3】推進装置のトリム位置を制御するシステムにおけるトリムアクチュエータの一実施形態の概略図である。
【0017】
図4】推進装置のトリム位置を制御するシステムの別の実施形態を図示する概略図である。
【0018】
図5】速度とトリム位置との間の関係の例である。
【0019】
図6A】所与の速度における、操舵入力またはロール角度とトリム位置との間の関係の例である。
【0020】
図6B】所与の操舵入力における、トリム位置の大きさと速度との間の関係の例である。
【0021】
図7】調節されたトリム位置を決定するよう使用され得るルックアップテーブルの例である。
【0022】
図8】調節されたトリム位置を決定するよう使用され得る別のルックアップテーブルの例である。
【0023】
図9】調節されたトリム位置を決定する乗算値を決定するよう使用され得るルックアップテーブルの例である。
【0024】
図10】推進装置のトリム位置を制御する方法の一実施形態の図である。
【0025】
図11】推進装置のトリム位置を制御する方法の別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本説明において、特定の用語が簡潔性、明確さおよび理解のために使用されている。そのような用語は説明の目的のみで使用され、広く解釈されることが意図されるので、それらから、従来技術の要件を越えた不必要な限定は一切推察されるべきではない。
【0027】
本開示は、船舶のトランサムに装着された推進装置の相対位置を制御するように、船舶上のトリムアクチュエータを制御するシステムおよび方法に関する。船舶推進および制御の当業者は、船外モータまたはスターンドライブなどの推進装置のトリム角度を変動させて、船の取り扱いまたは燃料効率を変化させることが可能な、多くの異なるやり方に詳しい。例えば、多くの手動トリム制御システムが、当業者に知られている。典型的な動作において、船の速度が変化するにつれて、船舶のオペレータは関連づけられた船外モータのトリム角度を変化させ得る。このことは、船が滑走速度を実現し、滑走中の水上での船の速度を増加させるにつれて、水に対する船の適切な角度を維持するようになされる。オペレータは、例えば、キーパッド、ボタン、または同様の入力装置を用いて、「トリムアップ」および「トリムダウン」の入力選択肢によって、トリム角度を変化させるコマンドを入力する(例えば、図4参照)。
【0028】
本開示のシステムは、自動トリム(オートトリム)方法を実行することがまた可能であり、推進装置はその現在の位置に関して、船速に関する船舶の所望の姿勢に応じて自動的にトリムアップまたはトリムダウンされる。オートトリムシステムは、船舶のオペレータによる介入を要求することなく、船速の関数として、自動的にトリム動作を実行する。トリム可能な推進装置10のトリム角度の自動的な変化は、船舶が滑走速度を実現し、滑走中の水上での船舶の速度をさらに増加させるにつれ、船舶の動作を向上させる。例えば、推進装置10のトリムは、船のトランサムに関するプロペラの推力の方向に影響を与え得、並びに、船のロールおよびピッチに影響を与える。
【0029】
図1は、船舶14上の推進装置10のトリム位置を制御するシステム1の一実施形態を図示する。本明細書において、単一の推進装置10に関する方法およびシステムが記載されるが、当業者は、開示された方法およびシステムがより多くの推進装置を有する船舶に等しく適用可能であることを、本開示に照らして理解するであろう。同様に、推進装置10は船外モータとして図に例示されるが、当業者は、推進装置はトリム可能な下部ユニットを有するスターンドライブであってもよいことを、本開示に照らして理解するであろう。推進装置10のトリム位置は、トリムアクチュエータ16によって作動させられる。一例において、トリムアクチュエータは油圧ポンプ−モータコンビネーションと流体連通する油圧ピストン−シリンダアセンブリであるが、以下の例のいくつかの原理は、電気リニアアクチュエータ、空圧式アクチュエータ、または他のタイプのトリム装置に等しく適用可能であろう。トリムアクチュエータは、作動液、電力、空圧流体などの供給によって、伸長位置と収縮位置との間で作動し得る。トリムアクチュエータの伸長および収縮は、それが結合される船舶に対して、トリム可能な推進装置を上下に回転させるように使用され得る。
【0030】
高速でコーナリング中に、船舶14は(ターンの方向に応じて)左舷側11または右舷側12に向けてロールする。ターン中の船舶14の推進装置は水から外に出る傾向があり、プロップベントまたはブローアウトを生じさせる。関連分野における実験および研究によって、本発明者は、急なターンによるプロップベントに関する課題および問題は、船がターンする際の推進装置のトリム位置を調節するフィードフォワード制御方法などによって、推進装置10のトリムを変更することによって低減または防止され得ると認識している。本発明者は、操舵位置および/またはロール角度に基づいてコーナリング操作の勢いを予測し、単に反応するのではなく、船がターンする際に、およびプロペラが水面から現れる前にトリム調節を行うことによってブローアウトを防ぐ、フィードフォワード制御システムの利用をさらに認識している。例えば、船のロール角度に拘わらず、駆動深さまたはプロペラの深さが水面に対しておよそ一定のままになるよう、船舶14がコーナーの中へロールする際、トリム位置は減少(またはトリムイン、またはトリムダウン)し、次に、船舶14がコーナーの外へロールする際、トリム位置は増加(またはトリムアウト、またはトリムアップ)し得る。
【0031】
トリムアクチュエータ16のトリム動作はコントローラ38によって制御され、コントローラ38は、トリムアクチュエータ16に、その起動を制御するよう通信可能に接続される。コントローラ38は、トリムアクチュエータ16を制御することによって推進装置10のトリムを制御し、そのような制御は、エンジン速度、船速、操舵入力値(操舵輪角度など)、ロール角度、および/または稼働中のトリム位置のうち1または複数に基づいて、本明細書に記載されたように提供され得る。示される実施形態において、コントローラ38は、推進装置10のエンジン制御モジュール(ECM)59からエンジン速度またはエンジン毎分回転(RPM)を受信する。コントローラ38はまた、船速センサ56から船速を受信し、ロールセンサ66から船舶のロール角度を受信する。コントローラ38はまた、操舵入力装置54の位置センサ52から操舵入力を受信し、それは、示される実施形態において、操舵輪54の回転位置を検出する回転位置センサ52である。操舵輪の回転位置は、例えば、中心位置55に関する角度として測定され得、それは直進操舵コマンドと関連づけられた操舵輪54の位置である。当業者は、操舵入力装置54は、ジョイスティック、トラックパッドなどの、船舶を操舵するための制御入力を提供する、ユーザによって動作可能な任意の数のユーザインターフェース装置であり得ること、および、位置センサ52は当該装置上の動きまたは入力を感知する任意のセンサ装置であり得ることを、本開示に照らして理解するであろう。代替として、または加えて、操舵入力は船舶14と関連づけられた、船首方位またはウェイポイント制御システムなどの自動操舵制御システムによって提供され得る。
【0032】
図2を参照すると、トリム可能な推進装置10(本明細書に示される船外モータなど)の、船舶14のトランサム9に対する位置は、油圧トリムアクチュエータ16によって制御される。トリムアクチュエータ16は、油圧ポンプ−モータコンビネーション20に接続された油圧ピストン−シリンダアセンブリ18を含む。ピストン−シリンダアセンブリ18は、当業者に知られるように、船14のトランサム9に結合された第1の端(ここでは、シリンダの端)と、推進装置10に結合された第2の、反対側の端(ここでは、ロッドの端)とを有する。ポンプ−モータコンビネーション20がシリンダ内のピストンを動かすようピストン−シリンダアセンブリ18に作動液を供給するとき、ピストン−シリンダアセンブリ18は水平トリム軸13の回りで推進装置10をトリムアウト位置へ、トリムイン位置へ、または、推進装置10をその間の任意の位置に維持すべく、回転するよう動作する。しかしながら、言及されたように、他のタイプの油圧機械式または電気機械式アクチュエータが他の例において使用され得る。
【0033】
油圧トリムアクチュエータ16の一例は図3に示される。ピストン−シリンダアセンブリ18は、シリンダ26内に配置されたロッド24に接続されたピストン22を有するものとして模式的に示される。ピストン22はシリンダ26内に第1のチャンバ28を、シリンダ26内に第2のチャンバ30を画定し、シリンダ26内でピストン22が動くにつれて、チャンバ28、30の両方の寸法が変化する。ポンプ−モータコンビネーション20は、トリムインリレー34およびトリムアウトリレー36に接続されるポンプ−モータ32を含む。他の例において、トリムインリレー34およびトリムアウトリレー36は、ポンプ−モータ32をオンまたはオフにし得、トリムアクチュエータ16のトリムインまたはトリムアウトの動きをもたらし得る単一のリレーである。リレー34および36は、リレー34および36内のソレノイドの励磁を制御するコントローラ38に接続され、それはピストン−シリンダアセンブリ18のチャンバ28にバッテリ(図示せず)などの電源を結合するスイッチとして作用し、第2油圧管路42はピストン−シリンダアセンブリ18の第2のチャンバ30にポンプ−モータ32を結合する。トリムインリレー34が起動されている限り、ポンプ−モータ32はピストン−シリンダアセンブリ18の第1のチャンバ28に第1油圧管路40を介して作動液を供給し、それにより、シリンダ26内でピストン22を下向きに押し、ロッド24に結合された推進装置10を下降させる(トリムイン、またはトリムダウンする)。トリムアウトリレー36が起動されている限り、ポンプ−モータ32はピストン−シリンダアセンブリ18の第2のチャンバ30に第2油圧管路42を介して作動液を供給し、それにより、シリンダ26内でピストン22を上向きに押し、ロッド24に結合された推進装置10を上昇させる(トリムアウト、またはトリムアップする)。いずれの場合でも作動液は、流体がポンピングされていないシリンダ26の反対側のチャンバ28または30から除去され、タンクに放出されるかまたはポンプ−モータ32を介して循環させられることが可能である。
【0034】
このようにして、トリムアクチュエータ16はトランサム9に対して異なる角度で推進装置10を位置づけることができる。これらは、推進装置10がおよそ鉛直の位置であるニュートラル(レベル)トリム位置か、トリムイン(トリムダウン)位置か、またはトリムアウト(トリムアップ)位置であってよい。図2に示されるトリムアウト位置は、船舶14が滑走中であり高速が必要なときにしばしば使用される。高速で、トリムアウト位置は船舶14の船首を水から上に出させ、その結果、取り扱いがより良好となり燃料効率が増加する。よって、多くのオートトリムアルゴリズムは、限定されないが、エンジン速度、船速、船速とエンジン速度との組み合わせ、または追加的な船の条件に応じた船速とエンジン速度との間のトレードオフなどの速度に基づいて、コントローラ38によって推進装置10を向ける目標の稼働中のトリム位置を決定することを含む。そのようなシステムの例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,416,456号明細書、および、出願シリアル番号14/873,803号明細書、15/003,326号明細書、15/003,335号明細書に示され、記載される。
【0035】
コントローラ38は鉛直線Vを基準として、稼働中のトリム位置を画定し得る。推進装置10の中心線CLが鉛直線Vと平行であるとき、コントローラ38はこれをゼロトリムであるとみなし得る。トリム位置は鉛直線Vに対する値Pとして定量化され得、それは推進装置10の中心線CLと鉛直線Vとの間の角度または相対的位置を表す。この値Pは、角度、推進装置10がトリムされ得る合計角度の割合、スカラ値、極座標、または任意の他の適切な単位として表され得る。以下の本明細書に提供された説明の目的で、角度Pは合計の許容トリム角度の割合として表されるであろう。それは鉛直から、または完全にトリムアウトされた位置から、または完全にトリムインされた位置から測定され得る。
【0036】
図4はトリム位置を制御するためのシステム1の実施形態の概略を示す。示された例において、システム1はコントローラ38を含み、それはプログラミング可能であり、プロセッサ46およびメモリ48を含む。コントローラ38は、以下の本明細書にさらに説明されるであろうように、船舶14上の任意の箇所に配置されることができ、および/または、船舶14から遠隔に配置されることができ、有線および/または無線通信リンクを介してシステム1の様々なコンポーネントと通信可能である。図1および図3は単一のコントローラ38を示すが、システム1は1つより多くのコントローラ38を含み得る。例えば、システム1は船舶14の舵に、またはその近くに位置するコントローラ38を有し得、推進装置10に、またはその近くに位置する1または複数のコントローラをまた有し得る。コントローラ38は専用の装置であってよく、または、舵制御モジュール(HCM)あるいはECM59に通信可能に接続された他の制御装置およびソフトウェアに組み込まれるなどの、多機能制御装置内に組み込まれてよく、多機能制御装置の機能であってよい。以下の本明細書に開示された方法の部分は、単一のコントローラによって、またはいくつかの別個のコントローラによって実行され得る。
【0037】
いくつかの例において、コントローラ38は、処理システム、格納システム、ソフトウェア、および、図4に示されて本明細書に記載されたものなどの装置と通信するための入力/出力(I/O)インターフェースを含むコンピューティングシステムであり得る。処理システムは、トリム制御方法をプログラムされたソフトウェアなどのソフトウェアを格納システムからロードして実行する。コンピューティングシステムによって実行されるとき、トリム制御ソフトウェアは処理システムに、本明細書に記載されたように動作してトリム制御方法を実行するよう指示する。コンピューティングシステムは、1または多くのアプリケーションモジュールと、1または複数のプロセッサと、を含んでよく、これらは通信可能に接続され得る。処理システムはマイクロプロセッサ(例えば、プロセッサ46)、および、格納システムからソフトウェアを読み出して実行する他の回路を有し得る。処理システムは単一の処理装置内で実装され得るが、プログラム命令を実行するにあたって協働する複数の処理装置またはサブシステムに亘って分配もされ得る。処理システムの非限定的な例として、汎用中央処理装置、特定用途向けプロセッサ、およびロジック装置が挙げられる。
【0038】
格納システム(例えばメモリ48)は、処理システムによって読み取り可能でソフトウェアを格納可能な任意の格納媒体を備え得る。格納システムは、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの、情報を格納するための任意の方法または技術で実装された、揮発性および非揮発性の、取り外し可能および取り外し不可能の、媒体を含み得る。格納システムは単一の格納装置として、または複数の格納装置またはサブシステムに亘って実装され得る。格納システムは、処理システムと通信可能な制御回路などの追加的要素をさらに含み得る。格納媒体の非限定的な例として、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、仮想メモリ、および非仮想メモリ、磁気セット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気格納装置、または、所望の情報を格納するよう使用することができ、処理システムによってアクセスされ得る任意の他の媒体が挙げられる。格納媒体は非一時的または一時的な格納媒体であり得る。
【0039】
この例において、コントローラ38はシステム1の1または複数のコンポーネントと通信リンク50を介して通信し、それは有線または無線リンクであり得る。コントローラ38は、通信リンク50を介し制御信号を送信および受信することによって、システム1およびその様々なサブシステムの1または複数の動作特性を監視および制御可能である。一例において、通信リンク50はコントローラエリアネットワーク(CAN)バスであるが、他のタイプのリンクも使用され得る。本明細書に示される通信リンク50の接続の範囲は、概略の目的のみにおけるものであること、および、通信リンク50は実際には、コントローラ38と、本明細書に記載された、センサ、装置などとの間の通信を提供するが、明確性の目的で図面ではすべての接続が示されているものではないことに留意すべきである。
【0040】
言及したように、コントローラ38は、船舶14に搭載された、または結合されたいくつかの異なるセンサおよび/または入力装置からの入力を受信する。例えば、コントローラ38は、ジョイスティックおよび/または操舵輪54などの操舵入力装置の位置または角度を感知する操舵位置センサ52から操舵入力を受信する。上に記載のように、操舵入力はまた、自動操舵制御システムによって提供され得る。コントローラ38にはまた、船速センサ56から入力が提供され得る。船速センサ56は、例えば、ピトー管56aなどの圧力タイプのセンサ、外輪タイプのセンサ56b、または船舶の実際の速度を感知するために適切な任意の他の速度センサであり得る。代替として、または加えて、船速はGPS装置56cからの測定値に基づいて代わりに決定され得、それは、船14が所与の時間にどれだけの距離を航行したかを決定することによって速度を計算する。推進装置10には、推進装置10を動かすエンジン60の速度を毎分回転(RPM)で決定する、限定されないがタコメータなどのエンジンスピードセンサ58がまた提供され得る。船速を概算する(すなわち、疑似船速を計算する)よう、エンジン速度は他の測定値または既知の値と共に使用され得る。例えば、トリムアクチュエータ16と関連づけられた2つの部分の間の相対位置を測定することによって、トリムアクチュエータ16の実際の位置を感知するために、トリム位置センサ62も提供され得る。トリム位置センサ62は、参照によって本明細書に組み込まれる特許第6,322,404号明細書に提供され記載された例などの、例えばホール効果センサまたはポテンショメータといった、当業者に知られる任意のタイプのセンサであり得る。コントローラ38は、水平に対する角度などの、ロール位置を感知するロールセンサ66からの入力をまた受信し得る。例えば、ロールセンサ66は、3軸ジャイロスコープなどのジャイロスコープを有し得、船舶14のロール角度を決定するよう使用され得る方向情報を検出し得る。他の実施形態において、ロールセンサ66は磁気計であってよく、または、加速度計および/またはジャイロスコープと、磁気計との組み合わせなどの、任意の他のタイプの位置または慣性測定ユニットを含んでよい。
【0041】
システム1への他の入力は、スロットルレバー68、キーパッド70、およびタッチスクリーン64などのオペレータ入力装置によってもたらされてもよい。知られているように、スロットルレバー68は、船をニュートラル、前進、または後退で動作させるよう船舶のオペレータが選択することを可能にする。キーパッド70は、任意の数の制御または動作モード(オートトリムモードなど)を開始または終了するよう、または、選択されたモードのうちの1つの中で動作しながら選択を行うよう、使用され得る。一例において、キーパッド70は「トリムアップ」ボタン70a、「トリムダウン」ボタン70b、および「オートトリム オン/レジューム」ボタン70cを有するインターフェースを備え、それはユーザによって利用されて、推進装置10の稼働中のトリム位置を制御し得る。例えば、トリムボタン70aおよび70bはユーザ入力を提供し、推進装置を同等の稼働中のトリム位置に制御し得る。タッチスクリーン64はまた、任意の数の制御または動作モード(トリムアップ、トリムダウン、またはオートトリムモードなど)を開始または終了するよう使用され得、その場合、入力は通常の意味でのボタンであり得、または選択可能なスクリーンアイコンでもあり得る。タッチスクリーン64はまた、船14のオペレータに、エンジン速度、船速、トリム角度、トリム動作モード、船の加速度など、システム1についての情報を表示し得る。加えて、タッチスクリーン64はトリムボタン70a−70bを提供するキーパッド70に取って代わり得る。
【0042】
上の記載のように、本発明者は、船舶上の推進装置10のトリムは、高速でのコーナリング中に、推進装置10によるプロップベントを避けるべく、推進装置10を異なるトリム角度に慎重に制御するよう自動的に制御され得ると認識している。つまり、プロペラを水面下に保つべく、推進装置10は稼働中のトリム位置からトリムイン(またはトリムダウン、またはトリム減少)され得る。
【0043】
図5は、稼働中のトリム位置と速度との間の関係を示すグラフ表示の図であり、それはエンジンRPMまたは船速であり得、それは船舶14が直進方向に航行しているときに加えられる。図5のグラフは、オートトリムシステムを介して、トリムが速度に対してどのように自動的に制御され得るかの例を提供する。しかしながら、当業者は、コーナリング操作中の本明細書に開示のトリム制御方法が、稼働中のトリム位置に推進装置10が手動で(トリムボタン70aおよび70bを介してなど)制御される状況においてもまた適用され得ることを、本開示に照らしてまた理解するであろう。本明細書で使用される場合、稼働中のトリム位置は一般に、推進装置の現在の稼働中の条件に基づく、および/または、ユーザ入力に基づく、船舶上の推進装置10の、現在命令されているかまたは目標であるトリム位置を指す。よって、稼働中のトリム位置は、速度(船速および/またはエンジンRPM)に基づいて、オートトリムシステムによって自動的に制御および命令され得、または、ユーザによって手動で制御され得る。稼働中のトリム位置はさらに、オートトリムシステムおよび/またはユーザ制御設定からなどの格納された値であり得、または、それはトリムアクチュエータ16と関連づけられたトリム位置センサ62からなどの測定値であり得る。
【0044】
上で記載されるように、船速が増加するにつれ、推進装置の稼働中のトリム位置は概ね増加し、船舶が滑走中であるとき、推進装置10は高速で概ねトリムアウトされる(正トリムを加えられる)。図5に示されるように、速度が増加するにつれ、稼働中のトリム位置72は概ね増加する。図示された例において、稼働中のトリム位置72は、現在の速度77におけるトリム位置曲線71上の値である。図示された関係において、稼働中のトリムは、下限速度閾値76と上限速度閾値78との間の速度に概ね比例して増加する。推進装置10は、最大の正トリム位置74(または最大トリムアウト位置)まで移動可能である。グラフにおいて、ゼロトリムは推進装置10が鉛直線Vと一直線にあるときの鉛直の位置を表す(図2)。負トリム位置、または、トリムイン位置は、トリム位置軸においてゼロ点より下に表される。示される実施形態において、船が下限速度閾値に到達するまで、推進装置10はトリムイン位置に維持され、下限速度閾値は滑走速度またはそれに近いものであり得る。下限速度閾値76未満では、トリム位置は定数値に維持される。同様に、上限速度閾値78より上では、トリムはまた定数値に維持される。このことにより、滑走速度未満の速度でトリム調節を行うこと、および極めて高速にトリム調節を行うことが避けられる。極めて高速なトリム調節は特定の船舶14に対して望ましくない不安定性を導入することがあるので、特定の実施形態では、極めて高速な調節を避けることが望ましいことがある。従って、稼働中のトリム位置は下限速度閾値76と上限速度閾値78との間の動作範囲OR内でのみ調節される。その範囲において、現在の速度77に基づいて、稼働中のトリム位置が決定され、その関係はトリム位置曲線71によって図示される。速度と稼働中のトリム位置との間の関係は線形か、または曲線関係であり得、例えば、船舶構造に基づいて変動し得る。
【0045】
図6Aは、滑走速度(船が滑走中の速度)または下限速度閾値76より上の速度などの、所与の速度における操舵入力値の大きさ(操舵角度として例示される)とトリム位置との間の可能な関係を例示するグラフを提供する。所与のシステム1において、操舵入力とトリム位置との間の関係は、様々な速度によって変動し得、よって、グラフは様々な速度によって異なって見え得る。Y軸はトリムを表し、稼働中のトリム位置72が中心点を提供し、または、軸回りに推進装置10のトリム位置が操舵角度の大きさに対して調節されるその軸は、X軸上で表される。
【0046】
一般に、船舶14がターン中に推進装置10のトリム位置は下降(トリムイン)され、トリム下降がいずれかのターン方向に(すなわち、左舷側11または右舷側12に向かって)同等に加えられる。示される実施形態において、トリム位置は、この場合は操舵輪54の操舵角度である操舵入力の大きさが、閾値操舵角度81に到達するまで、稼働中のトリム位置値72のままである。一旦操舵輪54がその閾値操舵角度81を通って動かされると、推進装置10のトリム位置は図示されたように調節される。例えば、操舵輪54が中心位置55から離れて回されて、この例では操舵の終端である最大操舵角度85に向かうにつれて(すなわち、操舵角度の大きさが増加するにつれて)、トリム調節量の大きさ(すなわち、稼働中のトリム角度72からの減算)は増加する。同様に、操舵輪54が回されて中心位置55に向けて戻るにつれて、トリム位置は稼働中のトリム角度72へと戻る。この関係は、ロール角度に基づいて制御される実施形態においてもまた成り立ち、トリムは同様に、船舶14のロール角度が増加するにつれて増加する量だけ、下降される。
【0047】
調節されたトリム位置88は、速度、船速、またはエンジン速度の変化を考慮するように、ターン中に調節され得る。(例えば、ユーザがスロットルの要求を低減するので)船速がターンの針路の途中で減少する場合、図5の例示的なカーブに沿ってなどして、稼働中のトリム位置72は減少するであろう。調節されたトリム位置88は、それに応じて変化し、新しい稼働中のトリム位置72を考慮し得る。船速は、調節されたトリム位置の決定において直接考慮されることができ、または間接的に、調節されたトリム位置を稼働中のトリム位置72に基づかせることによって考慮されることが可能である。
【0048】
図6Bは、トリム調節の大きさ(例えば、稼働中のトリム角度と調節されたトリム位置との間の差)と、特定の操舵入力値またはロール角度に関する速度と、の間の例示的な関係を説明する別のグラフを提供する。図示されたトリム調節は、稼働中のトリム位置を下降するように加えられる。本例において、トリム調節の大きさは下限速度閾値76未満ではゼロであり、上限速度閾値78に接近するにつれ、最大まで増加し、次に減少して、上限速度閾値78より上ではゼロである。従って、トリム調節は、下限速度閾値76と上限速度閾値78との間の動作範囲(OR)でのみ行われる。図示された例は上限速度閾値78より上でのトリム調節を避けるが、船の最大速度におけるそのような不安定性が問題とならない他の実施形態において、カーブは高速値での最大の大きさのトリム調節を提供するように成形され得る。速度とトリム調節の大きさとの間の、図示された放物線関係は、単に例示的なものであり、他の実施形態において、関係は線形または曲線関係であり得、例えば、船舶構造に基づいて変動し得る。同様に、異なる稼働中のトリム位置に対してカーブは異なって見えることがある。
【0049】
一実施形態において、稼働中のトリム位置72と、調節されたトリム位置との間のトリム調節量は、船舶14の船体構成および船舶14上の推進装置10の位置決めを考慮するなどの、船舶構造に基づいて較正される。例えば、調節されたトリム位置88は、操舵入力値、ロール角度、船速、エンジンRPM、および稼働中のトリム位置のうち1または複数に基づきルックアップテーブルにアクセスすることによって推進装置10に関して決定され得、ルックアップテーブルにおける値は特定の船舶14の構成に関して較正される。
【0050】
図7は、操舵入力値の大きさまたはロール角度と速度とに基づいて推進装置10に関する調節されたトリム位置88を提供する一例示的なルックアップテーブル91を図示し、速度は船速またはエンジン速度であり得る。ゼロ操舵角度に関連づけられた値は、その速度における稼働中のトリム位置72に等しいであろう。調節されたトリム位置88(例えば、船舶14上の推進装置10の各々に関して1つ)が、操舵入力値またはロール角度インクリメントに関して、ルックアップテーブル91において提供される。次にトリムアクチュエータ16は、関連づけられた推進装置10を、そのそれぞれの調節されたトリム位置88に向けて動かすように、動作させられる。
【0051】
図8は1つの例示的な実施形態を図示し、ルックアップテーブル91は、稼働中のトリム位置と操舵入力またはロール角度とに基づく、トリム調節値93を含む。トリム調節値93は、推進装置10に関する調節されたトリム位置88がその値において決定され得る任意の値であってよい。例えば、トリム調節値93は推進装置10に関するトリム調節量を含み得、それは稼働中のトリム位置72から減算され得る。代替として、トリム調節値93は実際の調節されたトリム位置88であり得、さらなる計算は必要ない。図示された例において、ルックアップテーブル91は操舵入力の大きさに関するトリム調節値93を含む。他の実施形態において、ルックアップテーブル91は操舵入力の大きさまたはロール角度の大きさに基づいてよく、トリム調節値93が推進装置をトリムインするように加えられるべきか否かを決定するよう、追加的ロジックが加えられてよい。
【0052】
オートトリム機能が実施され、よって稼働中のトリム位置72が速度(例えば、エンジンRPMまたは船速)に基づいて決定される実施形態において、ルックアップテーブル91上の稼働中のトリム位置値は、調節されたトリム位置を決定する目的で速度を考慮するであろう。稼働中のトリム位置72がユーザによって設定され、よって、所望の確度で速度と相関しないことがある実施形態において、トリム調節が動作範囲の外側で、または、少なくとも上限速度閾値78より上で、加えられないことを確実にするように、トリム調節値93に乗算値を適用することが望ましいかもしれない。図9は、速度(例えば、エンジンRPMまたは船速)に基づく乗算値Xを含む例示的な1次元ルックアップテーブル95を図示する。そのような乗算値は、図5に関して議論される、速度の動作範囲ORを考慮し得、よって、下限速度閾値76未満または上限速度閾値78より上の速度においてトリム位置が調節されないことを確実にするよう動作し得、また徐々に減らすように速度調節をする(例えば図6Bにおいて例示されたように)。同様に、そのような乗算値表が、操舵入力値またはロール角度に基づくトリム調節値を提供する1次元の表と共に使用され得る。
【0053】
図10は、トリム位置を制御する方法100の一実施形態を図示する流れ図である。稼働中のトリム位置は段階102において受信される。上で議論されたように、稼働中のトリム位置は現在のトリム位置設定を示し、それは自動的に制御されて、速度などの現在の条件に基づいて設定されてよく、または、ユーザが設定したトリム位置であってよい。稼働中のトリム位置は、メモリ48に格納されてプロセッサ46によって読み出し可能な値などの、オートトリム制御プロセスによって格納された変数の現在の値であってよい。代替として、稼働中のトリム位置はトリム位置センサ62から受信されてよく、推進装置10の、実際の測定された現在のトリム位置を反映する。段階104において、操舵位置センサ52またはロールセンサ66などからの、操舵入力および/またはロール角度が受信される。段階110において、調節されたトリム位置が、推進装置10に関して決定され、次に、少なくとも操舵入力値または船舶のロール角度に基づいて決定される。例えば、調節されたトリム位置は、図7−9に例示されてそれに対応して記載された1または複数のルックアップテーブルを介して決定され得る。段階112で、制御信号をトリムアクチュエータ16に送信してそれに従って動作させることなどによって、推進装置10のトリム位置は次に、そのそれぞれの調節されたトリム位置に向けて下降される。
【0054】
トリム位置を制御する方法100は、例えば、プロセッサ46のメモリ48に格納されるソフトウェアを実行するコントローラ38によって、実行され得る。代替として、または加えて、方法の部分が、船舶14のための舵制御モジュール(HCM)によって、および/または、推進装置10にそれぞれ関するECM59によってなど、他の制御装置またはモジュールによって実行され得る。
【0055】
図11は、トリム位置を制御する方法100の別の例示的な実施形態を図示する。稼働中のトリム位置が段階102において受信され、操舵入力および/またはロール角度が上で記載されたように段階104で受信される。段階105において、現在の速度が受信される。段階107において、段階104で受信された操舵入力および/またはロール角度がその値タイプの閾値と比較され、閾値は段階105で受信された船速に基づいて特定される。よって、トリム調節が行われるべきか否かを決定する閾値は、船速に基づいて変化し得る。例えば、トリム調節を行う閾値は、船速が増加するにつれて減少し得、それにより、船速が増加するにつれてターン操作へのトリム反応性を増加させる。本明細書に開示および記載された実施形態を参照して、船速は、例えば、ピトー管センサ56a、外輪センサ56b、またはGPSシステム56cを含む、本明細書に記載された任意の1または複数の例示的な船速センサ56から受信され得る。代替として、または加えて、段階105および107は、推進装置10のエンジンスピードセンサ58などからの、エンジン速度に基づいてよい。例えば、エンジン速度はそれぞれ各ECM59によって追跡され、各ECM59から受信されてよい。操舵入力および/またはロール角度が閾値を超えない場合、次に方法は段階102に戻り、操舵入力および/またはロール角度を継続的に監視し、それを速度に基づく閾値と比較する。特定の実施形態において、操舵入力および/またはロール角度入力は、小さく一時的な操舵またはロール変化に基づく過剰なトリムサイクルを防ぐようフィルタリングされ得る。
【0056】
段階107で、一旦閾値を超えると、段階108で、トリム調節値は操舵入力および/またはロール角度に基づいて決定される。例えば、トリム調節値は、図8において上に例示され記載されたものなどの、稼働中のトリム角度に基づく一次元ルックアップテーブルまたは二次元ルックアップテーブルなどの、トリム位置と操舵入力またはロール角度とを比較するルックアップテーブルを利用して決定され得る。例えば、ルックアップテーブルは1つの速度をベースとするトリム角度調節量を提供する一次元ルックアップテーブルであり得る。トリム角度調節が稼働中のトリム位置に固定されるが、稼働中のトリム位置は(速度に基づいて自動的に決定されるのではなく)ユーザによって設定され、よって船速またはエンジン速度に直接的にまたは正確に結びつけられなくてもよい実施形態において、システム1は段階109を実行して、船速(またはエンジン速度)に基づく乗算値を決定し得、よって、トリム調節が現在の船速に不適切ではないことを保証し得る。本明細書の他の箇所に記載されたように、高速での顕著なトリム調節は、船舶14に不安定性を生じさせる可能性があるかもしれず、よって、高速でのトリム調節を下降するかまたは排除するよう、1よりも小さい、または、ゼロにさえ等しい乗算値を含めることによって、顕著なトリム調節は避けられ得る。図9に関連して上に例示されるように、乗算値は、乗算値Xの値と速度インクリメントとを相関させる1次元ルックアップテーブル95にアクセスすることによって決定されてよく、高速値でのトリム調節はゼロに接近するかゼロに等しい乗算値Xを有し得る。例えば、乗算値Xは、下限速度閾値76未満、および/または上限速度閾値78より上ではゼロであってよい。同様に、乗算値Xの値は有意に1よりも小さく、下限速度閾値76および/または上限速度閾値78に接近するにつれて減少してよい。段階108で決定されたトリム調節値に段階109で決定された乗算値を乗算することなどによって、推進装置10に関する調節されたトリム位置が段階110で決定される。調節されたトリム位置は次に、段階111において、調節されたトリム位置が稼働中のトリム位置よりも小さい(またはよりトリムインされた位置にある)ことを確認するよう、稼働中のトリム位置と比較される。そうであるなら、アクチュエータ16は次に、段階112で、推進装置10をその調節されたトリム位置に向けて移動させるよう制御される。
【0057】
この記載された説明は、最良の形態を含めて発明を開示するための、また、任意の当業者が発明を形成および利用することを可能にするための例を用いる。特定の用語は簡潔性、明確さおよび理解のために使用された。そのような用語は説明の目的のみで使用され、広く解釈されることが意図されるので、それらから、従来技術の要件を越えた不必要な限定は一切推察されるべきではない。発明の特許可能な範囲は請求項によって定義され、当業者が思いつく他の例を含み得る。そのような他の例は、請求項の文字通りの言葉と異ならない特徴または構造的な要素を有する場合、または、請求項の文字通りの言葉からごくわずかな差しかない等価な特徴または構造的な要素を含む場合は、請求項の範囲内にあると意図される。
(項目1)
船舶上の推進装置のトリム位置を制御する方法であって、
上記推進装置に関する稼働中のトリム位置を受信する段階と、
操舵入力値または上記船舶のロール角度のうち少なくとも一方を受信する段階と、
上記操舵入力値の大きさまたは上記船舶の上記ロール角度の大きさを決定する段階と、
上記操舵入力値の上記大きさまたは上記船舶の上記ロール角度の上記大きさに基づいて、調節されたトリム位置を決定する段階と、
上記船舶のターン中に、上記推進装置のトリム角度を上記稼働中のトリム位置未満に減少させるよう、上記調節されたトリム位置に基づいてトリムアクチュエータを動作させる段階と、
を備える、方法。
(項目2)
上記操舵入力値の上記大きさまたは上記ロール角度の上記大きさが増加するにつれて、上記トリム角度を徐々に減少させる段階をさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記ターンが完了するときに上記推進装置が上記稼働中のトリム位置にあるよう、上記操舵入力値の上記大きさまたは上記ロール角度の上記大きさが減少するにつれて、トリム角度を徐々に増加させる段階をさらに備える、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記操舵入力値が中心位置に対する操舵輪の角度位置である、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
上記操舵入力値の上記大きさが操舵入力閾値よりも大きいこと、または、上記ロール角度の上記大きさがロール角度閾値よりも大きいことを決定し、次に、上記調節されたトリム位置を決定する段階をさらに備える、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
上記稼働中のトリム位置が、船速およびエンジン速度のうち少なくとも一方に基づいてコントローラによって決定される、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
上記調節されたトリム位置を決定する段階は、上記操舵入力値または上記ロール角度のいずれかと上記稼働中のトリム位置とに基づいて、調節されたトリム位置のルックアップテーブルにアクセスする段階を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
上記稼働中のトリム位置がトリム位置センサからの入力に基づいて決定される、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
上記稼働中のトリム位置がユーザによって設定される、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
上記調節されたトリム位置を決定する段階は、上記操舵入力値または上記ロール角度のいずれか一方と、船速またはエンジン速度のいずれか一方とに基づいてルックアップテーブルにアクセスする段階を含む、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
上記船速またはエンジン速度が、下限速度閾値よりも小さいかまたは上限速度閾値よりも大きいとき、上記ルックアップテーブルが、上記稼働中のトリム位置と上記調節されたトリム位置との間の差を最小化する、項目10に記載の方法。
(項目12)
船舶上の推進装置のトリム位置を制御するシステムであって、
上記推進装置のトリム位置を調節するトリムアクチュエータと、
操舵入力値または上記船舶のロール角度を受信し、
上記操舵入力値の大きさまたは上記船舶の上記ロール角度の大きさを決定し、
上記操舵入力値の上記大きさまたは上記船舶の上記ロール角度の上記大きさに基づいて、上記推進装置の調節されたトリム位置を決定し、
上記船舶のターン中に上記推進装置のトリム角度を稼働中のトリム位置未満に減少させるべく、上記調節されたトリム位置に基づいて上記トリムアクチュエータを制御する
コントローラと、
を備える、システム。
(項目13)
上記コントローラが、上記操舵入力値を受信し、上記操舵入力値が、操舵位置センサによって測定される中心位置に対する操舵輪の角度位置である、項目12に記載のシステム。
(項目14)
上記コントローラが、上記ロール角度を受信し、上記ロール角度が、ロール角度センサによって測定される水平に対する上記船舶の角度位置である、項目12または13に記載のシステム。
(項目15)
上記操舵入力値の上記大きさまたは上記ロール角度の上記大きさが増加するにつれて、上記トリム角度が徐々に減少させられる、項目12から14のいずれか一項に記載のシステム。
(項目16)
上記ターンが完了するときに上記推進装置が上記稼働中のトリム位置にあるよう、上記操舵入力値の上記大きさまたは上記ロール角度の上記大きさが減少するにつれて、上記トリム角度が徐々に増加する、項目15に記載のシステム。
(項目17)
上記コントローラは、上記調節されたトリム位置を決定する前に、上記操舵入力値の上記大きさが操舵入力閾値より大きいこと、または、上記ロール角度の大きさがロール角度閾値より大きいことをさらに決定する、項目12から16のいずれか一項に記載のシステム。
(項目18)
上記調節されたトリム位置を決定するために上記コントローラによってアクセス可能なルックアップテーブルをさらに備え、上記ルックアップテーブルは、上記操舵入力値または上記ロール角度のいずれか一方と、上記稼働中のトリム位置とに基づいて、トリム調節値をリスト化する、項目12から17のいずれか一項に記載のシステム。
(項目19)
上記コントローラがさらに、エンジン速度および船速のうち少なくとも一方を受信し、上記船速および上記エンジン速度のうち少なくとも一方に基づいて上記稼働中のトリム位置を決定する、項目12から18のいずれか一項に記載のシステム。
(項目20)
上記調節されたトリム位置を決定するために上記コントローラによってアクセス可能なルックアップテーブルをさらに備え、上記ルックアップテーブルは、上記操舵入力値または上記ロール角度のいずれかと、上記船速または上記エンジン速度のいずれかとに基づいて、トリム調節値をリスト化する、項目19に記載のシステム。
(項目21)
上記ルックアップテーブルは、上記船速または上記エンジン速度が下限速度閾値よりも小さいかまたは上限速度閾値よりも大きいとき、上記稼働中のトリム位置と上記調節されたトリム位置との間の差を最小化する、項目20に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11