(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記用毛の前記植毛面からの高さは、前記の対をなす弾性体の前記植毛面からの高さより1〜10mm低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の頭皮毛穴洗浄用ブラシ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、頭皮毛穴洗浄用ブラシ(以下、「洗浄用ブラシ」ともいう。)の一実施形態を例示して、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の洗浄用ブラシの一例を示す側面図である。
図2および3は、
図1の洗浄用ブラシの植毛面側からの底面図、
図4は、
図1の洗浄用ブラシの把持部側からの上面図である。
【0013】
図示例の洗浄用ブラシ1は、略楕円形の植毛面21を有する平板状の基台2と、植毛面21に設けられた複数の毛束3と、植毛面21における複数の毛束3よりも外周側に設けられた複数(この例では12)の弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fとを有する。
弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fは、二本一組で対をなしている。具体的には、詳しくは後述するが、弾性体5a同士、弾性体5b同士、弾性体5c同士、弾性体5d同士、弾性体5e同士、弾性体5f同士(略楕円形の植毛面21の長軸に対して略対称の位置に設けられ、互いに対向配置された弾性体同士)が、二本一組で対をなし、合計6組の対を形成している。
複数の毛束3は、それぞれ、先端に向けて漸次細くなる先細り状とされた用毛31が複数束ねられて構成されている。
なお、この例の洗浄用ブラシ1は、植毛面21の中央部にも、複数(この例では4)の弾性体5を有している。弾性体5は、正方形状に配置(正方形の各頂点に相当する位置に配置)されている。また、この例では、植毛面21の中央部の弾性体5の高さは、上述した外周側の弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fよりも、植毛面からの高さが低く形成されている。
本明細書において、「対をなす」弾性体とは、植毛面21において全ての毛束3よりも外側の部分、すなわち、外周側に配置されている弾性体についてのみ言う。例えば、植毛面21の中央部に配置された4本の弾性体5は、複数の毛束3よりも外周側に配置されたものではないため、本明細書における「「対をなす」弾性体」には該当しない。
【0014】
基台2は、例えばポリプロピレン等の一般的な硬質樹脂材料等からなり、平面視略楕円形の平板状に形成されている。基台2の一方の面である植毛面21には、複数の植毛穴22と複数の弾性体取付穴(図示略)とが形成され、各毛束3は、基台2の各植毛穴22に、該植毛穴22の内部が外部から観察されない状態の密度で一束ずつ植毛されている。一方、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5は、基台2の各弾性体取付穴に、嵌合等の方法により一本ずつ取り付けられている。
【0015】
この例の洗浄用ブラシ1は、開口部41を有するとともに内部が中空部4aとされた中空状の筐体4を具備している。筐体4は、例えばポリスチレン系樹脂等の樹脂から形成される。
筐体4の開口部41には、基台2が嵌め込まれて取り付けられている。
筐体4における開口部41と反対側には、使用者が洗浄用ブラシ1を片手で把持し、操作するための把持部42が形成されている。この例の把持部42は、例えば
図5に示すように、使用者が人差し指と中指との間でこれを挟み、頭皮上で図中矢印方向(平面視略楕円形である基台2の植毛面21における短軸方向に概略沿う方向。)に往復移動させやすいように形成されている。具体的には、この例の把持部42は、平面視略楕円形である基台2の長軸方向に沿って延在する凸状の挟み部42aと、挟み部42aの上部(挟み部42aからみて、基台2が位置する側と反対側。)に設けられ、人差し指と中指を係止する係止部42bとから形成されている。
【0016】
また、この例では、基台2の植毛面21の周縁部の対向する2カ所に、基台2の表裏を貫通する一対の貫通孔14が設けられている。このように貫通孔14が形成されていると、洗浄用ブラシ1の使用時に、水、洗浄剤等が筐体4の中空部4aに浸入しても、貫通孔14から水抜きを行うことができる。これにより洗浄用ブラシ1を長期間、繰り返し使用する場合でも、清潔に使用、保管できる。
【0017】
次にこの例の洗浄用ブラシを構成する用毛31および毛束3、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5についてそれぞれ説明し、その後、これらが植毛面21上に配置される配置パターン、用毛31の高さと弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fの高さの関係等について説明する。
【0018】
(用毛および毛束)
毛束3は、複数の用毛31が束ねられたものである。
この例の洗浄用ブラシ1に使用されている用毛31は、
図6に示すように、両方の先端部31aが先細り状に形成され、各先端部31aは、少なくともその端面31b付近における直径d2が、頭皮の毛穴よりも細い径とされたものである。
用毛31の材質としては、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ナイロン(登録商標)、ポリエステル等の一般的な樹脂材料を用いることができる。また、例えば美観向上等を目的として、合成樹脂主体の素材に他成分を混合した材料や、耐久性の向上を目的として抗菌剤等を添加した材料を使用してもよい(特開平11−253236号公報参照。)。
【0019】
用毛31の先端部31aを先細り状にすると、頭皮上の毛髪に先端部31aの毛先(端面31b)が当たった際に生じる微弱な力であっても、先端部31aが容易に曲がる。そのため、先細り状の用毛31を用いて毛束3を構成することにより、用毛31の先端部31aが頭皮の毛穴内部に確実に入り込み、毛穴内部の汚れを効果的に除去することができる。
【0020】
用毛31の先端部31aは、端面31bから0.1mmの位置における直径d2が、例えば5〜50μmの範囲となるように、用毛31の中央部から先端部31a側に向けて漸次縮径した形状であることが好ましい。その場合、用毛31の長手方向の中央部の直径d1は、例えば150〜400μmの範囲であることが好ましく、170〜380μmがより好ましい。直径d2を上記範囲とすることにより、用毛31が効率良く毛髪の毛穴内部に入り込み、効果的な洗浄が可能となる。また、この際、複数の毛束3の先端が略一つの平面を構成するように、その植毛面からの高さを揃えることにより、特定の用毛31のみが頭皮に強く当たることで頭皮を傷める現象を防止できる。
【0021】
なお、人間の毛髪の直径は、人種、性別、年齢、くせ毛の有無などによって異なるが、一般的な日本人では40〜100μm程度であり、平均70μm程度である。よって、数本の毛髪が生える1つの毛穴の大きさは、毛髪の直径と同等かそれ以上の大きさと考えられ、平均70μm以上であると考えられる。
【0022】
また、用毛31として、
図6に示すように、一方のみでなく、両方の先端部31aが先細り状であるものを用いると、この用毛31を複数束ねた後、長手方向の中央部から折り返すようにして植毛することで、両方の先端部31aが毛束3の先端に位置するように構成することができる。
【0023】
用毛31を先細り状に加工する方法としては、特に制限はなく、例えば、樹脂からなる直毛形状のブリッスルを材料に用い、薬品等を用いる従来公知の化学的方法で樹脂を溶解して先端を先細り状に加工してもよい。また、直毛形状のブリッスルの先端部周囲を機械加工によって研削することで先細り状に加工してもよい。
【0024】
なお、先細り状とされた用毛31は先端部の強度が弱いため、極度に強い力を加えて頭皮の洗浄やマッサージを行った際に毛先が曲がってしまい、毛穴の洗浄を行うことが困難となることがある。このため、頭皮洗浄時に使用者がブラシに加える荷重としては、概ね300〜1300g程度とすることが好ましい。
【0025】
図7に示す用毛31の植毛面からの高さH1は、5〜30mmの範囲であることが好ましく、10〜25mmの範囲であることがより好ましい。用毛31の高さH1が上記範囲の下限値以上であると、毛髪が障害となって用毛31が頭皮、毛穴に届かないという現象が起こりにくい。また、用毛31の高さH1が上記範囲の上限値以下であると、用毛31が曲がりにくく、そのため、先端部31aが頭皮の地肌や毛穴に届きやすくなる。
【0026】
高さH1には多少のばらつきが生じる場合もあるが、植毛された全ての用毛31の9割以上が、上記範囲内であることが品質上好ましい。
【0027】
植毛穴22の一穴あたりにおける用毛31の植毛数は、植毛穴22内部が外部から観察できない状態の密度となるように決定することが好ましく、具体的には、一穴あたりの用毛31の植毛数が10〜50本であることが好ましく、10〜30本であることがより好ましく、10〜25本であることがさらに好ましい。ここで、例えば上述のように、用毛31を複数束ねた後、長手方向の中央部から折り返すようにして植毛した場合には、1本の用毛による植毛数は2本となる。すなわち、用毛を複数本束ねた後、長手方向の中央部から折り返すようにして植毛した場合には、5〜15本の用毛を使用することにより、植毛数10〜30本とすることができる。
【0028】
植毛穴22に対する植毛数が上記範囲の下限値以上であると、頭皮毛穴の洗浄効果がより得られやすい。上記範囲の上限値以下であると、径の大きな植毛穴22を基台2に形成する必要がなく、また、植毛穴22内に、洗髪時に使用する洗浄剤やリンス剤等が浸入して詰まることが防止されやすい。
【0029】
植毛数には多少のばらつきが生じる場合もあるが、用毛31が植毛された全ての植毛穴22の9割以上において、用毛31の植毛数が上記範囲内とされていることが品質上好ましい。
【0030】
植毛穴22内部が外部から観察できないような植毛数とすると、抜けた毛髪が毛束3に絡みにくく、また、仮に毛髪が毛束3に絡んだとしても、毛髪を毛束3から除去しやすい。また、植毛穴22内に、洗髪時に使用する洗浄剤やリンス剤等が浸入して詰まることが防止されやすい。
植毛穴22の断面積に対する用毛31の植毛数が少ないと、用毛31間に僅かな隙間が生じ、概ね70μm程度の太さである毛髪が用毛31間の僅かな隙間に挟まれてしまい、除去し難い状態となる傾向にある。
【0031】
以下に、植毛穴22に対する用毛31の植毛密度の参考例を説明する。
例えば、直径が1.5mmとされた植毛穴22に、長手方向の中央部の直径が190μmの用毛31を中央部から折り返すようにして植毛する場合、21本の用毛31を束ね中央部から折り返して植毛すると、植毛穴22内部が外部から観察できない状態の密度とすることができる。このような植毛穴22内の状態について、断面積で検討すると、植毛穴22の断面積=0.75×0.75×3.14=1.77mm
2に対し、用毛31が占める断面積は、0.095×0.095×3.14×21×2=1.19mm
2となり、植毛穴22の断面積の内の67%が用毛31で占められている状態となる。
また、本発明者が検討した結果、用毛31の植毛数を13本とした場合は、植毛穴22の断面積に対して用毛31の断面積が占める割合が42%となり、この42%という割合が、植毛穴22内部が外部から観察されない状態と観察可能な状態との境界となることが見出された。植毛穴22の断面積に対する用毛31の断面積の占める割合Rが、境界である42%未満になると、植毛穴22内部が外部から観察可能な状態となり、このような状態においては、直径が概ね70μm程度である毛髪が、用毛31に絡みつきやすくなる。
【0032】
毛髪の絡み易さの点から考慮した場合、植毛穴22の断面積に対する用毛31の断面積の割合Rが、上記境界である42%以上であると、毛髪が用毛31に絡みつきにくくなる。割合Rが85%以下であると、植毛穴22を起点として基台2が割れるなどの不都合が起きにくく、植毛された用毛31の先端が外側に開いてしまう現象も抑制されやすい。よって、上記割合Rを42〜85%とすることが好ましい。
【0033】
植毛穴22は、植毛面21において、後述する毛束3の配置パターン(植毛パターン)に対応したパターンに形成される。
植毛穴22の大きさや形状は特に制限されず、一穴あたりの植毛数を上述した適切な範囲とすることができればよい。また、植毛穴22の形状としては、例えば、特開2000−50955号公報等に示されているように、洗浄用ブラシの品質向上や製造効率の向上を目的として、真円形状の他、非円形状に形成してもよい。
【0034】
用毛31が複数束ねられた毛束3を、基台2の植毛穴22に植毛する方法としては、例えば、一般的に歯刷子製造等に用いられる植毛装置を転用し、何ら制限なく用いることが可能であり、このような植毛装置の形態についても何ら制限されない。このような植毛装置としては、例えば、特開2000−93233号公報等に記載の製造装置を使用できる。
【0035】
また、例えば特開2001−46149号公報等に示されるように、植毛後の毛束3の品質を向上させる等の目的で、中間品である毛束3植毛後の基台2に対して、冷却処理または熱処理等の後処理を施してもよい。
【0036】
(弾性体)
弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5は、この例では、横断面(植毛面に平行な断面)が真円形であって、
図8に示すように、植毛面21側の基部7bから先端部7aに向かって漸次縮径する錐体状(円錐状)に形成されている。また、先端部7aが曲面状に面取りされた形状とされている。
【0037】
弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5を構成する弾性材料としては、デュロメータ・タイプAによりJIS K6253 Aに準拠して測定された数値(ショアA硬度)が、40度以上90度以下である材料が好ましく、40度以上80度以下の材料がより好ましい。
具体的な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン(登録商標)、ポリアセタール等の合成樹脂、ウレタンゴム、シリコーン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、各種エラストマー等の弾性材料が挙げられる。これらの中でも、スチレン系エラストマーを用いることが、頭皮に対して効率良くマッサージ効果を付与できる点でより好ましい。
【0038】
弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5の基部7bの直径は、強度確保等の観点から、例えば5〜9mmの範囲であることが好ましい。また、先端部7aから基部7b側に0.1mmずれた部分における直径は、0.1〜1mmの範囲であることが好ましい。直径が上記範囲の下限値以上であると、目的とするマッサージ効果が充分に得られやすく、上記範囲の上限値以下であると、頭皮の洗浄を実感しやすい。
【0039】
図8に示す弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5の植毛面21からの高さH2は、5〜30mmの範囲が好ましく、10〜20mmの範囲がより好ましい。高さH2が上記範囲の下限値以上であると、毛髪が障害となって弾性体の先端部7aが頭皮毛穴に届かないという現象が起こりにくい。高さH2が上記範囲の上限値以下であると、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5が曲がりにくい。そのため、弾性体の先端部7aが頭皮の地肌や毛穴に届き難くなるという現象が起こりにくい。
【0040】
高さH2には多少のばらつきが生じる場合もあるが、全ての弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5のうちの9割以上が、上記範囲内に入っていることが品質上好ましい。
なお、毛束3よりも外周側の弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fと、毛束3よりも内周側の中央部の弾性体5とでは、高さを異ならせてもよい。この例のように、中央部の弾性体5を外周側の弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fよりも低く形成すると、毛を掻き分けやすくなるとともに、弾性体の先端および毛束の先端により形成される面が頭皮の曲面に沿うため、全ての弾性体が頭皮に当たりやすく、洗浄力を確保できる点で好ましい。
【0041】
弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5は、例えば基台2の植毛面21に形成された弾性体取付穴に嵌合する方法、所定の位置に各弾性体が取り付けられた基板を別途作製し、この基板と基台2とを重ね、基台2に形成された弾性体取付穴から各弾性体を貫通させる方法などで植毛面21上に設けることができる。
【0042】
弾性体取付穴は、植毛面21上において、詳しくは後述する弾性体配置パターンに対応したパターンに形成される。弾性体取付穴の大きさや形状は、特に制限されず、取付けられる弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5の大きさや形状に合わせて決定される。
【0043】
(毛束と弾性体との配置パターン、用毛と弾性体との高さの関係等)
本実施形態例の洗浄用ブラシ1においては、
図2および
図3に示すように、植毛面21における毛束3よりも外周側に突設された12の弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fが、略楕円形である植毛面21の長軸を挟んで対向する弾性体同士、すなわち、弾性体5a同士、弾性体5b同士、弾性体5c同士、弾性体5d同士、弾性体5e同士、弾性体5f同士で、それぞれ二本一組の対をなし、複数組(この例では6組)の対を形成している。
一方、複数の毛束3は、2×2列の正方形状に配列した4束で1ユニットを形成し、合計16のユニットU1〜16が植毛面21に配置されている。
そして、すべての毛束3は、対をなす二本の弾性体を結ぶ6つの領域内のいずれかに、該領域内からはみ出ないように、配置されている。
このように対をなす二本の弾性体と、これらを結ぶ領域内に配置された毛束とで、6組のブラシ列6a,6b,6c,6d,6e,6fが形成されている。
【0044】
具体的には、弾性体5a,5aと、互いに間隔をあけて配列した毛束3のユニットU1,U2とで、1組のブラシ列6aが形成され、同様に、弾性体5f,5fと、互いに間隔をあけて配列した毛束3のユニットU15,U16とで、1組のブラシ列6fが形成されている。
また、弾性体5b,5bと、互いに一定の間隔をあけて配列した毛束3のユニットU3,U4,U5,U6とで、1組のブラシ列6bが形成され、弾性体5c,5cと、毛束3のユニットU7,U8とで、1組のブラシ列6cが形成され、弾性体5d,5dと、ユニットU9,U10とで、1組のブラシ列6dが形成され、弾性体5e,5eと、毛束3のユニットU11,U12,U13,U14とで、1組のブラシ列6eが形成されている。
【0045】
そして、任意のブラシ列は、他の任意のブラシ列とは互いに平行になっている。この例では、各ブラシ列は、いずれも植毛面21の短軸方向に平行に配置されている。すなわち、6組のブラシ列6a,6b,6c,6d,6e,6fの全てが、互いに平行であり、植毛面21の短軸方向に沿っている。
【0046】
なお、この例では、植毛面21の中央部に、4本の弾性体5が配置されているが、これら4本の弾性体5は毛束3よりも外周側に配置されたものではないため、本明細書においては、「対をなす」弾性体には該当せず、また、ブラシ列を構成する弾性体にも該当しない。
【0047】
ここで
図2および
図3の洗浄用ブラシ1については、上述のように、弾性体5a同士、弾性体5b同士、弾性体5c同士、弾性体5d同士、弾性体5e同士、弾性体5f同士が、それぞれ二本一組の対をなしていると見なし、植毛面21の短軸方向に沿う6組のブラシ列6a,6b,6c,6d,6e,6fが形成されていると認定した。しかしながら、この例の洗浄用ブラシ1については、例えば、
図9に示すように、弾性体aと弾性体fとが二本一組の対をなしていると見なし、基台2の長軸方向に沿う2組のブラシ列6g,6hが形成されていると見なすこともできる。
このように1つの洗浄用ブラシに対して、どの弾性体とどの弾性体とが対をなしているか捉える際に、複数通りの捉え方が存在する場合(すなわち、本例では
図2および
図3の捉え方と、
図9の捉え方との二通り。)がある。
そして、この例の洗浄用ブラシ1の場合には、
図2および
図3に示すように対をなす6組の弾性体を捉えた場合には、「すべての毛束が、対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内に配置されている」とみなすことができるが、
図9に示すように対をなす2組の弾性体を捉えた場合には、毛束のユニットU1,U2,U4,U5、U12,U13,U15,U16は、対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内に配置されていないことになるため、「すべての毛束が、対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内に配置されている」とみなすことはできない。
上記の場合には、存在する複数通りの捉え方のうち、少なくとも1通りの捉え方で対をなす弾性体を決定したときに、その決定された対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内に、すべての毛束が配置されていれば、当該洗浄用ブラシは、本発明に該当する。
この例で言えば、
図2および
図3に示す捉え方と、
図9に示す捉え方とが存在するが、そのうち、
図2および
図3に示す捉え方であれば、上述のように、「すべての毛束が、対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内に配置されている」とみなすことができる。そのため、この洗浄用ブラシ1は、本発明に該当する。
【0048】
また、毛束について、「対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内のみに配置される」とは、
図10に示すように、対をなす弾性体同士の基部7bの外縁を結ぶように、2本の線L10、L20を引いた場合に、この2本の線L10、L20からはみ出さないように、毛束3が植毛されていることをいう。具体的には、この2本の線L10、L20で挟まれた図中斜線領域内に、毛束3を植毛するための植毛穴22が形成されていればよい。対をなす弾性体同士の基部7bの直径が同じであれば、2本の線L10、L20は互いに平行で、かつ、線L10、L20の間隔は基部7bの直径と同じである。
【0049】
図1の洗浄ブラシ1においては、用毛31の植毛面21からの高さH1が、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fの植毛面21からの高さH2以下である。用毛31の植毛面21からの高さH1は、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fの植毛面からの高さよりも0〜10mmの範囲で低く形成されていることが好ましく、0〜8mmの範囲で低く形成されていることがより好ましく、1〜7mmの範囲で低く形成されていることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、使用時に用毛31の先端が寝にくく、上記範囲の上限値以下であれば、頭皮のマッサージ効果と毛穴内部の洗浄効果の両方がより優れやすい。これに対して、仮に用毛31の植毛面21からの高さH1が、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fの植毛面21からの高さH2よりも大きい場合には、弾性体および用毛のそれぞれが頭皮のマッサージ効果や毛穴内部の洗浄効果を充分には奏さなくなる。
【0050】
上述のとおり、用毛31および弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fの高さには、それぞれ多少のばらつきが生じる場合がある。その場合、最も高さの高い用毛31と、対をなす弾性体のうち、最も高さの低い弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fとを比較した場合に、これらの高さの関係が上記関係を満たすことが必要である。
なお、対をなしていない弾性体5は、用毛31よりも高さが高くても低くてもよいが、この例では、植毛面21の中央部に配置され、対をなしていない弾性体5は、植毛面21からの高さが用毛31と同程度に低く形成されている。植毛面21の中央部に配置された弾性体の高さについて、このように用毛31と同程度とすることは、毛の掻き分けやすさ、ブラシ通り向上の点で好ましい。
【0051】
このように、植毛面21において毛束3よりも外周側に設けられた弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fが二本一組で対をなし、対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内のみに、複数の毛束3が配置され、互いに平行な複数のブラシ列を形成し、かつ、用毛31の植毛面21からの高さH1が、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fの植毛面からの高さH2以下で構成されていると、頭皮上でのブラシ通りが良く、洗髪時等に動かしやすく、頭皮のマッサージ効果と毛穴内部の洗浄効果の両方が優れる洗浄用ブラシ1が得られる。
【0052】
すなわち、植毛面21において毛束3よりも外周側に、二本で対をなす弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fが配置され、対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内のみに、毛束3が配置されてブラシ列6a,6b,6c,6d,6e,6f,6fが形成され、さらに、各ブラシ列6a,6b,6c,6d,6e,6f,6fが互いに平行であると、頭皮上で洗浄用ブラシ1を動かした場合に、ブラシ通りが優れ、洗髪時等に動かしやすい。そのため、例えば毛髪量の多い使用者が使用した場合等においても、毛髪をかき分けやすい。
ここで弾性体が毛束よりも外周側に設けられていたとしても、これらが対をなしておらず、ランダムに配置されている場合や、対をなしていても、任意の対と他の任意の対とが互いに平行ではない場合には、洗浄用ブラシ1を動かしたときに、弾性体に毛髪がからまりやすく、ブラシ通り、洗浄用ブラシの動かしやすさが劣る。
ブラシ列の本数は、3〜10本が好ましく、4〜8本がより好ましい。また、各ブラシ列における弾性体の数は2本であるが、これら2本の間に配置される毛束のユニット数は、ユニットを構成する毛束数にもよるが、2〜7ユニットが好ましく、4〜6ユニットがより好ましい。
なお、どの弾性体とどの弾性体が対をなしていると捉えるかに、複数通りの捉え方が存在し、そのため、複数通りのブラシ列の数え方が生じる場合には、複数種の数え方で数えられたブラシ列の本数のいずれもが、上記範囲内であることが好ましい。
【0053】
また、植毛された毛束のうちの少なくとも一部が、対をなす二本の弾性体を結ぶ領域からはみ出る位置に植毛されていると、その毛束がブラシ通りを妨げ、洗浄用ブラシの操作性が劣る。そのため、マッサージ効果や毛穴内部の洗浄効果も充分には得られ難くなる。
【0054】
さらに、毛束よりも外周側に弾性体が配置され、その弾性体が二本一組で対をなし、かつ、弾性体間には毛束が配置されたブラシ列が複数平行に形成されていたとしても、用毛の植毛面からの高さH1が、対をなす弾性体の植毛面からの高さH2より高い場合には、使用時において、弾性体先端部が頭皮上で弾性変形した状態になると、用毛の先端が頭皮に当たって寝てしまう。そのため、毛穴内部の洗浄効果が不充分となる。また、用毛の先端が寝てしまうことで、用毛によっても発揮されるマッサージ感がほとんど得られず、そのため、洗浄用ブラシ全体としてのマッサージ感も充分には得られない。
【0055】
特に、
図1の洗浄用ブラシ1は、その把持部42の挟み部42aが、平面視略楕円形である基台2および植毛面21の長軸方向に沿って延在するように形成されている。そのため、この洗浄用ブラシ1の使用者は、例えば
図5に示すように、人差し指と中指との間で挟み部42aを挟み、頭皮上で
図5中矢印方向(平面視略楕円形である基台2における短軸方向に概略沿う方向。)に、このブラシを往復させて操作するものと考えられる。ここで、図示例の洗浄用ブラシ1のブラシ列6a,6b,6c,6d,6e,6f,6fは、洗浄用ブラシ1の往復方向と同じ基台2および植毛面21の短軸方向に沿う方向に配置されており、想定されるブラシの往復方向と、ブラシ列の配置方向とが一致している。そのため、この例の洗浄用ブラシ1は、特に、ブラシ通り、毛髪のかき分けやすさの点で、優れていると考えられる。
【0056】
また、この例では、各弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5の横断面が真円形であって等方的形状となっている。そのため、洗浄用ブラシ1の使用時に頭皮から弾性体に対して加わる力が、どのような向きのものであったとしても、マッサージ効果を充分に発揮できる。例えば、弾性体の横断面が非等方的形状(異方的形状)である例えば楕円形等であると、加わる力の向きによって、得られるマッサージ効果が変動し、力の方向によっては充分なマッサージ効果が得られ難くなる場合がある。
【0057】
本明細書において等方的形状とは、真円形の他、正六角形、正八角形、正十角形等、正n角形(ただし、nは6以上の偶数である。)のことをいう。また、全弾性体の横断面が、これらのうちの一種の形状に統一されている必要はなく、例えば、真円形である弾性体と正六角形である弾性体とが混在していてもよい。
【0058】
(毛束(植毛穴)の配置)
図示例では、毛束3は、4束の毛束3により1ユニット形成しており、1ユニットにおける4束の毛束3は、2×2列の正方形状に配列している。1ユニットにおける毛束の数は、4束に限定されず、2〜6束が好ましく、4〜6束がより好ましい。
【0059】
1ユニットあたりの毛束3の数(植毛穴22の穴数に対応)が上記範囲の下限値以上であると、頭皮への当たり心地が良く、充分なマッサージ効果が得られやすい。上記範囲の上限値を超えると、植毛面上に配される各ユニット内の毛束が略面接触状態で頭皮に接するためにマッサージ効果が得られにくく、また、用毛31が効率的に頭皮毛穴に進入できなくなり、毛穴汚れの除去、洗浄効果が不充分となる場合がある。
【0060】
また、この例では、植毛穴22については、1ユニット内における任意の2箇所の植毛穴22の
図2に示す中心間距離が、最短部距離L1で3mm、最長部距離L2で4.2mmとされ、任意のユニットの中心点から、最も近いユニット中心点までの最短中心間距離L3が、最短部で9mmとされている。好ましい最短部距離L1は1mm以上、好ましい最長部距離L2は10mm未満、好ましい最短中心間距離L3は1mm以上15mm未満、より好ましい最短中心間距離L3は3mm以上15mm未満である。これにより、充分な汚れの洗浄実感とマッサージ効果が同時に得られやすい。
【0061】
最短部距離L1が上記下限値以上であると、各ユニット内の毛束3が面接触状態で頭皮に接しにくいため、良好なマッサージ効果が得られやすい。また、用毛31が効率的に頭皮毛穴に進入しやすく、毛穴汚れの除去、洗浄効果が充分に得られやすい。
最長部距離L2が上記下値以上であると、頭皮への当たり心地がより良好となる。
最短中心間距離L3が上記範囲内であれば、無植毛領域が広くなりすぎず適度であり、用毛の先端が頭皮に到達した実感が得られ、不快な刺激感は低減され、その結果、洗浄効果および使用感に優れ、外観から得られる洗浄効果感も良好となる。
【0062】
このように植毛面21において、毛束3が複数本で1ユニットを形成し、複数のユニットが互いに一定の間隔をあけて設けられていると、植毛領域(毛束がユニットを形成しつつ植毛された領域)と無植毛領域(毛束が植毛されていない領域)とが効果的に配置され、複数束の毛束3が密に均一分布した場合に比べ、より高いマッサージ効果が得られるとともに、より高い頭皮毛穴洗浄効果が得られる。
【0063】
なお、図示例の洗浄用ブラシ1では、毛束3は4束で1ユニットを形成しているが、後に図面により例示するように、ユニットを形成する毛束数、毛束の配置形状は、これに限定されない。
【0064】
また、植毛面21上に植毛される毛束3の総ユニット数は、図示例では16ユニットであり、8〜32ユニットの範囲が好ましく、10〜24ユニットの範囲がより好ましい。総ユニット数が上記範囲であれば、毛穴の洗浄効果がより優れる。
【0065】
(弾性体の配置)
弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fは、植毛面21における毛束3よりも外周側において、
図11に示すように、隣接する弾性体の基部(根元)7bの間に5〜30mmの間隔C1を設けて配置されていることが好ましく、間隔C1は7〜22mmがより好ましい。間隔C1を上記範囲とすることにより、毛髪をかき分ける効果に優れるとともに、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fによる優れたマッサージ効果が得られる。間隔C1が上記範囲の下限値以上であると、毛髪が弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fに絡まりにくく、毛髪をかき分けやすく、洗浄用ブラシ1のブラシ通りも良好となる。間隔C1が上記範囲の上限値以下であると、所望のマッサージ効果が得られやすい。
【0066】
植毛面21における毛束3よりも外周側に突設される弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fの総数は、この例では12本であり、4〜24本の範囲が好ましく、6〜22本の範囲がより好ましく、10〜16本の範囲がさらに好ましい。植毛面21における毛束3よりも外周側に配置され、対をなす弾性体の総数が上記範囲であれば、頭皮に対して効率良くマッサージ効果を付与することができ、また、使用者が良好なマッサージ感を得ることができる。
【0067】
植毛面21における毛束3よりも外周側に突設される弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fは、その弾性体の基部7bの外縁から植毛面21の周縁21aまでの
図12に示す最短距離L4が、1〜10mmとなる範囲に設けられることが好ましい。このように植毛面21の周縁に設けられることにより、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fによる、毛髪をかき分る効果が安定に得られやすい。
【0068】
なお、
図1の例では、植毛面21の中央部に、対をなさない4つの弾性体5が形成されており、このような弾性体は、設けられていなくてもよいが、マッサージ感やブラシ通り向上の点からは、設けられていることが好ましい。
【0069】
以上説明したように本実施形態の洗浄用ブラシは、植毛面における毛束よりも外周側には、二本で対をなす弾性体が複数組突設され、対をなす二本の弾性体を結ぶ領域内のみに、複数の毛束が配置されることにより、二本の弾性体とその間に配置された毛束とからなるブラシ列が複数組形成され、任意のブラシ列と、他の任意のブラシ列とは、互いに平行であり、かつ、用毛の植毛面からの高さは、弾性体の植毛面からの高さ以下である。そのため、頭皮上でのブラシ通りが良く、洗髪時等に動かしやすく、頭皮のマッサージ効果と毛穴内部の洗浄効果の両方が優れる。
【0070】
本発明の洗浄用ブラシとして好適な弾性体および毛束の配置パターンとしては、例えば、
図13(a)〜(e)に示すパターンおよび
図14(a)〜(f)に示すパターンが挙げられる。なお、
図13(c)、
図13(d)は、
図2の洗浄用ブラシ1と同じ配置パターンであるが、最長部距離L2、最短部距離L1、最短中心間距離L3、間隔C1等が異なっている。また、
図14(c)〜(e)は、互いに、最長部距離L2、最短部距離L1、最短中心間距離L3、間隔C1等が異なっている関係にある。
また、
図13(b)および
図14(b)では、5つの毛束3が1ユニットを形成しているが、5つの毛束3は、例えば
図15(a)に示すように、五角形状に配置してもよい。また、
図13(e)および
図14(f)では、6つの毛束3が1ユニットを形成しているが、6つの毛束3は、例えば
図15(b)に示すように、六角形状に配置してもよい。このようにユニットを形成する毛束数、毛束の配置形状は、任意に決定できる。
【0071】
なお、本発明の洗浄用ブラシにおいては、植毛面21のいずれの部分にも、対をなさない弾性体が設けられていてもよい。ただし、その場合には、対をなさない弾性体の本数は、植毛面で対をなす弾性体の本数の50%以下の本数であり、かつ、12本以下であることが、本発明の効果を得るうえで好適である。
【0072】
このような洗浄用ブラシ1は、主として洗髪時等において、シャンプー剤を頭皮上及び頭髪に泡立てた状態で用いることにより、頭皮及び頭皮の毛穴、毛髪等の汚れに対して優れた洗浄効果およびマッサージ効果が得られる。
また、例えば、マッサージ剤を頭皮及び頭髪に塗布した後、洗浄用ブラシ1によって刷掃することにより、速やかにマッサージ剤が頭皮及び頭髪の全体に行き渡り、効率良くマッサージすることができるとともに、頭皮や毛穴内部の汚れを浮き上がらせ、洗浄効果をより向上させることが可能となる。
さらに、リンス剤やコンディショナー剤と併せて使用した場合、これらの液剤を速やかに頭皮に到達させるとともに、目的とする成分を頭皮に効率的に浸透させることができるため、非常に好適である。
本発明に係る洗浄用ブラシの使用形態としては、これらに限定されるものではなく、頭皮や頭皮の毛穴の手入れ作業において、様々な用途に用いることができる。
【0073】
(その他)
本発明の洗浄用ブラシは、上記例示した実施形態に限定されない。
例えば、基台の形状は、平面視略楕円形に限定されず、円形、多角形等でもよい。また、弾性体の形状は、基部から先端部にかけて縮径する錐体形状が好適であるが、例えば、円柱、角柱等の柱状でもよい。その場合には、先端部が曲面状に面取りされた形状であることが好ましい。また、把持部の形状も図示例に限定されないし、把持部を有していなくてもよい。
【実施例】
【0074】
以下に、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0075】
[実施例1]
以下の手順で、
図6に示すような用毛31を用いて毛束3を作製するとともに、
図8に示すような弾性体(横断面が真円状)を製造し、これら毛束と弾性体が取付けられた基台を筐体に取り付け、
図1に示す形態、
図2に示す弾性体および毛束の配置パターンの洗浄用ブラシ1を作製した。
【0076】
(基台の作製)
79.0mm(長軸)×64.3mm(短軸)の平面視略楕円形状とされ、厚さが4.5mmの基台2において、植毛面21における毛束3よりも外周側となる位置に、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fを挿通して取り付けるための弾性体取付穴の12個を楕円形状に形成した。また、植毛面21の中央部に、弾性体5を取り付けるための弾性体取付穴を正方形状に4つ形成した。
また、直径が1.5mmの植毛穴22を
図2に示すパターンとなるように16ユニット(1ユニットは2×2列)形成した。
【0077】
(用毛の作製)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる直径190μmの用毛の原糸を等寸法にカットし、規定温度に加温した高濃度NaCl溶液中に浸漬して薬品加工を施す従来公知の方法を用い、両端部を先細り状に加工し、用毛31を得た。この用毛31は、先端から0.1mmの部位における直径d2は約20μm、最も太い中央部の直径d1は約0.19mmであった。
【0078】
(用毛の植毛)
得られた用毛31を約15本で一束として、基台2の各植毛穴22に中央部から折り返すようにして用毛31を植毛することにより、各植毛穴22に毛束3が取り付けられた状態とした。この際、用毛(毛束)31の植毛面21からの高さH1は、すべて13mmとした。
【0079】
(弾性体の作製)
横断面が真円形である円錐状の弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fおよび弾性体5が表面に形成された図示略の弾性体基板を一体成形で作製した。材料には、スチレン系エラストマー(硬度:60A)を用いた。この際、弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fは、先端から0.1mmの部位における直径を約0.3mm、弾性体の基部の直径を5.7mmとし、先端部には曲面状に面取り処理を施した。4本の弾性体5についても、先端から0.1mmの部位における直径を約0.3mm、弾性体の基部の直径を5.7mmとし、先端部には曲面状に面取り処理を施した。また、各弾性体5a,5a,5b,5b,…,5f,5fは、植毛面からの高さH2が17mmとなるようにし、弾性体5は、植毛面からの高さが13mmとなるようにした。
【0080】
(頭皮用ブラシの作製)
植毛面21上に複数の毛束3が植毛されるとともに、弾性体取付穴が形成された基台2と弾性体基板とを、
図1に示すような把持部42を有する筐体4の開口部41に嵌め込んで一体に取付け、実施例1の洗浄用ブラシ1を得た。この際、弾性体基板に基台2を重ね合わせ、基台2に形成された弾性体取付穴に各弾性体が挿通され、植毛面21から突出するように組み付けた。
実施例1の洗浄用ブラシ1における弾性体、毛束の配置等について、表1にまとめて示す。
【0081】
(評価)
得られた実施例1の洗浄用ブラシ1を用い、下記のように、「毛穴内部洗浄感」、「マッサージ感」、「洗髪時の洗浄用ブラシの動かしやすさ」について、評価した。
洗浄用ブラシの使用方法としては、市販のシャンプー(商品名:植物物語ハーブブレンドシャンプーヨーロピアンブレンド(登録商標)、ライオン株式会社製)を用い、まず、各パネル(被験者)がシャンプーを頭皮及び頭髪に対して適量で付与し、泡が頭皮地肌全体に行き渡るようにして泡立てた後、洗浄用ブラシのサンプルを用いて洗髪を行なった。この際、洗浄用ブラシのサンプルを用いた洗髪時間は約3分間とし、均一に洗浄用ブラシを動かして泡立てながら洗浄する方法とした。
そして、お湯で頭髪及び頭皮全体をすすいだ後、頭髪を乾燥させ、上記3項目について、各パネルが以下に説明する評価基準で官能評価を行った。結果を表1に示す。
なお、各官能評価試験におけるパネル(被験者)としては、毛髪量の多い男性パネル(n=30名)を用い、各々同条件で評価を行なった。
【0082】
(1)毛穴内部洗浄感
シャンプーを用いて頭皮洗浄操作を行った際における毛穴内部の洗浄感を「非常に良好」から「不良」までの10段階で官能評価した。表には、パネルの平均値を四捨五入して、整数で示した。
【0083】
(2)マッサージ感
シャンプーを用いて頭皮洗浄操作を行った際におけるマッサージ感を「非常に良好」から「不良」までの10段階で官能評価した。表には、パネルの平均値を四捨五入して、整数で示した。
【0084】
(3)洗髪時の洗浄用ブラシの動かしやすさ
シャンプーを用いて頭皮洗浄操作を行った際における洗髪時の洗浄用ブラシの動かしやすさを「非常に良好」から「不良」までの10段階で官能評価した。表には、パネルの平均値を四捨五入して、整数で示した。
【0085】
[実施例2〜4および比較例1〜4]
洗浄用ブラシにおける弾性体と毛束の配置パターンを変更した以外は、実施例1と同様にして洗浄用ブラシを製造し、同様に評価した。
なお、実施例2は
図14(c)〜(e)に相当するパターンで、略楕円形の基台の植毛面の短軸方向に平行なブラシ列を6本有し、実施例3は
図16に示すパターンで、基台の植毛面の短軸方向に平行ではない6本のブラシ列を有し、実施例4は
図17に示すパターンで、基台の植毛面の短軸方向に平行な4本のブラシ列と、長軸方向に平行な4本のブラシ列を有する。
比較例1は
図18に示すパターン、比較例2は
図19に示すパターン、比較例3は
図20に示すパターンとした。比較例4(図示略)は、実施例1と同様のパターンであるが、対をなす弾性体の高さよりも、毛束をなす用毛の高さを高くした点が実施例1と異なる。
実施例2〜4および比較例1〜4の洗浄用ブラシにおける弾性体、毛束の配置等と、評価の結果を表1および表2に示す。
なお、比較例2は、弾性体を有しない洗浄用ブラシであり、植毛面には、用毛からなる毛束3(1ユニットあたり4束)のみが、実施例1の毛束と同じ最長部距離L2、最短部距離L1、最短中心間距離L3、同じ高さで、設けられている。
比較例3は、毛束を有しない洗浄用ブラシであり、植毛面には、実施例1と同じ形状、高さ、間隔C1で、弾性体が縦横に32個設けられている。なお、比較例3については、表2における対をなしている弾性体についての欄に、洗浄用ブラシが有する弾性体について記載している。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
[評価結果]
表1に示すように各実施例の洗浄ブラシによれば、「毛穴内部洗浄感」、「マッサージ感」、「洗髪時の洗浄用ブラシの動かしやすさ」に優れていた。実施例3では、ブラシ列は互いに平行であるが、その方向が植毛面の短軸方向に沿う方向ではない。そのため、ブラシ使用時の往復方向とブラシ列の方向とが平行ではない場合が生じ、そのため、ブラシの動かし易さが他の実施例よりもやや劣った。
比較例1では、対をなす弾性体間からはみ出た位置にも用毛が植毛されているため、ブラシを動かしにくく、毛束による毛穴内部の洗浄効果と、弾性体によるマッサージ感のいずれもが、不充分であった。
比較例2の洗浄用ブラシは、弾性体を有していないため、マッサージ感が不充分であった。一方、比較例3の頭皮洗浄ブラシは、毛束を有していないため、毛穴内部の洗浄効果が不充分であった。
比較例4の頭皮洗浄ブラシは、植毛面における毛束3よりも外周側で対をなす弾性体の高さが毛束をなす用毛の高さよりも低いため、洗髪時に用毛の先端が頭皮に当たって寝てしまい、毛穴内部の洗浄効果が不充分であった。また、用毛の先端が寝てしまうことで、用毛によっても発揮されるマッサージ感がほとんど得られず、そのため、洗浄用ブラシ全体としてのマッサージ感も充分には得られない結果となった。