(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態に係る卵の観察装置について図面を参照して説明する。卵の観察装置は、例えば、卵の選別包装システムSに取り付けられ、選別包装作業の一環として卵Eを観察し、検査する。以下では、卵の観察装置の1つの実施例として、汚卵検査装置10について説明する。
【0022】
本発明にかかる卵の観察装置(以下、単に「観察装置」という)が取り付けられる卵の選別包装システムS(以下、単に「選別包装システムS」という)は、従来よく知られるように、卵Eを主に重量で選別する。選別包装システムSは、
図1に示すように、卵Eを複数列で搬送する複列搬送部S1と、複列搬送部S1を搬送される卵Eを計量する計量部S2と、計量された後の卵Eを複列搬送部S1から受け、単列で搬送する単列搬送部S3と、単列搬送部S3を搬送される卵Eを計量された重量により振り分け、卵収容器Pに充填して包装する充填包装部S4と、選別包装システムSの各部を制御する制御部S5とを備える。
【0023】
本実施の形態において、複列搬送部S1が6列でX方向に卵Eを搬送し、単列搬送部S3が1列でY方向に卵Eを搬送する。しかし、卵Eを搬送する列数、方向等は、適宜変更される。例えば、特開2008−179475号公報に記載の卵の移載装置が組み込まれる選別包装システムSでは、複列搬送部S1が6列で卵Eを搬送し、本実施の形態の単列搬送部S3に相当する次位コンベアが2列で卵Eを搬送する。
【0024】
ところで、卵Eは、先の少し尖った鋭端と、これと反対側の鈍端とを有し、鋭端と鈍端を結ぶ仮想的な軸線が長軸と称される。また、鋭端と鈍端の間の部分は胴回りと称される。選別包装システムSは、複列搬送部S1の上流側に、方向整列部(図示しない)を備え(例えば、特開2007−222221号公報参照)、この方向整列部により、複数の卵Eは、鋭端(及び鈍端)が特定の方向に向く状態に、方向(姿勢)を揃えられ、複列搬送部S1に渡される。本実施の形態において、複列搬送部S1は、卵の鋭端をY方向(Y方向)に向けた状態で行方向(X方向)に搬送される。
【0025】
また、複列搬送部S1は、方向整列部のさらに上流側に、洗浄乾燥部(図示しない)を備え(例えば、特開2002−218859号公報参照)、この洗浄乾燥部により、卵Eは、卵殻表面を洗浄され、その後乾燥される。洗浄乾燥部は、長軸を水平方向にした状態で搬送される卵Eに対して、上方からブラシを接触させて、卵Eを洗浄する。
【0026】
複列搬送部S1は、
図2に示すように、行方向(X方向)及び列方向(Y方向)に並ぶ多数のローラーS10を備える。各ローラーS10は、つづみ形状をした、いわゆるつづみローラーで、複列搬送部S1の多数のローラーS10のうち、Y方向に並ぶ一行分のローラーS10(本実施の形態において、6つのローラーS10)は軸部材S11により連結され、一体的なローラー群S13を構成している。多数のローラー群S13はX方向、すなわち搬送方向に並んで配置されており、搬送方向に隣り合う一対のローラーS10が共同して、長軸が搬送幅方向に向いた状態の1つの卵Eを挟持して保持する。したがって、卵Eは、水平方向、特にY方向に長軸を沿わせた状態で下方からローラーS10により支持される。
【0027】
本実施の形態において、1つのローラー群S13が6個のローラーS10を備え、多数のローラー群S13がX方向に並ぶことにより、卵Eは、複列搬送部S1に6列に並んだ状態に置かれる。1つのローラー群S13の複数のローラーS10は、Y方向に所定のピッチで設けられており、搬送方向に隣り合う一対のローラーS10に挟持される卵もローラーS10のY方向のピッチと同一のピッチで保持される。
【0028】
卵Eを保持した一対のローラーS10を含むローラー群S13は、両端を一対のチェーンS12に結合されている。各チェーンS12は小判形状の周回軌道を形成するように設けられており、
図2では、その直線部分が図示されている。ローラー群S13は、チェーンS12が周回軌道に沿って周回することにより、卵Eを保持した状態でX方向に連続して移動する。これにより、卵Eが連続して搬送される。したがって、複列搬送部S1では、多数の卵Eは、Y方向に並べられて、X方向に連続して搬送される。
【0029】
ローラー群S13は、軸部材S11の両端を複列搬送部S1の筐体の一部分(図示しない)に接触するように配置されており、搬送方向の移動に伴って、前記筐体の一部分を転がるように移動する。したがって、複列搬送部S1では、ローラー群S13が軸部材S11を軸として回転しながらX方向に移動する、これにより、ローラー群S13に下方から支持された卵Eは、長軸を中心として自転しながら搬送される。
【0030】
搬送方向に隣り合う一対のローラーS10は、前記方向整列装置から鋭端(及び鈍端)が水平方向、特にY方向に向いた状態で卵Eを受け、卵Eを回転させながら、X方向に移動させる。本実施の形態において、複列搬送部S1では、卵Eは、鋭端が矢印Yの方向を向いた状態で、ローラーS10に保持されている。複列搬送部S1は、従来よく知られたローラーバーコンベアである。しかし、複列搬送部S1は、複数列で卵Eを搬送できれば、他のコンベアであってもよい。
【0031】
複列搬送部S1では、X方向に隣り合う一対のローラーS10に1つの卵Eが保持され、かつ所定の列数で搬送される。よって、ローラーS10の位置を特定することで、卵の位置を特定することができる。複列搬送部S1には、ローラー群S13の搬送方向(X方向)の動きに連動するエンコーダS14が設けられており(
図1参照)、一対のローラー群S13に挟持された卵Eが所定距離移動する毎にパルス信号が生成される。これにより、複列搬送部S1を6列で搬送される多数の卵Eは、複列搬送部S1での位置を特定される。エンコーダS14による卵の位置情報は、選別包装システムSの制御部S5、及び後に説明する観察装置の判定部19に送られる。
【0032】
選別包装システムSは、従来よく知られる、卵の重量を測定する計量部S2を備える。計量部S2は、
図2に示すように、複列搬送部S1の終端付近に設けられている。計量部S2は、複列搬送部S1を搬送される卵の重量を計量する。本実施の形態において、計量部S2は卵の重量を計測し、卵Eは、例えば、その重量に応じて、LLサイズ,Lサイズ,Mサイズ,MSサイズ,Sサイズ,の5種類に選別される。卵の重量の情報又は選別された卵の情報は、制御部S5に送られる。
【0033】
単列搬送部S3は、複列搬送部S1から1行分にあたる卵Eを自身の連続搬送動作に同期させて受け、矢印Yの方向に卵Eを順次、連続して搬送する。したがって、本実施の形態において、単列搬送部S3は、6個の卵Eを複列搬送部S1から受け、複列搬送部S1の略6倍の搬送速度で卵Eを連続搬送する。複列搬送部S1から単列搬送部S3への移し替えでは、複列搬送部S1で水平方向に長軸を沿わせた状態の卵Eが、単列搬送部S3では垂直方向に長軸を沿わせた状態に姿勢を変更される。複列搬送部S1から単列搬送部S3に卵Eを移し替える装置として、例えば、特開2011−173714に記載の卵移し替え装置がある。
【0034】
単列搬送部S3には、卵の搬送方向の動きに連動するエンコーダS31が設けられており(
図1参照)、卵Eが所定距離移動する毎にパルス信号が生成される。これにより、単列搬送部S3を1列で搬送される多数の卵Eは、単列搬送部S3での位置を特定される。エンコーダS31による卵の位置情報は、選別包装システムSの制御部S5、及び、後に説明する観察装置の判定部19に送られる。
【0035】
充填包装部S4は、
図1に示すように、選別された卵Eに対応する複数の包装ラインS40を備え、単列搬送部S3を搬送される卵のうち、対応するサイズの卵Eを受け、卵パックのような卵収容器Pに充填して包装する。本実施の形態において、上流側からLLサイズ,Lサイズ,Mサイズ,MSサイズ,Sサイズの卵Eに対応するように設定された5つの包装ラインS40が設けられている。
【0036】
各包装ラインS40は、選別結果に対応した卵Eを単列搬送部S3から受け取り、卵パック、卵トレイ等の卵収容器Pに卵Eを充填して包装する。単列搬送部S3から各包装ラインS40への卵の受渡しでは、従来よく知られたキック機構(たとえば、特開平8−82546号公報参照)が卵保持手段のレバーを稼動し、卵保持手段が開き、卵Eが卵収容器Pに向けて放出される。
【0037】
各包装ラインS40は、単列搬送部S3から放出された卵Eを、卵収容器Pに充填すべく、上流から下流(X方向)に卵収容器Pを搬送し、所定の場所にて卵収容器Pを待機させる。待機した状態の卵収容器Pに卵Eが順次充填され、所定数の卵Eを充填された卵収容器Pは、再び下流に搬送される。包装ラインS40の下流では卵収容器Pが封緘され、段ボール箱のような集成容器に集成され流通工程に送られる。
【0038】
選別包装システムSは、充填包装部S4に振り分けられない不良卵を受け取る不良卵排除部S6備える。不良卵排除部S6は、各種の検査により不良と判断された卵(不良卵)を受ける。
【0039】
選別包装システムSは、さらに、複列搬送部S1に取り付けられる少なくとも1つの観察装置を備える。本実施の形態において、観察装置は、卵Eを観察して汚れを検査する、いわゆる汚卵検査装置10である。
【0041】
本実施の形態に係る観察装置、すなわち汚卵検査装置10は、
図1に示すように、選別包装システムSに取り付けられ、卵の汚れを観察、すなわち検査する。汚卵検査装置10は、複列搬送部S1とほぼ同等の幅寸法を有する。従来の汚卵検査装置10として、例えば特開2008−309678に記載の汚卵検査装置10がある。汚卵検査装置10にて汚れを有すると判定された卵、すなわち汚卵Eは、充填包装部S4に受けられることなく、規格外の卵として不良卵排除部S6に送られる。
【0042】
本実施の形態に係る汚卵検査装置10は、選別包装システムSの複列搬送部S1に取り付けられ、複列搬送部S1を搬送される卵Eを検査する。汚卵検査装置10は、
図3及び
図4に示すように、複数列で卵Eを搬送する搬送部11と、搬送される卵Eを観察する観察部12と、搬送部11を搬送され、観察部12に観察されている卵の姿勢を傾ける姿勢変更部13と、搬送部11を搬送される卵Eに光を照射する照光部14と、観察部12が観察した卵Eが汚卵であるか否かを判定する判定部19を備える。なお、
図4(A)は
図3の上流側のA−A線の断面を示し、
図4(B)は、
図3の中程のB−B線の断面を示し、
図4(C)は
図3の下流のC−C線の断面を示す。
【0043】
本実施の形態において、複列搬送部S1の一部が汚卵検査装置10の搬送部11として機能する。したがって、搬送部11は、一対のローラーS10で卵Eを保持しながら、長軸を中心に卵Eを自転させて搬送する。本実施の形態において、搬送部11として、複列搬送部の9行分(X方向に9つ分)のローラー群S13が図示されており(
図3参照)、複列搬送部S1と同数列、すなわち6列で卵Eを搬送する(
図4参照)。本実施の形態において、搬送部11では、卵Eが、3行分を移動する間に略1回転するようにローラー群S13が回転される。
【0044】
観察部12は、
図4に示すように、搬送部11の上方に設けられた複数のカメラ、すなわち観察手段15を含む。本実施の形態において、観察部12は4つの観察手段15を含み、(
図4の左側から)第1、第2、第3及び第4の4つの観察手段15a,15b,15c,15dがY方向に一列に並んで配置されている。第1〜第4の観察手段15a〜15dは、
図4に示すように、それぞれが異なった方向を向くように設けられ、各観察手段15は、Y方向に所定幅の視野を有し、少なくとも3列分の卵Eを観察できるように、すなわち搬送部11の半分の幅がY方向の視野に入るように設けられている。
【0045】
各観察手段15は、長軸をY方向に沿わせた状態で搬送される卵Eを長軸方向(Y方向)に対して斜め上方向から観察する。本実施の形態において、第1の観察手段15aは、左斜め上方から左側3列を搬送される卵Eを観察し、第2の観察手段15bは、左斜め上方から右側3列を搬送される卵Eを観察し、第3の観察手段15cは、右斜め上方から左側3列を搬送される卵Eを観察し、第4の観察手段15dは、右斜め上方から右側3列を搬送される卵Eを観察する。すなわち、観察部12は、搬送部11を搬送される卵Eを水平方向に対して斜め方向から観察する。各観察手段15は、観察した画像をデータとして判定部19に送信する。
【0046】
本実施の形態において、第1の観察手段15aと第3の観察手段15cは、左側3列の卵Eを観察する第1の観察部12aとして機能し、第2の観察手段15bと第4の観察手段15dは右側3列を観察する第2の観察部12bとして機能する。したがって、第1の観察部は、左側3列の卵Eを観察し、第2の観察部は、右側3列の卵Eを観察する。各観察部は、観察対象の卵の真上から外側にかけて配置される。
【0047】
本実施の形態において、各観察手段15は、搬送方向に3行分の視野を有するように配置されており(
図3参照)、卵Eが視野内を移動する間に、観察を6回行う。卵Eは、3行分搬送される間に略1回転するため、略60°回転するごとに1回観察される。各観察手段15は、搬送される卵Eが1回転する間に、6枚の画像を取得し、6枚の画像から卵の全周を観察する。観察手段15は、1回の観察で長軸を中心とした略180°の円周に相当する範囲が観察できるため、6枚の画像は重複して卵の全周を観察する。これにより、卵Eが均等に自転しない場合であっても卵の全周を確実に観察することができる。
【0048】
姿勢変更部13は、搬送部11の各列に設けられており、卵の姿勢を傾ける。これにより、卵Eは、鋭端又は鈍端を観察手段15に向けられる。本実施の形態において、卵の姿勢を傾けるとは、水平方向に沿った状態の長軸の方向を水平方向と交差する方向に沿った状態に変更するように卵Eを傾けることをいう。
【0049】
本実施の形態において、各列に搬送方向に並ぶ2つの姿勢変更部13a、13bが設けられている。各姿勢変更部13は、移動するローラーS10の間から卵Eを上方に押し上げる姿勢変更手段16を備える。姿勢変更手段16は、円周上に複数の凸部18を備える円盤部材17と、円盤部材を貫通する軸部(図示しない)と、搬送部11のローラーS10の移動と同期させて軸部を回転させる動力原(図示しない)とを備える。円盤部材17は、板状に形成されており、厚さ方向をY方向として配置されており、軸部の回転にともない、自転する。
【0050】
2つの姿勢変更部13のうち、搬送部11の上流にある第1の姿勢変更部13aの円盤部材17は、Y方向においてローラーS10の中央から左寄り(
図4の左側)に設けられており、搬送方向の下流側にある第2の姿勢変更部13の円盤部材17は、Y方向においてローラーS10の中央から右より(
図4の右側)に設けられている。これにより、第1の姿勢変更部13aは、
図4(A)に示すように、卵の鈍端側を押上げ、これにより鈍端を左側の観察手段15に向ける。また、第2の姿勢変更部13bは、
図4(C)に示すように、卵の鋭端側を押し上げ、これにより鋭端を右側の観察手段15に向ける。
【0051】
円盤部材17は、均等に間隔をおいて設けられた5つの凸部18を有する星形状に形成されている。各凸部18は先端の尖った三角形状に形成されている。しかし、卵Eを押し上げる際に卵Eに傷を付けないように、先端は若干の丸みをおびていてもよい。円盤部材17は、種々の形状に加工することができ、凸部18も、その頂点をV字形状、半円形状等に形成されたものであってもよい。例えば、凸部18がV字形状の場合、V字の溝部分に卵Eが嵌まった状態で卵Eを押し上げるため、安定して卵Eを押し上げることができる。
【0052】
円盤部材17はローラーS10の移動に同期して、ローラーS10の間に凸部18が位置するように回転する。これにより、凸部18がローラーS10の間から卵Eを上方に押し上げる。本実施の形態において、円盤部材17は、5つの凸部18を有する星形状であるが、ローラー群S13の移動速度との同期の関係で、6つの凸部を有するように形成され、回転速度を調整されてもよい。すなわち、円盤部材17の形状は適宜変更される。
【0053】
また、本実施の形態において、姿勢変更部13は、凸部18を有する円盤部材17を回転させることで、一対のローラーS10の間から凸部18が突出し、卵Eを押し上げる構成であるが、卵Eを押し上げることができれば、他の構成であってもよい。例えば、鉛直方向に沿って配置された棒状部材が、ローラーS10の移動に同期して上下することにより、一対のローラーS10の間から先端を突出させ、卵Eを押し上げる構成であってもよい。
【0054】
第1および第2の姿勢変更部13a、13bは、観察手段15の搬送方向の視野内に配置されている。第1の姿勢変更部13aは、
図4(A)に示すように、卵の鈍端を第1の観察手段15a、第2の観察手段15bに向け、第2の姿勢変更部13bは、
図4(B)に示すように、卵の鋭端を第3の観察手段15c、第4の観察手段15dに向ける。これにより、観察部12は、視野内で鈍端及び鋭端の両端を観察することができる。したがって、観察部12の視野内で卵Eは、長軸を中心に1回転するため、観察部12は、卵の胴回りの全周および端部を含む卵全体を観察する。
【0055】
照光部14は、上方から卵Eに光を照射するように、搬送部11の上方に設けられている。本実施の形態において、照光部14は、搬送方向に間隔をおいて観察装置のフレームに取り付けられた一対の照光手段を備える。照光手段は、いわゆる蛍光灯である。一対の照光手段は、卵の全体の約半分の上側の面に光を照射する。
【0056】
図5に示すように、照光部14が卵の上側半分に光を照射するため、上方から卵Eを観察する観察部12は、卵の下側半分(斜線部分)が影になり、観察が困難となる場合がある。これは、卵の端部(例えば、
図5の点D)においても同様であるが、本実施の形態にかかる観察装置では、端部が上方に向くように卵の姿勢を傾けるため、端部は、照光部14に照らされることにより、確実に観察される。
【0057】
判定部19は、選別包装システムSの制御部S5、複列搬送部S1のエンコーダS14、観察部12等に所定の信号を送受信可能に接続されている。観察部12によって観察された画像から卵の汚れの有無を判定、すなわち卵の汚れを検査する。判定部19は、複列搬送部S1を搬送される卵の位置情報をエンコーダから受け、いずれの卵Eが汚卵であるかを判定する。
【0058】
判定結果は選別包装システムSの制御部S5に送られ、汚卵検査装置10により汚卵(不良卵)と判定された卵Eは、複列搬送部S1から単列搬送部S3に受け渡され、選別包装システムSの不良卵排除部S6まで搬送され、排除される。汚れの判定において、種々の判定方法が開発されている。例えば特開2005−127720号公報に記載の自動汚卵検出機構で利用された特定波長により卵Eを観察し、汚卵を判定してもよい。
【0059】
本発明の実施の形態にかかる汚卵検査装置10によれば、卵の端部が観察手段15に向けられることにより、観察手段15は卵の端部を確実に観察することができる。特に、長軸を沿わせた状態で下方から支持されながら搬送される卵の鈍端及び鋭端の少なくともいずれか一方、すなわち卵の端部が、斜め上方から卵Eを観察する観察手段15に向けられることにより、従来の選別包装システムSの複列搬送部S1と汚卵検査装置10に姿勢変更部13を増設するだけで、観察手段15は卵の端部を確実に観察することができる。
【0060】
また、汚卵検査装置10は、観察部12の視野内で搬送方向に並ぶ2つの姿勢変更手段16を備え、一方の前記姿勢変更手段16は鈍端を、他方の前記姿勢変更手段16は鋭端を前記観察部12に向ける。これにより、鋭端及び鈍端の両方を観察することができる。さらに、汚卵検査装置10は、視野内で卵Eが1回転し、その間に鋭端及び鈍端を観察することができる。これにより、観察部12は、卵の胴回りの全周および端部の卵全体を観察することができる。
【0061】
本実施の形態にかかる汚卵検査装置10を備える選別包装システムSは、端部に不良部分を有する卵Eを不良卵として確実に排除することができる。従来、卵の選別包装では、選別包装システムSの下流工程において、卵収容容器に長軸を鉛直方向に沿わせた状態で包装された卵Eに対して、上側又は下側から端部の汚れを確認していた。しかし、本実施の形態にかかる観察装置を備える選別包装システムSでは、端部の不良を確実に発見できるので、下流工程での端部の確認が不要になる。
【0063】
先の実施の形態において、観察手段15は搬送方向の真下の卵Eを観察するように設けられているが、搬送方向の斜めから観察するようにしてもよい。また、搬送部11が、
図6に示すように、フィンガーF等の把持手段により卵Eを把持して搬送する場合に、観察手段15をフィンガーの下方に配置し、斜め下方から卵Eを観察するようにしてもよい。この場合、フィンガーの姿勢変更部13が、卵の端部を観察手段15に向けるように卵の姿勢を変更する。
【0064】
先の実施の形態において、各列に設けられる円盤は同一の外形であり、卵Eを傾ける角度は同じであるが、列ごと卵の姿勢の傾く角度が異なるように、円盤の大きさを変更してもよい。例えば、
図7に示すように、右側から端部を観察する観察手段15に対して、右側の卵ほど傾きが大きくなるように、姿勢変更部13が卵Eを大きく姿勢変更するようにしてもよい。姿勢を傾けない場合は、卵Eを観察する側ほど端部の観察が困難であるため、そのような姿勢変更部13を設けることにより、卵の端部を確実に観察できるようになる。
【0065】
先の実施の形態において、観察手段15は、搬送方向に3行分の卵Eを視野に有し、搬送方向には1台の観察手段15で卵Eを観察していたが、
図8に示すように、搬送方向に6行分の卵Eを視野に入るようにしてもよい。その上で、視野の最良上流と最下流に位置で卵の端部を観察手段15に向けるようにしてもよい。
【0066】
これにより、視野の最上流で卵の姿勢を変更し、視野の最下流に到達するまでに卵の姿勢が安定し、視野の最下流でさらに卵の姿勢を変更することになる。すなわち、姿勢変更部は、卵の姿勢が安定するように、所定の間隔で配置してもよい。観察手段の視野は、レンズ等を変更することにより調整できる。
【0067】
本実施の形態において、観察装置は、汚卵検査装置として説明したが、観察装置は、卵の割れを検査するリーク卵検査装置や、卵のヒビを検査するひび卵検査装置であってもよい。すなわち、観察装置は、画像により卵を観察し、検査する装置であればよい。
【0068】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。