【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の異なる教科の学習単元同士の関連性を明確にするには、それら学習単元に精通したエキスパートによる作業を必要とする。また、学校教育に限らず、専門性が高い資格教育や企業教育の中でも、未知の学習単元同士の関連性を明確にするには、高コスト且つ専門的な作業を必要とする。
【0006】
非特許文献1に記載の技術によれば、テストログによる構造学習を適用するために、大量のテストログが必要となる。精度の高い構造学習には、大規模な学習者に対する欠損の少ないデータが必要となる。即ち、全ての学習単元のテストを網羅的に受験したテストログが必要となる。一般に、このようなテストログのデータの入手は難しい。また、新しく導入された学習単元については、テストログ自体が存在しないため、構造学習を適用することができない。
【0007】
これに対し、本願の発明者は、学習単元間の親子関係を特定した系統図を作成することができないか?と考えた。即ち、学習単元間の系統(ネットワーク)を特定することができれば、生徒の理解が十分でない学習単元に対して、教師は、その学習単元の親となる学習単元を生徒に復習することができるのではないか?と考えた。同一教科内の学習単元間で親子関係を特定することは比較的簡易なのかもしれないが、異なる教科や未知の学習単元間の親子関係を特定することは難しい。例えば、教師は、理科の学習単元の理解が十分でない生徒に対して、その学習単元の親となる数学の学習単元を復習させることができる。
【0008】
そこで、本発明は、学習単元に含まれる学習テキストを分析することによって、学習単元間の親子関係を特定することができる学習教材分析プログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、装置に搭載されたコンピュータに実行させる学習教材分析プログラムであって、
学習単元毎に、学習時期及び学習テキストを対応付けて記憶した学習教材記憶部を有し、
学習単元のペアi及びj毎に、学習テキストUi及びUj同士の類似距離を算出する第1のステップと、
学習単元のペア毎に、類似距離が所定閾値以下であるか否かを判定する第2のステップと、
第2のステップについて真と判定された学習単元のペアについて学習時期を比較し、学習時期が早い方の学習単元を親単元として、他方の学習単元を子単元として、親子関係を特定する第3のステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
第1のステップについて、ペアとなる学習単元毎に、学習テキストから形態素解析によって出現する単語集合Wi及びWjを抽出し、単語集合同士の類似距離を算出する
ようにコンピュータに実行させることも好ましい。
【0011】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
第3のステップについて学習単元のペアについて学習時期が同一である場合、
当該学習時期よりも前の学習時期となる所定数の学習単元に出現する単語集合Wbeforeを検出し、
単語集合Wiと単語集合Wbeforeとの共通集合Wipreと、単語集合Wjと単語集合Wbeforeとの共通集合Wjpreとを抽出し、
共通集合Wipre又はWjpreについて共通割合の高い一方の学習単元を親単元とし、他方の学習単元を子単元とする
ようにコンピュータに実行させることも好ましい。
【0012】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
第3のステップについて学習単元のペアについて学習時期が同一である場合、
当該学習時期よりも後の学習時期となる所定数の学習単元に出現する単語集合Wafterを検出し、
単語集合Wiと単語集合Wafterとの共通集合Wipostと、単語集合Wjと単語集合Wafterとの共通集合Wjpostとを抽出し、
共通集合Wipost又はWjpostについて共通割合の低い一方の学習単元を親単元とし、他方の学習単元を子単元とする
ようにコンピュータに実行させることも好ましい。
【0013】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
第3のステップについて学習単元のペアについて学習時期が同一である場合、
当該学習時期よりも前の学習時期となる所定数の学習単元に出現する単語集合Wbeforeを検出し、
単語集合Wiと単語集合Wbeforeとの共通集合Wipreと、単語集合Wjと単語集合Wbeforeとの共通集合Wjpreとを抽出し、
当該学習時期よりも後の学習時期となる所定数の学習単元に出現する単語集合Wafterを検出し、
単語集合Wiと単語集合Wafterとの共通集合Wipostと、単語集合Wjと単語集合Wafterとの共通集合Wjpostとを抽出し、
共通集合Wipre又はWjpreについて共通割合が高く、且つ、共通集合Wipost又はWjpostについて共通割合の低い、一方の学習単元を親単元とし、他方の学習単元を子単元とする
ようにコンピュータに実行させることも好ましい。
【0014】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
共通集合Wipre又はWjpreについて共通割合が高く、且つ、共通集合Wipost又はWjpostについて共通割合の低い、一方の学習単元を検出するために、以下の式によってスコアSi又はSjが大きい方の学習単元を親単元とし、他方の学習単元を子単元とする
Si=(Wipre/Wi)×(1−Wipost/Wi)
Sj=(Wjpre/Wj)×(1−Wjpost/Wj)
Si:単語集合Wiに基づく学習単元のスコア
Sj:単語集合Wjに基づく学習単元のスコア
Wipre/Wi:単語集合Wiに対する共通集合Wipreの共通割合
Wipost/Wi:単語集合Wiに対する共通集合Wipostの共通割合
Wjpre/Wj:単語集合Wjに対する共通集合Wjpreの共通割合
Wjpost/Wj:単語集合Wjに対する共通集合Wjpostの共通割合
ようにコンピュータに実行させることも好ましい。
【0015】
本発明によれば、学習教材分析装置であって、
学習単元毎に、学習時期及び学習テキストを対応付けて記憶した学習教材記憶手段と、
学習単元のペアi及びj毎に、学習テキストUi及びUj同士の類似距離を算出する類似距離算出手段と、
学習単元のペア毎に、類似距離が所定閾値以下であるか否かを判定する類似距離判定手段と、
類似距離判定手段について真と判定された学習単元のペアについて学習時期を比較し、学習時期が早い方の学習単元を親単元として、他方の学習単元を子単元として、親子関係を特定する親子関係特定手段と
を有することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、
学習単元毎に、学習時期及び学習テキストを対応付けて記憶した学習教材記憶部を有
する装置が実行する学習教材分析方法であって、
装置は、
学習単元のペアi及びj毎に、学習テキストUi及びUj同士の類似距離を算出する第1のステップと、
学習単元のペア毎に、類似距離が所定閾値以下であるか否かを判定する第2のステップと、
第2のステップについて真と判定された学習単元のペアについて学習時期を比較し、学習時期が早い方の学習単元を親単元として、他方の学習単元を子単元として、親子関係を特定する第3のステップと
を
実行することを特徴とする。