特許第6351184号(P6351184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351184
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】車載機器制御システム、車載制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20180625BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20180625BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20180625BHJP
【FI】
   H04Q9/00 301B
   E05B49/00 K
   B60R25/24
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-112929(P2016-112929)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-220759(P2017-220759A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2017年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】永田 達樹
(72)【発明者】
【氏名】樫山 正人
【審査官】 西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−218371(JP,A)
【文献】 特開2012−046918(JP,A)
【文献】 特開平07−189538(JP,A)
【文献】 特開2014−086812(JP,A)
【文献】 特開2007−126961(JP,A)
【文献】 特開2016−022917(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0067161(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
H03J 9/00− 9/06
H04Q 9/00− 9/16
B60R 25/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載制御装置と、
利用者に携帯される携帯機と、から構成され、
前記車載制御装置は、応答要求信号を送信し、
前記携帯機は、前記応答要求信号を受信すると、応答信号を送信し、
前記車載制御装置は、前記応答信号を受信すると、当該応答信号に基づいて前記車両に搭載された車載機器を制御する車載機器制御システムにおいて、
許可モードと禁止モードとを切り替えるモード切替部と、
前記禁止モード中に悪意の第三者による不正が行われた場合に、不正履歴を記録する不正記録部と、
前記不正記録部の記録内容に基づいて、前記不正があったことを報知する不正報知部と、を備え、
前記許可モード中に、前記車載制御装置から送信された前記応答要求信号が前記携帯機で受信されると、前記携帯機が前記応答信号を送信し、
前記禁止モード中に、前記車載制御装置から送信された前記応答要求信号が前記携帯機で受信されると、前記携帯機が前記応答信号に代えて不正通知信号を送信し、
前記車載制御装置が前記携帯機から受信した信号が、前記不正通知信号である場合に、前記車載制御装置は、前記不正通知信号の受信を前記不正履歴として前記不正記録部に記録するとともに、前記車載機器の制御を行わず、
前記車載制御装置が前記携帯機から受信した信号が、前記不正通知信号ではなく前記応答信号であり、かつ、前記不正記録部に前記不正履歴が記録されている場合に、前記不正報知部は、前記不正があったことをディスプレイに表示して報知し、前記車載制御装置は、前記車載機器の制御を行う、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車載機器制御システムにおいて、
前記車載制御装置での前記不正通知信号の受信回数をカウントする不正履歴カウンタをさらに備え、
前記不正記録部は、前記不正履歴カウンタのカウント値に基づいて、前記不正通知信号の受信状況を不正履歴として記録し、
前記不正報知部は、前記カウント値を不正が行われた回数として前記ディスプレイに表示する、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車載機器制御システムにおいて、
前記モード切替部は、前記携帯機に備わった操作スイッチから構成され、当該操作スイッチの所定操作により前記許可モードと前記禁止モードとを切り替える、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【請求項4】
請求項に記載の車載機器制御システムにおいて、
前記不正報知部は、前記不正記録部により記録された前記不正通知信号の受信回数が所定数以上になると、警告を出力する、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【請求項5】
請求項に記載の車載機器制御システムにおいて、
前記車載制御装置は、
最初に1回目の前記応答要求信号を送信し、
前記1回目の応答要求信号に対する応答として、前記不正通知信号を受信すると、2回目の前記応答要求信号を送信し、
前記2回目の応答要求信号に対する応答として、前記不正通知信号を受信すると、前記不正記録部に前記不正履歴を記録する、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【請求項6】
請求項に記載の車載機器制御システムにおいて、
前記車載制御装置が送信する前記2回目の応答要求信号のフォーマットは、前記1回目の応答要求信号のフォーマットと異なっていて、前記2回目の応答要求信号の信号長が、前記1回目の応答要求信号の信号長より短い、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【請求項7】
車両に搭載される車載制御装置であって、
利用者に携帯される許可モードと禁止モードとが切り替え可能な携帯機に対して応答要求信号を送信し、
前記応答要求信号を受信したことに応じて前記携帯機から送信される応答信号を受信すると、当該応答信号に基づいて前記車両に搭載された車載機器を制御する車載制御装置において、
前記携帯機が禁止モードにあるときに悪意の第三者による不正が行われた場合に、不正履歴を記録する不正記録部と、
前記不正記録部の記録内容に基づいて、前記不正があったことを報知する不正報知部と、を備え、
前記携帯機が許可モードにあるときに、前記応答要求信号に対して前記携帯機から送信された前記応答信号を受信すると、当該応答信号に基づいて前記車載機器を制御し、
前記携帯機が禁止モードにあるときに、前記応答要求信号に対して前記携帯機から送信された不正通知信号を受信すると、当該受信を前記不正履歴として前記不正記録部に記録するとともに、前記車載機器の制御を行わず、
前記携帯機から受信した信号が、前記不正通知信号ではなく前記応答信号であり、かつ、前記不正記録部に前記不正履歴が記録されている場合に、前記不正報知部により、前記不正があったことをディスプレイに表示して報知するとともに、前記車載機器の制御を行う、ことを特徴とする車載制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載制御装置と利用者が携帯する携帯機との間で送受信される無線信号に基づいて、車両に搭載された車載機器が制御される車載機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された車載制御装置と、利用者が携帯する携帯機との間で送受信される無線信号に基づいて、車両のドアの施解錠などの車載機器の制御が実行される車載機器制御システムがある。車載制御装置と携帯機との間の通信方式としては、大別して、ポーリング方式、パッシブエントリ方式、およびキーレスエントリ方式の3種類がある。
【0003】
ポーリング方式では、携帯機の位置にかかわらず、車載制御装置が所定の周期で応答要求信号を送信する。携帯機は、この応答要求信号を受信すると、応答信号を車載制御装置へ返信する。パッシブエントリ方式では、たとえば利用者が車両のドアノブに接近または接触した時に、車両に設置されたパッシブリクエストスイッチがオンして、車載制御装置から携帯機へ応答要求信号を送信する。携帯機は、この応答要求信号を受信すると、応答信号を車載制御装置へ返信する。キーレスエントリ方式では、車載制御装置から携帯機へ応答要求信号は送信されず、利用者が携帯機を操作した時に、携帯機から車載制御装置へ遠隔操作信号を送信する。そして、いずれの場合も、車載制御装置は、携帯機からの応答信号や遠隔操作信号を受信すると、これらの信号に含まれるIDコードの照合を行い、該照合が成立すると、車両のドアの施解錠などを実行する。
【0004】
パッシブエントリ方式やポーリング方式の場合、たとえば車載制御装置から送信された応答要求信号を中継器により中継して、遠方にある携帯機に受信させ、該携帯機が車両の近傍にあるかのように偽装する不正な通信行為が行われることがある。この中継器を用いた不正な通信行為は、リレーアタックと呼ばれている。リレーアタックにより、車両の所有者でない悪意の第三者が、車両のドアを解錠したり、エンジンを始動したりして、窃盗などの犯罪を行うおそれがある。
【0005】
そこで、リレーアタックへの防犯対策として、たとえば特許文献1では、パッシブエントリ方式において、車載制御装置(車載用受信機)が、応答要求信号を送信してから応答信号を受信するまでの時間を計時手段により計時する。そして、応答信号を受信したときに、計時手段の計時値が予め設定された有効計時値以内である場合に限り、正規の応答信号と認識して、車両のドアの施解錠を実行する。
【0006】
また、特許文献2では、携帯機の操作部の操作または専用ツールから送信される特殊コマンドに基づいて、携帯機が、ポーリング方式の応答要求信号の受信動作を継続するフルモードと、当該受信動作を停止する省電力モードとに切り替え可能になっている。
【0007】
また、特許文献3では、携帯機の操作スイッチの操作に基づいて、携帯機が、ポーリング方式の応答要求信号に対する応答信号の送信を許可する許可モードと、当該応答信号の送信を禁止する禁止モードとに切り替え可能になっている。また、携帯機は、操作スイッチの操作に基づいて、現在のモードをLEDの点灯により報知する。
【0008】
上記特許文献1〜3のように、従来は、リレーアタックが行われた場合、携帯機や車載制御装置の通信や処理を制限して、ドアを施解錠しないようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−13644号公報
【特許文献2】特開2008−45374号公報
【特許文献3】特開2002−247656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来は、中継器を用いたリレーアタックが行われた場合、その痕跡が車載制御装置や携帯機に残されていなかったため、利用者は悪意の第三者に自分の車両が狙われていることに気付かず、適切に対応を取ることができなかった。
【0011】
本発明の課題は、リレーアタックを阻止し、かつリレーアタックの痕跡を残すことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による車載機器制御システムは、車両に搭載された車載制御装置と、利用者に携帯される携帯機とから構成される。車載制御装置は、応答要求信号を送信し、携帯機は、応答要求信号を受信すると、応答信号を送信する。車載制御装置は、応答信号を受信すると、当該応答信号に基づいて車両に搭載された車載機器を制御する。この構成において、許可モードと禁止モードとを切り替えるモード切替部と、禁止モード中に悪意の第三者による不正が行われた場合に、不正履歴を記録する不正記録部と、この不正記録部の記録内容に基づいて、不正があったことを報知する不正報知部とが、さらに設けられる。許可モード中に、車載制御装置から送信された応答要求信号が携帯機で受信されると、携帯機が応答信号を送信する。また、禁止モード中に、車載制御装置から送信された応答要求信号が携帯機で受信されると、携帯機が応答信号に代えて不正通知信号を送信する。そして、車載制御装置が携帯機から受信した信号が、不正通知信号である場合は、車載制御装置は、不正通知信号の受信を不正履歴として不正記録部に記録するとともに、車載機器の制御を行わない。一方、車載制御装置が携帯機から受信した信号が、不正通知信号ではなく応答信号であり、かつ、不正記録部に不正履歴が記録されている場合は、不正報知部は、不正があったことをディスプレイに表示して報知し、車載制御装置は、車載機器の制御を行う。
【0013】
また、本発明による車載制御装置は、車両に搭載されるものであって、利用者に携帯される許可モードと禁止モードとが切り替え可能な携帯機に対して応答要求信号を送信し、当該応答要求信号を受信したことに応じて携帯機から送信される応答信号を受信すると、当該応答信号に基づいて車両に搭載された車載機器を制御する。そして、この車載制御装置は、携帯機が禁止モードにあるときに悪意の第三者による不正が行われた場合に、不正履歴を記録する不正記録部と、この不正記録部の記録内容に基づいて、不正があったことを報知する不正報知部とを備えている。携帯機が許可モードにあるときに、車載制御装置は、応答要求信号に対して携帯機から送信された応答信号を受信すると、当該応答信号に基づいて車載機器を制御する。携帯機が禁止モードにあるときに、車載制御装置は、応答要求信号に対して携帯機から送信された不正通知信号を受信すると、当該受信を不正履歴として不正記録部に記録するとともに、車載機器の制御を行わない。一方、携帯機から受信した信号が、不正通知信号ではなく応答信号であり、かつ、不正記録部に不正履歴が記録されている場合は、車載制御装置は、不正報知部により、不正があったことをディスプレイに表示して報知するとともに、車載機器の制御を行う。
【0015】
上記によると、利用者が車両を利用しないときに、モード切替部により禁止モードに切り替えることで、悪意の第三者により中継器を用いたリレーアタックが行われて、応答要求信号が携帯機で受信されても、携帯機が応答信号に代えて不正通知信号を送信する。そして、車載制御装置は、不正通知信号を受信すると、車載機器を制御しないので、リレーアタックを阻止することができる。また、禁止モード中に応答要求信号が携帯機で受信された場合に、不正記録部に不正履歴が記録されるので、リレーアタックの痕跡を残すことができる。
【0016】
本発明では、上記車載機器制御システムにおいて、車載制御装置での不正通知信号の受信回数をカウントする不正履歴カウンタをさらに備え、不正記録部は、不正履歴カウンタのカウント値に基づいて、不正通知信号の受信状況を不正履歴として記録し、不正報知部は、前記カウント値を不正が行われた回数としてディスプレイに表示してもよい
【0017】
また、本発明では、上記車載機器制御システムにおいて、モード切替部は、携帯機に備わった操作スイッチから構成され、当該操作スイッチの所定操作により許可モードと禁止モードとを切り替えてもよい。
【0019】
また、本発明では、上記車載機器制御システムにおいて、不正報知部は、不正記録部により記録された不正通知信号の受信回数が所定数以上になると、警告を出力してもよい。
【0021】
また、本発明では、上記車載機器制御システムにおいて、車載制御装置は、最初に1回目の応答要求信号を送信し、当該1回目の応答要求信号に対する応答として、不正通知信号を受信すると、2回目の応答要求信号を送信し、当該2回目の応答要求信号に対する応答として、不正通知信号を受信すると、不正記録部に不正履歴を記録してもよい。
【0022】
さらに、本発明では、上記車載機器制御システムにおいて、車載制御装置が送信する2回目の応答要求信号のフォーマットは、1回目の応答要求信号のフォーマットと異なっていて、2回目の応答要求信号の信号長が1回目の応答要求信号の信号長より短くてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、リレーアタックを阻止し、かつリレーアタックの痕跡を残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による車載機器制御システムの構成図である。
図2】本発明の実施形態による携帯機のモード切替動作を示したフローチャートである。
図3】本発明の第1実施形態による車載制御装置と携帯機の動作を示したフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態による車載制御装置と携帯機の動作を示したフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態の車載制御装置と携帯機の送信信号のフォーマットを示した図である。
図6】本発明の他の実施形態による携帯機の動作を示したフローチャートである。
図7】本発明の他の実施形態による車載制御装置と携帯機の動作を示したフローチャートである。
図8】本発明の他の実施形態による車載制御装置と携帯機の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0026】
まず、実施形態の車載機器制御システム100の構成を、図1を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、車載機器制御システム100の構成図である。車載機器制御システム100は、車載制御装置10と携帯機20とから構成されている。車載機器制御システム100では、車載制御装置10と携帯機20との間で送受信される無線信号に基づいて、車両30に搭載された車載機器が制御される。
【0028】
本実施形態において、車載機器の制御とは、車両30に設けられたドアを施解錠するドアロック装置7の制御のことである。車両30は、自動四輪車から成る。車両30には、施解錠可能なドアとして、運転席のドア、助手席のドア、後部座席のドア、およびバックドアが設けられている(図示省略)。
【0029】
車載制御装置10、パッシブリクエストスイッチ5、エンジンスイッチ6、ドアロック装置7、およびエンジン装置8は、車両30に搭載されている。携帯機20は、車両30の利用者により携帯される。
【0030】
車載制御装置10は、制御部1、LF(Low Frequency;長波)送信部2、UHF(Ultra High Frequency;高周波)受信部3、および不正報知部4を備えている。
【0031】
制御部1は、CPUとメモリなどから構成されている。制御部1には、不正記録部1aと不正履歴カウンタ1bとが設けられている。不正記録部1aは、車両30に対して中継器を用いたリレーアタックが行われた場合に、不正履歴カウンタ1bを用いて、不正履歴を記録する。
【0032】
LF送信部2は、LF送信アンテナ2aと送信用信号処理部(図示省略)などから構成されていて、車両30の車室外と車室内に設置されている。LF送信部2は、送信用信号処理部で生成したLF信号を、LF送信アンテナ2aから車室外または車室内にある携帯機20へ送信する。LF送信部2により送信するLF信号には、携帯機20に対する応答要求信号が含まれる。
【0033】
UHF受信部3は、UHF受信アンテナ3aと受信用信号処理部(図示省略)などから構成されている。UHF受信部3は、携帯機20から送信されたUHF信号を、UHF受信アンテナ3aと受信用信号処理部により受信する。UHF受信部3により受信するUHF信号には、携帯機20から送信された応答信号、不正通知信号、および遠隔操作信号が含まれる。
【0034】
制御部1は、LF送信部2とUHF受信部3を制御して、携帯機20と無線通信し、携帯機20に対して信号や情報の送受信を行う。
【0035】
不正報知部4には、ホーン4aとディスプレイ4bとが備わっている。ホーン4aは、車外に警告音を出力する。ディスプレイ4bは、運転席の近傍に設置されている。不正報知部4は、車両30に対して中継器を用いたリレーアタックが行われた場合に、不正があったことをホーン4aから警告音を出力することにより報知したり、ディスプレイ4bの表示により報知したりする。
【0036】
パッシブリクエストスイッチ5、エンジンスイッチ6、ドアロック装置7、およびエンジン装置8は、それぞれ車載制御装置10に接続されている。
【0037】
パッシブリクエストスイッチ5は、車両30の各ドアを施解錠するために操作される。パッシブリクエストスイッチ5は、車両30の各ドアの外ノブ(外側面)に設置されている。
【0038】
エンジンスイッチ6は、車両30の車室内の運転席の近傍に設置されている。エンジンスイッチ6は、エンジンを始動・停止するために操作される。制御部1は、各スイッチ5、6からの出力信号に基づいて、各スイッチ5、6の操作状態を検出する。
【0039】
ドアロック装置7は、車両30の各ドアの施解錠を行うための機構と、該機構の駆動回路から成る。ドアロック装置7は、本発明の「車載機器」の一例である。エンジン装置8は、車両30のエンジンを始動するためのスタータモータと、該スタータモータの駆動回路などから成る。
【0040】
携帯機20は、FOBキーから成る。携帯機20は、制御部21、LF受信部22、UHF送信部23、操作部24、表示部25、および電池26を備えている。
【0041】
携帯機20の各部21〜25は、電池26の電力により駆動する。制御部21は、CPUとメモリなどから構成されている。
【0042】
LF受信部22は、LF受信アンテナ22aと受信用信号処理部(図示省略)などから成る。LF受信部22は、車載制御装置10から送信されたLF信号を、LF受信アンテナ22aを介して受信する。LF受信部22が受信するLF信号には、前述した応答要求信号が含まれる。
【0043】
UHF送信部23は、UHF送信アンテナ23aと送信用信号処理部(図示省略)などから成る。UHF送信部23は、送信用信号処理部で生成したUHF信号を、UHF送信アンテナ23aから車載制御装置10へ送信する。UHF送信部23が送信するUHF信号には、応答信号と不正通知信号が含まれる。
【0044】
制御部21は、LF受信部22とUHF送信部23を制御して、車載制御装置10と無線通信し、車載制御装置10に対して信号や情報の送受信を行う。
【0045】
操作部24には、利用者が操作する操作スイッチ24a、24bが備わっている。24aはドア施解錠スイッチであり、24bはモード切替スイッチである。制御部21は、これらのスイッチ24a、24bからの出力信号に基づいて、各スイッチの操作状態を検出する。
【0046】
ドア施解錠スイッチ24aは、車両30の各ドアを施解錠するために操作される。ドア施解錠スイッチ24aが操作されると、制御部21がその操作に応じた遠隔操作信号を生成し、該遠隔操作信号をUHF送信部23により車載制御装置10へ送信する。つまり、LF送信部23が送信するUHF信号には、遠隔操作信号も含まれる。
【0047】
モード切替スイッチ24bは、許可モードと禁止モードとを切り替えるために操作される。許可モードは、車両30のドアの施解錠の制御を許可するためのモードである。禁止モードは、車両30のドアの施解錠の制御を禁止するためのモードである。モード切替スイッチ24bは、本発明の「モード切替部」の一例である。
【0048】
他の例として、モード切替スイッチ24bを省略し、ドア施解錠スイッチ24aをモード切替スイッチとして兼用してもよい。この場合、たとえば、ドアを施解錠する際は、ドア施解錠スイッチ24aを普通に押し操作し、許可モードと禁止モードとを切り替える際は、ドア施解錠スイッチ24aを長押し操作または二度押し操作するというように、操作態様を変えればよい。そして、このようなドア施解錠スイッチ24aの操作状態に基づいて、制御部21で、ドアの施解錠の指示とモードの切替指示とを判断すればよい。
【0049】
表示部25には、複数のLED(発光ダイオード)25a、25bが備わっている。LED25a、25bの点灯色は異なっていてもよい。表示部25は、少なくとも1つのLED25a、25bの点灯により、現在携帯機20が許可モードか禁止モードかを表示する。
【0050】
前述したように、利用者がドア施解錠スイッチ24aを操作すると、制御部21がその操作に応じた遠隔操作信号を生成し、該遠隔操作信号をUHF送信部23により車載制御装置10へ送信する。この遠隔操作信号には、携帯機20のIDコード(識別情報)が含まれる。車載制御装置10のUHF受信部3により遠隔操作信号が受信されると、制御部1は、該遠隔操作信号に含まれる携帯機20のIDコードと、予め記憶された車載制御装置10のIDコードとの照合を行う。そして、IDコードの照合が成功(両IDコードが一致)すると、制御部1は、遠隔操作信号に基づいてドアロック装置7を制御し、車両30のドアを解錠または施錠する。(キーレスエントリ方式)
【0051】
また、携帯機20が許可モードにある場合に、携帯機20を携帯した利用者が車両30に接近して、いずれかのパッシブリクエストスイッチ5を操作すると、車載制御装置10の制御部1が、LF送信部2により応答要求信号を携帯機20へ送信する。応答要求信号がLF受信部22により受信されると、携帯機20の制御部21が、応答信号をUHF送信部23により車載制御装置10へ返信する。この応答信号にも、携帯機20のIDコードが含まれる。車載制御装置10のUHF受信部3により応答信号が受信されると、制御部1は、該応答信号に含まれる携帯機20のIDコードと、車載制御装置10のIDコードとを照合する。そして、IDコードの照合が成功すると、制御部1は、応答信号に基づいてドアロック装置7を制御し、車両30のドアを解錠または施錠する。(パッシブエントリ方式)
【0052】
また、携帯機20を携帯した利用者が車両30の車室内で、エンジンスイッチ6を操作すると、制御部1が、LF送信部2およびUHF受信部3により、携帯機20のLF受信部22およびUHF送信部23と通信して、車載制御装置10のIDコードと携帯機20のIDコードとの照合を行う。そして、IDコードの照合が成功すると、制御部1は、エンジン装置8を制御して、車両30のエンジンを始動(または停止)する。
【0053】
ところで、リレーアタックで用いられる中継器(図示省略)は、携帯機20が車両30から遠く離れた場所にあっても、車載制御装置10と携帯機20との間で、信号の送受信を中継する機能を備えている。このため、パッシブエントリ時などには、遠方にある携帯機20が車両30の近傍にあるかのように偽装されて、不正な通信行為が行われる。
【0054】
次に、携帯機20の動作を、図2を参照しながら説明する。
【0055】
図2は、携帯機20の動作を示したフローチャートである。詳しくは、図2は、携帯機20のモード切替動作を示している。
【0056】
初期状態では、携帯機20は許可モードにある。利用者が、操作部24のモード切替スイッチ24bで所定の禁止操作を行うと(図2のステップS1:YES)、制御部21は、車両30のドアの施解錠を禁止する禁止モードへ移行する(図2のステップS2)。また、利用者が、モード切替スイッチ24bで禁止モードを解除する操作を行うと(図2のステップS3:YES)、制御部21は、車両30のドアの施解錠を許可する許可モードへ移行する(図2のステップS4)。
【0057】
次に、第1実施形態による車載制御装置10と携帯機20の動作を、図3を参照しながら説明する。
【0058】
図3は、第1実施形態による車載制御装置10と携帯機20の動作を示したフローチャートである。本例は、パッシブエントリ時の車載制御装置10と携帯機20の動作を示している。また、本例では、携帯機20が車両30の車室外にあって、車両30のエンジンが停止状態であることを前提とする(後述する他の実施形態も同様)。
【0059】
車両30のパッシブリクエストスイッチ5が操作されると(図3のステップS11:YES)、車載制御装置10の制御部1が、LF送信部2により携帯機20へ応答要求信号(LF信号)を送信する(図3のステップS12)。
【0060】
車載制御装置10から送信された応答要求信号が携帯機20のLF受信部22により受信されると(図3のステップS31)、制御部21が、現在のモードを確認する。このとき、許可モード中であれば(図3のステップS32:NO)、制御部21は、応答信号(UHF信号)をUHF送信部23により車載制御装置10へ送信する(図3のステップS33)。
【0061】
対して、携帯機20が禁止モード中であれば(図3のステップS32:YES)、制御部21は、不正通知信号(UHF信号)をUHF送信部23により車載制御装置10へ送信する(図3のステップS34)。
【0062】
これは、利用者によりドアの施解錠を禁止する禁止モードが設定されているにも関わらず、パッシブリクエストスイッチ5が操作されて、車載制御装置10から応答要求信号が送信されたためである。つまり、その応答要求信号が、正当な利用者の操作に基づくものではなく、悪意の第三者の不正操作(リレーアタック)に基づくものであると推定できるため、ステップS34では、携帯機20から正規の応答信号(ステップS33)に代えて、不正通知信号が車載制御装置10へ送信される。この不正通知信号にも、携帯機20のIDコードが含まれている。
【0063】
携帯機20から送信されたUHF信号(応答信号または不正通知信号)が車載制御装置10のUHF受信部3により受信されると(図3のステップS13)、制御部1は、該UHF信号に含まれる携帯機20のIDコードと車載制御装置10のIDコードとを照合する。ここで、IDコードの照合が不成功(両IDコードが不一致)であれば(図3のステップS14:NO)、処理が終了する。この場合、ドアロック装置7により車両30のドアが施解錠されることはなく、不正記録部1aにより不正履歴が記録されることもない。
【0064】
対して、IDコードの照合が成功(両IDコードが一致)すると(図3のステップS14:YES)、制御部1は、受信したUHF信号を確認する。そして、受信したUHF信号が不正通知信号であれば(図3のステップS15:YES)、不正履歴カウンタ1bを1つカウントアップすることにより、不正記録部1aに不正履歴を記録する(図3のステップS16)。このように、不正履歴カウンタ1bは、不正通知信号の受信回数をカウントするものである。また、不正記録部1aは、不正履歴カウンタ1bのカウント値に基づいて、不正通知信号の受信状況を不正履歴として記録するものである。
【0065】
次に、制御部1が、不正履歴カウンタ1bを参照する。ここで、不正履歴カウンタ1bのカウント値(不正通知信号の受信回数)が所定回数N未満であれば(図3のステップS17:NO)、制御部1は、ドアロック装置7により車両30のドアを施解錠することなく、処理を終了する。
【0066】
対して、不正履歴カウンタ1bのカウント値が所定回数N以上になると(図3のステップS17:YES)、制御部1は、不正報知部4のホーン4aにより警告音を出力して、不正があったことを報知する(ステップS18)。この場合も、ドアロック装置7により車両30のドアが施解錠されることなく、処理が終了する。
【0067】
また、図3のステップS13で受信したUHF信号が応答信号であれば(図3のステップS15:NO)、制御部1が、不正履歴カウンタ1bを参照する。
【0068】
このとき、不正履歴カウンタ1bのカウント値が1以上であれば(図3のステップS19:YES)、制御部1は、不正報知部4のディスプレイ4bに不正記録部1aが記録した不正履歴を表示して、不正があったことを報知する(図3のステップS20)。具体的には、たとえば不正履歴カウンタ1bのカウント値をリレーアタックが行われた回数としてディスプレイ4bに一定時間表示する。その後、制御部1は、不正履歴カウンタ1bのカウント値をリセットする(0に戻す)(図3のステップS21)。さらに、制御部1は、応答信号に基づいてドアロック装置7を制御し、車両30のドアを解錠または施錠する(図3のステップS22)。
【0069】
対して、不正履歴カウンタ1bのカウント値が1以上でなければ、すなわち0であれば(図3のステップS19:NO)、制御部1は、即座に、応答信号に基づいてドアロック装置7を制御し、車両30のドアを解錠または施錠する(図3のステップS22)。
【0070】
上記第1実施形態によると、利用者が車両30を利用しないときに、携帯機20のモード切替スイッチ24bを操作して、禁止モードに切り替える。すると、悪意の第三者により中継器を用いたリレーアタックが行われて、応答要求信号が車載制御装置10から送信されて、携帯機20で受信されても、携帯機20が応答信号に代えて不正通知信号を送信する。そして、車載制御装置10が、不正通知信号を受信すると、ドアの施解錠を制御しないので、リレーアタックを阻止することができる。また、車載制御装置10が不正通知信号を受信すると、不正記録部1aに不正履歴が記録されるので、リレーアタックの痕跡を残すことができる。このため、利用者は、その不正記録部1aの不正履歴(不正履歴カウンタ1bのカウント値)を参照して、悪意の第三者に自分の車両30が狙われていることに気付き、適切な防犯対応を取ることが可能となる。
【0071】
また、上記第1実施形態では、禁止モード中にリレーアタックが行われたことが、不正報知部4のホーン4aやディスプレイ4bにより報知されるので、利用者は、自分の車両30に対してリレーアタックが行われていることに容易に気付いて、適切な防犯対応を取ることが可能となる。
【0072】
また、上記第1実施形態では、利用者が、携帯機20のモード切替スイッチ24bを操作することにより、車両30のドアの施解錠の制御を許可する許可モードと、同制御を禁止する禁止モードとを容易に切り替えることができる。
【0073】
また、上記第1実施形態では、不正記録部1aと不正報知部4とが車載制御装置10に備わっていて、不正記録部1aは、車載制御装置10のUHF受信部3による不正通知信号の受信状況を不正履歴として記録し、不正報知部4は、その記録内容に基づいて不正があったことを報知する。このため、利用者は、禁止モード中のリレーアタックの実施状況を車両30において把握することができる。
【0074】
また、上記第1実施形態では、UHF受信部3による不正通知信号の受信回数を不正履歴カウンタ1bによりカウントし、そのカウント値が所定数N以上になると、不正報知部4がホーン4aにより警告音を発生して、不正があったことを報知する。このため、利用者は、車両30に乗車していなくても、禁止モード中にリレーアタックが所定数以上行われたことを容易かつ即座に認識することができる。
【0075】
さらに、上記第1実施形態では、車載制御装置10が応答信号を受信したときに、不正報知部4が、不正履歴カウンタ1bのカウント値をリレーアタックが行われた回数としてディスプレイ4bの表示により報知する。このため、利用者は、車両30に乗車したときに、ディスプレイ4bの表示内容を視認して、前の禁止モード中にリレーアタックが行われた回数を容易かつ即座に認識することができる。
【0076】
次に、第2実施形態による車載制御装置10と携帯機20の動作を、図4および図5を参照しながら説明する。
【0077】
図4は、第2実施形態による車載制御装置10と携帯機20の動作を示したフローチャートである。本例は、パッシブエントリ時の車載制御装置10と携帯機20の動作を示している。図5は、第2実施形態の車載制御装置10と携帯機20の送信信号のフォーマットを示した図である。
【0078】
パッシブリクエストスイッチ5が操作されると(図4のステップS11:YES)、車載制御装置10の制御部1が、LF送信部2により携帯機20へ1回目の応答要求信号を送信する(図4のステップS12a)。
【0079】
1回目の応答要求信号のフォーマットは、通常のフォーマットであり、図5(a)に示すように、ヘッダ、データ、第1RSSI(受信信号強度)測定用信号、および第2RSSI測定用信号から構成されている。第1RSSI測定用信号と第2RSSI測定用信号とは、携帯機20で応答要求信号の受信信号強度を測定するための信号である。
【0080】
車載制御装置10から送信された1回目の応答要求信号が携帯機20のLF受信部22により受信されると(図4のステップS31a:YES)、制御部21が、現在のモードを確認する。このとき、許可モード中であれば(図4のステップS32:NO)、制御部21は、1回目の応答信号をUHF送信部23により車載制御装置10へ送信する(図4のステップS33)。
【0081】
対して、携帯機20が禁止モード中であれば(図4のステップS32:YES)、制御部21は、1回目の不正通知信号をUHF送信部23により車載制御装置10へ送信する(図4のステップS34a)。
【0082】
1回目の不正通知信号のフォーマットは、図5(b)に示すように、ヘッダ、データ、第1RSSI測定結果、および第2RSSI測定結果から構成されている。第1RSSI測定結果と第2RSSI測定結果とは、LF受信部22で応答要求信号を受信した際に、該応答要求信号に含まれる第1RSSI測定用信号の受信信号強度と第2RSSI測定用信号の受信信号強度とをLF受信部22の受信用信号処理部でそれぞれ測定した結果を示している。
【0083】
携帯機20から送信されたUHF信号が車載制御装置10のUHF受信部3により受信されると(図4のステップS13a:YES)、制御部1は、該UHF信号に含まれる携帯機20のIDコードと車載制御装置10のIDコードとを照合する。ここで、IDコードの照合が成功すると(図4のステップS14:YES)、制御部1は、受信したUHF信号を確認する。
【0084】
そして、受信したUHF信号が1回目の応答信号であれば(図4のステップS15a:NO)、制御部1が、不正履歴カウンタ1bを参照する。このとき、不正履歴カウンタ1bのカウント値が1以上であれば(図4のステップS19:YES)、制御部1は、不正報知部4のディスプレイ4bに不正記録部1aの不正履歴を表示して、不正があったことを報知する(図4のステップS20)。その後、制御部1は、不正履歴カウンタ1bのカウント値をリセットする(図4のステップS21)。さらに、制御部1は、応答信号に基づいてドアロック装置7を制御し、車両30のドアを解錠または施錠する(図4のステップS22)。
【0085】
また、図4のステップS15aで、受信したUHF信号が1回目の不正通知信号であれば(図4のステップS15a:YES)、制御部1は、LF送信部2により携帯機20へ2回目の応答要求信号を送信する(図4のステップS15b)。つまり、応答要求信号の送信のリトライを行う。
【0086】
2回目の応答要求信号のフォーマットは、リレーアタックの再確認用のフォーマットであり、図5(c)に示すように、ヘッダ、第1RSSI測定用信号、および第2RSSI測定用信号から構成されている。このように、2回目の応答要求信号のフォーマットは、図5(a)に示す1回目の応答要求信号のフォーマットと異なっていて、2回目の応答要求信号の信号長は、データが省略されている分、1回目の応答要求信号の信号長より短くなっている。
【0087】
車載制御装置10から送信された2回目の応答要求信号が携帯機20のLF受信部22により受信されると(図4のステップS35:YES)、制御部21が、現在のモードを確認する。このとき、許可モード中であれば(図4のステップS36:NO)、制御部21は、2回目の応答信号をUHF送信部23により車載制御装置10へ送信する(図4のステップS37)。
【0088】
対して、携帯機20が禁止モード中であれば(図4のステップS36:YES)、制御部21は、2回目の不正通知信号をUHF送信部23により車載制御装置10へ送信する(図4のステップS38)。
【0089】
2回目の不正通知信号のフォーマットは、図5(d)に示すように、ヘッダ、データ、第1RSSI測定結果、および第2RSSI測定結果から構成されている。このように、2回目の不正通知信号のフォーマットは、図5(b)に示す1回目の不正通知信号のフォーマットと同様であり、信号長も等しくなっている。
【0090】
次に、制御部21は、表示部25の少なくとも1つのLED25a、25bの点灯により、不正(リレーアタック)があったことの報知を開始する(図4のステップS39)。表示部25も、本発明の「不正報知部」の一例である。
【0091】
その後、操作部24の操作スイッチ24a、24bで何らかの操作が行われると(図4のステップS40:YES)、制御部21は、表示部25による不正の報知を停止する(図4のステップS41)。具体的には、LED25aまたはLED25bを消灯する。
【0092】
携帯機20から再度送信されたUHF信号が車載制御装置10のUHF受信部3により再度受信されると(図4のステップS15c:YES)、制御部1は、該UHF信号を確認する。そして、受信したUHF信号が2回目の応答信号であれば(図4のステップS15d:NO)、前述したように制御部1が、図4のステップS19〜ステップS22を実行する。
【0093】
また、図4のステップS15cで受信したUHF信号が2回目の不正通知信号であれば(図4のステップS15d:YES)、不正履歴カウンタ1bを1つカウントアップすることにより、不正記録部1aに不正履歴を記録する(図4のステップS16)。
【0094】
そして、制御部1が、不正履歴カウンタ1bを参照し、不正履歴カウンタ1bのカウント値が所定回数N未満であれば(図4のステップS17:NO)、ドアロック装置7により車両30のドアを施解錠することなく、処理を終了する。
【0095】
対して、不正履歴カウンタ1bのカウント値が所定回数N以上になると(図4のステップS17:YES)、制御部1は、不正報知部4のホーン4aにより警告音を発生して、不正があったことを報知する(ステップS18)。この場合も、ドアロック装置7により車両30のドアが施解錠されることなく、処理が終了する。
【0096】
上記第2実施形態によると、車載制御装置10は、パッシブリクエストスイッチ5の操作を受けて送信した1回目の応答要求信号に対して、携帯機20から不正通知信号を受信すると、その時点では当該受信を不正履歴として不正記録部1aに記録せずに、2回目の応答要求信号を送信する。そして、2回目の応答要求信号に対して、応答信号を受信することなく、不正通知信号を再度受信すると、当該受信を不正履歴として不正記録部1aに記録する。つまり、車載制御装置10が携帯機20から送信された不正通知信号を2回連続して受信した場合、換言すれば、禁止モード中にリレーアタックが2回連続して行われた場合に、不正記録部1aに不正履歴が記録される。このため、不正記録部1aに記録された不正履歴の整合性をとることができる。
【0097】
また、上記第2実施形態では、車載制御装置10が送信する2回目の応答要求信号のフォーマットは、1回目の応答要求信号のフォーマットと異なっていて、2回目の応答要求信号の信号長は、1回目の応答要求信号の信号長より短くなっている。このため、2回目の応答要求信号を送信してから、2回目の応答信号を受信するまでの応答時間を短縮することができる。
【0098】
さらに、上記第2実施形態では、携帯機20の表示部25を不正報知部として用いていて、UHF送信部23が2回連続して不正通知信号を送信した場合に、表示部25のLED25a、25bの点灯により不正を報知する。このため、携帯機20を保持した利用者が車両30から離れた場所にいても、LED25a、25bの点灯状態を見て、禁止モード中にリレーアタックが行われたことを容易に認識することができ、適切な防犯対応を取ることが可能となる。また、許可モードにあるか禁止モードにあるかをLED25a、25bにより表示するので、利用者はLED25a、25bを見て、現在のモードを確認することができる。
【0099】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、図4に示した第2実施形態では、携帯機20が禁止モード中に不正通知信号を2回連続して送信した場合に、表示部25により不正を報知した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、携帯機20が禁止モード中に不正通知信号を送信する度に、表示部25により不正を報知してもよい。
【0100】
また、たとえば図6に示す他の実施形態のように、携帯機20において、不正通知信号を送信した(図6のステップS34)後、許可モードに移行したときに(図6のステップS34b:YES)、表示部25により、不正があったことを報知してもよい(図6のステップS34c)。具体的には、たとえば、表示部25の少なくとも1つのLED25a、25bを所定時間点灯させることにより、不正を報知する。または、たとえば、少なくとも1つのLED25a、25bを点灯させることにより、不正を報知し、その後、操作部24の操作スイッチ24a、24bで何らかの操作があったときに、LED25a、25bを消灯させる。
【0101】
また、以上の実施形態では、車載制御装置10で不正通知信号を受信した場合に、不正履歴カウンタ1bを1つカウントアップすることにより、不正記録部1aに不正履歴を記録した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、車載制御装置で不正通知信号を受信する度に、その受信日時を不正履歴ログとしてメモリに記録してもよい。これにより、その不正履歴ログを参照することでリレーアタックの実行回数および実行日時を把握することができる。
【0102】
また、以上の実施形態では、モード切替部であるモード切替スイッチ24bと不正報知部である表示部25とを携帯機20に設け、不正記録部1aと不正報知部4とを車載制御装置10に設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。モード切替部、不正記録部、および不正報知部はそれぞれ、携帯機と車載制御装置の少なくとも一方に設ければよい。そして、たとえばモード切替部を車載制御装置に設けた場合は、モード切替部の切替結果を車載制御装置から携帯機へ無線通信で送信すればよい。また、たとえば不正記録部を携帯機に設けた場合は、禁止モード中に携帯機が応答要求信号を受信したときに、不正記録部により不正履歴を記録し、その後不正記録部の記録内容を携帯機から車載制御装置へ無線通信で送信すればよい。
【0103】
また、第1実施形態および第2実施形態では、パッシブエントリ時の車載制御装置10と携帯機20の動作を例に挙げたが、たとえばポーリングの場合にも、本発明は適用することができる。
【0104】
図7に示す他の実施形態と図8に示す他の実施形態はそれぞれ、ポーリング時の車載制御装置と携帯機の動作を示したフローチャートである。
【0105】
図7の例では、まず、車載制御装置が自発的に所定の周期で間欠的に応答要求信号を送信する(図7のステップS12b)。以降は、図3に示した第1実施形態と同様である。
【0106】
図8の例では、まず、車載制御装置が自発的に所定の周期で間欠的に1回目の応答要求信号を送信する(図8のステップS12c)。以降は、図4に示した第2実施形態と同様である。なお、2回目の応答要求信号は(図8のステップS15b)、単発で送信してもよいし、所定の周期で間欠的に複数回送信してもよい。
【0107】
また、以上の実施形態では、車載機器制御システム100で実行する車載機器の制御として、ドアロック装置7による車両30のドアの施解錠を例に挙げたが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、エンジン装置8によるエンジンの始動、エアコン装置(図示省略)によるエアコンの駆動、オーディオシステム(図示省略)によるオーディオ機器の駆動など、車両に搭載された他の車載機器の制御を実行してもよい。
【0108】
さらに、以上の実施形態では、自動四輪車用の車載機器制御システム100、車載制御装置10、および携帯機20に本発明を適用した例を挙げたが、たとえば自動二輪車や大型自動車などの他の車両用の車載機器制御システム、車載制御装置、および携帯機に対しても、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0109】
1a 不正記録部
4 不正報知部
5 パッシブリクエストスイッチ
7 ドアロック装置(車載機器)
10 車載制御装置
20 携帯機
24b モード切替スイッチ(モード切替部)
25 表示部(不正報知部)
30 車両
100 車載機器制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8