(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351186
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】間仕切り壁およびその構築方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20180625BHJP
E04B 2/80 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
E04B2/74 511L
E04B2/74 501V
E04B2/80
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-212777(P2016-212777)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-71206(P2018-71206A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】515133224
【氏名又は名称】株式会社茨城県南木造住宅センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 公子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英一
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−256584(JP,A)
【文献】
実開昭53−034809(JP,U)
【文献】
特開2004−339884(JP,A)
【文献】
特開2011−001707(JP,A)
【文献】
特開2010−106570(JP,A)
【文献】
特開平09−228523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B2/72−2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が床に固定され、他端が天井に固定される少なくとも2本の柱材と、該柱材の一方からもう一方に差し渡され、かつ、該柱材の長手方向に沿う縦並び配列にて該柱材の相互間および床乃至天井の相互間に仕切り壁を形成する複数枚の壁板材とを備えた間仕切り壁であって、
該柱材は、該柱材の対向側壁にそれぞれその長手方向に沿って伸延する少なくとも1本の縦溝を有し、
該壁板材は、両端が開放され該柱材の各縦溝に対面する縦溝を有し、
該柱材と該壁板材とを、一端側が該柱材の縦溝に嵌合可能で、他端側が該壁板材の縦溝にそれぞれ嵌合可能な第1の実継材を介して連結してなり、
該第1の実継材は、少なくとも該壁板材の1枚当たりの高さ寸法分だけ該柱材の長さよりも短い長さを有することを特徴とする間仕切り壁。
【請求項2】
前記壁板材は、床側の端縁および天井側の端縁のそれぞれに、柱材の一方からもう一方に向けて伸延するとともに第2の実継材を嵌合させて上下に隣接配置される壁板材同士を相互に連結する少なくとも一本の横溝を有することを特徴とする請求項1に記載した間仕切り壁。
【請求項3】
前記柱材は、受け部材を介して前記床および前記天井にそれぞれ固定されるものであり、
該受け部材は、締結手段を介して該床、該天井にそれぞれ連結されるベースと、該ベースに一体的につながり前記柱材の下端部、上端部にそれぞれ設けられた少なくとも1つの溝部に嵌合する舌片とを有することを特徴とする請求項1または2に記載した間仕切り壁。
【請求項4】
前記柱材は、矩形断面を有する木製部材からなり、前記壁板材は、前記柱材の長手方向に沿う寸法が短尺で、一方の柱材からもう一方の柱材に至るまでの寸法が長尺な矩形形状をなす木製部材からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載した間仕切り壁。
【請求項5】
前記柱材と前記壁板材とを連結する第1の実継材は、単一部材または、長さ方向に分割された複数の短尺片からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載した間仕切り壁。
【請求項6】
前記柱材と前記壁板材とを連結する第1の実継材は、該第1の実継材に着脱自在に嵌合し、下端が前記壁板材の天井側の端縁に当接する一方、上端が該壁板材の上方に位置する別の壁板材の床側の端縁に当接してその相互間に開口部を形成するスペーサを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載した間仕切り壁。
【請求項7】
請求項1に記載した間仕切り壁を構築するに当たり、
少なくとも2本の柱材を相互に間隔を隔てて配置し、該柱材の一端を受け部材を介して床に固定する一方、該柱材の他端を受け部材を介して天井に固定し、
次いで該柱材の縦溝に第1の実継材の一端側を嵌合させ、
さらに、該第1の実継材の上端部に壁板材を位置せしめてその縦溝に該第1の実継材の他端側を挿通、嵌合させて該壁板材そのものを床側に向けて落とし込み、これを該第1の実継材の上端に至るまで繰り返し行うことを特徴とする間仕切り壁の構築方法。
【請求項8】
請求項2に記載した間仕切り壁を構築するに当たり、
少なくとも2本の柱材を相互に間隔を隔てて配置し、該柱材の一端を受け部材を介して床に固定する一方、該柱材の他端を受け部材を介して天井に固定し、
次いで該柱材の縦溝に第1の実継材の一端側を嵌合させ、
さらに、該第1の実継材の上端部に壁板材を位置せしめてその縦溝に該第1の実継材の他端側を挿通、嵌合させて該壁板材そのものを床側に向けて落とし込むとともにその落とし込んだ壁板材の床側の端縁に位置する横溝に第2の実継材の一端側を、また、天井側の端縁に位置する横溝に該第2の実継材とは別個に配置される第2の実継材の他端側をそれぞれ嵌合させ、これを該第1の実継材の上端に至るまで繰り返し行うことを特徴とする間仕切り壁の構築方法。
【請求項9】
前記壁板材を床に向けて落とし込むに先立ち、前記第1の実継材の他端側にスペーサを装着することを特徴とする請求項7または8に記載した間仕切り壁の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を所要の広さに仕切るのに好適な間仕切り壁およびその構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の間仕切り壁は、天井に取り付けられる笠木と、床に取り付けられる巾木と、その相互間で支持される仕切りパネルによって構成されているのが普通である。
【0003】
ところで、かかる間仕切り壁は、仕切りパネルの支持が笠木と巾木によって支持されているのにすぎないことから間仕切り壁の固定強度が高いとはいえない。また、仕切りパネルのサイズも大きいものが多く、しかも、その重量も重いことから、構成部材の運搬や間仕切り壁の組み立てを効率的に行うことができない不具合を有している。
【0004】
この点に関する先行技術として、例えば、特許文献1には、両辺に第1嵌合部を有する第1パネルと、両辺に第2嵌合部を有する第2パネルと、該第1嵌合部、第2嵌合部に嵌合する第3嵌合部を有する支柱とを備え、第1嵌合部及び第2嵌合部の少なくとも一部が第3嵌合部に挿入するか、あるいは、第3嵌合部の少なくとも一部が第1嵌合部及び第2嵌合部に挿入することによって嵌合させることによって構成される間仕切り壁が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−95886号公報
【0006】
上記特許文献1は、パネルが第1パネルと第2パネルで構成されており、第1パネル、第2パネルを同じ支柱を介して固定するものであることから、構成部材の運搬が比較的容易であり、パネル(壁)の強度も十分に高めることができるとされていた。しかしながら、支柱を用いたこの種の間仕切り壁は、一方の支柱にパネルを組み付けたのち、もう一方の支柱でパネルを挟み込んで固定するのが一般的であり、支柱の固定を終えるまでは、パネルの姿勢が不安定にならざるを得ず、作業負担が大きく、効率的な組み立てが行えるとはいえないものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い強度(固定強度)を確保することが可能であり、かつ、簡便な作業のもとで効率的に構築することができる間仕切り壁およびその構築方法を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一端が床に固定され、他端が天井に固定される少なくとも2本の柱材と、該柱材の一方からもう一方に差し渡され、かつ、該柱材の長手方向に沿う縦並び配列にて該柱材の相互間および床乃至天井の相互間に仕切り壁を形成する複数枚の壁板材とを備えた間仕切り壁であって、該柱材は、該柱材の対向側壁にそれぞれその長手方向に沿って伸延する少なくとも1本の縦溝を有し、該壁板材は、両端が開放され該柱材の各縦溝に対面する縦溝を有し、該柱材と該壁板材とを、一端側が該柱材の縦溝に嵌合可能で、他端側が該壁板材の縦溝にそれぞれ嵌合可能な第1の実継材を介して連結してなり、該第1の実継材は、少なくとも該壁板材の1枚当たりの高さ寸法だけ該柱材の長さよりも短い長さを有することを特徴とする間仕切り壁である。
【0009】
上記の構成からなる間仕切り壁において、前記壁板材は、床側の端縁および天井側の端縁のそれぞれに、柱材の一方からもう一方に向けて伸延するとともに第2の実継手を嵌合させて上下に隣接配置される壁板材同士を相互に連結する少なくとも一本の横溝を有すること、また、前記柱材は、受け部材を介して前記床および前記天井にそれぞれ固定されるものであって、該
受け部材を、締結手段を介して該床、該天井にそれぞれ連結されるベースと、該ベースに一体的につながり前記柱材の下端部、上端部にそれぞれ設けられた少なくとも1つの溝部に嵌合する舌片から構成すること、また、前記柱材は、矩形断面を有する木製部材からなり、前記壁板材は、前記柱材の長手方向に沿う寸法が短尺で、一方の柱材からもう一方の柱材に至るまでの寸法が長尺な矩形形状をなす木製部材からなること、また、前記柱材と前記壁板材とを連結する第1の実継材は、単一部材または、長さ方向に分断された複数の短尺片からなること、さらに、前記柱材と前記壁板材とを連結する第1の実継材は、該第1の実継材に着脱自在に嵌合し、下端が前記壁板材の天井側の端縁に当接する一方、上端が該壁板材の上方に位置する別の壁板材の床側の端縁に当接してその相互間に開口部を形成するスペーサを有すること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【0010】
また、本発明は、間仕切り壁を構築するに当たり、少なくとも2本の柱材を相互に間隔を隔てて配置し、該柱材の一端を受け部材を介して床に固定する一方、該柱材の他端を受け部材を介して天井に固定し、次いで該柱材の縦溝に第1の実継材の一端側を嵌合させ、さらに、該第1の実継材の上端部に壁板材を位置せしめてその縦溝に該第1の実継材の他端側を挿通、嵌合させて該壁板材そのものを床側に向けて落とし込み、これを該第1の実継材の上端に至るまで繰り返し行うことを特徴とする間仕切り壁の構築方法である。
【0011】
また、本発明は、間仕切り壁を構築するに当たり、少なくとも2本の柱材を相互に間隔を隔てて配置し、該柱材の一端を受け部材を介して床に固定する一方、該柱材の他端を受け部材を介して天井に固定し、次いで該柱材の縦溝に第1の実継材の一端側を嵌合させ、さらに、該第1の実継材の上端部に壁板材を位置せしめてその縦溝に該第1の実継材の他端側を挿通、嵌合させ、該壁板材そのものを床側に向けて落とし込むとともにその落とし込んだ壁板材の床側の端縁に位置する横溝に第2の実継材の一端側を、また、天井側の端縁に位置する横溝に該第2の実継材とは別個に配置される第2の実継材の他端側をそれぞれ嵌合させ、これを該第1の実継材の上端に至るまで繰り返し行うことを特徴とする間仕切り壁の構築方法である。
【0012】
上記の構築方法において、前記壁板材を床側に向けて落とし込むに先立ち、前記第1の実継材の他端側にスペーサを装着することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の間仕切り壁は、壁板材の両端を柱材に連結して固定するものであり、壁の強度が高い。
【0014】
また、本発明の間仕切り壁は、固定された柱材の相互間に壁板材を順次に床側に向けて落とし込み、縦並び配列とすることによって構築されるものであり、作業負担の軽減、作業性の改善を図ることができる。
【0015】
さらに、本発明の間仕切り壁は、壁の下端、上端あるいは、中間領域等任意の位置に開口部を設けることができ、開口部の多様なレイアウトが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明にしたがう間仕切り壁の実施の形態を模式的に示した外観斜視図である。
【
図2】
図1に示した間仕切り壁の分解状態を示した外観斜視図である。
【
図3】
図1に示した間仕切り壁の正面を示した図である。
【
図4】(a)は、
図3のA−A断面を示した図であり、(b)は、
図3のB−B断面を示した図である。
【
図5】本発明にしたがう間仕切り壁の構築要領を示した図である。
【
図6】スペーサの外観を模式的に示した斜視図である。
【
図7】本発明にしたがう間仕切り壁の他の実施の形態をその正面について示した図である。
【
図8】
図7に示した間仕切り壁の要部外観斜視図である。
【
図9】本発明にしたがう間仕切り壁のさらに他の実施形態を要部について示した図であり、(a)は、スペーサとしてフラットバーを用いた例を示した図であり、(b)は、スペーサとして対向側壁に溝を設けた棒状部材を用いた例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがう間仕切り壁の実施の形態を模式的に示した外観斜視図であり(天井は図示せず)、
図2は、
図1に示した間仕切り壁の分解状態を示した外観斜視図であり、また、
図3は、
図1に示した間仕切り壁の正面を示した図であり、さらに
図4(a)は、
図3のA−A断面、(b)は、B−B断面を示した図である。なお、
図1〜4においては、2本の柱材の相互間に壁板材を配列させて間仕切り壁を構築したものを例として示したが、柱材の本数や壁板材の枚数は任意に増減することが可能であり図示のものに限定されない。
【0018】
図1〜4における符号1、2は、一端が床に固定され、他端が天井に固定された柱材である。柱材1、2としては、例えば90mm×90mmの矩形断面をなす杉あるいは檜等の木製部材が適用されるが、柱部材1、2のサイズや材質についてはとくに限定されない。
【0019】
また、3は、柱材1から柱材2に差し渡され、柱材1、2の長手方向に沿う縦並び配列にて柱材1、2の相互間および床乃至天井の相互間に仕切り壁を形成する壁板材である。
【0020】
壁板材3は、柱材1、2の長手方向に沿う寸法W(1枚当たりの高さ寸法)が短尺で、柱材1から柱材2に至るまでの寸法L(長さ寸法)が長尺な矩形形状をなす杉、檜等の木製部材(無垢材)が適用される。具体的には、90mm×90mmの柱材1、2を用いる場合には、厚さ30mm程度、高さ寸法Wが210mm程度、長さ寸法Lがfree(ここでいうfreeとは、柱材の間隔に応じてその寸法が任意に設定されることを意味する)のものが用いられる。
【0021】
また、4は、柱材1の側壁に設けられその長手方向に沿って伸延する縦溝、5は、柱材2の側壁に設けられその長手方向に沿って伸延する縦溝である。縦溝4、5は、柱材1、2の対向側壁に形成されている。
【0022】
また、6、7は、壁板材3の長さ方向の両端面にそれぞれ設けられた縦溝である(
図4(a)参照)。この縦溝6、7は、両端(上下端)が開放された通し溝になっている。
【0023】
また、8、9は、矩形形状をなす偏平で細長い板状の第1の実継材ある。第1の実継材8、9は、一端側8a、9aが柱材1、2の縦溝4、5に嵌合可能になっている一方、対向する他端側8b、9bが壁板材3の縦溝6、7に嵌合可能になっており、この第1の実継材8、9を介して壁板材3を柱材1、2に連結することができるようになっている。
【0024】
第1の実継材8、9の長さh(
図2、3参照)は、少なくとも壁板材3の1枚当たりの高さ寸法W(
図3参照)分だけ柱材1、2の長さH(
図2、3参照)よりも短く設定されており、これにより第1の実継材8、9の上端から天井に至るまでの間で壁板材3の組み付けスペースMを確保している。なお、第1の実継材8、9の長さhは、組み付けスペースMの拡大を図る観点から、壁板材3の1枚当たりの高さ寸法Wを超えて短縮させておいてもよい。90mm×90mmの柱材1、2を用いる場合に、第1の実継材8、9の幅寸法e(
図2参照)については、37mm程度、厚さはほぼ4mm程度に設定するのが好ましい。
【0025】
また、10は、壁板材3の床側の端縁(下面)の全長にわたって設けられた横溝(
図4参照)、11は、壁板材3の天井側の端縁(上面)の全長にわたって設けられた横溝である。この横溝10、11は、柱材1、柱材2の相互間で伸延する。
【0026】
また、符号12は、矩形形状をなす偏平で細長い板状の第2の実継材である(
図2、
図4(b)参照)。この第2の実継材12は、その一端側12aが壁板材3の横溝11に嵌合し、対向位置の他端側12bが壁板材3の横溝10に嵌合するものであって、上下に隣接配置する壁板材3は、この第2の実継材12を介して相互に連結されて縦並び配列を構成する。第2の実継材12は、木製部材、金属製部材あるいはアクリル等の合成樹脂製部材からなるものを適用することができる。
【0027】
第2の実継材12としては、厚さ30mm、高さ寸法W210mmの壁板材3を適用する場合には、厚さ4mm程度、高さ寸法37mm程度に設定される(長さはfree)が、本発明は、この数値にのみ限定されることない。
【0028】
また、13は、U字形状をなす受け部材(鋼鉄等の金属製部材)である。受け部材13は、柱材1、2を床、天井に固定するものであり、ビスや釘の如き締結手段(図示せず)を介して床、天井にそれぞれ連結されるベース13aと、ベース13aの対向する端縁に一体的につながり、柱材1、2の下端部、上端部に形成された溝部1a、1b、2a、2b(
図1、
図2参照)に嵌合する舌片13bから構成されている。
【0029】
受け部材13は、ここでは、一対の舌片13bを有するものを例として示したが、該舌片13bは、ベース13aの中央部分において起立する単一のものとしてもよく、この場合、柱材1、2の下端部、上端部には単一の溝部が設けられる。90mm×90mmの柱材1、2を固定するには、幅寸法90mm程度、幅寸法45mm程度、長さ寸法90mm、高さ寸法45mm程度のものが用いられる。
【0030】
図5は、本発明にしたがう間仕切り壁の構築要領を図解したものである。上記の如き構成からなる間仕切り壁を構築するには、まず、受け部材13を床、天井の所望の位置に固定し、該受け部材13の舌片13bを柱材1、2の上端部、下端部に形成された溝1a、1b、2a、2bに嵌入(スライドによる)させて該柱材1、2を床乃至天井の相互間で固定する。
【0031】
そして、次に、柱材1、2の縦溝4、5に第1の実継材8、9の一端側8a、9aを嵌合させ、さらに、該第1の実継材8、9の上端部に該柱材1、2の相互間に差し渡すべき壁板材3を位置せしめてその縦溝6、7に第1の実継材8、9の他端側8b、9bを挿通、嵌合させて該壁板材3そのものを床側に向けて落とし込むとともにその落とし込んだ壁板材3の床側の端縁の横溝10に第2の実継材12の一端側12bを、また、天井側の端縁の横溝11に別個に配置される第2の実継材12の他端側12aをそれぞれ嵌合させ、この一連の作業を該第1の実継材8、9の上端に至るまで繰り返し行う。これによって室内を所要の広さに仕切る間仕切り壁が構築されることとなる。なお、柱材1、2を床乃至天井の相互間に固定するに当たって受け部材13の舌片13bを柱材1、2の溝1a、1b、2a、2bに嵌入させたのちにおいては、柱材1、2の、舌片13bに沿うスライドを防止するために位置決め用のストッパー等が設けられる(図示せず)。
【0032】
本発明にしたがう間仕切り壁は、第1の実継材8、9の長さh(
図2、3参照)が、少なくとも壁板材3の1枚当たりの高さ寸法Wだけ柱材1、2の長さよりも短縮されたものであるから、第1の実継材8、9の上端から天井に至るまでの間にはスペースM(
図1参照)が形成されることになるが、このスペースMは、間仕切り壁が構築されたのちは、明り取り用の開口部として機能させることができる。
【0033】
なお、スペースMには、縦溝4、5を利用して多少の曲げ変形が可能
なアクリル板の如き合成樹脂製の幕板材(透明、半透明、不透明なもの等)を嵌め込むことも可能である。
【0034】
本発明にしたがう間仕切り壁は、上述のように、柱材1、2を床乃至天井の相互間に予め固定し、その状態を維持したまま、壁板材3を第1の実継材8、9に沿わせて順次天井側から床側に向けて落とし込んでいくだけの簡単な作業で強度の高い間仕切り壁を構築することができる。
【0035】
図6は、第1の実継材8、9の他端側8b、9bに着脱自在なスペーサ14を模式的に示した図であり、
図7は、上掲
図1〜5に示した構成の間仕切り壁において柱材15をさらに追加するとともに
図6に示した如きスペーサ14を使用して構築された、本発明にしたがう間仕切り壁の他の実施の形態をその正面について模式的に示した図であり、さらに
図8は、
図7に示した間仕切り壁の要部の外観斜視図である。
【0036】
なお、
図7に示した間仕切り壁は、柱材2の側壁につき、縦溝5が設けられた対向側壁に縦溝5′が設けられており(
図8参照)、この縦溝5′に第1の実継材8を嵌合させて壁板材3を柱材2および柱材15の間に連結するものである。
【0037】
スペーサ14は、具体的には、第1の実継材8、9の他端側8b、9bに嵌合可能な凹部14aを有し、その下端14bが壁板材3の天井側の端縁の一部分に当接可能で、上端14cがその上方に位置する別の壁板材3の床側の端縁に当接可能な棒状体からなるものを用いることが可能であり、壁板材3を床側に向けて落とし込むに先立ち、第1の実継材8、9の他端側8b、9bにスペーサ14を装着することにより
図7、8に示すように、壁の任意の位置に開口部16、17を設けるものである。
【0038】
スペーサ14の長さについては、目的とするサイズの開口部16、17に応じて任意に変更される。なお、本発明では、スペーサ14として凹部14aを設けたコ字状断面を有する棒状体からなるものを例として示したが、第1の実継材8、9の他端側8b、9bへの着脱が可能で、壁板材3の相互間で該壁板材3を確実に支持できるものであれば例えば
図9(a)に示すようなフラットバー(第1の実継材8と同様のもの等)で構成されたスペーサ14あるいは
図9(b)に示すような対向側壁に凹部14a、14dを設けたスペーサ14等を用いてもよく、その形状、構造は任意に変更することができる。スペーサ14は、木製部材や金属製部材あるいは合成樹脂製部材で構成することが可能であり、その材質はとくに限定されない。
【0039】
第1の実継材8、9については、部材点数を減らす観点から、単一部材(一本もの)とするのが好ましい。しかし、第1の実継材8、9を壁板材3の枚数を同じ数に分割した短尺材を組み合わせた構造としてもよく、この場合、床側から天井側に向けて順次壁板材3を配置することができる(壁板材の床側への落とし込み作業が不要となる)。
【0040】
また、壁板材3の相互間に配置される第2の実継材12についてはその設置を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、壁の強度が高く、簡便な作業のもとで効率的な構築が可能な間仕切り壁およびその構築方法が提供できる。
【符号の説明】
【0042】
1、2 柱材
3 壁板材
4、5、5′ 縦溝
6、7 縦溝
8、9 第1の実継材
10、11 横溝
12 第2の実継材
13 受け部材
14 スペーサ
15 柱材
16、17 開口部