(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明における実施形態について
図1から
図7を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における緊急遮断システムを示す模式図である。
図2は、本発明の実施形態における通常運転時のトリップ装置を示す模式図である。
図3は、本発明の実施形態における緊急停止時のメカニカルトリップ装置を示す模式図である。
図4は、本発明の実施形態における動作試験時のメカニカルトリップ装置を示す模式図である。
図5は、本発明の実施形態における通常運転時のTTVトリップ装置を示す模式図である。
図6は、本発明の実施形態における緊急停止時のTTVトリップ装置を示す模式図である。
図7は、本発明の実施形態における動作試験時のTTVトリップ装置を示す模式図である。
【0024】
緊急遮断システム2は、蒸気タービン1への蒸気Sの供給を緊急遮断する。本実施形態では、緊急遮断システム2において、蒸気タービン1を定常運転させるために蒸気Sを供給し続けている状態を通常運転時とする。本実施形態では、緊急遮断システム2において、軸振動過大やロータ過速度などの回転体異常やプラント機器の異常が生じて蒸気タービン1及びプラントの緊急停止が必要な場合に、蒸気タービン1を緊急停止するために蒸気Sの供給を遮断している状態を緊急停止時とする。
【0025】
緊急遮断システム2が用いられる蒸気タービン1は、塞止弁30及び調整弁10を介して上流側に供給される蒸気Sによってロータ(不図示)が回転駆動される。蒸気タービン1は、このロータの回転により、圧縮機や発電機等の被駆動機を回転駆動させる。
【0026】
緊急遮断システム2は、蒸気タービン1への蒸気Sの供給を制御する各種制御装置に供給する制御(駆動)油の流れを調整する。本実施形態の緊急遮断システム2は、
図1に示すように、蒸気タービン1への蒸気Sの供給量を調整する調整弁10(GV:Governing Valve)と、緊急停止時に蒸気タービン1への蒸気Sの供給を遮断する塞止弁30(MSV:Main Stop ValveもしくはTTV:Trip and Throttle Valve)と、不図示の供給源から供給される制御油を塞止弁30に送る複数のメカニカルトリップ装置20と、を備えている。緊急遮断システム2では、調整弁10、塞止弁30、及びメカニカルトリップ装置20が、内部に制御油が流通する複数の配管によって接続されている。
【0027】
調整弁10は、弁開度を調整することで、蒸気タービン1の上流側に供給する蒸気Sの供給量を調整する。調整弁10は、供給される制御油にて動作する油筒開度を調整することで、弁開度を調整して蒸気Sの供給量を増加、減少させ、出力や回転数を調整する。本実施形態の調整弁10は、制御油の供給源(不図示)に繋がれた供給配管91が分岐して繋がっている。調整弁10は、複数のメカニカルトリップ装置20に対して配管の一つである調整弁連通管92を介して繋がれている。
【0028】
通常運転時に、調整弁10は、供給源から配管の一つである供給配管91を介して制御油が供給される。緊急停止時に、調整弁10は、供給配管91だけでなく、調整弁連通管92を介してメカニカルトリップ装置20からも制御油が供給され、調整弁10の油筒の閉方向に導かれ調整弁10を遮断する。
【0029】
メカニカルトリップ装置20は、緊急停止時に調整弁10に制御油を供給するとともに、塞止弁30への制御油の供給を遮断する緊急遮断装置である。本実施形態のメカニカルトリップ装置20は、調整弁10及び塞止弁30に対して並列して二つ配置されている。
図2に示すように、メカニカルトリップ装置20は、内部に設けられた空間A1に制御油を流入する筐体21と、空間A1内での制御油の流通状態を切り替える切替部24と、を備えている。
【0030】
並列配置された二つのメカニカルトリップ装置20は、供給配管91が分岐して繋がれており、同じ制御油の供給源から制御油が供給される。並列配置された二つのメカニカルトリップ装置20は、調整弁10に繋がる調整弁連通管92が分岐して繋がっており、緊急停止時に同じ調整弁10へ制御油を供給する。並列配置された二つのメカニカルトリップ装置20は、塞止弁30に繋がる一つの塞止弁連通管93に分岐して繋がっており、同じ塞止弁30へ制御油を供給する。メカニカルトリップ装置20は、外部から操作可能なように、蒸気タービン1の外部に独立して配置されている。
【0031】
筐体21は、軸線O1を中心として矩形筒状をなして延びている。本実施形態の筐体21は、内部の空間A1に制御油を流入する複数の流入口22と、空間A1から制御油を流出する複数の流出口23と、が形成されている。
【0032】
流入口22は、軸線O1を挟んで筐体21の片方の壁部を貫通して二つ形成されている。本実施形態の流入口22は、供給配管91が分岐して接続される第一流入口221と、第一流入口221に繋がる供給配管91がさらに分岐して接続される第二流入口222とを有する。
【0033】
第一流入口221は、筐体21の中心付近に形成されている。
第二流入口222は、接続されている供給配管91に、内部を流れる制御油の流量を一定量に制限する供給側オリフィスOR1が配置されている。第二流入口222は、筐体21の端部付近に形成されている。
【0034】
ここで、筐体21において、第一流入口221に対して、第二流入口222が形成されていない側の端部を第一端部E1とし、第二流入口222が形成されている側の端部を第二端部E2とする。
【0035】
複数の流出口23は、筐体21の軸線O1を挟んで流入口22が形成されている壁部と向かい合う壁部に貫通して形成されている。本実施形態の流出口23は、第一流出口231と、第二流出口232と、第一排出口233と、第二排出口234と、第三排出口235と、試験流出口236とを有する。
【0036】
第一流出口231は、塞止弁30に繋がる塞止弁連通管93に接続されている。第一流出口231に繋がる塞止弁連通管93には、緊急遮断装置の作動試験を実施するために、内部を流れる制御油の切り替えを行うための第一流出弁V1が設けられている。第一流出口231は、通常運転時に第一流入口221から空間A1に流入した制御油を塞止弁連通管93に流出させると共に、緊急停止時に塞止弁連通管93から流れてきた制御油を空間A1に逆流させる。第一流出口231は、筐体21の中心付近であって、第一流入口221よりも軸線方向の第二端部E2側にずれた位置に形成されている。
第一流出弁V1は、通常運転時には開放されており、緊急遮断装置の作動試験実施等の必要に応じて手動で閉塞されることで開閉状態を変更可能とされている。
【0037】
第二流出口232は、調整弁10に繋がる調整弁連通管92に接続されている。第二流出口232に繋がる調整弁連通管92には、緊急遮断装置の作動試験を実施するために、内部を流れる制御油の切り替えを行うための第二流出弁V2が設けられている。第二流出口232は、緊急停止時に第一流入口221から空間A1に流入した制御油を調整弁連通管92に流出させる。第二流出口232は、筐体21の中心付近であって、第一流入口221を挟んで第一流出口231とは軸線方向の反対側である第一端部E1側にずれた位置に形成されている。
第二流出弁V2は、通常運転時には開放されており、緊急遮断装置の作動試験実施等の必要に応じて手動で閉塞されることで開閉状態を変更可能とされている。
【0038】
第一排出口233は、緊急遮断システム2の外部に制御油を排出する筐体排出管94に接続されている。第一排出口233は、通常運転時は制御油が流通せずに、緊急停止時に第一流出口231から空間A1に逆流した制御油を筐体排出管94に排出する。第一排出口233は、筐体21の中心付近であって、軸線方向の位置が第一流出口231よりも第二端部E2側に形成されている。
【0039】
第二排出口234は、第一排出口233と同様に、外部に制御油を排出する筐体排出管94に接続されている。第二排出口234は、通常運転時、緊急停止時に制御油が流通しない。第二排出口234は、切替部24から漏れ出た制御油を排出する。第二排出口234は、筐体21の中心付近であって、軸線方向の位置が第二流出口232よりも第一端部E1側に形成されている。
【0040】
第三排出口235は、切替部24を動作させるために、緊急停止時に筐体21内の制御油を排出するトリップ流出配管95に接続されている。第三排出口235は、通常運転時に制御油が流通しておらず、緊急停止時に空間A1から制御油トリップ流出配管95に排出する。第三排出口235は、軸線方向の位置が第一排出口233よりも第二端部E2側であって、第二流入口222と対向する位置に形成されている。
【0041】
トリップ流出配管95は、マニュアルバルブ(手動トリップ装置)V3が設けられた手動トリップ流出配管951と、ソレノイドバルブV4が設けられた自動トリップ流出配管952とに下流側に分岐している。
マニュアルバルブ(手動トリップ装置)V3及びソレノイドバルブV4は、通常運転時には閉塞されており、緊急停止時にマニュアルバルブ(手動トリップ装置)V3及びソレノイドバルブV4の少なくとも一方が開放されることで、トリップ流出配管95内に制御油を流通させる。
【0042】
試験流出口236は、動作試験を行う際に、制御油の流通状態を確認するための試験用流出配管96に接続されている。試験流出口236は、動作試験を行う際に、切替部24によって開閉状態が切り替えられる。本実施形態の試験流出口236は、通常運転時に開放されて空間A1に流入した制御油を排出可能とされ、動作試験時に閉塞されて制御油が流通しないようにされている。試験流出口236は、第一排出口233よりも第二端部E2側で、第三排出口235と第一排出口233とに挟まれた位置に形成されている。
【0043】
試験用流出配管96は、制御油の緊急遮断装置のパーシャルストローク試験時に使用される試験用弁V5が設けられている。
試験用弁V5は、通常運転時には閉塞されており、動作試験時に開放されることで、試験用流出配管96内に制御油を排出させる。
【0044】
切替部24は、空間A1を形成する筐体21の内周面に摺動して複数の流出口23との相対位置が変化することで、空間A1内での制御油の流通状態を切り替える。本実施形態の切替部24は、軸線方向に伸びる軸部241と、軸部241を軸線方向に付勢する付勢部242と、軸部241に固定された複数の仕切部243と、空間A1内での仕切部243の位置を定める位置決め部244とを有する。
【0045】
軸部241は、筐体21の中心軸である軸線O1を中心に円柱状をなして延在している。軸部241は、空間A1内で軸線方向に移動可能な長さで形成されている。
付勢部242は、軸部241を軸線方向の第一端部E1から第二端部E2に向かって付勢している。付勢部242は、筐体21の空間A1を形成する内周面のうちの第一端部E1側の内周面と、軸部241の第一端部E1側の端面と、に固定されている。付勢部242としては、例えば、コイル状バネが用いられる。
【0046】
仕切部243は、筐体21の内周面に対して全周が接触するように形成されている。つまり、仕切部243は、空間A1を複数に区画している。仕切部243は、軸部241と共に軸線方向に移動する。本実施形態の仕切部243は、軸線方向と直交する断面が筐体21の内周面と摺接するような矩形状をなし、内部に軸部241が挿通して固定されている。本実施形態の仕切部243は、軸線方向の第二端部E2側から、第一仕切部243a、第二仕切部243b、第三仕切部243c、第四仕切部243dの順に四つ設けられている。
【0047】
第一仕切部243aは、第二端部E2側の軸部241の端面に固定されている。第一仕切部243aは、通常運転時に試験流出口236と第一排出口233との間に配置されている。第一仕切部243aは、緊急停止時に第三排出口235と試験流出口236との間に配置されている。第一仕切部243aは、動作試験時に試験流出口236上に配置されて、試験流出口236を閉塞する。
【0048】
第二仕切部243bは、第一仕切部243aよりも第一端部E1側で、軸部241に固定されている。第二仕切部243bは、通常運転時に第一排出口233と第一流出口231との間に配置されている。第二仕切部243bは、緊急停止時に試験流出口236と第一排出口233との間に配置されている。第二仕切部243bは、動作試験時に、通常運転時とは僅かにずれた状態で第一排出口233と第一流出口231との間に配置されている。
【0049】
第三仕切部243cは、第二仕切部243bよりも第一端部E1側で軸部241に固定されている。第三仕切部243cは、通常運転時に第一流入口221と第二流出口232との間に配置されている。第三仕切部243cは、緊急停止時に第一流出口231と第一流入口221との間に配置されている。第三仕切部243cは、動作試験時に、通常運転時とは僅かにずれた状態で第一流入口221と第二流出口232との間に配置されている。
【0050】
第四仕切部243dは、第三仕切部243cよりも第一端部E1側であって、軸部241の第一端部E1側の端面よりも第二端部E2側で軸部241に固定されている。第四仕切部243dは、通常運転時に第二排出口234よりも第一端部E1側に配置されている。第四仕切部243dは、緊急停止時に第二流出口232と第二排出口234との間に配置されている。第四仕切部243dは、動作試験時に、通常運転時とは僅かにずれた状態で第二排出口234よりも第一端部E1側に配置されている。
【0051】
位置決め部244は、空間A1での軸部241の移動を規制する。本実施形態の位置決め部244は、軸部241の第一端部E1側への移動を規制する第一位置決め部244bと、軸部241の第二端部E2側への移動を規制する第二位置決め部244aと、を有する。
【0052】
第一位置決め部244bは、試験流出口236と第一排出口233との間で、筐体21の内周面から内側に突出して形成されている。本実施形態の第一位置決め部244bは、第一仕切部243aの第一端部E1側を向く面と接触することで、軸部241の第一端部E1側への軸線方向の移動を規制する。第一位置決め部244bは、通常運転時に第一仕切部243aが試験流出口236を閉塞しない位置に配置されるように形成されている。
【0053】
第二位置決め部244aは、第三排出口235と試験流出口236との間で、筐体21の内周面から内側に突出して形成されている。本実施形態の第二位置決め部244aは、第一仕切部243aの第二端部E2側を向く面と接触することで、軸部241の第二端部E2側への軸線方向の移動を規制する。第二位置決め部244aは、緊急停止時に第一仕切部243aが第三排出口235及び第二流入口222を閉塞しない位置に配置されるように形成されている。
【0054】
切替部24は、上記のように軸部241の移動に伴って、空間A1を複数に区分けする仕切部243を軸線方向に移動させることで、空間A1内での制御油の流通状態を切り替える。本実施形態では、
図2に示すように、通常運転時の流通状態であって、第一流入口221から第一流出口231まで制御油を流通させる流通状態を第一流通状態とする。
図3に示すように、緊急停止時の流通状態であって、第一流入口221から第二流出口232まで制御油を流通させ、第一流出口231から逆流した制御油を第一排出口233まで流通させる流通状態を第二流通状態とする。
図4に示すように、動作試験時の流通状態であって、第一流入口221から第一流出口231まで制御油を流通させながら、試験流出口236の開閉状態が切り替えられた流通状態を第三流通状態とする。
【0055】
塞止弁30は、メカニカルトリップ装置20からの制御油の供給が停止または逆流されることで蒸気タービン1への蒸気Sを遮断する。塞止弁30は、通常運転時に制御油が供給されることで、蒸気タービン1への蒸気Sの供給を可能とする開状態にされる。逆に、塞止弁30は、緊急停止時に制御油が排出されることで、蒸気タービン1への蒸気Sの供給を停止する閉状態とされる。本実施形態の塞止弁30は、
図1に示すように、内部に制御油を流通させる塞止弁連通管93を介してメカニカルトリップ装置20に接続されている。
図5に示すように、本実施形態の塞止弁30は、塞止弁本体31と、塞止弁本体31への制御油の供給を調整する複数のTTVトリップ装置40とを有する。
【0056】
塞止弁本体31は、内部に制御油が満たされることで蒸気タービン1への蒸気Sの供給を遮断する弁(不図示)を開放し、制御油が排出されることで蒸気タービン1への蒸気Sの供給を遮断する弁を閉塞する。本実施形態の塞止弁本体31は、塞止弁本体31の油筒内部の空間である貯蔵室311と、貯蔵室311に制御油を流入させる塞止弁流入口312と、貯蔵室311を仕切るように配置されて貯蔵室311内を摺動する弁体313と、貯蔵室311から制御油を排出させる塞止弁排出口314とを有している。
【0057】
貯蔵室311は、供給された制御油が溜まるように塞止弁本体31の油筒内部に形成される。
塞止弁流入口312は、貯蔵室311を挟み込むように二カ所形成されている。二つの塞止弁流入口312は、それぞれ別のTTVトリップ装置40と接続されている。
【0058】
弁体313は、貯蔵室311を区画した状態で、貯蔵室311内で摺動可能とされている。弁体313は、貯蔵室311に制御油が溜まると徐々に貯蔵室311内を摺動しながら上昇する。弁体313は、貯蔵室311に所定量の制御油が溜まることで、蒸気タービン1への蒸気Sの供給するよう蒸気タービン1の上流側にも設けられた弁を動かす。弁体313は、所定量以上の制御油を貯蔵室311に溜まると、内部に形成された流通孔313aから弁体313の下方から上方に制御油を流通させる。
【0059】
塞止弁排出口314は、貯蔵室311の弁体313よりも上方のスペースに連通している。塞止弁排出口314は、塞止弁排出管99に接続されている。塞止弁排出口314は、弁体313の流通孔313aを介して貯蔵室311の下方から上方に流通してきた制御油を塞止弁本体31の外部へ塞止弁排出管99から排出する。塞止弁排出管99は、後述するTTVトリップ装置40の筐体排出管94に接続されており、内部を流通する制御油を緊急遮断システム2の外部に排出する。
【0060】
TTVトリップ装置40は、塞止弁本体31の油筒内部から制御油を緊急排出するように、塞止弁本体31への制御油の流通を調整する緊急遮断装置である。本実施形態のTTVトリップ装置40は、
図1に示すように、一つの塞止弁本体31に対して並列して二つ配置されている。
図5に示すように、TTVトリップ装置40は、内部に設けられたTTV空間A2に制御油を流入するTTV筐体41と、TTV空間A2内での制御油の流通状態を切り替えるTTV切替部44と、を備えている。
【0061】
並列配置された二つのTTVトリップ装置40は、塞止弁連通管93が分岐して繋がれており、二つのメカニカルトリップ装置20からまとめて供給された制御油が再び分かれて供給される。並列配置された二つのTTVトリップ装置40は、それぞれ別の内部連通管97に繋がれて異なる塞止弁流入口312に接続されており、貯蔵室311内へ制御油を供給する。TTVトリップ装置40は、外部から操作可能なように、蒸気タービン1の外部に独立して配置されている。
【0062】
TTV筐体41は、軸線O2を中心として矩形筒状をなして延びている。TTV筐体41は、TTV空間A2に制御油を流入する複数のTTV流入口42と、TTV空間A2から制御油を流出する複数のTTV流出口43と、が形成されている。
【0063】
TTV流入口42は、軸線O2を挟んでTTV筐体41の片方の壁部に二つ形成されている。本実施形態のTTV流入口42は、塞止弁連通管93が接続されるTTV第一流入口421と、TTV第一流入口421に繋がる塞止弁連通管93が分岐して接続されるTTV第二流入口422とを有する。
【0064】
TTV第一流入口421は、接続されている塞止弁連通管93に、内部を流れる制御油の流量を一定量に制限するTTV供給側オリフィスOR2が配置されている。TTV第一流入口421は、TTV筐体41の中心付近に形成されている。
TTV第二流入口422は、TTV筐体41の端部付近に形成されている。
【0065】
ここで、TTV筐体41において、TTV第一流入口421に対して、TTV第二流入口422が形成されていない側の端部をTTV第一端部E3とし、TTV第二流入口422が形成されている側の端部をTTV第二端部E4とする。
【0066】
複数のTTV流出口43は、TTV筐体41の軸線O2を挟んでTTV流入口42が形成されている壁部と向かい合う壁部に形成されている。本実施形態のTTV流出口43は、TTV第一流出口431と、TTV第二流出口432と、TTV排出口433と、TTV試験流出口434とを有する。
【0067】
TTV第一流出口431は、塞止弁流入口312を介して貯蔵室311に連通する内部連通管97に接続されている。TTV第一流出口431に繋がる内部連通管97には、TTV第一流出弁V6が設けられている。TTV第一流出口431は、通常運転時にTTV第一流入口421からTTV空間A2に流入した制御油を流出させると共に、緊急停止時に内部連通管97から流れてきた制御油をTTV空間A2に逆流させる。TTV第一流出口431は、TTV筐体41の中心付近であって、TTV第一流入口421よりも軸線方向のTTV第二端部E4側にずれた位置に形成されている。
TTV第一流出弁V6は、通常運転時には開放されており、TTVトリップ装置40の作動試験等の必要に応じて手動で閉塞されることで開閉状態を変更可能とされている。
【0068】
TTV第二流出口432は、筐体排出管94に接続されている。TTV第二流出口432は、通常運転時は制御油が流通せずに、緊急停止時にTTV空間A2の制御油を流出させる。TTV第二流出口432は、TTV筐体41の中心付近であって、TTV第一流入口421を挟んでTTV第一流出口431とは軸線方向の反対側であるTTV第一端部E3側にずれた位置に形成されている。
【0069】
TTV排出口433は、筐体排出管94に接続されている。TTV排出口433は、通常運転時は制御油が流通せずに、緊急停止時にTTV第一流出口431からTTV空間A2に逆流した制御油を排出する。TTV排出口433は、TTV筐体41の中心付近であって、軸線方向の位置がTTV第一流入口421よりもTTV第二端部E4側に形成されている。
【0070】
TTV試験流出口434は、動作試験を行う際に、制御油の流通状態を確認するためのTTV試験用流出配管98に接続されている。TTV試験流出口434は、動作試験を行う際に、TTV切替部44によって開閉状態が切り替えられる。本実施形態のTTV試験流出口434は、動作試験前の通常運転時に開放されてTTV空間A2に流入した制御油を排出可能とされ、動作試験時に閉塞されて制御油が流通しないようにされている。TTV試験流出口434は、TTV排出口433よりTTV第二端部E4側に形成されている。
【0071】
TTV試験用流出配管98は、制御油のTTV試験用弁V7が設けられている。TTV試験用弁V7は、通常運転時には閉塞されており、動作試験時に開放されることで、TTV試験用流出配管98内に制御油を流通させている。
【0072】
TTV切替部44は、TTV空間A2を形成するTTV筐体41の内周面に摺動して複数の流出口23との相対位置が変化することで、TTV空間A2内での制御油の流通状態を切り替える。本実施形態のTTV切替部44は、軸線方向に伸びるTTV軸部441と、TTV軸部441を軸線方向に付勢するTTV付勢部442と、TTV軸部441に固定された複数のTTV仕切部443と、TTV空間A2内でのTTV仕切部443の位置を定めるTTV位置決め部444とを有する。
【0073】
TTV軸部441は、TTV筐体41の中心軸である軸線O2を中心に円柱状をなして延在している。TTV軸部441は、TTV空間A2内で軸線方向に移動可能な長さで形成されている。
TTV付勢部442は、TTV軸部441を軸線方向のTTV第一端部E3からTTV第二端部E4に向かって付勢している。TTV付勢部442は、TTV筐体41のTTV空間A2を形成する内周面のうちのTTV第一端部E3側の内周面と、TTV軸部441のTTV第一端部E3側の端面と、に固定されている。TTV付勢部442としては、例えば、コイル状バネが用いられる。
【0074】
TTV仕切部443は、TTV筐体41の内周面に対して全周が接触するように形成されている。つまり、TTV仕切部443は、TTV空間A2を複数に区画している。TTV仕切部443は、TTV軸部441と共に軸線方向に移動する。本実施形態のTTV仕切部443は、軸線方向と直交する断面がTTV筐体41の内周面と摺接するような矩形状をなし、内部にTTV軸部441が挿通して固定されている。本実施形態のTTV仕切部443は、軸線方向のTTV第二端部E4側から、TTV第一仕切部443a、TTV第二仕切部443b、TTV第三仕切部443cの順に四つ設けられている。
【0075】
TTV第一仕切部443aは、TTV第二端部E4側のTTV軸部441の端面に固定されている。TTV第一仕切部443aは、通常運転時にTTV試験流出口434とTTV排出口433との間に配置されている。TTV第一仕切部443aは、緊急停止時にTTV試験流出口434よりもTTV第二端部E4側に配置されている。TTV第一仕切部443aは、動作試験時にTTV試験流出口434上に配置されて、TTV試験流出口434を閉塞する。
【0076】
TTV第二仕切部443bは、TTV第一仕切部443aよりもTTV第一端部E3側でTTV軸部441に固定されている。TTV第二仕切部443bは、通常運転時にTTV排出口433とTTV第一流出口431との間に配置されている。TTV第二仕切部443bは、緊急停止時にTTV試験流出口434とTTV排出口433との間に配置されている。TTV第二仕切部443bは、動作試験時に、通常運転時とは僅かにずれた状態でTTV排出口433とTTV第一流出口431との間に配置されている。
【0077】
TTV第三仕切部443cは、TTV第二仕切部443bよりもTTV第一端部E3側であって、TTV軸部441のTTV第一端部E3側の端面よりもTTV第二端部E4側でTTV軸部441に固定されている。TTV第三仕切部443cは、通常運転時にTTV第一流入口421とTTV第二流出口432との間に配置されている。TTV第三仕切部443cは、緊急停止時にTTV第一流出口431とTTV第一流入口421との間に配置されている。TTV第三仕切部443cは、動作試験時に、通常運転時とは僅かにずれた状態でTTV第一流入口421とTTV第二流出口432との間に配置されている。
【0078】
TTV位置決め部444は、TTV空間A2でのTTV軸部441の移動を規制する。本実施形態のTTV位置決め部444は、TTV軸部441のTTV第二端部E4側への移動を規制する。TTV位置決め部444は、TTV第二流入口422とTTV試験流出口434との間で、筐体21の内周面から内側に突出して形成されている。本実施形態のTTV位置決め部444は、TTV第一仕切部443aのTTV第二端部E4側を向く面と接触することで、TTV軸部441のTTV第一端部E3側への軸線方向の移動を規制する。TTV位置決め部444は、緊急停止時にTTV第一仕切部443aがTTV第二流入口422を閉塞しない位置に配置されるように形成されている。
【0079】
TTV切替部44は、上記のようにTTV軸部441の移動に伴ってTTV仕切部443を軸線方向に移動させることで、TTV空間A2内での制御油の流通状態を切り替える。本実施形態では、
図5に示すように、通常運転時の流通状態であって、TTV第一流入口421からTTV第一流出口431まで制御油を流通させる流通状態をTTV第一流通状態とする。
図6に示すように、緊急停止時の流通状態であって、TTV第一流入口421からTTV第二流出口432まで制御油を流通させ、TTV第一流出口431から逆流した制御油をTTV排出口433まで流通させる流通状態を第二流通状態とする。
図7に示すように、動作試験時の流通状態であって、TTV第一流入口421からTTV第一流出口431まで制御油を流通させながら、TTV試験流出口434の開閉状態が切り替えられた流通状態を第三流通状態とする。
【0080】
次に、上記構成の緊急遮断システム2の動作について説明する。
上記のような緊急遮断システム2では、通常運転時に、蒸気タービン1への蒸気Sの供給を可能する開状態とするために、供給源から供給配管91を介して制御油は、調整弁10及びメカニカルトリップ装置20に供給される。
【0081】
調整弁10は、制御油が供給されることで、弁開度が調整されて蒸気タービン1に蒸気Sを供給する。
【0082】
メカニカルトリップ装置20では、通常運転時であるために、空間A1内での制御油の流通状態が切替部24によって第一流通状態に切り替えられている。つまり、
図2に示すように、通常運転時のメカニカルトリップ装置20では、第一流通状態として、第一仕切部243aが第一排出口233と試験流出口236との間に配置され、第二仕切部243bが第一排出口233と第一流出口231との間に配置され、第三仕切部243cが第一流入口221と第二流出口232との間に配置され、第四仕切部243dが第二排出口234よりも第一端部E1側に配置されている。
【0083】
また、供給配管91からメカニカルトリップ装置20に供給された制御油は、第一流入口221から空間A1内に流入する。第一流入口221から空間A1に流入した制御油は、第一流出口231から塞止弁連通管93に送られる。第一流出弁V1が通常運転時には開放されているために、塞止弁連通管93に流入した制御油は塞止弁30に送られる。
【0084】
また、供給配管91からメカニカルトリップ装置20に供給された制御油は、供給側オリフィスOR1によって流量が制限されながら、第二流入口222からも空間A1内に流入する。第二流入口222から空間A1に流入した制御油は、第三排出口235からトリップ流出配管95に流れるとともに、試験流出口236から試験用流出配管96に流れる。ここで、通常運転時には、マニュアルバルブ(手動トリップ装置)V3及びソレノイドバルブV4が閉塞されているために、トリップ流出配管95内で制御油は流通しない。同様に、通常運転時には、試験用弁V5が閉塞されているために、試験用流出配管96内で制御油は流通しない。その結果、第二流入口222と、第三排出口235及び試験流出口236との間の空間A1に制御油が滞留する。滞留した制御油は、第一仕切部243aを軸線方向の第一端部E1側に向かって付勢部242の付勢力に抗して押すことで、通常運転時の軸部241の位置が第一流通状態を保つように保持される。
【0085】
塞止弁連通管93から塞止弁30に流入した制御油は、TTVトリップ装置40を介して内部連通管97から塞止弁本体31に供給される。
TTVトリップ装置40では、通常運転時であるために、TTV空間A2内での制御油の流通状態がTTV切替部44によってTTV第一流通状態に切り替えられている。つまり、
図5に示すように、通常運転時のTTVトリップ装置40では、TTV第一流通状態として、TTV第一仕切部443aがTTV試験流出口434とTTV排出口433との間に配置され、TTV第二仕切部443bがTTV排出口433とTTV第一流出口431との間に配置され、TTV第三仕切部443cがTTV第一流入口421とTTV第二流出口432との間に配置されている。
【0086】
したがって、塞止弁連通管93からTTVトリップ装置40に供給された制御油は、TTV供給側オリフィスOR2によって流量が制限されながら、TTV第一流入口421からTTV空間A2内に流入する。TTV第一流入口421からTTV空間A2に流入した制御油は、TTV第一流出口431から内部連通管97に送られる。TTV第一流出弁V6が通常運転時には開放されているために、内部連通管97に流入した制御油は塞止弁本体31に送られる。
【0087】
塞止弁本体31に供給された制御油は、塞止弁流入口312から貯蔵室311に流入する。貯蔵室311では、所定量の制御油が溜まることで弁体313が上昇することで、塞止弁30を開状態とし、蒸気タービン1への蒸気Sの供給を可能としている。弁体313が上昇した後に、貯蔵室311に流入した制御油は弁体313の下方から上方に向かって流入孔を介して流通する。これにより、所定量を超える制御油は、塞止弁排出口314から塞止弁本体31の外部に排出される。塞止弁排出口314から排出された制御油は、塞止弁排出管99から筐体排出管94を介して緊急遮断システム2の外部に排出される。
【0088】
また、塞止弁連通管93からTTVトリップ装置40に供給された制御油は、TTV第二流入口422からもTTV空間A2内に流入する。TTV第二流入口422からTTV空間A2に流入した制御油は、TTV試験流出口434からTTV試験用流出配管98に流れる。ここで、通常運転時には、TTV試験用弁V7が閉塞されているために、TTV試験用流出配管98内で制御油は流通しない。その結果、TTV第二流入口422と、TTV試験流出口434との間のTTV空間A2に制御油が滞留する。滞留した制御油は、TTV第一仕切部443aを軸線方向のTTV第一端部E3側に向かって、TTV付勢部442の付勢力に抗して押すことで、通常運転時のTTV軸部441の位置がTTV第一流通状態を保つように保持される。
【0089】
また、本実施形態の緊急遮断システム2では、蒸気タービン1の軸振動過大等の異常が生じた際に蒸気タービン1を緊急停止させる緊急停止時に、塞止弁本体31内の制御油を排出して塞止弁30を閉状態とするために、貯蔵室311から制御油を排出する。
【0090】
具体的には、本実施形態の緊急遮断システム2では、緊急停止時にマニュアルバルブ(手動トリップ装置)V3及びソレノイドバルブV4の少なくとも一方を開放する。これにより、トリップ流出配管95内で制御油を流通し、第三排出口235から空間A1内の制御油が排出される。第二流入口222は、供給側オリフィスOR1によって供給配管91から流入する制御油の流量が制限されているため、第三排出口235から排出される制御油の流量が流入する流量を上回る。そのため、第一仕切部243aよりも第二端部E2側の空間A1内の制御油の量が減少する。したがって、
図3に示すように、第一仕切部243aを軸線方向の第一端部E1側に向かって押す力が小さくなり、付勢部242の付勢力によって軸部241が第一仕切部243aを第二位置決め部244aに接触する位置まで移動する。その結果、メカニカルトリップ装置20では、空間A1内での制御油の流通状態が第一流通状態から第二流通状態に切り替わる。
【0091】
第二流通状態に切り替わることで、緊急停止時のメカニカルトリップ装置20では、第一仕切部243aが第三排出口235と試験流出口236との間に配置され、第二仕切部243bが試験流出口236と第一排出口233との間に配置され、第三仕切部243cが第一流出口231と第一流入口221との間に配置され、第四仕切部243dが第二流出口232と第二排出口234との間に配置される。
【0092】
第二流通状態において、第一流入口221から空間A1内に流入した制御油は、第二流出口232から調整弁連通管92に送られる。したがって、調整弁10には、供給配管91を介して供給源から直接供給される制御油と、調整弁連通管92を介してメカニカルトリップ装置20から供給される制御油が流入する。調整弁10は、調整弁連通管92を介し、流入する制御油が調整弁10の油筒の閉方向に導かれて閉塞され、蒸気タービン1への蒸気Sの供給を停止する。
【0093】
同時に、第二流通状態において、空間A1において第一流出口231と第一排出口233とが連通する。これにより、塞止弁連通管93を流通する制御油が逆流して第一流出口231から空間A1内に流入し、第一排出口233から筐体排出管94を介して外部に排出される。
【0094】
塞止弁連通管93を流通する制御油が逆流することで、TTVトリップ装置40のTTV第一仕切部443aよりもTTV第二端部E4側のTTV空間A2内の制御油は、TTV第二流入口422から塞止弁連通管93に流出する。これにより、TTV空間A2内のTTV第二端部E4側の内周面とTTV第一仕切部443aとの間のTTV空間A2内の制御油の量が減少する。したがって、
図6に示すように、TTV第一仕切部443aを軸線方向のTTV第一端部E3側に向かって押す力が小さくなり、TTV付勢部442の付勢力によってTTV軸部441がTTV第一仕切部443aをTTV位置決め部444に接触する位置まで移動する。その結果、TTVトリップ装置40では、TTV空間A2内での制御油の流通状態がTTV第一流通状態からTTV第二流通状態に切り替わる。
【0095】
TTV第二流通状態に切り替わることで、緊急停止時のTTVトリップ装置40では、TTV第一仕切部443aがTTV試験流出口434よりもTTV第二端部E4側に配置され、TTV第二仕切部443bがTTV試験流出口434とTTV排出口433との間に配置され、TTV第三仕切部443cがTTV第一流出口431とTTV第一流入口421との間に配置される。
【0096】
TTV第一流入口421は、TTV供給側オリフィスOR2を介して塞止弁連通管93に接続されている。そのため、TTV第二流通状態において、TTV第三仕切部443cよりもTTV第一端部E3側のTTV空間A2内の制御油は、TTV第一流入口421ではなく、TTV第二流出口432から筐体排出管94を介して外部に排出される。
【0097】
同時に、TTV第二流通状態において、TTV第一流出口431とTTV排出口433とが連通する。これにより、内部連通管97を流通する制御油が逆流してTTV第一流出口431からTTV空間A2内に流入し、TTV排出口433から筐体排出管94を介して外部に排出される。さらに、内部連通管97を流通する制御油が逆流することで、塞止弁本体31の貯蔵室311に溜まっていた制御油は、塞止弁流入口312から内部連通管97に流出する。塞止弁流入口312から内部連通管97に流出した制御油も、TTV排出口433から筐体排出管94を介して外部に排出される。その結果、貯蔵室311内の制御油が排出されて弁体313が下方に移動する。これにより、塞止弁30は、閉状態となり、蒸気タービン1への蒸気Sの供給を遮断する。
【0098】
また、本実施形態の緊急遮断システム2では、通常運転時に定期的にメカニカルトリップ装置20やTTVトリップ装置40に対して切替部24やTTV切替部44が正しく動作するか否かを確認するための動作試験が実施される。
【0099】
メカニカルトリップ装置20で、動作試験を実施する際には、通常運転時に、緊急遮断装置のパーシャルストローク試験時に使用される試験用弁V5を開放させる。試験用弁V5が開放されることで、試験用流出配管96内では、制御油が流通可能となる。その結果、
図2に示すように、第一流通状態となっている場合には、空間A1から試験流出口236を介して制御油を流出する。これにより、第一流通状態の位置に第一仕切部243aの位置があることを動作試験の開始前に予め確認する。
【0100】
この状態で、メカニカルトリップ装置20では、動作試験のために、空間A1内での制御油の流通状態を切替部24によって第一流通状態から第三流通状態に切り替える。これにより、
図4に示すように、メカニカルトリップ装置20では、第三流通状態として、第一仕切部243aが試験流出口236上に配置され、第二仕切部243bが第一排出口233と第一流出口231との間に配置され、第三仕切部243cが第一流入口221と第二流出口232との間に配置され、第四仕切部243dが第二排出口234よりも第一端部E1側に配置される。
【0101】
軸部241が正常に移動して第一仕切部243aが試験流出口236を閉塞する位置に移動すると、試験用流出配管96からの制御油の流出が減少する。逆に、軸部241が移動せずに第一仕切部243aが試験流出口236を閉塞する位置まで移動していないと、試験用流出配管96から制御油が流出し続ける。したがって、試験用流出配管96からの制御油の流出が減少するか否かにより、切替部24が正常に動作して、第一流通状態から第三流通状態への切り替えを行うことができるか否かを判断することができる。
【0102】
TTVトリップ装置40で、動作試験を実施する際には、通常運転時に、TTV試験用弁V7を開放させる。TTV試験用弁V7が開放されることで、TTV試験用流出配管98内では、制御油が流通可能となる。その結果、
図5に示し様に、TTV第一流通状態となっている場合には、TTV空間A2からTTV試験流出口434を介して制御油を流出する。これにより、TTV第一流通状態の位置にTTV第一仕切部443aの位置があることを動作試験の開始前に予め確認する。
【0103】
この状態で、TTVトリップ装置40では、動作試験のために、TTV空間A2内での制御油の流通状態をTTV切替部44によってTTV第一流通状態からTTV第三流通状態に切り替える。これにより、
図7に示すように、TTVトリップ装置40では、TTV第三流通状態として、TTV第一仕切部443aが試験流出口236上に配置され、TTV第二仕切部443bがTTV排出口433とTTV第一流出口431との間に配置され、TTV第三仕切部443cがTTV第一流入口421とTTV第二流出口432との間に配置される。
【0104】
TTV軸部441が正常に移動してTTV第一仕切部443aがTTV試験流出口434を閉塞する位置に移動すると、TTV試験用流出配管98からの制御油の流出が減少する。逆に、TTV軸部441が移動せずにTTV第一仕切部443aがTTV試験流出口434を閉塞する位置まで移動していないと、TTV試験用流出配管98から制御油が流出し続ける。したがって、TTV試験用流出配管98からの制御油の流出が減少するか否かにより、TTV切替部44が正常に動作して、TTV第一流通状態からTTV第三流通状態への切り替えを行うことができるか否かを判断することができる。
【0105】
上記のようなメカニカルトリップ装置20によれば、動作試験を行う際に、切替部24によって第一流通状態から第三流通状態に切り替えることで、開放された試験流出口236を閉塞して開閉状態に切り替えることができる。筐体21内では、第一流通状態から第三流通状態に切り替えても、第一流入口221から第一流出口231まで制御油が流通しているため、空間A1内での制御油の流通状態を維持することができる。したがって、蒸気タービン1を停止させることなく、通常運転時の流通状態を維持しながら動作試験を容易に実施することができる。
【0106】
同様に、TTVトリップ装置40によれば、動作試験を行う際に、TTV第一流通状態からTTV第三流通状態に切り替えても、TTV筐体41内では、TTV第一流入口421からTTV第一流出口431で制御油が流通しているため、TTV空間A2内での制御油の流通状態を維持することができる。したがって、蒸気タービン1を停止させることなく、通常運転時の流通状態を維持しながら容易に動作試験を実施することができる。
【0107】
また、第一流出口231を塞止弁30に繋がる塞止弁連通管93に接続し、第二流出口232を調整弁10に繋がる調整弁連通管92に接続することで、蒸気タービン1を緊急停止させる際に塞止弁30や調整弁10を緊急遮断させる緊急遮断装置であるメカニカルトリップ装置20として用いることができる。本実施形態のメカニカルトリップ装置20では、通常運転時の流通状態を維持しながら動作試験を容易に実施できることで、筐体21に対して軸部241や仕切部243が固着してしまうことを抑制できる。これにより、メカニカルトリップ装置20としての緊急停止時の動作の信頼性の向上させることができる。
【0108】
また、TTV第一流出口431を貯蔵室311に連通する内部連通管97に接続し、TTV第二流出口432を筐体排出管94に接続することで、貯蔵室311から緊急排出する緊急遮断装置であるTTVトリップ装置40として用いることができる。本実施形態のTTVトリップ装置40では、通常運転時の流通状態を維持しながら動作試験を容易に実施できることで、TTV筐体41に対してTTV軸部441やTTV仕切部443が固着してしまうことを抑制できる。これにより、TTVトリップ装置40としての緊急停止時の動作の信頼性の向上させることができる。
【0109】
また、メカニカルトリップ装置20及びTTVトリップ装置40が蒸気タービン1の外部に独立して配置されていることで、動作試験を実施する際に、軸部241やTTV軸部441を蒸気タービン1の運転状況に関わらず、外部から操作して容易に移動させることができる。
【0110】
また、本実施形態の緊急遮断システム2では、筐体21に対して軸部241や仕切部243等で構成された切替部24を切り替えるだけの簡易な構造で形成されたメカニカルトリップ装置20によって、簡易に緊急遮断システム2を構成できる。同様に、緊急遮断システム2では、TTV筐体41に対してTTV軸部441やTTV仕切部443等で構成されたTTV切替部44を切り替えるだけの簡易な構造で形成されたTTVトリップ装置40によって、簡易に緊急遮断システム2を構成できる。
【0111】
また、メカニカルトリップ装置20やTTVトリップ装置40を並列して二つ配置していることで、冗長性を持たせることができる。そのため、いずれか一方のメカニカルトリップ装置20やTTVトリップ装置40が故障した場合であっても、第一流出弁V1や第二流出弁V2の開閉状態を切り替えることで、故障していない側のメカニカルトリップ装置20やTTVトリップ装置40を介して制御油を供給することができる。また、緊急時には故障していない緊急遮断装置を介してタービンをトリップさせることができる。これにより、緊急遮断システムの故障により蒸気タービン1を停止することなく、安定して蒸気タービン1を運転することができる。
【0112】
また、貯蔵室311に対して二つの塞止弁流入口312を設けて、並列して配置した二つのメカニカルトリップ装置20及びTTVトリップ装置40で、緊急停止時に制御油を排出させている。これにより、貯蔵室311に溜まった制御油を素早く排出することができ、蒸気タービン1を迅速に緊急停止させることができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0114】
なお、本実施形態では、メカニカルトリップ装置20やTTVトリップ装置40を並列して二つ配置したが、二つに限定されるものではない。例えば、三つ以上は配置されていてもよく、一つのみが配置されていてもよい。
【0115】
また、メカニカルトリップ装置20の筐体21やTTVトリップ装置40のTTV筐体41は、矩形筒状をなしていることに限定されるものではなく、他の形状であってもよい。例えば、筐体21やTTV筐体41は円筒状をなしていてもよい。