(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料ガス供給期間の閉タイミングとして、前記流出口開閉手段の開タイミングから所定の時間が経過したタイミングを当該閉タイミングとして定める、または、前記燃料ガス供給期間の閉タイミングとして、前記流出口開閉手段を開状態とした前記燃料ガスタンクの表面温度が予め定められた温度に低下したタイミングを当該閉タイミングとして定める請求項1又は2記載の燃料ガス供給システム。
前記燃料ガス供給制御手段が、前記複数の流出口開閉手段を、予め定められた順序に従って順次開状態とすることで、前記燃料ガス供給期間を異ならせる請求項1〜3の何れか一項記載の燃料ガス供給システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の燃料ガス供給システムにおいて、複数のLPガス容器から同時にLPガスを供給すると、LPガス容器内に貯蔵されている液化状態のLPガスが気化するために必要となる気化熱が、複数のLPガス容器の周囲から奪われることとなり、複数のLPガス容器の周囲の温度が低下し続けるので、LPガス容器内に液化状態でLPガスが残存しているにもかかわらず、液化状態のLPガスを気化してLPガスを供給することが困難となることを発明者らは見出した。
【0006】
図6(a)及び
図6(b)に、従来の燃料ガス供給システムにおける、LPガスを連続して供給する連続供給時間としての時間tと、LPガス容器の表面温度(表面温度)及び複数のLPガス容器内のLPガスの総残量(総残量)との関係を示す。従来の燃料ガス供給システムでは、複数のLPガス容器から連続してLPガスを供給すると、
図6(a)に示すように、複数のLPガス容器の周囲から気化熱が奪われる状態が継続するので、時間tが増加するに従って、LPガス容器の表面温度TRが低下し続ける。そうすると、LPガス容器の周囲から気化熱を奪うことができない状態となり、
図6(b)に示すように、複数のLPガス容器内のLPガスの総残量QRが残量レベルLで残存しているのにもかかわらず、液化状態で残存するLPガスを気化してLPガスを供給することができない状態となる。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、燃料ガスタンクの周囲の温度の低下を防止して、燃料ガスの供給量を比較的多く、燃料ガスの供給時間を比較的長くすることができる燃料ガス供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料ガス供給システムは、
同等の燃料ガスを液化状態で貯蔵する複数の燃料ガスタンクから
、当該燃料ガスタンクの周囲から奪う気化熱により気化した状態で供給される気化した燃料ガスを燃焼装置に供給する燃料ガス供給路を備え
、前記燃料ガスタンクが、液化状態の前記燃料ガスとしてLPガスを貯蔵するLPガスタンクである燃料ガス供給システムであって、
前記複数の燃料ガスタンクに関し、一の前記燃料ガスタンクから前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給期間と、他の一の前記燃料ガスタンクから前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給期間とを異ならせて前記燃料ガスの供給状態を制御する燃料ガス供給制御手段を備え、
前記複数の燃料ガスタンクの流出口を開閉する流出口開閉手段を複数備え、
前記燃料ガス供給期間が、前記流出口開閉手段の開タイミングから閉タイミングまでの期間であり、
前記燃料ガス供給制御手段が、前記複数の流出口開閉手段を、順次開状態とすることを繰り返す点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、一の燃料ガスタンクから燃料ガスを供給する燃料ガス供給期間と、他の一の燃料ガスタンクから燃料ガスを供給する燃料ガス供給期間とを異ならせて燃料ガスの供給状態を制御するので、一の燃料ガスタンクと他の一の燃料ガスタンクとにおいて、燃料ガス供給期間が異なる期間において、一の燃料ガスタンク又は他の一の燃料ガスタンクの一方からのみ燃料ガスが供給される。よって、燃料ガス供給期間が異なる期間において、液化状態で貯蔵される燃料ガスが気化される気化熱が、一の燃料ガスタンク及び他の一の燃料ガスタンクの両方によって複数の燃料ガスタンクの周囲から奪われることがなく、互いに近接して設けられた複数の燃料ガスタンクの周囲の温度が低下することを抑制することができる。これにより、燃料ガスタンク内に液化状態で貯蔵される燃料ガスを安定して気化することが可能となり、燃料ガスタンクからの燃料ガスの供給量を比較的多く、燃料ガスの供給時間を比較的長くすることができる。
また、一の燃料ガスタンクの流出口開閉手段の開タイミングから閉タイミングまでの期間と、他の一の燃料ガスタンクの流出口開閉手段の開タイミングから閉タイミングまでの期間とを異ならせて、一の燃料ガスタンク又は他の一の燃料ガスタンクのいずれかより燃料ガスが供給される状態とすることができ、一の燃料ガスタンク及び他の一の燃料ガスタンクにおいて同時に気化することを防止することができる。よって、液化状態で貯蔵される燃料ガスの気化熱が、一の燃料ガスタンク及び他の一の燃料ガスタンクによって複数の燃料ガスタンクの周囲から同時に奪われることを防止して、互いに近接して設けられた複数の燃料ガスタンクの周囲の温度が低下することを防止することができる。これにより、燃料ガスタンク内に液化状態で貯蔵される燃料ガスを安定して気化することが可能となり、燃料ガスタンクからの燃料ガスの供給を継続することができる。
【0010】
本発明に係る燃料ガス供給システムの更なる特徴構成は、
前記燃焼装置は、前記燃料ガスタンクに貯蔵される前記燃料ガスである予備燃料ガスとは異なる通常燃料ガスを燃料として運転される発電装置であり、
前記燃料ガス供給制御手段は、前記発電装置へ前記通常燃料ガスが供給されない場合に、前記発電装置への前記予備燃料ガスの供給を開始する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、発電装置へ通常燃料ガスが供給されない場合に、発電装置へ予備燃料ガスの供給が開始されるので、発電装置への通常燃料ガスの供給が途絶えた場合でも、発電装置に予備燃料ガスが供給されるので、発電装置を継続して運転することができる。
また、予備燃料ガスは、一の燃料ガスタンクから予備燃料ガスを供給する燃料ガス供給期間と、他の一の燃料ガスタンクから予備燃料ガスを供給する燃料ガス供給期間とを異ならせて、複数の燃料ガスタンクの周囲の温度が低下することを抑制する状態で供給されるので、燃料ガスタンク内に液化状態で貯蔵される予備燃料ガスを安定して気化することが可能となる。よって、発電装置を安定した状態で運転することができる
【0012】
本発明に係る燃料ガス供給システムの更なる特徴構成は、
前記燃料ガス供給期間の閉タイミングとして、前記流出口開閉手段の開タイミングから所定の時間が経過したタイミングを当該閉タイミングとして定める、または、前記燃料ガス供給期間の閉タイミングとして、前記流出口開閉手段を開状態とした前記燃料ガスタンクの表面温度が予め定められた温度に低下したタイミングを当該閉タイミングとして定める点にある。
【0014】
前記燃料ガス供給制御手段が、前記複数の流出口開閉手段を、予め定められた順序に従って順次開状態とすることで、前記燃料ガス供給期間を異ならせる点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、複数の燃料ガスタンクの夫々に設けられた複数の流出口開閉手段が、予め定められた順序に従って順次開状態とされるので、複数の燃料ガスタンクにおいて、燃料ガスの供給を開始する燃料ガスタンクの順番を予め定めることができ、その順番で燃料ガスタンクから燃料ガスを供給することができる。
また、流出口開閉手段の開タイミングから閉タイミングまでの期間である燃料ガス供給期間を異ならせるので、複数の燃料ガスタンクにおいて液化状態で貯蔵される燃料ガスが同時に気化することを防止して、互いに近接して設けられた複数の燃料ガスタンクの周囲の温度が低下することを防止することができる。よって、燃料ガスの供給を継続することができる。
【0016】
本発明に係る燃料ガス供給システムの更なる特徴構成は、
前記複数の燃料ガスタンクは、複数のグループに分けられ、
前記燃料ガス供給制御手段が、前記グループ毎に、前記燃料ガス供給期間を異ならせる点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、複数のグループの夫々を複数の燃料ガスタンクで構成することで、グループ毎に貯蔵される燃料ガスの容量が増加するので、燃料ガスタンクからの燃料ガスの供給を長期間に亘って継続することができる。
また、グループ毎に、燃料ガス供給期間を異ならせるので、複数のグループにおいて液化状態で貯蔵される燃料ガスが同時に気化することを防止して、互いに近接して設けられた複数の燃料ガスタンクの周囲の温度が低下することを防止することができる。よって、燃料ガスの供給を継続することができる。
【0018】
本発明に係る燃料ガス供給システムの更なる特徴構成は、
前記燃料ガス供給路に、前記燃料ガスに空気を混合して混合気を生成する混合気生成部を備え、
当該混合気生成部は、前記燃料ガスの供給により発生する吸引力によって空気を吸引して前記燃料ガスに空気を混合させて前記混合気を生成するベンチュリーミキサーによって構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、混合気生成部が、燃料ガスの供給により発生する吸引力によって空気を吸引して混合気を生成するベンチュリーミキサーによって構成されているので、上述の如く、複数の燃料ガスタンクの周囲の温度が低下することを防止して、燃料ガスタンクからベンチュリーミキサーへの燃料ガスの供給を継続することで、ベンチュリーミキサーにおいて混合気の発生を継続することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係るガス燃料ガス供給システムを図面に基づいて説明する。
第1実施形態に係る燃料ガス供給システム1は、
図1に示すように、都市ガス供給路2を流通する都市ガスG1(通常燃料ガスに相当する)の供給を受けて燃焼する燃焼装置Sに、都市ガスG1が供給されない場合に、都市ガスG1とは異なるLPガスG2(燃料ガス又は予備燃料ガスに相当する)を液化状態で貯留する複数のLPガスタンク3(燃料ガスタンクに相当する)からLPガスG2をLPガス供給路4(燃料ガス供給路に相当する)を介して供給可能に構成されている。
【0022】
LPガスG2は、LPガスG2に空気Aが混合された状態で燃焼装置Sへ供給される。具体的には、LPガス供給路4には、LPガスG2に空気Aを混合させた混合気Mを生成する混合気生成装置Nが設けられ、これにより、都市ガス供給路2において都市ガスG1の供給がされない場合に、LPガス供給路4に設けられた混合気生成装置Nによって、LPガスG2に空気Aを混合させた混合気Mが生成され、その混合気Mが燃焼装置Sへ供給されるように構成されている。
【0023】
また、都市ガスG1が流れる都市ガス供給路2とLPガスG2が流れるLPガス供給路4とは接続部5において接続されて一本の共通供給路6を形成して燃焼装置Sへと接続されている。接続部5には、都市ガス供給路2と共通供給路6を接続して都市ガスG1を燃焼装置Sに供給する都市ガス供給状態と、LPガス供給路4と共通供給路6を接続して混合気Mを燃焼装置Sに供給する混合気供給状態とを択一的に選択することができる切替手段10が設けられている。
【0024】
図2に示すように、第1実施形態に係る燃料ガス供給システム1では、6本のLPガスタンク3が設けられており、この6本のLPガスタンク3は2本ずつ3つのグループ9にグループ分けされている。そして、これら6本のLPガスタンク3の流出口8はLPガス供給路4に接続され、流出口8の夫々には、流出口8を開閉する流出口開閉手段7が備えられている。この流出口開閉手段7は、例えば電磁式の開閉弁で構成され、LPガス供給制御手段11(燃料ガス供給制御手段に相当する)によって、開閉動作が制御されている。
この第1実施形態では、
図2において左右方向に並ぶLPガスタンク3を、
図2中の左側から順にグループ分けする例を示したが、本願の趣旨からは、左右方向に並ぶLPガスタンク3において、できるだけ離れた位置関係にあるLPガスタンク3を組み合わせてグループ9を形成するのがよい。
【0025】
燃焼装置Sとしては、
図1に示すように、混合気Mのウォッベ指数の適正燃焼範囲がガスエンジン用ウォッベ指数範囲であるガスエンジンVと、このガスエンジンVを動力源として発電する発電機13とを備えた発電装置が設けられている。
【0026】
この発電装置には、ガスエンジンVの排ガスEを浄化する排気浄化触媒12を備えるとともに、ガスエンジンVで発生した排熱を回収する排熱回収装置14とを備えて構成されている。
【0027】
また、発電装置において、ガスエンジンVは、発電機13からの負荷に応じて、その出力を増減するようにスロットルバルブ(図示せず)の開度が調整される。また、発電機13は、ガスエンジンVによって駆動され、商用電力系統(図示せず)と連系して発電した電力を商用電力系統に供給可能に構成されている。
一方、排熱回収装置14は、ガスエンジンVから排出された排ガスEにて貯湯タンク17に給水された水を循環加熱する排ガス熱交換器19とを備えている。排熱回収装置14は、循環ポンプ(図示せず)を作動させて貯湯タンク17の水を排ガス熱交換器19に循環させ、排ガスEの排熱を回収可能に構成されている。そして、回収した排ガスEの排熱により加熱された温水を貯湯タンク17に貯留させ、その温水を給湯利用箇所や暖房機器等の熱負荷(図示せず)に給湯可能に構成されている。
【0028】
また、ガスエンジンVの排ガスEを浄化する排気浄化触媒12は、例えば、酸化ジルコニウムを主成分とする無機酸化物にイリジウムを担持して構成された三元触媒として構成することができる。これにより、排ガスEが低温でも低温浄化性能に優れたものとしつつ、排ガスE中に排出された未燃の都市ガスG1の主成分であるメタンまたはLPガスG2の主成分であるプロパンを還元剤として排ガスE中の窒素酸化物を浄化することができる。
【0029】
混合気生成装置Nは
図3に示すように、混合比調整弁30およびLPガス供給路4に備えられたベンチュリーミキサー31によって構成されている。混合比調整弁30が、ベンチュリーミキサー31に供給する空気Aの量を調整することで、混合気Mのウォッベ指数をガスエンジン用ウォッベ指数範囲内とするガスエンジン用混合比に混合比を調整するように構成されている。混合比調整弁30は、例えばバタフライ式の流量調整弁で構成されている。
【0030】
また、ベンチュリーミキサー31は、LPガス供給路4に設けられたベンチュリー管31aと、このベンチュリー管31aの入口開口部において、ガスの流動方向に向けてLPガスG2を噴射する噴射ノズル31bと、この噴射ノズル31bの近傍に設けられた空気Aの空気供給口31cより構成されている。
【0031】
ベンチュリーミキサー31では、噴射ノズル31bからLPガスG2がベンチュリー管31aへ吹き込まれ、その吹き込みによって、ベンチュリー管31aの入口近傍に設けられた空気供給口31cより、空気Aがエゼクタ作用による吸引力によって所定の割合でベンチュリー管31aに吸引されて、その空気AとLPガスG2とが混合されて混合気Mが生成される。その際、混合比調整弁30の開度を調整して、ベンチュリーミキサー31への空気Aの吸入量を調整することで、ベンチュリーミキサー31で発生する混合気Mの空気AとLPガスG2との混合比を調整できるように構成されている。
【0032】
また、混合気生成装置Nには、混合比調整弁30に対して、混合比調整弁30の開度を指令する指令スイッチ32が指令制御部33に備えられ、指令制御部33は、指令スイッチ32による指令に基づいて、混合比調整弁30を、混合気Mのウォッベ指数をガスエンジン用ウォッベ指数範囲内とするガスエンジン用混合比に混合比を調整する。
【0033】
なお、LPガスG2のガス圧力を調圧弁34によって調圧してベンチュリーミキサー31内の噴射ノズル31bに供給して混合気Mが生成されている。また、調整弁35によって混合気Mの圧力を所望の圧力(例えば1.5〜2.5kPa)として燃焼装置Sに供給される。
【0034】
次に、
図4(a)に基づいて、6本のLPガスタンク3に備えられた流出口開閉手段7の、LPガス供給制御手段11による開閉制御について説明する。
LPガス供給制御手段11は、各グループ9のLPガスタンク3に備えられた流出口開閉手段7の開閉状態を同一とする状態、かつ、一つのグループ9の流出口開閉手段7を開状態として、他のグループ9の流出口開閉手段7を閉状態とする状態で、流出口開閉手段7を開閉制御している。
また、LPガス供給制御手段11は、予め定められた順序に従って一つのグループ9の流出口開閉手段7を順次開状態とすることで、夫々のグループ9からLPガスG2を供給するLPガス供給期間P(燃料ガス供給期間に相当する)をグループ9毎に異ならせている。ここで、LPガス供給期間Pとは、夫々の流出口開閉手段7の開タイミングから閉タイミングまでの期間であり、流出口開閉手段7が開状態とされて、LPガスG2が流出口開閉手段7から供給されている期間を示す。
【0035】
なお、複数のグループ9の流出口開閉手段7を順次開状態とする順序は、LPガス供給制御手段11の入力部(図示せず)より入力された順序であり、任意の順序を入力して設定することができるように構成されている。またLPガス供給期間Pについても、LPガス供給制御手段11の入力部より、任意の期間を入力して設定することができるように構成されている。
【0036】
具体的には、LPガス供給制御手段11において、3つのグループ9の流出口開閉手段7を順次開状態とする順序が、第1グループ9a、第2グループ9b、第3グループ9cの順で予め入力して設定され、LPガス供給期間Pが所定の一定期間に予め入力して設定されている場合、
図4(a)に示すように、第1流出口開閉手段7a、第2流出口開閉手段7b及び第3流出口開閉手段7cの順で、流出口開閉手段7が開閉制御される。
【0037】
つまり、
図4(a)に示すように、LPガス供給制御手段11によって、第1グループ9aの第1LPガスタンク3aに設けられている第1流出口開閉手段7aが、第1流出口開閉手段7aの開タイミングから閉タイミングまでの第1LPガス供給期間P1の間、開状態に制御され、第2グループ9bの第2LPガスタンク3bに設けられている第2流出口開閉手段7b及び第3グループ9cの第3LPガスタンク3cに設けられている第3流出口開閉手段7cが、閉状態に制御される。
第1LPガス供給期間P1に続いて、第2流出口開閉手段7bが、第2流出口開閉手段7bの開タイミングから閉タイミングまでの第2LPガス供給期間P2の間、開状態に制御され、第1流出口開閉手段7a及び第3流出口開閉手段7cが閉状態に制御される。
そして、第2LPガス供給期間P2に続いて、第3流出口開閉手段7cが、第3流出口開閉手段7cの開タイミングから閉タイミングまでの第3LPガス供給期間P3の間、開状態に制御され、第1流出口開閉手段7a及び第2流出口開閉手段7bが閉状態に制御される。
さらに、第3LPガス供給期間P3に続いて、第1流出口開閉手段7aが、再び第1LPガス供給期間P1の間、開状態に制御されるとともに、第2流出口開閉手段7b及び第3流出口開閉手段7cが、閉状態に制御される。このようにして、流出口開閉手段7の開閉制御が入力された順序で繰り返される。よって、夫々のグループ9のLPガスタンク3からLPガスG2供給するLPガス供給期間を異ならせた状態で、LPガスタンク3から順次LPガスG2を供給することができる。
【0038】
また、上述の如く、第1流出口開閉手段7a、第2流出口開閉手段7b及び第3流出口開閉手段7cが開閉制御された場合の、第1LPガスタンク3a、第2LPガスタンク3b及び第3LPガスタンク3cの表面温度と連続LPガス供給時間である時間tとの関係を
図4(b)に示す。
【0039】
図4(b)に示すように、第1LPガスタンク3aが第1流出口開閉手段7aからLPガスG2を供給する第1LPガス供給期間P1において、LPガスG2が気化するために必要となる気化熱が第1LPガスタンク3aの周囲から奪われるために第1LPガスタンク3aの第1表面温度T1が低下する。
【0040】
次に、第1LPガス供給期間P1が終了すると、LPガスG2の気化熱により冷却されて低下した第1LPガスタンク3aの第1表面温度T1が上昇する。一方、第2LPガスタンク3bに設けられた第2流出口開閉手段7bからLPガスG2を供給する第2LPガス供給期間P2が開始され、LPガスG2が気化するために必要となる気化熱が、第2LPガスタンク3bの周囲から奪われるために第2LPガスタンク3bの第2表面温度T2が低下する。
【0041】
そして、第2LPガス供給期間P2が終了すると、LPガスG2の気化熱により冷却されて低下した第2LPガスタンク3bの第2表面温度T2が上昇する。一方、第3LPガスタンク3cに設けられた第3流出口開閉手段7cからLPガスG2を供給する第3LPガス供給期間P3が開始され、LPガスG2が気化するために必要となる気化熱が、第3LPガスタンク3cの周囲から奪われるために第3LPガスタンク3cの第3表面温度T3が低下する。
【0042】
さらに、第3LPガス供給期間P3が終了すると、LPガスG2の気化熱により冷却されて低下した第3LPガスタンク3cの第3表面温度T3が上昇する。そして、再び第1LPガスタンク3aに設けられた第1流出口開閉手段7aからLPガスG2を供給する第1LPガス供給期間P1が開始され、LPガスG2が気化するために必要となる気化熱が、第1LPガスタンク3aの周囲から奪われるために第1LPガスタンク3aの第1表面温度T1が低下する。
このように、
図4(a)に示した流出口開閉手段7の開閉制御に対応して、第1LPガスタンク3a、第2LPガスタンク3b及び第3LPガスタンク3cの表面温度の変化が繰り返される。
その結果、
図4(b)に示すように、時刻t1付近以降の時間においては、時間tの経過に従って低下し続ける従来の燃料ガス供給システムにおける燃料ガスタンクの表面温度TRよりも、本第1実施形態におけるLPガスタンク3の表面温度(第1表面温度T1、第2表面温度T2及び第3表面温度T3)が高い温度に維持されることとなる。
【0043】
従って、
図4(c)に示すように、従来の燃料ガス供給システム1では、LPガス供給時間である時間tの経過とともに、複数のLPガスタンクの表面温度TRが低下し続けて、複数のLPガスタンクに残留するLPガスの総量である総LPガス残量QRが残量レベルLとなると、総LPガス残量QRが減少しないことに比べ、第1実施形態に係る燃料ガス供給システム1では、上述の如く複数のLPガスタンク3が比較的高い温度に維持されるので、6本のLPガスタンク3に残留するLPガスG2の総量である総LPガス残量Q1が残量レベルLとなっても、総LPガス残量Q1が減少する。つまり、総LPガス残量Q1が残量レベルLとなっても、LPガスタンク3内に液化状態で貯蔵されるLPガスG2を気化することが可能であり、LPガスタンク3から供給されるLPガスG2の供給量を比較的多くして、LPガスG2の供給時間を比較的長くすることができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る燃料ガス供給システム1の第2実施形態を、
図5に基づいて説明する。
上述の第1実施形態では、LPガスG2を供給する複数のLPガスタンク3が、複数のグループ9にグループ分けされ、LPガス供給制御手段11が、グループ9毎に流出口開閉手段7を制御するように構成されたが、この第2実施形態では、複数のLPガスタンク3が複数のグループ9にグループ分けされておらず、複数のLPガスタンク3毎に流出口開閉手段7を制御するように構成されている点で異なるものである。
【0045】
図5に、第2実施形態に係る燃料ガス供給システム1における複数のLPガスタンク3の接続状態を示す。第2実施形態においては、3本のLPガスタンク3が設けられており、これら3本のLPガスタンク3の流出口8の夫々には、流出口8を開閉する流出口開閉手段7が備えられている。
そして、LPガス供給制御手段11が、3本のLPガスタンク3に備えられた3つの流出口開閉手段7を、上述の第1実施形態における3つのグループ9における夫々の流出口開閉手段7の開閉制御と同様に、予め定められた順序に従って順次開状態とすることで、3本のLPガスタンク3の夫々において、LPガスタンク3からLPガスG2をLPガス供給路4に供給するLPガス供給期間を異ならせた状態で、夫々のLPガスタンク3から順次LPガスG2を供給するように構成されている。
【0046】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態においては、混合比調整弁30によって、空気Aのベンチュリーミキサー31への供給量を調整して、混合気Mの混合比を調整自在としたが、これに限らず、LPガス供給路4に設けられたLPガスG2を噴射する噴射ノズル31bの上流側において、LPガスG2の流量を調整する流量調整弁を設けて、LPガスG2のベンチュリーミキサー31への供給量を調整して、混合気Mの混合比を調整自在としてもよいし、混合比調整弁30およびLPガスG2の流量を調整する流量調整弁を両方設けて、空気AおよびLPガスG2のベンチュリーミキサー31への供給量を調整して、混合気Mの混合比を調整自在に構成してもよい。
【0047】
(B)上記実施形態においては、LPガス供給路4のベンチュリーミキサー31に供給される空気Aは、LPガスG2の通流により発生する吸引力によって空気供給口31cから吸引されてLPガスG2に混合される構成とされているが、この空気Aは加圧された状態で空気供給口31cに供給されていてもよい。これにより、より混合気Mのウォッベ指数を広い範囲において迅速に調整することができる。
【0048】
(C)上記実施形態においては、ベンチュリーミキサー31と調整弁35は、LPガス供給路4のみで接続されているが、これに限らず、LPガス供給路4において、ベンチュリーミキサー31と調整弁35との間に、混合気Mが一時貯蔵される小型のクッションタンクを設けてもかまわない。
【0049】
(D)上記実施形態においては、燃焼装置Sは、内燃機関を動力源として発電する発電機13を備えている発電装置としたが、これに限らず、燃焼装置Sは、LPガスG2により発電する燃料電池を備えている発電装置としてもよい。
【0050】
(E)上記第1実施形態においては、複数のグループ9におけるLPガス供給期間Pは、LPガス供給制御手段11の入力部より予め入力して設定した所定の一定期間としたが、これに限らず、複数のグループ9におけるLPガス供給期間を、流出口開閉手段7が開状態とされている各グループ9のLPガスタンク3の表面温度が、予め定められた温度に低下するまでの期間としてもよい。この場合、LPガスタンク3の表面に温度計測手段が備えられてもよい。
【0051】
(F)上記第1実施形態においては、複数のグループ9におけるLPガス供給期間Pは、LPガス供給制御手段11の入力部より予め入力して設定した所定の一定期間としたが、これに限らず、LPガス供給制御手段11の入力部においてLPガス供給期間Pをグループ9毎に独立して設定できるように構成されていてもよい。
【0052】
(G)上記第1実施形態においては、第1LPガス供給期間P1、第2LPガス供給期間P2及び第3LPガス供給期間P3を互いに重なることなく完全に異ならせるようにLPガス供給制御手段11によって流出口開閉手段7が開閉制御されたが、これに限らず、第1LPガス供給期間P1、第2LPガス供給期間P2及び第3LPガス供給期間P3の一部の期間が互いに重なるようにLPガス供給制御手段11によって流出口開閉手段7が開閉制御されていてもよい。
【0053】
(H)上記第2実施形態においては、3本のLPガスタンク3の夫々のLPガス供給期間Pを互いに重なることなく完全に異ならせるようにLPガス供給制御手段11によって流出口開閉手段7が開閉制御されたが、これに限らず、3本のLPガスタンク3の夫々のLPガス供給期間Pの一部の期間が互いに重なるようにLPガス供給制御手段11によって流出口開閉手段7が開閉制御されていてもよい。
【0054】
(I)上記第1実施形態においては、複数のLPガスタンク3の流出口8の夫々に、流出口8を開閉する流出口開閉手段7が設けられたが、これに限らず、複数のLPガスタンク3で構成される各グループ9において、複数のLPガスタンク3の複数の流出口8を接続して、単一の流出口8を形成し、その単一の流出口8に流出口開閉手段7を設けることで、各グループ9に1つの流出口開閉手段7が備えられた構成としてもよい。
【0055】
(J)上記第1実施形態においては、6本のLPガスタンク3を2本ずつ3つのグループ9にグループ分けしてグループ9を構成したが、これに限らず、2本〜5本、又は、7本以上の複数のLPガスタンクが設けられていてもよく、さらに、2つ又は4つ以上のグループ9にグループ分けしてもよい。その際、グループ9におけるLPガスタンク3の本数は、グループ9毎に異なる本数としてもよい。
【0056】
(K)上記第2実施形態においては、3本のLPガスタンク3が設けられたが、これに限らず、2本又は4本以上の複数のLPガスタンク3が設けられていてもよい。