(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351232
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】開閉体装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/84 20060101AFI20180625BHJP
E05F 15/42 20150101ALI20180625BHJP
【FI】
E06B9/84 D
E05F15/42
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-222183(P2013-222183)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2015-83742(P2015-83742A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2016年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕輔
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−115761(JP,A)
【文献】
特開2008−106476(JP,A)
【文献】
特開2009−155826(JP,A)
【文献】
米国特許第07109677(US,B1)
【文献】
米国特許第05286967(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F15/00−15/79
E06B9/00
9/02
9/06−9/18
9/40−9/50
9/56−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の上部から繰り出され上昇下降することによって前記開口部を開閉するように動作する開閉手段と、
前記開閉手段の開閉停の各動作を制御するための制御信号を出力する操作子手段と、
前記操作子手段から出力される前記制御信号に基づいて前記開閉手段の開閉停の各動作を制御する制御手段と、
前記開口部の左右両端にそれぞれ設けられた投光器及び受光器によって形成される光路を感知領域とし、前記光路上に存在する物体等を感知する感知手段とを備えた開閉体装置において、
前記制御手段は、前記開閉手段が全開した後若しくは全閉した後の移動停止状態、又は開閉手段が開動作若しくは閉動作の途中で停止した途中停止状態にある場合に、前記移動停止状態及び前記途中停止状態のそれぞれの状態で、前記感知手段の前記投光器に対する電源の供給を遮断することによって前記投光器の発光状態を停止制御して、前記感知手段が正常か異常かをチェックすることを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、
前記制御手段は、前記開閉手段が前記移動停止状態又は前記途中停止状態にあって、所定のタイミングに合致した場合に、前記感知手段が正常か異常かをチェックすることを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉体装置において、
前記感知手段は、前記投光器を支持する角柱状の投光器支持部材と、前記投光器支持部材の反対側に対となるように設けられ、前記受光器を支持する角柱状の受光器支持部材とで構成されていることを特徴とする開閉体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンなどの開閉手段の動作の障害となる物体を開口部付近に設置された光電センサからなる障害物感知センサで検出する開閉体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどの開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部に設置され、その開閉部材を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。開閉体装置は、開口部の上部から開閉部材であるシャッターカーテンを徐々に繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖する。開閉部材の下側には座板スイッチや光電センサなどの感知センサが設けられている。この座板スイッチや光電センサなどの感知センサが開閉動作中に何らかの物体(物体)に接触又は感知すると、それによって検出信号を出力し、その検出信号に応じて制御装置は物体の挟み込みなどを回避するために開閉部材自体の開閉動作を停止し、回避動作を行なうように開閉部材の動作を制御している。
光電センサを複数設けて、障害物を感知するようにした開閉体装置として特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−342566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の開閉体装置は、開閉体であるカーテン部などに人が掴まったり、よじ登ったり、人や物が吊り下がった状態でも、これらのものを開閉体収納部の引き込み口に到達しない段階で事前に障害物として感知し、その回避動作を行なうようにするために、ガイドレールの上端部の前後2箇所及びガイドレールの下端部の片側上下2箇所に光電管同士がそれぞれ対向するように複数の光電センサが配置されている。
【0005】
しかしながら、光電センサの中には、センサ自身が光軸ズレや破損状態をチェックし、正常に機能することができる状態にあるか否かを光電センサ自身でチェックすることのできる自己チェック機能を備えていないものが多数存在する。このような自己チェック機能を備えていない光電センサを用いて開閉体装置を構成した場合、光電センサに破損等が発生した場合、障害物感知センサが正常に作動しなくなり、好ましくない場合がある。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みなされたものであり、自己チェック機能を備えていない光電センサなどを用いて障害物感知センサを構成した場合であっても光軸ズレや破損等の不具合を事前に検出することのできる開閉体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開閉体装置の第1の特徴は、開口部を開閉するように動作する開閉手段と、前記開閉手段の開閉停の各動作を制御するための制御信号を出力する操作子手段と、前記操作子手段から出力される前記制御信号に基づいて前記開閉手段の開閉停の各動作を制御する制御手段と、前記開口部の左右両端にそれぞれ設けられた投光器及び受光器によって形成される光路を感知領域とし、前記光路上に存在する物体等を感知する感知手段とを備えた開閉体装置において、前記制御手段は、前記感知手段の前記投光器の発光状態を制御することによって、前記感知手段が正常か異常かをチェックすることにある。
開閉体装置は、ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の開口部に設置される。開閉手段であるシャッターは、操作子手段から出力される開閉停の制御信号に応じて開閉停の動作を実行する。開口部付近には、所定の距離だけ離間した位置に、それぞれ投光器及び受光器からなる光電センサが障害物感知センサとして設けられている。光電センサの投光器及び受光器によって形成される光路が感知領域となり、光路上に存在する物体等が感知される。一方、このような光電センサは、自己チェック機能を備えていないので、光電センサに光軸ズレや破損等の不具合が発生しても、それを事前に検出することができない。そこで、この発明では、感知手段である光電センサの投光器の発光状態を例えばオン/オフ制御することによって、感知手段である光電センサが正常に動作しているか異常かをチェックし、不具合を事前に検出できるようにした。
【0008】
本発明の開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段は、前記感知手段の前記投光器に対する電源の供給を遮断することによって前記発光状態を停止させることにある。これは、感知手段である光電センサに対する電源供給が遮断されると、光電センサの投光器と受光器との間に障害物が存在した場合と同じ状態となるので、光電センサの受光器から障害物検知信号が出力されるようになるので、この状態を感知状態フラグ等として記憶することによって、光電センサが正常に動作しているか異常かをチェックすることができるようになる。なお、電源供給遮断後に電源供給を復帰する一連の遮断及び復帰に対応して光電センサが正常に動作するか否かに基づいてチェックすることが好ましい。例えば、電源供給を遮断したときは正常に動作したが電源供給が復帰した際に、復帰までに異常に時間を要したりして正常に復帰しなかった場合などは、異常と判断することが好ましい。
【0009】
本発明の開閉体装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段は、前記開閉手段が停止状態にある場合に前記感知手段が正常か異常かをチェックすることにある。これは、開閉手段が停止状態、すなわち開閉手段が全開した後若しくは全閉した後の移動停止状態、又は開閉手段が開動作若しくは閉動作の途中で停止した状態にある場合に、正常か異常かのチェック行うようにしたものである。開閉手段が開動作又は閉動作中に光電センサのチェックを行うと、障害物感知状態と誤って認識するおそれがあるからである。なお、開閉手段が開動作若しくは閉動作中であっても、光電センサの感知領域から開閉手段の閉鎖側先端部が十分に離間している場合には、光電センサのチェックを実行してもよい。この場合は、障害物感知処理を除外することが好ましい。
【0010】
本発明の開閉体装置の第4の特徴は、前記第3の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段は、前記開閉手段が停止状態にあって、所定のタイミングに合致した場合に、前記感知手段が正常か異常かをチェックすることにある。これは、開閉手段が停止状態にあって、予め決められた所定のタイミングに合致した場合に光電センサのチェックを実行するようにしたものである。ここで所定のタイミングとは、開閉体装置が動作されることがない午前0時など、使用者が設定した一日の中の1若しくは複数の時刻に合致した場合、操作子手段の操作状態を感知した場合、操作子手段がリモコンスイッチの時にその電波を感知した場合、開閉停の操作子の付近に操作者が近づいたことを感知した場合、又は開閉体装置の近くに操作者が近づいたことを感知した場合などのように、これから開閉体装置が開閉動作される直前に光電センサのチェックを行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の開閉体装置によれば、自己チェック機能を備えていない光電センサなどを用いて障害物感知センサを構成した場合であっても光軸ズレや破損等の不具合を事前に検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の開閉体装置を備えたシャッター装置の外観を示す図である。
【
図2】
図1の開閉体装置を正面から見た一部透視図である。
【
図3】本発明に係る開閉体装置の制御システムの概略を示す図である。
【
図4】この開閉体装置が実行するセンサチェック処理の一例を示すフローチャート図である。
【
図5】本発明の開閉体装置を備えたシャッター装置の別の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉体装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体装置として、上方が開放方向で下方が閉鎖方向である上下に開閉制御されるシャッター装置を例に説明する。
図1は、本発明の開閉体装置を備えたシャッター装置の外観を示す図である。
図2は、
図1の開閉体装置を正面から見た一部透視図である。
図3は、本発明に係る開閉体装置の制御システムの概略を示す図である。通常、シャッター装置は、建物などの構造物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース1、シャッターカーテン2、ガイドレール3,4、リモコンスイッチ5及び光電センサ6,7から構成される。
【0014】
ガイドレール3,4は、シャッターカーテン2の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材で構成されている。シャッターカーテン2は、このガイドレール3,4の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。シャッターケース1内には、巻取シャフト11が回動可能に設けられており、これにシャッターカーテン2が巻き取られたり巻き戻されたりする。また、シャッターケース1内には、モータ13が設けられており、このモータ13の回転駆動力で巻取シャフト11が回転し、シャッターカーテン2の開閉動作が制御されるようになっている。
【0015】
図2に示すように、シャッターケース1内には、巻取シャフト11、チェーン12、モータ13、位置検出装置14、シャッター開閉機制御装置15が設けられている。巻取シャフト11は、シャッターケース1内に回動可能に設けられ、シャッターカーテン2を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン12は、モータ13の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト11の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ13の回転駆動力はチェーン12を介して巻取シャフト11側に伝達され、モータ13が回転すると、チェーン12を介して巻取シャフト11が回転し、シャッターカーテン2の開閉動作が制御されるようになっている。
【0016】
モータ13には、その回転位置すなわちシャッターカーテン2の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置14が設けられている。この位置検出装置14は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。モータ13の回転に応じたパルス信号がシャッター開閉機制御装置15に出力されるので、モータ13の回転位置やシャッターカーテン2の閉鎖側先端部の開口部における位置や動作状態などはこのパルスの発生状況に基づいてシャッター開閉機制御装置15が演算にて求めることになる。
【0017】
シャッター開閉機制御装置15は、マイクロコンピュータ構成になっており、図示していない電源ラインを介して電力が供給されている。シャッター開閉機制御装置15は、リモコンスイッチ5上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号に基づいてモータ13の回転を制御する。リモコンスイッチ5は、開放用、停止用、閉鎖用のボタンを有し、それぞれのボタンの操作状態に応じた制御信号をシャッター開閉機制御装置15に出力する。なお、有線の操作スイッチなどを用いてシャッター開閉機制御装置15に制御信号を送信し、開閉操作させるように構成してもよい。
【0018】
光電センサ6,7は、人や自動車等の通過状態、及び物体等の存在を確認するために使用される障害物感知装置であり、開口部の下側左右両端に設けられている。なお、図では、開口部の前後のいずれか一方の所定箇所に設けられているが、前後両方及び/又は開口部上方に設けるようにしてもよい。光電センサ6は、角柱状の投光器支持部材によって構成され、その反対側に同じ形状の受光器支持部材によって構成される光電センサ7が対となるように設けられている。これらの光電センサ6,7は、シャッターカーテン2の座板の長手方向寸法又は開口部の横幅寸法に相当する距離だけ互いに離間して配置されている。
【0019】
光電センサ6には、例えば赤外線等の光を自ら発光する発光素子からなる投光器6aが支持されている。一方、光電センサ7には、光を自ら受光感知する受光素子からなる受光器7aが支持されている。光電センサ6の投光器6aおよび光電センサ7の受光器7aは、互いに向かい合って配置され、開口部の下側位置で座板に沿って走る物体感知用の光線の光路8を形成している。光電センサ6,7が光路8内で人や物体(自動車)を感知した場合には、光電センサンプ6b,7bのスイッチング機構によって、その感知信号がシャッター開閉機制御装置15に送信される。図示1において、光路8は、光電センサ6,7の物体感知領域を模式的に示している。
【0020】
シャッター開閉機制御装置15は、光電センサ6の投光器6aと光電センサ7の受光器7aとの間に人や物体(自動車)などが存在するか否かに応じて、シャッターカーテン2の開放動作及び/又は閉鎖動作を制御する。この実施の形態では、シャッター開閉機制御装置15は、光電センサ6に対する電源供給を遮断できるように構成されたスイッチング機構16を備えている。スイッチング機構16は、シャッター開閉機制御装置15からの制御信号に応じて動作するトランジスタ回路等にて構成されている。シャッター開閉機制御装置15は、所定の条件に合致した場合に光電センサンプ6bへの電源供給を一瞬遮断してから電源供給を復帰させることによって、受光器7aの受光状態を確認している。
【0021】
図4は、この開閉体装置が実行するセンサチェック処理の一例を示すフローチャート図である。以下、本発明の開閉体装置が実行するセンサチェック処理の詳細を
図4のフローチャートを用いて説明する。ステップS41では、シャッターカーテン2が停止中であるか否かの判定を行い、停止中(yes)の場合は次のステップに進み、移動中の場合はリターンし、この判定を繰り返す。ここで、シャッターカーテン2が停止中にある場合とは、開閉体装置のシャッターカーテン2が全開した後若しくは全閉した後の移動停止状態にある場合又はシャッターカーテン2が開動作若しくは閉動作の途中で停止した状態にある場合を意味する。なお、全開した後若しくは全閉した後には、開口部全体を開けた本来の意味での全開若しくは開口部全体を閉じた本来の意味での全閉のみならず、開閉体閉鎖方向先端部が使用目的に応じて所定量開放若しくは閉鎖された状態をも含むものとする。
【0022】
ステップS42では、所定のタイミングか否かの判定を行い、所定のタイミング(yes)の場合は次のステップに進み、そうでない(no)場合はステップS41にリターンして判定処理を繰り返す。ここで、所定のタイミングとは、予め決められた時刻で、例えば、開閉体装置が動作されることがない午前0時など、使用者が設定した一日の中の1若しくは複数の時刻などである。なお、この所定のタイミングとして、リモコンスイッチ5の操作状態を感知した場合、リモコンスイッチ5の電波をシャッター開閉機制御装置15が感知した場合、図示していない開閉停の操作子付近に操作者が近づいたことを感知した場合、又は開閉体装置の近くに操作者が近づいたことを感知した場合などのいずれであってもよい。すなわち、これから開閉体装置が開閉動作される直前にセンサチェック処理を実行する。
【0023】
ステップS43では、これ以降センサチェック処理を実行するので、センサチェック処理中にシャッターカーテン2の開閉動作を実行することができないように、センチチェック中を示すフラグを立てる。このフクグが立っていることを検出することによって、シャッター開閉機制御装置15はシャッターカーテン2の開閉動作を実行することはない。なお、火災発生時など非常時には、このフラグとは無関係に開閉動作可能とすることが好ましい。
【0024】
ステップS44では、シャッター開閉機制御装置15は、光電センサ6に対する電源供給を遮断する。なお、
図4に示すフローチャートでは省略しているが、電源供給を遮断する前に光電センサ7の受光器7aが光を感知していることを確認し、その後に光電センサ6に対する電源供給を遮断するようにしている。電源供給を遮断する前に光電センサ7の受光器7aが光を感知していることを確認できなかった場合を以下に記載する。この場合には大別して2つのことが考えられる。1つは光電センサ関連で何らかの異常がある場合であり、他の1つは光電センサ関連は正常であるが障害物があって光路が遮断されている場合である。所定のタイミングとして使用者が開閉スイッチを押す等、使用者が開閉体装置の近くにいて、障害物は無いと判断できるのであれば、受光器7aが光を感知していることを確認できなかったのは光電センサ関連で何らかの異常があるとみなしてセンサ異常と判定して報知することもできる。ただし、この場合においては光電センサのどの箇所に異常があるのかまでは判断できない。例えば、光電センサ6や光電センサ7の破損や故障の可能性もあり、または破損等ではなく、単に光電センサ6と光電センサ7の間の光軸ズレの可能性もある。そして、光電センサ6に対する電源供給が遮断されると、光電センサ6の投光器6aと光電センサ7の受光器7aとの間に障害物が存在した場合と同じ状態となるので、光電センサ7の受光器7aから障害物検知信号が出力され、感知状態フラグFに「1」がセットされる。
【0025】
ステップS45では、前のステップで電源供給を遮断した光電センサ6に対して電源供給を復帰する。ステップS46では、ステップS44の光電センサ6に対する電源供給の遮断時に光電センサ7の受光器7aから障害物検知時に出力される検知信号が出力されたか否か、すなわち感知状態フラグFに「1」がセットされたか否かの判定を行い、検知信号出力があった(yes)場合はステップS47に進み、検知信号出力がなかった(no)場合はステップS48に進む。なお、電源供給遮断後に電源供給を復帰することによって光電センサが正常に動作しているか否かの判定を行い、この一連の遮断及び復帰に対応して光電センサが動作した場合は、感知状態フラグFに「0」をセットするようにし、これ以外の場合、例えば遮断したときは正常に動作したが電源供給が復帰した際に、復帰までに異常に時間を要したりして正常に復帰しなかった場合などは、感知状態フラグFに「1」をセットするようにしてもよい。
【0026】
ステップS47では、光電センサ6に対する電源供給の遮断時に光電センサ7の受光器7aから障害物検知信号が出力されたということは、光電センサ6,7は正常に動作しているので、センサチェックフラグFに「0」をセットする。ステップS48では、光電センサ6に対する電源供給の遮断時に光電センサ7の受光器7aから障害物検知信号が出力されなかったので、光電センサ6,7は異常な状態にあるので、対応する光電センサのセンサチェックフラグFに「1」をセットし、使用者等にどの光電センサが異常であるかを報知する。ステップS49では、開閉体装置に設置されている全ての光電センサ、すなわち光電センサの所定数に対してセンサチェックが終了したか否かの判定を行い、全ての光電センサに対してセンサチェックが終了した(yes)場合は、処理を終了してリターンし、センサチェックが終了していない(no)場合は、ステップS44にリターンし、センサチェックが未だのものに対して同様のセンサチェック処理を実行する。
【0027】
図5は、本発明の開閉体装置を備えたシャッター装置の別の実施の形態を示す図である。
図5のシャッター装置が
図1のものと異なる点は、それぞれ4対の光電センサ32〜35,42〜45をガイドレール3,4の側面に備えている点である。光電センサ32〜35は、投光器支持部材を備えて構成され、その反対側に設けられた同じ形状の光電センサ42〜45は、受光器支持部材を備えて構成されている。これらの光電センサ32〜35,42〜45は、開口部の横幅に相当する距離だけ互いに離れてそれぞれ配置されている。
【0028】
光電センサ32〜35には、例えば赤外線等の光を自ら発光する発光素子からなる投光器が支持されている。一方、光電センサ42〜45には、光を自ら受光感知する受光素子からなる受光器が支持されている。これらの投光器および受光器は、互いに向かい合って配置され、開口部のそれぞれの位置で物体感知用の光線の光路(障害物感知エリア)81〜84をそれぞれ形成している。光電センサ32〜35,42〜45がこれらの各光路81〜84内で障害物を感知した場合には、その障害物感知信号が発生され、アラーム音の発音と共にシャッターカーテンの下降/上昇動作を停止してその回避動作を行い、危険防止を図っている。
【0029】
図5のシャッター装置のように4組の光電センサを備えた開閉体装置の場合、
図4のステップS44〜ステップS49までのセンサチェック処理を少なくとも4回実行するため、ステップS42の所定のタイミングとして、開閉体装置の開閉動作直前にセンサチェック処理を実行すると、開閉動作の開始に支障が生じるため、複数の光電センサを備えた開閉体装置の場合は、センサチェック処理を所定の時刻に行うようにすることが好ましい。なお、複数の光電センサに対して上述のセンサチェック処理を並列的に実行することができる場合には、開閉体装置の開閉動作直前にセンサチェック処理を実行するようにしてもよい。
【0030】
また、上述の実施の形態では、シャッター停止中における所定のタイミングでセンサチェックを実行する場合について説明したが、シャッターカーテンの閉鎖側先端部が光電センサの設置位置よりも所定の距離だけ十分に離間している場合は、シャッター動作中であってもセンサチェックを実行するようにしてもよい。この場合は、センサチェック中のフラグを見て、障害物感知処理を除外するようにすることが好ましい。
上述の実施の形態では、シャッターカーテンが光電センサの障害物感知エリアを通過しないタイプの開閉体装置を例に説明したが、シャッターカーテンが光電センサの障害物感知エリアを通過するタイプの開閉体装置の場合には、シャッターカーテンが光電センサの障害物感知エリア内に存在しない状態でセンサチェックを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…シャッターケース
11…巻取シャフト
12…チェーン
13…モータ
14…位置検出装置
15…シャッター開閉機制御装置
16…スイッチング機構
2…シャッターカーテン
3,4…ガイドレール
5…リモコンスイッチ
6,7,32〜35,42〜45…光電センサ
6a…投光器
7a…受光器
6b,7b…光電センサンプ
8,81〜84…光路