【実施例】
【0042】
本発明を、実施例を用いてより具体的に例示するが、本発明はこの実施例に記載された内容によって限定されるものではない。
【0043】
<シートの作製方法>
樹脂Aとして、二液型シリコーン樹脂(KER−2500、信越化学工業製)に蛍光体を、真空脱泡装置(ARV−310、THINKY社製)を用いて溶融混練し、蛍光体ペーストを作製する。次に、30mm×30mm、深さは調節した開口部を有するスペーサ枠を用いて、開口部に前記ペーストを流し込む。その後、150℃で1時間加熱して硬化させ、蛍光体含有シートを作製した。
【0044】
<シートの各層の厚み評価>
[実施例1]
色度が(0.289,0.294)になるように、赤色蛍光体CASNが、体積頻度が0.9%になるように前記シリコーン樹脂と混合し、シートの厚みが0.5mmになるように蛍光体含有シートを作製した。同様に、緑色蛍光体β−SiAlONが、体積頻度が5.5%になるように前記シリコーン樹脂と混合し、シートの厚みが0.5mmになるように前記作製方法で蛍光体含有シートを作製した。更に、赤色蛍光体含有シートが励起光源に近い位置に配置され、励起光源に遠い位置に緑色蛍光体含有シートを重ねた。最後に、励起光の光が入射する面と、前記入射した光が外部に出射する面に、微細凹凸構造を形成させた。
図11に示す微細凹凸構造のパタンピッチ距離が0.2μmであり、微細凹凸構造の凸部の高さが0.4μmであるようにし、これを蛍光体含有多層膜シートとした。
【0045】
[比較例1]
シートの厚みを0.7mmに変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0046】
[比較例2]
シートの厚みを1.0mmに変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0047】
[実施例2]
赤色蛍光体CASNの体積頻度が2.3%、シートの厚みが0.2mmになるように、緑色蛍光体β−SiAlONの体積頻度が16.4%、シートの厚みが0.2mm、微細凹凸構造のパタンピッチ距離が0.05μmに変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0048】
[比較例3]
シートの厚みを0.1mmに変更したこと以外、実施例2と同様である。
【0049】
[比較例4]
シートの厚みを0.05mmに変更したこと以外、実施例2と同様である。
【0050】
<シートの評価>
各実施例および比較例で製膜したシートを、ピーク波長450nm、半値幅20nm、発光強度0.0123Wの青色LED治具に乗せて、LEDを点灯させ、全光束測定システム(全光束測定(φ1000mm)システム、大塚電子社製)を用いて、全光束を測定した。
【0051】
図7に実施例1、比較例1、および比較例2の発光スペクトルを示す。表1に実施例1、比較例1、及び、比較例2の全光束を示す。
図7、表1より、シートの厚さが0.5mmを超える比較例1、比較例2が、本実施形態である実施例1のシートより全光束が小さくなり、目的の色度にならないことがわかる。
【0052】
図8に実施例2、比較例3、および比較例4の蛍光体からの発光スペクトルを示す。表1にそれぞれの全光束を示す。シートの厚さが0.2mm未満である比較例3、比較例4は、目的の色度にならず、全光束も小さかった。
【0053】
<蛍光体層の積層順検討>
同じ色度の下、励起光源に近い方に発光波長が長い蛍光体を含有する蛍光体層から順に積層したものと、発光波長が短い蛍光体を含有する蛍光体層から順に積層したものとの比較を行った。
【0054】
図4、
図5を基に、シートの厚みをそれぞれ0.5mm、蛍光体の体積頻度を調節し、光源の色度が(0.345,0.352)(=昼白色)、あるいは(0.437,0.404)(=電球色)に色度調整した際の発光スペクトルおよび全光束を測定した。
【0055】
[実施例3]
励起光源に近い位置に赤色蛍光体であるCASNを体積頻度1.3%含有し、厚さが0.5mmであるシート配置させ、緑色蛍光体であるβ―SiAlONを体積頻度7.1%含有し、厚さ0.5mmであるシートを積層させ、色度が(0.345,0.352)になるようにしたこと以外、実施例1と同じである。
【0056】
[比較例5]
緑色蛍光体であるβ―SiAlONを体積頻度5.0%含有したシートを励起光源に近い位置に配置させ、赤色蛍光体であるCASNを体積頻度2.4%含有したシートを積層するよう変更した以外は、実施例3と同様である。
【0057】
[実施例4]
色度が(0.437,0.404)になるように赤色蛍光体であるCASNを体積頻度2.0%、緑色蛍光体であるβ―SiAlONを体積頻度10.1%に変更したこと以外、実施例3と同様である。
【0058】
[比較例6]
色度が(0.437,0.404)になるように緑色蛍光体であるβ―SiAlONを体積頻度5.9%、赤色蛍光体であるCASNを体積頻度4.3%に変更したこと以外、比較例5と同様である。
【0059】
実施例3および比較例5の発光スペクトルを
図9に示す。実施例4および比較例6を
図10に示す。表1に実施例3、実施例4、比較例5、および比較例6の全光束値を示す。ここから、本実施形態の方が全光束は大きい。
【0060】
[比較例7]
表面の凹凸のパタンピッチ距離が0.5μmであり、凸部の高さが0.5μmに変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0061】
[比較例8]
表面の凹凸のパタンピッチ距離が0.4μmであり、凸部の高さが0.5μmに変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0062】
[比較例9]
表面の凹凸のパタンピッチ距離が0.5μmであり、凸部の高さが0.4μmに変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0063】
[比較例10]
表面の凹凸のパタンピッチ距離が0.04μmであり、凸部の高さが0.04μmに変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0064】
表1に実施例1、比較例7〜10の全光束を示す。実施例1が全光束は大きくなった。
【0065】
[比較例11]
色度が(0.289,0.294)になるように、赤色蛍光体であるCASNを体積頻度1.6%、緑色蛍光体であるβ−SiAlONを体積頻度4.3%になるようにシリコーン樹脂と混合し、厚み0.5mmの同一層に赤色蛍光体と緑色蛍光体が共存し、単層構造に変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0066】
表1に実施例1と比較例11の全光束を示す。実施例1の方が全光束は大きくなった。
【0067】
[実施例5]
色度が(0.437,0.404)になるように赤色蛍光体であるCASNを体積頻度2.0%、厚さが0.5mmであるシート、緑色蛍光体であるβ―SiAlONを体積頻度36.9%、厚さが0.2mmに変更したこと以外、実施例4と同様である。
【0068】
[比較例12]
緑色蛍光体であるβ―SiAlONを体積頻度99.9%、厚さが0.1mmに変更したこと以外、実施例5と同様である。
【0069】
[比較例13]
緑色蛍光体であるβ―SiAlONを体積頻度4.6%、厚さが1.0mmに変更したこと以外、実施例5と同様である。
【0070】
表1に実施例5、比較例12および比較例13の全光束を示す。実施例5の方が全光束は大きくなった。
【0071】
[実施例6]
樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名エピコート806、ジャパンエポキシレジン株式会社製)に変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0072】
表1より、実施例6は実施例1と同程度の全光束であった。
【0073】
【表1】