(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持装置は、前記中性子線が照射されるように第1圧力容器を保持する第1保持部と、前記第1圧力容器を通過した前記中性子線が照射されるように第2圧力容器を保持する第2保持部と、を有する請求項2に記載の減速装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
以下の実施形態においては、中性子線照射装置1が放射線療法に使用される例について説明する。なお、中性子線照射装置1が適用される技術分野は、医療分野に限られず、工業分野でもよい。例えば、中性子線照射装置1が、機器又は構造物のような検査対象物に中性子線Nを照射して、その検査対象物の内部を非破壊で検査する検査装置に適用されてもよい。
【0014】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る中性子線照射装置1の一例を示す模式図である。中性子線照射装置1は、被照射体Sに中性子線Nを照射する。本実施形態において、中性子線照射装置1は、ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)に使用される。本実施形態において、中性子線Nが照射される被照射体Sは、患者である。患者にホウ素化合物が投与される。ホウ素化合物が投与された患者の病巣部(照射対象部)に中性子線Nが照射される。病巣部に取り込まれたホウ素化合物と、その病巣部に照射された中性子線Nとの核反応により、病巣部が治癒される。
【0015】
図1に示すように、中性子線照射装置1は、荷電粒子を加速して荷電粒子線Pを射出する加速装置2と、加速装置2から射出された荷電粒子線Pの照射状態を調整する調整装置3と、荷電粒子線Pの照射により中性子線Nを発生するターゲット5と、ターゲット5で発生した中性子線Nを減速する減速装置6と、減速装置6から射出された中性子線Nを平行化するコリメータ7と、を備えている。コリメータ7から射出された中性子線Nが被照射体Sに照射される。
【0016】
加速装置2は、円形加速器又は直線加速器を含む。加速装置2は、荷電粒子(陽子、電子、又は重粒子)を加速して、荷電粒子線(陽子線、電子線、又は重粒子線)Pを生成して射出する。
【0017】
調整装置3は、複数の電磁石を含み、加速装置2から射出された荷電粒子線Pの照射状態を調整する。荷電粒子線Pの照射状態は、荷電粒子線Pの進行方向の調整及び荷電粒子線Pの整形を含む。調整装置3は、荷電粒子線Pの発散を抑制し、荷電粒子線Pを集束させる。調整装置3は、加速装置2から射出された荷電粒子線Pを走査装置4に導く。
【0018】
本実施形態において、中性子線照射装置1は、荷電粒子線Pを走査する走査装置4を備える。走査装置4は、荷電粒子線Pを走査し、ターゲット5に対する荷電粒子線Pの照射位置を調整する。また、走査装置4は、ターゲット5に照射される荷電粒子線Pを整形する。なお、走査装置4は無くてもよい。
【0019】
加速装置2から射出され、調整装置3及び走査装置4を通過した荷電粒子線Pは、ターゲット5に照射される。ターゲット5は、荷電粒子線Pの照射により、中性子線Nを発生する。ターゲット5を、中性子線発生部材5、と称してもよい。ターゲット5は、例えばベリリウム(Be)、リチウム(Li)、又はそれらを含む化合物で形成された液体又は固体の板状の部材を含む。ターゲット5は、円形又は矩形の板状の固体部材でもよいし、加熱された液体リチウムでもよい。例えば、厚さが一定になるように流し続けられた液体リチウムをターゲット5として使用してもよい。
【0020】
減速装置6は、ターゲット5で発生した中性子線Nを減速する。減速装置6は、中性子線Nの進路において、ターゲット5と被照射体Sとの間に配置される。ターゲット5は、高エネルギーの高速中性子を発生する。減速装置6は、高速中性子のエネルギーを低減して、低速で低エネルギーの中性子(熱中性子又は熱外中性子)を生成する。
【0021】
コリメータ7は、減速装置6から射出された中性子線Nを平行化する。コリメータ7により平行化され、そのコリメータ7から射出された中性子線Nが被照射体Sに照射される。
【0022】
次に、本実施形態に係る中性子線Nの減速装置6の一例について説明する。
図2は、本実施形態に係る減速装置6の一例を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る減速装置6の一例を示す断面図である。
図2及び
図3に示すように、減速装置6は、水素ガスGが封入された圧力容器10を有する。圧力容器10は、内部空間11を有する。水素ガスGは、圧力容器10の内部空間11に収容される。
【0023】
ターゲット5で発生した中性子線Nは、圧力容器10に照射される。圧力容器10は、ターゲット5からの中性子線Nが入射する入射面12を有する。入射面12に照射された中性子線Nは、内部空間11の水素ガスGを通過した後、圧力容器10から射出される。中性子線Nは、内部空間11の水素ガスGを通過することによって減速される。圧力容器10から射出された中性子線Nは、コリメータ7に供給される。
【0024】
本実施形態において、圧力容器10は、円筒部111と、円筒部111の一端部に配置された円板部112と、円筒部111の他端部に配置された円板部113とを有する。円筒部111の表面は、曲面である。円板部112の表面は、平面である。円板部113の表面は、平面である。本実施形態において、円板部112が入射面12を有する。
【0025】
内部空間11の水素ガスGを通過した中性子線Nの少なくとも一部は、円板部113の表面13から射出される場合もあるし、円筒部111の表面から射出される場合もあるし、円板部112の表面(入射面)12から射出される場合もある。本実施形態においては、便宜上、内部空間11を通過した中性子線Nが円板部113の表面13から射出されることとする。以下の説明において、円板部113の表面を適宜、射出面13、と称する。
【0026】
また、本実施形態においては、コリメータ7が射出面13と対向するように配置されることとする。なお、上述のように、内部空間11を通過した中性子線Nは、円筒部111から射出される場合もある。したがって、コリメータ7は、円筒部111の表面と対向するように配置されてもよい。例えば、
図1において、コリメータ7が減速装置6(圧力容器10)の上方に配置されてもよい。
【0027】
円筒部111の軸と平行な方向に関して、円筒部111の寸法Hは、1cm以上50cm以下である。本実施形態において、円筒部111の軸と平行な方向は、中性子線Nの進行方向と実質的に等しい。本実施形態において、寸法Hは、約5cmである。
【0028】
円板部112の外形と円板部113の外形とは等しい。円板部112の直径の寸法D及び円板部113の直径の寸法Dは、2cm以上50cm以下である。本実施形態において、寸法Dは、約10cmである。
【0029】
本実施形態において、圧力容器10の内部空間11の水素ガスGの圧力は、10MPa以上200MPa以下である。なお、水素ガスGの圧力が10MPaである場合、その水素ガスGの密度は、液体水素の約10%程度である。水素ガスGの圧力が200MPaである場合、その水素ガスGの密度は、液体水素と同等の密度である。
【0030】
圧力容器10の内部空間11の水素ガスGの圧力は、好ましくは、20MPa以上100MPa以下である。より好ましくは、水素ガスGの圧力は、30MPa以上80MPa以下である。
【0031】
圧力容器10は、金属又は合成樹脂で形成される。圧力容器10の材料として、中性子吸収性能及び中性子散乱性能が低く、耐圧性が高い材料が選択される。圧力容器10の壁の厚さの寸法Wは、水素ガスGの圧力に耐えることができ、かつ、中性子の吸収又は散乱による中性子の減少が抑制される寸法に調整されている。寸法Wが大きいと、圧力容器10は、高い圧力に耐えることができる。寸法Wが小さいと、圧力容器10による中性子の吸収及び散乱が抑制される。本実施形態において、圧力容器10の壁の厚さとは、円筒部111の厚さ、円板部112の厚さ、及び円板部113の厚さを含む。
【0032】
圧力容器10を含む中性子線照射装置1は、通常環境(常温環境)で使用される。通常環境とは、圧力容器10(中性子線照射装置1)の使用において、その圧力容器10が配置される環境を含む。通常環境とは、圧力容器10専用の温度調整設備が存在せず、一般の空調設備によって生成される環境を含む。通常環境は、例えば、0℃以上40℃以下の環境である。なお、圧力容器10が、例えば−80℃程度の寒冷地で使用される場合もある。また、圧力容器10が、例えば+60℃程度の熱帯地で使用される場合もある。本実施形態において、圧力容器10が使用される通常環境とは、−100℃以上の環境を含む。
【0033】
次に、本実施形態に係る減速装置6の設置方法の一例について説明する。
図4、
図5、及び
図6は、本実施形態に係る減速装置6の設置方法の一例を説明するための模式図である。
【0034】
圧力容器10の内部空間11に対する水素ガスGの充填作業が行われる。
図4に示すように、圧力容器10は、圧力容器10の内部空間11に供給される水素ガスGが流れる供給流路20と、供給流路20を開閉可能な開閉機構21とを有する。開閉機構21は、バルブ機構を含み、供給流路20を開閉可能である。
【0035】
水素ガスGの充填作業において、供給流路20は開放される。コンプレッサを含む水素ガス供給装置22から、供給流路20を介して、内部空間11に水素ガスGが供給される。水素ガス供給装置22は、内部空間11の水素ガスGの圧力が、所期の値(10MPa以上200MPa以下)になるように、内部空間11に水素ガスGを供給する。
【0036】
内部空間11の水素ガスGの圧力が所期の値になった後、
図5に示すように、開閉機構21により、供給流路20が閉鎖される。これにより、水素ガスGが内部空間11に封入される。供給流路20が閉鎖されることにより、内部空間11の水素ガスGは、外部空間に流出しない。外部空間のガスは、内部空間11に流入しない。供給流路20が閉鎖されることにより、内部空間11の水素ガスGの圧力は、所期の値に維持される。
【0037】
水素ガスGの充填作業が終了した後、圧力容器10と水素ガス供給装置22との接続が解除される。これにより、圧力容器10が容易に搬送可能となる。圧力容器10は、中性子線Nの進路に配置される。すなわち、圧力容器10は、ターゲット5から射出された中性子線Nが照射可能な位置に配置される。
【0038】
図6は、圧力容器10が中性子線Nの進路に配置された状態の一例を示す図である。
図6に示すように、本実施形態において、減速装置6は、圧力容器10を支持する支持装置30を備えている。支持装置30は、圧力容器10を着脱可能に保持する保持部31を有する。保持部31は、支持台32に設けられる。
【0039】
また、支持装置30は、保持部31に保持された圧力容器10の位置を調整する調整装置33を備えている。
図6において、調整装置33は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に関する保持部31(支持台32)の位置を調整可能である。X軸方向は、中性子線Nの進行方向と実質的に等しい。Z軸方向は、保持部31の高さ方向である。調整装置33は、保持部31をX軸方向に移動することによって、ターゲット5と圧力容器10との距離、及びコリメータ7と圧力容器10との距離を調整可能である。また、調整装置33は、保持部31をY軸方向及びZ軸方向の少なくとも一方に移動することによって、入射面12に対する中性子線Nの照射位置を調整可能である。
【0040】
圧力容器10が支持装置30に支持され、圧力容器10の位置が調整装置33により調整された後、中性子線照射装置1が起動される。加速装置2が起動されることにより、加速装置2から荷電粒子線Pが射出される。加速装置2から射出された荷電粒子線Pは、調整装置3及び走査装置4を通過した後、ターゲット5に照射される。荷電粒子線Pの照射により、ターゲット5は中性子線Nを発生する。ターゲット5で発生した中性子線Nは、圧力容器10の入射面12に入射する。中性子線Nは、入射面12に入射した後、内部空間11の水素ガスGを通過する。水素ガスGを通過することによって、中性子線Nは減速される。減速された中性子線Nは、射出面13から射出される。射出面13から射出された中性子線Nは、コリメータ7を通過した後、被照射体Sに照射される。
【0041】
本実施形態においては、圧力容器10に中性子線Nが照射されている状態において、供給流路20は、開閉機構21により閉じられている。圧力容器10に中性子線Nが照射されている状態において、圧力容器10に水素ガス供給装置22は接続されない。また、圧力容器10に中性子線Nが照射されている状態において、圧力容器10には、水素ガスGを循環させる循環装置も接続されないし、内部空間11の水素ガスGの圧力を調整(維持)する圧力調整装置も接続されない。すなわち、圧力容器10に中性子線Nが照射されている状態において、圧力容器10には、内部空間11の水素ガスGに関する調整を行う装置(設備)は接続されない。内部空間11の水素ガスGに関する調整を行う装置(設備)は、上述の水素ガス供給装置22、循環装置、及び圧力調整装置の少なくとも一つを含む。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、水素ガスGが封入された圧力容器10を備える減速装置6により、簡易な構造で中性子線Nを減速することができる。本実施形態においては、中性子線Nを減速させるための減速材として水素ガスGが使用されるため、減速装置6を常温環境で使用することができる。減速材として液体水素が使用される場合、大掛かりな温度調整設備(冷却設備)が必要となる。本実施形態においては、減速材として水素ガスGが使用されるため、大掛かりな温度調整設備は不要であり、減速装置6を常温環境で使用することができる。
【0043】
また、減速装置6が常温環境で使用されることにより、その減速装置6は、ターゲット5から射出された高速中性子を減速して、熱中性子又は熱外中性子を生成することができる。これにより、中性子線照射装置1は、放射線療法に適した中性子線Nを被照射体Sに照射することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、圧力容器10の内部空間11に水素ガスGのみを充填して、他の材料の存在を抑制することができる。これにより、純度及び濃度が高い水素ガスGで中性子線Nを減速させることができる。
【0045】
また、本実施形態においては、圧力容器10の水素ガスGの圧力は、10MPa以上200MPa以下である。圧力容器10の水素ガスGの圧力が所期の値(10MPa以上200MPa以下)に調整されることにより、減速装置6から所期の中性子線Nが射出される。
【0046】
内部空間11の水素ガスGの圧力が低い場合、圧力容器10の壁の厚さの寸法Wは小さくて済む。寸法Wが小さい場合、圧力容器10による中性子線Nの吸収及び散乱が抑制される。これにより、被照射体Sに照射される中性子量の減少が抑制される。
【0047】
内部空間11の水素ガスGの圧力が低い場合、内部空間11の水素ガスGの密度は低下する。水素ガスGの密度が低いと、その水素ガスGで中性子線Nが十分に減速されない可能性がある。また、圧力が低い水素ガスGで中性子を減速しようとすると、圧力容器10の容積を大きくする必要がある。その結果、ターゲット5と被照射体Sとの距離が増大し、被照射体Sに照射される中性子量が減少する可能性がある。
【0048】
内部空間11の水素ガスGの圧力が高い場合、内部空間11の水素ガスGの密度は増大する。これにより、内部空間11の水素ガスGで中性子線Nは十分に減速される。
【0049】
内部空間11の水素ガスGの圧力が高い場合、圧力容器10の強度向上のために圧力容器10の壁の厚さの寸法Wを大きくする必要がある。その結果、中性子線Nが圧力容器10に吸収又は散乱され、被照射体Sに照射される中性子量が減少する可能性がある。また、寸法Wが大きくなると、圧力容器10の製造が困難となったり、制約が発生したりする可能性がある。
【0050】
本実施形態においては、水素ガスGの密度に基づく水素ガスGの中性子減速性能、及び圧力容器10の壁の厚さの寸法Wに基づく圧力容器10の中性子吸収性能及び中性子散乱性能の両方を考慮して、中性子線Nが十分に減速され、かつ、被照射体Sに照射される中性子量の減少が抑制されるように、圧力容器10の水素ガスGの圧力が10MPa以上200MPa以下に定められる。
【0051】
また、上述のように、圧力容器10の内部空間11の水素ガスGの圧力は、好ましくは、20MPa以上100MPa以下であり、より好ましくは、30MPa以上80MPa以下である。これにより、中性子線Nが十分に減速され、かつ、被照射体Sに照射される中性子量の減少が抑制される。
【0052】
また、圧力容器10に中性子線Nが照射されている状態において、供給流路20が開閉機構21で閉鎖されることにより、内部空間11の水素ガスGに関する調整を行うための装置(設備)を圧力容器10に接続しなくても済む。したがって、簡易な構造で取り扱いが容易な減速装置6が提供される。
【0053】
また、本実施形態によれば、圧力容器10の取り扱いが容易であり、圧力容器10を容易に搬送可能であり、圧力容器10を簡単に交換可能である。本実施形態においては、圧力容器10を着脱可能に保持する保持部31を有する支持装置30が設けられる。したがって、保持部31に対して任意の圧力容器10を保持させることができ、容易に交換可能である。例えば、外形が異なる任意の圧力容器10を中性子線Nの進路に配置することができる。また、外形の寸法(寸法H、寸法D、寸法Wなど)が異なる任意の圧力容器10を中性子線Nの進路に配置することができる。また、内部空間11の水素ガスGの圧力が異なる任意の圧力容器10を中性子線Nの進路に配置することができる。例えば、用途に応じて、最適な構造(外形、寸法、圧力)の圧力容器10を中性子線Nの進路に配置することができる。
【0054】
また、本実施形態において、圧力容器10は、曲面を有する円筒部111と、その円筒部111に接続される円板部112及び円板部113とを有する。したがって、高強度な圧力容器10を提供することができる。
【0055】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0056】
図7は、本実施形態に係る減速装置6Bの一例を示す図である。
図7に示すように、減速装置6Bは、第1の圧力容器101及び第2の圧力容器102を支持する支持装置30Bを備えている。本実施形態において、支持装置30Bは、ターゲット5からの中性子線Nが照射されるように第1の圧力容器101を保持する第1保持部31Aと、第1の圧力容器101を通過した中性子線Nが照射されるように第2の圧力容器102を保持する第2保持部31Bと、を有する。
【0057】
このように、中性子線Nの進路に、複数の圧力容器(101、102)が配置されてもよい。中性子線Nの進路に配置される圧力容器10の数、及びそれら圧力容器10の構造が適宜調整されることによって、減速装置6Bによる中性子線Nの減速量を簡単に調整することができる。
【0058】
なお、中性子線Nの進路に配置される圧力容器10は、3つ以上の任意の数でもよい。
【0059】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0060】
図8は、本実施形態に係る圧力容器10Cの一例を示す断面図である。
図8に示すように、入射面12が内部空間11に対して外側に突出する凸面(曲面)を含んでもよい。射出面13が内部空間11に対して外側に突出する凸面(曲面)を含んでもよい。
【0061】
図9は、本実施形態に係る圧力容器10Dの一例を示す断面図である。
図9に示すように、入射面12が内部空間11側に凹む凹面(曲面)を含んでもよい。射出面13が内部空間11側に凹む凹面(曲面)を含んでもよい。
【0062】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0063】
図10は、本実施形態に係る圧力容器10Eの一例を示す断面図である。圧力容器10Eは、球形である。圧力容器10Eの表面は、球面(曲面)である。
図10に示す圧力容器10Eは、球形なので、高い強度を得ることができる。また、高強度が得られる形状なので、圧力容器10Eの壁を厚さの寸法Wを小さくすることができる。したがって、圧力容器10Eが中性子線Nを吸収又は散乱してしまうことが抑制される。
【0064】
なお、球状の圧力容器10Eが、中性子線Nの進路に複数配置されてもよい。
【0065】
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0066】
図11は、本実施形態に係る減速装置6Fの一例を模式的に示す断面図である。本実施形態において、減速装置6Fは、容器40と、容器40に収容された複数の圧力容器10Fとを有する。上述の第4実施形態で説明した圧力容器10Eと同様、圧力容器10Fは、球状である。複数の圧力容器10Fの内部空間のそれぞれに水素ガスが封入される。
【0067】
容器40は、中性子線Nが入射する入射面12Fと、中性子線Nが射出される射出面13Fとを有する。容器40の内側において、複数の圧力容器10Fは、互いに接触するように配置される。容器40の内側において、圧力容器10Fは、所謂、六方最密充填構造(六方格子)となるように配置される。入射面12Fに入射した中性子線Nは、容器40の内部空間に配置されている複数の圧力容器10Fを通過した後、射出面13Fから射出される。
【0068】
本実施形態においても、構造の複雑化が抑制され、取り扱いが容易な減速装置6Fが提供される。
【0069】
なお、上述の各実施形態においては、減速装置6(圧力容器10)が、中性子線照射装置1に使用される例について説明した。減速装置6(圧力容器10)が、例えば、原子力発電プラントの原子炉から放射される中性子を減速するように配置されてもよい。