特許第6351301号(P6351301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351301
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 7/14 20060101AFI20180625BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20180625BHJP
   B60L 1/02 20060101ALI20180625BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B60L7/14
   B60L1/00 L
   B60L1/02
   B60H1/22 671
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-36199(P2014-36199)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-162947(P2015-162947A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2017年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】下永吉 裕親
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−196404(JP,A)
【文献】 特開2013−240230(JP,A)
【文献】 特開平11−348550(JP,A)
【文献】 特開2012−197062(JP,A)
【文献】 特開2010−151200(JP,A)
【文献】 特開2012−6525(JP,A)
【文献】 特開2005−33981(JP,A)
【文献】 特開2014−53989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 7/14
B60H 1/22
B60L 1/00
B60L 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータおよびバッテリを搭載した車両用の制御装置であって、
前記モータで動力を電力に回生させ、前記車両に作用する回生制動力を発生させる回生制動手段と、
回生制動力の発生時に、前記モータで回生される電力が前記バッテリに充電可能な電力を超える場合、前記車両に搭載されている電気負荷の消費電力を増大させる消費電力増大手段とを含み、
前記電気負荷には、空調ダクト内に配置されるエバポレータを備え、前記車両の車室内を冷房する冷房装置と、前記空調ダクト内に配置されるヒータコアを備え、前記車室内を暖房する暖房装置とが含まれ、
前記消費電力増大手段は、前記空調ダクト内を流れる送風が前記冷房装置の前記エバポレータを通過することによる冷房能力の増大量と前記空調ダクト内を流れる送風が前記暖房装置の前記ヒータコアを通過することによる暖房能力の増大量とが等しくなるように、前記冷房能力および前記暖房能力を増大させることにより消費電力を増大させる、車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッドカーなどの車両用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッドカーなどの車両では、バッテリから走行用モータに電力が供給されて、走行用モータの出力が車両の駆動輪に伝達される。制動時には、走行用モータで車輪からの動力が電力に回生されて、その回生により生じる制動力(回生制動力)が車輪に作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行用モータで回生される電力は、バッテリに充電される。バッテリを過充電から保護するため、バッテリの充電率を表すSOC(State Of Charge)などから決まる充電可能電力を回生電力が上回ると、走行用モータにおける回生量が制限される。
【0005】
ところが、回生量が制限されると、回生制動力が通常よりも弱まるため、運転者にブレーキフィーリングの変化による違和感を与えてしまう。ブレーキフィーリングの変化を抑えることを優先し、制動中における回生量の制限をなくすと、過充電によるバッテリの劣化を招く。
【0006】
本発明の目的は、ブレーキフィーリングの変化を抑制でき、かつ、過充電によるバッテリの劣化を抑制できる、車両用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両用制御装置は、モータおよびバッテリを搭載した車両用の制御装置であって、モータで動力を電力に回生させ、車両に作用する回生制動力を発生させる回生制動手段と、回生制動力の発生時に、モータで回生される電力がバッテリに充電可能な電力を超える場合、車両に搭載されている電気負荷の消費電力を増大させる消費電力増大手段とを含む。
【0008】
この構成によれば、車両の制動時には、モータで動力が電力に回生され、回生制動力が車両に作用する。このとき、モータで回生される電力は、バッテリに充電される。モータで回生される電力がバッテリに充電可能な電力を超える場合には、モータで回生される電力の全部をバッテリに充電することができないため、車両に搭載されている電気負荷の消費電力が増大される。
【0009】
これにより、バッテリのSOCが100%に近い状態であっても、モータにおける回生量を制限せずに、車両のブレーキペダルなどの操作に応じた回生制動力を車両に作用させることができる。その結果、ブレーキフィーリングの変化を抑制することができる。
【0010】
また、モータで回生される電力が電気負荷により消費されるので、バッテリを過充電から保護することができる。そのため、過充電によるバッテリの劣化を抑制することができる。
【0011】
モータで回生される電力がバッテリに充電可能な電力を超える場合に、車室内を冷房する冷房装置と車室内を暖房する暖房装置とを並行して動作させることにより、消費電力が増大されてもよい。
【0012】
冷房装置または暖房装置の一方のみを動作させると、車室内の気温が変化し、運転者や同乗者による体感温度が変化する。冷房装置および暖房装置を並行して動作させることにより、車室内の気温の変化を抑制でき、運転者や同乗者による体感温度の変化を抑制できながら、消費電力を増大させることができる。
【0013】
冷房装置と暖房装置とを並行して動作させる場合、冷房装置の冷房能力と暖房装置の暖房能力とが等しくなるように、冷房装置および暖房装置の出力が制御されることが好ましい。
【0014】
これにより、車室内の気温の変化を一層抑制することができ、運転者や同乗者による体感温度の変化を一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ブレーキフィーリングの変化を抑制することができ、かつ、過充電によるバッテリの劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用制御装置が搭載された車両の要部の構成を図解的に示す図である。
図2】ECUにより実行される回生制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3】回生制動時の空調能力および消費電力の増大量の一例を示す図である。
図4】車両がハイブリッドカーである場合における回生制動時の空調能力および消費電力の増大量の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置が搭載された車両1の要部の構成を図解的に示す図である。
【0019】
車両1は、走行用モータ2を搭載した電気自動車(EV:Electric Vehicle)である。
【0020】
走行用モータ2には、インバータ(INV)3が接続されている。
【0021】
インバータ3には、バッテリ4が接続されている。
【0022】
走行用モータ2の駆動時には、バッテリ4が出力する直流電力がインバータ3に供給される。そして、その直流電力がインバータ3で交流電力に変換され、その変換後の交流電力がインバータ3から走行用モータ2に供給されることにより、走行用モータ2が駆動力を発生する。
【0023】
走行用モータ2が発生する駆動力は、変速機(図示せず)およびディファレンシャルギヤ5を介して、ディファレンシャルギヤ5から左右に延びるドライブシャフト6L,6Rに伝達され、ドライブシャフト6L,6Rを回転させる。そして、ドライブシャフト6L,6Rの回転がそれぞれ駆動輪7L,7Rに伝達されることにより、駆動輪7L,7Rが前進方向または後進方向に回転駆動される。
【0024】
車両1の制動時には、走行用モータ2が発電機として機能する。すなわち、ドライブシャフト6L,6Rの回転が走行用モータ2の出力軸に伝達され、その出力軸の回転が交流電力に回生される。このとき、走行用モータ2が抵抗となり、その抵抗が回生制動力として車両1に作用する。走行用モータ2で回生される交流電力は、インバータ3で直流電力に変換される。インバータ3が出力する直流電力は、バッテリ4に供給され、バッテリ4に蓄えられる。
【0025】
また、車両1には、エアコンディショナ11が搭載されている。エアコンディショナ11は、ヒータ・クーラ分離式の構成であり、空調ダクト12と、空調ダクト12を車室内に向けて流れる送風を生成するブロワ13と、空調ダクト12を流れる送風を冷やすための冷房装置14と、空調ダクト12を流れる送風を暖めるための暖房装置15とを備えている。
【0026】
冷房装置14は、エバポレータ21を備えている。エバポレータ21は、空調ダクト12内に配置されている。エバポレータ21には、冷媒循環路22が接続されている。冷媒循環路22には、電動エアコンプレッサ(A/C)23およびコンデンサ24が介装されている。
【0027】
電動エアコンプレッサ23が駆動されると、電動エアコンプレッサ23で圧縮された冷媒がコンデンサ24に供給される。コンデンサ24では、その圧縮された冷媒が冷却されることにより、冷媒の液化が進む。コンデンサ24に対して冷媒の流通方向の下流側には、レシーバ(図示せず)およびエキスパンションバルブ(図示せず)が設けられている。コンデンサ24から流出する冷媒は、レシーバに供給される。レシーバでは、気化したままの冷媒と液化した冷媒とが分離される。そして、液化した冷媒のみがレシーバからエキスパンションバルブに送られ、その液化した冷媒がエキスパンションバルブからエバポレータ21に噴射されることにより、エバポレータ21が冷却される。
【0028】
ブロワ13からの送風は、エバポレータ21を通過することによって冷やされ、冷風となって、空調ダクト12内を車室内に向けて流れる。
【0029】
暖房装置15は、ヒータコア31を備えている。ヒータコア31は、空調ダクト12内において、エバポレータ21よりも車室内側に配置されている。ヒータコア31には、温水循環路32が接続されている。温水循環路32には、電動ポンプ33および電気式のヒータ34(たとえば、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ)が介装されている。
【0030】
電動ポンプ33が駆動されると、温水循環路32を水が循環する。ヒータ34は、電動ポンプ33に対して水の流通方向の下流側であって、ヒータコア31に対してその流通方向の上流側に配置されている。温水循環路32を循環する水は、ヒータ34によって加熱されて温水となり、ヒータコア31に供給される。これにより、ヒータコア31が温水によって加熱される。
【0031】
空調ダクト12内には、エバポレータ21とヒータコア31との間に、エアミックスダンパ(図示せず)が設けられている。エアミックスダンパの位置により、ヒータコア31を通過する送風量とヒータコア31を通過しない送風量とが調整される。ヒータコア31を通過する送風は、ヒータコア31によって加熱される。ヒータコア31を通過した送風とヒータコア31を通過しない送風とが混合されることにより、適当な温度の空調風となり、その空調風が車室内に向けて流れる。
【0032】
車両1には、車両用制御装置の一例としてのECU(電子制御ユニット)41が搭載されている。ECU41は、CPU、ROMおよびRAMなどを含む構成である。
【0033】
ECU41には、車両1の走行速度(車速)を検出する車速センサ、アクセルペダル(図示せず)の操作量を検出するためのアクセルセンサ、ブレーキペダル(図示せず)の操作量を検出するためのブレーキセンサ、バッテリ4に入出力される電流を検出する電流センサ、車室内の気温を検出する温度センサなどの各種センサ(図示せず)の出力信号が入力される。
【0034】
また、ECU41には、インバータ3、ブロワ13、電動エアコンプレッサ23、電動ポンプ33およびヒータ34が制御対象として接続されている。
【0035】
ECU41は、アクセルペダルの操作量に基づいて、インバータ3を制御することにより、バッテリ4から走行用モータ2への電力の供給を制御する。また、ECU41は、車速およびブレーキペダルの操作量に基づいて、走行用モータ2での回生を制御する。また、ECU41は、バッテリ4に入出力される電流量に基づいて、バッテリ4の充電率であるSOC(State Of Charge)を演算する。そして、その演算したSOCなどに基づいて、ECU41は、回生制御時に、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34を必要に応じて制御する。また、ECU41は、車室内の気温などに基づいて、ブロワ13、電動エアコンプレッサ23、電動ポンプ33およびヒータ34を制御する。
【0036】
図2は、ECU41により実行される回生制御処理の流れを示すフローチャートである。図3は、回生制動時の空調能力および消費電力の増大量の一例を示す図である。
【0037】
運転者によりブレーキペダルが操作されると、ECU41は、図2に示される回生制御処理を実行する。
【0038】
回生制御処理では、ECU41は、まず、ブレーキペダルの操作開始時の車速およびブレーキペダルの操作量に基づいて、走行用モータ2から出力される回生制動力の目標値である目標回生制動力を設定する(ステップS1)。
【0039】
次に、その目標回生制動力および車速に基づいて、ECU41は、走行用モータ2で回生される電力である目標回生電力を演算する(ステップS2)。
【0040】
また、ECU41は、バッテリ4のSOCに基づいて、バッテリ4に充電することが可能な電力である充電可能電力を演算する(ステップS3)。充電可能電力は、バッテリ4の過充電を防止するため、たとえば、SOCが増加するほど減少し、上限値では0となるようなテーブルから求めることができる。
【0041】
そして、ECU41は、目標回生電力が充電可能電力を超えているか否かを判定される(ステップS4)。
【0042】
目標回生電力が充電可能電力を超えている場合には(ステップS4のYES)、ECU41は、その目標回生電力と充電可能電力との差分の電力が追加して消費されるように、車両1に搭載されている電気負荷により消費される電力を増大させる(ステップS5)。
【0043】
具体的には、ECU41は、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34の各出力を増大させることにより、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34による消費電力を増大させる。より具体的には、ECU41は、冷房装置14の冷房能力の増大量と暖房装置15の暖房能力の増大量とが等しくなるように、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34の出力を増大させることにより、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34による消費電力を増大させる。
【0044】
たとえば、ECU41は、図3に示されるように、冷房装置14の冷房能力および暖房装置15の暖房能力の両方が1kWずつ増大するように、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34の各出力を増大させる。この場合、空調能力(冷房能力+暖房能力)としては、±0kWでありながら、電動エアコンプレッサ23による消費電力が0.2kW(200W)増大し、ヒータ34による消費電力が1kW増大し、消費電力が合計で1.2kW増大する。
【0045】
そして、ECU41は、目標回生制動力が得られるように、走行用モータ2を制御し(ステップS6:回生制御)、回生制御処理を終了する。これにより、走行用モータ2から目標回生制動力に等しい回生制動力が出力され、その回生制動力が車両1に作用する。このとき、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34による消費電力が増大されているので、走行用モータ2で回生される電力のうち、バッテリ4に充電不可能な余剰分(目標回生電力と充電可能電力との差分)の電力は、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34により消費される。したがって、バッテリ4は、充電可能電力値以下で充電され、バッテリ4のSOCは、制御上限値を超えない。
【0046】
目標回生電力が充電可能電力以下である場合には(ステップS4のNO)、ECU41は、電気負荷の消費電力を増大せず(ステップS5のスキップ)、目標回生制動力が得られるように、走行用モータ2を制御し(ステップS6)、回生制御処理を終了する。この場合、走行用モータ2で回生される電力はすべて、バッテリ4に充電される。
【0047】
以上のように、車両1の制動時には、走行用モータ2で動力が電力に回生され、回生制動力が車両1に作用する。このとき、走行用モータ2で回生される電力は、バッテリ4に充電される。走行用モータ2で回生される電力である目標回生電力がバッテリ4に充電可能な電力である充電可能電力を超える場合には、走行用モータ2で回生される電力の全部をバッテリ4に充電することができない。そのため、車両1に搭載されている電動エアコンプレッサ23およびヒータ34の消費電力が増大され、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34により、バッテリ4に充電不可能な余剰分の電力が消費される。
【0048】
これにより、バッテリ4のSOCが制御上限値に近い状態であっても、走行用モータ2における回生量を制限せずに、車両1のブレーキペダルなどの操作に応じた回生制動力を車両1に作用させることができる。その結果、ブレーキフィーリングの変化を抑制することができる。
【0049】
そして、走行用モータ2で回生される電力が電動エアコンプレッサ23およびヒータ34により消費されるので、バッテリ4の過充電を防止することができる。そのため、過充電によるバッテリ4の劣化を抑制することができる。
【0050】
また、冷房装置14の冷房能力と暖房装置15の暖房能力とが等しくなるように、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34の出力が増大される。これにより、車室内の気温の変化が抑制される。その結果、運転者や同乗者による体感温度の変化を抑制できながら、消費電力を増大させることができる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0052】
たとえば、車両1は、電気自動車に限らず、ハイブリッドカー(HV:Hybrid Vehicle)にであってもよい。車両1がハイブリッドカーである場合、暖房の熱源として、エンジンが利用されてもよい。この場合、図4に示されるように、冷房装置14の冷房能力および暖房装置15の暖房能力の両方が1kWずつ増大されても、暖房能力の増大による消費電力の増大はないので、消費電力の増大は0.2kWとなる。
【0053】
また、前述の実施形態では、冷房装置14の冷房能力と暖房装置15の暖房能力とが等しくなるように、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34の出力が増大される構成を取り上げたが、運転者や同乗者が体感温度の変化を感じない程度であれば、冷房装置14の冷房能力と暖房装置15の暖房能力とに差がつけられてもよい。たとえば、冬場は、送風により体感温度が低くなるので、ヒータ34の出力がさらに増大されて、暖房装置15の暖房能力が冷房装置14の冷房能力より高くされてもよい。一方、夏場、車室内の湿度が比較的高い場合(所定湿度よりも高い場合)には、送風により体感温度が高くなるので、電動エアコンプレッサ23の出力がさらに増大されて、冷房装置14の冷房能力が暖房装置15の暖房能力より高くされてもよい。夏場であっても、車室内の湿度が比較的低い場合には、冷房装置14の冷房能力が高いと、運転者や同乗者が肌寒いと感じるおそれがあるので、冷房装置14の冷房能力と暖房装置15の暖房能力とが等しくされることが好ましい。
【0054】
また、電動エアコンプレッサ23およびヒータ34に限らず、ブロワ13の送風量を増大させることにより、ブロワ13により消費される電力が増大されてもよい。この場合、空調ダクト12から車室内への送風量が増大するので、運転者や同乗者による体感温度が変化しないように、電動エアコンプレッサ23および/またはヒータ34の出力が調整されることが好ましい。
【0055】
また、ヒータ・クーラ分離式のエアコンディショナ11を取り上げたが、本発明は、ヒートポンプ式のエアコンディショナを搭載した車両にも適用することができる。
【0056】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 車両
2 走行用モータ(モータ)
4 バッテリ
14 冷房装置
15 暖房装置
23 電動エアコンプレッサ(負荷)
34 ヒータ(負荷)
41 ECU(車両用制御装置)
図1
図2
図3
図4