特許第6351318号(P6351318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6351318携帯医療器具の管理システム、装着医療機器、携帯医療器具、および携帯医療器具の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351318
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】携帯医療器具の管理システム、装着医療機器、携帯医療器具、および携帯医療器具の管理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20180625BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20180625BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20180625BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20180625BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   A61B5/00 102A
   A61M5/00
   A61M5/142
   A61B5/145
   G01N33/48 Z
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-54019(P2014-54019)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-173915(P2015-173915A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】虎井 裕
(72)【発明者】
【氏名】野村 孝文
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−503288(JP,A)
【文献】 特開2007−160089(JP,A)
【文献】 特開2013−226396(JP,A)
【文献】 特表2008−529569(JP,A)
【文献】 特開2012−045373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/01
A61B 5/06−5/22
A61M 3/00−9/00
A61M 31/00
A61M 39/00−39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血糖値管理のために皮膚に装着される装着医療機器と、
前記装着医療機器と組み合わせて皮膚に対して非装着で携帯される携帯医療器具とによって構成され、
前記装着医療機器は、
所定の周波数帯域での無線通信を行い前記携帯医療器具から発信される確認信号を受信する装着側通信部と、
前記携帯医療器具が不携帯であることを知らせる不携帯警報を出力する出力部と、
前記装着側通信部において前記携帯医療器具から発信された確認信号の受信が途絶えた場合に、前記出力部に対して前記不携帯警報の出力を指示する装着側演算部とを備え、
前記携帯医療器具は、
前記装着側通信部との無線通信を行う携帯側通信部と、
前記携帯側通信部に対して前記装着側通信部に向けての前記確認信号の発信を指示する携帯側演算部とを備えた
携帯医療器具の管理システム。
【請求項2】
前記装着側通信部と前記携帯側通信部とは、極超短波またはマイクロ波を用いた無線通信を行う
請求項1記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項3】
前記装着側演算部は、前記装着側通信部に対して前記携帯側通信部に向けて前記携帯医療器具で受信される問い合わせ信号の発信を指示し、
前記携帯側演算部は、前記携帯側通信部において前記問い合わせ信号を受信した場合に、当該携帯側通信部に対して前記確認信号の発信を指示する
請求項1または2記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項4】
前記装着側演算部は、前記装着側通信部に対して前記問い合わせ信号を周期的に発信させる
請求項3記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項5】
前記装着側演算部は、前記装着側通信部に対して設定された時間帯において前記問い合わせ信号の発信を指示する
請求項3または4記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項6】
前記装着側演算部は、前記問い合わせ信号に応答した前記装着側通信部における前記確認信号の受信が所定回数途絶えた場合に、前記出力部に対して前記不携帯警報の出力を指示する
請求項3〜5の何れかに記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項7】
前記装着医療機器は、
前記出力部を有して皮膚に装着される本体と、
前記装着側通信部を有して前記本体とは別体として構成されたコントローラとを備え、
前記本体は、
前記装着側通信部との無線通信を行う本体通信部を備え、
前記装着側演算部は、
前記本体に設けた本体演算部と、
前記コントローラに設けたコントローラ演算部とを備え、
前記本体演算部は、前記本体通信部が前記装着側通信部から発信された警報信号を受信した場合に、前記出力部に対して不携帯警報の出力を指示し、 前記コントローラ演算部は、前記装着側通信部において前記携帯医療器具から発信された前記確認信号の受信が途絶えた場合に、当該装着側通信部に対して前記本体通信部に向けての前記警報信号の発信を指示する
請求項1記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項8】
前記装着医療機器は、インスリンポンプまたは持続血糖値モニターであり、
前記携帯医療器具は、血糖計、血糖計を収納する携帯ケース、またはインスリンペンである
請求項1〜7の何れかに記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項9】
前記装着医療機器は、インスリンポンプであり、
前記携帯医療器具は、血糖計であり、当該携帯医療器具の前記携帯側通信部からは前記確認信号と共に測定した血糖値の測定データが前記装着医療機器に向けて発信される
請求項1〜8の何れかに記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項10】
前記装着医療機器は、前記装着側通信部で受信した前記測定データを記憶する記憶部を備えた
請求項9記載の携帯医療器具の管理システム。
【請求項11】
血糖値管理のために皮膚に装着され、皮膚に対して非装着で携帯される携帯医療器具と組み合わせて用いられる装着医療機器であって、
前記携帯医療器具との間で所定の周波数帯域での無線通信を行い前記携帯医療器具から発信される確認信号を受信する装着側通信部と、
前記携帯医療器具が不携帯であることを知らせる不携帯警報を出力する出力部と、
前記装着側通信部において前記携帯医療器具から発信された確認信号の受信が途絶えた場合に、前記出力部に対して前記不携帯警報の出力を指示する装着側演算部とを備えた
装着医療機器。
【請求項12】
請求項11に記載の装着医療機器と組み合わせて用いられ、皮膚に対して非装着で携帯される携帯医療器具であって、
前記装着医療機器との間で所定の周波数帯域での無線通信を行う携帯側通信部と、
前記携帯側通信部に対して前記装着医療機器に向けて当該装着医療機器で受信される前記確認信号の発信を指示する携帯側演算部とを備えた
携帯医療器具。
【請求項13】
血糖値管理のために皮膚に装着される装着医療機器と組み合わせて皮膚に対して非装着で携帯される携帯医療器具の通信部から、当該装着医療機器に向けて所定の周波数帯域の確認信号を無線発信し、
前記装着医療機器の通信部において前記確認信号を受信し、
前記装着医療機器の通信部においての前記確認信号の受信が途絶えた場合に当該装着医療機器に設けた出力部から前記携帯医療器具が不携帯であることを知らせる不携帯警報を出力する
携帯医療器具の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリンポンプのような皮膚に装着される装着医療機器と組み合わせて用いられる携帯医療器具の不携帯を防止するための携帯医療器具の管理システム、このシステムに用いられる装着医療機器および携帯医療器具、さらには携帯医療器具の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、皮下注射や静脈内注射などによって、患者の体内に薬液を持続的に投与する治療法が行われている。例えば、糖尿病患者に対する治療法として、患者の体内に微量のインスリンを持続的に投与する治療が実施されている。この治療法では、一日中患者に薬液(インスリン)を投与するために、患者の皮膚に装着して用いられる携帯型のインスリンポンプが用いられている。
【0003】
このようなインスリンポンプのユーザは、通常、血糖計を常に携帯し、測定された血糖値に基づいて、インスリンポンプからのインスリン送出量を調整する作業を行っている。そこで、下記引用文献1には、この調整作業を行うために、グルコース測定モジュール(血糖計)で測定されたグルコース値(血糖値)を、赤外伝送ポートでの無線通信によりインスリンポンプに送信することができる装置および方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−503288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、血糖計は、インスリンポンプのユーザが携帯するものではあるが、インスリンポンプとは異なり、患者の身体に対しては非装着で携帯されるものである。したがって、インスリンポンプのユーザが、血糖計を自宅に置き忘れて外出したり、血糖計を職場に置き忘れて帰宅してしまった場合、血糖値の測定ができないため、インスリンの投与量を調整することができず、低血糖や高血糖を引き起こす危険性がある。
【0006】
そこで本発明は、インスリンポンプのような装着医療機器と組み合わせて非装着で用いられる携帯医療器具の不携帯を防止するための携帯医療器具の管理システムを提供することを目的とする。また本発明は、この管理システムに用いられる装着医療機器および携帯医療器具、および携帯医療器具の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明の携帯医療器具の管理システムは、血糖値管理のために皮膚に装着される装着医療機器と、前記装着医療機器と組み合わせて皮膚に対して非装着で携帯される携帯医療器具とによって構成される。前記装着医療機器は、所定の周波数帯域での無線通信を行い前記携帯医療器具から発信される確認信号を受信する装着側通信部と、前記携帯医療器具が不携帯であることを知らせる不携帯警報を出力する出力部と、前記装着側通信部において前記携帯医療器具から発信された確認信号の受信が途絶えた場合に前記出力部に対して前記不携帯警報の出力を指示する装着側演算部とを備えている。前記携帯医療器具は、前記装着側通信部との無線通信を行う携帯側通信部と、前記携帯側通信部に対して前記装着側通信部に向けての前記確認信号の発信を指示する携帯側演算部とを備えている。
【0008】
このような構成の携帯医療器具の管理システムでは、携帯医療器具が、装着医療機器との無線通信の通信距離の圏外となった場合に、携帯医療器具から発信された確認信号が装着医療機器で受信できなくなる。このため、携帯医療器具と装着医療機器との通信距離がある程度限定された狭い範囲となるように、これらの無線通信の周波数帯域を設定することにより、携帯医療器具と装着医療機器とがある程度に限定された距離で離間した場合に、装着医療機器の出力部から不携帯警報を出力させることができる。これより、携帯医療器具と装着医療機器との離間距離が大きくなる前に、携帯医療器具の不携帯を装着医療機器の装着者に通知することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明の携帯医療器具の管理システムによれば、携帯医療器具がインスリンポンプのような装着医療機器と離間した場合に、装着医療機器の装着者に携帯医療器具の不携帯を通知することができるため、携帯医療器具の不携帯を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の携帯医療器具の管理システムを説明するためのブロック図である。
図2】携帯医療器具の管理システムにおける管理スケジュールの一例を示す図である。
図3】第1実施形態の携帯医療器具の管理システムによる携帯医療器具の管理方法を説明するフローチャートである。
図4】第2実施形態の携帯医療器具の管理システムを説明するためのブロック図である。
図5】第2実施形態の携帯医療器具の管理システムによる携帯医療器具の管理方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、ここではインスリンポンプと血糖計に本発明を適用した場合の構成を説明するが、本発明の携帯医療器具の管理システムは、血糖値管理のために皮膚に装着される装着医療機器と、この装着医療機器と組み合わせて非装着で携帯される携帯医療器具とで構成されるシステムに広く適用される。
【0012】
≪第1実施形態≫
<携帯医療器具の管理システム>
図1は、第1実施形態の携帯医療器具の管理システムを説明するためのブロック図である。図1に示すように、第1実施形態の携帯医療器具の管理システム1は、インスリンポンプ10と、このインスリンポンプ10と組み合わせて用いられる血糖計100とで構成されている。
【0013】
このうちインスリンポンプ10は、長時間にわたって患者に薬液(インスリン)を投与するために、患者の皮膚に装着して用いられる装着医療機器である。一方、血糖計100は、インスリンポンプ10を装着している患者の血糖値を測定するもので、インスリンポンプ10と組み合わせて皮膚に対して非装着で携帯される携帯医療器具である。ここでは、インスリンポンプ10のユーザによる血糖計100の不携帯を防止するための携帯医療器具の管理システム1の構成の詳細を、インスリンポンプ10、血糖計100の順に説明する。
【0014】
《インスリンポンプ10(装着医療機器)》
装着医療機器であるインスリンポンプ10は、電源部11、駆動部13、この駆動部13の作動を操作する操作部15、操作部15による操作等を表示する表示部17、日時管理部19、記憶部21、およびこれらを制御する装着側演算部23を備えている。さらに、このインスリンポンプ10は、血糖計100との無線通信を行うための装着側通信部25と、血糖計100の不携帯警報Wを出力するための出力部27とを備えているところが特徴的である。各構成要素の詳細は次のようである。
【0015】
[電源部11(インスリンポンプ10)]
電源部11は、インスリンポンプ10を構成する各構成要素に電力を供給するためのものであり、例えば電池およびこれを収納する電池ボックス、さらには電池からの電力の供給をオン/オフするスイッチなどで構成されている。
【0016】
[駆動部13(インスリンポンプ10)]
駆動部13は、投与する薬液を収容するシリンジ、シリンジ内において摺動される押し子、押し子を移動させるためのモータおよび歯車機構等で構成されている。
【0017】
[操作部15(インスリンポンプ10)]
操作部15は、電源部11のオンオフ操作、駆動部13の動作設定、さらには表示部17での表示内容の選択等を行う部分である。このうち駆動部13の駆動設定とは、詳しくは薬液の投与量、および投与のタイミングなどの投与プログラムの設定である。また操作部15は、次に説明する記憶部21に対して記憶させるデータを入力する機能を有していても良い。
【0018】
[表示部17(インスリンポンプ10)]
表示部17は、操作部15によって設定された薬液の投与プログラムなどを表示する部分であり、例えば液晶ディスプレイを用いて構成されている。
【0019】
[日時管理部19(インスリンポンプ10)]
日時管理部19は、日時管理を行うためのプログラム部分であり、一般的なマイコンに搭載されているものであって良く、日時情報を出力する。この日時管理部19は、電源がオフの状態であっても電力が供給されることにより、正確な日時情報を出力する。
【0020】
[記憶部21(インスリンポンプ10)]
記憶部21は、各種のデータを記憶する部分である。記憶部21に記憶されるデータとしては、例えばペアリング用データdp,監視時間データdt,血糖値測定データdm等である。
【0021】
このうちペアリング用データdpは、このインスリンポンプ10とペアリングされた血糖計100を認識するための認証データであり、例えばペアリングによって自動的に作製されたリンクキーである。尚、インスリンポンプ10と血糖計100とが予めペアリングされたものでない場合には、ペアリングを実行するための認証データをペアリング用データdpとして記憶していても良い。
【0022】
また監視時間データdtは、このインスリンポンプ10とペアリングされた血糖計100を監視する時間帯に関するデータであり、操作部15においての入力操作によって記憶部21に記憶させたデータであって良い。このような時間監視データdtは、インスリンポンプ10のユーザが、自身のライフサイクルに合わせて任意に設定できることとする。
【0023】
図2には、監視時間データdtとして設定された血糖計100を監視する時間帯の一例を示す。図2に示すように、血糖計100を監視する時間帯は、インスリンポンプ10のユーザの移動時間に合わせ、月曜日〜金曜日の平日においては出社時間の前後の時間帯T1と、帰宅時間の前後の時間帯T2に設定される。また土日の休日においては外出する可能性のある時間帯T3に設定される。
【0024】
また図1に示した血糖値測定データdmは、次に説明する血糖計100で測定されたデータであり、血糖計100からの無線通信によって発信されたデータ、または操作部15から入力されたデータである。
【0025】
[装着側演算部23(インスリンポンプ10)]
装着側演算部23は、記憶部21に記憶された血糖値測定データdm、および操作部15において設定された投与プログラムに基づいて駆動部13を駆動させる。さらにこの装着側演算部23では、記憶部21に記憶された監視時間データdtに基づいて、装着側通信部25に対して無線通信を実行させ、その通信結果に基づいて出力部27に対して不携帯警報Wの出力を指示する。また、装着側演算部23においては、次に説明するように装着側通信部25で受信した血糖値測定データを解析し、更新されたデータがあると判断した場合には、そのデータを記憶部21に血糖値測定データdmとして記憶させる。このような装着側演算部23による無線通信および不携帯警報Wの出力のアルゴリズムは、以降の携帯医療器具の管理方法において説明する。
【0026】
[装着側通信部25(インスリンポンプ10)]
装着側通信部25は、血糖計100との間で無線通信を行う部分である。この装着側通信部25は、発信部と受信部とを有し、所定の波長帯域の電波を使った無線通信を行う部分であり、特に極超短波またはマイクロ波を用いた無線通信を行う。
【0027】
ここでは、装着側通信部25において、通信距離が100m前後の無線通信が行われることとする。具体的には、ZigBee(IEEE802.15.4:周波数2.4GHz)、Bluetooth(登録商標:IEEE802.15.1:周波数2.4GHz)、無線LAN(IEEE802.11a/b/g:周波数2.4GHz,5GHz)等の規格化された無線通信技術が適用される。
【0028】
このような装着側通信部25は、装着側演算部23からの指示により、ペアリングされた血糖計100に対して問い合わせ信号Siを発信する。また装着側通信部25は、ペアリングされた血糖計100から発信された確認信号Scおよび血糖値測定データdmを受信する。
【0029】
[出力部27(インスリンポンプ10)]
出力部27は、装着側通信部25においての確認信号Scの受信が途絶えた場合に、装着側演算部23からの指示により、血糖計100が不携帯であることを知らせるための不携帯警報Wを出力する。この出力部27は、不携帯警報Wとして、例えば振動、音、発光などを単独で、または併用して発するものが適用される。
【0030】
《血糖計100(携帯医療器具)》
血糖計100は、電源部101、測定センサ部103、この測定センサ部103の作動を操作する操作部105、表示部107、日時管理部109、記憶部111、およびこれらを制御する携帯側演算部113を備えている。さらに、この血糖計100は、インスリンポンプ10との通信を行うための携帯側通信部115を備えている。各構成要素の詳細は次のようである。
【0031】
[電源部101(血糖計100)]
電源部101は、血糖計100を構成する各構成要素に電力を供給するためのものであり、例えば電池およびこれを収納する電池ボックス、さらには電池からの電力の供給をオン/オフするスイッチなどで構成されている。
【0032】
[測定センサ部103(血糖計100)]
測定センサ部103は、血糖値を計測する部分であり、例えば血液によって変色する試験紙の光学反射率の変化を検出し、これにより血糖値を測定する部分である。
【0033】
[操作部105(血糖計100)]
操作部105は、電源のオンオフ操作、測定センサ部103での測定操作、表示部107での表示内容の選択等を行う部分である。
【0034】
[表示部107(血糖計100)]
表示部107は、測定センサ部103で測定された血糖値測定データdmを表示する部分である。またこの表示部107は、操作部105による操作等を表示しても良い。このような表示部107は、例えば液晶ディスプレイを用いて構成されている。
【0035】
[日時管理部109(血糖計100)]
日時管理部109は、インスリンポンプ10の日時管理部19と同様であって良く、日時管理を行うためのプログラム部分である。
【0036】
[記憶部111(血糖計100)]
記憶部111は、各種のデータを記憶する部分である。記憶部111に記憶されるデータとしては、例えばペアリング用データdp’および血糖値測定データdm等である。
【0037】
このうちペアリング用データdp’は、この血糖計100とペアリングされたインスリンポンプ10を認識するための認証データであり、ペアリングによって自動的に作製されたリンクキーである。尚、インスリンポンプ10と血糖計100とが予めペアリングされたものでない場合には、ペアリングを実行するための認証データをペアリング用データdp’として記憶していても良い。
【0038】
血糖値測定データdmは、測定センサ部103において測定された血糖値である。
【0039】
[携帯側演算部113(血糖計100)]
携帯側演算部113は、携帯側通信部115において問い合わせ信号Siを受信した場合に、確認信号Scの発信を携帯側通信部115に対して指示する。また携帯側通信部115において問い合わせ信号Siを受信した際に、携帯側通信部115に対して、記憶部111に記憶された血糖値測定データdmの発信を指示する。このような携帯側演算部113による無線通信のアルゴリズムは、以降の携帯医療器具の管理方法において説明する。
【0040】
[携帯側通信部115(血糖計100)]
携帯側通信部115は、インスリンポンプ10との通信を行う部分である。この携帯側通信部115は、発信部と受信部とで構成されている。この携帯側通信部115は、インスリンポンプ10側の装着側通信部25との間で無線通信を行う部分であり、この装着側通信部25と同様の規格化された無線通信技術が適用される。
【0041】
このような携帯側通信部115においては、ペアリングされたインスリンポンプ10からの問い合わせ信号Siを受信した場合に、携帯側演算部113からの指示により、インスリンポンプ10に向けて確認信号Scを発信する。またこの際、記憶部111に新しい血糖値測定データdmが記憶された場合には、インスリンポンプ10に対して最新の血糖値測定データdmを発信する。さらに携帯側通信部115は、ペアリングされたインスリンポンプ10から発信された問い合わせ信号Siを受信する。
【0042】
<携帯医療器具の管理方法>
次に、以上のような構成の携帯医療器具の管理システム1において、インスリンポンプ10の装着側演算部23によって実行される携帯医療器具の管理方法を説明する。図3は、この管理方法を示すフローチャートである。以下、先の図1を参照しつつ、図3のフローチャートに従って携帯医療器具の管理方法を説明する。
【0043】
[ステップS1]
先ず、ステップS1では、インスリンポンプ10の装着側演算部23において、インスリンポンプ10が装着されているか否かを判断する。ここでは、インスリンポンプ10が、ユーザの皮膚に装着されて駆動部13が動作している状態にあるか否かが判断され、装着されている(YES)と判断された場合に、次のステップS2に進む。装着されていない(NO)と判断された場合には、装着されている(YES)と判断されるまで処理を繰り返す。
【0044】
[ステップS2]
ステップS2では、インスリンポンプ10の装着側演算部23において、このインスリンポンプ10が、ペアリングされた血糖計100を有しているか否かを判断する。有している(YES)と判断された場合に、次のステップS3に進む。有していない(NO)と判断された場合には、処理を終了させる。
【0045】
[ステップS3]
ステップS3では、インスリンポンプ10の装着側演算部23において、記憶部21に記憶されている監視時間データdtを参照し、現在時刻が監視時間として設定された設定時間内であるか否かを判断する。ここで設定時間内とは、例えば図2に示した時間帯T1〜T3の何れかの範囲内であることとする。そして設定時間内である(YES)と判断された場合に、次のステップS4に進む。設定時間内ではない(NO)と判断された場合には、ステップS3において設定時間と判断されるまで待機し、ステップS4に進む。
【0046】
[ステップS4]
ステップS4では、インスリンポンプ10の装着側演算部23において、装着側通信部25からの問い合わせ信号Siの発信を指示する。このように、ステップS3において設定時間内である(YES)と判断された場合においてのみ、装着側通信部25から問い合わせ信号Siを発信することにより、インスリンポンプ10側の消費電力を低く抑える。尚、問い合わせ信号Siの発信は、周期的に行うこととし、例えばユーザの移動速度を考慮して、100m移動する間に複数回(例えば5回)の発信を行う。
【0047】
ここで、インスリンポンプ10に対してペアリングされた血糖計100が、装着側通信部25と携帯側通信部115との通信距離の圏内に位置している場合、インスリンポンプ10の装着側通信部25から発信された問い合わせ信号Siは、血糖計100の携帯側通信部115で受信される。
【0048】
ここで血糖計100の携帯側演算部113では、携帯側通信部115において問い合わせ信号Siを受信した場合、それに応答する信号として携帯側通信部115からの確認信号Scの発信を指示する。さらに血糖計100の携帯側演算部113では、測定センサ部103で測定され記憶部111に記憶された血糖値測定データdmを、インスリンポンプ10に対して発信するように、携帯側通信部115に指示する。
【0049】
[ステップS5]
ステップS5では、インスリンポンプ10の装着側演算部23において、ペアリングされた血糖計100からの確認信号Scが装着側通信部25で受信されたか否かを判断する。ここでは、ステップS4で問い合わせ信号Siが発信されてから所定の時間を設定し、その時間以内に確認信号Scが受信されたか否かを判断する。確認信号Scが受信された(YES)と判断された場合には、ステップS6に進む。受信されていない(NO)と判断された場合には、ステップS8に進む。
【0050】
[ステップS6]
ステップS6では、インスリンポンプ10の装着側演算部23において、確認信号Scと共に受信した血糖値測定データdmが、更新されているか否かを判断する。更新されている(YES)と判断された場合には、次のステップS7に進む。更新されていない(NO)と判断された場合には、そのままステップS3に戻る。
【0051】
[ステップS7]
ステップS7では、インスリンポンプ10の装着側演算部23からの指示により、装着側通信部25で受信した血糖値測定データdmを最新のデータとして記憶部21に記憶させる。その後ステップS3に戻る。
【0052】
[ステップS8]
先のステップS5において、ペアリングされた血糖計100からの確認信号Scが装着側通信部25で受信されていない(NO)と判断された場合、ステップS8に進む。このステップS8では、インスリンポンプ10の装着側演算部23において、連続して確認信号Scが受信されなかった回数が、所定のn回目に達したか否かを判断する。n回目である(YES)と判断された場合、次のステップS9に進む。n回目には達していない(NO)と判断された場合には、そのままステップS3に戻る。
【0053】
[ステップS9]
ステップS9では、インスリンポンプ10の装着側演算部23において、出力部27に対して携帯医療具の不携帯警報Wの出力を指示する。これにより、インスリンポンプ10に対してペアリングされた血糖計100が、装着側通信部25と携帯側通信部115との通信距離の圏外にあり、ユーザに対して血糖計100が不携帯であることを通知する。これにより、処理を終了させる。
【0054】
《第1実施形態の効果》
以上説明した第1実施形態によれば、携帯医療器具である血糖計100が、装着医療機器であるインスリンポンプ10との無線通信の通信距離の圏外となった場合に、血糖計100から発信された確認信号Scがインスリンポンプ10で受信できなくなる。ここでは、インスリンポンプ10の装着側通信部25と血糖計100の携帯側通信部115として、通信距離が100m前後である規格化された無線通信技術を適用している。これによりインスリンポンプ10に対して血糖計100が100m前後の通信距離を超えて離間した場合に、インスリンポンプ10の出力部27から不携帯警報Wが出力され、インスリンポンプ10の装着者に血糖計100の不携帯を通知することができる。
【0055】
したがって、インスリンポンプ10の装着者は、血糖計100との離間距離が大きくなり過ぎないうちに、直ちに血糖計100を携帯しに戻ることができ、血糖計100の不携帯を防止することが可能である。
【0056】
尚、上述した第1実施形態においては、インスリンポンプ10からの問い合わせ信号Siに応答して血糖計100から確認信号Scを発信する構成とした。しかしながら、インスリンポンプ10からの問い合わせSiの発信は、必要に応じて行えば良く、血糖計100から定期的に確認信号Scを発信させる構成であっても良い。この場合、図3のフローチャートからステップS4を削除した手順の管理方法が行われる。
【0057】
さらに、第1実施形態においては、血糖計100で測定した血糖値測定データdmをインスリンポンプ10に無線発信する構成とした。しかしながら、血糖値測定データdmの無線発信は必要に応じて行えば良く、行わなくても良い。血糖値測定データdmの無線発信を行わない場合、図3のフローチャートからステップS6,S7を削除し、ステップS5において確認信号Scが受信された(YES)と判断された場合には、そのままステップS3に戻る手順の管理方法が行われる。
【0058】
≪第2実施形態≫
<携帯医療器具の管理システム>
図4は、第2実施形態の携帯医療器具の管理システムを説明するためのブロック図である。図4に示す第2実施形態の携帯医療器具の管理システム2は、第1実施形態と同様にインスリンポンプ10’のユーザによる血糖計100の不携帯を防止するためのものであり、第1実施形態と異なるところは、インスリンポンプ10’の構成にある。すなわち、インスリンポンプ10’は、患者の皮膚に装着されるポンプ本体10aと、そのコントローラ10bとに分離された構成である。血糖計100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0059】
このため、以下においては、インスリンポンプ10’の構成について説明するが、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0060】
《インスリンポンプ10’(装着医療機器)》
装着医療機器であるインスリンポンプ10’は、患者の皮膚に装着されるポンプ本体10aと、そのコントローラ10bとで構成されており、インスリンポンプ10'を構成する各要素は、ポンプ本体10aとコントローラ10bとに分配して設けられている。
【0061】
このうち、ポンプ本体10aは、駆動部13および出力部27を備えている。これらの構成要素は、第1実施形態で説明したものと同様である。またポンプ本体10aは、電源部11aおよび日時管理部19aを備えている。これらの構成要素は、第1実施形態で説明した電源部および日時管理部と同様のものであって良い。さらにポンプ本体10aは、第2実施形態に特徴的な記憶部21a、本体演算部23a、およびコントローラ10bとの通信を行うための本体通信部25aを備えている。本体演算部23aは、装着側演算部の一部となっている。
【0062】
一方、コントローラ10bは、操作部15および表示部17を備えている。これらの構成要素は、第1実施形態で説明したものと同様である。またコントローラ10bは、電源部11b、日時管理部19b、および記憶部21bを備えている。これらの構成要素は、第1実施形態で説明した電源部、日時管理部、および記憶部と同様のものであって良い。ただし電源部11bは、駆動部13を動作できるほど大きな出力を備えている必要はない。さらにコントローラ10bは、第2実施形態に特徴的なコントローラ演算部23b、および装着側通信部25bを備えている。コントローラ演算部23bは、装着側演算部の一部となっている。
【0063】
以上の構成要素のうち、第2実施形態に特徴的な構成要素の詳細は次のようである。
【0064】
[記憶部21a(ポンプ本体10a)]
ポンプ本体10aに設けられた記憶部21aは、ペアリング用データdp”および監視時間データdtを記憶する。
【0065】
このうちペアリング用データdp”は、このポンプ本体10aとペアリングされたコントローラ10bおよび血糖計100を認識するための認証データであり、例えばペアリングによって自動的に作製されたリンクキーである。尚、ポンプ本体10aと、コントローラ10bおよび血糖計100とが予めペアリングされたものでない場合には、ペアリングを実行するための認証データをペアリング用データdp”として記憶していても良い。
【0066】
また監視時間データdtは、コントローラ10bの記憶部21bに記憶された監視時間データdtと同様のものである。
【0067】
[本体演算部23a(ポンプ本体10a)]
ポンプ本体10aに設けられた本体演算部23aは、コントローラ10bから無線送信された投与プログラムに基づいて駆動部13を駆動させる。また、この本体演算部23aでは、コントローラ10b側の装着側通信部25bから無線送信された警報信号Shに基づいて、出力部27に対して不携帯警報Wの出力を指示する。
【0068】
さらに本体演算部23aは、コントローラ10bとの間での無線通信が確立されない場合に、記憶部21aに記憶された監視時間データdtに基づいて、本体通信部25aに対して血糖計100との間での無線通信を実行させ、その通信結果に基づいて出力部27に対して不携帯警報Wの出力を指示する。以上のような本体演算部23aによる無線通信および不携帯警報Wの出力のアルゴリズムは、以降の携帯医療器具の管理方法において説明する。
【0069】
[本体通信部25a(ポンプ本体10a)]
ポンプ本体10aに設けられた本体通信部25aは、コントローラ10bとの間で無線通信を行う部分であり、血糖計100との間で無線通信を行う装着側通信部の一つでもある。この本体通信部25aは、発信部と受信部とで構成されている。この本体通信部25aは、コントローラ10b側の装着側通信部25bおよび血糖計100の携帯側通信部115と同様に、極超短波またはマイクロ波を用いて規格化された無線通信技術が適用される。
【0070】
このような本体通信部25aにおいては、本体演算部23aからの指示により、ペアリングされた血糖計100に向けての問い合わせ信号Siが発信される。また本体通信部25aにおいては、ペアリングされたコントローラ10bから発信された投与プログラムが受信される。また血糖計100から発信された確認信号Scが受信される。
【0071】
[コントローラ演算部23b(コントローラ10b)]
コントローラ10bに設けられたコントローラ演算部23bは、操作部15において設定された投与プログラムを、ポンプ本体10aに送信して駆動部13を駆動させる。またこのコントローラ演算部23bでは、記憶部21bに記憶された監視時間データdtに基づいて、装着側通信部25bに無線通信を実行させ、その通信結果に基づいて装着側通信部25bに対してポンプ本体10aに向けての警報信号Shの発信を指示する。このようなコントローラ演算部23bによる無線通信および警報信号Shの発信のアルゴリズムは、以降の携帯医療器具の管理方法において説明する。
【0072】
[装着側通信部25b(コントローラ10b)]
コントローラ10bに設けられた装着側通信部25bは、血糖計100に設けられた携帯側通信部115、およびポンプ本体10aに設けられた本体通信部25aとの間で無線通信を行う部分である。この装着側通信部25bは、発信部と受信部とで構成されて、携帯側通信部115および本体通信部25aと同様に、極超短波またはマイクロ波を用いて規格化された無線通信技術が適用される。
【0073】
このような装着側通信部25bは、コントローラ演算部23bからの指示により、ペアリングされた血糖計100に対して問い合わせ信号Siを発信する。また装着側通信部25bは、ペアリングされた血糖計100から発信された確認信号Scおよび血糖値測定データdmを受信する。さらに、装着側通信部25bは、コントローラ演算部23bからの指示により、ポンプ本体10aに向けて警報信号Shを発信する。
【0074】
<携帯医療器具の管理方法>
次に、以上のような構成の携帯医療器具の管理システム2において、コントローラ10bのコントローラ演算部23bおよびポンプ本体10aの本体演算部23aによって実行される携帯医療器具の管理方法を説明する。図5は、この管理方法を示すフローチャートである。以下の、先の図4を参照しつつ、図5のフローチャートに従って携帯医療器具の管理方法を説明する。
【0075】
[ステップS21]
先ず、ステップS21では、ポンプ本体10aの本体演算部23aとコントローラ10bのコントローラ演算部23bとにおいて、ペアリングされたポンプ本体10aとコントローラ10bとの間の無線通信を開始させる。この際、先ずポンプ本体10aの本体演算部23aにおいて、本体通信部25aからの信号発信を指示する。またコントローラ10bのコントローラ演算部23bでは、本体通信部25aからの信号を受信した場合に、コントローラ10bに設けた装着側通信部25bからの信号発信を指示する。
【0076】
[ステップS22]
次のステップS22では、ポンプ本体10aの本体演算部23aとコントローラ10bのコントローラ演算部23bとにおいて、ポンプ本体10aとコントローラ10bとの間の無線通信が確立されたか否かを判断する。ここでは、本体通信部25aからの信号発信が装着側通信部25bで受信され、かつ装着側通信部25bからの信号発信が本体通信部25aで受信された場合に、無線通信が確立された(YES)と判断し、次のステップS23に進む。
【0077】
[ステップS23]
ステップS23では、先の第1実施形態において説明した図3のステップS1〜S8を、コントローラ10bと血糖計100との間で実施する。そしてステップS8において、連続して確認信号Scが受信されなかった回数が、所定のn回目に達した(YES)と判断された場合、次のステップS24に進む。
【0078】
尚、この場合であっても第1実施形態と同様に、血糖計100からの血糖値測定データdmの無線発信は必要に応じて行えば良く、行わなくても良い。血糖値測定データdmの無線発信を行わない場合、図3のフローチャートからステップS6,S7を削除し、ステップS5において確認信号Scが受信された(YES)と判断された場合には、そのままステップS3に戻る手順の管理方法が行われる。
【0079】
[ステップS24]
ステップS24では、コントローラ演算部23bにおいて、ポンプ本体10aに向けての警報信号Shの発信を、装着側通信部25bに指示する。これにより、装着側通信部25bからポンプ本体10aに向けて警報信号Shが発信され、ポンプ本体10aの本体通信部25aでは、警報信号Shが受信される。
【0080】
[ステップS25]
次のステップ25では、本体通信部25aでの警報信号Shの受信を受けたポンプ本体10aの本体演算部23aにおいて、出力部27に対して携帯医療具の不携帯警報Wの出力を指示する。これにより、インスリンポンプ10’に対してペアリングされた血糖計100が、装着側通信部25bおよび携帯側通信部115の通信距離の圏外にあり、ユーザに対して血糖計100が不携帯であることを通知する。これにより、処理を終了させる。
【0081】
[ステップS26]
一方、ステップS22において、ポンプ本体10aとコントローラ10bとの間の無線通信が確立されていない(NO)と判断した場合、ステップS26に進む。このステップS26では、ポンプ本体10aの本体演算部23aにおいて、連続して無線通信が確立されない(NO)と判断した回数が、所定のm回目に達したか否かを判断する。m回目である(YES)と判断された場合、次のステップS27に進む。m回目には達していない(NO)と判断された場合には、そのままステップS21に戻る。
【0082】
[ステップS27]
ステップS27では、ポンプ本体10aの本体演算部23aによって、先の第1実施形態において説明した図3のステップS1〜S5、およびステップS8〜S9を、ポンプ本体10aと血糖計100との間で実施する。ここで、ステップS5において、血糖計100の携帯通信部115からの確認信号Scがポンプ本体10aの本体通信部25aで受信された(YES)と判断された場合には、ステップS6およびステップS7の血糖値測定データの記憶は行わず、ステップS5からステップS3に直接戻る手順の管理方法が行われる。
【0083】
《第2実施形態の効果》
以上説明した第2実施形態では、携帯医療器具である血糖計100が、装着医療機器であるインスリンポンプ10’との無線通信の通信距離の圏外となった場合に、血糖計100から発信された確認信号Scがインスリンポンプ10’のコントローラ10bやポンプ本体10aで受信できなくなる。ここでは第1実施形態と同様に、ポンプ本体10aの本体通信部25aと、コントローラ10bの装着側通信部25bと、血糖計100の携帯側通信部115として、通信距離が100m前後である規格化された無線通信技術を適用している。これによりポンプ本体10aまたはコントローラ10bに対して血糖計100が100m前後の通信距離を超えて離間した場合に、ポンプ本体10aの出力部27から不携帯警報Wが出力され、ポンプ本体10aの装着者に血糖計100の不携帯を通知することができる。
【0084】
したがって第1実施形態と同様に、ポンプ本体10aの装着者は、血糖計100との離間距離が大きくなり過ぎないうちに、直ちに血糖計100を携帯しに戻ることができ、血糖計100の不携帯を防止することが可能である。
【0085】
また、ポンプ本体10aに対してコントローラ10bが分離された構成において、コントローラ10b側による血糖計100の監視を優先したことにより、ポンプ本体10aにおける電力消費を抑えることが可能である。
【0086】
尚、上述した第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、インスリンポンプ10’側からの問い合わせSiの発信は、必要に応じて行えば良く、血糖計100から定期的に確認信号Scを発信させる構成であっても良い。この場合、図3のフローチャートからステップS4を削除した手順の管理方法が行われる。
【0087】
さらに、第2実施形態においても、血糖値測定データdmの無線発信は必要に応じて行えば良く、行わなくても良い。血糖値測定データdmの無線発信を行わない場合、図3のフローチャートからステップS6,S7を削除し、ステップS5において確認信号Scが受信された(YES)と判断された場合には、そのままステップS3に戻る手順の管理方法が行われる。
【0088】
そして以上説明した第1実施形態および第2実施形態においては、血糖値管理のために皮膚に装着される装着医療機器としてインスリンポンプを例示し、このインスリンポンプと組み合わせて非装着で携帯して用いられる携帯医療器具として血糖計を例示した。しかしながら本発明の携帯医療器具の管理システムは、血糖値管理のために皮膚に装着される装着医療機器として持続血糖値モニターを用いても良い。さらに装着医療機器と組み合わせて非装着で用いられる携帯医療器具としては、血糖計の他、血糖計を収納する携帯ケース、またはインスリンペンを用いても良い。
【0089】
また、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1,2…携帯医療器具の管理システム、10,10’…インスリンポンプ(装着医療機器)、10a…ポンプ本体(本体)、10b…コントローラ、21…記憶部(装着医療機器)、23…装着側演算部、23a…本体演算部(装着側演算部)、23b…コントローラ演算部(装着側演算部)、25…装着側通信部、25a…本体通信部、27…出力部、100…血糖計(携帯医療器具)、113…携帯側演算部、115…携帯側通信部、Si…問い合わせ信号、Sc…確認信号、Sh…警報信号、W…不携帯警報
図1
図2
図3
図4
図5