特許第6351371号(P6351371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351371
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20180625BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H03H9/25 A
   H01L23/02 E
   H01L23/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-103709(P2014-103709)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2015-220645(P2015-220645A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】兼田 泰文
【審査官】 石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−182395(JP,A)
【文献】 特開平09−293808(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/114224(WO,A1)
【文献】 特開2013−131711(JP,A)
【文献】 特開2010−283044(JP,A)
【文献】 特開2013−251412(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0182694(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/00−7/54
H03H 9/00−9/76
H01L 23/00−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板上にフリップチップ実装され、弾性波チップと能動素子チップとを含む複数のデバイスチップと、
前記実装基板上に設けられ、前記複数のデバイスチップの周りを囲む金属製の側壁部と前記複数のデバイスチップ上から前記側壁部上に延在する金属製の天井部とを含み、前記複数のデバイスチップを封止する金属封止部と、を備え、
前記複数のデバイスチップのうちの前記弾性波チップの上面は前記天井部に接触し、前記複数のデバイスチップのうちの前記能動素子チップの上面は前記天井部との間に空隙が形成されて前記天井部に接触してなく、
前記側壁部の前記天井部に接触する部分の面積は、前記弾性波チップの上面の前記天井部に接触する部分の面積よりも大きいことを特徴とする弾性波デバイス。
【請求項2】
前記能動素子チップはパワーアンプ又はローノイズアンプを含むことを特徴とする請求項1記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記複数のデバイスチップのうち前記実装基板の中央部分に実装されたデバイスチップの上面は前記天井部に接触することを特徴とする請求項1または2記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記天井部は、平坦形状をした金属リッドを含み、
前記側壁部は、半田からなることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記金属封止部は、前記複数のデバイスチップの間には設けられていないことを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の弾性波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波デバイスに関し、例えば実装基板上に弾性波チップを含む複数のデバイスチップが実装された弾性波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
実装基板上に弾性波チップを含む複数のデバイスチップがフリップチップ実装された弾性波デバイスにおいて、複数のデバイスチップを金属等の封止部で封止することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−182395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のデバイスチップを封止する封止部に金属を用いることで良好な放熱性を得ることができるが、未だ改善の余地が残されている。本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、良好な放熱性を得ることが可能な弾性波デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、実装基板上にフリップチップ実装され弾性波チップと能動素子チップとを含む複数のデバイスチップと、前記実装基板上に設けられ、前記複数のデバイスチップの周りを囲む金属製の側壁部と前記複数のデバイスチップ上から前記側壁部上に延在する金属製の天井部とを含み、前記複数のデバイスチップを封止する金属封止部と、を備え、前記複数のデバイスチップのうちの前記弾性波チップの上面は前記天井部に接触し、前記複数のデバイスチップのうちの前記能動素子チップの上面は前記天井部との間に空隙が形成されて前記天井部に接触してなく、前記側壁部の前記天井部に接触する部分の面積は、前記弾性波チップの上面の前記天井部に接触する部分の面積よりも大きいことを特徴とする弾性波デバイスである
【0008】
上記構成において、前記能動素子チップはパワーアンプ又はローノイズアンプを含む構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記複数のデバイスチップのうち前記実装基板の中央部分に実装されたデバイスチップの上面は前記天井部に接触する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記天井部は、平坦形状をした金属リッドを含み、前記側壁部は、半田からなる構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記金属封止部は、前記複数のデバイスチップの間には設けられていない構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、良好な放熱性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスの断面図、図1(b)は、図1(a)のA−A間の断面を示す図である。
図2図2は、実施例1に係る弾性波デバイスを示す回路図である。
図3図3(a)は、実施例2に係る弾性波デバイスの断面図、図3(b)は、図3(a)のA−A間の断面を示す図である。
図4図4は、実施例2の弾性波デバイスが外部から受ける圧力を説明するための上面図である。
図5図5(a)は、実施例3に係る弾性波デバイスの断面図、図5(b)は、図5(a)のA−A間の断面を示す図である。
図6図6は、実施例3の弾性波デバイスが外部から受ける圧力を説明するための上面図である。
図7図7は、分波器を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスの断面図である。図1(a)のように、実施例1の弾性波デバイス100は、実装基板10の平坦上面に、複数のデバイスチップ12がバンプ14によってフリップチップ実装されている。複数のデバイスチップ12は、例えば2つの弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタチップ12aと能動素子チップ12bとを含む。能動素子チップ12bは、例えば2つのSAWフィルタチップ12aの間に挟まれて、実装基板10の中央部分に実装されている。実装基板10には、例えばLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)又はHTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)からなるセラミック等の絶縁体を用いることができる。バンプ14には、例えば金(Au)又は半田等の金属を用いることができる。
【0017】
ここで、図2を用いて、実施例1の弾性波デバイスの回路構成について説明する。図2は、実施例1に係る弾性波デバイスを示す回路図である。図2のように、入力端子40と出力端子42との間に、2つのSAWフィルタチップ12aと能動素子チップ12bとが直列に接続されている。入力端子40に入力された高周波数信号は、バンドパスフィルタである一方のSAWフィルタチップ12aで不要な周波数帯域の信号が除去された後、パワーアンプ又はローノイズアンプを含む能動素子チップ12bに入力される。能動素子チップ12bは、入力された信号を増幅する。能動素子チップ12bで増幅された信号は、バンドパスフィルタである他方のSAWフィルタチップ12aで不要な周波数帯域の信号が除去された後、出力端子42から出力される。なお、SAWフィルタチップ12aは、バンドパスフィルタの場合に限らず、ローパスフィルタ又はハイパスフィルタ等の場合でもよい。
【0018】
図1(a)のように、実装基板10の上面とデバイスチップ12との間に空隙16が形成されている。これにより、SAWフィルタチップ12aの実装基板10に対向する面に形成されたIDT(Interdigital Transducer)は、空隙16に露出して振動が妨げられることが抑制される。また、バンプ14も空隙16に露出している。デバイスチップ12の高さは、例えば150μm程度であり、空隙16の高さは、例えば15μm程度である。また、複数のデバイスチップ12の互いの間隔は、例えば165μm程度である。
【0019】
実装基板10は、内部に内部配線18が設けられた多層配線基板である。内部配線18によって、実装基板10の上面に形成された接続端子20と下面に形成された外部端子22とが電気的に接続されている。バンプ14は接続端子20に接合されているため、デバイスチップ12(例えばSAWフィルタチップ12a)は、外部端子22に電気的に接続されている。内部配線18、接続端子20、及び外部端子22には、例えば金(Au)等の金属を用いることができる。
【0020】
実装基板10の上面であって、複数のデバイスチップ12の外側に、金属パターン24が設けられている。金属パターン24は、複数のデバイスチップ12を囲んで設けられている。金属パターン24には、例えば金(Au)等の金属を用いることができる。金属パターン24の上面に接合して複数のデバイスチップ12を囲む金属製の側壁部26が設けられている。複数のデバイスチップ12上から側壁部26上に延在する平坦形状をした金属製の天井部28が設けられている。複数のデバイスチップ12は、側壁部26と天井部28とを含む金属封止部30によって封止されている。金属封止部30を覆って、例えばニッケル(Ni)めっき膜等の金属からなる保護膜32が設けられている。
【0021】
複数のデバイスチップ12は全て、上面が金属封止部30の天井部28に接触している。例えば、複数のデバイスチップ12それぞれの上面の全面が天井部28に接触している。天井部28は、例えば平坦形状をした金属リッド28aと金属リッド28aの下面に設けられた半田28bとを含む。金属リッド28aには、例えばコバール等の半田よりも融点の高い金属を用いることができる。側壁部26には、例えば半田を用いることができる。なお、天井部28は、半田28bを含まずに、金属リッド28aのみを含む場合でもよい。
【0022】
図1(b)は、図1(a)のA−A間の断面を示す図である。即ち、図1(b)は、金属封止部30の側壁部26と天井部28との境界における実装基板10側の断面を示している。図1(b)のように、側壁部26の天井部28に接触する部分の面積(大きい網目部分)は、SAWフィルタチップ12a及び能動素子チップ12bの上面の天井部28に接触する部分の面積(小さい網目部分)よりも大きい。なお、SAWフィルタチップ12a及び能動素子チップ12bの高さと側壁部26の高さとはほぼ同じであることから、面積の比較は体積の比較とみなすことができる。
【0023】
実施例1によれば、図1(a)及び図1(b)のように、複数のデバイスチップ12のうちの1以上のデバイスチップ(2つのSAWフィルタチップ12a及び能動素子チップ12b)の上面が金属封止部30の天井部28に接触する。そして、金属封止部30の側壁部26の天井部28に接触する部分の面積(大きい網目部分)は、1以上のデバイスチップの上面の天井部28に接触する部分の面積(小さい網目部分)よりも大きい。これにより、1以上のデバイスチップ(2つのSAWフィルタチップ12a及び能動素子チップ12b)で発生した熱を効果的に金属封止部30へ放熱させることができ、良好な放熱性を得ることができる。
【0024】
実施例1では、図1(a)のように、実装基板10上に実装された全てのデバイスチップ12の上面が金属封止部30の天井部28に接触する。これにより、全てのデバイスチップ12の放熱性を向上させることができる。放熱性の向上の点からデバイスチップ12の上面の全面が天井部28に接触する場合が好ましいが、上面の一部が天井部28に接触しない場合でもよい。
【0025】
金属封止部30の天井部28は平坦形状をした金属リッド28aを含み、側壁部26は半田からなることが好ましい。これにより、複数のデバイスチップ12を封止する金属封止部30を容易に得ることができる。
【0026】
図1(a)のように、金属封止部30は、複数のデバイスチップ12の間、即ちSAWフィルタチップ12aと能動素子チップ12bとの間、に設けられていない場合が好ましい。これにより、弾性波デバイス100を小型化することができる。
【実施例2】
【0027】
図3(a)は、実施例2に係る弾性波デバイスの断面図、図3(b)は、図3(a)のA−A間の断面を示す図である。図3(a)及び図3(b)のように、実施例2の弾性波デバイス200は、能動素子チップ12bの上面は金属封止部30の天井部28に接触しているが、2つのSAWフィルタチップ12aの上面は天井部28に接触していない。例えば、能動素子チップ12bの上面の全面が天井部28に接触している。その他の構成は、実施例1の図1(a)及び図1(b)と同じであるため説明を省略する。
【0028】
実施例2のように、能動素子チップ12bの上面が金属封止部30の天井部28に接触し、SAWフィルタチップ12aの上面は天井部28に接触しない場合でもよい。これにより、発熱量の大きい能動素子チップ12bの放熱性を向上させることができると共に、能動素子チップ12bで発生した熱がSAWフィルタチップ12aに伝わることを抑制できる。放熱性の向上の点から能動素子チップ12bの上面の全面が天井部28に接触する場合が好ましいが、上面の一部が天井部28に接触しない場合でもよい。
【0029】
実施例2では、1つの能動素子チップ12bが実装基板10上に実装されている場合を例に示したが、複数の能動素子チップ12bが実装されている場合でもよい。この場合、複数の能動素子チップ12bの全ての上面が金属封止部30に接触する場合が好ましいが、一部の能動素子チップ12bの上面が金属封止部30に接触しない場合でもよい。
【0030】
図3(a)及び図3(b)のように、実装基板10の中央部分に実装されたデバイスチップ12の上面が天井部28に接触することが好ましい。この理由を、図4を用いて説明する。図4は、実施例2の弾性波デバイスが外部から受ける圧力を説明するための上面図である。なお、図4では、保護膜32及び天井部28を透視して図示している。
【0031】
図4のように、実施例2の弾性波デバイス200をマザーボード等に実装する際には、弾性波デバイス200の上部に実装ツールを接触させて、弾性波デバイス200を保持することがなされる。この際、弾性波デバイス200をバランス良く保持するために、実装ツールは、弾性波デバイス200の中央部分、即ち実装基板10の中央部分に接触される。このため、弾性波デバイス200の中央部分は、外部から圧力を受ける。外部から圧力を受ける圧力領域34を斜線で示している。
【0032】
外部から圧力を受けることによって、デバイスチップ12の強度の劣化が懸念される。例えば、金属封止部の天井部に接触するデバイスチップが実装基板の端に寄せて実装されている場合、外部からの圧力はデバイスチップの上面の一部のみにかかり、この一部で大半の荷重を受けるため、デバイスチップの強度の劣化が懸念される。しかしながら、実施例2では、実装基板10の中央部分に実装された能動素子チップ12bの上面が天井部28に接触している。このため、外部からの圧力は、能動素子チップ12bの上面全面で受けることになり、強度の劣化は抑制される。したがって、実施例2によれば、マザーボード等への実装時における強度の劣化を抑制することができる。
【実施例3】
【0033】
図5(a)は、実施例3に係る弾性波デバイスの断面図、図5(b)は、図5(a)のA−A間の断面を示す図である。図5(a)及び図5(b)のように、実施例3の弾性波デバイス300は、2つのSAWフィルタチップ12aの上面は金属封止部30の天井部28に接触しているが、能動素子チップ12bの上面は天井部28に接触していない。例えば、2つのSAWフィルタチップ12aの上面の全面が天井部28に接触している。その他の構成は、実施例1の図1(a)及び図1(b)と同じであるため説明を省略する。
【0034】
実施例3のように、SAWフィルタチップ12aの上面は金属封止部30の天井部28に接触し、能動素子チップ12bの上面は天井部28に接触しない場合でもよい。これにより、SAWフィルタチップ12aの放熱性を向上させることができると共に、能動素子チップ12bで発生した熱がSAWフィルタチップ12aに伝わることを抑制できる。放熱性を向上させる点からSAWフィルタチップ12aの上面の全面が天井部28に接触する場合が好ましいが、上面の一部が天井部28に接触しない場合でもよい。
【0035】
実施例2及び実施例3から分かるように、複数のデバイスチップ12のうちのSAWフィルタチップ12a又は能動素子チップ12bの一方の上面が金属封止部30の天井部28に接触し、他方の上面が天井部28に接触しなくてもよい。これにより、SAWフィルタチップ12a又は能動素子チップ12bの一方の放熱性を向上させることができると共に、発熱量の大きい能動素子チップ12bの熱がSAWフィルタチップ12aに伝わることを抑制できる。発熱量の大きい能動素子チップ12bの放熱性を向上させる点から、能動素子チップ12bの上面が天井部28に接触する場合が好ましい。
【0036】
実施例3では、2つのSAWフィルタチップ12aが実装基板10上に実装されている場合を例に示したが、1つのSAWフィルタチップ12aが実装されている場合でもよいし、3以上の複数のSAWフィルタチップ12aが実装されている場合でもよい。複数のSAWフィルタチップ12aが実装されている場合、複数のSAWフィルタチップ12aの全ての上面が金属封止部30の天井部28に接触する場合が好ましいが、一部のSAWフィルタチップ12aの上面が天井部28に接触しない場合でもよい。
【0037】
図5(a)のように、実装基板10の中央部分に実装された能動素子チップ12bの上面は金属封止部30の天井部28に接触してなく、能動素子チップ12bの周りに実装されたSAWフィルタチップ12aの上面が天井部28に接触している。このため、図4のような圧力領域34を加える実装ツールで弾性波デバイス300を保持した場合、SAWフィルタチップ12aの上面の一部に荷重がかかり、SAWフィルタチップ12aの強度の劣化が懸念される。この場合、図6のような、SAWフィルタチップ12aの全体を含むような圧力領域34aとなる実装ツールを用いればよい。これにより、実施例3の弾性波デバイス300をマザーボード等へ実装する際の強度の劣化を抑制することができる。
【0038】
図5(a)のように、金属封止部30の天井部28に接触しない能動素子チップ12bが実装基板10の中央部分に実装されているが、天井部28に接触するSAWフィルタチップ12aが実装基板10の中央部分に実装される場合でもよい。この場合、マザーボード等への実装時における強度の劣化を抑制することができる。
【0039】
実施例1から実施例3において、放熱性を向上させる点から、側壁部26の天井部28に接触する部分の面積(図1(b)、図3(b)、図5(b)の大きい網目部分)は、デバイスチップ12の上面の天井部28に接触する部分の面積(図1(b)、図3(b)、図5(b)の小さい網目部分)の2.0倍以上が好ましく、2.5倍以上がより好ましく、3.0倍以上がさらに好ましい。
【0040】
複数のデバイスチップ12は、SAWフィルタチップ12aと能動素子チップ12bとを含む場合を例に示したが、少なくとも弾性波チップを含む場合であればよい。弾性波チップは、SAWフィルタチップの場合に限られず、弾性境界波チップ、ラブ波チップ、又は圧電薄膜共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)チップ等、他の弾性波チップの場合でもよい。また、能動素子チップ12bは、パワーアンプ又はローノイズアンプを含む場合に限られる訳ではないが、パワーアンプ又はローノイズアンプを含む場合は発熱量が大きいため、本発明を適用することが好ましい。
【0041】
弾性波デバイスは分波器の場合でもよい。図7は、分波器を示す回路図である。図7のように、アンテナ端子50と送信端子52との間に送信フィルタ56とパワーアンプ58とが接続されている。アンテナ端子50と受信端子54との間に受信フィルタ60とローノイズアンプ62とが接続されている。送信フィルタ56及び受信フィルタ60はそれぞれSAWフィルタチップ12aに形成され、パワーアンプ58及びローノイズアンプ62はそれぞれ能動素子チップ12bに形成される。
【0042】
送信端子52に入力された高周波信号は、パワーアンプ58で増幅された後、送信フィルタ56に入力する。バンドパスフィルタである送信フィルタ56は、送信帯域の信号を送信信号としてアンテナ端子50に通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。また、バンドパスフィルタである受信フィルタ60は、アンテナ端子50から入力された高周波信号のうち受信帯域の信号を受信信号として通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信信号は、ローノイズアンプ62で増幅された後、受信端子54から出力される。送信帯域の周波数と受信帯域の周波数とは異なっている。なお、送信フィルタ56及び受信フィルタ60は、バンドパスフィルタの場合に限らず、ローパスフィルタ又はハイパスフィルタ等の場合でもよい。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 実装基板
12 デバイスチップ
12a SAWフィルタチップ
12b 能動素子チップ
24 金属パターン
26 側壁部
28 天井部
28a 金属リッド
28b 半田
30 金属封止部
34、34a 圧力領域
100〜300 弾性波デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7